部門別個別原価計算
目次
1.部門別個別原価計算とは
部門別個別原価計算は、製造業において各部門や製品ごとの原価を計算し、管理する方法です。
製造業では大きく「製品製造に直接かかわる部門」と「製品製造に直接かかわらない部門」の2つに分けられます。
製品製造に直接かかわる部門(直接工)
例)マシニング・MC部門、プレス部門、溶接部門、鋳造部門等
製品製造に直接かかわらない部門(間接工またはその他従業員)
例)生産管理部門、品質保証部門、品質管理部門、生産技術部門、修繕部門、事務部門等
2.費用配賦の種類とメリット・デメリット
これらの部門別にかかる原価を計算し管理することを部門別原価計算といいます。
部門別に製品個別にかかった原価を計算し管理することを部門別個別原価計算といいます。
直接工における原価(製造直接費)はどの製品にかかった費用であるのかが明らかであるため、部門別個別原価計算は比較的容易に計算が可能です。
しかし、間接工またはその他従業員における原価(製造間接費)に関してはどの製品にどれだけの費用が掛かったのかが明らかではないため、一定の配賦基準に基づいて個別原価計算がされます。
製造間接費を製品個別に配賦する方法は主な種類を紹介します。
直接配賦法
直接配賦法は、部門別の製造間接費を「すべて製造部門への費用である」とみなし、それぞれの部門にかけた時間の比で配賦します。
相互配賦法
相互配賦法は、部門別の製造間接費を「製造部門への費用の他、製造間接部門への費用も考慮する」という考え方で配賦する考え方です。
3.製造業における部門別個別原価計算の重要性
製造するにあたって、工程内不良における修繕費用や設備修理費用等は必ず発生します。これらの費用がどのように部門別費用に加算されるのかを把握しないと、製品個別原価の計算をする際に正確な原価計算が出来なくなってしまい、製品別の原価構造を把握することが出来なくなってしまいます。
上記のような課題があるものの、原価計算にかかる手間によってなかなか詳細に把握することができていないのが現状です。
原価計算の手間を少なくする方法として、次項に述べるBIツールを活用する方法があります。
4.BIツールを活用した原価管理方法
「3.製造業における部門別個別原価計算の重要性」でも記載したように、個別原価計算は細かい集計作業が必要であるため原価管理業務の工数がかかります。
このデメリットを解消するためにBIツールを活用することが今後の製造業における原価管理では必要になると考えられます。
BI(Business Intelligence)ツールを活用することで、個別原価計算を効率的に行うことが可能になります。これらのツールはデータ集計・データ加工・可視化をローコードで設定して保存することができ、データが更新された際に自動で最新のデータを表示させることができるものになっています。また、クラウド上で閲覧できるソフトが多くあるため、それらを利用することで出張先でも自社の最新の原価情報を把握することができるようになります。
BIツールを活用して大量のデータを分析し、可視化することで、製品ごとの原価や利益をリアルタイムで把握することができます。また、BIツールは予測分析やシミュレーション機能も備えているソフトもあり、より効果的な原価管理が可能となります。
参照:BIツールとは