記事公開日:2022.07.15
最終更新日:2023.03.22

DX事例研究会6月開催レポート!
本コラムにて講座内容を一部公開!

製造業におけるDX事例研究会を6月に開催しました!
今回はその一部をご紹介致します。

1.DX成功事例の概要

①事業再構築補助金を活用した一品一様製品の溶接ロボット導入成功事例
ポイント
・一品一様製品のティーチングレス自動化および誰でもできる化
・事業再構築補助金を活用した低投資のロボット導入
導入概要
・ワークについ
 長さ:200mm~5000mm
 径:20A~30A
 直管と直管・直管と曲げパイプなど加工も様々

・ロボットシステム
・2台の溶接ロボットとスライダー・ポジショナーを導入し、自動化
・ロボットへのワークの投入も誰でもできる化
・レーザーセンサーを持たせることで、精度の向上を実現

②属人化業務を効率化・標準化!生産管理・原価管理システム導入最新事例
ポイント
・鋳造、加工、仕上げ、塗装、検査など工程毎の原価把握実現
・リアルタイムに近い製造進捗の見える化を実現
・金型のショット数管理を把握できる仕組み化が実現
・購買業務の自動化による発注担当者の業務軽減
・ダンボール等の消費財の在庫管理も実現
・データベースとExcelの連携により、二重三重入力の廃止

2.事業再構築補助金を活用した一品一様製品の溶接ロボット導入成功事例

■ロボットシステムの概要
ワークの長さについては200mm~5000mm、径についても20A~30Aと非常に幅広く、直管と直管をつなげる・直管と曲げパイプをつなげるなど加工方法も様々であるためまさに一品一様で熟練技術が必要な職人技であった。当然、職人による手作業によって加工を行っていた。
これに対し、今回は2台の溶接ロボットとワークをスライドさせるスライダー、ワークを回転させるポジショナーを活用して自動化に成功。ロボットスライダーを活用することによって、幅広い寸法の様々な形状の配管TIG溶接を自動化している。
また、ロボットが仮付けから本溶接まで行うため、ロボットへのワークの投入は誰でも行うことが可能。
一品一様の製品へのティーチングを毎回行っていては工数がかかってしまうので今回導入したロボットシステムではタッチパネルの操作と現物の位置合わせのみで、最初に最低限のティーチングを行うだけで、それ以降は幅広い寸法の溶接をティーチングレスで可能。加えて、今回のロボットシステムにはレーザーセンサーを採用しており、リアルタイムで母材への位置や距離、開先形状等を検出可能にすることで高精度な溶接を実現。

■ロボット導入に至った経緯
ロボットを導入するに至った経緯としては「属人的な業務」への打開策として取り組まれており、属人化された業務の課題としては「生産量が少なくなってしまう」ことや「人によって作業時間のばらつきが生じてしまう」といった一部の熟練者に負担がかかってしまうものであった。また、外部的要因としてはコロナウイルスやロシア・ウクライナ情勢の影響から、原材料費の高騰のあおりを受けロボットによる省人化・省力化などのコストカットに踏み切ったことも挙げられる。
今回、挑戦的なロボット化に踏み切った理由は率先して新しい取り組み雄行うことで周囲へのアピールとなり、地域の活性化にもつながるとのお考えがあったため。

■技術的課題
先進的な機械導入のため一筋縄ではいかず、多品種であるが故のシステムの複雑化という課題や人手の作業による精度のばらつきがロボットの作業工程に影響を及ぼすなどの課題も生じた。システムの複雑化においては昇降機構やスライダー、レーザーセンサーの導入により投資対効果が見込めるほどまで向上し、人手作業による精度のばらつきは半自動化を行うことで制度を安定させることに成功。
ロボット導入の際の懸念点もあり、一品ごとのティーチングは手間である。ということやロボットの溶接技術は要求されるレベルに達しているか。というものが挙げられた。ティーチングの手間に関してはタッチパネルやレーザーセンサーを用いてティーチングレスを実現。溶接技術に関しては、事前テストを行うことでレベルの確認を行った。

■事業再構築補助金の活用と導入によるメリット
ものづくり補助金を進めていこうと考えていたが、より高額な補助金を受け取ることが可能な事業再構築補助金へシフトし、見事4880万円のロボットを手出し1980万円での導入に成功。単純に1980万円というと簡単なポジショナーとロボットのみとなってしまうのでそこまで価格を抑えてのロボット導入は非常に魅力的。
事業展開については特定のお客様に依存してしまわないよう、新分野に進出しようと画策していた時にちょうどタイミングがかみ合った形であった。高度な管理体制を求められる分野である一方、高付加価値で商品を提供できることもあり、挑戦する価値のあるものであった。
ロボット導入のメリットとして、品質・精度の安定や仕上がり具合がロボットの方が優れている点も多く、お客様からの反響も多数あった。
ポイントとしてはやってみて分かることが多いので、まずは話を聞いてみる・相談するなど動いてみることが大切である。

3.属人化業務を効率化・標準化!生産管理・原価管理システム導入最新事例

■改善前の業務・システムの課題:
改善前において課題がかなり存在しています。まずは業務ごとに複数のシステムあるいはソフトが使用されていること。受注関連、原価管理、会計関連、生産関連、購買関連と勤怠管理はそれぞれ異なるシステムを使用されています。そのために連携のないシステムの間での情報共有は、データダウンロードし他のシステムにインプットする必要があり、二重あるいは三重入力が生じました。従業員の退職に伴って、システム上の変更も分からなくなっています。それ以外にも、紙帳票などもかなり多かったです。
また実際の業務中において属人的な業務も多く存在しています。例えば在庫の数は把握していなかったこと。8割程度の商品マスターしか登録されていなく、棚卸しの数は合わない場合もよくありました。そのために受注と在庫のバランスは把握しにくくなります。
生産に関して、生産計画をうまく組むことができませんでした。至急の注文が殺到したら、生産計画の山崩しもできず、人海戦術になっていました。それ以外にも工程の進捗は把握していなく、営業側への納期の回答は勘と経験に頼り、属人的な業務が多くありました。
原価管理に関しては、原価管理の方法が荒すぎて見積の際には同じく勘と経験になってしまっていました。標準原価と実際原価の差異分析が出来ておらず、原価を把握していませんでした。

課題のまとめ:
・システム運用およびシステム間の連携に関するルールが明確になっていない
・理論在庫があっていない(製品在庫は8-9割登録)
・生産計画が属人的な運用になっている(人海戦術)
・棚卸に時間を要している
・標準原価と実際原価の差異分析ができていない

■プロジェクトの立ち上げと推進
今回のシステム刷新の目的として業務改革を踏まえて業務改革をしながら、業務の効率化と同時に、標準化、データ化を推進すること、ブラックボックスの属人化をなくすこと、製造過程の見える化を目的としました。
システム刷新を決めた社長は、自らプロジェクトオーナーになり、プロジェクトの目的をプロジェクトメンバーに伝えていました。プロジェクトメンバーがしっかり理解し、他の人に共有するようになっていました。コンセプトとして、カスタマイズ無しで、パッケージに合わせるようにやっていくと社長が決めています。どうしてもカスタマイズの必要性が発生した場合は、稼働後にプラスの運用としてカスタマイズをするようになっていました。

次に、業務と工程の流れを確認しました。マスターデータの作成には時間がかかるため、何を優先して稼働していきたいのかを考えながら、導入スケジュールをより細かく設定しました。

プロジェクトの進め方として、まず現状業務、システム(業務詳細、ツール名、インプット、アウトプット、作業ボリューム)を整理することで、部署間共通の業務手順、あるいは実際に使っていないものを洗い出し、それぞれの業務の運用方法を検討し、方向性を決めました。また新システムの業務運用フロー(変わる業務の整理)を想定しました。ここにおいてデータ、帳票の分類、業務を担う部署は間違いがないか、運用流れなどの確認を行いました。
システムの導入にあたり、カスタマイズがないため、各業務においての運用方法を工夫し、システムの受入テストを行いました。

成功のポイント:
・社長がプロジェクトオーナーとなり、プロジェクトを推進すること
・部長クラスの方1名をキーマン、若手社員1名がほぼ専任でプロジェクトを推進
・システム上の判断を迅速に判断すること
・既存の必要のない帳票を70%程度整理したこと

導入効果:
・業務流れは一気通貫になった
・工程進捗が見れるようになった
・発注業務時間の軽減
・指示書通りに製造できるようになった
・在庫管理と自動発注ができるようになった
・製品別の原価が見れるようになった
・伝票入力がほとんどなくなった
・他のシステム、ソフトの使用頻度が低くなった

■まとめ
今回のプロジェクトにあたって、経営者が率先してDX化を推進することとキーマン選定することは導入成功のポイントとなっています。より改善活動を徹底的に行うようになりました。さらに仕組みとして原価、利益の見える化も実現され、製品個別、取引先別、工程別の実際原価を把握できるようになりました。見積を上げる、工程を改善し工数を減らす、など現場の改善ができて結果、経営改善に繋がっていきます。

 
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■レポートの概要
原材料費や資材費の高騰、燃料費アップに物流費アップ、さらには、外注費の高騰に特殊技術職の採用コストも上昇。あらゆる業界において急激なコストアップが現実の経営課題として突き付けられています。このような原材料やエネルギーコストの乱高下時代であるからこそ、本格的にDXを推進し、高効率かつ高生産性を実現できる体制作りが必須となります。本レポートでは、国内製造業のDX実践事例として、AI・ロボットの導入事例をご紹介いたします。

■このレポートを読んで学べること
・インフレ時代突入に伴い、国内製造業が取るべき戦略がわかる!
・国内製造業におけるAI導入事例がわかる!
・国内製造業におけるロボット導入事例がわかる!

■目次
原材料コスト高騰&原油高騰!企業経営としては難しい舵取りが続く見込み
国内製造業の取るべき戦略:原材料やエネルギーコストの乱高下時代であるからこそDX化!
国内製造業AI導入事例①
国内製造業AI導入事例②
国内製造業ロボット導入事例①
国内製造業ロボット導入事例②

DX事例研究会の詳細はこちら
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