20年間で157万人減。深刻な人手不足を乗り越える「製造業×生成AI」サバイバル戦略と導入ロードマップ
2026.01.08
図形2025年12月5日(金)、ハイアットリージェンシー東京(東京都新宿区)にて、株式会社京二様が主催する「第29回京二会」が開催されました。
本会におけるメインイベントとして、株式会社船井総合研究所による基調講演「製造業向け AI活用による競争力強化セミナー」が執り行われました。
講師として、同社AI推進室の飯塚 佳史、DXコンサルティング部の熊谷 俊作が登壇。製造業が直面する「人手不足」や「技術継承」といった深刻な課題に対し、AI活用がいかに競争力を高める鍵となるかについて、最新事例を交えた熱のこもった講演が行われました。
本記事では、この基調講演のエッセンスを凝縮し、製造業の経営者・現場リーダーが今すぐ取り組むべき「AI活用戦略」について解説します。
1. なぜ今、製造業に「AI」が必要なのか?数字で見る危機の正体
製造業の現場で「人が採れない」「技術が継承されない」という悲鳴が上がって久しいですが、データはさらに残酷な現実を突きつけています。
1-1. 20年間で157万人減。製造業労働人口推移の衝撃的な現実
国内製造業の労働人口は、2002年の1,202万人から2021年には1,045万人へと減少しました。この20年間で約157万人もの働き手が失われたことになります。これは福岡市の人口に匹敵する規模です。
1-2. 「若手・中堅の不足」が招く技術継承の断絶リスク
さらに深刻なのが若年層の減少です。34歳以下の若年就業者は、同期間で約121万人も減少しています。
ベテラン社員の退職が進む一方で、それを受け継ぐ若手が圧倒的に足りていない。これにより、熟練者の頭の中にしかないノウハウが、誰にも継承されずに消えていくリスクが高まっています。
1-3. 属人化という「ブラックボックス」からの脱却:AI活用による形式知化
製造現場では、見積もり、生産計画、加工条件などが「わかる人にしかわからない」状態になりがちです。この属人化(ブラックボックス化)こそが、生産性を阻害する最大の要因です。
AI活用の本質は、このブラックボックス化した「勘・経験・度胸」をデータとして可視化し、誰もが活用できる「形式知」に変えることにあります。
2. 製造業におけるAIの現在地。「識別系AI」と「生成AI」の違いと役割
「AI」と一言で言っても、その役割は大きく2つに分かれます。
2-1. 従来のAI(識別・予測・最適化)と生成AI(対話・創造)
これまで主流だったAI(識別系・予測系)は、過去のデータを学習し、正解を導き出す「自動化の道具」でした(例:外観検査、需要予測)。
一方、現在注目されている「生成AI」は、対話を通じて新しいアウトプットを生み出す「パートナー」です(例:日報要約、アイデア出し)。
以下に、それぞれの違いを整理しました。
特徴従来のAI(識別・予測系)生成AI(言語モデル等)
役割決められた作業の自動化・効率化知的業務の補佐・創造的パートナー
得意作業数値予測、画像診断、最適化計算文章作成、要約、翻訳、アイデア出し
処理の流れ学習データから最適な回答を探す学習データから新しい回答を生成する
活用例不良品検知、生産計画の立案報告書作成、プログラミング支援
2-2. 自社の課題はどれ?製造業でのAI活用「5つのフレームワーク」
船井総研では、製造業におけるAI活用を以下の5つの型に分類しています。
3. 【事例解説】現場はどう変わる?AI活用による競争力強化の実践パターン
講演では、具体的な導入事例が紹介されました。
3-1. 【生産管理】熟練者の「カンと経験」を再現する生産計画の自動化
ある表面処理メーカー(従業員約60名)では、生産計画がベテラン1名の「頭の中」に依存しており、属人化が課題でした。
そこで、熟練者の判断ルール(設備条件、納期、スキルなど)をAI(数理最適化)に学習させ、計画立案を自動化。その結果、「いつでも」「誰でも」「簡単に」最適な生産計画が立案できるようになりました。
3-2. 【設計・営業】過去図面検索AIで「探す時間」を1/4に短縮
多品種単品生産を行う加工業(従業員25名)では、過去の類似図面や見積もりを探す作業に多くの時間を費やしていました。
図面の特徴量を抽出して検索できるAIを導入したことで、検索時間が従来の1/4に短縮。さらに、過去の見積もり価格やトラブル情報を即座に参照できるようになり、見積もりのバラつきや不良の未然防止にも繋がっています。
3-3. 【技術伝承】マニュアル学習AIボットでOJT時間を400時間削減
シンワバネス株式会社様では、社内のマニュアルや技術文書(約300ファイル)を生成AIに学習させ、社内専用の「AIチャットボット」を構築しました。
若手社員がAIに質問することで自己解決できるようになり、ベテラン社員が教育(OJT)に割く時間を年間約414時間削減することに成功しました。これは1人当たりの平均労働時間の約2割に相当します。
4. 成功へのロードマップ。中小製造業が「明日から」始めるための具体的ステップ
AI導入を成功させるには、いきなり全社展開するのではなく、段階的なアプローチが不可欠です。
4-1. ステップ1:トップの覚悟と「使う環境」の整備
まずは経営トップが「AIを活用する」と決断し、社員が安全に使える環境を整えることが出発点です。ロードマップを策定し、目的を共有することが重要です。
4-2. ステップ2:まずは「1日100回」使ってみるトライアル運用
特定の部門やプロジェクトを選定し、まずは触ってみることから始めます。目標として「1日100回活用」といった数値を掲げ、とにかくAIに慣れる期間を設けます。
4-3. ステップ3:リスク対策(ハルシネーション・情報漏洩)とガイドライン策定
生成AIには「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」をつくリスクや、情報漏洩のリスクがあります。
「機密情報は入力しない」「AIの回答は必ず人間が確認する」といった明確なガイドラインを策定し、安全な運用ルールを徹底しましょう。
5.質疑応答・参加者の声
本セミナーの質疑応答では、参加者の方々から実務に即した具体的な質問が多数寄せられました。その内容を要約してご紹介します。
Q1:クラウド型の生成AIを利用する際の情報漏洩リスクについて、どのように考えるべきでしょうか?
回答:情報漏洩リスクについては、最終的には経営者の判断になります。汎用的な生成AIは海外サーバーを利用することが多いため、それを許容できるかどうかが第一の分岐点となります。 クラウド利用がOKだとしても、社内でのアクセス権限設定(例:営業が製造データを見られないようにする等)を確実に行い、合意形成を図る必要があります。 「クラウド不可」の場合は、ローカルLLMやネットワークを完全に遮断した「エアギャップ」環境での構築という選択肢もありますが、コストや精度の検証が課題となります。 どのような環境で運用するかは、セキュリティポリシーや顧客との契約に基づいて、現場ではなく経営層が判断すべき事項です。
Q2:熟練者の「勘や経験」に依存している生産計画を自動化する場合、どのようなステップで進めればよいですか?また、期間はどれくらいかかりますか?
回答:実用化までは概ね12ヶ月程度かかります。 最初のステップとしては、担当者の横について実際の作業を見ながら、「なぜその計画にしたのか」をヒアリングし、言語化・ドキュメント化していくことが重要です。 ベテラン担当者には、「AI導入は仕事を奪うものではなく、ノウハウを形式知化し、品質維持に貢献するものである」というメリットを丁寧に伝え、協力を得ることが成功の鍵となります。
Q3:大規模な製造工程全体のデータを整備するには、どれくらいの期間(工数)が必要ですか?
回答:全部門一斉に取り組むと現場の負担が大きく、頓挫するリスクがあります。 まずは「製造部門」など特定の部署でデータを可視化・分析し、半年〜9ヶ月程度で小さな成功事例を作ることが推奨されます。その成果を他部門(品質保証、営業など)に横展開していく、段階的なアプローチが効果的です。
Q4:社内文書をAIに学習させる際、スムーズに進みましたか?(事例について)
回答:当初は手書きやフォーマットが統一されていないデータが多く、AIの回答精度が上がらないという課題がありました。 AI活用においては、パラメータ調整などの技術的な側面よりも、「元データをいかに整理し、AIが読み取りやすい形に整備できるか」が最も重要なポイントとなります。
Q5:AIを使った外観検査について教えてください。
回答:AIであっても、適切な画像データがなければ検査はできません。まずはカメラ、レンズ、照明などを調整し、欠陥を鮮明に撮像できる環境を作ることが最優先です。 従来の検査機との違いは、ルールベース(閾値)ではなく、AIが曖昧な特徴を「スコア」で判断できる点にあります。これにより、これまで人間の感覚に頼っていた微妙な良否判定が可能になります。
参加者の声:AI活用の「第一歩」を踏み出す決意
本セミナーには多くの製造業関係者が参加し、講演後には熱心な感想や決意の声が寄せられました。その一部をご紹介します。
■ 経営層・リーダーの声
「2026年に向けて、出来る所から改善を進めていきたいと考えています。本日の講演で、今の忙しさの中でどのように取り組んでいくかイメージが湧きました。」(製造業 経営層)
「当社でもAI、DXについては他社と比較し遅れていると感じていました。全員が目的を理解し、同じ方向を向くことから始めたいと思います。」(N工業 S様)
「『1日100回使ってみる』という言葉が印象的でした。まずは積極的に使ってみることを実践していきたいです。」(A製作所M様)
■ 現場の課題感とAIへの期待
「営業として、見積対応やデータ入力に時間を取られ、本来の営業活動ができない状況です。生成AIを活用して無駄な時間を改善し、人にしかできない仕事に注力したいと感じました。」(B(株)K様)
「標準化が不十分だとAIも最適な回答を導けないという点にハッとしました。手遅れ感を感じつつも、地道にルール化に取り組んでいきます。」(T工業様)
「若手がAIを多く利用しており、先輩社員も使っていかなければ大変なことになると危機感を持ちました。」(佐野様)
「『全て読み込ませる』が正解だと思いました。課員からの『どこまでのデータを読み込ませれば良いか』という疑問が解消されました。」(W様)
■ 具体的な導入検討
「生産作業の属人化改善やサービスコール対応など、活用できる所は多々あると感じました。今日のお話を参考に社内で実施していきます。」(H精機様)
「社内業務のつながりが無い事が効率化の妨げでしたが、AI活用でそのつながりもできそうだと感じました。」(R様)
多くの参加者が、AIを「遠い未来の技術」ではなく、「今すぐ取り組むべき課題」として捉え直し、具体的なアクションへ繋げようとする姿勢が印象的でした。
6. まとめ:AIは「魔法の杖」ではなく「最強のアシスタント」
AIは人間の仕事を奪うものではなく、面倒な作業を代行し、知恵を貸してくれる「超優秀なアシスタント」です。
2024年問題や人手不足といった荒波を乗り越えるためには、この「アシスタント」を使いこなせるかどうかが、企業の生存を分ける分岐点となります。
まずは、社長自身の挨拶文やメールの下書きをAIに作らせるところから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、会社の競争力を大きく変えるきっかけになるはずです。
【講演依頼・コンサルティングに関するお問い合わせ】
今回の京二会で発表されたような「製造業特化型のAI活用セミナー」を、貴社の協力会や社内研修で開催しませんか?
株式会社船井総合研究所では、製造業の現場を知り尽くしたコンサルタントが、貴社の課題に合わせた講演や導入支援を行っております。
「自社の社員にAI活用の重要性を伝えてほしい」
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このようなご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ:株式会社船井総合研究所
テーマ例: 製造業向け生成AI活用、DX推進、スマートファクトリー化ロードマップ策定、ロボット活用など 図形2025年12月5日(金)、ハイアットリージェンシー東京(東京都新宿区)にて、株式会社京二様が主催する「第29回京二会」が開催されました。
本会におけるメインイベントとして、株式会社船井総合研究所による基調講演「製造業向け AI活用による競争力強化セミナー」が執り行われました。
講師として、同社AI推進室の飯塚 佳史、DXコンサルティング部の熊谷 俊作が登壇。製造業が直面する「人手不足」や「技術継承」といった深刻な課題に対し、AI活用がいかに競争力を高める鍵となるかについて、最新事例を交えた熱のこもった講演が行われました。
本記事では、この基調講演のエッセンスを凝縮し、製造業の経営者・現場リーダーが今すぐ取り組むべき「AI活用戦略」について解説します。
1. なぜ今、製造業に「AI」が必要なのか?数字で見る危機の正体
製造業の現場で「人が採れない」「技術が継承されない」という悲鳴が上がって久しいですが、データはさらに残酷な現実を突きつけています。
1-1. 20年間で157万人減。製造業労働人口推移の衝撃的な現実
国内製造業の労働人口は、2002年の1,202万人から2021年には1,045万人へと減少しました。この20年間で約157万人もの働き手が失われたことになります。これは福岡市の人口に匹敵する規模です。
1-2. 「若手・中堅の不足」が招く技術継承の断絶リスク
さらに深刻なのが若年層の減少です。34歳以下の若年就業者は、同期間で約121万人も減少しています。
ベテラン社員の退職が進む一方で、それを受け継ぐ若手が圧倒的に足りていない。これにより、熟練者の頭の中にしかないノウハウが、誰にも継承されずに消えていくリスクが高まっています。
1-3. 属人化という「ブラックボックス」からの脱却:AI活用による形式知化
製造現場では、見積もり、生産計画、加工条件などが「わかる人にしかわからない」状態になりがちです。この属人化(ブラックボックス化)こそが、生産性を阻害する最大の要因です。
AI活用の本質は、このブラックボックス化した「勘・経験・度胸」をデータとして可視化し、誰もが活用できる「形式知」に変えることにあります。
2. 製造業におけるAIの現在地。「識別系AI」と「生成AI」の違いと役割
「AI」と一言で言っても、その役割は大きく2つに分かれます。
2-1. 従来のAI(識別・予測・最適化)と生成AI(対話・創造)
これまで主流だったAI(識別系・予測系)は、過去のデータを学習し、正解を導き出す「自動化の道具」でした(例:外観検査、需要予測)。
一方、現在注目されている「生成AI」は、対話を通じて新しいアウトプットを生み出す「パートナー」です(例:日報要約、アイデア出し)。
以下に、それぞれの違いを整理しました。
特徴従来のAI(識別・予測系)生成AI(言語モデル等)
役割決められた作業の自動化・効率化知的業務の補佐・創造的パートナー
得意作業数値予測、画像診断、最適化計算文章作成、要約、翻訳、アイデア出し
処理の流れ学習データから最適な回答を探す学習データから新しい回答を生成する
活用例不良品検知、生産計画の立案報告書作成、プログラミング支援
2-2. 自社の課題はどれ?製造業でのAI活用「5つのフレームワーク」
船井総研では、製造業におけるAI活用を以下の5つの型に分類しています。
3. 【事例解説】現場はどう変わる?AI活用による競争力強化の実践パターン
講演では、具体的な導入事例が紹介されました。
3-1. 【生産管理】熟練者の「カンと経験」を再現する生産計画の自動化
ある表面処理メーカー(従業員約60名)では、生産計画がベテラン1名の「頭の中」に依存しており、属人化が課題でした。
そこで、熟練者の判断ルール(設備条件、納期、スキルなど)をAI(数理最適化)に学習させ、計画立案を自動化。その結果、「いつでも」「誰でも」「簡単に」最適な生産計画が立案できるようになりました。
3-2. 【設計・営業】過去図面検索AIで「探す時間」を1/4に短縮
多品種単品生産を行う加工業(従業員25名)では、過去の類似図面や見積もりを探す作業に多くの時間を費やしていました。
図面の特徴量を抽出して検索できるAIを導入したことで、検索時間が従来の1/4に短縮。さらに、過去の見積もり価格やトラブル情報を即座に参照できるようになり、見積もりのバラつきや不良の未然防止にも繋がっています。
3-3. 【技術伝承】マニュアル学習AIボットでOJT時間を400時間削減
シンワバネス株式会社様では、社内のマニュアルや技術文書(約300ファイル)を生成AIに学習させ、社内専用の「AIチャットボット」を構築しました。
若手社員がAIに質問することで自己解決できるようになり、ベテラン社員が教育(OJT)に割く時間を年間約414時間削減することに成功しました。これは1人当たりの平均労働時間の約2割に相当します。
4. 成功へのロードマップ。中小製造業が「明日から」始めるための具体的ステップ
AI導入を成功させるには、いきなり全社展開するのではなく、段階的なアプローチが不可欠です。
4-1. ステップ1:トップの覚悟と「使う環境」の整備
まずは経営トップが「AIを活用する」と決断し、社員が安全に使える環境を整えることが出発点です。ロードマップを策定し、目的を共有することが重要です。
4-2. ステップ2:まずは「1日100回」使ってみるトライアル運用
特定の部門やプロジェクトを選定し、まずは触ってみることから始めます。目標として「1日100回活用」といった数値を掲げ、とにかくAIに慣れる期間を設けます。
4-3. ステップ3:リスク対策(ハルシネーション・情報漏洩)とガイドライン策定
生成AIには「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」をつくリスクや、情報漏洩のリスクがあります。
「機密情報は入力しない」「AIの回答は必ず人間が確認する」といった明確なガイドラインを策定し、安全な運用ルールを徹底しましょう。
5.質疑応答・参加者の声
本セミナーの質疑応答では、参加者の方々から実務に即した具体的な質問が多数寄せられました。その内容を要約してご紹介します。
Q1:クラウド型の生成AIを利用する際の情報漏洩リスクについて、どのように考えるべきでしょうか?
回答:情報漏洩リスクについては、最終的には経営者の判断になります。汎用的な生成AIは海外サーバーを利用することが多いため、それを許容できるかどうかが第一の分岐点となります。 クラウド利用がOKだとしても、社内でのアクセス権限設定(例:営業が製造データを見られないようにする等)を確実に行い、合意形成を図る必要があります。 「クラウド不可」の場合は、ローカルLLMやネットワークを完全に遮断した「エアギャップ」環境での構築という選択肢もありますが、コストや精度の検証が課題となります。 どのような環境で運用するかは、セキュリティポリシーや顧客との契約に基づいて、現場ではなく経営層が判断すべき事項です。
Q2:熟練者の「勘や経験」に依存している生産計画を自動化する場合、どのようなステップで進めればよいですか?また、期間はどれくらいかかりますか?
回答:実用化までは概ね12ヶ月程度かかります。 最初のステップとしては、担当者の横について実際の作業を見ながら、「なぜその計画にしたのか」をヒアリングし、言語化・ドキュメント化していくことが重要です。 ベテラン担当者には、「AI導入は仕事を奪うものではなく、ノウハウを形式知化し、品質維持に貢献するものである」というメリットを丁寧に伝え、協力を得ることが成功の鍵となります。
Q3:大規模な製造工程全体のデータを整備するには、どれくらいの期間(工数)が必要ですか?
回答:全部門一斉に取り組むと現場の負担が大きく、頓挫するリスクがあります。 まずは「製造部門」など特定の部署でデータを可視化・分析し、半年〜9ヶ月程度で小さな成功事例を作ることが推奨されます。その成果を他部門(品質保証、営業など)に横展開していく、段階的なアプローチが効果的です。
Q4:社内文書をAIに学習させる際、スムーズに進みましたか?(事例について)
回答:当初は手書きやフォーマットが統一されていないデータが多く、AIの回答精度が上がらないという課題がありました。 AI活用においては、パラメータ調整などの技術的な側面よりも、「元データをいかに整理し、AIが読み取りやすい形に整備できるか」が最も重要なポイントとなります。
Q5:AIを使った外観検査について教えてください。
回答:AIであっても、適切な画像データがなければ検査はできません。まずはカメラ、レンズ、照明などを調整し、欠陥を鮮明に撮像できる環境を作ることが最優先です。 従来の検査機との違いは、ルールベース(閾値)ではなく、AIが曖昧な特徴を「スコア」で判断できる点にあります。これにより、これまで人間の感覚に頼っていた微妙な良否判定が可能になります。
参加者の声:AI活用の「第一歩」を踏み出す決意
本セミナーには多くの製造業関係者が参加し、講演後には熱心な感想や決意の声が寄せられました。その一部をご紹介します。
■ 経営層・リーダーの声
「2026年に向けて、出来る所から改善を進めていきたいと考えています。本日の講演で、今の忙しさの中でどのように取り組んでいくかイメージが湧きました。」(製造業 経営層)
「当社でもAI、DXについては他社と比較し遅れていると感じていました。全員が目的を理解し、同じ方向を向くことから始めたいと思います。」(N工業 S様)
「『1日100回使ってみる』という言葉が印象的でした。まずは積極的に使ってみることを実践していきたいです。」(A製作所M様)
■ 現場の課題感とAIへの期待
「営業として、見積対応やデータ入力に時間を取られ、本来の営業活動ができない状況です。生成AIを活用して無駄な時間を改善し、人にしかできない仕事に注力したいと感じました。」(B(株)K様)
「標準化が不十分だとAIも最適な回答を導けないという点にハッとしました。手遅れ感を感じつつも、地道にルール化に取り組んでいきます。」(T工業様)
「若手がAIを多く利用しており、先輩社員も使っていかなければ大変なことになると危機感を持ちました。」(佐野様)
「『全て読み込ませる』が正解だと思いました。課員からの『どこまでのデータを読み込ませれば良いか』という疑問が解消されました。」(W様)
■ 具体的な導入検討
「生産作業の属人化改善やサービスコール対応など、活用できる所は多々あると感じました。今日のお話を参考に社内で実施していきます。」(H精機様)
「社内業務のつながりが無い事が効率化の妨げでしたが、AI活用でそのつながりもできそうだと感じました。」(R様)
多くの参加者が、AIを「遠い未来の技術」ではなく、「今すぐ取り組むべき課題」として捉え直し、具体的なアクションへ繋げようとする姿勢が印象的でした。
6. まとめ:AIは「魔法の杖」ではなく「最強のアシスタント」
AIは人間の仕事を奪うものではなく、面倒な作業を代行し、知恵を貸してくれる「超優秀なアシスタント」です。
2024年問題や人手不足といった荒波を乗り越えるためには、この「アシスタント」を使いこなせるかどうかが、企業の生存を分ける分岐点となります。
まずは、社長自身の挨拶文やメールの下書きをAIに作らせるところから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、会社の競争力を大きく変えるきっかけになるはずです。
【講演依頼・コンサルティングに関するお問い合わせ】
今回の京二会で発表されたような「製造業特化型のAI活用セミナー」を、貴社の協力会や社内研修で開催しませんか?
株式会社船井総合研究所では、製造業の現場を知り尽くしたコンサルタントが、貴社の課題に合わせた講演や導入支援を行っております。
「自社の社員にAI活用の重要性を伝えてほしい」
「協力会・安全大会での基調講演を依頼したい」
「具体的なAI導入のロードマップを相談したい」
このようなご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ:株式会社船井総合研究所
テーマ例: 製造業向け生成AI活用、DX推進、スマートファクトリー化ロードマップ策定、ロボット活用など