DX GLOSSARY DX用語集

デジタルやAI、ロボットに関する技術用語集

デジタルツイン

原価計算や生産計画など、元来製造業では手元のデータを使って様々なシミュレーション・計算をして経営に活かしてきました。
近年DXやAIに注目が集まる中、製造業が行ってきたシミュレーションに変化が生じています。
今回は、製造業のシミュレーションに大きな影響を与える「デジタルツイン」という技術についてご紹介いたします。

~目次~
Ⅰ.デジタルツインとは
Ⅱ.注目されている背景
Ⅲ.製造業との関係性・メリット

Ⅰ.デジタルツインとは

デジタルツインとは、現実世界に存在する物理的なモノから収集した様々なデータをデジタルの仮想空間上に再現する技術、を指します。
文字通り、現実世界をデジタル空間に再現することで、現実世界の「ツイン=双子」を仮想空間上に作り出します。
デジタルツインによって再現された環境を活用することで、リアルタイムで現実性の高い・高精度なシミュレーションを行うことができるようになります。

Ⅱ.注目されている背景

デジタルツインの注目度・重要度が高まっている背景には、技術発展が関係しています。

まず挙げられるのは、機械からデータを収集する場面での技術です。具体的には、IoT機器の高性能化が該当します。
IoTとは「モノのインターネット化」を指し、現実に存在する物理的なモノがインターネットと接続することです。
従来製品や機械の稼働状況といった物理的なモノの情報は、人の手によって収集・入力することでデータ化・デジタル化してきました。
そのためデータ化までに時間がかかり、また転記による入力ミスも高確率で生じていました。
しかし、機械に装着してデータを収集するIoTセンサーが小型化・軽量化・低価格化、つまり高性能化したことによって、比較的安価に現実世界の情報を正確にかつリアルタイムで収集できるようになりました。

また、人が入力してデータ収集する場面での技術も発展しました。具体的にはウェアラブル端末の技術です。
スマートフォンやタブレット、スマートウォッチなど持ち運びやすい端末により、日報や修理記録などの機械から直接取得しない定性的なデータもリアルタイムで更新できるようになりました。

さらに、データ活用の場面の技術も発展しています。VR・ARなどの技術です。
VR(Virtual Reality:仮想現実)は専用ゴーグルなどの機器を装着して仮想空間に没入することができます。
AR(Augmented Reality:拡張現実)は現実世界の風景にデジタルのバーチャル情報を重ねて表示することで、仮想空間に入ったような感覚を得ることができます。
これらの技術によって、デジタルツインがより身近になりました。

Ⅲ.製造業との関係性・メリット

デジタルツインと製造業との関係性は、シミュレーション、にあります。
デジタルツインの技術によりシミュレーションの質が向上し、それによって製造業は下記のようなメリットを享受できるようになります。

メリット①:生産性向上
機械の稼働・負荷状況がリアルタイムで把握できるようになるため、最適な生産計画や人員配置がシミュレーションできるようになる。
メリット②:業務効率化
最適な生産計画がシミュレーションされることにより、製造体制や製造プロセスも改善され、業務が効率化される。
メリット③:コスト削減
仮想空間上で設計・試作ができるようになるため、実際に試作品を生産するより材料費・工数が節約でき、コスト削減につながる。
メリット④:製品改善
自社機械設備・出荷する自社製品にIoT機器を装着してリアルタイムデータを取得することで、エラー・故障時の原因解明・予測が可能になり、その情報を基に製品の改善が可能になる。
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