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1人当たり生産高219%増を実現!独自の生産管理システム「SINS」と人財育成で、「勘と記憶」頼りの生産から脱却したSANMATSUのDX戦略

2025.11.26

株式会社SANMATSUは、「デジタルと職人技の融合」を掲げ、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきました。かつての「経験と勘」に頼る生産体制から脱却し、独自の生産管理システム「SINS」の活用と人財育成を両輪とすることで、1人当たり生産高219%増という目覚ましい成果を上げています。 本記事では、同社のDX戦略の軌跡を紹介します。 課題:「勘と記憶」の限界 SANMATSUは、シートメタル加工をベースとする「小ロット製造代行サービス会社」です。その生産体制は「月産12万点、うち1個作りが70%」という極端な多品種少量(変種変量)生産が特徴です。 2017年時点で、同社の生産状況は以下の通りでした: 受注オーダー数: 9,541オーダー/月 製品加工種類: 7,966種類/月 部品加工点数: 98,273個/月 このような複雑な生産体制において、同社は「工程・出荷管理が人間の勘と記憶だけでは無理」という深刻な課題に直面していました。 解決策①:独自の生産管理システム「SINS」 この課題を克服するため、SANMATSUは「経験と勘」から「デジタル化」「IoT化」へと舵を切りました。その中核を担うのが、独自の「SANMATSU統合生産管理システム(SINS)」です。 SINSは、1993年の生産管理システム導入を起点とし、1997年の中期経営計画策定を機に「再活用」が図られました。このシステムは、エンジニアリング室(CAD・CAM)、製造現場の各種NC制御・加工機、製造事務所、本社事務所、夜須工場(生産管理)など、社内のあらゆる部門をネットワークで結びつけるものです。 これにより、旧来の属人的な管理から脱却し、工程の負荷把握や工番別の原価管理といった「計数管理」が可能になりました。 解決策②:「三松大学」による人財育成 SANMATSUのDXは、システムの導入だけではありません。DXを「デジタルと職人技の融合」と定義する同社は、人財育成にも強くコミットしています。 その象徴が、社内教育機関である「三松大学」の設立です。 体系的な教育: 「三松大学」では、OJT、社内勉強会、資格試験支援、改善発表会など、体系的な社員教育(技能教育)が行われています。 知識の向上: 全従業員を対象とした「SANMATSU統一試験」をEラーニング化して実施し、「品質・図面・技術を中心としたSANMATSU従業員としての必要知識の向上」を図っています。 導入効果:1人当たり生産高219%増と働き方改革 SINSによる「デジタル化」と三松大学による「職人技の育成」の融合は、劇的な生産性向上をもたらしました。 2010年当時を100%とした場合、2025年現在の実績は以下の通りです: 項目 2010年当時 2025年現在 売上 100% 327% 社員 100% 152% 1人当たり生産高 100% 219% 休日数 100% 113% 残業時間 100% 61% 人員の増加をはるかに上回る売上増を達成し、タイトルにもある「1人当たり生産高219%」を実現しました。さらに特筆すべきは、残業時間を61%の水準まで大幅に削減しつつ、休日数を増やしている点です。 結論:SANMATSUのDX戦略 SANMATSUの成功は、DXを単なるツール導入(デジタル化)に終わらせず、「経営戦略の実現」と「課題改善活動」そのものとして捉えた結果です。 独自の生産管理システム「SINS」で「計数管理」を徹底し、同時に「三松大学」で人を育てる。「デジタルと職人技の融合」という明確なビジョンこそが、「勘と記憶」頼りの生産から脱却し、持続的な成長を実現した最大の秘訣と言えるでしょう。 [参加者インタビュー] 成功事例から自社の課題解決の糸口を探る 株式会社 共立合金製作所 取締役専務 常見亘様   本事例(株式会社SANMATSU様)のような、先進的な取り組みを共有する「研究会」に参加されている経営幹部の方に、参加の意義と活用法についてお話を伺いました。 ── 製造・営業など多岐にわたる現場への「キャッチアップ」 (3つの事業部を統括する経営幹部様) 「私は現在、製造や営業など会社の中のあらゆる部署に関わっています。そのため、SANMATSU様のような『生産管理システムと現場の融合』といった先進事例は、まさに今、システム会社さんと進めている自社のプロジェクトに直結する内容です。こうした最新の情報をキャッチアップし、自分なりに現場へ落とし込んでいきたいという意識で参加しています」 ── 「3つの事業部」それぞれへのヒントが見つかる 「弊社には3つの事業部があり、中には業績が低迷し『なんとかしなければならない』という課題を抱えている部門もあります。研究会のテーマは非常に幅広いですが、だからこそ飽きが来ず、『この事例はあの事業部の再生に使える』と、それぞれの課題に合わせて解決策の引き出しを増やすことができています」 ── 厳しい経営環境における「視座」の維持 「経営環境は厳しく、社内にいるだけではどうしてもモチベーションが下がってしまう局面もあります。しかし、ここに来れば『上場志向』を持つような高い視座の経営者仲間がいます。今回のような劇的な生産性向上の事例に触れ、意識の高いメンバーと交流することは、経営層として前向きな視点を持ち続けるために不可欠な時間だと感じています」 船井総研 ものづくり経営研究会 スマートファクトリー経営部会のご紹介 船井総合研究所の「スマートファクトリー経営部会」は、多品種少量生産型の中堅・中小製造業経営者を主な対象とした、ものづくりの生産性向上に関する経営研究会です 。 研究会の目的とテーマ 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が進む中で 、多品種少量生産型の製造業が生産性向上を実現するための手段を研究します 。 研究テーマは、以下の通り、デジタル化と現場改善の両輪を網羅しています。 “AI化・デジタル化・ロボット化・自動化・効率化” の徹底研究 。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボット等の最新事例研究 。 これらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究 。 最新事例の研究や最先端の工場視察等を通じて、ご参加いただく企業様にとって最適な「スマートファクトリー化」の形を追求していきます 。 業績アップに直結する環境と継続性 単発の刺激で終わるセミナーとは異なり 、本研究会は継続的な実践と双方向の情報交換を重視しています 。 継続性: 年間を通じた最新情報提供と現場視察の機会により、業績UPに直結する継続的な取り組みを後押しします 。 双方向性: 講師側の一方通行な講話ではなく、質疑応答や会員様同士の実践経験の共有により、立体的な理解と実践への落とし込みを実現します 。 無料お試し入会も受付しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 株式会社SANMATSUは、「デジタルと職人技の融合」を掲げ、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきました。かつての「経験と勘」に頼る生産体制から脱却し、独自の生産管理システム「SINS」の活用と人財育成を両輪とすることで、1人当たり生産高219%増という目覚ましい成果を上げています。 本記事では、同社のDX戦略の軌跡を紹介します。 課題:「勘と記憶」の限界 SANMATSUは、シートメタル加工をベースとする「小ロット製造代行サービス会社」です。その生産体制は「月産12万点、うち1個作りが70%」という極端な多品種少量(変種変量)生産が特徴です。 2017年時点で、同社の生産状況は以下の通りでした: 受注オーダー数: 9,541オーダー/月 製品加工種類: 7,966種類/月 部品加工点数: 98,273個/月 このような複雑な生産体制において、同社は「工程・出荷管理が人間の勘と記憶だけでは無理」という深刻な課題に直面していました。 解決策①:独自の生産管理システム「SINS」 この課題を克服するため、SANMATSUは「経験と勘」から「デジタル化」「IoT化」へと舵を切りました。その中核を担うのが、独自の「SANMATSU統合生産管理システム(SINS)」です。 SINSは、1993年の生産管理システム導入を起点とし、1997年の中期経営計画策定を機に「再活用」が図られました。このシステムは、エンジニアリング室(CAD・CAM)、製造現場の各種NC制御・加工機、製造事務所、本社事務所、夜須工場(生産管理)など、社内のあらゆる部門をネットワークで結びつけるものです。 これにより、旧来の属人的な管理から脱却し、工程の負荷把握や工番別の原価管理といった「計数管理」が可能になりました。 解決策②:「三松大学」による人財育成 SANMATSUのDXは、システムの導入だけではありません。DXを「デジタルと職人技の融合」と定義する同社は、人財育成にも強くコミットしています。 その象徴が、社内教育機関である「三松大学」の設立です。 体系的な教育: 「三松大学」では、OJT、社内勉強会、資格試験支援、改善発表会など、体系的な社員教育(技能教育)が行われています。 知識の向上: 全従業員を対象とした「SANMATSU統一試験」をEラーニング化して実施し、「品質・図面・技術を中心としたSANMATSU従業員としての必要知識の向上」を図っています。 導入効果:1人当たり生産高219%増と働き方改革 SINSによる「デジタル化」と三松大学による「職人技の育成」の融合は、劇的な生産性向上をもたらしました。 2010年当時を100%とした場合、2025年現在の実績は以下の通りです: 項目 2010年当時 2025年現在 売上 100% 327% 社員 100% 152% 1人当たり生産高 100% 219% 休日数 100% 113% 残業時間 100% 61% 人員の増加をはるかに上回る売上増を達成し、タイトルにもある「1人当たり生産高219%」を実現しました。さらに特筆すべきは、残業時間を61%の水準まで大幅に削減しつつ、休日数を増やしている点です。 結論:SANMATSUのDX戦略 SANMATSUの成功は、DXを単なるツール導入(デジタル化)に終わらせず、「経営戦略の実現」と「課題改善活動」そのものとして捉えた結果です。 独自の生産管理システム「SINS」で「計数管理」を徹底し、同時に「三松大学」で人を育てる。「デジタルと職人技の融合」という明確なビジョンこそが、「勘と記憶」頼りの生産から脱却し、持続的な成長を実現した最大の秘訣と言えるでしょう。 [参加者インタビュー] 成功事例から自社の課題解決の糸口を探る 株式会社 共立合金製作所 取締役専務 常見亘様   本事例(株式会社SANMATSU様)のような、先進的な取り組みを共有する「研究会」に参加されている経営幹部の方に、参加の意義と活用法についてお話を伺いました。 ── 製造・営業など多岐にわたる現場への「キャッチアップ」 (3つの事業部を統括する経営幹部様) 「私は現在、製造や営業など会社の中のあらゆる部署に関わっています。そのため、SANMATSU様のような『生産管理システムと現場の融合』といった先進事例は、まさに今、システム会社さんと進めている自社のプロジェクトに直結する内容です。こうした最新の情報をキャッチアップし、自分なりに現場へ落とし込んでいきたいという意識で参加しています」 ── 「3つの事業部」それぞれへのヒントが見つかる 「弊社には3つの事業部があり、中には業績が低迷し『なんとかしなければならない』という課題を抱えている部門もあります。研究会のテーマは非常に幅広いですが、だからこそ飽きが来ず、『この事例はあの事業部の再生に使える』と、それぞれの課題に合わせて解決策の引き出しを増やすことができています」 ── 厳しい経営環境における「視座」の維持 「経営環境は厳しく、社内にいるだけではどうしてもモチベーションが下がってしまう局面もあります。しかし、ここに来れば『上場志向』を持つような高い視座の経営者仲間がいます。今回のような劇的な生産性向上の事例に触れ、意識の高いメンバーと交流することは、経営層として前向きな視点を持ち続けるために不可欠な時間だと感じています」 船井総研 ものづくり経営研究会 スマートファクトリー経営部会のご紹介 船井総合研究所の「スマートファクトリー経営部会」は、多品種少量生産型の中堅・中小製造業経営者を主な対象とした、ものづくりの生産性向上に関する経営研究会です 。 研究会の目的とテーマ 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が進む中で 、多品種少量生産型の製造業が生産性向上を実現するための手段を研究します 。 研究テーマは、以下の通り、デジタル化と現場改善の両輪を網羅しています。 “AI化・デジタル化・ロボット化・自動化・効率化” の徹底研究 。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボット等の最新事例研究 。 これらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究 。 最新事例の研究や最先端の工場視察等を通じて、ご参加いただく企業様にとって最適な「スマートファクトリー化」の形を追求していきます 。 業績アップに直結する環境と継続性 単発の刺激で終わるセミナーとは異なり 、本研究会は継続的な実践と双方向の情報交換を重視しています 。 継続性: 年間を通じた最新情報提供と現場視察の機会により、業績UPに直結する継続的な取り組みを後押しします 。 双方向性: 講師側の一方通行な講話ではなく、質疑応答や会員様同士の実践経験の共有により、立体的な理解と実践への落とし込みを実現します 。 無料お試し入会も受付しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/

「失敗から学ぶ製造業DX・3つの落とし穴」フライデーコラム:シオタ

2025.11.26

「DXの重要性は理解している。高額なAIやIoTの予算も付けた。しかし、現場では一向に使われる気配がない…」 「データを集めて『可視化』はしたが、そこから先、一向に利益に結びつかない…」 お世話になっております。船井総研の塩田です。 製造業のDX推進において、このような「やったつもりDX」に陥っているケースは後を絶ちません。最新鋭の技術を導入しても、なぜか成果が出ない。その原因は、技術そのものではなく、その「進め方」や「マインドセット」にあることがほとんどです。 多くの企業がつまずく共通の「落とし穴」。今回は、特に陥りがちな3つ落とし穴を、処方箋とともに解説します。 落とし穴1:「とりあえずAI」がすべてをダメにする【目的化の罠】 最も多く、そして根深いのがこの罠です。「手段」であるはずのツール導入が、いつの間にか「目的」にすり替わってしまいます。 典型的な失敗例は、「競合のA社がAIによる画像検品を導入したから、ウチも遅れてはならない」「国から大型の補助金が出るから、このIoTパッケージシステムを導入しよう」といったように、「ツールありき」でプロジェクトがスタートするケースです。しかし、いざ導入してみると、現場の本当の課題(ペイン)とズレていることが発覚します。 現場が本当に困っていたのは「検品作業」ではなく、「頻繁な段取り替えの手間」や「ベテランのノウハウの属人化」だったかもしれません。その場合、高額なAI検品システムは「余計な仕事」と見なされ、結局「従来通りの目視検品の方が早い」と埃をかぶることになります。 【処方箋】 DXは「デジタル"で"トランスフォーメーション(変革)する」ことである、という原点に立ち返るべきです。まず問うべきは「どのツールを使うか?」ではありません。「自社のどの課題を解決し、どのような姿に変革したいのか?」です。 「AIを導入したい」ではなく、「熟練工でしかできなかった検品作業を自動化し、工数を30%削減する。その人員を、より付加価値の高い改善活動にシフトさせる」という明確な「目的」を先に立てる必要があります。課題ドリブンで考えることこそ、DX成功の第一歩です。 落とし穴2:社長の「よろしく」が現場の士気を下げる【経営丸投げの罠】 DXは、既存の業務プロセスや組織の壁を打ち破る「変革」活動です。その推進を現場やIT部門だけに「丸投げ」した瞬間、失敗が約束されます。 例えば、経営会議で社長が「DXは重要だ。予算はつける。あとはDX推進室(またはIT部門)で、うまくやってくれ」と指示だけ出すケースがこれにあたります。推進担当者が現場のDX、たとえば生産データと設計データの連携などを進めようとすると、製造部門と設計部門の間で「データの形式が違う」「ウチの仕事が増える」といった根強い利害対立が発生します。 ここで経営層に仲裁や意思決定を求めても、「現場同士でうまく調整してくれ」と差し戻されてしまうのです。トップの本気度が見えないと、現場は「どうせまた掛け声だけだろう」「面倒なことを押し付けられた」と冷めてしまいます。抵抗勢力を前に、推進担当者だけが疲弊し、プロジェクトは静かに塩漬けとなります。 【処方箋】 DXは「経営マター」であると断言できます。DXを阻む最大の壁は、技術ではなく「組織の壁」と「古い慣習」です。 これを打ち破る権限を持っているのは、全社を動かせる経営トップ以外にいません。 社長の仕事は、予算をつけることやハンコを押すことではありません。明確なビジョン(DXによって会社をどう変えるか)を発信し続け、変革を阻害する古いルールや部門間の壁を自ら先頭に立って壊し、そして失敗を恐れず挑戦する現場を賞賛し、責任を取ることです。DX担当者を任命して終わりではなく、社長自身が「DX最高責任者」としての覚悟を示す必要があります。 落とし穴3:「目先の利益」だけを追い、大きな構想を見失う【近視眼の罠】 DXを「既存業務のちょっとした改善」や「単発のコストダウン」の手段としか捉えていないと、本質的な変革のチャンスを逃してしまいます。 典型的なのは、現場の「紙の帳票をタブレット入力にしたい」という要望に応え、システムを導入するようなケースです。確かにペーパーレス化は実現し、現場は一時的に満足するかもしれません。これが「目先のメリット」です。 しかし、その入力データが「どの工程の品質向上に使えるか」「設計部門にフィードバックして開発に活かせないか」といった、部門を横断したデータ活用の構想が全くないとどうなるでしょう。結果、データは入力されるだけで活用されず、「デジタル化(Digitization)」はしたものの、会社全体の「変革(Transformation)」には繋がらないのです。これでは、高価な「デジタル文房具」を買っただけで終わってしまいます。 【処方箋】 DXの真価は、個別の「点」の改善ではなく、それらを繋げて「線」や「面」にし、製造プロセス全体、さらにはビジネスモデル自体を変革することにあります。 「その投資は、目先の工数削減(点)だけでなく、5年後のサプライチェーン全体の最適化(面)にどう繋がるのか?」「そのデータは、単なる可視化(点)だけでなく、将来の『技術継承』や『予知保全』(線)にどう貢献するのか?」 このように、より大きな構想、広いスパンで考えることで、一見バラバラに見える投資が「意味を持った未来への布石」となります。「木を見て森を見ず」になっていないか。自社のDX構想を、もう一度大局観で捉え直すことが不可欠です。 「DXの重要性は理解している。高額なAIやIoTの予算も付けた。しかし、現場では一向に使われる気配がない…」 「データを集めて『可視化』はしたが、そこから先、一向に利益に結びつかない…」 お世話になっております。船井総研の塩田です。 製造業のDX推進において、このような「やったつもりDX」に陥っているケースは後を絶ちません。最新鋭の技術を導入しても、なぜか成果が出ない。その原因は、技術そのものではなく、その「進め方」や「マインドセット」にあることがほとんどです。 多くの企業がつまずく共通の「落とし穴」。今回は、特に陥りがちな3つ落とし穴を、処方箋とともに解説します。 落とし穴1:「とりあえずAI」がすべてをダメにする【目的化の罠】 最も多く、そして根深いのがこの罠です。「手段」であるはずのツール導入が、いつの間にか「目的」にすり替わってしまいます。 典型的な失敗例は、「競合のA社がAIによる画像検品を導入したから、ウチも遅れてはならない」「国から大型の補助金が出るから、このIoTパッケージシステムを導入しよう」といったように、「ツールありき」でプロジェクトがスタートするケースです。しかし、いざ導入してみると、現場の本当の課題(ペイン)とズレていることが発覚します。 現場が本当に困っていたのは「検品作業」ではなく、「頻繁な段取り替えの手間」や「ベテランのノウハウの属人化」だったかもしれません。その場合、高額なAI検品システムは「余計な仕事」と見なされ、結局「従来通りの目視検品の方が早い」と埃をかぶることになります。 【処方箋】 DXは「デジタル"で"トランスフォーメーション(変革)する」ことである、という原点に立ち返るべきです。まず問うべきは「どのツールを使うか?」ではありません。「自社のどの課題を解決し、どのような姿に変革したいのか?」です。 「AIを導入したい」ではなく、「熟練工でしかできなかった検品作業を自動化し、工数を30%削減する。その人員を、より付加価値の高い改善活動にシフトさせる」という明確な「目的」を先に立てる必要があります。課題ドリブンで考えることこそ、DX成功の第一歩です。 落とし穴2:社長の「よろしく」が現場の士気を下げる【経営丸投げの罠】 DXは、既存の業務プロセスや組織の壁を打ち破る「変革」活動です。その推進を現場やIT部門だけに「丸投げ」した瞬間、失敗が約束されます。 例えば、経営会議で社長が「DXは重要だ。予算はつける。あとはDX推進室(またはIT部門)で、うまくやってくれ」と指示だけ出すケースがこれにあたります。推進担当者が現場のDX、たとえば生産データと設計データの連携などを進めようとすると、製造部門と設計部門の間で「データの形式が違う」「ウチの仕事が増える」といった根強い利害対立が発生します。 ここで経営層に仲裁や意思決定を求めても、「現場同士でうまく調整してくれ」と差し戻されてしまうのです。トップの本気度が見えないと、現場は「どうせまた掛け声だけだろう」「面倒なことを押し付けられた」と冷めてしまいます。抵抗勢力を前に、推進担当者だけが疲弊し、プロジェクトは静かに塩漬けとなります。 【処方箋】 DXは「経営マター」であると断言できます。DXを阻む最大の壁は、技術ではなく「組織の壁」と「古い慣習」です。 これを打ち破る権限を持っているのは、全社を動かせる経営トップ以外にいません。 社長の仕事は、予算をつけることやハンコを押すことではありません。明確なビジョン(DXによって会社をどう変えるか)を発信し続け、変革を阻害する古いルールや部門間の壁を自ら先頭に立って壊し、そして失敗を恐れず挑戦する現場を賞賛し、責任を取ることです。DX担当者を任命して終わりではなく、社長自身が「DX最高責任者」としての覚悟を示す必要があります。 落とし穴3:「目先の利益」だけを追い、大きな構想を見失う【近視眼の罠】 DXを「既存業務のちょっとした改善」や「単発のコストダウン」の手段としか捉えていないと、本質的な変革のチャンスを逃してしまいます。 典型的なのは、現場の「紙の帳票をタブレット入力にしたい」という要望に応え、システムを導入するようなケースです。確かにペーパーレス化は実現し、現場は一時的に満足するかもしれません。これが「目先のメリット」です。 しかし、その入力データが「どの工程の品質向上に使えるか」「設計部門にフィードバックして開発に活かせないか」といった、部門を横断したデータ活用の構想が全くないとどうなるでしょう。結果、データは入力されるだけで活用されず、「デジタル化(Digitization)」はしたものの、会社全体の「変革(Transformation)」には繋がらないのです。これでは、高価な「デジタル文房具」を買っただけで終わってしまいます。 【処方箋】 DXの真価は、個別の「点」の改善ではなく、それらを繋げて「線」や「面」にし、製造プロセス全体、さらにはビジネスモデル自体を変革することにあります。 「その投資は、目先の工数削減(点)だけでなく、5年後のサプライチェーン全体の最適化(面)にどう繋がるのか?」「そのデータは、単なる可視化(点)だけでなく、将来の『技術継承』や『予知保全』(線)にどう貢献するのか?」 このように、より大きな構想、広いスパンで考えることで、一見バラバラに見える投資が「意味を持った未来への布石」となります。「木を見て森を見ず」になっていないか。自社のDX構想を、もう一度大局観で捉え直すことが不可欠です。

経営層・工場長のための国際ロボット展2025「視察」ガイド|見どころ5選と効率的な歩き方

2025.11.25

1. はじめに:なぜ今、経営層が「国際ロボット展」に自ら足を運ぶべきなのか 世界最大級のロボット・トレードショー「国際ロボット展(iREX)」が今年も開催されます。広大な会場に数千の最新技術が並ぶこの展示会は、単なる技術の祭典ではありません。製造業の経営者・工場長にとっては、向こう数年の自社の競争力を左右する「投資判断の場」でもあります。 現場の担当者に視察を一任するケースも見られますが、今こそ決裁権を持つ皆様ご自身が足を運び、肌で変化を感じ取るべき理由があります。それは、ロボット技術のフェーズが大きく変わったからです。 1-1. 2025年の重要テーマは「単なる自動化」から「AI×自律化」へ これまでのロボット導入は「決まった動作を高速で繰り返す」ことが主眼でした。しかし、2025年のトレンドは明らかに変化しています。生成AIや高度なセンシング技術との融合により、ロボットは「自分で考えて動く(自律化)」フェーズへと進化しました。 これは、これまでの「多品種少量生産にはロボットは向かない」という常識が覆されつつあることを意味します。このパラダイムシフトを経営視点で理解できるかどうかが、今後の設備投資の成否を分けます。 1-2. 現場任せにしない「投資対効果(ROI)」を見極める視察 「すごい技術だった」という感想だけで終わらせてはいけません。経営層が見るべきは、そのロボットを導入することで「どれだけの人件費が削減できるか」「生産リードタイムがどれだけ短縮されるか」というROI(投資対効果)です。現場の視点はどうしても「使いやすさ」に寄りがちですが、経営層は「ビジネスインパクト」の視点で展示を見極める必要があります。 2. 迷子にならない事前準備:目的を「自社の経営課題」から逆算する 東京ビッグサイトの全館を使用する広大な会場を、漫然と歩くのは時間の浪費です。効率的な視察のためには、出発前の「課題の言語化」が不可欠です。 2-1. 「人手不足の解消」か「生産能力の増強」か、狙いを定める 「何かいいものがあれば」というスタンスでは、何も見つかりません。 人手不足の解消: 特定の工程(例:箱詰め、搬送)を省人化したいのか? 品質の安定化: 熟練工の検査精度を自動化したいのか? 生産能力の増強: 24時間稼働を実現したいのか? 目的によって、見るべきブースは180度変わります。まずは自社の最重要課題を1つだけ決めて、そこに関連するソリューションに集中しましょう。 2-2. 会場マップは「製品ジャンル」ではなく「工程(活用シーン)」で塗る 主催者が用意するマップは「メーカー別」や「団体別」になっていることが多いですが、ご自身のマップには「工程」で印をつけてください。「溶接ゾーン」「組立ゾーン」「搬送ゾーン」といった具合です。有名メーカーの巨大ブースだけでなく、自社の課題解決に直結する中小規模の専門メーカーを見落とさないための工夫です。 続いて、国際ロボット展2025で見るべき「5つの注目トレンド」をお伝えします。 3. 【プロ厳選】国際ロボット展2025で見るべき「5つの注目トレンド」 数ある展示の中から、特にROIが出やすく、製造業の現場変革に直結する5つのトレンドを厳選しました。これらは「未来の技術」ではなく、すでに「実用段階にある技術」です。 【2025年 国際ロボット展 注目トレンド比較】 3-1. 【協働ロボット】柵なし・ティーチングレスによる「柔軟な生産体制」 かつては「遅い」「力が弱い」と言われた協働ロボットですが、可搬重量の増加と動作速度の向上(※リスクアセスメント必須)により、本格的な生産ラインへの投入が可能になりました。特に注目は「ティーチング(動作教示)の簡易化」です。プログラミング知識がなくても、スマホ感覚で設定できるモデルが増えています。「専任の技術者がいない」という中小企業こそ、見るべき分野です。 3-2. 【物流・搬送(AMR/AGV)】工場内物流の「搬送レス」への挑戦 「作ること」よりも「運ぶこと」に多くの工数を割いていませんか? ガイドテープ不要で自律走行するAMR(自律走行搬送ロボット)は、レイアウト変更にも柔軟に対応できます。ロボットアームと台車が一体化した「モバイルマニピュレーター」の実演があれば、ぜひ足を止めてください。加工から搬送までをシームレスに繋ぐ未来が見えます。 3-3. 【AI・画像認識】熟練工の目を代替する「外観検査・ピッキング」 これまでは照明環境やワークの向きを厳密に管理する必要がありましたが、AIの進化により「多少ラフな環境」でも認識できるようになりました。熟練工が「勘と経験」で行っていた微細なキズの判定や、バラバラに置かれた部品のピッキングが可能になっています。 3-4. 【デジタルツイン】導入失敗リスクをゼロにする「事前検証シミュレーション」 実機を見る前に、モニター上のシミュレーション画面に注目してください。PC上でラインを再現し、タクトタイムや干渉を事前に検証する「デジタルツイン」技術です。これにより、「導入してみたが、思ったより生産性が上がらなかった」という最大のリスクを回避できます。 3-5. 【ロボットハンド・周辺機器】「掴めない」を解決する把持技術の進化 ロボット本体(アーム)の性能差は縮まっています。現在の差別化要因は「手(エンドエフェクタ)」にあります。柔らかい食品を潰さずに掴む、油まみれの金属部品を滑らずに掴むなど、ハンド技術の進化が自動化の適用範囲を広げています。 4. 効率的な会場の歩き方:1日で成果を最大化する視察ルート 限られた時間で成果を最大化するための、プロ視点の「歩き方」を伝授します。 4-1. 派手なデモ機よりも「システムインテグレータ(SIer)ゾーン」に注目せよ 大手ロボットメーカーのブースで、ダンスをするロボットを見るのは楽しいですが、それはビジネスではありません。 本当に見るべきは、ロボットメーカーの奥や、SIer(エスアイアー)が集まるゾーンです。彼らはメーカーの枠を超え、ハンド、カメラ、架台を組み合わせた「実際に使えるシステム」を展示しています。具体的な導入イメージは、SIerのブースにこそ転がっています。 4-2. 質問リストを用意する:「御社のロボットは、我が社のこのワークを扱えますか?」 ブース担当者との会話を有意義にするためのフローです。 【ブースでの対話とアクションのフロー】 Step 1:ブース訪問・デモ確認 まずはデモ機を見て、自社の課題解決に繋がりそうか直感的に判断します。 関係ない(自社の課題とかけ離れている)と感じたら、時間を浪費せずスルーして次へ進みます。 Step 2:担当者へのヒアリング(重要3項目) 自社の課題に近いと感じたら、担当者に以下の質問を投げかけます。 Q1. 適合性:「このロボットシステムで『自社の工程』自動化できそうですか?」 Q2. 費用対効果:「導入コストの目安は?」 Q3. 運用体制:「設置後のサポート体制はどうなっていますか?」 Step 3:情報の記録 回答に納得できたら、名刺交換・資料請求を行います。 ★最重要:忘れないうちに、その場でスマホに「どの工程に使えそうか」等のメモを残します。 カタログスペックを聞くのではなく、「自社のワーク(製品)」の写真や図面をスマホで見せながら、「こういう課題を解決できるか?」と聞くのが最も手っ取り早い方法です。 5. 視察を「ただの見学」で終わらせないために 5-1. 持ち帰るべきはパンフレットではなく「具体的な導入イメージ」と「課題感」 帰社後、デスクに山積みになったパンフレットを見返しても、熱量は蘇りません。大切なのは、会場で感じた「これなら自社のあの工程に使えるかもしれない」という直感と、ブース担当者の生の声です。 気になったブースでは必ず写真を撮り、その場で「どの工程に適用できそうか」を一言メモに残してください。それが後日の検討会議で最強の資料となります。 5-2. 複雑化する選択肢の中で「自社に最適な解」を見つける難しさ しかし、いざ導入を検討し始めると、壁にぶつかるはずです。「A社のロボットとB社のロボット、どちらがウチに合うのか?」「SIerはどこに頼めばいいのか?」「補助金は使えるのか?」 選択肢が増えたことは喜ばしい反面、選定の難易度も格段に上がっています。メーカーの営業担当者は、当然ながら自社製品を推奨するため、フラットな比較検討は困難です。 6. まとめ:工場DXドットコムの「無料個別相談」で最適な自動化プランを策定 国際ロボット展は、工場の未来を変える大きなきっかけです。しかし、視察はあくまで「スタートライン」。重要なのは、持ち帰った情報をどう自社の現場に落とし込むかです。 「自社の工程に合うロボットがわからない」 「視察で見つけた技術を導入したいが、どのSIerに頼めばいいかわからない」 「失敗しない投資計画を立てたい」 そうお考えの経営者様、工場長様は、ぜひ「工場DXドットコム」の無料個別相談をご利用ください。 私たちは特定のメーカーに縛られない中立的な立場で、貴社の課題に最適な自動化ソリューションと、信頼できるパートナー企業を選定・ご紹介します。 国際ロボット展で得た「気づき」を、確実な「成果」に変えるために。まずはプロフェッショナルの知見をご活用ください! 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html?siteno=S045&_gl=1*n9ocn6*_gcl_au*MTQxOTg2OTc5LjE3NDg0MDQ4OTA.*_ga*MTQwMzYyNzIxNC4xNzAxMTQ4MzQz*_ga_D8HCS71KCM*czE3NTEyNjM4NjIkbzQ0MCRnMCR0MTc1MTI2Mzg2MiRqNjAkbDAkaDA. 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。 1. はじめに:なぜ今、経営層が「国際ロボット展」に自ら足を運ぶべきなのか 世界最大級のロボット・トレードショー「国際ロボット展(iREX)」が今年も開催されます。広大な会場に数千の最新技術が並ぶこの展示会は、単なる技術の祭典ではありません。製造業の経営者・工場長にとっては、向こう数年の自社の競争力を左右する「投資判断の場」でもあります。 現場の担当者に視察を一任するケースも見られますが、今こそ決裁権を持つ皆様ご自身が足を運び、肌で変化を感じ取るべき理由があります。それは、ロボット技術のフェーズが大きく変わったからです。 1-1. 2025年の重要テーマは「単なる自動化」から「AI×自律化」へ これまでのロボット導入は「決まった動作を高速で繰り返す」ことが主眼でした。しかし、2025年のトレンドは明らかに変化しています。生成AIや高度なセンシング技術との融合により、ロボットは「自分で考えて動く(自律化)」フェーズへと進化しました。 これは、これまでの「多品種少量生産にはロボットは向かない」という常識が覆されつつあることを意味します。このパラダイムシフトを経営視点で理解できるかどうかが、今後の設備投資の成否を分けます。 1-2. 現場任せにしない「投資対効果(ROI)」を見極める視察 「すごい技術だった」という感想だけで終わらせてはいけません。経営層が見るべきは、そのロボットを導入することで「どれだけの人件費が削減できるか」「生産リードタイムがどれだけ短縮されるか」というROI(投資対効果)です。現場の視点はどうしても「使いやすさ」に寄りがちですが、経営層は「ビジネスインパクト」の視点で展示を見極める必要があります。 2. 迷子にならない事前準備:目的を「自社の経営課題」から逆算する 東京ビッグサイトの全館を使用する広大な会場を、漫然と歩くのは時間の浪費です。効率的な視察のためには、出発前の「課題の言語化」が不可欠です。 2-1. 「人手不足の解消」か「生産能力の増強」か、狙いを定める 「何かいいものがあれば」というスタンスでは、何も見つかりません。 人手不足の解消: 特定の工程(例:箱詰め、搬送)を省人化したいのか? 品質の安定化: 熟練工の検査精度を自動化したいのか? 生産能力の増強: 24時間稼働を実現したいのか? 目的によって、見るべきブースは180度変わります。まずは自社の最重要課題を1つだけ決めて、そこに関連するソリューションに集中しましょう。 2-2. 会場マップは「製品ジャンル」ではなく「工程(活用シーン)」で塗る 主催者が用意するマップは「メーカー別」や「団体別」になっていることが多いですが、ご自身のマップには「工程」で印をつけてください。「溶接ゾーン」「組立ゾーン」「搬送ゾーン」といった具合です。有名メーカーの巨大ブースだけでなく、自社の課題解決に直結する中小規模の専門メーカーを見落とさないための工夫です。 続いて、国際ロボット展2025で見るべき「5つの注目トレンド」をお伝えします。 3. 【プロ厳選】国際ロボット展2025で見るべき「5つの注目トレンド」 数ある展示の中から、特にROIが出やすく、製造業の現場変革に直結する5つのトレンドを厳選しました。これらは「未来の技術」ではなく、すでに「実用段階にある技術」です。 【2025年 国際ロボット展 注目トレンド比較】 3-1. 【協働ロボット】柵なし・ティーチングレスによる「柔軟な生産体制」 かつては「遅い」「力が弱い」と言われた協働ロボットですが、可搬重量の増加と動作速度の向上(※リスクアセスメント必須)により、本格的な生産ラインへの投入が可能になりました。特に注目は「ティーチング(動作教示)の簡易化」です。プログラミング知識がなくても、スマホ感覚で設定できるモデルが増えています。「専任の技術者がいない」という中小企業こそ、見るべき分野です。 3-2. 【物流・搬送(AMR/AGV)】工場内物流の「搬送レス」への挑戦 「作ること」よりも「運ぶこと」に多くの工数を割いていませんか? ガイドテープ不要で自律走行するAMR(自律走行搬送ロボット)は、レイアウト変更にも柔軟に対応できます。ロボットアームと台車が一体化した「モバイルマニピュレーター」の実演があれば、ぜひ足を止めてください。加工から搬送までをシームレスに繋ぐ未来が見えます。 3-3. 【AI・画像認識】熟練工の目を代替する「外観検査・ピッキング」 これまでは照明環境やワークの向きを厳密に管理する必要がありましたが、AIの進化により「多少ラフな環境」でも認識できるようになりました。熟練工が「勘と経験」で行っていた微細なキズの判定や、バラバラに置かれた部品のピッキングが可能になっています。 3-4. 【デジタルツイン】導入失敗リスクをゼロにする「事前検証シミュレーション」 実機を見る前に、モニター上のシミュレーション画面に注目してください。PC上でラインを再現し、タクトタイムや干渉を事前に検証する「デジタルツイン」技術です。これにより、「導入してみたが、思ったより生産性が上がらなかった」という最大のリスクを回避できます。 3-5. 【ロボットハンド・周辺機器】「掴めない」を解決する把持技術の進化 ロボット本体(アーム)の性能差は縮まっています。現在の差別化要因は「手(エンドエフェクタ)」にあります。柔らかい食品を潰さずに掴む、油まみれの金属部品を滑らずに掴むなど、ハンド技術の進化が自動化の適用範囲を広げています。 4. 効率的な会場の歩き方:1日で成果を最大化する視察ルート 限られた時間で成果を最大化するための、プロ視点の「歩き方」を伝授します。 4-1. 派手なデモ機よりも「システムインテグレータ(SIer)ゾーン」に注目せよ 大手ロボットメーカーのブースで、ダンスをするロボットを見るのは楽しいですが、それはビジネスではありません。 本当に見るべきは、ロボットメーカーの奥や、SIer(エスアイアー)が集まるゾーンです。彼らはメーカーの枠を超え、ハンド、カメラ、架台を組み合わせた「実際に使えるシステム」を展示しています。具体的な導入イメージは、SIerのブースにこそ転がっています。 4-2. 質問リストを用意する:「御社のロボットは、我が社のこのワークを扱えますか?」 ブース担当者との会話を有意義にするためのフローです。 【ブースでの対話とアクションのフロー】 Step 1:ブース訪問・デモ確認 まずはデモ機を見て、自社の課題解決に繋がりそうか直感的に判断します。 関係ない(自社の課題とかけ離れている)と感じたら、時間を浪費せずスルーして次へ進みます。 Step 2:担当者へのヒアリング(重要3項目) 自社の課題に近いと感じたら、担当者に以下の質問を投げかけます。 Q1. 適合性:「このロボットシステムで『自社の工程』自動化できそうですか?」 Q2. 費用対効果:「導入コストの目安は?」 Q3. 運用体制:「設置後のサポート体制はどうなっていますか?」 Step 3:情報の記録 回答に納得できたら、名刺交換・資料請求を行います。 ★最重要:忘れないうちに、その場でスマホに「どの工程に使えそうか」等のメモを残します。 カタログスペックを聞くのではなく、「自社のワーク(製品)」の写真や図面をスマホで見せながら、「こういう課題を解決できるか?」と聞くのが最も手っ取り早い方法です。 5. 視察を「ただの見学」で終わらせないために 5-1. 持ち帰るべきはパンフレットではなく「具体的な導入イメージ」と「課題感」 帰社後、デスクに山積みになったパンフレットを見返しても、熱量は蘇りません。大切なのは、会場で感じた「これなら自社のあの工程に使えるかもしれない」という直感と、ブース担当者の生の声です。 気になったブースでは必ず写真を撮り、その場で「どの工程に適用できそうか」を一言メモに残してください。それが後日の検討会議で最強の資料となります。 5-2. 複雑化する選択肢の中で「自社に最適な解」を見つける難しさ しかし、いざ導入を検討し始めると、壁にぶつかるはずです。「A社のロボットとB社のロボット、どちらがウチに合うのか?」「SIerはどこに頼めばいいのか?」「補助金は使えるのか?」 選択肢が増えたことは喜ばしい反面、選定の難易度も格段に上がっています。メーカーの営業担当者は、当然ながら自社製品を推奨するため、フラットな比較検討は困難です。 6. まとめ:工場DXドットコムの「無料個別相談」で最適な自動化プランを策定 国際ロボット展は、工場の未来を変える大きなきっかけです。しかし、視察はあくまで「スタートライン」。重要なのは、持ち帰った情報をどう自社の現場に落とし込むかです。 「自社の工程に合うロボットがわからない」 「視察で見つけた技術を導入したいが、どのSIerに頼めばいいかわからない」 「失敗しない投資計画を立てたい」 そうお考えの経営者様、工場長様は、ぜひ「工場DXドットコム」の無料個別相談をご利用ください。 私たちは特定のメーカーに縛られない中立的な立場で、貴社の課題に最適な自動化ソリューションと、信頼できるパートナー企業を選定・ご紹介します。 国際ロボット展で得た「気づき」を、確実な「成果」に変えるために。まずはプロフェッショナルの知見をご活用ください! 「無料個別相談」 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html?siteno=S045&_gl=1*n9ocn6*_gcl_au*MTQxOTg2OTc5LjE3NDg0MDQ4OTA.*_ga*MTQwMzYyNzIxNC4xNzAxMTQ4MzQz*_ga_D8HCS71KCM*czE3NTEyNjM4NjIkbzQ0MCRnMCR0MTc1MTI2Mzg2MiRqNjAkbDAkaDA. 無料オンライン相談とは、当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。

御社の基幹システムデータ、”生きた情報”になっていますか?リアルタイムBIで実現する「データ駆動型経営」の仕込み方

2025.11.25

「製造業のDX」において、基幹システム導入がゴールではないことは、皆様も強く感じていらっしゃることでしょう。 高額な投資をして導入したはずの基幹システム。しかし、データ集計に未だ担当者が手作業で関与し、経営判断が数日遅れ、「せっかくのデータが宝の持ち腐れ」になっているケースが散見されます。 本稿では、この現状を打破し、基幹システムデータを「生きた情報資産」へと変える、進化したBIツール連携によるデータ活用戦略の真のメリットに加えて、導入時に必ず押さえるべき「成功の仕込み」について、お伝えいたします。 基幹システム+BIツール連携で変わる「経営のスピード」 従来のデータ活用は、システム導入後の「おまけ」と考えられがちでした。しかし、進化を遂げたBIツールとの連携は、経営そのもののスピードと質を変革します。 ■リアルタイム経営判断と属人性の完全排除 現状、月次や週次の営業指標(売上、原価率、在庫回転率など)の確認は、いまだに「Excel熟練者への依頼」と「集計マクロが組み込まれたExcel資料」に依存していませんか? 問題点: 担当者の病欠や退職で業務が滞る「属人性リスク」、資料作成に数日を要する「判断の遅れ」。 BI連携の解決策: BIツールは基幹システムのデータを自動で読み込み、分析ダッシュボードを常に最新版に更新します。資料作成のための時間はゼロになり、経営に必要な情報がリアルタイムで手に入ります。そのため、即時的な課題対応が可能となり、意思決定のスピードが劇的に向上します。 ■データドリブンな「標準業務プロセス」の確立 BI連携は単なる可視化で終わりません。全社員が共通の「真実のデータ」に基づき、意思決定を行う文化を醸成します。 変化: 「個人の経験と勘」や「手元のExcel」に依存していた情報が、BIダッシュボードを通じて組織全体に"見える化"されます。 効果: 各社員が、共通の指標と客観的なデータに基づいて行動を決定できるようになります。そのため、個人に頼る割合が減少し、部門横断的なチーム戦略が活性化し、組織全体の業務がデータに基づいて標準化されます。 【最重要】「後悔しない」BI分析を実現するための2つの「仕込み」 BIツール導入の失敗事例のほとんどは、「分析軸の不足」と「資料の複雑化」です。システム稼働前に、以下の2点を「未来志向」で仕込んでおくことが、データ経営の成否を分けます。 【コツ1】BIで「最終的に見たい指標」から逆算し、マスタ項目を設計する 基幹システム導入時、マスタ項目設計は必須ですが、「BIでどう分析するか」という視点が抜け落ちがちです。 よくある失敗: システムが稼働してから「この項目で切り分けて分析したい」となっても、そのデータが基幹システム側で入力必須項目として設定されていなければ、分析は不可能です。   成功のための仕込み(例:受注分析): 「誰が(担当者)」「どこへ(納品先区分)」「何を(製品カテゴリ)」を「どのように(チャネル区分)」売ったのか?   これらの分析軸となる項目を、見積・受注入力時に必須入力として、フィールドをシステムに設定しておくことが不可欠です。   警告: 「稼働後に検討」では、システム改修か、毎回Excelに出力して手作業で加工する「分析のためのムダな工数」が発生し、DXは遠のきます。 【コツ2】部門・役職ごとに必要な分析資料を「標準化」し、数を絞り込む 「あれもこれも分析したい」という要望で資料が増えすぎ、結局「どれを見て、何を判断すればいいか分からない」という情報洪水に陥るケースが多発します。 回避策: 基幹システム導入時の「業務フロー標準化」と同様に、BI分析資料も事前に厳しく精査・標準化します。   例:「経営層向けサマリー(KPI特化)」「営業部門長向け(達成率・要因分析)」「現場担当者向け(行動管理)」など、見るべき役割と目的に応じて資料をシンプルに集約・定義しましょう。   重要性: プロジェクトメンバーの多様な意見をそのまま反映させると、必ず複雑化します。「何をやめるか」を決断し、最も重要な指標にフォーカスした資料にまとめ上げることが、BI活用の定着を促します。 まとめ:データ経営は「設計」で決まる システムやツールを導入すれば、自動的に「データ経営」が実現するわけではありません。 データ経営は、BIツールという道具を最大限に活かすための「設計と仕込み」にかかっています。 迅速で安定したデータ経営を実現するためには、システム導入のその瞬間から、最終的なBI分析を意識した「逆算的なデータ設計」が不可欠です。 ぜひ、この機会に貴社の基幹システムデータの「活かし方」を再点検し、データ駆動型経営への大きな一歩を踏み出してください。 【皆様の会社でこのようなお悩みはありませんか?】 企画・戦略策定の課題 漠然と「今の業務をITでどうにかしたい」と考えているが、何から手をつけて良いかわからない システム導入を検討しているものの、具体的な要件が固まっていない 業務の効率化・自動化の必要性を感じているが、会社として具体的な目的や方向性が定まっていない 他社の成功事例を見て「うちも導入すべきか?」と考えているが、自社に合うか不安 AIやクラウドなどの新しいデジタル技術の導入に関心があるが、どこから手をつければ良いかわからない 事業成長を見据えた拡張性の高いシステム基盤を検討したい   課題解決・効果最大化に関する課題 現状の基幹システムが老朽化し、刷新の必要性を感じている 部門間の連携不足をシステムで解消したいと考えている データ活用・分析を進めたいが、現状のシステムでは難しいと感じている 属人化している業務を標準化し、リスクを低減したいと考えている   導入・プロジェクト推進の課題 過去にシステム導入で失敗経験があり、次こそは成功させたいと考えている システム会社からの提案内容が自社の課題解決に繋がるのか、判断に迷ってしまうことがある システム導入プロジェクトの進め方に不安を感じている 上記のお悩みに1つでも当てはまる場合は、 「今すぐ!」次のページから無料オンライン相談をお申し込みください。 貴社の個別特有のお悩み事に専門コンサルタントが相談対応いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/form/consulting いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。 「製造業のDX」において、基幹システム導入がゴールではないことは、皆様も強く感じていらっしゃることでしょう。 高額な投資をして導入したはずの基幹システム。しかし、データ集計に未だ担当者が手作業で関与し、経営判断が数日遅れ、「せっかくのデータが宝の持ち腐れ」になっているケースが散見されます。 本稿では、この現状を打破し、基幹システムデータを「生きた情報資産」へと変える、進化したBIツール連携によるデータ活用戦略の真のメリットに加えて、導入時に必ず押さえるべき「成功の仕込み」について、お伝えいたします。 基幹システム+BIツール連携で変わる「経営のスピード」 従来のデータ活用は、システム導入後の「おまけ」と考えられがちでした。しかし、進化を遂げたBIツールとの連携は、経営そのもののスピードと質を変革します。 ■リアルタイム経営判断と属人性の完全排除 現状、月次や週次の営業指標(売上、原価率、在庫回転率など)の確認は、いまだに「Excel熟練者への依頼」と「集計マクロが組み込まれたExcel資料」に依存していませんか? 問題点: 担当者の病欠や退職で業務が滞る「属人性リスク」、資料作成に数日を要する「判断の遅れ」。 BI連携の解決策: BIツールは基幹システムのデータを自動で読み込み、分析ダッシュボードを常に最新版に更新します。資料作成のための時間はゼロになり、経営に必要な情報がリアルタイムで手に入ります。そのため、即時的な課題対応が可能となり、意思決定のスピードが劇的に向上します。 ■データドリブンな「標準業務プロセス」の確立 BI連携は単なる可視化で終わりません。全社員が共通の「真実のデータ」に基づき、意思決定を行う文化を醸成します。 変化: 「個人の経験と勘」や「手元のExcel」に依存していた情報が、BIダッシュボードを通じて組織全体に"見える化"されます。 効果: 各社員が、共通の指標と客観的なデータに基づいて行動を決定できるようになります。そのため、個人に頼る割合が減少し、部門横断的なチーム戦略が活性化し、組織全体の業務がデータに基づいて標準化されます。 【最重要】「後悔しない」BI分析を実現するための2つの「仕込み」 BIツール導入の失敗事例のほとんどは、「分析軸の不足」と「資料の複雑化」です。システム稼働前に、以下の2点を「未来志向」で仕込んでおくことが、データ経営の成否を分けます。 【コツ1】BIで「最終的に見たい指標」から逆算し、マスタ項目を設計する 基幹システム導入時、マスタ項目設計は必須ですが、「BIでどう分析するか」という視点が抜け落ちがちです。 よくある失敗: システムが稼働してから「この項目で切り分けて分析したい」となっても、そのデータが基幹システム側で入力必須項目として設定されていなければ、分析は不可能です。   成功のための仕込み(例:受注分析): 「誰が(担当者)」「どこへ(納品先区分)」「何を(製品カテゴリ)」を「どのように(チャネル区分)」売ったのか?   これらの分析軸となる項目を、見積・受注入力時に必須入力として、フィールドをシステムに設定しておくことが不可欠です。   警告: 「稼働後に検討」では、システム改修か、毎回Excelに出力して手作業で加工する「分析のためのムダな工数」が発生し、DXは遠のきます。 【コツ2】部門・役職ごとに必要な分析資料を「標準化」し、数を絞り込む 「あれもこれも分析したい」という要望で資料が増えすぎ、結局「どれを見て、何を判断すればいいか分からない」という情報洪水に陥るケースが多発します。 回避策: 基幹システム導入時の「業務フロー標準化」と同様に、BI分析資料も事前に厳しく精査・標準化します。   例:「経営層向けサマリー(KPI特化)」「営業部門長向け(達成率・要因分析)」「現場担当者向け(行動管理)」など、見るべき役割と目的に応じて資料をシンプルに集約・定義しましょう。   重要性: プロジェクトメンバーの多様な意見をそのまま反映させると、必ず複雑化します。「何をやめるか」を決断し、最も重要な指標にフォーカスした資料にまとめ上げることが、BI活用の定着を促します。 まとめ:データ経営は「設計」で決まる システムやツールを導入すれば、自動的に「データ経営」が実現するわけではありません。 データ経営は、BIツールという道具を最大限に活かすための「設計と仕込み」にかかっています。 迅速で安定したデータ経営を実現するためには、システム導入のその瞬間から、最終的なBI分析を意識した「逆算的なデータ設計」が不可欠です。 ぜひ、この機会に貴社の基幹システムデータの「活かし方」を再点検し、データ駆動型経営への大きな一歩を踏み出してください。 【皆様の会社でこのようなお悩みはありませんか?】 企画・戦略策定の課題 漠然と「今の業務をITでどうにかしたい」と考えているが、何から手をつけて良いかわからない システム導入を検討しているものの、具体的な要件が固まっていない 業務の効率化・自動化の必要性を感じているが、会社として具体的な目的や方向性が定まっていない 他社の成功事例を見て「うちも導入すべきか?」と考えているが、自社に合うか不安 AIやクラウドなどの新しいデジタル技術の導入に関心があるが、どこから手をつければ良いかわからない 事業成長を見据えた拡張性の高いシステム基盤を検討したい   課題解決・効果最大化に関する課題 現状の基幹システムが老朽化し、刷新の必要性を感じている 部門間の連携不足をシステムで解消したいと考えている データ活用・分析を進めたいが、現状のシステムでは難しいと感じている 属人化している業務を標準化し、リスクを低減したいと考えている   導入・プロジェクト推進の課題 過去にシステム導入で失敗経験があり、次こそは成功させたいと考えている システム会社からの提案内容が自社の課題解決に繋がるのか、判断に迷ってしまうことがある システム導入プロジェクトの進め方に不安を感じている 上記のお悩みに1つでも当てはまる場合は、 「今すぐ!」次のページから無料オンライン相談をお申し込みください。 貴社の個別特有のお悩み事に専門コンサルタントが相談対応いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/form/consulting
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