製造業での革新の鍵を握る!スマートファクトリーとは!?
製造業において、ロボットやAI、IoTを活用したスマートファクトリーが注目されています。日本の製造業の現在の課題についてまとめながら、スマートファクトリーについてご説明します。
1.スマートファクトリーとは
近年、スマートファクトリーという言葉が注目されています。スマートファクトリーとは、ロボットやAI、IoTなどの最先端技術を工場での生産に取り入れることで製造業における革新的な変化を実現することです。
各国ではこのスマートファクトリーの実現に向けた取組が行われています。ドイツはインダストリーズ4.0、中国は中国製造2025といった構想を打ち出しており、国家戦略として推進を進めています。日本も、目指すべき将来像としてSociety5.0を掲げており、日本の産業が進むべき方向性として発信しています。これからの産業における成長のカギとなる大きなテーマがロボットやAI、IoTの活躍であるとされており、製造業においてこれらの最新テクノロジーを駆使することでスマートファクトリーが実現します。
2.スマートファクトリー化が必要な理由
日本の製造業はカイゼン活動などに積極的に取り組み、ロボットの導入も大企業を中心に広がっており、現在では約38万台ものロボットが稼働しているといわれています。こうした努力によって、日本の製造業は世界的にも高い生産性を実現してきました。しかし、現在の情勢を踏まえるとさらなる生産性向上にむけて、スマートファクトリー化を実現することの必要性が浮かび上がってきます。
スマートファクトリー化が必要な理由としては、日本が抱える大きな社会問題が影響しています。
日本は現在、少子高齢化社会、人口減少社会を迎えています。今後、労働力人口の減少はより深刻な問題となり、製造業においても働き手の確保は非常に重要な問題となってきます。
労働力の減少という問題に対して、高い生産性を維持・向上する解決策の一つがスマートファクトリー化です。
単純作業の繰り返しについては、ロボットにあらかじめ特定のプログラミングをしておくことで、製品を一定の品質で継続的に生産し続けることが出来ます。ただ、ロボットはプログラム通りに動くという定型作業に特化しており、人の感覚のようなカン・コツを反映することが難しい状況でした。
このような熟練作業とよばれていた工程に関しても、スマートファクトリー化が役に立ちます。画像処理や、力センサーのようなアプリケーションの発達で様々な作業の数値化を可能とし、ロボット化が加速します。
その結果、これまで属人化していた業務が新たな解決策と結びつくことで、作業の見える化、標準化へと結びついてきます。
IoTは全ての機器をネットワークにつなげることです。これまでのカイゼン活動で取得しきれなかった生産に関するデータも効率的に取得することができるようになります。そのことによって生産の見える化を実現し、より効率的な生産体制へと改善を図ることにつながります。
3.スマートファクトリー化の道筋
スマートファクトリー化を実現するにあたっては様々なステップが存在しています。
①構想
構想段階では、経営者や担当の方がスマートファクトリー化を推進する目的を明確にした上で、既存業務の見直しから始める必要性があります。スマートファクトリー化を行うことで実現したいことは何か。日常の運営において感じている課題や成し遂げたい理想を明確にして、機械設備の構想を進めていきます。また設備導入による費用対効果の分析も重要となります。
②設計
メーカーやSIerとの詳細なやり取りを行い、どのような機器構成でやりたいことが実現できるかを明確にします。必要な要件定義を行い、詳細を詰める作業が必要となります。
③テスト
AIやIoT導入ではPoC(Proof of Concept)と呼ばれる概念実証を行うことも必要となります。これまでにない新しいシステムを導入する際には、PoCを行うことで、実際に求める結果を得られるかを確かめます。もちろんのこと、ロボット導入においても必要な事です。
以上のような段階を進める必要があり、構想、設計、テストを実施し、修正を繰り返すことで理想に近いシステムを完成させるため、構想から運用までは半年から数年かかる場合も存在します。
構想、設計、システムのテスト導入などを経て、システムを発注し、実際の運用へとたどり着きます。そして、最終的には、現場で作業される方への教育など業務への落とし込みを行い、自社内で内製化していきます。
それぞれのスマートファクトリー化においては、導入される企業の業務に適した形にする必要があります。
ただAIやIoTを導入しただけでは効率的な生産体制を実現することはできません。
スマートファクトリー化を目的とすることなく、手段として適切に利用していくことが重要となります。
4.中小企業におけるスマートファクトリー化
AIやIoTといいった最新技術を用いた生産設備というと一部の大企業だけの話のように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、スマートファクトリーは一般的に中小企業と呼ばれる企業においてこそ、必要なものといえます。中小企業庁がまとめた『中小企業白書2018年』によると中小企業製造業の生産性は大企業の製造業と比べると4割程低いというデータも発表されています。
また同書において、中小製造業における人材不足についてもデータが発表されています。
従業員数が「過剰」と答えた企業の割合から、「不足」と答えた企業の割合を引いた従業員数過不足DIを確認すると、製造業においては-23.1となっており、従業員が不足していると回答した企業が多い結果となりました。製造業における従業員数過不足DIは10年近く、下がる傾向を続けており、人材不足は慢性的な製造業全体の課題となっています。
労働生産性の改善、人材不足の対策に向けて、中小企業においてもスマートファクトリー化を検討していくことが、今後の事業活動において重要となってきます。
今後、ロボットやAIは大企業が先行して導入してきましたが、むしろ中小企業にこそ必要となっているものです。
また、大企業は生産設備がかなり多く、システムも複雑です。中小企業は規模が小さいからこそ、大企業とは違った形でスマートファクトリー化を推進していく必要がありますが、規模が小さいからこそ、大企業には成し遂げられない無人工場:本当のスマートファクトリーが実現すると考えます。
ロボットやAI化は工場で働く人々に、より働きやすい環境を提供します。一般的に、AIやロボットが人の働く機会を奪うというイメージが世間にはあります。しかし、ロボット化やAI化が進むことによって、単純作業ではない創造的な仕事や付加価値の高い製品に時間を割くことができるようになり、これまで取り組むことができなかった仕事に対しても人々が取り組むことが出来るようになります。
5.まとめ
スマートファクトリーとは、ロボットやAI、IoTなどの技術を取り入れることで生産工程における見える化や効率化を図った工場のことです。ロボットやAI、IoT、を活用することで工場における生産性を向上することが出来ます。
これからの製造業において、スマートファクトリー化は必要不可欠な存在となっています。スマートファクトリー化やAI、ロボットに関してより詳しく話を聞きたいという方は、弊社、船井総合研究所のセミナーやコンサルタントとの無料個別経営相談もご利用ください。皆様の社業発展にお役立ちいたします。
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