製造業AI活用、画像認識とAI
画像認識による外観検査は、人の経験に左右されない品質の標準化と効率向上を目的としています。ここでは、「画像認識」の中でも、従来の目視によるヒューマンエラーを減らすことができる「AIによる画像認識」についてご紹介します。
目次
1.製造業における外観検査の重要性と目視外観検査
製造業における外観検査は、部品や製品の品質が規定値に達しているか、評価する工程を指します。良品・不良品の判断、言い換えると、「欠陥がないかをチェック」します。
日本だけでなく、世界的に納品状態の精度は年々厳しくなっています。納品先でトラブルになる前に、品質を保証するために、外観検査を行います。
画像認識システムの導入により、部品や製品の表面に付着した異物や汚れ、傷、バリ、欠け、変形などを検査することも広まっていますが、現状「目視検査」で行っている場合もまだまだ多くみられます。
「目視検査」では、品質が安定しない場合、人員を増員することや、検査員一人当たりの検査項目を増やすことになりますが、目視による検査は判断基準が曖昧になりやすく、検査項目数やその日の疲労によってヒューマンエラーが発生しやすくなるため、根本的な解決に至っていません。
2.画像認識による外観検査とAIによる外観検査の違い
従来の画像認識技術の場合、対象物の位置や角度、形状、寸法、数量などのモデルデータを元に、検査対象物や検査対象項目に応じて適切な判定ロジックを用いて異常の特定を行います。画像から特徴を抽出しやすい単純な欠点項目(傷の有無)の場合、従来の外観検査でも十分実用に耐える検査精度を実現できることが多くあります。
しかし、作業員の経験と知識が必要とされてきた熟練技術者による外観検査の場合、欠点項目のモデル化が困難な場合が多く、結果的に完全な省人化を達成できるレベルを実現することが難しい場合が多くあります。その結果、部分的な少人化にとどまり、省人化まで至らず、想定していた効果を出せないケースがあります。
こういった課題に対してAIを活用することで解決に至るケースがあります。
熟練技術者が必要な外観検査とは以下のような検査となります。
- 素地の模様がある対象物の傷・打痕
- 一見ではわからない、判断するのに経験が必要される傷・打痕
作業者の経験と知識が必要だった良否判定が難しい事例でも、AIでは学習用のデータ(写真)を準備することで良否判定の精度を高めることが可能です。現場では判定ロジックのモデル化を如何に定義するかを考える必要はなく、適切な学習用データの準備(=OK/NG撮像)に注力すればよいシンプルさが魅力です。
3.「AIによる画像認識」においても重要なのは「撮像」
AIとは、過去のデータから特徴を分析し、経験則的に高い精度で予測・分類を行うことができるプログラム機能のことを指します。
「AIによる画像認識」とは、検査カメラで撮った画像をAIに取り込み、既に学習済みのデータと比較することで良品・不良品を判定するシステムのことです。「AI」と聞くと、言葉の響きによって「AI」が注視されがちですが、「AIによる画像認識」においても重要なのは、カメラの役割である「撮像(=写真を撮ること)」です。
前述のように、画像認識には、対象となる画像(=撮像したもの)が存在します。この時使用するカメラは、私たちが普段デジカメで撮るような、焦点の当てたいものだけがはっきり映り、遠くがぼやけて見えるような、自動的に焦点を合わせる機能を持ち合わせているカメラではありません。それでは、傷などの認識が曖昧になるため、検査に適していません。対象物に適した工業用カメラのレンズを適切に絞り、ピントを合わせ、適切なフィルターをかけた上で、コントラストを確認できた画像(傷・打痕が確認できる画像)がAIによる画像認識でも必要となります。当然ですが、傷や打痕が見えていないものをAIに渡しても正しく判定することはできません。
AIにおける外観検査でも「撮る」工程は重要であり、また、精度よく撮像するために、たくさんの要素が必要となります。例えば、コントラストを認識するには、照明装置は必須です。検査対象物の検査位置を明確にし、照明の当て方によって検出対象の傷や歪みなどの欠陥を明らかにすることも撮像において、重要なパラメータの1つになります。
4.今後「AIによる画像認識」に期待されること
身近な存在になりつつある顔認証システムや、本記事でご紹介した外観検査、がんや脳血管などの異常を見抜くための医用画像診断、画像内の文字の翻訳など、様々な場面で「画像認識」が活用されています。
製造業や工場に焦点を当ててみると、AIによる画像認識で、以下のような様々な事例に対して活用が期待されます。
- ロボットでの従来の画像認識では難しかったピッキング作業
- AI監視カメラによる設備故障予兆
- 点検・巡回業務で発生するメーターの検針値のAIによる自動読み取り
- 手書きでの資料の自動テキスト化
以上のように、AIによる画像認識の活用分野は幅広く、今後もその可能性は広がっていくものと見られます。
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