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2025国際ロボット展 徹底視察レポート ~AIが「身体」を手に入れた日。製造・物流現場はどう変わるのか?~

2025.12.11

2025国際ロボット展(iREX2025)、皆様は行かれましたでしょうか? 今回は私、徳竹が東ホールから西ホールまで足を棒にして歩き回り、メーカー担当者に突撃インタビューをしてきた内容を余すことなくお伝えします。 今回の視察を通じて強く感じたのは、ロボットはもはや「プログラム通りに動く機械」ではなく、「AIが物理世界(フィジカル)に干渉するためのインターフェース」になりつつあるということです。 会場全体を見渡すと、正直なところ、機構やモーターといった「ロボット単体」のハードウェア的な目新しさは、前回(2023年)と比べてもほとんどありませんでした。 しかし、その中身(ソフトウェア・知能)は別次元の進化を遂げています。 本レポートでは、AIの熱狂から物流現場の泥臭い実利、そして「渋い」周辺機器の革新まで、忖度なしの「現場のリアル」をお届けします。 1. 「脳」の進化が、常識を覆す まず衝撃を受けたのは、AIとロボット制御の融合レベルです。 ■ FANUC:Physical AIによる「スキル」の伝承 FANUCのブースでは、NVIDIAとの協業によって実現した、単なる生成AI連携を超えた「Physical AI」の概念が提示されていました。 これまでの産業用ロボットは「プログラム通りに動く」ことしかできず、ワークの公差や微妙なズレで嵌合(かんごう)に失敗すると、即座にエラー停止してしまうのが常識でした。これが現場における「チョコ停」の主因であり、自動化の壁でもありました。 しかし、今回展示された最新のAI搭載機は、「失敗からリカバリーする方法」を自律的に考えます。 その裏側にあるのは、デジタルツイン(仮想空間)での膨大な試行錯誤です。 ロボットはサイバー空間内で何千、何万回ものシミュレーションを超高速で行い、「どう動かせば上手く入るか?」という正解を探索します。その過程で、熟練工が無意識に行っている「カン・コツ(例:挿入がきつい時は、少し力を抜いてグリグリと回しながら押し込む、など)」をロボットが自ら獲得し、その学習済みのスキルモデルを実機に転送して実行するのです。 人間がコードを書いて教えるのではなく、ロボットが自ら試行錯誤して最適解を見つける。まさに「ロボットがスキルを習得し、職人の技を継承する」時代の到来を強烈に感じさせる展示でした。 ■ Eureka Robotics:”見えない・掴めない”を攻略 AIビジョンベンチャーのEureka Roboticsは、さらに実践的な課題解決を見せてくれました。 従来のバラ積みピッキングでは、「互いに絡まってしまうワーク」や「照明を反射する光沢ワーク」、「背景と同化する黒色ワーク」は検出が難しく、敬遠されがちでした。 しかし彼らのAIは、これらを高精度に認識するだけでなく、「どう動かせば絡まりが解けるか」まで自律的に判断してピッキングを行います。 2. 【トレンド】ヒューマノイドの「夢」と遠隔操作の「現実」 ■ ヒューマノイドは「展示会映え」止まりか? 今回のiREXで最も視覚的なインパクトを与えていたのは、間違いなくヒューマノイド(人型ロボット)でしょう。会場を見渡せば、まさに「ヒューマノイド博覧会」の様相を呈していました。 大手メーカーが存在感を示す一方で、中国新興ベンチャーが、「フィジカルAI」の波に乗って自社製ヒューマノイドや上半身ロボットを披露していました。 AMR(台車)の上に人型の上半身を載せて物流倉庫内を動き回るデモや、二足歩行で荷物を運ぶデモは、確かに未来を感じさせ、多くの来場者の足を止めていました。 しかし、現場の実装責任者としての視点で冷静に見ると、「これ、明日からウチの工場で使えますか?」という問いに対する答えは「No」と言わざるを得ません。 展示されている機体の多くは、タクトタイム(作業速度)、連続稼働の耐久性、そして何よりコストパフォーマンスの面で、既存の専用機や産業用ロボットに遠く及びません。 あくまで「研究開発」フェーズの成果発表や、自社の技術力を誇示するための「参考出典」レベルに留まっているものが大半です。 「展示会映え」する派手なパフォーマンスの裏で、泥臭い製造・物流現場が求める「安くて、速くて、壊れない」という実利的な要求に応えられるヒューマノイドが登場するには、もう少し時間が必要なようです。 ■ 3K職場を救う「遠隔操作」の実装 ~「行かなくていい」が採用を変える~ AIによる完全自動化が「王道」だとすれば、もう一つの現実的な解として今回完全に定着したのが「遠隔操作(テレオペレーション)」です。 2023年の前回展では「未来の技術」として実験的な展示が目立ちましたが、通信速度の向上と低遅延技術の確立により、今回は明らかに「実用フェーズ」に入りました。 その象徴と言えるのが、高丸工業が展示していた「WELDEMOTO」などのソリューションです。 ここでターゲットになっているのは、「AIによる完全自動化は難易度が高すぎるが、人間が生身で行うには過酷すぎる」という領域、いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」職場です。 鋳造現場の「ノロ取り」: 1000度を超える炉の前での高熱・粉塵作業は、若手のなり手がいない筆頭です。しかし、これを冷房の効いた安全な部屋からジョイスティックで操作できれば、採用のハードルは劇的に下がります。 大型金属部品の加工(切断・研磨): グラインダー作業特有の激しい振動や騒音は、作業者の健康被害(白蝋病など)のリスクと隣り合わせです。ロボット越しに作業することで、身体的負荷をゼロにできます。 リモート溶接: 熟練工が作業着ではなくスーツを着て、快適なオフィスから遠く離れた工場の溶接を行う。そんな「製造業のリモートワーク」が現実味を帯びてきました。 また、力覚フィードバック技術により、ロボットが掴んだ「硬さ」や「重さ」の感覚がそのままオペレーターの手に伝わるデモも行われていました。これにより、繊細な力加減が必要な作業すら遠隔化が可能になります。 「完全自動化は無理だが、人は行きたくない」。 そんな現場の切実な悲鳴に対し、AIに全てを丸投げするのではなく、「人の技(スキル)だけを、安全な場所から現場に届ける」というアプローチは、人手不足解消の即効性ある手段として、今後急速に普及していくことは間違いありません。 会場であるベンチャー企業が語っていたAI×ロボットの「未来のビジネスモデル」の話が非常に示唆に富んでいたので、共有します。 彼らは、「ロボットを人が遠隔操作する真の目的は、単なる作業代行だけではない」と言います。 世界中の工場にロボットを配置し、現地の作業員がそれを遠隔操作で動かす。その膨大な操作ログこそが、AIにとっての「良質な学習データ(正解データ)」になるというのです。 人がロボットを動かす時間は「労働」ではなく「AIへの教育(ティーチング)」となり、そうして蓄積された「デジタル化された技能(スキルデータ)」こそが、ハードウェア以上に価値ある商品として売買される未来を描いていました。 「ロボットを入れる」から「ロボットでデータを採る」へ。 2025年のiREXは、製造業の価値の源泉が「モノ」から「データ(技能)」へと完全にシフトし始めたことを告げる、象徴的な展示会だったと言えるでしょう。 3. 物流・倉庫業界の「爆発的ニーズ」と「価格破壊」 華やかな未来技術が並ぶホールとは対照的に、物流・倉庫エリアは、ある種異様な「切実な熱気」に包まれていました。ここにあるのは「夢」ではなく、「明日の出荷をどうにかしたい」「人がいなさすぎてラインが止まる」という、現場からの悲鳴にも似たニーズです。 ■ 「積む・運ぶ」の徹底的な自動化:難易度の壁を越えた 会場を歩いて驚かされたのは、パレタイズ(荷積み)、デパレタイズ(荷下ろし)、そしてピースピッキングの展示数が異常なほど多かったことです。 以前であれば「同じサイズのダンボールを積む」だけの単純なデモが多かったのですが、今回はレベルが違います。 AIビジョンを駆使して「サイズ違いの箱がランダムに混載されたパレット」から荷下ろしをするデモや、物流現場特有の「カゴ車(ロールボックスパレット)への積み込み」といった、これまで自動化が難しかった領域への提案が目立ちました。 「2024年問題」以降、待ったなしの状況にある物流業界に対し、メーカー側も「実戦投入可能」なレベルまで技術を引き上げてきた印象です。 ■ 中国・海外勢の攻勢と価格破壊 そして、このエリアで無視できないのが、中国系メーカーを中心とした圧倒的なコストパフォーマンスです。もはや「安かろう悪かろう」の時代は終わりました。 AGV/AMR(搬送ロボット)のコモディティ化: 会場の床を埋め尽くすように走っていた搬送ロボットですが、ハードウェアとしては完全にコモディティ化しています。驚くような低価格で「A地点からB地点へ運ぶ」という機能が手に入るようになり、導入のハードルは劇的に下がっています。 協働ロボットの価格破壊: 最も衝撃的だったのは、エンドユーザー価格で50万円台という協働ロボットの登場です。 日本メーカー製が高機能化・高価格化する一方で、「そこまでのAIはいらない。単純にワークを動かしたいだけ」という層に対し、この価格帯は強烈に刺さります。中小企業の現場では、これらが最適解になるケースも多いでしょう。 溶接パッケージの民主化: 物流だけでなく、製造エリアでも価格破壊は起きています。 以前ならシステム全体で1000万円コースだった溶接自動化が、中国製ロボットと安価な溶接機のパッケージ製品により、数百万円台で導入可能になっています。 「高嶺の花」だったロボット溶接が、町工場でも手の届くツールになった。この事実は、日本の製造業の裾野を広げる大きなチャンスと言えます。 4. 個人的に唸らされた「尖った」現場ソリューション 最後に、個人的に「これは面白い!」「現場の常識を変える」と感じた展示を2つ紹介します。 ■ ダイヘン:レール不要の「移動溶接」 ダイヘンの展示は毎回面白いですが、今回は「AMR × 協働ロボット溶接」の組み合わせが秀逸でした。 超大型のワーク(構造物)を溶接する場合、従来はロボットを走らせるための長い走行レールを敷設する必要がありました。 しかし今回の展示では、AMRが自律的に移動し、位置補正を行いながら溶接していくデモを披露。 「ワークが大きすぎて設備が入らない」と諦めていた現場でも、これなら導入できる可能性があります。精度や安全性の面で要検討事項はありますが、固定設備の呪縛から解き放たれるワクワクするアイデアでした。 ■ 北川鉄工所:「Tナットプラス」が変える段取りの常識 一見地味ですが、現場のプロが最も「おっ」となるのが北川鉄工所です。 特に注目すべきは「Tナットプラス」です。 ロボットハンドの爪(ジョー)交換を自動化しようとすると、従来はシュンクジャパンの「クイックジョーチェンジ」のような特殊かつ高価なチャックに総入れ替えする必要がありました。 しかし、このTナットプラスを使えば、今使っている標準的なチャックのまま、爪の自動交換が可能になります。 爪を変えても位置がズレないため、面倒な調整なしですぐに次の生産に入れます。 これは、多品種少量生産で頻繁に段取り替えが発生する中小企業の現場にとって、極めてROI(費用対効果)の高いソリューションです。 4. 総括:データを制する者が製造業を制する ~「モノ」から「技能(スキル)」へ。価値の転換点に立つ~ 最後に、今回の2025国際ロボット展(iREX)全体を貫く巨大な潮流と、我々が持ち帰るべき「宿題」についてお話しします。 ■ ロボットは「主役」から「インターフェース」へ 冒頭でも触れましたが、今回の展示会で最も衝撃的だった事実は、「ロボットというハードウェア自体の進化は、実はほとんどなかった」ということです。 モーターが劇的に小さくなったわけでも、アームの動きが目に見えて速くなったわけでもありません。 しかし、その意味合いは劇的に変わりました。ロボットはもはや、単独で動く自動機ではなく、「AIという巨大な知能が、物理世界(フィジカル)に干渉するための手足(インターフェース)」へと再定義されたのです。 ■ 「技能(スキル)」が売買される未来 会場で聞いた、ある企業の将来構想が脳裏から離れません。 その企業は来年、海外に大きな工場を建てる計画ですが、そこで行われるのは単なる大量生産ではありません。 「自社のロボットを現地の作業員に操作させ、その動きを全てログとして吸い上げる。そして、集めた膨大な『作業データ』をAIに学習させ、最終的にはその『技能(スキル)』そのものを外販するビジネスモデルを作る」と語っていました。 これは何を意味するのでしょうか? それは、製造業の戦い方が「優れた製品を作って売る」ことから、「現場の熟練技能をデジタルデータ化し、AIという資産に変えて売る」ことへとシフトし始めたことを示唆しています。 人がロボットを遠隔操作する時間は、単なる労働ではなく、「AIへの教育(ティーチング)」という価値ある時間に変わるのです。 ■ 「高機能AI」と「激安ハード」の二極化 一方で、足元の現実を見れば、市場は完全に二極化しています。 片や、FANUCのような大手メーカーのように、最先端のAIを搭載して「職人の勘所」まで再現しようとするハイエンドな世界。 片や、AI機能はそこそこでいいから、とにかく安く・大量に導入できる中国製ロボットやパッケージ製品の世界。 経営者の皆様は、この両極端な選択肢の前で、冷静な判断を迫られています。 全てをAI化する必要はありません。単純な搬送作業なら50万円のロボットで十分です。しかし、会社のコアとなる「匠の技」や、3K現場の「人手不足解消」には、コストを掛けてでも最新のAIや遠隔操作技術を導入し、データを蓄積する価値があります。 ■ 結びに 2025年のiREXは、「AIの魔法」と「現場の悲鳴」が交差する、かつてない熱量を持った展示会でした。 ヒューマノイドが歩き回る未来にワクワクしつつも、足元では北川鉄工所のような「渋い」治具技術で稼働率を上げ、海外製の安いロボットで人手不足を埋める。 そんな「したたかなハイブリッド戦略」こそが、これからの不確実な時代を生き抜く鍵になると確信しています。 「AIなんてウチには関係ない」と通り過ぎるか、それとも「この安いロボットに、ウチの職人の技を覚え込ませたらどうなるか?」と一歩踏み出すか。 その意識の差が、5年後の企業の姿を決定づけるでしょう。 【無料オンライン相談のご案内】 今回のロボット展レポートをお読みになり、「自社にはどのロボットが合うのか?」「AI活用をどこから始めればいいか?」といった疑問をお持ちになった経営者様へ。 船井総合研究所では、「無料オンライン相談」を実施しております。 無料オンライン相談とは:当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談をお受けすることです。 専門家が直接担当: 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 まずは体験を: 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができます。 「何から手をつければいいかわからない」という段階でも構いません。ぜひこの機会をご活用いただければ幸いでございます。 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html 2025国際ロボット展(iREX2025)、皆様は行かれましたでしょうか? 今回は私、徳竹が東ホールから西ホールまで足を棒にして歩き回り、メーカー担当者に突撃インタビューをしてきた内容を余すことなくお伝えします。 今回の視察を通じて強く感じたのは、ロボットはもはや「プログラム通りに動く機械」ではなく、「AIが物理世界(フィジカル)に干渉するためのインターフェース」になりつつあるということです。 会場全体を見渡すと、正直なところ、機構やモーターといった「ロボット単体」のハードウェア的な目新しさは、前回(2023年)と比べてもほとんどありませんでした。 しかし、その中身(ソフトウェア・知能)は別次元の進化を遂げています。 本レポートでは、AIの熱狂から物流現場の泥臭い実利、そして「渋い」周辺機器の革新まで、忖度なしの「現場のリアル」をお届けします。 1. 「脳」の進化が、常識を覆す まず衝撃を受けたのは、AIとロボット制御の融合レベルです。 ■ FANUC:Physical AIによる「スキル」の伝承 FANUCのブースでは、NVIDIAとの協業によって実現した、単なる生成AI連携を超えた「Physical AI」の概念が提示されていました。 これまでの産業用ロボットは「プログラム通りに動く」ことしかできず、ワークの公差や微妙なズレで嵌合(かんごう)に失敗すると、即座にエラー停止してしまうのが常識でした。これが現場における「チョコ停」の主因であり、自動化の壁でもありました。 しかし、今回展示された最新のAI搭載機は、「失敗からリカバリーする方法」を自律的に考えます。 その裏側にあるのは、デジタルツイン(仮想空間)での膨大な試行錯誤です。 ロボットはサイバー空間内で何千、何万回ものシミュレーションを超高速で行い、「どう動かせば上手く入るか?」という正解を探索します。その過程で、熟練工が無意識に行っている「カン・コツ(例:挿入がきつい時は、少し力を抜いてグリグリと回しながら押し込む、など)」をロボットが自ら獲得し、その学習済みのスキルモデルを実機に転送して実行するのです。 人間がコードを書いて教えるのではなく、ロボットが自ら試行錯誤して最適解を見つける。まさに「ロボットがスキルを習得し、職人の技を継承する」時代の到来を強烈に感じさせる展示でした。 ■ Eureka Robotics:”見えない・掴めない”を攻略 AIビジョンベンチャーのEureka Roboticsは、さらに実践的な課題解決を見せてくれました。 従来のバラ積みピッキングでは、「互いに絡まってしまうワーク」や「照明を反射する光沢ワーク」、「背景と同化する黒色ワーク」は検出が難しく、敬遠されがちでした。 しかし彼らのAIは、これらを高精度に認識するだけでなく、「どう動かせば絡まりが解けるか」まで自律的に判断してピッキングを行います。 2. 【トレンド】ヒューマノイドの「夢」と遠隔操作の「現実」 ■ ヒューマノイドは「展示会映え」止まりか? 今回のiREXで最も視覚的なインパクトを与えていたのは、間違いなくヒューマノイド(人型ロボット)でしょう。会場を見渡せば、まさに「ヒューマノイド博覧会」の様相を呈していました。 大手メーカーが存在感を示す一方で、中国新興ベンチャーが、「フィジカルAI」の波に乗って自社製ヒューマノイドや上半身ロボットを披露していました。 AMR(台車)の上に人型の上半身を載せて物流倉庫内を動き回るデモや、二足歩行で荷物を運ぶデモは、確かに未来を感じさせ、多くの来場者の足を止めていました。 しかし、現場の実装責任者としての視点で冷静に見ると、「これ、明日からウチの工場で使えますか?」という問いに対する答えは「No」と言わざるを得ません。 展示されている機体の多くは、タクトタイム(作業速度)、連続稼働の耐久性、そして何よりコストパフォーマンスの面で、既存の専用機や産業用ロボットに遠く及びません。 あくまで「研究開発」フェーズの成果発表や、自社の技術力を誇示するための「参考出典」レベルに留まっているものが大半です。 「展示会映え」する派手なパフォーマンスの裏で、泥臭い製造・物流現場が求める「安くて、速くて、壊れない」という実利的な要求に応えられるヒューマノイドが登場するには、もう少し時間が必要なようです。 ■ 3K職場を救う「遠隔操作」の実装 ~「行かなくていい」が採用を変える~ AIによる完全自動化が「王道」だとすれば、もう一つの現実的な解として今回完全に定着したのが「遠隔操作(テレオペレーション)」です。 2023年の前回展では「未来の技術」として実験的な展示が目立ちましたが、通信速度の向上と低遅延技術の確立により、今回は明らかに「実用フェーズ」に入りました。 その象徴と言えるのが、高丸工業が展示していた「WELDEMOTO」などのソリューションです。 ここでターゲットになっているのは、「AIによる完全自動化は難易度が高すぎるが、人間が生身で行うには過酷すぎる」という領域、いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」職場です。 鋳造現場の「ノロ取り」: 1000度を超える炉の前での高熱・粉塵作業は、若手のなり手がいない筆頭です。しかし、これを冷房の効いた安全な部屋からジョイスティックで操作できれば、採用のハードルは劇的に下がります。 大型金属部品の加工(切断・研磨): グラインダー作業特有の激しい振動や騒音は、作業者の健康被害(白蝋病など)のリスクと隣り合わせです。ロボット越しに作業することで、身体的負荷をゼロにできます。 リモート溶接: 熟練工が作業着ではなくスーツを着て、快適なオフィスから遠く離れた工場の溶接を行う。そんな「製造業のリモートワーク」が現実味を帯びてきました。 また、力覚フィードバック技術により、ロボットが掴んだ「硬さ」や「重さ」の感覚がそのままオペレーターの手に伝わるデモも行われていました。これにより、繊細な力加減が必要な作業すら遠隔化が可能になります。 「完全自動化は無理だが、人は行きたくない」。 そんな現場の切実な悲鳴に対し、AIに全てを丸投げするのではなく、「人の技(スキル)だけを、安全な場所から現場に届ける」というアプローチは、人手不足解消の即効性ある手段として、今後急速に普及していくことは間違いありません。 会場であるベンチャー企業が語っていたAI×ロボットの「未来のビジネスモデル」の話が非常に示唆に富んでいたので、共有します。 彼らは、「ロボットを人が遠隔操作する真の目的は、単なる作業代行だけではない」と言います。 世界中の工場にロボットを配置し、現地の作業員がそれを遠隔操作で動かす。その膨大な操作ログこそが、AIにとっての「良質な学習データ(正解データ)」になるというのです。 人がロボットを動かす時間は「労働」ではなく「AIへの教育(ティーチング)」となり、そうして蓄積された「デジタル化された技能(スキルデータ)」こそが、ハードウェア以上に価値ある商品として売買される未来を描いていました。 「ロボットを入れる」から「ロボットでデータを採る」へ。 2025年のiREXは、製造業の価値の源泉が「モノ」から「データ(技能)」へと完全にシフトし始めたことを告げる、象徴的な展示会だったと言えるでしょう。 3. 物流・倉庫業界の「爆発的ニーズ」と「価格破壊」 華やかな未来技術が並ぶホールとは対照的に、物流・倉庫エリアは、ある種異様な「切実な熱気」に包まれていました。ここにあるのは「夢」ではなく、「明日の出荷をどうにかしたい」「人がいなさすぎてラインが止まる」という、現場からの悲鳴にも似たニーズです。 ■ 「積む・運ぶ」の徹底的な自動化:難易度の壁を越えた 会場を歩いて驚かされたのは、パレタイズ(荷積み)、デパレタイズ(荷下ろし)、そしてピースピッキングの展示数が異常なほど多かったことです。 以前であれば「同じサイズのダンボールを積む」だけの単純なデモが多かったのですが、今回はレベルが違います。 AIビジョンを駆使して「サイズ違いの箱がランダムに混載されたパレット」から荷下ろしをするデモや、物流現場特有の「カゴ車(ロールボックスパレット)への積み込み」といった、これまで自動化が難しかった領域への提案が目立ちました。 「2024年問題」以降、待ったなしの状況にある物流業界に対し、メーカー側も「実戦投入可能」なレベルまで技術を引き上げてきた印象です。 ■ 中国・海外勢の攻勢と価格破壊 そして、このエリアで無視できないのが、中国系メーカーを中心とした圧倒的なコストパフォーマンスです。もはや「安かろう悪かろう」の時代は終わりました。 AGV/AMR(搬送ロボット)のコモディティ化: 会場の床を埋め尽くすように走っていた搬送ロボットですが、ハードウェアとしては完全にコモディティ化しています。驚くような低価格で「A地点からB地点へ運ぶ」という機能が手に入るようになり、導入のハードルは劇的に下がっています。 協働ロボットの価格破壊: 最も衝撃的だったのは、エンドユーザー価格で50万円台という協働ロボットの登場です。 日本メーカー製が高機能化・高価格化する一方で、「そこまでのAIはいらない。単純にワークを動かしたいだけ」という層に対し、この価格帯は強烈に刺さります。中小企業の現場では、これらが最適解になるケースも多いでしょう。 溶接パッケージの民主化: 物流だけでなく、製造エリアでも価格破壊は起きています。 以前ならシステム全体で1000万円コースだった溶接自動化が、中国製ロボットと安価な溶接機のパッケージ製品により、数百万円台で導入可能になっています。 「高嶺の花」だったロボット溶接が、町工場でも手の届くツールになった。この事実は、日本の製造業の裾野を広げる大きなチャンスと言えます。 4. 個人的に唸らされた「尖った」現場ソリューション 最後に、個人的に「これは面白い!」「現場の常識を変える」と感じた展示を2つ紹介します。 ■ ダイヘン:レール不要の「移動溶接」 ダイヘンの展示は毎回面白いですが、今回は「AMR × 協働ロボット溶接」の組み合わせが秀逸でした。 超大型のワーク(構造物)を溶接する場合、従来はロボットを走らせるための長い走行レールを敷設する必要がありました。 しかし今回の展示では、AMRが自律的に移動し、位置補正を行いながら溶接していくデモを披露。 「ワークが大きすぎて設備が入らない」と諦めていた現場でも、これなら導入できる可能性があります。精度や安全性の面で要検討事項はありますが、固定設備の呪縛から解き放たれるワクワクするアイデアでした。 ■ 北川鉄工所:「Tナットプラス」が変える段取りの常識 一見地味ですが、現場のプロが最も「おっ」となるのが北川鉄工所です。 特に注目すべきは「Tナットプラス」です。 ロボットハンドの爪(ジョー)交換を自動化しようとすると、従来はシュンクジャパンの「クイックジョーチェンジ」のような特殊かつ高価なチャックに総入れ替えする必要がありました。 しかし、このTナットプラスを使えば、今使っている標準的なチャックのまま、爪の自動交換が可能になります。 爪を変えても位置がズレないため、面倒な調整なしですぐに次の生産に入れます。 これは、多品種少量生産で頻繁に段取り替えが発生する中小企業の現場にとって、極めてROI(費用対効果)の高いソリューションです。 4. 総括:データを制する者が製造業を制する ~「モノ」から「技能(スキル)」へ。価値の転換点に立つ~ 最後に、今回の2025国際ロボット展(iREX)全体を貫く巨大な潮流と、我々が持ち帰るべき「宿題」についてお話しします。 ■ ロボットは「主役」から「インターフェース」へ 冒頭でも触れましたが、今回の展示会で最も衝撃的だった事実は、「ロボットというハードウェア自体の進化は、実はほとんどなかった」ということです。 モーターが劇的に小さくなったわけでも、アームの動きが目に見えて速くなったわけでもありません。 しかし、その意味合いは劇的に変わりました。ロボットはもはや、単独で動く自動機ではなく、「AIという巨大な知能が、物理世界(フィジカル)に干渉するための手足(インターフェース)」へと再定義されたのです。 ■ 「技能(スキル)」が売買される未来 会場で聞いた、ある企業の将来構想が脳裏から離れません。 その企業は来年、海外に大きな工場を建てる計画ですが、そこで行われるのは単なる大量生産ではありません。 「自社のロボットを現地の作業員に操作させ、その動きを全てログとして吸い上げる。そして、集めた膨大な『作業データ』をAIに学習させ、最終的にはその『技能(スキル)』そのものを外販するビジネスモデルを作る」と語っていました。 これは何を意味するのでしょうか? それは、製造業の戦い方が「優れた製品を作って売る」ことから、「現場の熟練技能をデジタルデータ化し、AIという資産に変えて売る」ことへとシフトし始めたことを示唆しています。 人がロボットを遠隔操作する時間は、単なる労働ではなく、「AIへの教育(ティーチング)」という価値ある時間に変わるのです。 ■ 「高機能AI」と「激安ハード」の二極化 一方で、足元の現実を見れば、市場は完全に二極化しています。 片や、FANUCのような大手メーカーのように、最先端のAIを搭載して「職人の勘所」まで再現しようとするハイエンドな世界。 片や、AI機能はそこそこでいいから、とにかく安く・大量に導入できる中国製ロボットやパッケージ製品の世界。 経営者の皆様は、この両極端な選択肢の前で、冷静な判断を迫られています。 全てをAI化する必要はありません。単純な搬送作業なら50万円のロボットで十分です。しかし、会社のコアとなる「匠の技」や、3K現場の「人手不足解消」には、コストを掛けてでも最新のAIや遠隔操作技術を導入し、データを蓄積する価値があります。 ■ 結びに 2025年のiREXは、「AIの魔法」と「現場の悲鳴」が交差する、かつてない熱量を持った展示会でした。 ヒューマノイドが歩き回る未来にワクワクしつつも、足元では北川鉄工所のような「渋い」治具技術で稼働率を上げ、海外製の安いロボットで人手不足を埋める。 そんな「したたかなハイブリッド戦略」こそが、これからの不確実な時代を生き抜く鍵になると確信しています。 「AIなんてウチには関係ない」と通り過ぎるか、それとも「この安いロボットに、ウチの職人の技を覚え込ませたらどうなるか?」と一歩踏み出すか。 その意識の差が、5年後の企業の姿を決定づけるでしょう。 【無料オンライン相談のご案内】 今回のロボット展レポートをお読みになり、「自社にはどのロボットが合うのか?」「AI活用をどこから始めればいいか?」といった疑問をお持ちになった経営者様へ。 船井総合研究所では、「無料オンライン相談」を実施しております。 無料オンライン相談とは:当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談をお受けすることです。 専門家が直接担当: 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 まずは体験を: 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができます。 「何から手をつければいいかわからない」という段階でも構いません。ぜひこの機会をご活用いただければ幸いでございます。 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html

物流倉庫の人手不足は「大型マテハン」では解決しない。協働ロボットで実現する、柔軟で低コストな自動化戦略

2025.12.08

EC市場の爆発的な拡大を背景に、物流倉庫の現場はこれまでにないプレッシャーに晒されています。取り扱う商品数は増え続け、配送リードタイムは短縮の一途。にもかかわらず、それを支える「人手」は慢性的に不足しており、人海戦術による現場運営は限界を迎えています。 「自動化しなければパンクする」という危機感は誰もが持っています。しかし、これまで物流自動化の主役だった自動倉庫(AS/RS)や大規模なコンベアシステムといった「大型マテハン機器」は、現代の目まぐるしく変化する物流現場のニーズと、必ずしもマッチしなくなってきています。 この記事では、大型マテハンが抱える課題を浮き彫りにし、その解決策として、既存の倉庫にそのまま導入できる「協働ロボット」を活用した、柔軟で低コストな自動化戦略を提案します。 1. なぜ、物流倉庫の課題は「大型マテハン」だけで解決できないのか? これまで、物流センターの自動化といえば、建屋の設計段階から組み込まれるような大型マテハン機器が主流でした。しかし、多くの現場がその導入に二の足を踏んでいます。 1-1. 「初期投資が巨大すぎる」:回収リスクと荷主契約のジレンマ 最大の壁はコストです。自動倉庫や大規模なソーターシステムは、数億円〜数十億円規模の投資が必要になります。 3PL(サードパーティ・ロジスティクス)などの場合、荷主との契約期間は数年単位であることが多く、巨額投資の回収見通しが立ちにくいという構造的なジレンマがあります。 1-2. 「柔軟性がない(硬直化)」:レイアウト変更と波動対応の壁 大型マテハンは一度設置すると、床にアンカー固定され、簡単には動かせません。 しかし、現代の物流は、取扱品目の変化や、お中元・年末商戦といった季節波動(繁閑の差)が激しく、柔軟なレイアウト変更や人員配置が求められます。「高価な設備を入れたが、商材が変わって使えなくなった」「繁忙期しか稼働せず、投資対効果が悪い」という事態に陥りやすいのです。 1-3. 「設置スペースの問題」:既存倉庫への後付けが困難 すでに稼働している既存の倉庫に、大型設備を後付けするのは至難の業です。設置には広大なスペースが必要であり、工事期間中は操業を止めなければならないため、機会損失も甚大です。 2. 物流現場の救世主。「動かせる自動化」協働ロボットが選ばれる3つの理由 こうした大型マテハンの弱点を補完し、物流現場の新しい自動化の選択肢として注目されているのが「協働ロボット」です。 2-1. 【柔軟性】キャスター付き架台で「必要な時に、必要な場所へ」移動可能 協働ロボットは小型・軽量であるため、キャスター付きの移動架台に載せて運用することができます。 「午前中は入荷エリアでデバンニング支援、午後は出荷エリアで梱包作業」といった具合に、波動に合わせて必要な場所に移動させ、フレキシブルに活用できます。これは固定設備には絶対に真似できない最大のメリットです。 2-2. 【省スペース】安全柵が不要。既存の作業ラインにそのまま後付け 協働ロボットは、人との接触を検知して安全に停止する機能を備えており、適切なリスクアセスメントのもと、安全柵なしで設置できます。 人が作業している既存の梱包ラインや、狭い通路脇のスペースにそのまま「後付け」で導入できるため、大規模なレイアウト変更工事は不要です。 2-3. 【スモールスタート】ボトルネック工程だけの「部分自動化」から始められる 「倉庫全体を一気に自動化」する必要はありません。 「梱包のテープ貼り作業だけ」「特定のエリアの仕分けだけ」といった、最も人手がかかっているボトルネック工程から、スモールスタートで自動化を始めることができます。効果を見ながら、徐々に台数を増やしていく段階的な導入が可能です。 3. 倉庫内作業のどこを自動化する?協働ロボットの得意な3大用途 では、具体的に倉庫内のどのような作業に協働ロボットが使えるのでしょうか。代表的な3つの用途を紹介します。 3-1. 【用途1:梱包・封函】製函から商品投入、テープ貼りまでを自動化 EC物流で最も人手を要する梱包工程は、協働ロボットの得意領域です。 ダンボールを組み立てる(製函)、ピッキングされた商品を箱に入れる、緩衝材を入れる、そして最後にテープで封をする(封函)。これら一連の作業を、ロボットと専用機を組み合わせて自動化します。特に、サイズの異なるダンボールが混在するラインでも、カメラと連携して柔軟に対応可能です。 3-2. 【用途2:ピースピッキング補助】人と協調し、歩行ロスを削減する 広い倉庫内を歩き回って商品を集めるピースピッキングは、作業時間の半分以上が「歩行時間」と言われています。 協働ロボットを搭載したAGV(無人搬送車)や、自律走行型の協働ロボット(AMR)が人の代わりに倉庫内を移動し、人は特定エリアでのピッキング作業に集中する。こうした「人とロボットの協調」により、歩行ロスを劇的に削減できます。 3-3. 【用途3:方面別仕分け・ソーター投入】多様な荷姿に対応し、高速に仕分ける 梱包が完了した荷物を、配送キャリア別や方面別に仕分ける作業も自動化可能です。 コンベアから流れてくる様々なサイズ・形状のダンボールを、カメラで認識し、協働ロボットが吸着ハンドなどでピックアップして、指定のカゴ車やパレットに仕分けていきます。従来の大型ソーターよりも省スペースかつ低コストに導入できます。 4. 大型マテハンの1/10のコスト?「FAIRINO」で始める物流DX 柔軟性が高い協働ロボットですが、導入コストが高ければ、波動の激しい物流現場では投資回収が難しくなります。そこで最適な選択肢となるのが、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る「FAIRINO」です。 4-1. 圧倒的な低価格が、波動(繁閑差)の激しい現場での投資回収を可能にする FAIRINOは、一般的な他社製協働ロボットの半額〜2/3程度の価格帯で導入可能です。 物流現場のように「繁忙期はフル稼働だが、閑散期は稼働率が下がる」という環境下でも、初期投資が低ければ投資回収期間を短縮でき、導入リスクを大幅に低減できます。 4-2. 「固定設備」vs「柔軟なロボット」。リスクとコスト構造の比較 大型マテハンは「高固定費・低変動費」型ですが、一度入れたら変更がききません。対してFAIRINOを活用したロボットセルは「低固定費・柔軟対応」型です。変化の激しい現代の物流においては、後者のほうが経営リスクを抑えられる賢い選択と言えるでしょう。 図1:固定的な大型マテハンと、柔軟な協働ロボットのリスクとコスト構造比較 5. まとめ:まずは自社の倉庫に「合うか合わないか」の診断から 物流倉庫の自動化は、もはや数億円の投資ができる大企業だけのものではありません。FAIRINOのような低コストな協働ロボットの登場により、既存の倉庫を活かしたままで、柔軟かつ段階的に自動化を進めることが可能になりました。 しかし、倉庫のレイアウトや扱う商材は現場ごとに千差万別です。「どこにロボットを置けば最も効果が出るか」「自社の商品をロボットで掴めるか」は、専門家の目で現場を確認しなければ判断できません。 「うちの狭い倉庫でも導入できる?」 「梱包ラインの一部だけ自動化したい」 そうお考えのセンター長様、物流責任者様。まずはプロによる「現場診断」を受けてみませんか? 当社では、貴社の倉庫レイアウトや作業フローを確認し、「協働ロボットによる自動化の可否」や「最適な配置・導入ステップ」を無料で提案しています。 無理な売り込みは一切いたしません。まずは、変化に強い物流現場を作るための新しい選択肢を、具体的に検討してみましょう。 [ >> 倉庫内物流の自動化・無料提案依頼はこちら ] 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。 EC市場の爆発的な拡大を背景に、物流倉庫の現場はこれまでにないプレッシャーに晒されています。取り扱う商品数は増え続け、配送リードタイムは短縮の一途。にもかかわらず、それを支える「人手」は慢性的に不足しており、人海戦術による現場運営は限界を迎えています。 「自動化しなければパンクする」という危機感は誰もが持っています。しかし、これまで物流自動化の主役だった自動倉庫(AS/RS)や大規模なコンベアシステムといった「大型マテハン機器」は、現代の目まぐるしく変化する物流現場のニーズと、必ずしもマッチしなくなってきています。 この記事では、大型マテハンが抱える課題を浮き彫りにし、その解決策として、既存の倉庫にそのまま導入できる「協働ロボット」を活用した、柔軟で低コストな自動化戦略を提案します。 1. なぜ、物流倉庫の課題は「大型マテハン」だけで解決できないのか? これまで、物流センターの自動化といえば、建屋の設計段階から組み込まれるような大型マテハン機器が主流でした。しかし、多くの現場がその導入に二の足を踏んでいます。 1-1. 「初期投資が巨大すぎる」:回収リスクと荷主契約のジレンマ 最大の壁はコストです。自動倉庫や大規模なソーターシステムは、数億円〜数十億円規模の投資が必要になります。 3PL(サードパーティ・ロジスティクス)などの場合、荷主との契約期間は数年単位であることが多く、巨額投資の回収見通しが立ちにくいという構造的なジレンマがあります。 1-2. 「柔軟性がない(硬直化)」:レイアウト変更と波動対応の壁 大型マテハンは一度設置すると、床にアンカー固定され、簡単には動かせません。 しかし、現代の物流は、取扱品目の変化や、お中元・年末商戦といった季節波動(繁閑の差)が激しく、柔軟なレイアウト変更や人員配置が求められます。「高価な設備を入れたが、商材が変わって使えなくなった」「繁忙期しか稼働せず、投資対効果が悪い」という事態に陥りやすいのです。 1-3. 「設置スペースの問題」:既存倉庫への後付けが困難 すでに稼働している既存の倉庫に、大型設備を後付けするのは至難の業です。設置には広大なスペースが必要であり、工事期間中は操業を止めなければならないため、機会損失も甚大です。 2. 物流現場の救世主。「動かせる自動化」協働ロボットが選ばれる3つの理由 こうした大型マテハンの弱点を補完し、物流現場の新しい自動化の選択肢として注目されているのが「協働ロボット」です。 2-1. 【柔軟性】キャスター付き架台で「必要な時に、必要な場所へ」移動可能 協働ロボットは小型・軽量であるため、キャスター付きの移動架台に載せて運用することができます。 「午前中は入荷エリアでデバンニング支援、午後は出荷エリアで梱包作業」といった具合に、波動に合わせて必要な場所に移動させ、フレキシブルに活用できます。これは固定設備には絶対に真似できない最大のメリットです。 2-2. 【省スペース】安全柵が不要。既存の作業ラインにそのまま後付け 協働ロボットは、人との接触を検知して安全に停止する機能を備えており、適切なリスクアセスメントのもと、安全柵なしで設置できます。 人が作業している既存の梱包ラインや、狭い通路脇のスペースにそのまま「後付け」で導入できるため、大規模なレイアウト変更工事は不要です。 2-3. 【スモールスタート】ボトルネック工程だけの「部分自動化」から始められる 「倉庫全体を一気に自動化」する必要はありません。 「梱包のテープ貼り作業だけ」「特定のエリアの仕分けだけ」といった、最も人手がかかっているボトルネック工程から、スモールスタートで自動化を始めることができます。効果を見ながら、徐々に台数を増やしていく段階的な導入が可能です。 3. 倉庫内作業のどこを自動化する?協働ロボットの得意な3大用途 では、具体的に倉庫内のどのような作業に協働ロボットが使えるのでしょうか。代表的な3つの用途を紹介します。 3-1. 【用途1:梱包・封函】製函から商品投入、テープ貼りまでを自動化 EC物流で最も人手を要する梱包工程は、協働ロボットの得意領域です。 ダンボールを組み立てる(製函)、ピッキングされた商品を箱に入れる、緩衝材を入れる、そして最後にテープで封をする(封函)。これら一連の作業を、ロボットと専用機を組み合わせて自動化します。特に、サイズの異なるダンボールが混在するラインでも、カメラと連携して柔軟に対応可能です。 3-2. 【用途2:ピースピッキング補助】人と協調し、歩行ロスを削減する 広い倉庫内を歩き回って商品を集めるピースピッキングは、作業時間の半分以上が「歩行時間」と言われています。 協働ロボットを搭載したAGV(無人搬送車)や、自律走行型の協働ロボット(AMR)が人の代わりに倉庫内を移動し、人は特定エリアでのピッキング作業に集中する。こうした「人とロボットの協調」により、歩行ロスを劇的に削減できます。 3-3. 【用途3:方面別仕分け・ソーター投入】多様な荷姿に対応し、高速に仕分ける 梱包が完了した荷物を、配送キャリア別や方面別に仕分ける作業も自動化可能です。 コンベアから流れてくる様々なサイズ・形状のダンボールを、カメラで認識し、協働ロボットが吸着ハンドなどでピックアップして、指定のカゴ車やパレットに仕分けていきます。従来の大型ソーターよりも省スペースかつ低コストに導入できます。 4. 大型マテハンの1/10のコスト?「FAIRINO」で始める物流DX 柔軟性が高い協働ロボットですが、導入コストが高ければ、波動の激しい物流現場では投資回収が難しくなります。そこで最適な選択肢となるのが、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る「FAIRINO」です。 4-1. 圧倒的な低価格が、波動(繁閑差)の激しい現場での投資回収を可能にする FAIRINOは、一般的な他社製協働ロボットの半額〜2/3程度の価格帯で導入可能です。 物流現場のように「繁忙期はフル稼働だが、閑散期は稼働率が下がる」という環境下でも、初期投資が低ければ投資回収期間を短縮でき、導入リスクを大幅に低減できます。 4-2. 「固定設備」vs「柔軟なロボット」。リスクとコスト構造の比較 大型マテハンは「高固定費・低変動費」型ですが、一度入れたら変更がききません。対してFAIRINOを活用したロボットセルは「低固定費・柔軟対応」型です。変化の激しい現代の物流においては、後者のほうが経営リスクを抑えられる賢い選択と言えるでしょう。 図1:固定的な大型マテハンと、柔軟な協働ロボットのリスクとコスト構造比較 5. まとめ:まずは自社の倉庫に「合うか合わないか」の診断から 物流倉庫の自動化は、もはや数億円の投資ができる大企業だけのものではありません。FAIRINOのような低コストな協働ロボットの登場により、既存の倉庫を活かしたままで、柔軟かつ段階的に自動化を進めることが可能になりました。 しかし、倉庫のレイアウトや扱う商材は現場ごとに千差万別です。「どこにロボットを置けば最も効果が出るか」「自社の商品をロボットで掴めるか」は、専門家の目で現場を確認しなければ判断できません。 「うちの狭い倉庫でも導入できる?」 「梱包ラインの一部だけ自動化したい」 そうお考えのセンター長様、物流責任者様。まずはプロによる「現場診断」を受けてみませんか? 当社では、貴社の倉庫レイアウトや作業フローを確認し、「協働ロボットによる自動化の可否」や「最適な配置・導入ステップ」を無料で提案しています。 無理な売り込みは一切いたしません。まずは、変化に強い物流現場を作るための新しい選択肢を、具体的に検討してみましょう。 [ >> 倉庫内物流の自動化・無料提案依頼はこちら ] 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。

その価格差、本当に必要?協働ロボット「大手vs新興」比較で見える、コスパ最強の選択肢

2025.12.08

「協働ロボットを導入したいが、メーカーが多すぎてどこが良いか分からない」 「ユニバーサルロボット(UR)が有名だが、見積もりを取ったら予算オーバーだった。安いメーカーもあるようだが、安かろう悪かろうではないか不安だ」 協働ロボット市場は、かつてのUR一強時代から、国内外の多数のメーカーが参入する群雄割拠の時代へと突入しました。選択肢が増えたことは歓迎すべきですが、導入担当者にとっては「どれを選べば正解なのか」が非常に分かりにくくなっています。 特に頭を悩ませるのが、メーカーによる「価格差」です。同じ「可搬重量10kg」のロボットでも、A社は500万円、B社は200万円と、倍以上の開きがあることも珍しくありません。 この記事では、カタログのスペック表だけでは見えてこない、各メーカーの「価格構造の違い」を解明します。そして、業界の勢力図を俯瞰した上で、貴社にとって最適なロボットを選ぶための新しい「比較のものさし」を提供します。 1. なぜ、協働ロボットの価格はメーカーによって「2倍以上」も違うのか? まず、「高いロボット=良い」「安いロボット=悪い」という単純な思い込みを一度リセットしましょう。価格の違いは、品質の差というよりも、メーカーの「ビジネスモデル(設計思想)」の違いから生まれています。 1-1. 価格構造の真実:「高機能+研究開発費+ブランド料」のプレミアム価格モデル 業界をリードする大手メーカーの製品価格には、以下の要素が含まれています。 最先端の多機能性: あらゆる複雑な作業に対応できるよう、高度な力覚センサーや、将来的な拡張を見据えた高機能なコントローラーが搭載されています。 膨大な研究開発費: AIとの連携や、より直感的なソフトウェア開発など、業界の最先端を走り続けるための先行投資コストが上乗せされています。 ブランド料とエコシステム維持費: グローバルな広告宣伝費や、豊富な周辺機器(プラグ&プレイ製品)のエコシステムを維持するためのコストが含まれています。 これらは「安心感」や「拡張性」という価値を生みますが、その対価として価格は高くなります。 1-2. もう一つの選択肢:「実用機能特化+内製化+販促費削減」の適正価格モデル 一方、近年台頭している新興メーカー(FAIRINOなど)は、全く異なるアプローチをとっています。 実用機能への絞り込み: 多くの現場で求められる「運ぶ、積む、脱着する」といった基本動作に必要なスペックは確保しつつ、一部の高度な機能(例:全軸への高精度トルクセンサー搭載など)をオプション化したり、設計をシンプルにしています。 部品の内製化: モーターや減速機といった高価な基幹部品をグループ内で内製化し、中間マージンを削減しています。 販促費の効率化: 派手なマス広告よりも、実用性を重視する層へのアプローチに集中し、販売管理費を抑えています。 この「引き算の設計思想」と「コストダウン努力」により、実用的な性能を維持しつつ、導入しやすい価格を実現しているのです。 1-3. スペック表の「繰り返し精度±0.03mm」と「±0.05mm」の差に、倍の金額を払う価値はあるか? 例えば、カタログの「繰り返し位置決め精度」という項目を見てみましょう。大手A社は「±0.03mm」、新興B社は「±0.05mm」だったとします。 この0.02mmの差は、超精密な電子部品の組み立てなどでは決定的ですが、ダンボールのパレタイズや、一般的な機械加工のワーク投入においては、どちらも「実用上問題ないレベル」です。 自社の用途にとって、そのわずかなスペック差のために、倍の金額を支払う必要があるのか? これを冷静に見極める視点が必要です。 2. 【徹底比較】主要メーカー3タイプのポジショニングと特徴 現在の協働ロボット市場は、大きく分けて3つのタイプが存在します。それぞれの特徴と立ち位置(ポジショニング)を理解しましょう。 図1:機能性と価格帯による主要メーカーのポジショニング(※位置は筆者の分析に基づくイメージです) 2-1. 業界の絶対王者「ユニバーサルロボット(UR)」:エコシステムが充実した多機能プラットフォーム タイプ: 多機能×プレミアム価格(右上象限) 特徴: 協働ロボットのパイオニアであり、圧倒的なシェアを持ちます。最大の特徴は「UR+」と呼ばれる周辺機器のエコシステムです。様々なメーカーのハンドやカメラが、URのロボットと接続するだけで使えるように認定されています。 向いているケース: 予算に余裕があり、将来的に様々な用途に転用したい場合や、豊富な周辺機器からレゴブロックのように組み合わせてシステムを構築したい場合。 2-2. 安心の国産大手(ファナック、安川電機等):圧倒的な信頼性と堅牢なサポート体制 タイプ: 実用特化〜多機能×プレミアム価格(右側象限) 特徴: 産業用ロボットで培った圧倒的な信頼性と、国内全国を網羅する強固なサービス体制が強みです。「絶対に止めてはいけないライン」への導入や、既存の産業用ロボットと同じ言語で管理したい場合に選ばれます。 向いているケース: コストよりも長期的な信頼性や保守体制を最優先する場合。 2-3. コスパの新潮流「FAIRINO」:必要な機能に絞り込んだ実力派 タイプ: 実用特化×エコノミー価格(左下象限) 特徴: 前述の通り、機能を「現場で本当に必要なもの」に絞り込み、部品内製化などで徹底的なコストダウンを実現しています。URの半額〜2/3程度の価格帯ながら、パレタイズやマシンテンディングといった定型作業には十分すぎるスペックを持っています。 向いているケース: 導入コストを抑えて早期に投資回収したい場合や、決まった単純作業を自動化するスモールスタートに最適。 3. 自社に最適なのはどっち?失敗しない「選び方の基準」3選 では、自社はどのタイプを選ぶべきなのでしょうか。失敗しないための3つの判断基準を紹介します。 3-1. 基準A:「将来的に複雑な研究開発や、頻繁な用途変更があるか?」→ 多機能性重視へ 導入目的が「研究開発部門での実験用途」であったり、「今日は組立、明日は検査」といった具合に用途が頻繁に変わる可能性があるなら、拡張性が高いURのようなメーカーが適しています。初期投資は高くても、将来的な変更コストを抑えられる可能性があります。 3-2. 基準B:「パレタイズや脱着など、決まった単純作業を安く自動化したいか?」→ 実用性・コスパ重視へ 導入目的が「パレタイズ」「箱詰め」「マシンテンディング」といった、動きが決まっているルーチンワーク(定型作業)の自動化であれば、多機能なロボットはオーバースペック(宝の持ち腐れ)になる可能性が高いです。 この場合、必要なスペックを満たしている中で最もコストパフォーマンスが高い、FAIRINOのようなメーカーを選ぶのが経済合理的です。 3-3. 基準C:「何かあった時のサポートは国内で完結させたいか?」→ 代理店体制の確認 海外メーカーを選ぶ際に最も気になるのがサポート体制です。 「故障時に海外へ送り返す必要がある」といった体制では、現場は安心して使えません。FAIRINOのように、日本国内に正規代理店や技術パートナーを持ち、日本語でのサポートや修理対応が国内で完結する体制が整っているかを確認しましょう。 4. 結論:新興メーカーを選ぶことは“妥協”ではなく“賢い選択”である ここまで見てきたように、ロボット選びに「絶対的な正解」はありません。あるのは「自社の目的に対する最適解」だけです。 もし、貴社の目的が「単純作業の人手不足解消」や「コストを抑えたスモールスタート」であるならば、新興メーカーを選ぶことは、予算が足りないが故の「妥協」ではありません。 4-1. 定型作業(ルーチンワーク)にオーバースペックなロボットは必要ない 目的に対して必要十分な機能を持つ製品を、適正な価格で調達する。これは製造業における調達の基本であり、非常に「賢い戦略的な選択」と言えます。 4-2. 本体価格で浮いた数百万円を、より良い周辺機器や「2台目の導入」に回すという戦略 大手メーカー製ロボット1台分の予算で、新興メーカーなら2台導入できるかもしれません。あるいは、浮いた予算でより高性能なハンドや、移動用のAGV(無人搬送車)を購入し、システム全体の生産性を高めることも可能です。 「ロボット単体」ではなく「システム全体」の投資対効果で考えることが重要です。 5. まとめ:スペック表とにらめっこする前に、自社の「導入目的」を明確にしよう 協働ロボット選びで最も重要なのは、「何ができるロボットか(Can)」ではなく、「自社のどの課題を解決したいか(Want)」を明確にすることです。 目的さえ定まれば、自ずと必要なスペックと、かけるべき予算が見えてきます。 各メーカーのより詳細なスペックや、価格帯の目安を知りたい方のために、無料の個別相談をご用意しました。社内検討や稟議資料の作成に、ぜひお役立てください。 [ >> 協働ロボットメーカー選定の無料相談を希望する ] 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。 「協働ロボットを導入したいが、メーカーが多すぎてどこが良いか分からない」 「ユニバーサルロボット(UR)が有名だが、見積もりを取ったら予算オーバーだった。安いメーカーもあるようだが、安かろう悪かろうではないか不安だ」 協働ロボット市場は、かつてのUR一強時代から、国内外の多数のメーカーが参入する群雄割拠の時代へと突入しました。選択肢が増えたことは歓迎すべきですが、導入担当者にとっては「どれを選べば正解なのか」が非常に分かりにくくなっています。 特に頭を悩ませるのが、メーカーによる「価格差」です。同じ「可搬重量10kg」のロボットでも、A社は500万円、B社は200万円と、倍以上の開きがあることも珍しくありません。 この記事では、カタログのスペック表だけでは見えてこない、各メーカーの「価格構造の違い」を解明します。そして、業界の勢力図を俯瞰した上で、貴社にとって最適なロボットを選ぶための新しい「比較のものさし」を提供します。 1. なぜ、協働ロボットの価格はメーカーによって「2倍以上」も違うのか? まず、「高いロボット=良い」「安いロボット=悪い」という単純な思い込みを一度リセットしましょう。価格の違いは、品質の差というよりも、メーカーの「ビジネスモデル(設計思想)」の違いから生まれています。 1-1. 価格構造の真実:「高機能+研究開発費+ブランド料」のプレミアム価格モデル 業界をリードする大手メーカーの製品価格には、以下の要素が含まれています。 最先端の多機能性: あらゆる複雑な作業に対応できるよう、高度な力覚センサーや、将来的な拡張を見据えた高機能なコントローラーが搭載されています。 膨大な研究開発費: AIとの連携や、より直感的なソフトウェア開発など、業界の最先端を走り続けるための先行投資コストが上乗せされています。 ブランド料とエコシステム維持費: グローバルな広告宣伝費や、豊富な周辺機器(プラグ&プレイ製品)のエコシステムを維持するためのコストが含まれています。 これらは「安心感」や「拡張性」という価値を生みますが、その対価として価格は高くなります。 1-2. もう一つの選択肢:「実用機能特化+内製化+販促費削減」の適正価格モデル 一方、近年台頭している新興メーカー(FAIRINOなど)は、全く異なるアプローチをとっています。 実用機能への絞り込み: 多くの現場で求められる「運ぶ、積む、脱着する」といった基本動作に必要なスペックは確保しつつ、一部の高度な機能(例:全軸への高精度トルクセンサー搭載など)をオプション化したり、設計をシンプルにしています。 部品の内製化: モーターや減速機といった高価な基幹部品をグループ内で内製化し、中間マージンを削減しています。 販促費の効率化: 派手なマス広告よりも、実用性を重視する層へのアプローチに集中し、販売管理費を抑えています。 この「引き算の設計思想」と「コストダウン努力」により、実用的な性能を維持しつつ、導入しやすい価格を実現しているのです。 1-3. スペック表の「繰り返し精度±0.03mm」と「±0.05mm」の差に、倍の金額を払う価値はあるか? 例えば、カタログの「繰り返し位置決め精度」という項目を見てみましょう。大手A社は「±0.03mm」、新興B社は「±0.05mm」だったとします。 この0.02mmの差は、超精密な電子部品の組み立てなどでは決定的ですが、ダンボールのパレタイズや、一般的な機械加工のワーク投入においては、どちらも「実用上問題ないレベル」です。 自社の用途にとって、そのわずかなスペック差のために、倍の金額を支払う必要があるのか? これを冷静に見極める視点が必要です。 2. 【徹底比較】主要メーカー3タイプのポジショニングと特徴 現在の協働ロボット市場は、大きく分けて3つのタイプが存在します。それぞれの特徴と立ち位置(ポジショニング)を理解しましょう。 図1:機能性と価格帯による主要メーカーのポジショニング(※位置は筆者の分析に基づくイメージです) 2-1. 業界の絶対王者「ユニバーサルロボット(UR)」:エコシステムが充実した多機能プラットフォーム タイプ: 多機能×プレミアム価格(右上象限) 特徴: 協働ロボットのパイオニアであり、圧倒的なシェアを持ちます。最大の特徴は「UR+」と呼ばれる周辺機器のエコシステムです。様々なメーカーのハンドやカメラが、URのロボットと接続するだけで使えるように認定されています。 向いているケース: 予算に余裕があり、将来的に様々な用途に転用したい場合や、豊富な周辺機器からレゴブロックのように組み合わせてシステムを構築したい場合。 2-2. 安心の国産大手(ファナック、安川電機等):圧倒的な信頼性と堅牢なサポート体制 タイプ: 実用特化〜多機能×プレミアム価格(右側象限) 特徴: 産業用ロボットで培った圧倒的な信頼性と、国内全国を網羅する強固なサービス体制が強みです。「絶対に止めてはいけないライン」への導入や、既存の産業用ロボットと同じ言語で管理したい場合に選ばれます。 向いているケース: コストよりも長期的な信頼性や保守体制を最優先する場合。 2-3. コスパの新潮流「FAIRINO」:必要な機能に絞り込んだ実力派 タイプ: 実用特化×エコノミー価格(左下象限) 特徴: 前述の通り、機能を「現場で本当に必要なもの」に絞り込み、部品内製化などで徹底的なコストダウンを実現しています。URの半額〜2/3程度の価格帯ながら、パレタイズやマシンテンディングといった定型作業には十分すぎるスペックを持っています。 向いているケース: 導入コストを抑えて早期に投資回収したい場合や、決まった単純作業を自動化するスモールスタートに最適。 3. 自社に最適なのはどっち?失敗しない「選び方の基準」3選 では、自社はどのタイプを選ぶべきなのでしょうか。失敗しないための3つの判断基準を紹介します。 3-1. 基準A:「将来的に複雑な研究開発や、頻繁な用途変更があるか?」→ 多機能性重視へ 導入目的が「研究開発部門での実験用途」であったり、「今日は組立、明日は検査」といった具合に用途が頻繁に変わる可能性があるなら、拡張性が高いURのようなメーカーが適しています。初期投資は高くても、将来的な変更コストを抑えられる可能性があります。 3-2. 基準B:「パレタイズや脱着など、決まった単純作業を安く自動化したいか?」→ 実用性・コスパ重視へ 導入目的が「パレタイズ」「箱詰め」「マシンテンディング」といった、動きが決まっているルーチンワーク(定型作業)の自動化であれば、多機能なロボットはオーバースペック(宝の持ち腐れ)になる可能性が高いです。 この場合、必要なスペックを満たしている中で最もコストパフォーマンスが高い、FAIRINOのようなメーカーを選ぶのが経済合理的です。 3-3. 基準C:「何かあった時のサポートは国内で完結させたいか?」→ 代理店体制の確認 海外メーカーを選ぶ際に最も気になるのがサポート体制です。 「故障時に海外へ送り返す必要がある」といった体制では、現場は安心して使えません。FAIRINOのように、日本国内に正規代理店や技術パートナーを持ち、日本語でのサポートや修理対応が国内で完結する体制が整っているかを確認しましょう。 4. 結論:新興メーカーを選ぶことは“妥協”ではなく“賢い選択”である ここまで見てきたように、ロボット選びに「絶対的な正解」はありません。あるのは「自社の目的に対する最適解」だけです。 もし、貴社の目的が「単純作業の人手不足解消」や「コストを抑えたスモールスタート」であるならば、新興メーカーを選ぶことは、予算が足りないが故の「妥協」ではありません。 4-1. 定型作業(ルーチンワーク)にオーバースペックなロボットは必要ない 目的に対して必要十分な機能を持つ製品を、適正な価格で調達する。これは製造業における調達の基本であり、非常に「賢い戦略的な選択」と言えます。 4-2. 本体価格で浮いた数百万円を、より良い周辺機器や「2台目の導入」に回すという戦略 大手メーカー製ロボット1台分の予算で、新興メーカーなら2台導入できるかもしれません。あるいは、浮いた予算でより高性能なハンドや、移動用のAGV(無人搬送車)を購入し、システム全体の生産性を高めることも可能です。 「ロボット単体」ではなく「システム全体」の投資対効果で考えることが重要です。 5. まとめ:スペック表とにらめっこする前に、自社の「導入目的」を明確にしよう 協働ロボット選びで最も重要なのは、「何ができるロボットか(Can)」ではなく、「自社のどの課題を解決したいか(Want)」を明確にすることです。 目的さえ定まれば、自ずと必要なスペックと、かけるべき予算が見えてきます。 各メーカーのより詳細なスペックや、価格帯の目安を知りたい方のために、無料の個別相談をご用意しました。社内検討や稟議資料の作成に、ぜひお役立てください。 [ >> 協働ロボットメーカー選定の無料相談を希望する ] 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。

その「ネジ締め」、本当に人がやる必要がありますか?組み立て工程を緻密に分析し、全体の生産性を上げる方法

2025.12.08

「組み立て作業は人の感覚が必要だから、自動化は難しい」 「うちは多品種少量生産だから、ロボットを入れると段取り替えばかりで逆に効率が落ちる」 製造現場、特に組み立てラインの責任者の方々から、このような諦めの声をよく耳にします。確かに、ネジ締め、部品の挿入(嵌合)、ケーブルの配線といった組み立て作業は、単純な「運ぶだけ(搬送)」の作業とは比較にならないほど難易度が高いものです。 しかし、ここで一つ問いかけさせてください。 「今、人が行っている全ての作業が、本当に人の手でなければできない作業でしょうか?」 組み立て自動化を成功させる鍵は、高性能なロボットを導入することではありません。導入する前に、現在の工程を徹底的に見つめ直し、「緻密な分析」を行うことに9割がかかっています。 この記事では、多品種少量の現場でも実現可能な、工程全体の生産性を最大化するための「賢い自動化アプローチ」を解説します。 1. なぜ、組み立て工程の自動化は「失敗」しやすいのか? 多くの企業が組み立て自動化に挑戦し、そして挫折していきます。なぜ失敗しやすいのでしょうか。 1-1. 搬送(パレタイズ)とは違う、「接触・嵌合・力加減」の難しさ パレタイズのような搬送作業は、A地点からB地点への「空間移動」がメインです。 一方、組み立ては、部品と部品が接触し、擦れ合いながら組み合わさるプロセスです。「ネジが斜めに入らないか」「コネクタを押し込む力は適切か」「部品の公差(バラツキ)をどう吸収するか」。こうした微妙な「力加減」や「位置合わせ」が求められるため、難易度が格段に上がります。 1-2. 多品種少量生産の壁と、陥りがちな「全自動化」の罠 多品種の現場では、製品ごとに部品の形状や作業手順が異なります。「全ての製品に対応できる万能な全自動ラインを作ろう」とすると、設備は巨大化・複雑化し、投資額は莫大になります。さらに、頻繁な段取り替えが発生し、結局「人がやった方が早い」という本末転倒な結果になりがちです。 1-3. ロボットを入れることが目的化し、全体の生産性を見失うケース 最も悪いパターンは、「トップダウンでロボット導入が決まったから」と、目的を見失ったまま導入を進めることです。「ロボットを動かすこと」が目的化してしまい、前後の工程とのバランスが崩れ、ライン全体の生産性がかえって落ちてしまう失敗例は後を絶ちません。 2. 成功の鍵は「分解」にあり。組み立て自動化を実現する3つの分析ステップ では、どうすれば良いのでしょうか。成功の鍵は、現在の工程を「塊」として捉えず、徹底的に「分解」することにあります。 2-1. 【STEP1 工程分割】一連の作業を最小単位の「要素作業」までバラバラにする まず、一人の作業者が行っている一連の組み立て工程を、これ以上分けられない「要素作業」の単位まで分解します。 (例:ネジを供給機から取る → ネジをドライバーにセットする → 所定位置に運ぶ → ネジを締める → 締結確認をする) 一見複雑な作業も、分解してみれば単純な動作の組み合わせであることが見えてきます。 2-2. 【STEP2 作業分類】「単純vs複雑」「共通vs個別」でマトリクス分類する 分解した要素作業を、2つの軸で分類します。 軸1(難易度): 「単純な繰り返し作業」か、人の感覚や判断が必要な「複雑な作業」か。 軸2(共通性): 複数の製品で共通して発生する「共通作業」か、特定の製品だけの「個別作業」か。 多品種の現場でも、「ネジ締め」や「ラベル貼り」といった「単純かつ共通」の作業が必ず存在するはずです。これが自動化の狙い目となります。 2-3. 【STEP3 最適配置】ロボットが得意な領域を特定し、人と機械のバランスを設計する 分類に基づき、最適な役割分担を設計します。 ロボットに任せる領域: 「単純×共通」作業。例:定位置のネジ締め、接着剤の塗布。 人が担う領域: 「複雑×個別」作業。例:柔軟なケーブルの配線、最終的な外観検査、段取り替え。 「全てをロボットで」ではなく、「ロボットが得意なことだけをロボットに、人は人にしかできないことに集中する」というバランス設計が重要です。 3. 感覚値は危険!「緻密なデータ分析」が全体の生産性を左右する 役割分担を決めるだけでは不十分です。「なんとなく良さそう」という感覚値ではなく、数字に基づいた緻密な設計が必要です。 3-1. ボトルネックはどこか?各要素作業の標準時間(サイクルタイム)を測定せよ 分解した各要素作業にかかる時間をストップウォッチなどで正確に測定し、標準時間を設定します。これにより、ライン全体の生産性を律速している「ボトルネック工程」がどこかが明確になります。ボトルネックを自動化で解消しなければ、全体の生産性は上がりません。 3-2. 人とロボットの「協調作業」で、ライン全体のタクトタイムを短縮する仕組み 人とロボットがそれぞれの作業を直列に行うのではなく、並行して作業を行う(協調作業)ことで、全体のタクトタイム(1つの製品ができるまでの時間)を短縮できます。 以下の図は、工程分析によるビフォーアフターのイメージです。 現状では人が全ての作業を順次行っていますが、分析後、単純作業である「作業B(ネジ締め)」をロボットに任せ、その間に人が「作業C(検査・梱包)」を行うことで、全体の時間が短縮されています。 図1:工程分析と協調作業によるタクトタイム短縮のイメージ(※時間は例示です) 4. 部分的な自動化(スモールスタート)に「FAIRINO」が最適な理由 緻密な分析の結果、「この工程の、このネジ締め作業だけを自動化すれば、全体のバランスが最適化される」という結論に至ったとします。 ここで問題になるのがコストです。ほんの一部の作業のために、高額なロボットシステムを導入することは、投資対効果が見合いません。 そこで最適な選択肢となるのが、協働ロボット「FAIRINO」です。 4-1. FAIRINOの圧倒的な低コストが、ピンポイント導入のハードルを下げる FAIRINOは、一般的な協働ロボットの半額〜2/3程度の価格帯で導入可能です。この圧倒的な低コストにより、「工程の一部だけ」「特定の共通作業だけ」をピンポイントで自動化するスモールスタートのハードルが劇的に下がります。 4-2. 標準スペックで十分な精度と、必要に応じて追加できる力覚センサーオプション FAIRINOは標準モデルでも、一般的なネジ締めや部品挿入に十分な繰り返し精度(モデルにより±0.02mm〜±0.05mm)を持っています。 さらに、より繊細な嵌合(かんごう)作業が必要な場合は、オプションの高性能な「外付け力覚センサー」を組み合わせることで、人の手のような微妙な力加減を実現することも可能です。 「ベースは安く抑え、必要な機能だけを追加する」という賢い構成が可能です。 5. まとめ:自動化の成否は「導入前の設計図」で決まる 組み立て工程の自動化は、一足飛びには実現できません。「急がば回れ」で、まずは現状の工程を要素レベルまで分解し、「共通作業は何か」「人とロボットの最適なバランスはどこか」を緻密に分析することから始めてください。 この「導入前の設計図」さえしっかり描ければ、あとはFAIRINOのようなコストパフォーマンスの高いツールを使い、スモールスタートで実現していくだけです。 「自社の工程をどう分析すればいいか分からない」 「分析してみたが、ロボットで実現可能か判断できない」 そうお悩みの方は、ぜひ専門家の力を借りてください。当社では、お客様の対象工程をヒアリングし、「自動化の可否」や「人とロボットの最適な作業分担」を分析・提案する無料相談を行っています。 まずは、現状の工程を客観的に見つめ直すことから始めましょう。 [ >> 対象工程の自動化可否は?「工程分析・生産性診断」無料相談はこちら ] 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。 「組み立て作業は人の感覚が必要だから、自動化は難しい」 「うちは多品種少量生産だから、ロボットを入れると段取り替えばかりで逆に効率が落ちる」 製造現場、特に組み立てラインの責任者の方々から、このような諦めの声をよく耳にします。確かに、ネジ締め、部品の挿入(嵌合)、ケーブルの配線といった組み立て作業は、単純な「運ぶだけ(搬送)」の作業とは比較にならないほど難易度が高いものです。 しかし、ここで一つ問いかけさせてください。 「今、人が行っている全ての作業が、本当に人の手でなければできない作業でしょうか?」 組み立て自動化を成功させる鍵は、高性能なロボットを導入することではありません。導入する前に、現在の工程を徹底的に見つめ直し、「緻密な分析」を行うことに9割がかかっています。 この記事では、多品種少量の現場でも実現可能な、工程全体の生産性を最大化するための「賢い自動化アプローチ」を解説します。 1. なぜ、組み立て工程の自動化は「失敗」しやすいのか? 多くの企業が組み立て自動化に挑戦し、そして挫折していきます。なぜ失敗しやすいのでしょうか。 1-1. 搬送(パレタイズ)とは違う、「接触・嵌合・力加減」の難しさ パレタイズのような搬送作業は、A地点からB地点への「空間移動」がメインです。 一方、組み立ては、部品と部品が接触し、擦れ合いながら組み合わさるプロセスです。「ネジが斜めに入らないか」「コネクタを押し込む力は適切か」「部品の公差(バラツキ)をどう吸収するか」。こうした微妙な「力加減」や「位置合わせ」が求められるため、難易度が格段に上がります。 1-2. 多品種少量生産の壁と、陥りがちな「全自動化」の罠 多品種の現場では、製品ごとに部品の形状や作業手順が異なります。「全ての製品に対応できる万能な全自動ラインを作ろう」とすると、設備は巨大化・複雑化し、投資額は莫大になります。さらに、頻繁な段取り替えが発生し、結局「人がやった方が早い」という本末転倒な結果になりがちです。 1-3. ロボットを入れることが目的化し、全体の生産性を見失うケース 最も悪いパターンは、「トップダウンでロボット導入が決まったから」と、目的を見失ったまま導入を進めることです。「ロボットを動かすこと」が目的化してしまい、前後の工程とのバランスが崩れ、ライン全体の生産性がかえって落ちてしまう失敗例は後を絶ちません。 2. 成功の鍵は「分解」にあり。組み立て自動化を実現する3つの分析ステップ では、どうすれば良いのでしょうか。成功の鍵は、現在の工程を「塊」として捉えず、徹底的に「分解」することにあります。 2-1. 【STEP1 工程分割】一連の作業を最小単位の「要素作業」までバラバラにする まず、一人の作業者が行っている一連の組み立て工程を、これ以上分けられない「要素作業」の単位まで分解します。 (例:ネジを供給機から取る → ネジをドライバーにセットする → 所定位置に運ぶ → ネジを締める → 締結確認をする) 一見複雑な作業も、分解してみれば単純な動作の組み合わせであることが見えてきます。 2-2. 【STEP2 作業分類】「単純vs複雑」「共通vs個別」でマトリクス分類する 分解した要素作業を、2つの軸で分類します。 軸1(難易度): 「単純な繰り返し作業」か、人の感覚や判断が必要な「複雑な作業」か。 軸2(共通性): 複数の製品で共通して発生する「共通作業」か、特定の製品だけの「個別作業」か。 多品種の現場でも、「ネジ締め」や「ラベル貼り」といった「単純かつ共通」の作業が必ず存在するはずです。これが自動化の狙い目となります。 2-3. 【STEP3 最適配置】ロボットが得意な領域を特定し、人と機械のバランスを設計する 分類に基づき、最適な役割分担を設計します。 ロボットに任せる領域: 「単純×共通」作業。例:定位置のネジ締め、接着剤の塗布。 人が担う領域: 「複雑×個別」作業。例:柔軟なケーブルの配線、最終的な外観検査、段取り替え。 「全てをロボットで」ではなく、「ロボットが得意なことだけをロボットに、人は人にしかできないことに集中する」というバランス設計が重要です。 3. 感覚値は危険!「緻密なデータ分析」が全体の生産性を左右する 役割分担を決めるだけでは不十分です。「なんとなく良さそう」という感覚値ではなく、数字に基づいた緻密な設計が必要です。 3-1. ボトルネックはどこか?各要素作業の標準時間(サイクルタイム)を測定せよ 分解した各要素作業にかかる時間をストップウォッチなどで正確に測定し、標準時間を設定します。これにより、ライン全体の生産性を律速している「ボトルネック工程」がどこかが明確になります。ボトルネックを自動化で解消しなければ、全体の生産性は上がりません。 3-2. 人とロボットの「協調作業」で、ライン全体のタクトタイムを短縮する仕組み 人とロボットがそれぞれの作業を直列に行うのではなく、並行して作業を行う(協調作業)ことで、全体のタクトタイム(1つの製品ができるまでの時間)を短縮できます。 以下の図は、工程分析によるビフォーアフターのイメージです。 現状では人が全ての作業を順次行っていますが、分析後、単純作業である「作業B(ネジ締め)」をロボットに任せ、その間に人が「作業C(検査・梱包)」を行うことで、全体の時間が短縮されています。 図1:工程分析と協調作業によるタクトタイム短縮のイメージ(※時間は例示です) 4. 部分的な自動化(スモールスタート)に「FAIRINO」が最適な理由 緻密な分析の結果、「この工程の、このネジ締め作業だけを自動化すれば、全体のバランスが最適化される」という結論に至ったとします。 ここで問題になるのがコストです。ほんの一部の作業のために、高額なロボットシステムを導入することは、投資対効果が見合いません。 そこで最適な選択肢となるのが、協働ロボット「FAIRINO」です。 4-1. FAIRINOの圧倒的な低コストが、ピンポイント導入のハードルを下げる FAIRINOは、一般的な協働ロボットの半額〜2/3程度の価格帯で導入可能です。この圧倒的な低コストにより、「工程の一部だけ」「特定の共通作業だけ」をピンポイントで自動化するスモールスタートのハードルが劇的に下がります。 4-2. 標準スペックで十分な精度と、必要に応じて追加できる力覚センサーオプション FAIRINOは標準モデルでも、一般的なネジ締めや部品挿入に十分な繰り返し精度(モデルにより±0.02mm〜±0.05mm)を持っています。 さらに、より繊細な嵌合(かんごう)作業が必要な場合は、オプションの高性能な「外付け力覚センサー」を組み合わせることで、人の手のような微妙な力加減を実現することも可能です。 「ベースは安く抑え、必要な機能だけを追加する」という賢い構成が可能です。 5. まとめ:自動化の成否は「導入前の設計図」で決まる 組み立て工程の自動化は、一足飛びには実現できません。「急がば回れ」で、まずは現状の工程を要素レベルまで分解し、「共通作業は何か」「人とロボットの最適なバランスはどこか」を緻密に分析することから始めてください。 この「導入前の設計図」さえしっかり描ければ、あとはFAIRINOのようなコストパフォーマンスの高いツールを使い、スモールスタートで実現していくだけです。 「自社の工程をどう分析すればいいか分からない」 「分析してみたが、ロボットで実現可能か判断できない」 そうお悩みの方は、ぜひ専門家の力を借りてください。当社では、お客様の対象工程をヒアリングし、「自動化の可否」や「人とロボットの最適な作業分担」を分析・提案する無料相談を行っています。 まずは、現状の工程を客観的に見つめ直すことから始めましょう。 [ >> 対象工程の自動化可否は?「工程分析・生産性診断」無料相談はこちら ] 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。
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