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デジタルやAI、ロボットに関する技術用語集

自律移動ロボット(AMR)

自律移動ロボット(AMR)は、製造業や物流業界で注目が高まっている次世代の無人搬送ロボットです。
従来の無人搬送車(AGV)が固定された誘導経路に沿って移動するのに対し、AMRはセンサーとソフトウェアにより自律的にナビゲーションできるのが大きな特徴です。
自身の位置を高精度に把握しながら、動的な障害物を自動回避して最適な経路を選択し、目的地まで自走することができます。
このため、作業環境の変化にも柔軟に対応でき、生産ラインのレイアウト変更時にも、ルートの再設定が容易にできます。

~目次~
1.自律移動ロボットの特徴
2.自律移動ロボットと日本の中小製造業との関連性
3.今後の展望

1.自律移動ロボットの特徴

AMRには高性能なセンサー群が搭載されており、レーザースキャナーやカメラ、LiDAR(光検出と距離計測)などから得られる環境データと、SLAM(同時位置推定と地図作成)などのアルゴリズムを組み合わせて自己位置を把握しています。
障害物検知機能も備わっており、人や他の移動体を検知するとすぐに停止したり回避経路を選択したりと、安全性の高い自律移動を実現しています。

さらに、先進的なAMRには協調制御機能やAI予測機能が搭載されている場合もあります。
複数のAMRが運行ルートを予め協調して決めることで、渋滞や衝突を回避でき、効率的な運用が可能です。
また、AIが人の動作パターンを学習することで、人との協働時の動作を最適化できます。

AMRの大きな利点は、固定レイアウトに縛られないフリーナビゲーション性にあります。
設備のレイアウト変更や生産ラインの仕様変更があっても、AMRはすぐに新しい最適経路を選択できます。
また、AMRの台数を増減させることで、柔軟に搬送能力を調整できるメリットもあります。

2.自律移動ロボットと日本の中小製造業との関連性

自律移動ロボットと日本中小製造業との関連性
日本の中小製造業においては、人手不足対策や作業の効率化が大きな課題となっています。
AMRの導入はこうした課題解決に大きく寄与すると期待されています。

従来の大型無人搬送車は、初期導入コストが高額で小規模工場には馴染みにくい面がありました。
しかし、AMRはコンパクトで設置スペースも小さくて済むため、中小企業の製造現場でも比較的導入がしやすいです。

また、AMRは固定レイアウトでないため、限られた作業スペースを最大限に有効活用できます。
機器のレイアウトを自在に変更できる点も、中小企業の小ロット生産にマッチしています。
無人で確実な搬送作業を実現できるAMRにより、中小製造業の生産性と作業効率が飛躍的に向上することが期待できます。

3.今後の展望

AMRの技術はますます高度化が進むと予想されています。
AIシステムの搭載により自律移動のさらなる知能化が図られ、より高度な周辺環境予測や、臨機応変な経路選択・動作制御が可能になるでしょう。
災害現場や狭小空間など、過酷な環境下での活用も視野に入ってくるかもしれません。

さらに、5G通信やエッジコンピューティングなど、最新のネットワーク技術との連携により、AMRと製造ラインやクラウドの連動がシームレスに行えるようになれば、AMRを中核とした場内物流の高度な自動化・最適化が実現可能です。
ビッグデータ解析も加わり、AIによる需要予測や在庫管理の知能化も進展するでしょう。

また、AMRの無人自動化技術は物流現場にも大きなインパクトを与えるはずです。
倉庫内の搬送のみならず、街中を自律的に移動して宅配業務までをこなすロボットの実用化も現実味を帯びてきています。
中小製造業への波及効果として、無人宅配による納期短縮や在庫削減などのメリットも期待できるかもしれません。

このように、AMRを中核とした無人自動化の発展は、中小製造業のさらなる生産性向上と新ビジネスモデル創出の手段ともなりうる、極めて重要な技術分野だと言えます。

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