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【AI×製造業】電子化ソリューション①まずは電子帳票を始めてみよう

同時共有や同時作業など、紙媒体では難しかった作業を電子化することで得られるメリットはたくさんあります。
現場で作業しようと思ったら事務所に書類があって取ってくるまで作業が始められない・・・なんてそんなことはありませんか?電子化することのメリットは製造業に限ることではありません。日常の改善だけでなく、長期的な目線でのデータ保管ができることも電子化することの大きなメリットです。例えば、全業界に共通する帳票に自然災害に遭った際に必要になるBCP(事業継続計画)という書類があります。これを電子帳票として管理していれば、洪水で浸水してしまった、火事で燃えてしまった、地震によって紛失してしまった・・・そのようなアクシデントを防ぐことができます。

1.帳票とは

帳票とは、帳簿類と伝票類の総称です。「帳簿類」とは、仕分帳や売上帳などの取引が実際にあったことを証拠として残す役割がある書類のことで、「伝票類」とは、支払伝票や収納伝票などのお金の動きを記入する書類を指します。定義としては「伝票類」の方が網羅されている範囲は狭いのですが、いずれもどのような経路を辿ったのかを確認できるよう記録し、情報を伝達する役割があります。つまり、会社の多様な書類の中で「帳票」と呼ばれる書類は数多く存在します。

それらをすべて電子データとして保管するのは比較的簡単なことなのですが、分別なく一括りに電子帳票として扱ってしまうことは、情報漏洩等のリスクがあります。
そのため、下記条件に適応するものだけを電子帳票として取り扱うこととして定義づけることがポイントとなります。言い換えると、下記条件に適応するように書類を整理し、帳票類として電子データで管理するものを「電子帳票」と定義づけることが大切です。この記事では「電子帳票」をご紹介します。

(ア) 電子データとして誰もが参照できる場所に保管されている
(イ) ユーザーはいつでも電子帳票を参照できる状態にある
(ウ) 電子帳票ごとに適切なアクセス権限を設定している

実は製造業の現場での紙の消費量は一般的な企業を上回る傾向にあります。前述のような一般的な資料だけでなく、ISO文書、設計図、見積書、製造指示書、資材購入に付随する補足資料等さまざまな文書があるためです。さらにこれらを生産管理課、製造部門、検査部門等の部署数に応じて同じものを印刷している現状は多くの製造業で見受けられます。

2.電子帳票導入に踏み切った企業の実際の声

電子帳票導入前の製造業のお悩みをご紹介します。

・ 同様の設計変更や不具合が発生したときに、依然行った解決方法を探せない
・ 紙帳票のスキャン、管理ファイルへの格納、重要なワードのタグ付けなど、作業者の負担が大きい
・ 全ての組立品に対して組立テスト管理票を残す必要がある
・ 手書きで記入したチェックシートからExcelに落とし込む工数が大きい
・ 組立手順書などの関連ドキュメントを参照させる際に工数がかかる
・ 作成後の品質管理システムへの再度入力が必要
・ 工場長、課長等の承認などに時間がかかる
・ 記入間違いや漏れ等のヒューマンエラーが発生していた

導入を決断したあと、システムの選定基準には以下のようなものがあるようです。

・ 使用している点検調査票をそのまま使用できる
・ 無線LAN等ネットワークの繋がらないオフライン下でも使用可能
・ 膨大な点検項目を漏れなく正しく簡単に入力できる
・ 基幹システムへ点検結果を自動連携できる
・ 承認印の捺印、その後の関連部署への配布までそのままデジタル化できる
・ 組立手順のテスト結果入力の際に、手順確認に必要なドキュメントが参照できる

3.電子帳票の活用場面

以上を総括すると、以下のような場面で電子帳票を使うことができます。今より活用の幅が広がることを想像できるのではないでしょうか。

・ 原料の受け入れや原料の在庫管理時に、製品の紛失の危険を回避し、入力ミス・入力漏れを防ぐことでデータの処理を円滑にする
・ 現場のマニュアルを随時共有する
・ 以前より高度な品質管理・品質試験が可能になる
・ 生産ラインや設備からのデータ収集、PLCとの連携ができる
・ データを分析し活用できる

4.導入するソフトウェアの選び方

それでは、どのように電子帳票を導入すればいいのでしょうか。
まずは大枠を捉えるために全体像からご説明いたします。日本のソフトウェア導入の内訳は受託開発が88.3%、パッケージが11.7%(総務省・経済産業省(2019)「平成30年情報通信業基本調査」より)となっております。一方、アメリカのソフトウェア導入の内訳は受託開発33.8%、パッケージ29%、自社開発37.2%(米国商務省より)です。これはAIについて、米国GAFAや中国BATのような代表的なデジタル・プラットフォーマーが基盤となる様々なツールをオープンソースやクラウドなどによって提供しているため、開発や利用がしやすくなっていることが背景にあります。しかし、日本では、米国GAFAや中国BATに並ぶ企業はなく、提供されている情報を上手に利用できる企業も少ないため、「知っていれば優位」という構図になってしまっております。
知っているに越したことはないのですが、そこまで詳しいことまではわからなくても、以下のことを明確にしておくことが大切です。

・ 自社がどんな帳簿体系になっているか
・ どの種類の帳簿を管理したいか
・ バックアップをどのように行いたいか

一般的な電子帳票システムは様々な業種に対応しています。導入する際には、パッケージ化されたシステムのうち、自社にとってどれが必要でどれが必要ではないか、判断する必要があります。このようにパッケージ化されたシステムを基に、自社に最適な仕組みにするためには、ほとんどの場合、オプションとして各機能を追加する流れとなります。機能だけでなく、データ数や大きさによっても料金が変わってくるため、初期費用も含めたトータルの料金は見積り依頼するまでわからないケースがほとんどです。ソフトウェア等のシステムは知れば知るほど夢が広がるのですが、それに伴い料金も上がり、見極めが難しくなるため、それが自社にとって本当に必要か?という軸を最初に持っておくことは大変重要なことです。

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