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組み立てロボットとは?メリットや3つの成功事例を解説!

2024.07.26

製造業においては、労働生産性の向上やコスト削減、品質の一貫性確保といった課題に直面している企業様も多いのではないでしょうか。 本記事では、組み立てロボットの基本概念、導入のメリット、そして成功事例について解説します。貴社の情報収取の一助になれば幸いでございます。 1.組み立てロボットとは 組み立て工程におけるロボットは、製造分野で使用される自動化機械の一種です。 このロボットは、精密な作業を迅速かつ正確に行う能力があり、製造業における作業効率と生産性の向上に大きく貢献しています。主に自動車、電子機器、家電製品の製造など、複雑な組み立て作業が求められる産業で活用されており、人間の作業員が行うには時間がかかる作業や危険を伴う作業を代行することで、安全性の向上とコスト削減を実現しています。 2.組み立てロボット導入のメリットとは 組み立てロボットの導入による主なメリットは、以下の3つに集約されます。 2-1.組み立てロボット導入のメリット①:ヒューマンエラーの防止 組み立てロボットは教示された命令に従って作業をおこないます。 これにより、人間の操作による間違いや誤動作の発生頻度を極めて少なくすることができます。 人間がおこなう作業は、疲労や注意散漫、経験の不足によるミスが発生しやすいですが、ロボットはこれらの要因に影響されることなく、一定品質の作業を実行することができます。 よって、ロボット導入をおこなうことで製造過程でのヒューマンエラーを大幅に削減することが可能となり、さらには製品の不良率減少、包括的な品質保証、顧客満足度の向上を見込むことができます。 2-2.組み立てロボット導入のメリット②:生産性の向上 自動化効果の出る構想設計をおこなうことを前提にすれば、組み立てロボットは効率的且つ正確に作業をおこなう能力を持っています。 これにより、製造ラインのスループットが大幅に向上し、より多くの製品を短時間で生産することが可能になります。 また、ロボットは人間と異なり、疲労や休憩の必要がないため、24時間体制での連続運転を実現することも可能です。 需要の高い業種や大量生産が求められる業種において、企業の収益性を大きく向上させる要因となります。 2-3.組み立てロボット導入のメリット③:人的コストの削減 ロボット導入をおこなうことで、人件費の大幅な削減を見込むことができます。 さらに、ロボットによる自動化が進むと、人間はより専門的で創造的な業務に集中することができます。 特に単調で繰り返しの多い作業や物理的に負担の大きい作業をロボットが担うことができれば、労働力を効率的に配分し、企業全体の生産性の向上を図ることができます。 また、労働災害のリスクが減少することで、関連する保険料や健康管理コストの削減にも繋がります。 これらのメリットにより、組み立てロボットは製造業のコスト効率の向上、生産性の向上、そして製品品質の一貫性と信頼性の強化に大きく寄与します。 これにより、企業は競争力を維持し、市場での優位性を確保するための重要な手段を得ることができます。 3.組み立てロボット導入成功事例3選 続いて、組み立てロボットの導入に成功した3社の事例についてご紹介します。 3-1.組み立てロボット導入成功事例①:グローリー株式会社 グローリー株式会社では、レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入し、自動化に成功しました。 従来は人手による柔軟な作業方式で生産をおこなっていましたが、労働力不足・競争力の確保を背景として、ロボット導入に踏み切りました。 結果として5名の省人化に成功し、労働生産性を2倍に引き上げました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入) 3-2.組み立てロボット導入成功事例②:コーセーエンジニアリング株式会社 コーセーエンジニアリング株式会社では、ワイヤーハーネスの製造工程において自動化に成功しました。 具体的には、電線へのリング取付―マークチューブ取付―被覆を剥ぐ―端子取付―圧着までを全て人手作業からロボットによる作業に置き換えました。 結果的に、3名の省人化に成功しています。 さらに、属人性を排除することが可能となったため、品質不良の削減もおこおなうことができました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ ワイヤーハーネスの製造工程にロボット導入) 3-3.組み立てロボット導入成功事例③:株式会社山本電機製作所 山本電機製作所株式会社では、MEMSセンサ基盤のアッセンブリ工程において、ロボット導入に成功しました。具体的には、人手でおこなっていたワークの供給・排出作業や、接着材塗布のスイッチ操作を自動化しました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ MEMSセンサ基板のアッセンブリ工程のロボット化による量産化実現) 4.まとめ いかがでしたでしょうか?ここまで組み立てロボットの概要とメリット、そして成功事例を紹介いたしました。組み立てロボットをうまく活用することができれば、その導入は労働生産性の向上、品質の安定化、そして人的コストの削減といった複数の面で顕著な効果をもたらします。 組み立てロボットの導入は、単に作業を自動化すること以上の価値を持っています。 それは、企業が市場での競争力を維持し、経済的な持続可能性を実現するための戦略的な選択と言えるでしょう。 さらに組み立てロボットについて情報収集をご希望の方は以下のセミナーページ、レポートページをご参照ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産製造業のための組立・組付け工程の自動化セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117937 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__00794 目次 1、多品種な複数部品の組み合わせによるパネル生産の自動化! 2、形状も材質も違う複数材料を一つのロボットでハンドリング! 3、部品形状に合わせた接着材を塗工し自動で貼り付け! レポートの内容 従来では特定の人員が手作業で行っていたパネルの組立作業の自動化に成功。 多品種かつ部品点数多い・更に接着材の塗布と正確な位置への部品貼り付け等、様々な難題をクリアして構築したシステム。 本レポートではこれらの一部をご紹介致します。 製造業においては、労働生産性の向上やコスト削減、品質の一貫性確保といった課題に直面している企業様も多いのではないでしょうか。 本記事では、組み立てロボットの基本概念、導入のメリット、そして成功事例について解説します。貴社の情報収取の一助になれば幸いでございます。 1.組み立てロボットとは 組み立て工程におけるロボットは、製造分野で使用される自動化機械の一種です。 このロボットは、精密な作業を迅速かつ正確に行う能力があり、製造業における作業効率と生産性の向上に大きく貢献しています。主に自動車、電子機器、家電製品の製造など、複雑な組み立て作業が求められる産業で活用されており、人間の作業員が行うには時間がかかる作業や危険を伴う作業を代行することで、安全性の向上とコスト削減を実現しています。 2.組み立てロボット導入のメリットとは 組み立てロボットの導入による主なメリットは、以下の3つに集約されます。 2-1.組み立てロボット導入のメリット①:ヒューマンエラーの防止 組み立てロボットは教示された命令に従って作業をおこないます。 これにより、人間の操作による間違いや誤動作の発生頻度を極めて少なくすることができます。 人間がおこなう作業は、疲労や注意散漫、経験の不足によるミスが発生しやすいですが、ロボットはこれらの要因に影響されることなく、一定品質の作業を実行することができます。 よって、ロボット導入をおこなうことで製造過程でのヒューマンエラーを大幅に削減することが可能となり、さらには製品の不良率減少、包括的な品質保証、顧客満足度の向上を見込むことができます。 2-2.組み立てロボット導入のメリット②:生産性の向上 自動化効果の出る構想設計をおこなうことを前提にすれば、組み立てロボットは効率的且つ正確に作業をおこなう能力を持っています。 これにより、製造ラインのスループットが大幅に向上し、より多くの製品を短時間で生産することが可能になります。 また、ロボットは人間と異なり、疲労や休憩の必要がないため、24時間体制での連続運転を実現することも可能です。 需要の高い業種や大量生産が求められる業種において、企業の収益性を大きく向上させる要因となります。 2-3.組み立てロボット導入のメリット③:人的コストの削減 ロボット導入をおこなうことで、人件費の大幅な削減を見込むことができます。 さらに、ロボットによる自動化が進むと、人間はより専門的で創造的な業務に集中することができます。 特に単調で繰り返しの多い作業や物理的に負担の大きい作業をロボットが担うことができれば、労働力を効率的に配分し、企業全体の生産性の向上を図ることができます。 また、労働災害のリスクが減少することで、関連する保険料や健康管理コストの削減にも繋がります。 これらのメリットにより、組み立てロボットは製造業のコスト効率の向上、生産性の向上、そして製品品質の一貫性と信頼性の強化に大きく寄与します。 これにより、企業は競争力を維持し、市場での優位性を確保するための重要な手段を得ることができます。 3.組み立てロボット導入成功事例3選 続いて、組み立てロボットの導入に成功した3社の事例についてご紹介します。 3-1.組み立てロボット導入成功事例①:グローリー株式会社 グローリー株式会社では、レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入し、自動化に成功しました。 従来は人手による柔軟な作業方式で生産をおこなっていましたが、労働力不足・競争力の確保を背景として、ロボット導入に踏み切りました。 結果として5名の省人化に成功し、労働生産性を2倍に引き上げました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入) 3-2.組み立てロボット導入成功事例②:コーセーエンジニアリング株式会社 コーセーエンジニアリング株式会社では、ワイヤーハーネスの製造工程において自動化に成功しました。 具体的には、電線へのリング取付―マークチューブ取付―被覆を剥ぐ―端子取付―圧着までを全て人手作業からロボットによる作業に置き換えました。 結果的に、3名の省人化に成功しています。 さらに、属人性を排除することが可能となったため、品質不良の削減もおこおなうことができました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ ワイヤーハーネスの製造工程にロボット導入) 3-3.組み立てロボット導入成功事例③:株式会社山本電機製作所 山本電機製作所株式会社では、MEMSセンサ基盤のアッセンブリ工程において、ロボット導入に成功しました。具体的には、人手でおこなっていたワークの供給・排出作業や、接着材塗布のスイッチ操作を自動化しました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ MEMSセンサ基板のアッセンブリ工程のロボット化による量産化実現) 4.まとめ いかがでしたでしょうか?ここまで組み立てロボットの概要とメリット、そして成功事例を紹介いたしました。組み立てロボットをうまく活用することができれば、その導入は労働生産性の向上、品質の安定化、そして人的コストの削減といった複数の面で顕著な効果をもたらします。 組み立てロボットの導入は、単に作業を自動化すること以上の価値を持っています。 それは、企業が市場での競争力を維持し、経済的な持続可能性を実現するための戦略的な選択と言えるでしょう。 さらに組み立てロボットについて情報収集をご希望の方は以下のセミナーページ、レポートページをご参照ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産製造業のための組立・組付け工程の自動化セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117937 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__00794 目次 1、多品種な複数部品の組み合わせによるパネル生産の自動化! 2、形状も材質も違う複数材料を一つのロボットでハンドリング! 3、部品形状に合わせた接着材を塗工し自動で貼り付け! レポートの内容 従来では特定の人員が手作業で行っていたパネルの組立作業の自動化に成功。 多品種かつ部品点数多い・更に接着材の塗布と正確な位置への部品貼り付け等、様々な難題をクリアして構築したシステム。 本レポートではこれらの一部をご紹介致します。

生産計画とは?Excelを使った生産計画表の作成手順を紹介!Excelを使う際のメリット・デメリットも解説!

2024.07.22

1.生産計画とは 生産計画とは、企業が製品やサービスを効率的に生産するために立てる計画です。 生産計画では、需要予測や在庫状況、生産能力などを考慮して、どの製品をいつ、どれくらいの量で生産するのかを決定します。 2.製造業における生産計画表の作り方とは ステップ1:需要予測と目標設定 市場調査や過去のデータを基に、製品の今後の需要を予測します。 また、具体的な生産目標(製造量、納期、品質など)を設定します。 ステップ2:資源と生産能力の確認 原材料、設備、人員などのリソースを確認します。 また、生産ラインの能力や使用可能な作業時間を見積もります。 ステップ3:生産スケジュールの作成 需要予測と生産能力を基に、生産スケジュールを作成します。 各製品の製造開始日、終了日、各工程での作業時間を決定します。 ステップ4:進捗管理と調整 計画を実行し、進捗を管理します。 予期せぬ問題や変更が発生した場合は、計画を見直し、調整を行います。 3.生産計画表をエクセルで作成するメリット 生産計画表をエクセルで作成するメリット①:低コスト エクセルは多くの企業で既に導入されているため、追加の費用をかけずに利用できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット②:習得が容易 エクセルは多くの人にとって馴染みのあるソフトウェアで、基本的な使い方は容易に習得できます。 専門的なトレーニングが必要ないため、迅速に運用を開始できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット③:高い柔軟性 エクセルは柔軟性が高く、独自のニーズに合わせて自由にフォーマットや関数を設定できます。 細かいカスタマイズや独自のルール設定もエクセルなら容易です。 4.生産計画表をエクセルで作成するデメリット 生産計画表をエクセルで作成するデメリット①:入力ミスや計算ミスのリスク エクセルでは手動でデータを入力するため、入力ミスや計算ミスが発生しやすいです。 特に複雑な計算や多くのデータを扱う場合、これらのミスが大きな問題を引き起こす可能性があります。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット②:処理能力の制約 大量のデータを処理する際、エクセルは動作が重たくなったり、不安定になることがあります。 大規模なデータや高頻度の更新が必要な場合、エクセルの効率が著しく低下します。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット③:共同作業の難しさ エクセルファイルを複数のユーザーで同時に編集するのは困難です。 バージョン管理が複雑になり、異なるバージョンのファイルが複数存在することでデータの整合性を保つのが困難になります。 5.生産計画の管理に使えるAIとは 生産計画にAIを用いることで、複雑な条件下においても、最適な計画を立案することができます。 最適な計画を立案するアプローチ手法は様々あり、例えば遺伝的アルゴリズムを用いることで「納期」「段取り回数」「設備稼働率」など優先事項を変更しながら立案することができます。 これまでExcelやスケジューラ作成ではベテラン担当者が、条件や優先事項を加味して生産計画を作成していました。 この様々なことを加味することで専門性が高く難解で、計画立案は属人化しやすい作業になっていました。 AIを活用することでそのノウハウを誰でも活用しながら安定して品質で計画を立案することができ、人為的なミスの防止、業務効率向上、そして人材育成の悩みから解放してくれるしょう。 6.まとめ 生産計画の業務は難しく、また俗に「KKD」と言われる、経験・勘・度胸が必要な業務だと言われており多くの企業で属人化しています。 そこでこういった悩みを軽減するためのシステムがAIを活用した生産スケジューラです。 導入には様々なハードルがありますが、そのハードルを乗り越えるポイントを事前に理解していれば決して高いハードルではありません。 ハードルの乗り越え方や上記内容の詳細について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合はお気軽に弊社にご相談ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 1.生産計画とは 生産計画とは、企業が製品やサービスを効率的に生産するために立てる計画です。 生産計画では、需要予測や在庫状況、生産能力などを考慮して、どの製品をいつ、どれくらいの量で生産するのかを決定します。 2.製造業における生産計画表の作り方とは ステップ1:需要予測と目標設定 市場調査や過去のデータを基に、製品の今後の需要を予測します。 また、具体的な生産目標(製造量、納期、品質など)を設定します。 ステップ2:資源と生産能力の確認 原材料、設備、人員などのリソースを確認します。 また、生産ラインの能力や使用可能な作業時間を見積もります。 ステップ3:生産スケジュールの作成 需要予測と生産能力を基に、生産スケジュールを作成します。 各製品の製造開始日、終了日、各工程での作業時間を決定します。 ステップ4:進捗管理と調整 計画を実行し、進捗を管理します。 予期せぬ問題や変更が発生した場合は、計画を見直し、調整を行います。 3.生産計画表をエクセルで作成するメリット 生産計画表をエクセルで作成するメリット①:低コスト エクセルは多くの企業で既に導入されているため、追加の費用をかけずに利用できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット②:習得が容易 エクセルは多くの人にとって馴染みのあるソフトウェアで、基本的な使い方は容易に習得できます。 専門的なトレーニングが必要ないため、迅速に運用を開始できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット③:高い柔軟性 エクセルは柔軟性が高く、独自のニーズに合わせて自由にフォーマットや関数を設定できます。 細かいカスタマイズや独自のルール設定もエクセルなら容易です。 4.生産計画表をエクセルで作成するデメリット 生産計画表をエクセルで作成するデメリット①:入力ミスや計算ミスのリスク エクセルでは手動でデータを入力するため、入力ミスや計算ミスが発生しやすいです。 特に複雑な計算や多くのデータを扱う場合、これらのミスが大きな問題を引き起こす可能性があります。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット②:処理能力の制約 大量のデータを処理する際、エクセルは動作が重たくなったり、不安定になることがあります。 大規模なデータや高頻度の更新が必要な場合、エクセルの効率が著しく低下します。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット③:共同作業の難しさ エクセルファイルを複数のユーザーで同時に編集するのは困難です。 バージョン管理が複雑になり、異なるバージョンのファイルが複数存在することでデータの整合性を保つのが困難になります。 5.生産計画の管理に使えるAIとは 生産計画にAIを用いることで、複雑な条件下においても、最適な計画を立案することができます。 最適な計画を立案するアプローチ手法は様々あり、例えば遺伝的アルゴリズムを用いることで「納期」「段取り回数」「設備稼働率」など優先事項を変更しながら立案することができます。 これまでExcelやスケジューラ作成ではベテラン担当者が、条件や優先事項を加味して生産計画を作成していました。 この様々なことを加味することで専門性が高く難解で、計画立案は属人化しやすい作業になっていました。 AIを活用することでそのノウハウを誰でも活用しながら安定して品質で計画を立案することができ、人為的なミスの防止、業務効率向上、そして人材育成の悩みから解放してくれるしょう。 6.まとめ 生産計画の業務は難しく、また俗に「KKD」と言われる、経験・勘・度胸が必要な業務だと言われており多くの企業で属人化しています。 そこでこういった悩みを軽減するためのシステムがAIを活用した生産スケジューラです。 導入には様々なハードルがありますが、そのハードルを乗り越えるポイントを事前に理解していれば決して高いハードルではありません。 ハードルの乗り越え方や上記内容の詳細について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合はお気軽に弊社にご相談ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。

ERP導入の目的やメリットは?デメリットや導入事例、導入の流れについても解説!

2024.07.22

「基幹システム刷新!」、「ERP導入!」というキーワードは聞きなれた言葉ではありますが、実際にERPとは?基幹システムとの違いは?などの疑問にお答えしたく、そこで今回はERPと基幹システムの違いについてわかりやすく解説いたします。 1.ERPとは? ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の資源を一元管理し、業務プロセスを最適化するための基幹業務の統合システムを指します。ERPは、財務、人事、製造、販売、在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを統合し、リアルタイムで情報を共有することができるシステムです。 これにより、経営判断の迅速化や業務効率の向上が期待されます。 2.ERPの導入目的 ERPの導入目的は、企業の業務プロセスを統合し、効率化することにあります。歴史を紐解くと、基幹業務に応じてシステムが別々に入れられてきたという経緯があります。これでは、各業務でデータベースは区切られてしまい、様々なデータを連動させるにも時間がかかってしまう上に、都度別のシステムにアクセスや同じデータの転記などといった無駄な業務も生じてしまいます。こういった問題を解決するためにERPは導入されるケースが多いです。 具体的には、データの一元管理による情報の可視化、業務の標準化、保守コストの低減、迅速な意思決定の支援などの効果を狙っての導入が挙げられます。 3.ERP導入の3つのメリット 1.情報の一元管理 特に、ERPの大きなメリットは、企業内の情報を一元管理しているということにあります。 これは、企業内のあらゆる情報を瞬時に一箇所に集められることを意味し、したがって経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点でも大きなパワーを秘めているといえるのです。 2.業務効率化 また、システム同士のスムーズな連携によって業務効率が向上することもERPのメリットの一つです。 ERPでは、会計や販売、生産といった業務をまとめて管理できます。 ERPを導入すれば、それぞれの情報を個別に管理する煩雑さから解放され、効率よく業務を進められるようになるでしょう。 3.データドリブンな意思決定 次に、経営上の意思決定を迅速に行えることもERPの強みです。 情報の一元管理によって、経営層は企業内の状況を素早く正確に把握できるようになります。 その結果、経営層は会社にとって最適な意思決定を迅速に下すことが可能となるのです。 ERPには、成功企業のベストプラクティスを有効活用できるというメリットもあります。 ベストプラクティスとは、各業種において蓄積されたビジネスプロセスのノウハウのことです。 ERPパッケージが所有しているベストプラクティスを自社においても活用できるため、事業の効率的な成長が図れるでしょう。 4.ERP導入の3つのデメリット 1.選定の難しさ ERPのデメリットは、種類が多岐にわたるため、自社に合ったシステムを選ぶのが難しいことです。 目についたシステムを気軽に導入するのではなく、事前に検討を重ねることが重要です。 2.活用のハードルの高さ また、ERPを導入する前には社内教育をしっかりと行う必要があります。 ERPは業務効率を改善してくれるツールですが、社員が正しく使いこなさなければ意味がありません。 ERPを導入する前に、ERPが何の役に立つのか、どのように使うのかといったことを教育する必要がありますが、多機能なため教育に時間がかかるケースが多く、導入前にしっかりとてを打たないとメリットを出すまでに非常に時間がかかってしまいます。 3.導入コスト そして、導入にある程度のコストがかかることもERPのデメリットの一つです。 最近でこそ様々なパッケージ製品が出てきていますが、現在の業務に合わせてERPを導入するとなると、かなりの数のアドオン・カスタマイズが発生することになり、導入コストが高額になってしまう事が想定されます。 5.中堅・中小製造業におけるERP導入事例3選 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、属人的な判断をシステマチックな判断に変えることで業務を標準化すべく、ERPの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 基本的に基幹システムは導入されておらず、エクセルで受注や製造の管理を行ってきました。 支店拡大に伴い、ERPを導入することに決めました。いままで出来ていなかったデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な業務を大幅に削減できました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、ERPを導入することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 6.ERP導入の流れ ERPを実際に導入する前に、ERP導入の基本的な流れを押さえておきましょう。 ERPを導入する流れは、少しざっくりとした説明になりますが、以下の通りだと認識いただいて問題ありません。 1)現状分析・課題抽出 現行の業務プロセスを分析し、課題を洗い出します。 2)要求明確化 ERPシステムに求める要件を明確にします。 3)ベンダー選定 要件に合ったERPベンダー、ツールを選定します 4)要件定義 Fit&Gapを行い、本格的に必要な機能とアドオン・カスタマイズ内容を固め、正確な見積もりを算出してもらいます 5)システム設計・開発 業務プロセスに合わせたシステム設計・開発を行います。 6.)各種テスト システムの動作確認を行い、不具合を修正します。 7.)教育・訓練 従業員に対するシステムの操作・管理の教育訓練を行います。 8.)運用開始 システムの運用を開始します。 7.ERP導入に失敗しないためにおこなうべき4つのこと ERP導入はツールやベンダーを選択することも大切ですが、特に大切なポイントというのはその前段階にあります。 ここでは前段階の重要なポイントを4つご紹介します。 1つ目のプロセスは、ERPを導入する目的を明確にすることです。 ERPを導入することでどのような課題を解決したいのか、最初に明らかにしておきましょう。 それによって必要な機能が把握でき、導入するERPパッケージが選びやすくなります。 また、社員にERPの導入目的を説明するうえでも役に立ちます。 2つ目のプロセスは、プロジェクトの責任者を選定し、各部署の担当者を巻き込むことです。 ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように必ず2人以上の推進者を選ぶようにしてください。 推進者に適している人材としては、部署間をまたいで発言できる経営層に近い役職者が挙げられます。 推進者の次に、各部署でプロジェクトの責任を負う担当者を選び、打ち合わせを進めていきます。 3つ目のプロセスは、ERP導入に関わる業務プロセスなどについて棚卸ししておくことです。 今後ERPで管理することになる業務について、今はどのようなツールで管理しているのかを確かめておきましょう。 業務プロセスは各企業に固有のものなので、基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。 4つ目のプロセスは、ERPでカバーできる範囲に合わせて新しい業務フローを構築することです。 棚卸しした業務内容を基に、ERPでどの範囲までをカバーするのかということを決めていきましょう。 これを準備しないと、現状の業務を焼き直すようなシステム実装となってしまうため、改善効果が薄くなってしまうため注意が必要です。 8.ERP導入に関するよくある質問 最後に、ERP導入に関するよくある質問にお答えしたいと思います。 ○ERPの導入費用はいくらですか? ERPの導入費用は、企業の規模や導入するシステムの範囲によって大きく異なります。一般的には数千万円程度が必要とされますが、クラウド型のERPシステムを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。 ○ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか? 導入するERPの種類にもよって期間は大きく変わります。開発を伴わないのであれば、通常6ヶ月から1年程度、開発を伴うのであれば(事業部数にもよりますが)1年以上の期間がかかります。 企業の規模や業務プロセスの複雑さによっては、さらに長期間を要する場合も大いにありえます。 ○中小企業におけるERP導入状況は? 中小企業においても、業務効率化やコスト削減を目的にERPシステムの導入が進んでいます。特にクラウド型のERPシステムは、初期費用が低く、スケーラビリティが高いため、中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。 以上です。 このコラムが皆様のERP検討に少しでも役立てば幸いです。 また、弊社では様々なノウハウをもとにERPの導入・活用のご支援を行っております。ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 「基幹システム刷新!」、「ERP導入!」というキーワードは聞きなれた言葉ではありますが、実際にERPとは?基幹システムとの違いは?などの疑問にお答えしたく、そこで今回はERPと基幹システムの違いについてわかりやすく解説いたします。 1.ERPとは? ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の資源を一元管理し、業務プロセスを最適化するための基幹業務の統合システムを指します。ERPは、財務、人事、製造、販売、在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを統合し、リアルタイムで情報を共有することができるシステムです。 これにより、経営判断の迅速化や業務効率の向上が期待されます。 2.ERPの導入目的 ERPの導入目的は、企業の業務プロセスを統合し、効率化することにあります。歴史を紐解くと、基幹業務に応じてシステムが別々に入れられてきたという経緯があります。これでは、各業務でデータベースは区切られてしまい、様々なデータを連動させるにも時間がかかってしまう上に、都度別のシステムにアクセスや同じデータの転記などといった無駄な業務も生じてしまいます。こういった問題を解決するためにERPは導入されるケースが多いです。 具体的には、データの一元管理による情報の可視化、業務の標準化、保守コストの低減、迅速な意思決定の支援などの効果を狙っての導入が挙げられます。 3.ERP導入の3つのメリット 1.情報の一元管理 特に、ERPの大きなメリットは、企業内の情報を一元管理しているということにあります。 これは、企業内のあらゆる情報を瞬時に一箇所に集められることを意味し、したがって経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点でも大きなパワーを秘めているといえるのです。 2.業務効率化 また、システム同士のスムーズな連携によって業務効率が向上することもERPのメリットの一つです。 ERPでは、会計や販売、生産といった業務をまとめて管理できます。 ERPを導入すれば、それぞれの情報を個別に管理する煩雑さから解放され、効率よく業務を進められるようになるでしょう。 3.データドリブンな意思決定 次に、経営上の意思決定を迅速に行えることもERPの強みです。 情報の一元管理によって、経営層は企業内の状況を素早く正確に把握できるようになります。 その結果、経営層は会社にとって最適な意思決定を迅速に下すことが可能となるのです。 ERPには、成功企業のベストプラクティスを有効活用できるというメリットもあります。 ベストプラクティスとは、各業種において蓄積されたビジネスプロセスのノウハウのことです。 ERPパッケージが所有しているベストプラクティスを自社においても活用できるため、事業の効率的な成長が図れるでしょう。 4.ERP導入の3つのデメリット 1.選定の難しさ ERPのデメリットは、種類が多岐にわたるため、自社に合ったシステムを選ぶのが難しいことです。 目についたシステムを気軽に導入するのではなく、事前に検討を重ねることが重要です。 2.活用のハードルの高さ また、ERPを導入する前には社内教育をしっかりと行う必要があります。 ERPは業務効率を改善してくれるツールですが、社員が正しく使いこなさなければ意味がありません。 ERPを導入する前に、ERPが何の役に立つのか、どのように使うのかといったことを教育する必要がありますが、多機能なため教育に時間がかかるケースが多く、導入前にしっかりとてを打たないとメリットを出すまでに非常に時間がかかってしまいます。 3.導入コスト そして、導入にある程度のコストがかかることもERPのデメリットの一つです。 最近でこそ様々なパッケージ製品が出てきていますが、現在の業務に合わせてERPを導入するとなると、かなりの数のアドオン・カスタマイズが発生することになり、導入コストが高額になってしまう事が想定されます。 5.中堅・中小製造業におけるERP導入事例3選 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、属人的な判断をシステマチックな判断に変えることで業務を標準化すべく、ERPの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 基本的に基幹システムは導入されておらず、エクセルで受注や製造の管理を行ってきました。 支店拡大に伴い、ERPを導入することに決めました。いままで出来ていなかったデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な業務を大幅に削減できました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、ERPを導入することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 6.ERP導入の流れ ERPを実際に導入する前に、ERP導入の基本的な流れを押さえておきましょう。 ERPを導入する流れは、少しざっくりとした説明になりますが、以下の通りだと認識いただいて問題ありません。 1)現状分析・課題抽出 現行の業務プロセスを分析し、課題を洗い出します。 2)要求明確化 ERPシステムに求める要件を明確にします。 3)ベンダー選定 要件に合ったERPベンダー、ツールを選定します 4)要件定義 Fit&Gapを行い、本格的に必要な機能とアドオン・カスタマイズ内容を固め、正確な見積もりを算出してもらいます 5)システム設計・開発 業務プロセスに合わせたシステム設計・開発を行います。 6.)各種テスト システムの動作確認を行い、不具合を修正します。 7.)教育・訓練 従業員に対するシステムの操作・管理の教育訓練を行います。 8.)運用開始 システムの運用を開始します。 7.ERP導入に失敗しないためにおこなうべき4つのこと ERP導入はツールやベンダーを選択することも大切ですが、特に大切なポイントというのはその前段階にあります。 ここでは前段階の重要なポイントを4つご紹介します。 1つ目のプロセスは、ERPを導入する目的を明確にすることです。 ERPを導入することでどのような課題を解決したいのか、最初に明らかにしておきましょう。 それによって必要な機能が把握でき、導入するERPパッケージが選びやすくなります。 また、社員にERPの導入目的を説明するうえでも役に立ちます。 2つ目のプロセスは、プロジェクトの責任者を選定し、各部署の担当者を巻き込むことです。 ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように必ず2人以上の推進者を選ぶようにしてください。 推進者に適している人材としては、部署間をまたいで発言できる経営層に近い役職者が挙げられます。 推進者の次に、各部署でプロジェクトの責任を負う担当者を選び、打ち合わせを進めていきます。 3つ目のプロセスは、ERP導入に関わる業務プロセスなどについて棚卸ししておくことです。 今後ERPで管理することになる業務について、今はどのようなツールで管理しているのかを確かめておきましょう。 業務プロセスは各企業に固有のものなので、基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。 4つ目のプロセスは、ERPでカバーできる範囲に合わせて新しい業務フローを構築することです。 棚卸しした業務内容を基に、ERPでどの範囲までをカバーするのかということを決めていきましょう。 これを準備しないと、現状の業務を焼き直すようなシステム実装となってしまうため、改善効果が薄くなってしまうため注意が必要です。 8.ERP導入に関するよくある質問 最後に、ERP導入に関するよくある質問にお答えしたいと思います。 ○ERPの導入費用はいくらですか? ERPの導入費用は、企業の規模や導入するシステムの範囲によって大きく異なります。一般的には数千万円程度が必要とされますが、クラウド型のERPシステムを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。 ○ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか? 導入するERPの種類にもよって期間は大きく変わります。開発を伴わないのであれば、通常6ヶ月から1年程度、開発を伴うのであれば(事業部数にもよりますが)1年以上の期間がかかります。 企業の規模や業務プロセスの複雑さによっては、さらに長期間を要する場合も大いにありえます。 ○中小企業におけるERP導入状況は? 中小企業においても、業務効率化やコスト削減を目的にERPシステムの導入が進んでいます。特にクラウド型のERPシステムは、初期費用が低く、スケーラビリティが高いため、中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。 以上です。 このコラムが皆様のERP検討に少しでも役立てば幸いです。 また、弊社では様々なノウハウをもとにERPの導入・活用のご支援を行っております。ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。

製造業DXとは?中小企業における成功事例3選・導入方法・メリット・課題をわかりやすく解説!

2024.07.22

いつもご愛読いただきありがとうございます。 この記事では、DXの定義から、製造業におけるDXの成功事例・メリットについて、またDX実現への課題や実現プロセスについて詳しく解説します。製造業におけるDXの糸口を模索中の皆さまはぜひ最後までお読みください。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な改善にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 では、製造業におけるDXとはどういった状況でしょうか。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットやデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 近年では、カーボンニュートラルの実現や、サプライチェーン全体における最適化の動きが強まっています。 2016年に「パリ協定」が発効されました。これは、気候変動問題を世界共通の課題として、それぞれの国々で温室効果ガスの削減に取り組むという合意事項のことです。 それにともない、日本でも、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル」を掲げて、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという宣言をしています。 日本の温室効果ガスの排出量の78%は、企業や公共事業が発生源となっています。そのため、脱炭素化を実現するためには企業の協力が必要です。これまでは大企業が中心でしたが、現在は中小企業においても、脱炭素化をめざす取り組みが求められるようになっています。 中でも製造業においては、業務の関係上、温室効果ガスの排出量が他の業種よりも多く、とくに脱炭素化への取り組みが求められている状況です。 皆様の中でも、脱炭素の取り組みについて取引先から聞かれることはありませんか? 例えば、他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応して行かなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.工場におけるデジタルシフト成功事例3選 国内にはDXはまでいかなくても、アナログ的な手法から脱却してデジタルシフトに成功している工場はたくさんあります。ここでは成功事例を3つ紹介します。 2-1.工場における成功事例①:J社 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.工場における成功事例②:S社 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒工場 自動化の成功事例5選!【ファクトリーオートメーションとは?実現の流れやポイントも解説!】 2-3.工場における成功事例②:S社 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 3.製造業における、DXの 3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システムを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.製造業がDXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3:本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 船井総研の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。 いつもご愛読いただきありがとうございます。 この記事では、DXの定義から、製造業におけるDXの成功事例・メリットについて、またDX実現への課題や実現プロセスについて詳しく解説します。製造業におけるDXの糸口を模索中の皆さまはぜひ最後までお読みください。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な改善にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 では、製造業におけるDXとはどういった状況でしょうか。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットやデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 近年では、カーボンニュートラルの実現や、サプライチェーン全体における最適化の動きが強まっています。 2016年に「パリ協定」が発効されました。これは、気候変動問題を世界共通の課題として、それぞれの国々で温室効果ガスの削減に取り組むという合意事項のことです。 それにともない、日本でも、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル」を掲げて、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという宣言をしています。 日本の温室効果ガスの排出量の78%は、企業や公共事業が発生源となっています。そのため、脱炭素化を実現するためには企業の協力が必要です。これまでは大企業が中心でしたが、現在は中小企業においても、脱炭素化をめざす取り組みが求められるようになっています。 中でも製造業においては、業務の関係上、温室効果ガスの排出量が他の業種よりも多く、とくに脱炭素化への取り組みが求められている状況です。 皆様の中でも、脱炭素の取り組みについて取引先から聞かれることはありませんか? 例えば、他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応して行かなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.工場におけるデジタルシフト成功事例3選 国内にはDXはまでいかなくても、アナログ的な手法から脱却してデジタルシフトに成功している工場はたくさんあります。ここでは成功事例を3つ紹介します。 2-1.工場における成功事例①:J社 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.工場における成功事例②:S社 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒工場 自動化の成功事例5選!【ファクトリーオートメーションとは?実現の流れやポイントも解説!】 2-3.工場における成功事例②:S社 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 3.製造業における、DXの 3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システムを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.製造業がDXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3:本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 船井総研の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。
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