金型はAIで設計できます|製造業・工場DX経営オンライン

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公開日
更新日
執筆者徳竹 勇兵
コラムテーマAI・デジタル・IoT
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熟練者に頼る金型設計

「この図面なら、金型の構造はこう考え、こう設計する」。

金型設計のこうした判断を、長年の経験を持つ熟練者に頼っている会社は多いのではないでしょうか。
判断の中身が言葉になっていないため、若手に引き継ごうにも教える時間が取れず、システムにしようにも仕様に書けない。金型設計は、属人化が解けにくい業務の代表です。

Claudeで金型設計アプリを自社開発

この業務を、AIで設計できるようにした会社があります。石川県金沢市の株式会社有川製作所様(従業員30名、金型設計・製作とプレス加工)です。
有川製作所様は、米Anthropic社の生成AI「Claude(クロード)」を使い、金型設計アプリを自社で開発しました。図面と工程を指示すれば、それに見合う金型をAIが設計し、金型組図と金型加工図が出力されるアプリです。

図1 金型設計アプリの入力と出力(有川製作所様への取材をもとに船井総研作成)

図2 画面のイメージ(船井総研作成。有川製作所様の実際のアプリ画面とは異なります)

注目すべきは、作った人と期間です。

開発したのは、プログラミングもAIも学んだことのない若手社員。外部のAI教育者の伴走を受けながら、要件定義から運用までおよそ2ヶ月で形にしました。実際の開発よりも、要件定義に手間がかかったといいます。

進め方は4つのステップの繰り返し

進め方はシンプルです。

① 職人に、図面を見てどう考え、どう型設計するかを聞く

② 聞き取った判断を、言語化・数値化する

③ 日本語でClaudeに組み込み、アプリとして動かす

④ 出力を職人が見て、違う箇所を直す

この4つを繰り返し、職人の判断をアプリに移していきました。その結果、熟練者でなくても同じ判断ができるようになったといいます。

図3 有川製作所様の進め方(有川製作所様への取材をもとに船井総研作成)

この進め方のよいところは、最初から完璧なルールを作ろうとしない点です。熟練者に「どう判断しているか説明してください」と頼んでも、うまく言葉にならないことがほとんどです。ところが、アプリが出した結果を見せて「どこが違うか」を聞くと、判断の理由が具体的に出てきます。直すたびにルールが増え、アプリの精度が上がっていきます。

ポイント1:成否を分けるのは「判断を言葉にすること」

成否を分けるのは、AIの性能よりも判断を言葉にすることです。
金型設計のシステム化は以前から求められてきましたが、個別のシステム開発になると費用も期間も大きく、中堅中小企業には手を出しにくい領域でした。いまはAIそのものを作る必要はありません。熟練者の判断をルールにできれば、それをClaudeに組み込んで動かせます。

ポイント2:作るのは社内の人

職人の判断を最も正確に言葉にできるのは、現場を知っている社内の人です。外部に丸ごと任せると、現場の細かな判断まで作り込むのは難しくなります。
有川製作所様では、職人と若手がやり取りを重ねながら、現場に合ったアプリを作っています。アプリを作れる若手が育っただけでなく、ベテランの経験をアプリに吹き込む作業を通じて、技能の蓄積も進んでいます。

自社で取り組むなら

もちろん、有川製作所様のアプリをそのまま他社で使えるわけではありません。扱う製品、図面の形式、過去の設計データの残り方、判断の基準は会社ごとに違います。
自社で取り組むなら、最初にやるべきは、手元にどんな図面・設計データがあるかと、熟練者がどこで何を判断しているかの棚卸しです。あわせて、次の4つを用意できるかも確認しておきたいところです。
●    過去の図面と、それに対して実際に採用した工程・金型設計の記録
●    熟練者がアプリの出力を確認する時間(週に数時間でも、続けられること)
●    職人とやり取りしながら作る担当者と、その担当者を支える伴走役
●    判断を言語化・標準化できる人材

図4 取り組む前に確認したいこと(船井総研作成)

ここが整理できれば、構築の進め方と期間の見通しが立ちます。
「金型設計は熟練者でなければできない」という前提は、変わり始めています。まずは自社の金型設計で、どの判断が誰に張り付いているかを書き出すところから始めてみてください。

まだ「金型設計の判断は、熟練者にしかできない」と思っていませんか?

金型設計の判断が熟練者に張り付いたままなのは、その判断が言葉になっていないからです。必要なのは、職人の判断をルールにし、社内の人が AI に組み込んで確かめながら育てていくことです。

船井総研では、図面・設計データの確認から、判断のルール化、AI での構築までを、貴社の社員の方と一緒に進めるご支援をしています。

ご相談フォームのご相談内容の欄に、次の一文をコピーして貼り付けてください。

まだ「金型設計の判断は、熟練者にしかできない」と思っていませんか?

金型設計の判断が熟練者に張り付いたままなのは、その判断が言葉になっていないからです。必要なのは、職人の判断をルールにし、社内の人が AI に組み込んで確かめながら育てていくことです。

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取材協力:株式会社有川製作所 / Claudeは米国Anthropic社の商標です。

執筆者 : 徳竹 勇兵

大学卒業後、製造メーカーの生産技術関連部署にて12年間従事。生産設備導入を中心に、ロボットシステムの導人を手掛ける。 船井総合研究所へ入社後は全国各地の中小製造業向けのロポット活用、DX推進コンサルティングを実施。中小製造業向けのロポット活用及びDX診断を行っておりその数は100社を超える。 また、自治体主催のDX人材育成セミナーや大学での中小企業経営論講義などを行う。