過学習
製造業においてAIを活用することで、人材不足・技術継承といった課題の解決につながります。しかし、活用する上で注意すべきポイントが「過学習」です。
- ~目次~
- 1.過学習とは?
- 2.過学習の原因
- 3.過学習への対策
1.過学習とは?
統計や機械学習において、モデルが訓練データに過度に適合した結果、訓練データに過剰に適合してしまい、テストデータに適合できなくなる状態を指します。これはデータ分析でよく発生する問題です。
2.過学習の原因
過学習の原因には以下の3つが考えられます:
A. データ不足
アルゴリズムが優れていても、訓練データが不足しているとAIは正確な学習ができません。不十分なデータによりモデルがデータ内の小さな変動やノイズに敏感になり、過学習が起こります。特に複雑なモデルの場合はデータ不足が過学習の原因となるため、十分なデータ量を提供することが必要です。
B. データの偏り
機械学習は与えられたデータからしか学習できません。偏ったデータのみを学習させると、偏った分析や予測が生じます。精度の高い予測を得るためには、幅広いデータを大量に用意して学習させることが重要です。
C. モデルの複雑さ
多様なアルゴリズムを使用することで、高度な分析が可能になりますが、過学習のリスクも増大します。複雑なモデルは訓練データの細かい特徴にも敏感になる一方で、ノイズにまで適合する傾向があります。場合によっては、モデルの複雑さを調整する必要があります。
3.過学習への対策
A.正則化
正則化とは、モデルの複雑さを抑え、単純なモデルに戻す手法です。モデルの要素に対して削除・寄与の度合いを抑えるといった作用を加えることで過学習を回避します。正則化には以下の2種類があります:
- L1正則化:
– 余分な説明変数を減らし、必要な説明変数だけを残すことで過学習を防ぎます。 - L2正則化:
– 説明変数が多くない場合に、モデルを複雑化させている要素の影響を抑制し、過学習を防ぎます。L1正則化に比べて予測精度が高くなる傾向があります。
B.データを増やす
過学習を防止するためには、多くのデータを用意することが重要です。
データが少ない場合、モデルは特定のデータに適合しすぎてしまうリスクがあります。質も重視しつつ多様なデータを集めることが必要です。
C.アンサンブル学習
モデルやデータの一部分を利用して、複数の小さなモデルを作り、それらを統合する手法です。これにより、複雑性を減少させつつ、モデルの性能を向上させます。代表的なアンサンブル手法には以下の3つがあります:
- バギング:
– 複数のモデルでデータを学習し、それらを平均または多数決で統合する手法。 - ブースティング:
– 前の学習結果を次の学習に反映させる手法。 - スタッキング:
– 複数のモデルを階層的に積み上げて統合する手法。
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