OTHER CONSULTING COLUMN その他・DXコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

11/15に開催された市川港開発協議会の勉強会にて、飯塚と徳竹が登壇しました

2024.11.22

皆様、こんにちは。 株式会社船井総合研究所の塩田です。 11月15日に開催されました、市川港開発協議会の研修会にて、弊社の飯塚・徳竹が講演いたしました。 今回は、「人材不足時代を勝ち抜くDX戦略(基本編)」をテーマに、DXとは何か、またDXの進め方について講演をおこないました。 ▽当日の様子 当日は、DXを成功させるための以下のポイントについてご説明させていただきました。 業務の見直し(標準化・一元化)DXを成功させるためには、既存のアナログ作業をデジタル化するだけでは不十分です。まず、業務内容やフローを見直し、無駄をなくし、標準化・一元化を進めることが重要です。 優先順位付けDXを進めるには、解決すべき課題は山積みです。限られた時間とリソースを有効活用するためには、課題の重要度や緊急性を評価し、優先順位をつけて取り組むことが重要です。 全社員への周知徹底DXは、一部の担当者だけで進めるものではありません。全社員がDXの目的や内容を理解し、積極的に参加しなければ、真の変革は実現できません。そのため、経営者が率先してビジョンや戦略を共有し、社員の意識改革を促進する必要があります。 スモールスタート最初から完璧なシステムを構築しようとすると、時間やコストがかかりすぎるだけでなく、失敗のリスクも高まります。まずは、比較的小規模なプロジェクトから着手し、成功体験を積み重ねながら、段階的にDXを推進していくことが重要です。 目的を見失わないDXを進める過程で、最新の技術やシステムに目を奪われ、本来の目的を見失ってしまうことがあります。DXはあくまでも手段であり、目的は企業の成長や競争力強化です。常に目的を意識し、手段が目的化しないように注意する必要があります。 船井総研では、コンサルタントの講演依頼を承っております。ご希望の際は、弊社問い合わせフォームよりご依頼をお願いいたします。 皆様、こんにちは。 株式会社船井総合研究所の塩田です。 11月15日に開催されました、市川港開発協議会の研修会にて、弊社の飯塚・徳竹が講演いたしました。 今回は、「人材不足時代を勝ち抜くDX戦略(基本編)」をテーマに、DXとは何か、またDXの進め方について講演をおこないました。 ▽当日の様子 当日は、DXを成功させるための以下のポイントについてご説明させていただきました。 業務の見直し(標準化・一元化)DXを成功させるためには、既存のアナログ作業をデジタル化するだけでは不十分です。まず、業務内容やフローを見直し、無駄をなくし、標準化・一元化を進めることが重要です。 優先順位付けDXを進めるには、解決すべき課題は山積みです。限られた時間とリソースを有効活用するためには、課題の重要度や緊急性を評価し、優先順位をつけて取り組むことが重要です。 全社員への周知徹底DXは、一部の担当者だけで進めるものではありません。全社員がDXの目的や内容を理解し、積極的に参加しなければ、真の変革は実現できません。そのため、経営者が率先してビジョンや戦略を共有し、社員の意識改革を促進する必要があります。 スモールスタート最初から完璧なシステムを構築しようとすると、時間やコストがかかりすぎるだけでなく、失敗のリスクも高まります。まずは、比較的小規模なプロジェクトから着手し、成功体験を積み重ねながら、段階的にDXを推進していくことが重要です。 目的を見失わないDXを進める過程で、最新の技術やシステムに目を奪われ、本来の目的を見失ってしまうことがあります。DXはあくまでも手段であり、目的は企業の成長や競争力強化です。常に目的を意識し、手段が目的化しないように注意する必要があります。 船井総研では、コンサルタントの講演依頼を承っております。ご希望の際は、弊社問い合わせフォームよりご依頼をお願いいたします。

中堅・中小製造業におけるカーボンニュートラルの取り組みと課題
~サプライチェーン全体でのGHG排出量削減に向けた、中堅・中小製造業が果たすべき役割とDXの融合戦略とは~

2024.10.24

大手メーカーがサプライチェーン全体でのGHG排出量削減を進める中、中堅・中小製造業にもカーボンニュートラルへの取り組みが求められています。 本コラムでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、製造工程データを基にした脱炭素化の実現方法について解説します。 製造業におけるカーボンニュートラル施策は、非常に重要です。 日本において部門別CO2排出量の3割以上は産業部門となっており(※1)、産業部門から排出されるCO2の9割以上を製造業が占めています(※2)。 製造業はCO2の排出量が多い業種だからこそ、カーボンニュートラルの取り組みが大切なポイントです。 ※1:全国地球温暖化防止活動推進センター|日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度) ※2:環境省|産業部門における エネルギー起源CO2 1.製造業におけるカーボンニュートラルとは カーボンニュートラルとは、GHG(温室効果ガス、特に二酸化炭素: CO2)の排出量と吸収量が実質的にゼロになる状態を指します。 つまり、企業や個人、地域が活動によって排出するCO2を、再生可能エネルギーの利用や森林の保護、カーボンオフセット(排出権の購入など)によって相殺し、地球全体でバランスを取ることです。 ここでは、製造業におけるカーボンニュートラルの特徴について説明します。 今までの製造業の脱炭素化は 再生可能エネルギーの利用 設備の効率化 など、自社で消費するエネルギー削減によるGHG(温室効果ガス)排出量削減がメインでした。 しかし、これからは原料調達から製造・物流・販売・廃棄まで製品すべてのプロセスで発生するGHG(温室効果ガス)排出量削減を考える必要があります。 これからの製造業の脱炭素化の方向性として、“製品のライフサイクル全体を通した省エネ・脱炭素化を目指す、ライフサイクルアセスメント”が求められます。 ライフサイクルは製品の全ライフサイクルにわたる環境影響を評価するため、サプライチェーン全体の排出量もこの中に含まれます。これにより、どの段階で最も多くの排出が発生しているのかを特定し、改善策を立てる基礎データが得られます。 このため、まずはサプライチェーン排出量を考える必要があります。 サプライチェーン排出量 = Scope1排出量 + Scope2排出量 + Scope3排出量 と定義されます。 ※画像引用元:環境省|排出量算定について Scope1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス) Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 2.中堅・中小製造業でカーボンニュートラルが求められる背景 大手完成品メーカーはScope3のGHG(温室効果ガス)排出量削減を取り組み始めており、今後は製品LCA(ライフサイクルアセスメント)管理へ移行していきます。 GHG(温室効果ガス)排出量の算定範囲を自社からサプライチェーン全体へ、製品サイクル全体へ拡大していくことになります。 このサプライチェーンを担う、大手完成品メーカーに部品を供給している中堅・中小製造業企業も、これまで積極的に取り組んでいなかった脱炭素化に対応する必要が生じてきます。 これは非上場企業であっても最低限、Scope1/Scope2に該当する自社のCO2排出量の測定、公開、削減の取り組みが求められることになり、最終的には協力会社の排出量の把握も含め、自社のサプライチェーン全体であるScope3への対応が目標となります。 自社のCO2排出量削減を行うためには、まずは自社の排出量(Scope1,2)の把握が必要です。 Scope1は直接排出で、自社の燃料の使⽤、⼯業プロセスでのCO2排出量 Scope2は関節排出で、他社で⽣産されたエネルギーの使⽤(主に電⼒)に伴うCO2排出です。 ここで、”なぜサプライチェーン排出量“を算出するのか?を考えてみたいと思います。 目的は主に3つが考えられます。 ①自社のホットスポットがどのカテゴリか?を知ることが出来る ホットスポットを明確にすることにより、優先的に削減に取り組まなければならないカテゴリがわかり、効率的にGHG排出量削減に取り組むことが可能になります。 ②自社の排出量の削減には限界がある 大幅なGHG排出量削減のためには自社のみではなく、サプライチェーン全体、社会全体でGHG排出量削減を目指すことが必要です。 ③サプライチェーン排出量の開示を求める動きの拡大 社会の流れとして、ESG投資の呼び込みなど、資金調達の上でも対応が必要“となってきています。 会社の評価基準として、脱炭素化の取り組みが重視される様になってきています。 今後、大手完成品メーカーのサプライチェーン排出量算定の動きがますます加速するなか、 製造業全体としての取り組みは避けられない状況となっています 3.中堅・中小製造業におけるカーボンニュートラル実現への課題 中堅・中小製造業がカーボンニュートラルに取り組む際の課題を考えます。 主な課題として下記5項目をあげます。 ①コスト負担の高さ 再生可能エネルギーの導入、省エネ設備の設置、排出削減技術の導入など、カーボンニュートラルへの取り組みには初期投資が必要です。特に中堅・中小企業は大手企業に比べて資金力が限られており、これが大きな障壁となります。 ②技術・ノウハウの不足 カーボンニュートラルを達成するためには、エネルギー効率化技術や再生可能エネルギーの活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が必要ですが、中堅・中小企業にはそのような専門知識や人材が不足していることが多いです。 ③エネルギー供給の安定性&エネルギーコスト 再生可能エネルギーへの依存度を高めると、天候や季節によるエネルギー供給の不安定さが課題となります。特に電力を多く消費する製造業では、生産ラインの安定性に影響を与える可能性があります。 また、中堅・中小企業では、再生可能エネルギーの調達先や選択肢が限られることがあります。特に地域によっては、再生可能エネルギーの供給業者が少なく、競争が不十分なため価格が高くなることがあります ④サプライチェーン全体での連携不足 カーボンニュートラルを達成するためには、サプライチェーン全体での排出削減が必要です。しかし、特に中小企業の場合、各社の取り組みに大きな差があるためサプライチェーン全体での連携が難しいことがあります。 その為、各企業が独自に取り組んでも、サプライチェーン全体としての効果が限定されてしまいます。 ⑤データの収集と活用の難しさ カーボンニュートラルに向けて排出量を正確に把握し、効率的な削減策を講じるためには、製造プロセスで発生するデータの収集・管理が不可欠です。 しかし、中小企業ではDXが進んでおらず、データの取得・活用が進んでいないことが多いです。 4.カーボンニュートラル実現のための最初のステップ 先程述べたように、サプライチェーンを構成する製造業企業の多くは、”コスト、設備、人員など限られた条件の中で、脱炭素化に取り組んでいく必要“があります。 これは非常にハードルが高いものになります。 そこで、脱炭素化だけ、としての取り組みではなく 製造の見える化 製品原価管理(製造工数管理) など、本来の製造業務としてのDXの取り組みと合わせて、そこで得られたデータを活用することで、脱炭素化にも取り組んでいくのが良いのではないでしょうか? このデータを脱炭素化に活用することで、“データを活用したGHG(温室効果ガス)排出量の把握、見える化”させ、取引先への公正な情報開示を行います。 これにより 製造課題の見える化 製造工程生産性向上 収益の適正化(正確な原価把握、在庫の把握) など本業の業務改善に加え GHG(温室効果ガス)排出量把握&削減 これによる企業価値向上の実現も目指すことが出来る様になります。 5.中堅・中小製造業における、カーボンニュートラル取り組み事例3選 中堅・中小企業が行なっているカーボンニュートラルの取り組み事例を紹介します。 環境省、経済産業省、農林水産省が運用している グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 業種別取組事例一覧 のサイトで紹介されている企業から中堅・中小企業の取り組みをご紹介します。 5-1.榊原⼯業株式会社 ・企業情報 業種︓製造業(鋳型中⼦製造) 事業概要︓鋳型中⼦(⾃動⾞部品、建設機械部品、農機具部品)の製造 事業規模︓売上 20億円(2020年5⽉期) 拠点数︓5(愛知県⻄尾市3、豊⽥市1、富⼭県⾼岡市1) 従業員数︓140名(パート・アルバイト・実習⽣含む) ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年に2018年⽐で50.4%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体のエネルギー量の⾒える化を実施し取り組む(仕組みで成り⽴つ活動︓1回/⽉低減会議を実施し対応) ②再エネ100%の⽬標について 2025年までに太陽光発電などの環境配慮エネルギーの導⼊を検討していく(1回/⽉の定期取締役会での協議事項とする) ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み (カテゴリ5)︓2030年に2019年⽐で60%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体の産業廃棄物量の⾒える化を実施し取り組む ※ゴミステーションの設置等をおこないゴミ分別の細分化と計測を実施し取組を強化 サプライヤーとの連携を取り産業廃棄物低減活動実施を計画 (SANDEELプロジェクト︓廃棄砂活⽤によるさつまいも育成事業の展開) 5-2.株式会社和泉 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓ポリエチレン製気泡緩衝材「エアセルマット」製造加⼯販売。その他梱包製品販売、研磨⽤製品販売。 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年までに2019年⽐でCO2排出量46.2%削減 ガソリン⾞からHV⾞やEV⾞への切り替え・照明のLED化 ②再エネ100%の⽬標について 2050年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み サプライヤーとの連携により、軽量化添加剤やバイオマスプラスチック製品の販売・拡⼤に取り組み、⽯油由来ポリエチレンの使⽤⽐率の削減を進める。 5-3.株式会社篠原化学 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓寝具の企画、製造、卸し、輸⼊、販売 事業規模︓資本⾦2000万円、従業員11名 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み> 2030年に2018年⽐で 50.4%削減 本社、ショールーム、倉庫の電⼒の再エネ化を推進 ②再エネ100%の⽬標について 2030年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み Scope3カテゴリ12: 2030年に2018年⽐で50%削減 サプライヤーとの連携により、CO2排出の少ない素材への移⾏ 容器包装の軽量化 リサイクルの推進等に取り組む 6.まとめ 中堅・中小製造業での脱炭素化目標達成に向けた取り組みを整理します。 DX化によって製造工程から取得したデータを活用して”製造オペレーションの最適化“を実現させ、 これによりGHG排出量の削減、日常業務改善による削減、設備改善による削減、使用エネルギーの見直しを目指します。 この、DX化によって得られる製造工程データを活用した “製造オペレーションの最適化” → これによる生産性向上 → 生産性向上による“GHG(温室効果ガス)排出量削減”と言う脱炭素化の取り組みのPDCAサイクルをうまく回していくシステムを構築することで、本来の製造業務の効率化と合わせて、GHG(温室効果ガス)排出量削減と言う脱炭素化の取り組みも進めていくことが出来る体制を整えることが可能となります。 大手メーカーがサプライチェーン全体でのGHG排出量削減を進める中、中堅・中小製造業にもカーボンニュートラルへの取り組みが求められています。 本コラムでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、製造工程データを基にした脱炭素化の実現方法について解説します。 製造業におけるカーボンニュートラル施策は、非常に重要です。 日本において部門別CO2排出量の3割以上は産業部門となっており(※1)、産業部門から排出されるCO2の9割以上を製造業が占めています(※2)。 製造業はCO2の排出量が多い業種だからこそ、カーボンニュートラルの取り組みが大切なポイントです。 ※1:全国地球温暖化防止活動推進センター|日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度) ※2:環境省|産業部門における エネルギー起源CO2 1.製造業におけるカーボンニュートラルとは カーボンニュートラルとは、GHG(温室効果ガス、特に二酸化炭素: CO2)の排出量と吸収量が実質的にゼロになる状態を指します。 つまり、企業や個人、地域が活動によって排出するCO2を、再生可能エネルギーの利用や森林の保護、カーボンオフセット(排出権の購入など)によって相殺し、地球全体でバランスを取ることです。 ここでは、製造業におけるカーボンニュートラルの特徴について説明します。 今までの製造業の脱炭素化は 再生可能エネルギーの利用 設備の効率化 など、自社で消費するエネルギー削減によるGHG(温室効果ガス)排出量削減がメインでした。 しかし、これからは原料調達から製造・物流・販売・廃棄まで製品すべてのプロセスで発生するGHG(温室効果ガス)排出量削減を考える必要があります。 これからの製造業の脱炭素化の方向性として、“製品のライフサイクル全体を通した省エネ・脱炭素化を目指す、ライフサイクルアセスメント”が求められます。 ライフサイクルは製品の全ライフサイクルにわたる環境影響を評価するため、サプライチェーン全体の排出量もこの中に含まれます。これにより、どの段階で最も多くの排出が発生しているのかを特定し、改善策を立てる基礎データが得られます。 このため、まずはサプライチェーン排出量を考える必要があります。 サプライチェーン排出量 = Scope1排出量 + Scope2排出量 + Scope3排出量 と定義されます。 ※画像引用元:環境省|排出量算定について Scope1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス) Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 2.中堅・中小製造業でカーボンニュートラルが求められる背景 大手完成品メーカーはScope3のGHG(温室効果ガス)排出量削減を取り組み始めており、今後は製品LCA(ライフサイクルアセスメント)管理へ移行していきます。 GHG(温室効果ガス)排出量の算定範囲を自社からサプライチェーン全体へ、製品サイクル全体へ拡大していくことになります。 このサプライチェーンを担う、大手完成品メーカーに部品を供給している中堅・中小製造業企業も、これまで積極的に取り組んでいなかった脱炭素化に対応する必要が生じてきます。 これは非上場企業であっても最低限、Scope1/Scope2に該当する自社のCO2排出量の測定、公開、削減の取り組みが求められることになり、最終的には協力会社の排出量の把握も含め、自社のサプライチェーン全体であるScope3への対応が目標となります。 自社のCO2排出量削減を行うためには、まずは自社の排出量(Scope1,2)の把握が必要です。 Scope1は直接排出で、自社の燃料の使⽤、⼯業プロセスでのCO2排出量 Scope2は関節排出で、他社で⽣産されたエネルギーの使⽤(主に電⼒)に伴うCO2排出です。 ここで、”なぜサプライチェーン排出量“を算出するのか?を考えてみたいと思います。 目的は主に3つが考えられます。 ①自社のホットスポットがどのカテゴリか?を知ることが出来る ホットスポットを明確にすることにより、優先的に削減に取り組まなければならないカテゴリがわかり、効率的にGHG排出量削減に取り組むことが可能になります。 ②自社の排出量の削減には限界がある 大幅なGHG排出量削減のためには自社のみではなく、サプライチェーン全体、社会全体でGHG排出量削減を目指すことが必要です。 ③サプライチェーン排出量の開示を求める動きの拡大 社会の流れとして、ESG投資の呼び込みなど、資金調達の上でも対応が必要“となってきています。 会社の評価基準として、脱炭素化の取り組みが重視される様になってきています。 今後、大手完成品メーカーのサプライチェーン排出量算定の動きがますます加速するなか、 製造業全体としての取り組みは避けられない状況となっています 3.中堅・中小製造業におけるカーボンニュートラル実現への課題 中堅・中小製造業がカーボンニュートラルに取り組む際の課題を考えます。 主な課題として下記5項目をあげます。 ①コスト負担の高さ 再生可能エネルギーの導入、省エネ設備の設置、排出削減技術の導入など、カーボンニュートラルへの取り組みには初期投資が必要です。特に中堅・中小企業は大手企業に比べて資金力が限られており、これが大きな障壁となります。 ②技術・ノウハウの不足 カーボンニュートラルを達成するためには、エネルギー効率化技術や再生可能エネルギーの活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が必要ですが、中堅・中小企業にはそのような専門知識や人材が不足していることが多いです。 ③エネルギー供給の安定性&エネルギーコスト 再生可能エネルギーへの依存度を高めると、天候や季節によるエネルギー供給の不安定さが課題となります。特に電力を多く消費する製造業では、生産ラインの安定性に影響を与える可能性があります。 また、中堅・中小企業では、再生可能エネルギーの調達先や選択肢が限られることがあります。特に地域によっては、再生可能エネルギーの供給業者が少なく、競争が不十分なため価格が高くなることがあります ④サプライチェーン全体での連携不足 カーボンニュートラルを達成するためには、サプライチェーン全体での排出削減が必要です。しかし、特に中小企業の場合、各社の取り組みに大きな差があるためサプライチェーン全体での連携が難しいことがあります。 その為、各企業が独自に取り組んでも、サプライチェーン全体としての効果が限定されてしまいます。 ⑤データの収集と活用の難しさ カーボンニュートラルに向けて排出量を正確に把握し、効率的な削減策を講じるためには、製造プロセスで発生するデータの収集・管理が不可欠です。 しかし、中小企業ではDXが進んでおらず、データの取得・活用が進んでいないことが多いです。 4.カーボンニュートラル実現のための最初のステップ 先程述べたように、サプライチェーンを構成する製造業企業の多くは、”コスト、設備、人員など限られた条件の中で、脱炭素化に取り組んでいく必要“があります。 これは非常にハードルが高いものになります。 そこで、脱炭素化だけ、としての取り組みではなく 製造の見える化 製品原価管理(製造工数管理) など、本来の製造業務としてのDXの取り組みと合わせて、そこで得られたデータを活用することで、脱炭素化にも取り組んでいくのが良いのではないでしょうか? このデータを脱炭素化に活用することで、“データを活用したGHG(温室効果ガス)排出量の把握、見える化”させ、取引先への公正な情報開示を行います。 これにより 製造課題の見える化 製造工程生産性向上 収益の適正化(正確な原価把握、在庫の把握) など本業の業務改善に加え GHG(温室効果ガス)排出量把握&削減 これによる企業価値向上の実現も目指すことが出来る様になります。 5.中堅・中小製造業における、カーボンニュートラル取り組み事例3選 中堅・中小企業が行なっているカーボンニュートラルの取り組み事例を紹介します。 環境省、経済産業省、農林水産省が運用している グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 業種別取組事例一覧 のサイトで紹介されている企業から中堅・中小企業の取り組みをご紹介します。 5-1.榊原⼯業株式会社 ・企業情報 業種︓製造業(鋳型中⼦製造) 事業概要︓鋳型中⼦(⾃動⾞部品、建設機械部品、農機具部品)の製造 事業規模︓売上 20億円(2020年5⽉期) 拠点数︓5(愛知県⻄尾市3、豊⽥市1、富⼭県⾼岡市1) 従業員数︓140名(パート・アルバイト・実習⽣含む) ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年に2018年⽐で50.4%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体のエネルギー量の⾒える化を実施し取り組む(仕組みで成り⽴つ活動︓1回/⽉低減会議を実施し対応) ②再エネ100%の⽬標について 2025年までに太陽光発電などの環境配慮エネルギーの導⼊を検討していく(1回/⽉の定期取締役会での協議事項とする) ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み (カテゴリ5)︓2030年に2019年⽐で60%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体の産業廃棄物量の⾒える化を実施し取り組む ※ゴミステーションの設置等をおこないゴミ分別の細分化と計測を実施し取組を強化 サプライヤーとの連携を取り産業廃棄物低減活動実施を計画 (SANDEELプロジェクト︓廃棄砂活⽤によるさつまいも育成事業の展開) 5-2.株式会社和泉 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓ポリエチレン製気泡緩衝材「エアセルマット」製造加⼯販売。その他梱包製品販売、研磨⽤製品販売。 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年までに2019年⽐でCO2排出量46.2%削減 ガソリン⾞からHV⾞やEV⾞への切り替え・照明のLED化 ②再エネ100%の⽬標について 2050年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み サプライヤーとの連携により、軽量化添加剤やバイオマスプラスチック製品の販売・拡⼤に取り組み、⽯油由来ポリエチレンの使⽤⽐率の削減を進める。 5-3.株式会社篠原化学 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓寝具の企画、製造、卸し、輸⼊、販売 事業規模︓資本⾦2000万円、従業員11名 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み> 2030年に2018年⽐で 50.4%削減 本社、ショールーム、倉庫の電⼒の再エネ化を推進 ②再エネ100%の⽬標について 2030年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み Scope3カテゴリ12: 2030年に2018年⽐で50%削減 サプライヤーとの連携により、CO2排出の少ない素材への移⾏ 容器包装の軽量化 リサイクルの推進等に取り組む 6.まとめ 中堅・中小製造業での脱炭素化目標達成に向けた取り組みを整理します。 DX化によって製造工程から取得したデータを活用して”製造オペレーションの最適化“を実現させ、 これによりGHG排出量の削減、日常業務改善による削減、設備改善による削減、使用エネルギーの見直しを目指します。 この、DX化によって得られる製造工程データを活用した “製造オペレーションの最適化” → これによる生産性向上 → 生産性向上による“GHG(温室効果ガス)排出量削減”と言う脱炭素化の取り組みのPDCAサイクルをうまく回していくシステムを構築することで、本来の製造業務の効率化と合わせて、GHG(温室効果ガス)排出量削減と言う脱炭素化の取り組みも進めていくことが出来る体制を整えることが可能となります。

製造業DXが進まない理由とは?DX成功のためのポイントをわかりやすく解説!

2024.10.23

1.製造業DXとは 製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ものづくりの現場で、これまで培ってきたノウハウにデジタル技術を活用し、業務プロセスや生産方法などを根本的に変革することで、生産性や競争力を向上させる取組みのことです。 実際にはIoTやロボット、AI、ビッグデータを活用しながら取組みを行っていきます。 DXの取組みにより、ニーズの多様化・人材不足・原料高など、悩み事が多い製造業において、以下のことが期待されます。 生産性の向上とコスト削減 競争力の強化 新規ビジネスの機会創出 人材確保、従業員のモチベーション向上 これらのように製造業DXを推進することは、生産性が向上し企業発展に繋がるだけでなく、人材不足や教育など様々な問題に対処できるようになります。 2.製造業においてDXが進まない理由 「日本はDXが遅れている」と言われがちですが、実際はどうなのでしょうか。 以下は、独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」のデータで、DXの取り組み状況について調査した結果となります。 国内においてDXの取り組み自体は年々きちんと拡大しており、取り組みは進んでいることがわかります。 また、以下「設定した目的に達成しているか」という調査に対しては60%以上が「成果が出ている」と回答しており米国ほどでもないものの、成果が出ている企業が増えていることが伺えます。 以下は、「DXの具体的な取組項目における取組割合と成果割合の関係」を示したものです。 「アナログ、物理データのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」について取組がし易く、成果も出やすい傾向が見られる一方で、DX本来のビジネスモデルや企業文化の改革までなかなか進んでいる企業が少ないことがわかります。 以下は、データの利活用(蓄積したデータを使った新しいアクション)についての調査で、2022年と2023年でデータの利活用状況に変わりなく、国内DXの進捗としては、データを溜める環境が整備されているものの、そのデータを活用するのはこれからという状況になっていると考えられます。 その中でも、やはり「DXの進め方がわからない」「DXをうまく進められない」というお話をお聞きすることが多くあります。 では、そのような企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。 理由は主に以下が考えられるます。 また、以下「設定した目的に達成しているか」という調査に対しては60%以上が「成果が出ている」と回答しており米国ほどでもないものの、成果が出ている企業が増えていることが伺えます。 以下は、「DXの具体的な取組項目における取組割合と成果割合の関係」を示したものです。 「アナログ、物理データのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」について取組がし易く、成果も出やすい傾向が見られる一方で、DX本来のビジネスモデルや企業文化の改革までなかなか進んでいる企業が少ないことがわかります。 以下は、データの利活用(蓄積したデータを使った新しいアクション)についての調査で、2022年と2023年でデータの利活用状況に変わりなく、国内DXの進捗としては、データを溜める環境が整備されているものの、そのデータを活用するのはこれからという状況になっていると考えられます。 その中でも、やはり「DXの進め方がわからない」「DXをうまく進められない」というお話をお聞きすることが多くあります。 では、そのような企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。 理由は主に以下が考えられるます。 理由①:目的・ゴール設定が不明確 漠然と「DXした方が良い」ということで、盲目的に局所的にとりあえず着手してしまっている企業が多いように感じます。 DXを進めるにあたっては、初期段階における目的・ゴール設定は非常に重要なものとなります。 DXと言うものは、取り組んでみると実際にはスタイリッシュなものではなく、非常に泥臭いものだということに気づくかと思います。 仕組みやシステムが運用にのるまでのプロジェクト自体は全くスタイリッシュではありません。 プロジェクトの中で様々な意見の違いやまとめることが難しい状況に直面します。 目的・ゴール設定が曖昧なままでは、長い道のりの中で思うように進めることが出来なくなってしまい、困難に陥ってしまうのです。 理由②:推進出来る人材がいない 特に中小企業では、ITに明るい人材が少なく、DXが進められないという状況がよくあります。 IT人材=社内システム構築・運用する人材は世の中にたくさん存在しますが、はっきり言ってしまうと、DX人材というのは世の中になかなか存在しません。 DXを進められる人材というのはどんな人材でしょうか。 「IT技術に明るく」「自社の業務に詳しく」「デジタルを活用して、自社の業務をどう変革できるか?を考えられる」このような人材でしょうか。 このような高度なスキルを持った人材というのは、大企業にもなかなかいません。身近にはほぼいないのです。 したがって、DXを推進できる人材がいないと嘆くのはあまり意味がないことで、「そのようなスキルを持った人材はいない」ということを前提に考えていくしかないのです。 うまくいっている企業でもDX人材がいたからうまく行ったというわけではないのです。 理由③:費用対効果が見えない DXを進めていくにはシステムの投資が必要です。 自社に予算がなく実行できないという企業を少なくありません。 また、費用は初期費用だけでなく、ランニングコストも必要となります。 見積りだけを見て高い安いと判断しているケースをよく目にしますが、本来、費用対効果を検討しなければ、その金額が高いか安いかはわからないはずです。 それをしていない企業は、費用対効果の検討以前に、はやり目的、ターゲットが明確でない場合が多い気がします。 「費用対効果が見えない」という企業ほど、そもそもやりたいことが明確になっていないのです。 理由④:既存の業務が変わっていない DXを進めている企業でも、思うような成果が出ていない企業は少なくありません。 それは、大抵の場合、既存の業務の見直し、棚卸が出来ていないケースが多くあるように感じます。 DXとは、既存の業務を見直し、業務を棚卸し、デジタルを活用しながら、抜本的に業務の仕方を変えることです。 デジタルを活用しても、業務の方法が変わらないのであれば、期待する効果が得られない可能性が高いです。 3.製造業においてDXを進めるためのポイント ポイント①目的・ゴール設定を明確にする プロジェクトがうまくいなかないときに、立ち返るべきところは「そもそもデジタルを活用して何がしたいのか?私たちの仕事の何が良くなるのか?」です。 初期段階から良くなる姿を明確にし、全員で情報共有をし、ベクトルを合わせてプロジェクトを始めていくことが重要です。 また、目的・ゴール設定を明確にすることで、対象の業務範囲もはっきりするため、費用対効果も算出しやすくなります。 ポイント②DXを推進出来る人材の確保や教育(環境整備)をする ピンポイントで自社にあったDXを推進出来る人材はなかなかいませんので、アプローチ方法は以下の3つしかありません。 DX推進もしくはIT導入の経験のある人材を雇う 講座やセミナーなどを活用して社内の人材を教育する。もしくは外部のコンサルタントなどの協力を得ながら教育を行う。 社内のITに明るい人材と業務に精通した人材を連携させて、専門家チームを作る。 いずれにしても、従業員全体、あるいは一部の従業員に対してでも、社内のDX教育を通して人材育成していくことは重要です。 広く教育を行いながら、可能性の芽を探し、推進するキーマンを軸にDXの波を波及させていくことが重要です。 逆にIT技術に詳しい社員がいるからと言って、理解者や協力者がいない状態で推進していくことは、頓挫しやすく非常に難しいことです。 ポイント③まずはじめは既存業務を見直す DXを進めようと思うと、「今の業務でどこがDX化出来るか」ということを考えてしまいます。 しかし、その考えが近い未来にうまく推進できなくなる第一歩となっているのです。 まず始めに考えるべきことは、既存業務の「何が・どこが問題か」をきちんと把握する(=現状把握)必要があります。 大抵の場合は、そもそも今の業務のやり方に何かしら問題があるのです。 属人的な作業(特定の人にしかわからない・出来ない)になっていないか、誰もがわかる効率的な業務フローになっているかを徹底的に洗い出しする必要があります。 よく手始めに始められる工場内のペーパーレス化も、まずその帳票が本当に必要かを考えなければならないのです。 既存の非効率な業務フロー、運用を土台にして、DX(効率化)を積み上げても、全体が効率的にはならないということです。 4.まとめ DXを進めるには、長期的な目線と根気が必要です。 一方で、属人的な業務の限界や人材不足の差し迫った問題に対しての改善策は、積極的なIT技術の活用のほかにありません。 「データは21世紀の石油」と言われています。 今後の不透明な時代を企業が生き抜くにはデータ活用がマストだという意味です。 冒頭で触れた通り、製造業DXとはものづくりのノウハウをデジタル技術を活用して、業務を根本的に変革することです。 DXを推進するということは データをアナログ(紙Excel)からデジタル化 データを蓄積 データ利活用 業務・企業文化を変革する といったストーリーを将来的に経験するということです。 それにもはやりステップがあり、まず大事なことは「社内情報をデジタル情報に変えていく」ということです。 紙やExcelのままでは、データ活用・DXをしていくことは決してできません。 まずは小さなことろ(スモールスタート)で良いので、データを収集して、データ活用の意義に触れていくということが重要であると考えます。 貴社のDX推進にあたり困りごとがございましたら、お気軽にご相談下さい。 DX推進に限らず、 【製造業での悩み・困っていること・相談したい】について、何でもご相談下さい。 1.製造業DXとは 製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ものづくりの現場で、これまで培ってきたノウハウにデジタル技術を活用し、業務プロセスや生産方法などを根本的に変革することで、生産性や競争力を向上させる取組みのことです。 実際にはIoTやロボット、AI、ビッグデータを活用しながら取組みを行っていきます。 DXの取組みにより、ニーズの多様化・人材不足・原料高など、悩み事が多い製造業において、以下のことが期待されます。 生産性の向上とコスト削減 競争力の強化 新規ビジネスの機会創出 人材確保、従業員のモチベーション向上 これらのように製造業DXを推進することは、生産性が向上し企業発展に繋がるだけでなく、人材不足や教育など様々な問題に対処できるようになります。 2.製造業においてDXが進まない理由 「日本はDXが遅れている」と言われがちですが、実際はどうなのでしょうか。 以下は、独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」のデータで、DXの取り組み状況について調査した結果となります。 国内においてDXの取り組み自体は年々きちんと拡大しており、取り組みは進んでいることがわかります。 また、以下「設定した目的に達成しているか」という調査に対しては60%以上が「成果が出ている」と回答しており米国ほどでもないものの、成果が出ている企業が増えていることが伺えます。 以下は、「DXの具体的な取組項目における取組割合と成果割合の関係」を示したものです。 「アナログ、物理データのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」について取組がし易く、成果も出やすい傾向が見られる一方で、DX本来のビジネスモデルや企業文化の改革までなかなか進んでいる企業が少ないことがわかります。 以下は、データの利活用(蓄積したデータを使った新しいアクション)についての調査で、2022年と2023年でデータの利活用状況に変わりなく、国内DXの進捗としては、データを溜める環境が整備されているものの、そのデータを活用するのはこれからという状況になっていると考えられます。 その中でも、やはり「DXの進め方がわからない」「DXをうまく進められない」というお話をお聞きすることが多くあります。 では、そのような企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。 理由は主に以下が考えられるます。 また、以下「設定した目的に達成しているか」という調査に対しては60%以上が「成果が出ている」と回答しており米国ほどでもないものの、成果が出ている企業が増えていることが伺えます。 以下は、「DXの具体的な取組項目における取組割合と成果割合の関係」を示したものです。 「アナログ、物理データのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」について取組がし易く、成果も出やすい傾向が見られる一方で、DX本来のビジネスモデルや企業文化の改革までなかなか進んでいる企業が少ないことがわかります。 以下は、データの利活用(蓄積したデータを使った新しいアクション)についての調査で、2022年と2023年でデータの利活用状況に変わりなく、国内DXの進捗としては、データを溜める環境が整備されているものの、そのデータを活用するのはこれからという状況になっていると考えられます。 その中でも、やはり「DXの進め方がわからない」「DXをうまく進められない」というお話をお聞きすることが多くあります。 では、そのような企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。 理由は主に以下が考えられるます。 理由①:目的・ゴール設定が不明確 漠然と「DXした方が良い」ということで、盲目的に局所的にとりあえず着手してしまっている企業が多いように感じます。 DXを進めるにあたっては、初期段階における目的・ゴール設定は非常に重要なものとなります。 DXと言うものは、取り組んでみると実際にはスタイリッシュなものではなく、非常に泥臭いものだということに気づくかと思います。 仕組みやシステムが運用にのるまでのプロジェクト自体は全くスタイリッシュではありません。 プロジェクトの中で様々な意見の違いやまとめることが難しい状況に直面します。 目的・ゴール設定が曖昧なままでは、長い道のりの中で思うように進めることが出来なくなってしまい、困難に陥ってしまうのです。 理由②:推進出来る人材がいない 特に中小企業では、ITに明るい人材が少なく、DXが進められないという状況がよくあります。 IT人材=社内システム構築・運用する人材は世の中にたくさん存在しますが、はっきり言ってしまうと、DX人材というのは世の中になかなか存在しません。 DXを進められる人材というのはどんな人材でしょうか。 「IT技術に明るく」「自社の業務に詳しく」「デジタルを活用して、自社の業務をどう変革できるか?を考えられる」このような人材でしょうか。 このような高度なスキルを持った人材というのは、大企業にもなかなかいません。身近にはほぼいないのです。 したがって、DXを推進できる人材がいないと嘆くのはあまり意味がないことで、「そのようなスキルを持った人材はいない」ということを前提に考えていくしかないのです。 うまくいっている企業でもDX人材がいたからうまく行ったというわけではないのです。 理由③:費用対効果が見えない DXを進めていくにはシステムの投資が必要です。 自社に予算がなく実行できないという企業を少なくありません。 また、費用は初期費用だけでなく、ランニングコストも必要となります。 見積りだけを見て高い安いと判断しているケースをよく目にしますが、本来、費用対効果を検討しなければ、その金額が高いか安いかはわからないはずです。 それをしていない企業は、費用対効果の検討以前に、はやり目的、ターゲットが明確でない場合が多い気がします。 「費用対効果が見えない」という企業ほど、そもそもやりたいことが明確になっていないのです。 理由④:既存の業務が変わっていない DXを進めている企業でも、思うような成果が出ていない企業は少なくありません。 それは、大抵の場合、既存の業務の見直し、棚卸が出来ていないケースが多くあるように感じます。 DXとは、既存の業務を見直し、業務を棚卸し、デジタルを活用しながら、抜本的に業務の仕方を変えることです。 デジタルを活用しても、業務の方法が変わらないのであれば、期待する効果が得られない可能性が高いです。 3.製造業においてDXを進めるためのポイント ポイント①目的・ゴール設定を明確にする プロジェクトがうまくいなかないときに、立ち返るべきところは「そもそもデジタルを活用して何がしたいのか?私たちの仕事の何が良くなるのか?」です。 初期段階から良くなる姿を明確にし、全員で情報共有をし、ベクトルを合わせてプロジェクトを始めていくことが重要です。 また、目的・ゴール設定を明確にすることで、対象の業務範囲もはっきりするため、費用対効果も算出しやすくなります。 ポイント②DXを推進出来る人材の確保や教育(環境整備)をする ピンポイントで自社にあったDXを推進出来る人材はなかなかいませんので、アプローチ方法は以下の3つしかありません。 DX推進もしくはIT導入の経験のある人材を雇う 講座やセミナーなどを活用して社内の人材を教育する。もしくは外部のコンサルタントなどの協力を得ながら教育を行う。 社内のITに明るい人材と業務に精通した人材を連携させて、専門家チームを作る。 いずれにしても、従業員全体、あるいは一部の従業員に対してでも、社内のDX教育を通して人材育成していくことは重要です。 広く教育を行いながら、可能性の芽を探し、推進するキーマンを軸にDXの波を波及させていくことが重要です。 逆にIT技術に詳しい社員がいるからと言って、理解者や協力者がいない状態で推進していくことは、頓挫しやすく非常に難しいことです。 ポイント③まずはじめは既存業務を見直す DXを進めようと思うと、「今の業務でどこがDX化出来るか」ということを考えてしまいます。 しかし、その考えが近い未来にうまく推進できなくなる第一歩となっているのです。 まず始めに考えるべきことは、既存業務の「何が・どこが問題か」をきちんと把握する(=現状把握)必要があります。 大抵の場合は、そもそも今の業務のやり方に何かしら問題があるのです。 属人的な作業(特定の人にしかわからない・出来ない)になっていないか、誰もがわかる効率的な業務フローになっているかを徹底的に洗い出しする必要があります。 よく手始めに始められる工場内のペーパーレス化も、まずその帳票が本当に必要かを考えなければならないのです。 既存の非効率な業務フロー、運用を土台にして、DX(効率化)を積み上げても、全体が効率的にはならないということです。 4.まとめ DXを進めるには、長期的な目線と根気が必要です。 一方で、属人的な業務の限界や人材不足の差し迫った問題に対しての改善策は、積極的なIT技術の活用のほかにありません。 「データは21世紀の石油」と言われています。 今後の不透明な時代を企業が生き抜くにはデータ活用がマストだという意味です。 冒頭で触れた通り、製造業DXとはものづくりのノウハウをデジタル技術を活用して、業務を根本的に変革することです。 DXを推進するということは データをアナログ(紙Excel)からデジタル化 データを蓄積 データ利活用 業務・企業文化を変革する といったストーリーを将来的に経験するということです。 それにもはやりステップがあり、まず大事なことは「社内情報をデジタル情報に変えていく」ということです。 紙やExcelのままでは、データ活用・DXをしていくことは決してできません。 まずは小さなことろ(スモールスタート)で良いので、データを収集して、データ活用の意義に触れていくということが重要であると考えます。 貴社のDX推進にあたり困りごとがございましたら、お気軽にご相談下さい。 DX推進に限らず、 【製造業での悩み・困っていること・相談したい】について、何でもご相談下さい。

食品製造業で“売上10%増/営業利益率2%増”した事例:どんぶり勘定から脱却し、利益構造を解明した方法とは!

2024.10.01

いつもお世話になっております。船井総合研究所の久保です。 今回は、従業員数200名規模の食品製造業におけるどんぶり勘定脱却事例をご紹介いたします。 本コラムを読むことで、利益構造解明に踏み切った経緯や、取り組み内容、成功へのポイントを知ることができます。 貴社の情報収集の一助になれば幸いです。 1.どんぶり勘定脱却の背景・課題/目指す姿 この会社様では、以前は製造および販売管理システムが互いに連携しておらず、個別の製造原価を把握することができていませんでした。そのため、利益構造が不明瞭であり、製造工程の改善や販売価格の設定も勘と経験に頼らざるを得ない状況がありました。また、在庫情報の信頼性が低いため、過剰在庫とその処分を繰り返す悪循環に陥っていました。 上記のような課題があったため、この会社様では、以下の項目を実現したいビジョンに定め、改革をおこなっていきました。 各部門が統合化された基幹システムにリニューアルして一元管理する 各部門のモノとカネの出入り(原材料仕入から製品出荷まで)を一致させる システムへの二重三重の入力を排除してミスによる矛盾をなくす タイムリーに経営指標を算出して有効活用できる 一般社員も会社の動きを理解できる 2.取り組み内容 まずは、経営陣主導で業務改革プロジェクトを発足し、全社一丸となってプロジェクトを進めることを宣言しました。 どんぶり勘定からの脱却は、非常に労力のかかるプロジェクトです。全社に宣言をおこなう時期には、強い意志を持って、プロジェクトを進めることを決意することが重要です。 次に、DX計画(ステップアップ・プラン)を策定しました。この計画を策定する際には、経営方針(連携一元化)と業務改革案を深く理解することが求められます。具体的には以下の項目について計画を行いました。 在庫の正確な把握と適正な生産調整 個別原価の把握と適正な価格改定 カテゴリ別利益率の把握と適正な販管費配分 次に、部署間を超えて合意形成をおこない、一体感の創出をおこないました。 この合意形成は、非常に重要なステップです。通常、部署最適的になってしまいがちですが、どんぶり勘定から脱却する場合は、部署を超えた連携が不可欠です。 社内の製造、販売、管理部門が一体となって、有効なKPI(業績評価指標)とKSF(成功要因)を模索。その後、各現場に対して説明や調整を行うことで、実現可能な業務フローを構築しました。これにより、製造と販売が別々に管理されていた時代のどんぶり勘定から脱却し、連携一元化による個別原価・在庫管理で利益構造を解明することができるようになりました。 3.成果 では、どんぶり勘定脱却をおこなう前後で何が変わったのでしょうか。 以下に、どんぶり勘定脱却前と後で変化した項目について記載します。 在庫状況や製品の個別原価を取得することができ、在庫数の減少、在庫処分割合の激減に成功しました。また、適正価格における価格改定の実現、適正な販管費配分もおこなうことができ、結果として売上10%増、営業利益率2%増を実現しました。 4.まとめ 本プロジェクトの成功のポイントは、2つあります。1つは、「経営陣の強い想いと覚悟」にあります。どんぶり勘定から脱却するためには、既存の業務方法を大きく変える必要があるため、経営者にとっても、従業員にとっても、非常に負荷がかかります。労力のかかるプロジェクトにはなりますが、その推進力となるのはリーダーである経営陣の想いと覚悟です。 もう1つは、現場の理解や合意を得た、DX計画を策定することができたことです。 経営陣から従業員に対して、業務改革プロジェクト宣言を行い、また従業員が経営方針(連携一元化)と業務改革案の理解を深められる様、議論を行いました。 また実行フェイズでは、コンサルタントが製造と販売の調整役を担い、各部門の合意形成を取りまとめることで、連携一元化を実現し、個別原価と在庫管理を通じて利益構造を解明することに成功しました。 5.まとめ いかがでしたでしょうか? 今回は、従業員数200名規模の食品製造業におけるどんぶり勘定脱却事例をご紹介いたします。 10月に開催される「基幹システムリニューアル&再構築戦略」セミナーでは、本事例の解説に加え、本セミナーでしか聞けない事例を多数紹介しております。 ご興味のある方は以下のバナーよりお申込みください。 ■関連するセミナーのご案内 製造業の基幹システムリニューアル&再構築戦略! セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/118725 製造業の基幹システムリニューアル&再構築戦略! いつもお世話になっております。船井総合研究所の久保です。 今回は、従業員数200名規模の食品製造業におけるどんぶり勘定脱却事例をご紹介いたします。 本コラムを読むことで、利益構造解明に踏み切った経緯や、取り組み内容、成功へのポイントを知ることができます。 貴社の情報収集の一助になれば幸いです。 1.どんぶり勘定脱却の背景・課題/目指す姿 この会社様では、以前は製造および販売管理システムが互いに連携しておらず、個別の製造原価を把握することができていませんでした。そのため、利益構造が不明瞭であり、製造工程の改善や販売価格の設定も勘と経験に頼らざるを得ない状況がありました。また、在庫情報の信頼性が低いため、過剰在庫とその処分を繰り返す悪循環に陥っていました。 上記のような課題があったため、この会社様では、以下の項目を実現したいビジョンに定め、改革をおこなっていきました。 各部門が統合化された基幹システムにリニューアルして一元管理する 各部門のモノとカネの出入り(原材料仕入から製品出荷まで)を一致させる システムへの二重三重の入力を排除してミスによる矛盾をなくす タイムリーに経営指標を算出して有効活用できる 一般社員も会社の動きを理解できる 2.取り組み内容 まずは、経営陣主導で業務改革プロジェクトを発足し、全社一丸となってプロジェクトを進めることを宣言しました。 どんぶり勘定からの脱却は、非常に労力のかかるプロジェクトです。全社に宣言をおこなう時期には、強い意志を持って、プロジェクトを進めることを決意することが重要です。 次に、DX計画(ステップアップ・プラン)を策定しました。この計画を策定する際には、経営方針(連携一元化)と業務改革案を深く理解することが求められます。具体的には以下の項目について計画を行いました。 在庫の正確な把握と適正な生産調整 個別原価の把握と適正な価格改定 カテゴリ別利益率の把握と適正な販管費配分 次に、部署間を超えて合意形成をおこない、一体感の創出をおこないました。 この合意形成は、非常に重要なステップです。通常、部署最適的になってしまいがちですが、どんぶり勘定から脱却する場合は、部署を超えた連携が不可欠です。 社内の製造、販売、管理部門が一体となって、有効なKPI(業績評価指標)とKSF(成功要因)を模索。その後、各現場に対して説明や調整を行うことで、実現可能な業務フローを構築しました。これにより、製造と販売が別々に管理されていた時代のどんぶり勘定から脱却し、連携一元化による個別原価・在庫管理で利益構造を解明することができるようになりました。 3.成果 では、どんぶり勘定脱却をおこなう前後で何が変わったのでしょうか。 以下に、どんぶり勘定脱却前と後で変化した項目について記載します。 在庫状況や製品の個別原価を取得することができ、在庫数の減少、在庫処分割合の激減に成功しました。また、適正価格における価格改定の実現、適正な販管費配分もおこなうことができ、結果として売上10%増、営業利益率2%増を実現しました。 4.まとめ 本プロジェクトの成功のポイントは、2つあります。1つは、「経営陣の強い想いと覚悟」にあります。どんぶり勘定から脱却するためには、既存の業務方法を大きく変える必要があるため、経営者にとっても、従業員にとっても、非常に負荷がかかります。労力のかかるプロジェクトにはなりますが、その推進力となるのはリーダーである経営陣の想いと覚悟です。 もう1つは、現場の理解や合意を得た、DX計画を策定することができたことです。 経営陣から従業員に対して、業務改革プロジェクト宣言を行い、また従業員が経営方針(連携一元化)と業務改革案の理解を深められる様、議論を行いました。 また実行フェイズでは、コンサルタントが製造と販売の調整役を担い、各部門の合意形成を取りまとめることで、連携一元化を実現し、個別原価と在庫管理を通じて利益構造を解明することに成功しました。 5.まとめ いかがでしたでしょうか? 今回は、従業員数200名規模の食品製造業におけるどんぶり勘定脱却事例をご紹介いたします。 10月に開催される「基幹システムリニューアル&再構築戦略」セミナーでは、本事例の解説に加え、本セミナーでしか聞けない事例を多数紹介しております。 ご興味のある方は以下のバナーよりお申込みください。 ■関連するセミナーのご案内 製造業の基幹システムリニューアル&再構築戦略! セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/118725 製造業の基幹システムリニューアル&再構築戦略!

【全業種向け】介護福祉、シニア系の新規事業を始めるなら“コレだ!”

2024.09.10

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。 本コラムのタイトルについて、急速に高齢化が進む日本において介護福祉・シニア業界が成長していくのは皆様も想像に難くないと思います。 同時に、新規事業として考えた時に、どのサービスが良いのかとお悩みになる経営者様も多いのではないでしょうか。 結論を申し上げると、”訪問看護”が介護・福祉、シニア業界の中では今一番伸び盛りな業態です。 市場規模や利用者が増えていることは勿論ですが、厚生労働省の資料によれば訪問看護は2022年から2023年の1年間で ・14,304件➡15,697 件と約1,400件増加 ※全介護サービスの中で最も増えている業態 と事業所数が急激に増加しており、今伸び盛りの業態と言えるでしょう。 なぜそのようなことが起こっているのか。 その理由として挙げられるのが、「国が、在宅での医療を推し進めている」いうことです。 社会保障費が国の財政を圧迫していることを背景に「できれば病院・老人ホームより自宅で生活する」ことが推奨されているため、その環境に1番ハマるサービスが他でもない訪問看護なのです。 そのため、訪問看護は3年に1回行われる法改正でも優遇されており報酬単価が増加傾向です。 また、訪問看護が増加している他の理由として ①1,000万円以下の低投資で始められる ➡介護施設のように、施設を新規開設する必要なし。 既存のオフィスの空き部屋でも開設可能のため投資を抑えることが出来ます。 ②1等地に事業所を構える必要性はなし ➡介護施設のように一等地に店舗を構える必要はありません。 駅から離れた住宅街に事業所を構えても集客面では決してマイナスに働きません。 ③高単価かつ、利用者層は成人~高齢者まで幅広い! ➡国の定める報酬単価が増えているだけでなく、利用者は高齢者だけに留まらず近年は30~50代といった現役世代(うつ病等の精神疾患を抱える方)の利用も拡大しております。 等、様々な特徴があります。 肝心の売上ですが、厚生労働省の調査データで以下のようなことがわかっています。 訪問看護の収入の全国平均・・・1か月あたり300万円これが毎月のストック収入の金額となります。 訪問看護の利用期間は、利用者の年齢や疾患によって異なりますが、厚労省の資料によれば ・高齢者で90日以上利用する方が、全体の55% ・成人(精神疾患患者)で90日以上利用する方が、全体の70% という状態です。 特に、成人で言えば、ご逝去で契約解除ということがほぼないので、利用期間が3年〜4年になるケースも決して目づらしくありません。 一度契約いただいたらそう簡単に解約されることはなく、毎月安定した収益が入ってくる点は、キャッシュフローの安定に繋がるのではないでしょうか。 このコラムを読み、「ちょっと気になる」訪問看護事業単体で年商1億円を達成されている方をお招きしたセミナーを開催いたしますのでぜひご参加ください。 セミナータイトルは”精神科”とついておりますが、対高齢者向けの訪問看護を検討しているという方も、保険制度をめた収益性や開設までの詳しい流れをご説明いたしますので、お申込みいただければと思います。 ■関連するセミナーのご案内 【全業種向け】訪問看護新規開設セミナーのご案内 https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010 【開催日時】 ※※全日程オンライン開催 2024/09/30 (月) 13:00~16:00 2024/10/01 (火) 13:00~16:00 2024/10/17 (木) 13:00~16:00 2024/10/18 (金) 13:00~16:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010 いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。 本コラムのタイトルについて、急速に高齢化が進む日本において介護福祉・シニア業界が成長していくのは皆様も想像に難くないと思います。 同時に、新規事業として考えた時に、どのサービスが良いのかとお悩みになる経営者様も多いのではないでしょうか。 結論を申し上げると、”訪問看護”が介護・福祉、シニア業界の中では今一番伸び盛りな業態です。 市場規模や利用者が増えていることは勿論ですが、厚生労働省の資料によれば訪問看護は2022年から2023年の1年間で ・14,304件➡15,697 件と約1,400件増加 ※全介護サービスの中で最も増えている業態 と事業所数が急激に増加しており、今伸び盛りの業態と言えるでしょう。 なぜそのようなことが起こっているのか。 その理由として挙げられるのが、「国が、在宅での医療を推し進めている」いうことです。 社会保障費が国の財政を圧迫していることを背景に「できれば病院・老人ホームより自宅で生活する」ことが推奨されているため、その環境に1番ハマるサービスが他でもない訪問看護なのです。 そのため、訪問看護は3年に1回行われる法改正でも優遇されており報酬単価が増加傾向です。 また、訪問看護が増加している他の理由として ①1,000万円以下の低投資で始められる ➡介護施設のように、施設を新規開設する必要なし。 既存のオフィスの空き部屋でも開設可能のため投資を抑えることが出来ます。 ②1等地に事業所を構える必要性はなし ➡介護施設のように一等地に店舗を構える必要はありません。 駅から離れた住宅街に事業所を構えても集客面では決してマイナスに働きません。 ③高単価かつ、利用者層は成人~高齢者まで幅広い! ➡国の定める報酬単価が増えているだけでなく、利用者は高齢者だけに留まらず近年は30~50代といった現役世代(うつ病等の精神疾患を抱える方)の利用も拡大しております。 等、様々な特徴があります。 肝心の売上ですが、厚生労働省の調査データで以下のようなことがわかっています。 訪問看護の収入の全国平均・・・1か月あたり300万円これが毎月のストック収入の金額となります。 訪問看護の利用期間は、利用者の年齢や疾患によって異なりますが、厚労省の資料によれば ・高齢者で90日以上利用する方が、全体の55% ・成人(精神疾患患者)で90日以上利用する方が、全体の70% という状態です。 特に、成人で言えば、ご逝去で契約解除ということがほぼないので、利用期間が3年〜4年になるケースも決して目づらしくありません。 一度契約いただいたらそう簡単に解約されることはなく、毎月安定した収益が入ってくる点は、キャッシュフローの安定に繋がるのではないでしょうか。 このコラムを読み、「ちょっと気になる」訪問看護事業単体で年商1億円を達成されている方をお招きしたセミナーを開催いたしますのでぜひご参加ください。 セミナータイトルは”精神科”とついておりますが、対高齢者向けの訪問看護を検討しているという方も、保険制度をめた収益性や開設までの詳しい流れをご説明いたしますので、お申込みいただければと思います。 ■関連するセミナーのご案内 【全業種向け】訪問看護新規開設セミナーのご案内 https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010 【開催日時】 ※※全日程オンライン開催 2024/09/30 (月) 13:00~16:00 2024/10/01 (火) 13:00~16:00 2024/10/17 (木) 13:00~16:00 2024/10/18 (金) 13:00~16:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010

【全業種向け】介護福祉、シニア系の新規事業を始めるなら“コレだ!”

2024.09.10

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。 初めまして。 船井総合研究所の家徳です。 専門は介護・福祉事業で、本コラムの読者の皆さまの本業とは異なる事は存じておりますが、皆さまにどうしてもお読みいただきたくコラムの投稿をさせていただきます。 本日は、介護・福祉業界最大の成長市場かつ異業種からの参入事例が多い”訪問看護”について、市場性や今後の動向、事業成功のポイントをご紹介いたします。 「介護・福祉業界に参入したい」、「社会性の高い事業をやりたい」そんな思いをお持ちの方は是非ご覧いただきたい内容となっております。 1.1,000万円以下の低投資で始められる 訪問看護は、看護師がご利用者様のご自宅にお伺いして、医療処置等を実施するサービスですが、医療法人でなくてもスタートでき特別な資格や経験が不要です。 また介護施設のように一等地に店舗を構える必要がありません。 駅から離れた住宅街に事務所を構えても集客面ではマイナスに働きません。 住宅街に点在する、「居宅介護支援事業所」、「病院」、「相談支援事業所」に適切な営業アプローチをかければ、利用者が集まります。 2.高単価かつ、利用者層は成人~高齢者まで幅広い! 「社会性が高い・低投資で始められる」時流に乗ったサービスが訪問看護であると言えます。 なぜ""看護""がいいかというと売上の単価が""介護""の2倍だからです。 (高齢者の自宅に行く""訪問サービス""での比較)さらに国の方針でも、訪問看護事業所は優遇されています。 また、訪問看護と聞いて高齢者だけが利用するサービスというイメージが強いとは思いますが、近年は30~50代といった現役世代の利用も拡大しております。 現役世代についても、うつ病等の精神疾患を抱える方の生活を支えるニーズが高まっており、訪問看護ステーションの中には、現役世代に特化した訪問看護ステーションもあるほどです。 業界動向を国の社会保障費の観点からお伝えすると「できれば介護施設や病院より自宅で生活する」ことが推奨されています。 これらの環境にはまる1番のサービスが訪問看護なのです。 肝心の売上ですが、厚生労働省の調査データで以下のようなことがわかっています。 訪問看護の収入の全国平均・・・1か月あたり300万円これが毎月のストック収入の金額となります。 訪問看護の利用期間は、利用者の年齢や疾患によって異なりますが、厚労省の資料によれば ・高齢者で90日以上利用する方が、全体の55% ・成人(精神疾患患者)で90日以上利用する方が、全体の70% という状態です。 特に、成人で言えば、ご逝去で契約解除ということがほぼないので、利用期間が3年〜4年になるケースも決して目づらしくありません。 一度契約いただいたらそう簡単に解約されることはなく、毎月安定した収益が入ってくる点は、キャッシュフローの安定に繋がるのではないでしょうか。 病院と在宅の溝を埋めるサービスとして注目を集める訪問看護。 3年に1回行われる法改正でも優遇されており、この10年間、年間1,000件近いペースで増加を続け、昨年は年間1,600件増加しています。 まだまだ伸び続ける中で、参入のチャンスは今です。 今なら先行者利益を得ることができます。 このコラムを読み、「ちょっと気になる」という方はぜひ船井総合研究所主催のセミナーへご参加ください。 セミナータイトルは”精神科”とついておりますが、対高齢者向けの訪問看護を検討しているという方も、保険制度を含めた収益性や開設までの詳しい流れをご説明いたしますので、お申込みいただければと思います。 8月から10月にかけて開催しておりますのでご都合に合わせてお申込みいただければ幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 【全業種向け】訪問看護新規開設セミナーのご案内 https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010 【開催日時】 ※全日程オンライン開催 2024/09/30 (月) 13:00~16:00 2024/10/01 (火) 13:00~16:00 2024/10/17 (木) 13:00~16:00 2024/10/18 (金) 13:00~16:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010 いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。 初めまして。 船井総合研究所の家徳です。 専門は介護・福祉事業で、本コラムの読者の皆さまの本業とは異なる事は存じておりますが、皆さまにどうしてもお読みいただきたくコラムの投稿をさせていただきます。 本日は、介護・福祉業界最大の成長市場かつ異業種からの参入事例が多い”訪問看護”について、市場性や今後の動向、事業成功のポイントをご紹介いたします。 「介護・福祉業界に参入したい」、「社会性の高い事業をやりたい」そんな思いをお持ちの方は是非ご覧いただきたい内容となっております。 1.1,000万円以下の低投資で始められる 訪問看護は、看護師がご利用者様のご自宅にお伺いして、医療処置等を実施するサービスですが、医療法人でなくてもスタートでき特別な資格や経験が不要です。 また介護施設のように一等地に店舗を構える必要がありません。 駅から離れた住宅街に事務所を構えても集客面ではマイナスに働きません。 住宅街に点在する、「居宅介護支援事業所」、「病院」、「相談支援事業所」に適切な営業アプローチをかければ、利用者が集まります。 2.高単価かつ、利用者層は成人~高齢者まで幅広い! 「社会性が高い・低投資で始められる」時流に乗ったサービスが訪問看護であると言えます。 なぜ""看護""がいいかというと売上の単価が""介護""の2倍だからです。 (高齢者の自宅に行く""訪問サービス""での比較)さらに国の方針でも、訪問看護事業所は優遇されています。 また、訪問看護と聞いて高齢者だけが利用するサービスというイメージが強いとは思いますが、近年は30~50代といった現役世代の利用も拡大しております。 現役世代についても、うつ病等の精神疾患を抱える方の生活を支えるニーズが高まっており、訪問看護ステーションの中には、現役世代に特化した訪問看護ステーションもあるほどです。 業界動向を国の社会保障費の観点からお伝えすると「できれば介護施設や病院より自宅で生活する」ことが推奨されています。 これらの環境にはまる1番のサービスが訪問看護なのです。 肝心の売上ですが、厚生労働省の調査データで以下のようなことがわかっています。 訪問看護の収入の全国平均・・・1か月あたり300万円これが毎月のストック収入の金額となります。 訪問看護の利用期間は、利用者の年齢や疾患によって異なりますが、厚労省の資料によれば ・高齢者で90日以上利用する方が、全体の55% ・成人(精神疾患患者)で90日以上利用する方が、全体の70% という状態です。 特に、成人で言えば、ご逝去で契約解除ということがほぼないので、利用期間が3年〜4年になるケースも決して目づらしくありません。 一度契約いただいたらそう簡単に解約されることはなく、毎月安定した収益が入ってくる点は、キャッシュフローの安定に繋がるのではないでしょうか。 病院と在宅の溝を埋めるサービスとして注目を集める訪問看護。 3年に1回行われる法改正でも優遇されており、この10年間、年間1,000件近いペースで増加を続け、昨年は年間1,600件増加しています。 まだまだ伸び続ける中で、参入のチャンスは今です。 今なら先行者利益を得ることができます。 このコラムを読み、「ちょっと気になる」という方はぜひ船井総合研究所主催のセミナーへご参加ください。 セミナータイトルは”精神科”とついておりますが、対高齢者向けの訪問看護を検討しているという方も、保険制度を含めた収益性や開設までの詳しい流れをご説明いたしますので、お申込みいただければと思います。 8月から10月にかけて開催しておりますのでご都合に合わせてお申込みいただければ幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 【全業種向け】訪問看護新規開設セミナーのご案内 https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010 【開催日時】 ※全日程オンライン開催 2024/09/30 (月) 13:00~16:00 2024/10/01 (火) 13:00~16:00 2024/10/17 (木) 13:00~16:00 2024/10/18 (金) 13:00~16:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119010

第97回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2024 スマートファクトリー経営部会分科会を開催いたしました。

2024.09.05

2024年8月21日に船井総合研究所 五反田オフィスでスマートファクトリー経営部会分科会(以下例会)を開催いたしました。 当例会では、現場に着目したデータ活用戦略講座や最新技術を取り上げました。 1.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 URL: https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 2.8月例会の概要 当例会は 第一講座:多品種少量生産従業員47名の現場に寄り添ったDX~現場主導の業務改革で付加価値額20%向上した事例~ 第二講座:工場DXを実現する3Dプリンティング/AM技術およびスマートファクトリーについて まとめ講座 の3部構成で開催いたしました。 第一講座では株式会社有本電器製作所の有本社長、管理担当砂山様にご登壇いただき、中小製造業がDX化を推進する際の現場の巻き込み方・付加価値額20%工場の極意についてご講話いただきました。 第二講座ではElectro Optical Systems Japan 株式会社のRegional Manager橋爪様にご登壇いただき、3Dプリンターを活用した次世代スマートファクトリーについてご講話いただきました。 第一講座は規模感が会員企業と近しいこともあり、身近な課題感を斬新な解決方法でアプローチしていたことや、DX化の取り組みに対する心構えのご講話をいただき大変満足度の高い講座となりました。 第二講座では3Dプリンターによる製造とまさに最新技術であり、中小企業にとっては「脅威」ともいえる内容でした。 ただし、3Dプリンターの強み・弱みを知ることで棲み分けがはっきりとしたことでこちらも満足度の高い講座となりました。 ※本研究会にご入会いただくと過去講座がすべて閲覧いただけます。 3.シェアタイムについて 例会では第二講座とまとめ講座の間に「シェアタイム」の時間を設けております。 シェアタイムはテーマに沿って会員様同士で情報交換会を行う場です。 ここでは普段気になってもあまり聞けない「他社のDX取り組みや成功談や失敗談・社長が考えていること」のリアルを知ることができます。 今回はシェアタイムの時間を拡大したことで満足度も大きく向上いたしました。 2024年8月21日に船井総合研究所 五反田オフィスでスマートファクトリー経営部会分科会(以下例会)を開催いたしました。 当例会では、現場に着目したデータ活用戦略講座や最新技術を取り上げました。 1.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 URL: https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 2.8月例会の概要 当例会は 第一講座:多品種少量生産従業員47名の現場に寄り添ったDX~現場主導の業務改革で付加価値額20%向上した事例~ 第二講座:工場DXを実現する3Dプリンティング/AM技術およびスマートファクトリーについて まとめ講座 の3部構成で開催いたしました。 第一講座では株式会社有本電器製作所の有本社長、管理担当砂山様にご登壇いただき、中小製造業がDX化を推進する際の現場の巻き込み方・付加価値額20%工場の極意についてご講話いただきました。 第二講座ではElectro Optical Systems Japan 株式会社のRegional Manager橋爪様にご登壇いただき、3Dプリンターを活用した次世代スマートファクトリーについてご講話いただきました。 第一講座は規模感が会員企業と近しいこともあり、身近な課題感を斬新な解決方法でアプローチしていたことや、DX化の取り組みに対する心構えのご講話をいただき大変満足度の高い講座となりました。 第二講座では3Dプリンターによる製造とまさに最新技術であり、中小企業にとっては「脅威」ともいえる内容でした。 ただし、3Dプリンターの強み・弱みを知ることで棲み分けがはっきりとしたことでこちらも満足度の高い講座となりました。 ※本研究会にご入会いただくと過去講座がすべて閲覧いただけます。 3.シェアタイムについて 例会では第二講座とまとめ講座の間に「シェアタイム」の時間を設けております。 シェアタイムはテーマに沿って会員様同士で情報交換会を行う場です。 ここでは普段気になってもあまり聞けない「他社のDX取り組みや成功談や失敗談・社長が考えていること」のリアルを知ることができます。 今回はシェアタイムの時間を拡大したことで満足度も大きく向上いたしました。

第97回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2024にて、製造業・商社向けのブースを出展いたしました

2024.08.26

1.経営戦略セミナー 経営研究会全国大会とは 経営戦略セミナーは、創業者である舩井幸雄がスタートし、今回97回目を迎える、船井総合研究所を代表する伝統的なイベントです。 100を超える経営研究会、5,000人を超える会員企業の経営者が、一堂に会する「研究会全国大会」として開催しています。中堅・中小企業、特に地域で活躍する経営者に主眼を置いて、「時流」と「未来予測」から、向こう3~5年を見越して、中長期の課題解決やテーマをお伝えし、高いモチベーションを抱いていただきます。 2.工場DXコンサルティングの事業内容について 工場DXコンサルティングでは、主に製造業・商社向けのDX化に取り組んでいます。 現場密着したコンサルティングを強みとして、 ロボット導入 AI活用による工程最適化 IoT機器を活用した実際原価管理 基幹システムの刷新・再構築 など幅広い範囲を専門コンサルタントが担当しており、常時300社を超える企業様とご契約させていただいております。 工場DXコンサルティングメニュー 3.当日のブースの様子 当日は製造業・商社の方はもちろん、多業種の会員様も大勢ご来場いただきました。 展示会では、本サイトにも掲載されている工場DXレポートを配布しました。 工場DXレポート 4.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 1.経営戦略セミナー 経営研究会全国大会とは 経営戦略セミナーは、創業者である舩井幸雄がスタートし、今回97回目を迎える、船井総合研究所を代表する伝統的なイベントです。 100を超える経営研究会、5,000人を超える会員企業の経営者が、一堂に会する「研究会全国大会」として開催しています。中堅・中小企業、特に地域で活躍する経営者に主眼を置いて、「時流」と「未来予測」から、向こう3~5年を見越して、中長期の課題解決やテーマをお伝えし、高いモチベーションを抱いていただきます。 2.工場DXコンサルティングの事業内容について 工場DXコンサルティングでは、主に製造業・商社向けのDX化に取り組んでいます。 現場密着したコンサルティングを強みとして、 ロボット導入 AI活用による工程最適化 IoT機器を活用した実際原価管理 基幹システムの刷新・再構築 など幅広い範囲を専門コンサルタントが担当しており、常時300社を超える企業様とご契約させていただいております。 工場DXコンサルティングメニュー 3.当日のブースの様子 当日は製造業・商社の方はもちろん、多業種の会員様も大勢ご来場いただきました。 展示会では、本サイトにも掲載されている工場DXレポートを配布しました。 工場DXレポート 4.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/

溶接業必見!100万円で導入できる溶接ロボットのご紹介

2024.08.22

人手不足が叫ばれている昨今においては、溶接業界においても“自動化”は重要なテーマです。溶接ロボット導入のメリットとしては、作業効率の向上や品質の安定化、作業者負担の減少など挙げられ、有用な自動化手段の一つとなっています。 しかし、従来のロボット溶接はコスト効果が合わず、中堅・中小企業の方にとっては手を出しづらいという課題がありました。 本コラムで紹介するFAIR INNOVATION社製ロボットは、「100万円で導入できる協働ロボット」として注目を浴びています。他媒体にもほとんど出ていない情報となりますので、貴社の情報収集の一助になれば幸いでございます。 1. 100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION社製“FRシリーズ”」のご紹介 中国の協働ロボットメーカー・FAIR INNOVATION社が開発した“FRシリーズ”は、なんと100万円で導入可能な協働ロボットです。(他社の協働ロボットでは、通常200万円~600万円程度費用がかかります。) その価格・スペックは非常に市場に支持されており、中国国内ではすでに数千台ものロボットを売り上げています。 実際にロボットが稼働している動画がこちらです。 [video width="967" height="544" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/111.mp4"][/video] [video width="540" height="960" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/112.mp4"][/video] 動画を見てお気づきの方もいらっしゃるかと存じますが、本ロボットは比較的難易度の低い溶接において、自動化効果を発揮します。 例えば、鉄鋼・鉄骨業界では、鉄骨同士を溶接する作業などを自動化することができます。単純な直線の溶接部分をロボットに担ってもらい、難易度の高い部分を作業者が補うことで、効率的に作業をおこなうことができます。 また、板金業界においては、部品の仮付け作業や、数の多いナットの溶接作業などでもロボットを活用することが可能です。 以下の表に「FR-5」(FAIR Innovation製可搬重量5kgのロボット)と、他社ロボットの主なスペックをまとめました。価格は低いですが、従来の協働ロボットと比較してもスペック自体に差は見られません。 なぜこんなにも価格が安いのでしょうか? 販売代理店を務める株式会社ロボティクスソリューションズ 劉 代表取締役社長によると、主要部品 (減速機、モータ、ドライバー基板など)を全て自社で内製化している点が大きいとのことでした。 2. まとめ 今回は、100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION」をご紹介しました。今まで自動化を断念せざるを得なかった方にとっても、再検討の余地があるロボットではないでしょうか? 詳細な情報については、船井総研が9月に開催する「多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー」の第1講座にてお話しする予定です。ぜひご参加いただき、情報収集の一助としていただけますと幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117066 人手不足が叫ばれている昨今においては、溶接業界においても“自動化”は重要なテーマです。溶接ロボット導入のメリットとしては、作業効率の向上や品質の安定化、作業者負担の減少など挙げられ、有用な自動化手段の一つとなっています。 しかし、従来のロボット溶接はコスト効果が合わず、中堅・中小企業の方にとっては手を出しづらいという課題がありました。 本コラムで紹介するFAIR INNOVATION社製ロボットは、「100万円で導入できる協働ロボット」として注目を浴びています。他媒体にもほとんど出ていない情報となりますので、貴社の情報収集の一助になれば幸いでございます。 1. 100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION社製“FRシリーズ”」のご紹介 中国の協働ロボットメーカー・FAIR INNOVATION社が開発した“FRシリーズ”は、なんと100万円で導入可能な協働ロボットです。(他社の協働ロボットでは、通常200万円~600万円程度費用がかかります。) その価格・スペックは非常に市場に支持されており、中国国内ではすでに数千台ものロボットを売り上げています。 実際にロボットが稼働している動画がこちらです。 [video width="967" height="544" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/111.mp4"][/video] [video width="540" height="960" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/112.mp4"][/video] 動画を見てお気づきの方もいらっしゃるかと存じますが、本ロボットは比較的難易度の低い溶接において、自動化効果を発揮します。 例えば、鉄鋼・鉄骨業界では、鉄骨同士を溶接する作業などを自動化することができます。単純な直線の溶接部分をロボットに担ってもらい、難易度の高い部分を作業者が補うことで、効率的に作業をおこなうことができます。 また、板金業界においては、部品の仮付け作業や、数の多いナットの溶接作業などでもロボットを活用することが可能です。 以下の表に「FR-5」(FAIR Innovation製可搬重量5kgのロボット)と、他社ロボットの主なスペックをまとめました。価格は低いですが、従来の協働ロボットと比較してもスペック自体に差は見られません。 なぜこんなにも価格が安いのでしょうか? 販売代理店を務める株式会社ロボティクスソリューションズ 劉 代表取締役社長によると、主要部品 (減速機、モータ、ドライバー基板など)を全て自社で内製化している点が大きいとのことでした。 2. まとめ 今回は、100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION」をご紹介しました。今まで自動化を断念せざるを得なかった方にとっても、再検討の余地があるロボットではないでしょうか? 詳細な情報については、船井総研が9月に開催する「多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー」の第1講座にてお話しする予定です。ぜひご参加いただき、情報収集の一助としていただけますと幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117066

2024 年の印刷業界展望:地方印刷会社が生き残るための戦略と成功事例 【最新トレンドと課題を徹底解説】

2024.08.02

デジタル化が進み、印刷業界はかつてない変革の時期を迎えています。 中小印刷会社が直面する縮小市場や競争の激化、そして技術革新の波にどう立ち向かうべきか? 本記事では、印刷業界の最新トレンドを詳しく解説し、中小企業が成功を収めた事例を紹介。 未来に向けた具体的な戦略と実践的なアプローチを提案し、業界の変動に適応するためのヒントをお届けします。 この記事を読むことで、印刷業界の現状と未来、成功事例と失敗事例、効果的なマーケティング手法、デジタル化の影響、そして具体的な生き残り戦略について理解できます。 特に中小規模の印刷会社経営者・自社の DX に悩んでいる企業に向けた記事です。 1. 印刷業界の現状と全体像 ① 印刷業界の歴史的変遷と現状 印刷業界は長い歴史を持ち、技術の進歩とともに大きな変化を遂げてきました。活版印刷の時代からオフセット印刷、デジタル印刷へと進化し、印刷物の質と効率が大きく向上しました。しかし、デジタル化の進展に伴い、紙媒体の需要は減少しています。特に新聞や雑誌の発行部数は、インターネットの普及により大幅に減少しました。地方の印刷会社にとって、縮小する市場は深刻な問題です。これまでのビジネスモデルでは生き残りが難しく、新しい戦略を模索する必要があります。 ② デジタルトランスフォーメーションの影響と業界の変革 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、印刷業界にも多大な影響を与えています。DX により、印刷会社は仕入~印刷~梱包~出荷におけるすべての基幹業務を正確に、かつ迅速に実施することができました。その結果として、利益の出ている企業は多品種小ロット対応・短納期対応のようなアナログ時代には考えられないスピードで顧客満足度を獲得しています。 DX は印刷業界に以下のような変革をもたらしました。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 また、近年では生成 AI の登場によって、上記変革はより加速しています。 ある印刷会社では、生成 AI を活用してデジタルマーケティング・印刷デザイン提案などを実施することにより、今までデザイナーに依頼していた業務を内製化させることができるようになり、さらにコストを大幅に削減。すぐにデザインを作成してお見せすることができるため、顧客満足度も向上させています。 ③ 中小印刷会社の直面する主な課題 中小規模の印刷会社は、大手企業と比べて規模が小さく、リソースも限られています。そのため、以下のような課題に直面していることが多いのではないでしょうか。 市場の縮小:紙媒体の需要減少により、売上が減少。 技術革新への対応:最新のデジタル技術を導入するための投資が必要。 人材不足:特に若手のデジタル技術者が不足。 2. 印刷会社の生き残り戦略 ① 生存戦略としての経営方針の再構築と事業戦略 印刷会社が生き残るためには、特に以下のポイントが重要です。 商品の多様化&短納期対応:豊富な品揃えによる囲い込みにより、顧客満足度向上・新規獲得を行う。 顧客ニーズの把握:市場の変化を敏感に察知し、顧客のニーズに応える製品やサービスを提供する。 原価管理:原価の見直しと効率化を図り、収益性を向上させる。 ② 実際にかかる製品個別原価管理の重要性 製品個別の実際原価を把握することにより、案件別・製品別・工程別で利益を把握することができるようになります。なんとなく今までの経験や勘から、頭の中で利益を把握しているのでは、一向に属人化は解消されません。まずは、個別にかかる実際の原価をデータ・数値で可視化することにより、会社全体で改善箇所を共通認識化することが重要です。 ③ 成功事例と失敗事例から学ぶ戦略的アプローチ いわゆる「どんぶり勘定」による見積価格決定や、従来からの見積金額のまま引き受けてしまうことにより、なかなか利益が出てこないといった状態を引き起こしてしまいます。 これらを避けるためには、製品ごとにかかる実際の原価を把握し、新規の案件においても過去の類似案件から原価を算出できるような仕組みが必要です。 また、利益が出ていない案件に関しては、実際にかかる原価を価格改定の材料として活用することも手段の一つです。 3. 印刷業界の未来展望 ① 今後の市場展望とビジネスチャンスの予測 印刷業界の市場は縮小傾向にあるものの、新たなビジネスチャンスも存在します。以下の点が今後の市場展望として注目されています。 デジタル印刷の普及:小ロット印刷やオンデマンド印刷が増加。 パーソナライズ印刷:顧客のニーズに合わせたカスタマイズ印刷の需要が拡大。 サステナビリティ:環境に優しい印刷技術や再生可能な素材の使用が重要視される。 ② デジタルと印刷の融合による新たなビジネスモデル デジタル技術と印刷技術の融合は、新たなビジネスモデルを生み出しています。例えば、デジタル広告と印刷物を連動させるクロスメディアマーケティングが注目されています。これにより、顧客のエンゲージメントを高め、より効果的なプロモーションが可能になります。 具体的には、web サイトや SNS での広告と連動したチラシやパンフレットを配布することで、顧客の購買意欲を刺激します。また、 QR コードを活用して、印刷物からデジタルコンテンツへの誘導も効果的です。 ③ 地域密着型ビジネスの強みと可能性 地域密着型ビジネスは、地方の印刷会社にとって大きな強みとなります。以下の点が強みと考えられます。 地域のニーズに迅速に対応:地元の顧客との密接な関係を活かし、迅速にニーズに応える。 地元企業との強固なネットワーク:地域内の企業や団体との協力関係を築き、安定した顧客基盤を確保。 地域イベントとの連携:地元のイベントやキャンペーンに積極的に参加し、ブランド認知度を向上。 地元の商店街と連携してイベントのプロモーションを行い、地域全体の活性化に貢献するといった取り組みは、地元企業との信頼関係を強化し、長期的なビジネスチャンスを生み出すことができます。 4. デジタル化の影響と取り組み ① デジタル化による業界の変革とその影響 デジタル化は印刷業界に多大な影響を与えています。特に以下の点で変革が見られます。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 例えば、ある印刷会社は、デジタル印刷機を導入し、小ロットの印刷注文に対応することで、顧客のニーズに柔軟に対応しています。 ② デジタルトランスフォーメーションの最新トレンド デジタルマーケティングと広告手法は、日々進化しています。印刷会社がこれらを活用することで、顧客獲得に繋げることができます。以下は、最新のトレンドです。 原価管理 DX:その日の製造情報を即座に集計し、収益の結果をリアルタイムで把握できる仕組み。 ローコード BI:製造進捗や仕入管理・在庫管理における属人性を解消した、データ分析自動化ツール。 自社データを基盤とした AI 活用:自社データを学習させた AI システムを活用し、自社特有の予測を行う。 DX によって、情報の流動性・正確性・即時性を向上させることはもちろん、それに適応するための社内改革が重要です。 ③ デジタルトランスフォーメーションの成功事例 デジタルトランスフォーメーションに成功した印刷会社の事例を紹介します。ある印刷会社では、クラウドベースの印刷発注システム を導入し、顧客がオンラインで簡単に印刷物を発注できるようにしました。このシステムにより、受注から納品までのプロセスが大幅 に効率化され、顧客満足度が向上しました。 5. 印刷業界の将来に向けた具体的戦略 ① 経営資源の最適化と正確な原価管理・利益管理 印刷会社が競争力を維持するためには、経営資源の最適化と原価管理・利益管理が不可欠です。以下の方法が有効です。 効率化の推進:生産プロセスの見直しと効率化。 コスト管理:原価を徹底的に管理し、利益を最大化。 資源の有効活用:人材や設備を最大限に活用。 例えば、生産ラインの自動化を進めることで、コストを削減し、利益率を向上させることができます。 ② 長期的な戦略と戦術的アプローチ 長期的な視点での戦略と、具体的な戦術的アプローチが必要です。以下の点を考慮します。 市場分析:市場の動向を常に把握し、戦略を柔軟に変更。 顧客ニーズの理解:顧客のニーズを的確に捉え、それに応じたサービスを提供。 継続的な改善:常に改善を行い、競争力を維持。 例として、定期的に顧客アンケートを実施し、フィードバックを基にサービスを改善することで、顧客満足度向上に向けた分析をすることが可能となります。 ③ 印刷業界における未来展望と業界全体の方向性 印刷業界の未来展望は、デジタル技術の進化とともに大きく変わるでしょう。以下の点が重要です。 デジタル技術の活用:デジタル印刷技術やデジタルマーケティングの活用。 サステナビリティ:環境に優しい技術や素材の導入。 顧客中心のサービス:顧客のニーズに応じたカスタマイズサービスの提供。 例として、デジタル技術を活用した新たな印刷サービスを開発し、顧客に提供することで、競争力強化を図ることが可能となります。 6. まとめ このように、印刷業界の現状と未来展望、具体的な生き残り戦略について詳細に解説しました。特に中小規模の印刷会社が直面する課題に対して様々な手法を記載しましたが、重要なことは製品個別の実際にかかる原価を把握し、予定原価との差異を分析できる体制を作ることが今後の生き残りに向けてキーポイントとなると考えられます。 では、具体的にどのように個別原価管理を行うのか?どのように予定原価との差異を分析できるのか?については、船井総研が主催する原価管理セミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 印刷業の為のAI・BI・IoTを活用したDX経営 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117687 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02979_S045 デジタル化が進み、印刷業界はかつてない変革の時期を迎えています。 中小印刷会社が直面する縮小市場や競争の激化、そして技術革新の波にどう立ち向かうべきか? 本記事では、印刷業界の最新トレンドを詳しく解説し、中小企業が成功を収めた事例を紹介。 未来に向けた具体的な戦略と実践的なアプローチを提案し、業界の変動に適応するためのヒントをお届けします。 この記事を読むことで、印刷業界の現状と未来、成功事例と失敗事例、効果的なマーケティング手法、デジタル化の影響、そして具体的な生き残り戦略について理解できます。 特に中小規模の印刷会社経営者・自社の DX に悩んでいる企業に向けた記事です。 1. 印刷業界の現状と全体像 ① 印刷業界の歴史的変遷と現状 印刷業界は長い歴史を持ち、技術の進歩とともに大きな変化を遂げてきました。活版印刷の時代からオフセット印刷、デジタル印刷へと進化し、印刷物の質と効率が大きく向上しました。しかし、デジタル化の進展に伴い、紙媒体の需要は減少しています。特に新聞や雑誌の発行部数は、インターネットの普及により大幅に減少しました。地方の印刷会社にとって、縮小する市場は深刻な問題です。これまでのビジネスモデルでは生き残りが難しく、新しい戦略を模索する必要があります。 ② デジタルトランスフォーメーションの影響と業界の変革 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、印刷業界にも多大な影響を与えています。DX により、印刷会社は仕入~印刷~梱包~出荷におけるすべての基幹業務を正確に、かつ迅速に実施することができました。その結果として、利益の出ている企業は多品種小ロット対応・短納期対応のようなアナログ時代には考えられないスピードで顧客満足度を獲得しています。 DX は印刷業界に以下のような変革をもたらしました。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 また、近年では生成 AI の登場によって、上記変革はより加速しています。 ある印刷会社では、生成 AI を活用してデジタルマーケティング・印刷デザイン提案などを実施することにより、今までデザイナーに依頼していた業務を内製化させることができるようになり、さらにコストを大幅に削減。すぐにデザインを作成してお見せすることができるため、顧客満足度も向上させています。 ③ 中小印刷会社の直面する主な課題 中小規模の印刷会社は、大手企業と比べて規模が小さく、リソースも限られています。そのため、以下のような課題に直面していることが多いのではないでしょうか。 市場の縮小:紙媒体の需要減少により、売上が減少。 技術革新への対応:最新のデジタル技術を導入するための投資が必要。 人材不足:特に若手のデジタル技術者が不足。 2. 印刷会社の生き残り戦略 ① 生存戦略としての経営方針の再構築と事業戦略 印刷会社が生き残るためには、特に以下のポイントが重要です。 商品の多様化&短納期対応:豊富な品揃えによる囲い込みにより、顧客満足度向上・新規獲得を行う。 顧客ニーズの把握:市場の変化を敏感に察知し、顧客のニーズに応える製品やサービスを提供する。 原価管理:原価の見直しと効率化を図り、収益性を向上させる。 ② 実際にかかる製品個別原価管理の重要性 製品個別の実際原価を把握することにより、案件別・製品別・工程別で利益を把握することができるようになります。なんとなく今までの経験や勘から、頭の中で利益を把握しているのでは、一向に属人化は解消されません。まずは、個別にかかる実際の原価をデータ・数値で可視化することにより、会社全体で改善箇所を共通認識化することが重要です。 ③ 成功事例と失敗事例から学ぶ戦略的アプローチ いわゆる「どんぶり勘定」による見積価格決定や、従来からの見積金額のまま引き受けてしまうことにより、なかなか利益が出てこないといった状態を引き起こしてしまいます。 これらを避けるためには、製品ごとにかかる実際の原価を把握し、新規の案件においても過去の類似案件から原価を算出できるような仕組みが必要です。 また、利益が出ていない案件に関しては、実際にかかる原価を価格改定の材料として活用することも手段の一つです。 3. 印刷業界の未来展望 ① 今後の市場展望とビジネスチャンスの予測 印刷業界の市場は縮小傾向にあるものの、新たなビジネスチャンスも存在します。以下の点が今後の市場展望として注目されています。 デジタル印刷の普及:小ロット印刷やオンデマンド印刷が増加。 パーソナライズ印刷:顧客のニーズに合わせたカスタマイズ印刷の需要が拡大。 サステナビリティ:環境に優しい印刷技術や再生可能な素材の使用が重要視される。 ② デジタルと印刷の融合による新たなビジネスモデル デジタル技術と印刷技術の融合は、新たなビジネスモデルを生み出しています。例えば、デジタル広告と印刷物を連動させるクロスメディアマーケティングが注目されています。これにより、顧客のエンゲージメントを高め、より効果的なプロモーションが可能になります。 具体的には、web サイトや SNS での広告と連動したチラシやパンフレットを配布することで、顧客の購買意欲を刺激します。また、 QR コードを活用して、印刷物からデジタルコンテンツへの誘導も効果的です。 ③ 地域密着型ビジネスの強みと可能性 地域密着型ビジネスは、地方の印刷会社にとって大きな強みとなります。以下の点が強みと考えられます。 地域のニーズに迅速に対応:地元の顧客との密接な関係を活かし、迅速にニーズに応える。 地元企業との強固なネットワーク:地域内の企業や団体との協力関係を築き、安定した顧客基盤を確保。 地域イベントとの連携:地元のイベントやキャンペーンに積極的に参加し、ブランド認知度を向上。 地元の商店街と連携してイベントのプロモーションを行い、地域全体の活性化に貢献するといった取り組みは、地元企業との信頼関係を強化し、長期的なビジネスチャンスを生み出すことができます。 4. デジタル化の影響と取り組み ① デジタル化による業界の変革とその影響 デジタル化は印刷業界に多大な影響を与えています。特に以下の点で変革が見られます。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 例えば、ある印刷会社は、デジタル印刷機を導入し、小ロットの印刷注文に対応することで、顧客のニーズに柔軟に対応しています。 ② デジタルトランスフォーメーションの最新トレンド デジタルマーケティングと広告手法は、日々進化しています。印刷会社がこれらを活用することで、顧客獲得に繋げることができます。以下は、最新のトレンドです。 原価管理 DX:その日の製造情報を即座に集計し、収益の結果をリアルタイムで把握できる仕組み。 ローコード BI:製造進捗や仕入管理・在庫管理における属人性を解消した、データ分析自動化ツール。 自社データを基盤とした AI 活用:自社データを学習させた AI システムを活用し、自社特有の予測を行う。 DX によって、情報の流動性・正確性・即時性を向上させることはもちろん、それに適応するための社内改革が重要です。 ③ デジタルトランスフォーメーションの成功事例 デジタルトランスフォーメーションに成功した印刷会社の事例を紹介します。ある印刷会社では、クラウドベースの印刷発注システム を導入し、顧客がオンラインで簡単に印刷物を発注できるようにしました。このシステムにより、受注から納品までのプロセスが大幅 に効率化され、顧客満足度が向上しました。 5. 印刷業界の将来に向けた具体的戦略 ① 経営資源の最適化と正確な原価管理・利益管理 印刷会社が競争力を維持するためには、経営資源の最適化と原価管理・利益管理が不可欠です。以下の方法が有効です。 効率化の推進:生産プロセスの見直しと効率化。 コスト管理:原価を徹底的に管理し、利益を最大化。 資源の有効活用:人材や設備を最大限に活用。 例えば、生産ラインの自動化を進めることで、コストを削減し、利益率を向上させることができます。 ② 長期的な戦略と戦術的アプローチ 長期的な視点での戦略と、具体的な戦術的アプローチが必要です。以下の点を考慮します。 市場分析:市場の動向を常に把握し、戦略を柔軟に変更。 顧客ニーズの理解:顧客のニーズを的確に捉え、それに応じたサービスを提供。 継続的な改善:常に改善を行い、競争力を維持。 例として、定期的に顧客アンケートを実施し、フィードバックを基にサービスを改善することで、顧客満足度向上に向けた分析をすることが可能となります。 ③ 印刷業界における未来展望と業界全体の方向性 印刷業界の未来展望は、デジタル技術の進化とともに大きく変わるでしょう。以下の点が重要です。 デジタル技術の活用:デジタル印刷技術やデジタルマーケティングの活用。 サステナビリティ:環境に優しい技術や素材の導入。 顧客中心のサービス:顧客のニーズに応じたカスタマイズサービスの提供。 例として、デジタル技術を活用した新たな印刷サービスを開発し、顧客に提供することで、競争力強化を図ることが可能となります。 6. まとめ このように、印刷業界の現状と未来展望、具体的な生き残り戦略について詳細に解説しました。特に中小規模の印刷会社が直面する課題に対して様々な手法を記載しましたが、重要なことは製品個別の実際にかかる原価を把握し、予定原価との差異を分析できる体制を作ることが今後の生き残りに向けてキーポイントとなると考えられます。 では、具体的にどのように個別原価管理を行うのか?どのように予定原価との差異を分析できるのか?については、船井総研が主催する原価管理セミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 印刷業の為のAI・BI・IoTを活用したDX経営 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117687 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02979_S045

製造業DXとは?メリットや成功事例3選、成功のポイントを一挙解説!

2024.07.22

いつもご愛読いただきありがとうございます。 この記事では、DXの定義から、製造業におけるDXの成功事例・メリットについて、またDX実現への課題や実現プロセスについて詳しく解説します。製造業におけるDXの糸口を模索中の皆さまはぜひ最後までお読みください。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な改善にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 では、製造業におけるDXとはどういった状況でしょうか。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットやデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 近年では、カーボンニュートラルの実現や、サプライチェーン全体における最適化の動きが強まっています。 2016年に「パリ協定」が発効されました。これは、気候変動問題を世界共通の課題として、それぞれの国々で温室効果ガスの削減に取り組むという合意事項のことです。 それにともない、日本でも、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル」を掲げて、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという宣言をしています。 日本の温室効果ガスの排出量の78%は、企業や公共事業が発生源となっています。そのため、脱炭素化を実現するためには企業の協力が必要です。これまでは大企業が中心でしたが、現在は中小企業においても、脱炭素化をめざす取り組みが求められるようになっています。 中でも製造業においては、業務の関係上、温室効果ガスの排出量が他の業種よりも多く、とくに脱炭素化への取り組みが求められている状況です。 皆様の中でも、脱炭素の取り組みについて取引先から聞かれることはありませんか? 例えば、他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応して行かなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.デジタルシフト成功事例3選 国内にはDXまでいかなくても、アナログ的な手法から脱却してデジタルシフトに成功している工場はたくさんあります。ここでは成功事例を3つ紹介します。 2-1.デジタルシフト成功事例①:J社 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.デジタルシフト成功事例②:S社 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.デジタルシフト成功事例②:S社 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システムを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 船井総研の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。 いつもご愛読いただきありがとうございます。 この記事では、DXの定義から、製造業におけるDXの成功事例・メリットについて、またDX実現への課題や実現プロセスについて詳しく解説します。製造業におけるDXの糸口を模索中の皆さまはぜひ最後までお読みください。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な改善にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 では、製造業におけるDXとはどういった状況でしょうか。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットやデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 近年では、カーボンニュートラルの実現や、サプライチェーン全体における最適化の動きが強まっています。 2016年に「パリ協定」が発効されました。これは、気候変動問題を世界共通の課題として、それぞれの国々で温室効果ガスの削減に取り組むという合意事項のことです。 それにともない、日本でも、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル」を掲げて、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという宣言をしています。 日本の温室効果ガスの排出量の78%は、企業や公共事業が発生源となっています。そのため、脱炭素化を実現するためには企業の協力が必要です。これまでは大企業が中心でしたが、現在は中小企業においても、脱炭素化をめざす取り組みが求められるようになっています。 中でも製造業においては、業務の関係上、温室効果ガスの排出量が他の業種よりも多く、とくに脱炭素化への取り組みが求められている状況です。 皆様の中でも、脱炭素の取り組みについて取引先から聞かれることはありませんか? 例えば、他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応して行かなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.デジタルシフト成功事例3選 国内にはDXまでいかなくても、アナログ的な手法から脱却してデジタルシフトに成功している工場はたくさんあります。ここでは成功事例を3つ紹介します。 2-1.デジタルシフト成功事例①:J社 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.デジタルシフト成功事例②:S社 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.デジタルシフト成功事例②:S社 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システムを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 船井総研の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。

「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」の違いとは!?基本の流れと重要性、記載内容について解説!

2024.06.14

システム導入を成功に導くために欠かせないのが「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」です。 しかし、多くの中小企業ではこれらの文書が適切に管理されておらず、導入後にトラブルが発生することが少なくありません。 本記事では、これらのドキュメントの役割や違い、記載すべき内容を解説します。 1.システム導入で必要な「要件定義書」「要求仕様書・RFP」 中小企業様に訪問やヒアリングをさせて頂く機会が多くある中で、既存システムの現状把握の際に伺うのは【既存システムにおける「要件定義書」「要求仕様書・RFP」】の話です。 システムをどういうコンセプトで導入したのか、どういう機能が実装されているのかを把握するために伺います。システム導入時には当然のようにあるべきドキュメントですが、残念ながら現実として、この資料がすぐに出てこないケースが多く、「要求仕様書がないパターン」は大変よくありますが(良いことではありませんが)、偶に「要件定義書もないパターン」ということもお聞きします。どうやってシステム導入したのか!?と思いますが、様々なベンダーさんがいる中でこれが実情とも感じます。 皆様もこれまでシステム導入を行ってきたと思います。改めてですが、今、手元に過去システム導入で作成した「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はありますか? 両方ない場合は、ほぼ間違いなく納品後にベンダーとトラブルになってきていると察しますが、いかがでしょうか。パッケージのカスタマイズする場合でもシステム導入する際には、このドキュメントがないとほぼ間違いなくベンダーとのトラブルになる。と感じています。 今回はなぜシステム導入で「要件定義書」「要求仕様書・RFP」が必要になるのかを解説してきたいと思います。 2.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」の違いとは?? 要件定義書・・・要件定義とは、開発者がプロダクト開発をするための仕様を定義したものです。要件定義を明文化した「要件定義書」は、ユーザー側の合意・了承を得るためのもので開発者側が作成します。 要求仕様書・RFP・・・要求定義はユーザーがプロダクト開発・システムに求める仕様を定義したものです。要求定義を明文化した「要求仕様書」は、プロダクト開発に対するオーダーを記したものになるため、ユーザー側が作成します。 要求定義は、プロダクト開発の上流工程として最も重要なプロセスです。 「要求定義→要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→リリース/運用」となります。 ユーザーが作成する要求仕様書とRFPも実は異なるドキュメントになるので、説明していきます。 RFPとは提案依頼書「RequestforProposal」の頭文字を取って「RFP」と呼ばれることもあります。外部業者へ発注しようとしている企業の担当者が、外部業者から提案をもらうために必要な要件をまとめた書類のことです。 要求仕様書の違いは、提案の求め方です。要求仕様書は、企業が自社で開発するソフトウェアやシステムの要件や仕様を明確にするために使用されます。一方、RFPは、外部業者からの提案を求めるために使用される文書であり、提案内容や提出期限、提案方法、評価方法などを明確に記載する必要があります。きちんとしたRFPは、外部業者側はどのような要件に基づいて提案すれば良いのかが明確になるので、自社の課題に沿った内容の提案を組み立てしやすくなるとともに、正確性の高い見積もりを導き出すことにもつながります。 3.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」がないトラブル事例 このようにシステム導入において、「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はとても重要なドキュメントとなります。 「要求仕様書・RFPがない」=開発者に伝えられるべきユーザーの要望が文書化されていない(ユーザー側で纏まっていない)。開発者にも明確に伝わっていない可能性が高い。 「要件定義書」=開発者が開発すべき機能が明確になっていない。ユーザー側もどんなものを開発者が作ろうとしているかをわかっていない。ということです。 要求仕様も要件定義書がない場合、ほぼ間違いなくシステムの納品後に以下のようなトラブルになります。 (口頭で)要望した機能が実装されていない(使い始めて気づいた) 機能は実装されているが気がするが、物凄く使い勝手が悪い。 システムが運用に即していない。 当初イメージしたシステムでない。(もっとスタイリッシュな画面を想像していた等) たとえ納品後に、ユーザー側にこういった不満があっても、要求仕様・要件定義書を作成してなれば、お互いに立ち返る根拠がありません。ドキュメントにしていれば、○○に明記されていると伝えることが出来ますが、ドキュメント化されていなければ「言った言わない」という話に終始して、お互いに歩み寄ることが出来なくなります。 この場合、泥沼化しながらユーザー側があきらめるか、開発側が作り直すか。二者択一になります。恐ましい話ですが、各地で実際によく起きているのが実情です。 システム導入が上手くいかなかった企業は多くあります。振り返ってみて、要求仕様書・要件定義書があったかどうか確認してみてください。もし、トラブルが起こった場合、自社は悪くない。ベンダーに問題があったと思いがちですが、 ユーザー側の要望は齟齬ないように明確に伝えられていたでしょうか? ベンダーが作成した要件定義書はきちんと読み込んでいたでしょうか? システム開発をベンダーに丸投げしていなかったでしょうか? ベンダーに要望を明確に伝えることも、ベンダーが開発しようとしているシステムについてしっかり理解しておくことも、開発中もきちんと要望したシステムが出来ているかを確認することも、全部ユーザー側の仕事となります。それを放棄することを、「ベンダーへの丸投げ」といいます。ベンダーへの丸投げのシステム開発はほぼうまくいきません。 いかがでしょうか。「要件定義書」「要求仕様書・RFP」に重要性について理解頂けたかと思います。システム導入においては、ユーザー側にも要望を明確にする義務があります。まずは何をしたいのか?はきちんと整理することから始めていきましょう。 4.要求仕様書に盛り込むべき内容 要求仕様書には、最低限下記の内容を盛り込みましょう。 事業の目的と背景:なぜこのシステム導入/ロボット導入が必要なのか、導入の目標は何かを示す明確な定義。 期待される成果:システム導入/ロボット導入を通じて達成したい具体的な成果や効果の列挙。 例えば、業務効率の向上、コスト削減、顧客満足度向上、売上増加など、数値化できる目標を設定することが重要です。 KPI (重要業績評価指標)を設定し、導入効果を測定できるようにしておきましょう。 セキュリティ対策に関する要件も忘れずに明記しましょう。 利用者の層や利用シーンを想定し、ユーザビリティを考慮した設計にする必要があります。 運用開始後の保守体制やサポート内容についても明確に定義しておきましょう。 要件定義書では、技術的な側面に焦点を当て、具体的な実現方法や進捗管理のポイントを明示しましょう。 技術的要件:システム導入/ロボット導入に必要な技術やプラットフォーム、開発言語などを具体的に指定。 クラウドサービスを利用する場合は、セキュリティレベルや可用性、拡張性などを考慮する必要があります。 ハードウェア要件を明確に定義し、必要なサーバー、ネットワーク機器などをリストアップしましょう。 機能仕様:システムやロボットが持つべき具体的な機能やモジュールを明確に定義。 ユーザーインターフェース(UI)や ユーザーエクスペリエンス(UX)に関する要件も盛り込み、使いやすさを考慮しましょう。 外部システムとの連携がある場合は、その範囲や方式、インターフェースなどを明確に定義する必要があります。 帳票出力やデータ分析など、必要な機能を網羅的に洗い出し、漏れがないようにしましょう。 検索機能やデータ表示に関する要件を明確にし、使いやすさを追求しましょう。 進捗管理と品質管理:プロジェクト進捗を管理する方法や品質を確保する手段を具体的に記載。 アジャイル開発のような柔軟な開発手法を採用する場合、その旨を明記し、進捗管理や品質管理の方法を具体的に示す必要があります。 プロジェクトのスケジュール、体制、担当、コミュニケーション方法などを明確にしておくことが重要です。 リスク管理計画を策定し、問題点が発生した場合の対応手順を明確化しておきましょう。 テスト段階では、想定される操作を網羅的に実施し、バグを発見し修正することで品質を確保しましょう。 これらの情報は、スムーズなプロジェクト進行に不可欠です。各文書の作成に充分な時間をかけ、関係者間での意見の一致を確認することがプロジェクト成功の鍵です。 5.まとめ システム導入を成功させるためには、「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」が不可欠です。これらの文書は、プロジェクト関係者間で認識を共有し、スムーズな開発と運用を促進するための重要なツールとなります。 要求仕様書では、事業の目的や期待される成果、利用者層などを明確に定義し、要件定義書では、技術的な要件、機能仕様、進捗管理と品質管理の方法などを具体的に記述します。 システム導入の際は、これらの文書を適切に作成し、管理することで、プロジェクトの成功率を高めることができます。 しかし、要件定義書や要求仕様書の作成は専門的な知識を必要とし、多くの時間と労力を費やす作業となります。船井総研では、お客様のシステム導入を成功に導くため、豊富な経験とノウハウを持つコンサルタントが、要求仕様書の作成支援や要件定義事項の精査をサポートいたします。 システム導入を成功に導くために欠かせないのが「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」です。 しかし、多くの中小企業ではこれらの文書が適切に管理されておらず、導入後にトラブルが発生することが少なくありません。 本記事では、これらのドキュメントの役割や違い、記載すべき内容を解説します。 1.システム導入で必要な「要件定義書」「要求仕様書・RFP」 中小企業様に訪問やヒアリングをさせて頂く機会が多くある中で、既存システムの現状把握の際に伺うのは【既存システムにおける「要件定義書」「要求仕様書・RFP」】の話です。 システムをどういうコンセプトで導入したのか、どういう機能が実装されているのかを把握するために伺います。システム導入時には当然のようにあるべきドキュメントですが、残念ながら現実として、この資料がすぐに出てこないケースが多く、「要求仕様書がないパターン」は大変よくありますが(良いことではありませんが)、偶に「要件定義書もないパターン」ということもお聞きします。どうやってシステム導入したのか!?と思いますが、様々なベンダーさんがいる中でこれが実情とも感じます。 皆様もこれまでシステム導入を行ってきたと思います。改めてですが、今、手元に過去システム導入で作成した「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はありますか? 両方ない場合は、ほぼ間違いなく納品後にベンダーとトラブルになってきていると察しますが、いかがでしょうか。パッケージのカスタマイズする場合でもシステム導入する際には、このドキュメントがないとほぼ間違いなくベンダーとのトラブルになる。と感じています。 今回はなぜシステム導入で「要件定義書」「要求仕様書・RFP」が必要になるのかを解説してきたいと思います。 2.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」の違いとは?? 要件定義書・・・要件定義とは、開発者がプロダクト開発をするための仕様を定義したものです。要件定義を明文化した「要件定義書」は、ユーザー側の合意・了承を得るためのもので開発者側が作成します。 要求仕様書・RFP・・・要求定義はユーザーがプロダクト開発・システムに求める仕様を定義したものです。要求定義を明文化した「要求仕様書」は、プロダクト開発に対するオーダーを記したものになるため、ユーザー側が作成します。 要求定義は、プロダクト開発の上流工程として最も重要なプロセスです。 「要求定義→要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→リリース/運用」となります。 ユーザーが作成する要求仕様書とRFPも実は異なるドキュメントになるので、説明していきます。 RFPとは提案依頼書「RequestforProposal」の頭文字を取って「RFP」と呼ばれることもあります。外部業者へ発注しようとしている企業の担当者が、外部業者から提案をもらうために必要な要件をまとめた書類のことです。 要求仕様書の違いは、提案の求め方です。要求仕様書は、企業が自社で開発するソフトウェアやシステムの要件や仕様を明確にするために使用されます。一方、RFPは、外部業者からの提案を求めるために使用される文書であり、提案内容や提出期限、提案方法、評価方法などを明確に記載する必要があります。きちんとしたRFPは、外部業者側はどのような要件に基づいて提案すれば良いのかが明確になるので、自社の課題に沿った内容の提案を組み立てしやすくなるとともに、正確性の高い見積もりを導き出すことにもつながります。 3.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」がないトラブル事例 このようにシステム導入において、「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はとても重要なドキュメントとなります。 「要求仕様書・RFPがない」=開発者に伝えられるべきユーザーの要望が文書化されていない(ユーザー側で纏まっていない)。開発者にも明確に伝わっていない可能性が高い。 「要件定義書」=開発者が開発すべき機能が明確になっていない。ユーザー側もどんなものを開発者が作ろうとしているかをわかっていない。ということです。 要求仕様も要件定義書がない場合、ほぼ間違いなくシステムの納品後に以下のようなトラブルになります。 (口頭で)要望した機能が実装されていない(使い始めて気づいた) 機能は実装されているが気がするが、物凄く使い勝手が悪い。 システムが運用に即していない。 当初イメージしたシステムでない。(もっとスタイリッシュな画面を想像していた等) たとえ納品後に、ユーザー側にこういった不満があっても、要求仕様・要件定義書を作成してなれば、お互いに立ち返る根拠がありません。ドキュメントにしていれば、○○に明記されていると伝えることが出来ますが、ドキュメント化されていなければ「言った言わない」という話に終始して、お互いに歩み寄ることが出来なくなります。 この場合、泥沼化しながらユーザー側があきらめるか、開発側が作り直すか。二者択一になります。恐ましい話ですが、各地で実際によく起きているのが実情です。 システム導入が上手くいかなかった企業は多くあります。振り返ってみて、要求仕様書・要件定義書があったかどうか確認してみてください。もし、トラブルが起こった場合、自社は悪くない。ベンダーに問題があったと思いがちですが、 ユーザー側の要望は齟齬ないように明確に伝えられていたでしょうか? ベンダーが作成した要件定義書はきちんと読み込んでいたでしょうか? システム開発をベンダーに丸投げしていなかったでしょうか? ベンダーに要望を明確に伝えることも、ベンダーが開発しようとしているシステムについてしっかり理解しておくことも、開発中もきちんと要望したシステムが出来ているかを確認することも、全部ユーザー側の仕事となります。それを放棄することを、「ベンダーへの丸投げ」といいます。ベンダーへの丸投げのシステム開発はほぼうまくいきません。 いかがでしょうか。「要件定義書」「要求仕様書・RFP」に重要性について理解頂けたかと思います。システム導入においては、ユーザー側にも要望を明確にする義務があります。まずは何をしたいのか?はきちんと整理することから始めていきましょう。 4.要求仕様書に盛り込むべき内容 要求仕様書には、最低限下記の内容を盛り込みましょう。 事業の目的と背景:なぜこのシステム導入/ロボット導入が必要なのか、導入の目標は何かを示す明確な定義。 期待される成果:システム導入/ロボット導入を通じて達成したい具体的な成果や効果の列挙。 例えば、業務効率の向上、コスト削減、顧客満足度向上、売上増加など、数値化できる目標を設定することが重要です。 KPI (重要業績評価指標)を設定し、導入効果を測定できるようにしておきましょう。 セキュリティ対策に関する要件も忘れずに明記しましょう。 利用者の層や利用シーンを想定し、ユーザビリティを考慮した設計にする必要があります。 運用開始後の保守体制やサポート内容についても明確に定義しておきましょう。 要件定義書では、技術的な側面に焦点を当て、具体的な実現方法や進捗管理のポイントを明示しましょう。 技術的要件:システム導入/ロボット導入に必要な技術やプラットフォーム、開発言語などを具体的に指定。 クラウドサービスを利用する場合は、セキュリティレベルや可用性、拡張性などを考慮する必要があります。 ハードウェア要件を明確に定義し、必要なサーバー、ネットワーク機器などをリストアップしましょう。 機能仕様:システムやロボットが持つべき具体的な機能やモジュールを明確に定義。 ユーザーインターフェース(UI)や ユーザーエクスペリエンス(UX)に関する要件も盛り込み、使いやすさを考慮しましょう。 外部システムとの連携がある場合は、その範囲や方式、インターフェースなどを明確に定義する必要があります。 帳票出力やデータ分析など、必要な機能を網羅的に洗い出し、漏れがないようにしましょう。 検索機能やデータ表示に関する要件を明確にし、使いやすさを追求しましょう。 進捗管理と品質管理:プロジェクト進捗を管理する方法や品質を確保する手段を具体的に記載。 アジャイル開発のような柔軟な開発手法を採用する場合、その旨を明記し、進捗管理や品質管理の方法を具体的に示す必要があります。 プロジェクトのスケジュール、体制、担当、コミュニケーション方法などを明確にしておくことが重要です。 リスク管理計画を策定し、問題点が発生した場合の対応手順を明確化しておきましょう。 テスト段階では、想定される操作を網羅的に実施し、バグを発見し修正することで品質を確保しましょう。 これらの情報は、スムーズなプロジェクト進行に不可欠です。各文書の作成に充分な時間をかけ、関係者間での意見の一致を確認することがプロジェクト成功の鍵です。 5.まとめ システム導入を成功させるためには、「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」が不可欠です。これらの文書は、プロジェクト関係者間で認識を共有し、スムーズな開発と運用を促進するための重要なツールとなります。 要求仕様書では、事業の目的や期待される成果、利用者層などを明確に定義し、要件定義書では、技術的な要件、機能仕様、進捗管理と品質管理の方法などを具体的に記述します。 システム導入の際は、これらの文書を適切に作成し、管理することで、プロジェクトの成功率を高めることができます。 しかし、要件定義書や要求仕様書の作成は専門的な知識を必要とし、多くの時間と労力を費やす作業となります。船井総研では、お客様のシステム導入を成功に導くため、豊富な経験とノウハウを持つコンサルタントが、要求仕様書の作成支援や要件定義事項の精査をサポートいたします。