ものづくり企業のDXは「自社の課題解決」から!システム外販に繋げたカワイ精工様の挑戦
2026.01.13
はじめに
2024年10月の研究会でご講演いただいた、株式会社カワイ精工様のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みについて、その成功の秘訣と、私たちが 多くの製造業 の皆様へお伝えたい内容をまとめました。従業員26名の金型製作・樹脂成形メーカーであるカワイ精工様は、自社の課題をDX・AI・IoTで解決し、そのノウハウとシステムを新規事業として外販するまでに至りました。
DX着手のきっかけと課題
カワイ精工様がDXに着手した背景には、アナログ運用による多くの課題がありました。
アナログ運用:DX以前は、紙、FAX、電話を用いたアナログな業務運用が中心でした。
非効率な業務:
無駄が多い:業務に多くの無駄が存在していました。
スピードの遅さ:業務の処理スピードが遅いという課題がありました。
データ活用不足:データの活用が乏しい状況でした。
物理的な資料の山:数千枚に及ぶ金型実績の資料が紙で大量に存在し、約4,000型分の実績資料が倉庫に保管されている状況でした。
このような状況から、同社は業務改善とデジタル化に着手しました。
カワイ精工様のDXのステップ
カワイ精工様が踏んだDXのステップは、 組織規模に関わらず多くの企業 が再現しやすい具体的なアプローチです。
1. 現状ヒアリングと問題点の洗い出し
「現状の業務のやり方って本当に最適なの?」という問いからスタートしました。
人によってやり方がバラバラで、情報が共有されない。
例外や分岐が多く、同じ内容を複数回(例:申請書→注文書)記述するなどの無駄がある。
これらの問題を抱えたままシステム化すると、複雑で高価、かつ不具合の多いシステムになってしまう、という認識がありました。
2. 業務プロセスの見直し・改革
システム化の前に、まず業務プロセスを抜本的に見直しました。
方針決定:業務手順を統一し(例外の排除)、データを主体とした業務運用とし、情報発生ベースでの即時デジタル化を徹底しました。
改善事例(材料・物品手配):
従来:申請書作成、発注依頼、事務による手作業などを経て、トータル30分かかっていました。手書きの手間、伝達ミス、入力ミスなど多くの問題がありました。
改善後:PC・タブレット・スマホからの入力(1分)とRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による自動化(2分)を導入し、トータル3分に短縮。工数は約1/10に削減されました。また、RPAにより部品発注作業や請求書の自動作成なども実現し、年間800時間の工数削減に繋がっています。
3. システム導入と現場定着
見直したプロセスに基づき、システム/ITツールを導入し、現場からの建設的な意見を取り入れながら、ブラッシュアップを繰り返しました。
スモールスタート:最初は作業日報や部品表・部品手配をExcelベースでシステム化するといったスモールスタートから始め、成功体験を共有しながら推進しました。
システム刷新:過去の実績データ約4,000型分のデータ化(人海戦術)を経て、2017年にはExcelベースからウェブシステムへと刷新し、「金型カルテシステム」を開発。在庫管理、受注管理、生産管理、設備の見える化などを順次開発・運用し、約3年でほぼすべての業務をデジタル化しました。
業務改善と新規事業への展開(攻めのDX)
①「金型カルテ」による実績データの活用
金型に関する図面、材料リスト、製作履歴、作業実績、収支といった様々な情報をデータベース化し、「電子カルテ」として統合的に把握・管理することで、顧客対応、見積もり、部署間の連携業務が改善され、年間300時間の時間削減を実現しました。
② IoT・センサーの活用
在庫管理の自動化:消耗品(銅の電極材料など)の在庫状況を見える化するため、センサーを組み込んだ装置を自作し、在庫管理の自動化を実現しました。これにより、リアルタイム表示と自動発注が可能になり、管理工数をゼロにし、在庫最適化を達成しました。
スマートフォン・タブレットの活用:作業時間入力や電子タグ(RFID)を使った備品の簡易注文、紙の帳票や回覧の代わりとしての情報共有に活用されています。
③ 新規事業の立ち上げ
金型産業の先行き不透明感から、新しい事業を模索する中で、自社のDX推進で培ったノウハウ、自社開発システム、そして開発可能な人材という「リソース」に目を向けました。
ニーズの発見:製造業の現場の多くが「パッケージが合わない」「システムが高価」「ITに詳しくない」といった課題を抱えていることに気づき、この課題を解決するため、2021年4月よりIT事業(システム開発事業)を立ち上げました。
事業内容:
製造業向けの受託システム開発(受発注、生産管理、設備稼働監視など)。
パッケージソフトの開発/販売(「Mold X」(ものづくり企業向け電子カルテシステム)、「ナレッジノート」など)。
生成AIシステムの開発・活用支援。
DXを成功させるためのポイント
カワイ精工様の事例から、限られたリソースで経営を行う企業がDXを成功させるための重要なポイントが導き出されます。
プロジェクトリーダーは会社視点を持った方:会社全体のビジョンや方向性を決定し、全体を俯瞰できる人物がリーダーとなるべきです。
プロジェクトメンバーは少人数で意欲的な人を選出:立場の上下に関係なく意欲的な現場のメンバーを巻き込み、少人数で始めることが、推進体制を築く鍵です。
問題点の洗い出しと業務プロセスの見直し(例外の排除):システム導入の前に、人によってバラバラだった業務手順を整理・統一し、無駄や例外を排除する業務プロセス改革が最も重要です。
スモールスタートで成功体験を早期に共有:「やったことないからできない」ではなく「やったことないならやってみよう」という挑戦の姿勢を持ち、小さな成功体験を積み重ねていくことが、現場のモチベーションとプロジェクトの推進力に繋がります。
カワイ精工様の挑戦は、あらゆる規模の企業がDXを「守り」の効率化だけでなく、「攻め」の新規事業創出にまで昇華できることを証明しています。 はじめに
2024年10月の研究会でご講演いただいた、株式会社カワイ精工様のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みについて、その成功の秘訣と、私たちが 多くの製造業 の皆様へお伝えたい内容をまとめました。従業員26名の金型製作・樹脂成形メーカーであるカワイ精工様は、自社の課題をDX・AI・IoTで解決し、そのノウハウとシステムを新規事業として外販するまでに至りました。
DX着手のきっかけと課題
カワイ精工様がDXに着手した背景には、アナログ運用による多くの課題がありました。
アナログ運用:DX以前は、紙、FAX、電話を用いたアナログな業務運用が中心でした。
非効率な業務:
無駄が多い:業務に多くの無駄が存在していました。
スピードの遅さ:業務の処理スピードが遅いという課題がありました。
データ活用不足:データの活用が乏しい状況でした。
物理的な資料の山:数千枚に及ぶ金型実績の資料が紙で大量に存在し、約4,000型分の実績資料が倉庫に保管されている状況でした。
このような状況から、同社は業務改善とデジタル化に着手しました。
カワイ精工様のDXのステップ
カワイ精工様が踏んだDXのステップは、 組織規模に関わらず多くの企業 が再現しやすい具体的なアプローチです。
1. 現状ヒアリングと問題点の洗い出し
「現状の業務のやり方って本当に最適なの?」という問いからスタートしました。
人によってやり方がバラバラで、情報が共有されない。
例外や分岐が多く、同じ内容を複数回(例:申請書→注文書)記述するなどの無駄がある。
これらの問題を抱えたままシステム化すると、複雑で高価、かつ不具合の多いシステムになってしまう、という認識がありました。
2. 業務プロセスの見直し・改革
システム化の前に、まず業務プロセスを抜本的に見直しました。
方針決定:業務手順を統一し(例外の排除)、データを主体とした業務運用とし、情報発生ベースでの即時デジタル化を徹底しました。
改善事例(材料・物品手配):
従来:申請書作成、発注依頼、事務による手作業などを経て、トータル30分かかっていました。手書きの手間、伝達ミス、入力ミスなど多くの問題がありました。
改善後:PC・タブレット・スマホからの入力(1分)とRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による自動化(2分)を導入し、トータル3分に短縮。工数は約1/10に削減されました。また、RPAにより部品発注作業や請求書の自動作成なども実現し、年間800時間の工数削減に繋がっています。
3. システム導入と現場定着
見直したプロセスに基づき、システム/ITツールを導入し、現場からの建設的な意見を取り入れながら、ブラッシュアップを繰り返しました。
スモールスタート:最初は作業日報や部品表・部品手配をExcelベースでシステム化するといったスモールスタートから始め、成功体験を共有しながら推進しました。
システム刷新:過去の実績データ約4,000型分のデータ化(人海戦術)を経て、2017年にはExcelベースからウェブシステムへと刷新し、「金型カルテシステム」を開発。在庫管理、受注管理、生産管理、設備の見える化などを順次開発・運用し、約3年でほぼすべての業務をデジタル化しました。
業務改善と新規事業への展開(攻めのDX)
①「金型カルテ」による実績データの活用
金型に関する図面、材料リスト、製作履歴、作業実績、収支といった様々な情報をデータベース化し、「電子カルテ」として統合的に把握・管理することで、顧客対応、見積もり、部署間の連携業務が改善され、年間300時間の時間削減を実現しました。
② IoT・センサーの活用
在庫管理の自動化:消耗品(銅の電極材料など)の在庫状況を見える化するため、センサーを組み込んだ装置を自作し、在庫管理の自動化を実現しました。これにより、リアルタイム表示と自動発注が可能になり、管理工数をゼロにし、在庫最適化を達成しました。
スマートフォン・タブレットの活用:作業時間入力や電子タグ(RFID)を使った備品の簡易注文、紙の帳票や回覧の代わりとしての情報共有に活用されています。
③ 新規事業の立ち上げ
金型産業の先行き不透明感から、新しい事業を模索する中で、自社のDX推進で培ったノウハウ、自社開発システム、そして開発可能な人材という「リソース」に目を向けました。
ニーズの発見:製造業の現場の多くが「パッケージが合わない」「システムが高価」「ITに詳しくない」といった課題を抱えていることに気づき、この課題を解決するため、2021年4月よりIT事業(システム開発事業)を立ち上げました。
事業内容:
製造業向けの受託システム開発(受発注、生産管理、設備稼働監視など)。
パッケージソフトの開発/販売(「Mold X」(ものづくり企業向け電子カルテシステム)、「ナレッジノート」など)。
生成AIシステムの開発・活用支援。
DXを成功させるためのポイント
カワイ精工様の事例から、限られたリソースで経営を行う企業がDXを成功させるための重要なポイントが導き出されます。
プロジェクトリーダーは会社視点を持った方:会社全体のビジョンや方向性を決定し、全体を俯瞰できる人物がリーダーとなるべきです。
プロジェクトメンバーは少人数で意欲的な人を選出:立場の上下に関係なく意欲的な現場のメンバーを巻き込み、少人数で始めることが、推進体制を築く鍵です。
問題点の洗い出しと業務プロセスの見直し(例外の排除):システム導入の前に、人によってバラバラだった業務手順を整理・統一し、無駄や例外を排除する業務プロセス改革が最も重要です。
スモールスタートで成功体験を早期に共有:「やったことないからできない」ではなく「やったことないならやってみよう」という挑戦の姿勢を持ち、小さな成功体験を積み重ねていくことが、現場のモチベーションとプロジェクトの推進力に繋がります。
カワイ精工様の挑戦は、あらゆる規模の企業がDXを「守り」の効率化だけでなく、「攻め」の新規事業創出にまで昇華できることを証明しています。