記事公開日:2022.06.02
最終更新日:2023.10.12

人手不足の今、中小製造業がロボットを活用して生き残るためには

1. 製造業における人手不足の現状

国内の製造業就業者数は、2002年の1,202万人から2019年には1,063万人と、20年間で11.6%減少しており、全産業に占める製造就業者の割合も2002年の19.0%から2019年の15.8%に減少しています。
若年就業者数についても、減少が続いていおり、製造業における若年就業者(34歳以下)の数は2000年の423万人から2019年には264万人に減少しています。
以上のデータからも分かるように、製造業全体としての人手不足は勿論のこと、若手を採用することが非常に困難となってきているという現状が浮き彫りになっています。
今後、人材の争奪戦になることは必至であり、中小製造業におけるロボット活用によるリソースの確保は最重要課題と言えるでしょう。
では、このような人手不足・若手不足の中で中小製造業が生き残っていくためにはどのようにロボットを活用していく必要があるでしょうか?

2.多品種少量生産対応で「儲かるロボット」を導入し最大限活用する!!

日本の中小製造業では多品種少量生産が当たり前であり、リピート品且つ大ロットの製品を受注しているケースの方が少ない為、ロボット化、自動化を検討する場合には必然的に多品種対応が求められます。
「儲かるロボット」を導入するポイントは以下の4つです。

①教示時間の短縮(オフラインティーチングソフト活用)
②リアルタイム補正によるロボット加工品質の向上
③段取りは最小限かつ再現性の高い機構と治具を用いつつ、可能な限り段取り時間を短縮
④品種の特長、要求品質、加工能力、加工範囲などを明確にした上で、要求を満たす能力を持ったシステムを構築

では、実際にロボット活用を始める際に取り組むべきことは想像がつきますでしょうか?
絶対に失敗しないために必ず必要となる項目を次に説明します。

3.ロボット活用を始める際に取り組むべき2つのこと

絶対に失敗しないために必ず必要となる項目は以下の2つです。

①ワーク分析
②作業分析

ワーク分析は分かりやすく言うと、「多品種少量生産の中でもどの製品をロボット活用の対象とするか」を決め込んでいく分析作業です。
多品種少量生産と言えど、その製品群には形状、サイズ、生産数量、生産ロット、等様々な特徴があります。
その中から、よりロボット活用の効果が高いと判断されるワークを選定することが重要です。

次に、作業分析です。
作業分析は今ある現状の作業をどの範囲までロボットに置き換えるか、を決めていく分析作業です。
中小製造業の多品種少量生産において職人の技術力は世界に誇れる技術であると言えます。
その「職人の技術」をロボットに置き換えることができるか、置き換えた時にどの程度の投資対効果が得られるか、技術的に可能かどうか、を検証していきます。
上記のように「ワーク分析」と「作業分析」を実施することで失敗しないロボット活用が実現できます。

4.実際の中小製造業におけるロボット活用事例

①職人技術である溶接工程とグラインダー工程へのロボット活用を成功させた事例
  • 従業員100名 板金溶接加工業
  • ロボット活用の概要

手作業による大物ワークの溶接、グラインダー作業をロボットで代替え。
作業工数比率を分析し工数比率の高い本溶接とグラインダー仕上工程にロボットを活用。
半自動溶接とTIG溶接はロボットMIG溶接に統一、自動倣い機能付研削装置を用いたロボットグラインダー仕上を活用。
仮溶接は現状のまま作業者が行うことでロボットシステムの導入コストを抑えたまま高い投資対効果を実現した事例。

②従業員10名の会社が10台の溶接ロボットを活用している事例
  • 従業員10名 板金溶接加工業
  • ロボット活用の概要

人口の少ない地方においてロボット活用を推進し従業員全員がロボットを扱える教育を推進。
治具設計を工夫しすることで共通化した治具によるロボット活用の汎用性を確保、さらに高度なロボット技術で職人以上の溶接品質を実現し競合他社を圧倒。
従来は、顧客に提供できるような溶接品質を確保するために若手は5年~10年の修行が必要であったが、ロボットを積極的に導入し若手をロボットオペレーターとして育成することで、ロボットによる高品質な溶接を実現し若手でも2,3年で顧客の要望を満足する品質の製品を提供することが可能となった。

③単調で危険なプレス工程へのワーク投入作業に協働ロボットを活用した事例
  • 従業員100名 板金プレス加工業
  • ロボット活用の概要

単純作業であるプレス機へのワーク連続投入作業をロボットで実現。
プレス機は多品種対応のため対象としたワーク以外も生産するため人との共同作業が求められる。
そこで移動可能が協働ロボットを導入。
安全柵不要の協働ロボットを導入し必要な時だけ設置して使用できるロボットシステムを構築。
導入対象設備はIoTによるデータ蓄積から導き出したネック工程を対象とし導入効果を最大化。
ロボット導入を機にIoTにも取り組み、自社の製品原価を見える化して赤字製品を特定。
会社全体の利益を向上させた好事例。

■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート

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https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__00794

目次
1、多品種な複数部品の組み合わせによるパネル生産の自動化!
2、形状も材質も違う複数材料を一つのロボットでハンドリング!
3、部品形状に合わせた接着材を塗工し自動で貼り付け!

レポートの内容
従来では特定の人員が手作業で行っていたパネルの組立作業の自動化に成功。
多品種かつ部品点数多い・更に接着材の塗布と正確な位置への部品貼り付け等、様々な難題をクリアして構築したシステム。
本レポートではこれらの一部をご紹介致します。

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