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デジタルやAI、ロボットに関する技術用語集

産業用ロボット溶接センサー

産業用ロボット 溶接センサー

産業用ロボットは一般的に「教示された通りに、精度良く、くり返し動作する」もので、±0.1mm~0.5mm程の繰り返し精度をもちます。そのためロボット自体の精度としては悪いものではないのですが、溶接対象となるワークの切断誤差、仮付け誤差、母材のゆがみ・反り、熱変形などによって、ロボットに教示した動きと溶接線の位置とでずれが生じます。このように多くの場合ロボット自身の精度よりも、ワーク側に様々な要因によってズレが生じているため、それをいかに補正できるかが重要になります。このような誤差や変化をセンシングしてトーチ位置やロボットの軌道、溶接条件の修正を可能とするのがセンシング技術・機器です。ロボット溶接において一般的なセンサーは下記の通りです。

⚫接触式センサー
  • 接触プローブセンサー
  • ワイヤータッチセンサー
⚫非接触式センサー
  • アークセンサー
  • レーザーセンサー

それぞれの特徴をご紹介します。

➢接触プローブセンサー
トーチと一体で動作する接触子(プローブ)を開先に当て、プローブが溶接線に追従することで溶接位置を検出します。
➢ワイヤータッチセンサー
溶接ワイヤ自身を接触子として用いるもので、微弱電流を流した溶接ワイヤと被溶接物との接触により、溶接開始点や終了点、継手位置等を検出し、溶接前にティーチングの修正を行います。簡単な制御回路で構成でき、センサー機構や計測装置が不要なため経済的ですが、この方法はアーク発生中のリアルタイムの倣いではないため溶接線そのものの検出には不向きです。多くの場合、溶接前の溶接開始点検出用として用いられ、溶接線に追従するアークセンサーと併用する事も多いです。
➢アークセンサー
消耗電極アーク溶接を開先内でウィービングしながら行った時の、溶接電流またはアーク電圧の変化を検出し、トーチ位置の制御を行います。比較的低コストで、複雑な形状のワークへの対応、溶接中の熱変形にもリアルタイム追従が可能となります。逆にデメリットとしては、ウィービングを必要とするため実用溶接速度範囲は、1.5min/m 程度であり、薄板の小開先の場合,センシングできないことが多いです。
➢レーザーセンサー
レーザー光を照射するセンサーヘッドを溶接トーチと同様にロボットハンドに装着し、溶接前にレーザー光を被溶接物に照射して、形状の変化を読み取る事で、開先や溶接位置の検出を行います。
レーザー光の反射により2Dの点群データを読み取りロボット側にフィードバックしたのちに専用のソフトウェアにて点群データを編集、任意の設定した加工点を中心にロボットの加工プログラムが補正されます。センサーから得られた点群データ(各計測地点の座標を持ったデータ)を編集、加工する事で、複雑な形状の判別も可能なので、より幅広く応用が利くセンサーです。
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