ソーシャルエンジニアリング
近年、製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。
工場 DX とは、IoT やAI、ロボティクスなどの先進技術を活用して、生産プロセスの自動化・効率化を図る取り組みです。
一方で、この変革の過程でソーシャルエンジニアリングの脅威にさらされるリスクが高まっています。
ソーシャルエンジニアリングとは、人間の心理的な弱点を利用して、不正な目的のために個人情報や機密情報を入手する手口のことです。
工場 DX が進むにつれ、生産ラインの IoT 機器やシステムがサイバー攻撃の標的になる可能性が高くなります。
- ~目次~
- 1.ソーシャルエンジニアリング攻撃の主な手口
- 2.ソーシャルエンジニアリング攻撃被害リスク
- 3.ソーシャルエンジニアリング攻撃に対する対策
1.ソーシャルエンジニアリング攻撃の主な手口
a) プリテクストング
攻撃者が信頼を得るために、偽の身元や理由を作り出す手法です。
例えば、電話やメールを通じて、銀行員や IT サポート担当者を装って情報を要求するなどがあります。
b) フィッシング詐欺(スミッシング)
フィッシングは、メールやメッセージなどを通じて、被害者に偽の情報やリンクを送り、個人情報やアカウント情報を盗もうとする手法です。
リンクをクリックすることで悪意のあるウェブサイトに誘導され、そこで個人情報を入力させることがあります。
c) PC 画面などを覗き見し、パスワードなどを盗む(ショルダーハッキング)
「ショルダーハッキング」は、パソコンやスマートフォンを使用している人の背後などから画面をこっそり覗き込んで、入力中の ID とパスワードを記憶したり、機密情報が書かれているメールの内容を盗み見たりする手段です。
d) スケアウェア
スケアウェアとは、パソコンの画面上に「ウイルスに感染しました」「セキュリティに問題があります」などの警告文を表示させ、有料ソフトやサービスを購入させる手段です。
2.ソーシャルエンジニアリング攻撃被害リスク
a) データ漏洩
ソーシャルエンジニアリング攻撃によって、個人情報や機密情報が漏洩するリスクがあります。
攻撃者が収集した情報は、アイデンティティ盗難や不正アクセスなどの目的で悪用される可能性があります。
b) 組織の信頼性低下
偽の情報や詐欺行為に巻き込まれた場合、組織や個人の信頼性が損なわれる可能性があります。
c) 経済的損失
組織や個人が直接的または間接的に経済的な損失を被るリスクがあります。
例えば、詐欺や不正アクセスによって資金が盗まれる、ビジネス機会が失われる、あるいは従業員や顧客からの訴訟や賠償金が発生する可能性があります。
d) セキュリティリスクの拡大
組織のセキュリティリスクが拡大する可能性があります。
具体的には、攻撃者が成功すれば、その攻撃手法がより広範囲に広がり、他の悪意を持った者にも利用される可能性があります。
e) 法的および規制上の問題
個人情報の漏洩やセキュリティ違反が発生した場合、法的および規制上の問題が発生する可能性があります。
個人情報保護法や規制に違反することになり、罰則や罰金の対象となる可能性があります。
3.ソーシャルエンジニアリング攻撃に対する対策
a) 従業員の教育と意識向上
従業員に対して、ソーシャルエンジニアリング攻撃の手法やリスクについて教育し、警戒心を高めるトレーニングを実施します。
特に、フィッシングメールや偽の電話に対する警戒心を養うことが重要です。
b) 「多要素認証」導入など、不正ログインをさせない体制づくり
オンラインサービスやアカウントに対して、二要素認証を導入します。
これにより、不正なアクセスをより難しくし、セキュリティを強化します。
c) 定期的なセキュリティ監査
定期的にセキュリティ監査を実施し、システムやプロセスの脆弱性を特定し修正することが重要です。
また、セキュリティポリシーの遵守や従業員のセキュリティ意識を確認するための監査も行います。
d) インシデント対応計画の策定
インシデントが発生した場合の対応手順や連絡先を明確にし、迅速かつ効果的な対応を行うための計画を策定します。
これには、被害の最小限化や情報の公開を含みます。