テーラードブランク
従来、補強部品を組み付けることで強度を増していた鋼板ですが、新しい解決策として強度が欲しいところに板厚や材質の異なる鋼板を溶接する「テーラードブランク」を提案させていただきます。
- ~目次~
- 1.テーラードブランクとは
- 2.起こりうる不良について
- 3.主な検査手法
1.テーラードブランクとは
テーラードブランクとは板厚や材質の異なる複数種類の鋼板を溶接でつなぎ合わせてできた一枚の鋼板やその工程を指します。
メリットとしては補強部品を組み付ける手間が不要になるという点になります。
従来は出来上がった鋼板に対し、補強部品を組み付けておりましたが、テーラードブランクでは適した場所に材料をつなぎ合わせることで、部分的に強度を増すことが可能となり補強部品が不要となります。
また、補強部品が不要となりますので軽量化ができるといったさらなるメリットも生まれます。
2.起こりうる不良について
テーラードブランクはメリットばかりではございません。
組み付けての際に不良が生じる可能性ございますので、不良の種類や要因についてご紹介いたします。
- アンダーフィル
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溶接ビードの厚みが鋼板に比べて薄くなることを指します。
この部分に力が集中するため、破断などの原因になります。 - 溶接割れ(クラック)
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溶接割れはその名の通り溶接ビードやその周辺に割れが生じることを指します。
原因といたしましては急熱急冷による熱ひずみが主なものになります。
対策といたしましては、鋼板の材質選びや溶接条件の変更などで防ぐことが可能となります。
また、溶接中や溶接直後に発生する溶接割れを高温割れ、冷却後から2,3日後に発生したものは低温割れと言われます。 - アンダーカット
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溶接ビードの両端に陥没部分ができる欠陥のことになります。
アンダーカットが生じた部分ではクラックが発生することがございます。
溶接電流や溶接速度が高すぎることが主な原因となりますので、溶接電流や溶接速度を低く設定することが必要になります。
3.主な検査手法
溶接後の検査手法としては表面検査と内部検査に大別されます。
表面検査の手法といたしましては、目視のほか、磁粉を使用いたします磁粉探傷検査や、特殊な液体を使用いたします、浸透探傷検査などがございます。
内部検査の手法といたしましては超音波や放射線による検査が一般的になります。
また、内部の状態確認のためにも破壊検査も一般的になりますが、手間がかかることや材料の消費などが課題となります。
今回紹介いたしましたテーラードブランクは部品点数の削減や軽量化、コスト低減などにかかわる技術として関心が高まっております。
また、近年では3D画像検査なども可能となっており、さらなる発展が期待されております。
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