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プラスチック射出成形の原価管理とコスト削減法:製造業の生産管理システム活用ガイド【基礎から実践まで】

2024.11.21

プラスチック射出成形は、製造業において広く使用されている生産技術であり、精密な製品を大量に生産することが可能です。しかし、その一方で、コスト管理の難しさが業界の課題として挙げられます。原材料費、加工費、設備費など、多くのコスト要因が絡み合い、適切な管理を怠ると、企業の利益を圧迫することになります。この記事では、プラスチック射出成形における原価管理の基本から、具体的なコスト削減方法、生産管理システムの活用方法、さらに実践的な事例を通じて、競争力を維持するための最適な原価管理手法を紹介します。 1.はじめに:射出成形における原価管理の重要性とその背景 2.原価管理の目的:競争力向上と利益確保 射出成形は、プラスチックや金属の加工において非常に重要な技術です。この技術を使用することで、複雑な形状や高精度な製品を短期間で生産することが可能になります。しかし、生産効率を最大化するためには、細かなコスト管理が必要不可欠です。原材料費、加工費、設備維持費などが製造コストに影響を与えるため、それらのコストを的確に把握・管理を行い、データをもとにした原価改善を実施することが競争力維持に繋がります。 射出成形のプロセスは、多くの工程が絡むため、各工程で発生するコストを細かく分けて管理する必要があります。 例えば、原材料の仕入れから製品の完成までにかかる時間や人件費、そして生産設備の稼働率や保守管理費用が、全体的なコストにどのように影響するのかを理解することが重要です。 射出成形では、製品単価が低くなることが多いため、大量生産における効率化が求められます。そのため、製造原価を把握するためには、原価計算の手法を十分に理解し、適切な管理体制を築くことが必要です。 しかし近年の製品の多様化に伴って各社が製造する製品の品目数は多くなり、それぞれロット数も少なくなってきているのが現状です。 こういった多品種少量生産が求められる現在では、特に製品の製造に必要な準備時間(段取時間)をいかに効率的に最適化することができるかが原価低減における重要な視点となっていきます。 ①実際工数のデータ化・一元化(データ取得) こちらの画像をご覧ください。 こちらは弊社主催セミナーの資料の一部です。 画像に示されているように、多くの製造業では特に実際にかかった「労務費(工賃×工数)」と「光熱費」を正確に製品別工程別に取得することができていません。 実際にかかった労務費と光熱費が把握できないため、製造原価を把握することが出来ず、売価に対する利益を把握することが出来なくなってしまうのです。 実際原価を把握するためには、特に実際にかかった製造工数を現場でリアルタイムに取得していく必要があります。 光熱費においても、カーボンニュートラル等の観点から正確なデータ取得は必要ですが、光熱費を削減していく場合には新電力活用や設備投資等の投資による施策が挙げられることが多いため、現場改善・原価低減の観点で見る場合は、労務費をもとに按分するという進め方で取り急ぎは問題ないと考えられます。 皆さんの現場ではいかがでしょうか? 製造工数は正確に取れていますでしょうか? また、そのデータを原価管理・現場改善へと活用することができていますか? 管理会計分野でも様々な分析・管理手法がありますが、それらもすべて「正確なデータが取得できていること」が前提です。 会社として、競争力を向上させるためには、特に正確な工数データを取得することが重要なのです。 ②実際原価の可視化(集計) 製品別・工程別の実際にかかった原価を可視化することにより、どの製品・工程で無駄が発生しているかを特定できます。これにより、コスト削減の余地が明確になり、改善策を講じることができます。 多くの企業では、まだまだ標準原価計算によって原価管理されているのが実態です。 標準原価計算による製品別の原価を把握してしまうと、実際にかかった原価が見えなくなるため、生産計画・見積作成に影響を及ぼしてしまいます。 結果として、適切な経営判断を行うことが出来なくなってしまうのです。 データが集計されて可視化されてくれば、おのずと改善箇所が見えるようになっていきます。 製品別であれば、利益率のGood・Bad分析・製品分類別の利益率の推移・客先毎の利益率等が分析できるようになります。 工程別であれば、各ライン・設備における稼働時間の分析・製品別における製造ラインの特性等が統計的に分析できるようになります。 ③利益の最大化(改善) 実際原価を可視化することによって得られる効果は、改善箇所が見えるようになることだけではなく、 改善後の結果が経営効果として数値化できるようになる ことが挙げられます。 実際原価の可視化は実態を表すものであるため、改善の実施により過去と比較してどれだけ改善できたのかを数値で示すことができるようになるのです。 これにより、現場の方の改善活動に対するモチベーション向上につながることができ、会社として改善活動を活発化することができるようになります。 さらに、経営者・管理者としても、結果が数値で現れるようになるため根拠をもとに適切な評価ができるようになります。 現場の方からすると、やはり経営者・管理者からの適切な評価や適切な鼓舞はうれしいものであり、より改善活動を実施しようという考えを持ってくれるようになります。 そうすると、現場の方が率先して「データを見て気づきを得て」「改善ポイントを把握して」「自らが改善活動を実施する」ことができるようになるのです。 これにより、現場主導の経営改善・原価改善体制が出来上がります。 当たり前ですが、現場改善の気づきを得やすいのは現場の方々です。 日々作業をしているため、自部門の製造特性を熟知しているからです。 これを、「なんとなくやっている」「仕事だからやっている」といった意識で製造をする場合と、「この部分に改善ポイントがありそうだな」と考えながら製造をする場合では雲泥の差があることは明らかです。 こういった「原価意識を持った製造」意識を持たせるためにも、上記のような正確なデータ取得・可視化が重要となります。 生産性を向上させ、製造コストを抑えることができれば、同じ製品をより多くの利益を得ることができるようになります。利益率を改善するためには、原価計算と適切な価格設定が必要なのです。 現場主導の経営改善・原価改善体制を構築するためには、正確なデータ取得・可視化が重要なのです。 ④競争力の向上(経営効果へと結びつける) 原価管理をすることは、社内の原価低減の為だけでなく、価格交渉や新規の見積による利益確保の材料ともなります。 価格交渉 自社の製品別工程別の原価を正しく把握することができれば、「どの製品が儲かっているか・儲かっていないか」「この製品のどの工程が儲かっているか・儲かっていないか」が詳細に分かるようになります。 さらに、近年の賃上げの状況を鑑みて、この工賃であればどの程度の利益を得ることができるのかが分かるようになります。 これにより、価格交渉しなければならない製品をピックアップすることができるようになります。 多くの企業では、材料費高騰に伴って、材料費の高騰分の価格交渉をすることはできていますが、賃上げに伴う価格交渉ができていないことが課題として挙げられます。 もちろん、客先との関係性などによりどうしても引き受けざるを得ない仕事もあるため、一筋縄で価格交渉をすることは難しいとは思いますが、データによる根拠が無い状態で行う価格交渉より、根拠のある価格交渉を行う方がより建設的な議論ができるようになることは間違いありません。 見積 新製品等の新規案件に対する見積作成の際には、過去の類似の案件・製品の見積情報を参考に作成することが少なからずあると思います。 原価管理が正しくできていなければ、その見積情報が実際に正しい見積であったのかどうかを判断できないため、仮に間違っていた場合は再び間違った見積を作成してしまうのです。 こういった際に、製品別工程別の原価を正しく把握することができていれば、過去の見積情報だけでなくその見積に対する実際原価を参考に作成することにより、新しい見積作成時には適切な価格で見積作成をすることができるようになるのです。 当たり前ですが、競争が激しい市場においてコスト管理を徹底することが、他社との差別化を図るための重要な要素となります。 ⑤市場の変化に対応した柔軟な戦略(盤石な体制のもと、新たな経営判断へ) 原価管理を適切に行うことにより、急な市場の変化にも柔軟に対応で切るようになります。 近年の原材料費高騰や賃上げに伴う労務費の増加に対して迅速に対応するためには、リアルタイムでコスト情報を把握する必要があるのです。 また、データを蓄積しておくことにより、今後の予測を立てることも可能となります。 賃上げに伴い、最低賃金が上昇した場合、現在の加工時間では製品別でどれほど儲けを出すことができるのかが分かるようになります。 これは材料費も同様です。 シミュレーションを実施することにより、事前に対処をすることができるようになるのです。 3.直接費と間接費の分類と影響:材料費・加工費の詳細解説 原価管理の中で最も重要なのは、直接費(材料費や加工費)と間接費(管理費や設備費)を明確に区別し、それぞれに対する管理を行うことです。 直接費(材料費・加工費) 射出成形の原価において、直接費は非常に重要です。材料費は、使用するプラスチックの種類や量に依存し、製品の品質やコストに直結します。加工費は、成形機の稼働時間や人件費、エネルギーコストなどが含まれます。これらを適切に管理するためには、リアルタイムでコストを把握できるシステムが必要です。 特に多品種少量生産を実施している企業では、製造時間を段取時間と加工時間に区分けして管理することが重要です。 IoT等を活用して設備の稼働率を取得している企業もありますが、多品種少量生産では稼働率だけを現場の指標とするのは難しいため、段取時間の適正化を重要視する必要があるのです。 間接費(設備費・管理費) 設備費や管理費は、直接製品に関連しない費用ですが、企業の収益に大きな影響を与える要素です。例えば、成形機の維持管理費用や、工場の光熱費、スタッフの給与などがこれに該当します。これらの費用も管理し、効率化を図ることが利益向上に繋がります。 間接費においては、原価に占める割合が比較的少ないことが多いため、実際原価管理をしていくための優先順位は低くてもよいと考えられます。 しかし、間接費のうち特に光熱費においては、近年のカーボンニュートラルのトレンドを考慮して将来的には管理していく必要があります。 4.生産管理システムと原価管理の連携:費用効率の最適化 生産管理システムを導入することにより、原価管理と生産効率を最適化できます。ここでは、現代の生産管理システムを利用してどのようにコスト管理を行い、効率を向上させるかについて説明します。 ①ERPシステム・生産管理システムの活用 ERP(統合基幹業務システム)を導入することで、財務、在庫管理、生産計画などの情報を一元化できます。これにより、製造工程における各コストをリアルタイムで監視し、必要な改善策を迅速に講じることが可能です。 ERP・生産管理システムに関しては、多くの企業で導入済であることが多いと考えています。 しかし、 実績入力が開始時間・終了時間で正確に入力ができていない。 工数をもとに実際原価計算ができるような機能になっていない。 といったシステム機能面での課題によって、実際原価管理を実現できていない企業も多いのではないでしょうか? こういった課題に関しては、次項で説明するように実際工数取得に特化した別のツールとの連携を視野に入れながら検討するのが良いと考えられます。 ②MES(製造実行システム)による生産管理の向上 MESを使用することで、製造工程の詳細なデータを収集し、コストを最適化することができます。生産ラインの稼働状況や材料の使用状況を可視化し、無駄を削減するためのデータを提供します。 いわゆるMESシステムを導入しようとすると、設備との連携等を考慮しなければならず、大がかりな投資になってしまいがちですが、自社にとって必要なMES機能は何か?を整理することによって、投資を必要最低限にまで最適化することができるようになります。 多くの企業にとって必要なMES機能は、あくまで製造実績データを取得する部分であることが多いのではないかと考えられます。 ③データに基づく意思決定 正確なデータが取得できれば、集計された結果が正確なものになります。 そのため、現場で実践するコスト削減のアクションをリアルタイムで実行することができます。データドリブンで意思決定を行うことで、正確な予測と計画を立てることが可能となり、コストの無駄を減らすことができます。 さらに、コスト削減のアクションを実行した結果がリアルタイムに現れるようになるため、コスト削減実行者・管理者・経営者としても経営効果を共通認識化することができるようになるのです。 5.工数管理・不良品削減を通じた現場改善 射出成形における現場改善は、工数管理と不良品削減に大きく依存します。生産性を高め、品質を保ちながらコストを削減する方法を見ていきましょう。 ①工数管理 製品別工程別で実際にかかった工数と標準工数の差を一目でわかるように集計することで、今回の製造時間が適切であるかどうかを判断することができるようになります。 またある企業では、日ごとの担当者別の標準工数との差を集計することにより、各担当者がその日どれだけ効率的に製造をすることができたかを現場にフィードバックする仕組みを構築し、現場に標準工数の意識を持たせる働きかけをしています。 現場で標準工数の意識を持つことにより、都度の製造において適切な工数で製造ができるようになり、結果として原価低減につながるのです。 ②不良品削減 現場の評価軸として、工数管理だけでは品質がおろそかになってしまいがちです。 そのため、現場では「工数×品質」で評価軸を設けることが重要です。 前述した企業では、工数の他に不良品・手直し品の集計を実施することによって各現場で対策を議論するための場を設けています。 「なんとなくこの工程で不良が出やすい」「この製品は製造が難しい」といったベテランの主観による議論をするのでは無く、数値をもとに傾向をつかんで議論をすることにより、より建設的な議論ができるようになるのです。 品質管理を徹底し、不良品を減らすことで再加工や廃棄処分費用を削減できます。継続的な品質改善活動が、全体のコスト削減に繋がります。 6.分析ツールの活用とその効果:データに基づく意思決定 コスト管理におけるデータ分析は、現代の製造業において不可欠です。分析ツールを駆使して、データに基づく意思決定を行う方法について説明します。 ①データ分析ツール データ分析ツールを使用することで、製造工程のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、問題点を特定できます。これにより、改善のための迅速なアクションを取ることができます。 多くの企業では、まだまだExcelによるデータ集計を実施されていることが多いのではないでしょうか? 画像にもある通り、現場改善のPDCAを回すにあたって多くの企業では、「現場のデータ化」「可視化・分析」に工数をかけすぎてしまっていると考えられます。 そのため、改善施策検討の議論に十分な工数を割くことが出来ず、結果として現場改善が進まないという状況が発生しているのではないでしょうか? データの可視化・分析には、Excel等による集計ではなく、BIツールを使った自動集計を実施することが重要であると考えられます。 BIツールについては、こちらの記事をご確認ください。 製造業・工場が実践すべきBIツール活用とは?成功事例も紹介 ②ROI(投資対効果)の分析 BIツールの活用によってリアルタイムにデータ集計ができるようになると、投資した・または投資する予定の設備やシステムがどれほどのコスト削減効果をもたらしているのかを分析することも可能です。ROI分析により、投資判断を適切に行うことができます。 「データに基づく意思決定」の項でも述べましたが、データ集計によって改善箇所が見えるようになると、その改善効果金額をシミュレーションできるようになります。 そうすることで、必要な投資金額が見えるようになり、できるだけ失敗する確率を下げた投資ができるようになるのです。 7.現場改善の成功事例 ここでは、実際の現場改善事例を取り上げ、どのようにコスト削減を実現したのかを見ていきます。また、改善活動での失敗例とその教訓も紹介します。 ①成功事例 ペーパレス化により、10人分の工数を削減した事例 【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! 実際製造実績を取得し、実際原価管理を実現させた事例 【製造業向け】原価管理システムと補助金成功事例レポート BI活用によるリアルタイムデータ集計成功事例 【製造業向け】BI活用によるデータ集計自動化事例 8.まとめ プラスチック射出成形における原価管理は、製造業の競争力を維持し、利益を最大化するために非常に重要です。最新の技術やシステムを活用することで、より精度の高い原価計算と効率的な生産管理が可能になります。企業の規模やニーズに合ったシステムを導入し、日々の生産活動においてコスト削減に向けた取り組みを継続的に実施することが、長期的な成功に繋がります。 今回のコラムの内容は、セミナーの内容のほんの一部の抜粋となります。 より詳細な内容については、下記セミナーでお話ししておりますので是非ご参加ください。   ▼セミナー詳細・申込はこちらから▼ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/105866 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120968   ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01906_S045 プラスチック射出成形は、製造業において広く使用されている生産技術であり、精密な製品を大量に生産することが可能です。しかし、その一方で、コスト管理の難しさが業界の課題として挙げられます。原材料費、加工費、設備費など、多くのコスト要因が絡み合い、適切な管理を怠ると、企業の利益を圧迫することになります。この記事では、プラスチック射出成形における原価管理の基本から、具体的なコスト削減方法、生産管理システムの活用方法、さらに実践的な事例を通じて、競争力を維持するための最適な原価管理手法を紹介します。 1.はじめに:射出成形における原価管理の重要性とその背景 2.原価管理の目的:競争力向上と利益確保 射出成形は、プラスチックや金属の加工において非常に重要な技術です。この技術を使用することで、複雑な形状や高精度な製品を短期間で生産することが可能になります。しかし、生産効率を最大化するためには、細かなコスト管理が必要不可欠です。原材料費、加工費、設備維持費などが製造コストに影響を与えるため、それらのコストを的確に把握・管理を行い、データをもとにした原価改善を実施することが競争力維持に繋がります。 射出成形のプロセスは、多くの工程が絡むため、各工程で発生するコストを細かく分けて管理する必要があります。 例えば、原材料の仕入れから製品の完成までにかかる時間や人件費、そして生産設備の稼働率や保守管理費用が、全体的なコストにどのように影響するのかを理解することが重要です。 射出成形では、製品単価が低くなることが多いため、大量生産における効率化が求められます。そのため、製造原価を把握するためには、原価計算の手法を十分に理解し、適切な管理体制を築くことが必要です。 しかし近年の製品の多様化に伴って各社が製造する製品の品目数は多くなり、それぞれロット数も少なくなってきているのが現状です。 こういった多品種少量生産が求められる現在では、特に製品の製造に必要な準備時間(段取時間)をいかに効率的に最適化することができるかが原価低減における重要な視点となっていきます。 ①実際工数のデータ化・一元化(データ取得) こちらの画像をご覧ください。 こちらは弊社主催セミナーの資料の一部です。 画像に示されているように、多くの製造業では特に実際にかかった「労務費(工賃×工数)」と「光熱費」を正確に製品別工程別に取得することができていません。 実際にかかった労務費と光熱費が把握できないため、製造原価を把握することが出来ず、売価に対する利益を把握することが出来なくなってしまうのです。 実際原価を把握するためには、特に実際にかかった製造工数を現場でリアルタイムに取得していく必要があります。 光熱費においても、カーボンニュートラル等の観点から正確なデータ取得は必要ですが、光熱費を削減していく場合には新電力活用や設備投資等の投資による施策が挙げられることが多いため、現場改善・原価低減の観点で見る場合は、労務費をもとに按分するという進め方で取り急ぎは問題ないと考えられます。 皆さんの現場ではいかがでしょうか? 製造工数は正確に取れていますでしょうか? また、そのデータを原価管理・現場改善へと活用することができていますか? 管理会計分野でも様々な分析・管理手法がありますが、それらもすべて「正確なデータが取得できていること」が前提です。 会社として、競争力を向上させるためには、特に正確な工数データを取得することが重要なのです。 ②実際原価の可視化(集計) 製品別・工程別の実際にかかった原価を可視化することにより、どの製品・工程で無駄が発生しているかを特定できます。これにより、コスト削減の余地が明確になり、改善策を講じることができます。 多くの企業では、まだまだ標準原価計算によって原価管理されているのが実態です。 標準原価計算による製品別の原価を把握してしまうと、実際にかかった原価が見えなくなるため、生産計画・見積作成に影響を及ぼしてしまいます。 結果として、適切な経営判断を行うことが出来なくなってしまうのです。 データが集計されて可視化されてくれば、おのずと改善箇所が見えるようになっていきます。 製品別であれば、利益率のGood・Bad分析・製品分類別の利益率の推移・客先毎の利益率等が分析できるようになります。 工程別であれば、各ライン・設備における稼働時間の分析・製品別における製造ラインの特性等が統計的に分析できるようになります。 ③利益の最大化(改善) 実際原価を可視化することによって得られる効果は、改善箇所が見えるようになることだけではなく、 改善後の結果が経営効果として数値化できるようになる ことが挙げられます。 実際原価の可視化は実態を表すものであるため、改善の実施により過去と比較してどれだけ改善できたのかを数値で示すことができるようになるのです。 これにより、現場の方の改善活動に対するモチベーション向上につながることができ、会社として改善活動を活発化することができるようになります。 さらに、経営者・管理者としても、結果が数値で現れるようになるため根拠をもとに適切な評価ができるようになります。 現場の方からすると、やはり経営者・管理者からの適切な評価や適切な鼓舞はうれしいものであり、より改善活動を実施しようという考えを持ってくれるようになります。 そうすると、現場の方が率先して「データを見て気づきを得て」「改善ポイントを把握して」「自らが改善活動を実施する」ことができるようになるのです。 これにより、現場主導の経営改善・原価改善体制が出来上がります。 当たり前ですが、現場改善の気づきを得やすいのは現場の方々です。 日々作業をしているため、自部門の製造特性を熟知しているからです。 これを、「なんとなくやっている」「仕事だからやっている」といった意識で製造をする場合と、「この部分に改善ポイントがありそうだな」と考えながら製造をする場合では雲泥の差があることは明らかです。 こういった「原価意識を持った製造」意識を持たせるためにも、上記のような正確なデータ取得・可視化が重要となります。 生産性を向上させ、製造コストを抑えることができれば、同じ製品をより多くの利益を得ることができるようになります。利益率を改善するためには、原価計算と適切な価格設定が必要なのです。 現場主導の経営改善・原価改善体制を構築するためには、正確なデータ取得・可視化が重要なのです。 ④競争力の向上(経営効果へと結びつける) 原価管理をすることは、社内の原価低減の為だけでなく、価格交渉や新規の見積による利益確保の材料ともなります。 価格交渉 自社の製品別工程別の原価を正しく把握することができれば、「どの製品が儲かっているか・儲かっていないか」「この製品のどの工程が儲かっているか・儲かっていないか」が詳細に分かるようになります。 さらに、近年の賃上げの状況を鑑みて、この工賃であればどの程度の利益を得ることができるのかが分かるようになります。 これにより、価格交渉しなければならない製品をピックアップすることができるようになります。 多くの企業では、材料費高騰に伴って、材料費の高騰分の価格交渉をすることはできていますが、賃上げに伴う価格交渉ができていないことが課題として挙げられます。 もちろん、客先との関係性などによりどうしても引き受けざるを得ない仕事もあるため、一筋縄で価格交渉をすることは難しいとは思いますが、データによる根拠が無い状態で行う価格交渉より、根拠のある価格交渉を行う方がより建設的な議論ができるようになることは間違いありません。 見積 新製品等の新規案件に対する見積作成の際には、過去の類似の案件・製品の見積情報を参考に作成することが少なからずあると思います。 原価管理が正しくできていなければ、その見積情報が実際に正しい見積であったのかどうかを判断できないため、仮に間違っていた場合は再び間違った見積を作成してしまうのです。 こういった際に、製品別工程別の原価を正しく把握することができていれば、過去の見積情報だけでなくその見積に対する実際原価を参考に作成することにより、新しい見積作成時には適切な価格で見積作成をすることができるようになるのです。 当たり前ですが、競争が激しい市場においてコスト管理を徹底することが、他社との差別化を図るための重要な要素となります。 ⑤市場の変化に対応した柔軟な戦略(盤石な体制のもと、新たな経営判断へ) 原価管理を適切に行うことにより、急な市場の変化にも柔軟に対応で切るようになります。 近年の原材料費高騰や賃上げに伴う労務費の増加に対して迅速に対応するためには、リアルタイムでコスト情報を把握する必要があるのです。 また、データを蓄積しておくことにより、今後の予測を立てることも可能となります。 賃上げに伴い、最低賃金が上昇した場合、現在の加工時間では製品別でどれほど儲けを出すことができるのかが分かるようになります。 これは材料費も同様です。 シミュレーションを実施することにより、事前に対処をすることができるようになるのです。 3.直接費と間接費の分類と影響:材料費・加工費の詳細解説 原価管理の中で最も重要なのは、直接費(材料費や加工費)と間接費(管理費や設備費)を明確に区別し、それぞれに対する管理を行うことです。 直接費(材料費・加工費) 射出成形の原価において、直接費は非常に重要です。材料費は、使用するプラスチックの種類や量に依存し、製品の品質やコストに直結します。加工費は、成形機の稼働時間や人件費、エネルギーコストなどが含まれます。これらを適切に管理するためには、リアルタイムでコストを把握できるシステムが必要です。 特に多品種少量生産を実施している企業では、製造時間を段取時間と加工時間に区分けして管理することが重要です。 IoT等を活用して設備の稼働率を取得している企業もありますが、多品種少量生産では稼働率だけを現場の指標とするのは難しいため、段取時間の適正化を重要視する必要があるのです。 間接費(設備費・管理費) 設備費や管理費は、直接製品に関連しない費用ですが、企業の収益に大きな影響を与える要素です。例えば、成形機の維持管理費用や、工場の光熱費、スタッフの給与などがこれに該当します。これらの費用も管理し、効率化を図ることが利益向上に繋がります。 間接費においては、原価に占める割合が比較的少ないことが多いため、実際原価管理をしていくための優先順位は低くてもよいと考えられます。 しかし、間接費のうち特に光熱費においては、近年のカーボンニュートラルのトレンドを考慮して将来的には管理していく必要があります。 4.生産管理システムと原価管理の連携:費用効率の最適化 生産管理システムを導入することにより、原価管理と生産効率を最適化できます。ここでは、現代の生産管理システムを利用してどのようにコスト管理を行い、効率を向上させるかについて説明します。 ①ERPシステム・生産管理システムの活用 ERP(統合基幹業務システム)を導入することで、財務、在庫管理、生産計画などの情報を一元化できます。これにより、製造工程における各コストをリアルタイムで監視し、必要な改善策を迅速に講じることが可能です。 ERP・生産管理システムに関しては、多くの企業で導入済であることが多いと考えています。 しかし、 実績入力が開始時間・終了時間で正確に入力ができていない。 工数をもとに実際原価計算ができるような機能になっていない。 といったシステム機能面での課題によって、実際原価管理を実現できていない企業も多いのではないでしょうか? こういった課題に関しては、次項で説明するように実際工数取得に特化した別のツールとの連携を視野に入れながら検討するのが良いと考えられます。 ②MES(製造実行システム)による生産管理の向上 MESを使用することで、製造工程の詳細なデータを収集し、コストを最適化することができます。生産ラインの稼働状況や材料の使用状況を可視化し、無駄を削減するためのデータを提供します。 いわゆるMESシステムを導入しようとすると、設備との連携等を考慮しなければならず、大がかりな投資になってしまいがちですが、自社にとって必要なMES機能は何か?を整理することによって、投資を必要最低限にまで最適化することができるようになります。 多くの企業にとって必要なMES機能は、あくまで製造実績データを取得する部分であることが多いのではないかと考えられます。 ③データに基づく意思決定 正確なデータが取得できれば、集計された結果が正確なものになります。 そのため、現場で実践するコスト削減のアクションをリアルタイムで実行することができます。データドリブンで意思決定を行うことで、正確な予測と計画を立てることが可能となり、コストの無駄を減らすことができます。 さらに、コスト削減のアクションを実行した結果がリアルタイムに現れるようになるため、コスト削減実行者・管理者・経営者としても経営効果を共通認識化することができるようになるのです。 5.工数管理・不良品削減を通じた現場改善 射出成形における現場改善は、工数管理と不良品削減に大きく依存します。生産性を高め、品質を保ちながらコストを削減する方法を見ていきましょう。 ①工数管理 製品別工程別で実際にかかった工数と標準工数の差を一目でわかるように集計することで、今回の製造時間が適切であるかどうかを判断することができるようになります。 またある企業では、日ごとの担当者別の標準工数との差を集計することにより、各担当者がその日どれだけ効率的に製造をすることができたかを現場にフィードバックする仕組みを構築し、現場に標準工数の意識を持たせる働きかけをしています。 現場で標準工数の意識を持つことにより、都度の製造において適切な工数で製造ができるようになり、結果として原価低減につながるのです。 ②不良品削減 現場の評価軸として、工数管理だけでは品質がおろそかになってしまいがちです。 そのため、現場では「工数×品質」で評価軸を設けることが重要です。 前述した企業では、工数の他に不良品・手直し品の集計を実施することによって各現場で対策を議論するための場を設けています。 「なんとなくこの工程で不良が出やすい」「この製品は製造が難しい」といったベテランの主観による議論をするのでは無く、数値をもとに傾向をつかんで議論をすることにより、より建設的な議論ができるようになるのです。 品質管理を徹底し、不良品を減らすことで再加工や廃棄処分費用を削減できます。継続的な品質改善活動が、全体のコスト削減に繋がります。 6.分析ツールの活用とその効果:データに基づく意思決定 コスト管理におけるデータ分析は、現代の製造業において不可欠です。分析ツールを駆使して、データに基づく意思決定を行う方法について説明します。 ①データ分析ツール データ分析ツールを使用することで、製造工程のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、問題点を特定できます。これにより、改善のための迅速なアクションを取ることができます。 多くの企業では、まだまだExcelによるデータ集計を実施されていることが多いのではないでしょうか? 画像にもある通り、現場改善のPDCAを回すにあたって多くの企業では、「現場のデータ化」「可視化・分析」に工数をかけすぎてしまっていると考えられます。 そのため、改善施策検討の議論に十分な工数を割くことが出来ず、結果として現場改善が進まないという状況が発生しているのではないでしょうか? データの可視化・分析には、Excel等による集計ではなく、BIツールを使った自動集計を実施することが重要であると考えられます。 BIツールについては、こちらの記事をご確認ください。 製造業・工場が実践すべきBIツール活用とは?成功事例も紹介 ②ROI(投資対効果)の分析 BIツールの活用によってリアルタイムにデータ集計ができるようになると、投資した・または投資する予定の設備やシステムがどれほどのコスト削減効果をもたらしているのかを分析することも可能です。ROI分析により、投資判断を適切に行うことができます。 「データに基づく意思決定」の項でも述べましたが、データ集計によって改善箇所が見えるようになると、その改善効果金額をシミュレーションできるようになります。 そうすることで、必要な投資金額が見えるようになり、できるだけ失敗する確率を下げた投資ができるようになるのです。 7.現場改善の成功事例 ここでは、実際の現場改善事例を取り上げ、どのようにコスト削減を実現したのかを見ていきます。また、改善活動での失敗例とその教訓も紹介します。 ①成功事例 ペーパレス化により、10人分の工数を削減した事例 【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! 実際製造実績を取得し、実際原価管理を実現させた事例 【製造業向け】原価管理システムと補助金成功事例レポート BI活用によるリアルタイムデータ集計成功事例 【製造業向け】BI活用によるデータ集計自動化事例 8.まとめ プラスチック射出成形における原価管理は、製造業の競争力を維持し、利益を最大化するために非常に重要です。最新の技術やシステムを活用することで、より精度の高い原価計算と効率的な生産管理が可能になります。企業の規模やニーズに合ったシステムを導入し、日々の生産活動においてコスト削減に向けた取り組みを継続的に実施することが、長期的な成功に繋がります。 今回のコラムの内容は、セミナーの内容のほんの一部の抜粋となります。 より詳細な内容については、下記セミナーでお話ししておりますので是非ご参加ください。   ▼セミナー詳細・申込はこちらから▼ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/105866 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120968   ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01906_S045

第1回:「本当に」正しい原価管理できていますか?

2024.11.18

経営に直結する原価管理ですが、皆様の会社では本当に正しい原価管理ができていますでしょうか? 正しい原価管理ができるようになると、 正しい経営判断ができるようになり、 利益アップへ結び付けることができるようになります。 今回は、原価管理を利益アップへ結び付けるまでの流れを実例を用いてご紹介いたします。 このコラムは原価管理を行うことによる利益アップまでの詳細を2週間に1回のペースで第6回に分けて配信しています。 第1回:「本当に」正しい原価管理できていますか? 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について 第3回:多品種少量生産だからこそ原価分析①~工程別の原価差異の把握~ 第4回:多品種少量生産だからこそ原価分析②~分類別原価比較~ 第5回:原価管理の次フェーズ~利益アップの単純な法則~ 第6回:AIの活用~適応型経営から予測型経営へ~ 1.多品種少量生産“だからこそ”行うべき利益UPの論理的アプローチ方法 そもそも、原価管理は何のために実施するのでしょうか? 船井総研としては、「製品個別の原価を把握し、利益に基づいた経営判断を行うため」であると考えています。 当たり前の話だと感じられるかもしれません。 では、「利益に基づいた経営判断」とはどのようなことを指すのでしょうか? そのヒントを得るためにP/L(損益計算書)から見ていきましょう。 こちらがよく見る損益計算書の図です。 すべての企業は売上・費用・利益で表されます。 利益を上げるためには、基本的に2つのアプローチがあります。 売上UP 費用DOWN また、それぞれの施策は例として下記のように挙げられます。 売上UP 受注UP ・マーケティング・営業・etc・・・ 単価UP ・付加価値向上・価格折衝・etc・・・ 費用DOWN 直接業務効率化 ・工程自動化・ロボット導入・段取・工程改善・etc・・・ 間接業務効率化 ・システム導入・業務改善・etc・・・ デジタルツールや技術の発展により、利益UPの為の手段はより多くの選択肢が生まれています。 多くの選択肢が生まれているからこそ、自社にとって「本当に」効果の出る手段を論理的に選択する必要があるのです。 では、この売上UPと費用DOWNに関して、自分の会社ではどちらを優先的に実施しなければならないのか? 大きく「現場の負荷」と「期待受注量」の側面から判断することができます。 現場の負荷が低く、期待受注量も低い場合、「売上UP」の優先度が高くなります。 対して、現場の負荷が高く、期待受注量も高い場合、「費用DOWN」の優先度が高くなります。 今回は、費用DOWNを目指していくにあたっての取組についてご紹介いたします。 費用DOWNをしていくためには、まずは現状の費用を詳細に把握する必要があります。 全体費用と材料費・直接労務費・間接費などの大まかな内訳は把握することができますが、 特に多品種少量生産では、決算時の内訳を見ただけでコスト削減の具体的なアクションを打つことはできません。 さらに、人的リソースや投資金額が限られていることが多い中堅・中小企業にとって、1つの投資が会社の行方を左右しかねません。 そういった状況下で適切な投資をするためには、「製品別の原価」を把握し、製品別での収益性改善の分析が重要となるのです。 そうすることにより、投資金額を抑えつつ、着実な効果を得ることができます。 しかし、製品別で原価を把握しても、それが見積時の予定原価では意味がありません。 様々な外部要因が絡まり、日々状況が刻々と変化する多品種少量生産体制では、想定していた見積時の原価と比較して、実際にかかった原価が大幅に超えてしまうということも十分起こり得ます。 そのため、製品別で本当に利益が出ているのか?出ていないのか?が不明であり、決算時に「なぜか想定より利益が出ていないな・・・」と感じてしまうのです。 2.正確な原価管理・利益管理を行うためのデータの重要性 製造業において、原価率が最も高い部分は「直接労務費」と「材料費」であることが多いかと思います。 その中でも見積原価との乖離が発生する原価は「直接労務費」です。 多くの製造業において、実際にかかった直接労務費を正確に把握できている企業は多くありません。 それは、直接労務費が 直接労務費 = 実際にかかった製造工数 × 工賃 で算出されるものであり、 実際にかかった製造工数(製造実績データ)を正確に取得することに大きな障壁があるためです。 皆さんの企業でもいかがでしょうか? 紙日報で管理していて、管理工数がかかるためデータを活用できていない・・・ ハンディ等で完了データは取得しているが、実際にかかった工数までは取得できていない・・・ そもそもデータ化していない・・・ 日々が忙しくてそんなことやってられない・・・ しかし、本当に利益を出していく経営を実践していくためには、「正確な労務費(工数)把握」が重要となります。 逆に言えば、 正確な製造工数がデータ化できれば、製品別の正確な原価・利益把握が出来るようになるのです! 製品別の原価を正確に計算するには、到底手計算やExcel計算では対応しきれません。 そのためのDXです。 デジタルツールや技術の発展により、複雑な計算作業や情報の流動性は以前と比較して各段に早く正確になってきています。 データさえあれば、即座に見たい情報がいつでもどこでも見ることができるようになります。 しかし、そのデータが無い企業が多いのです。 3.まとめ ここまでで、まずは実際にかかる製造工数をデータ化することの重要性についてはご理解いただけたかと思います。 では、実際にどのようにデータ化するのか? もちろん、現場作業者の負担になるようなデータ取得方法では生産性が落ちるため、本末転倒です。 次回のコラムでは、具体的に実際にかかった製造工数を正確に取得した事例についてお話しさせていただきます。 また、取得したデータがどのように原価管理・利益管理できるようになるのかについて、実際の画面をもとに説明させていただきます。 ※今回の内容は、原価管理セミナーでお話ししている内容の抜粋です。より詳細に聞きたい・具体的に聞きたいと感じていただけた方は是非セミナーへのご参加をお願いいたします。 セミナーページ:https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■関連するセミナーのご案内 板金・プレス加工業のための自社データAI活用セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/122446 ■【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_03271_S045 次のコラムはこちら 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について 経営に直結する原価管理ですが、皆様の会社では本当に正しい原価管理ができていますでしょうか? 正しい原価管理ができるようになると、 正しい経営判断ができるようになり、 利益アップへ結び付けることができるようになります。 今回は、原価管理を利益アップへ結び付けるまでの流れを実例を用いてご紹介いたします。 このコラムは原価管理を行うことによる利益アップまでの詳細を2週間に1回のペースで第6回に分けて配信しています。 第1回:「本当に」正しい原価管理できていますか? 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について 第3回:多品種少量生産だからこそ原価分析①~工程別の原価差異の把握~ 第4回:多品種少量生産だからこそ原価分析②~分類別原価比較~ 第5回:原価管理の次フェーズ~利益アップの単純な法則~ 第6回:AIの活用~適応型経営から予測型経営へ~ 1.多品種少量生産“だからこそ”行うべき利益UPの論理的アプローチ方法 そもそも、原価管理は何のために実施するのでしょうか? 船井総研としては、「製品個別の原価を把握し、利益に基づいた経営判断を行うため」であると考えています。 当たり前の話だと感じられるかもしれません。 では、「利益に基づいた経営判断」とはどのようなことを指すのでしょうか? そのヒントを得るためにP/L(損益計算書)から見ていきましょう。 こちらがよく見る損益計算書の図です。 すべての企業は売上・費用・利益で表されます。 利益を上げるためには、基本的に2つのアプローチがあります。 売上UP 費用DOWN また、それぞれの施策は例として下記のように挙げられます。 売上UP 受注UP ・マーケティング・営業・etc・・・ 単価UP ・付加価値向上・価格折衝・etc・・・ 費用DOWN 直接業務効率化 ・工程自動化・ロボット導入・段取・工程改善・etc・・・ 間接業務効率化 ・システム導入・業務改善・etc・・・ デジタルツールや技術の発展により、利益UPの為の手段はより多くの選択肢が生まれています。 多くの選択肢が生まれているからこそ、自社にとって「本当に」効果の出る手段を論理的に選択する必要があるのです。 では、この売上UPと費用DOWNに関して、自分の会社ではどちらを優先的に実施しなければならないのか? 大きく「現場の負荷」と「期待受注量」の側面から判断することができます。 現場の負荷が低く、期待受注量も低い場合、「売上UP」の優先度が高くなります。 対して、現場の負荷が高く、期待受注量も高い場合、「費用DOWN」の優先度が高くなります。 今回は、費用DOWNを目指していくにあたっての取組についてご紹介いたします。 費用DOWNをしていくためには、まずは現状の費用を詳細に把握する必要があります。 全体費用と材料費・直接労務費・間接費などの大まかな内訳は把握することができますが、 特に多品種少量生産では、決算時の内訳を見ただけでコスト削減の具体的なアクションを打つことはできません。 さらに、人的リソースや投資金額が限られていることが多い中堅・中小企業にとって、1つの投資が会社の行方を左右しかねません。 そういった状況下で適切な投資をするためには、「製品別の原価」を把握し、製品別での収益性改善の分析が重要となるのです。 そうすることにより、投資金額を抑えつつ、着実な効果を得ることができます。 しかし、製品別で原価を把握しても、それが見積時の予定原価では意味がありません。 様々な外部要因が絡まり、日々状況が刻々と変化する多品種少量生産体制では、想定していた見積時の原価と比較して、実際にかかった原価が大幅に超えてしまうということも十分起こり得ます。 そのため、製品別で本当に利益が出ているのか?出ていないのか?が不明であり、決算時に「なぜか想定より利益が出ていないな・・・」と感じてしまうのです。 2.正確な原価管理・利益管理を行うためのデータの重要性 製造業において、原価率が最も高い部分は「直接労務費」と「材料費」であることが多いかと思います。 その中でも見積原価との乖離が発生する原価は「直接労務費」です。 多くの製造業において、実際にかかった直接労務費を正確に把握できている企業は多くありません。 それは、直接労務費が 直接労務費 = 実際にかかった製造工数 × 工賃 で算出されるものであり、 実際にかかった製造工数(製造実績データ)を正確に取得することに大きな障壁があるためです。 皆さんの企業でもいかがでしょうか? 紙日報で管理していて、管理工数がかかるためデータを活用できていない・・・ ハンディ等で完了データは取得しているが、実際にかかった工数までは取得できていない・・・ そもそもデータ化していない・・・ 日々が忙しくてそんなことやってられない・・・ しかし、本当に利益を出していく経営を実践していくためには、「正確な労務費(工数)把握」が重要となります。 逆に言えば、 正確な製造工数がデータ化できれば、製品別の正確な原価・利益把握が出来るようになるのです! 製品別の原価を正確に計算するには、到底手計算やExcel計算では対応しきれません。 そのためのDXです。 デジタルツールや技術の発展により、複雑な計算作業や情報の流動性は以前と比較して各段に早く正確になってきています。 データさえあれば、即座に見たい情報がいつでもどこでも見ることができるようになります。 しかし、そのデータが無い企業が多いのです。 3.まとめ ここまでで、まずは実際にかかる製造工数をデータ化することの重要性についてはご理解いただけたかと思います。 では、実際にどのようにデータ化するのか? もちろん、現場作業者の負担になるようなデータ取得方法では生産性が落ちるため、本末転倒です。 次回のコラムでは、具体的に実際にかかった製造工数を正確に取得した事例についてお話しさせていただきます。 また、取得したデータがどのように原価管理・利益管理できるようになるのかについて、実際の画面をもとに説明させていただきます。 ※今回の内容は、原価管理セミナーでお話ししている内容の抜粋です。より詳細に聞きたい・具体的に聞きたいと感じていただけた方は是非セミナーへのご参加をお願いいたします。 セミナーページ:https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■関連するセミナーのご案内 板金・プレス加工業のための自社データAI活用セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/122446 ■【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_03271_S045 次のコラムはこちら 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について

AI&IoTで製造品質を向上した事例とは!専務インタビュー

2024.11.14

1.樹脂成形業における“品質課題” 株式会社船井総合研究所の松川です。 みなさまは、 「品質が安定しない」 「不良率が高い」 「コストが増加している」… そんな悩みをお持ちではありませんか? 実は、これらの課題はすべて“品質課題”として捉えることができます。 成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証… これらの課題をそれぞれ解決していくことで、 結果的に 品質向上 そして利益率UPにつながるのです。 今回のメルマガでは、AI・IoTを使って、樹脂成形の品質向上に成功したカワイ精工様へのインタビューをご紹介いたします。 ぜひ最後までご覧ください! 2.専務インタビュー_IoT/AIを活用した保全の効率化&品質向上した事例! 松川:今日は、カワイ精工の川合専務に、DX推進の取り組みについてお伺いします。近年、IoTを活用した金型保全に力を入れていると伺いましたが、その内容について詳しく教えていただけますか? 川合専務:ありがとうございます。以前は、金型の状態を把握するのに、担当者が目視で確認したり、紙の記録に頼ったりしていました。そのため、どうしてもタイムラグが発生し、不具合が発生してから対応する、という後手に回ることが多かったんです。 そこで、金型の状態をリアルタイムで監視できるシステムを導入しようと考えたのがきっかけです。成形機にセンサーを取り付け、ショット数やサイクルタイム、金型の温度などのデータを収集し、クラウド上で一元管理できるシステムを導入しました。 松川:なるほど。導入によって、どのような効果がありましたか? 川合専務:まず、金型の状態をリアルタイムで把握できるようになったことで、異常が発生した場合に、すぐに対応できるようになりました。例えば、金型温度が設定値を超えた場合、アラートが通知されるので、すぐに冷却などの対応ができます。 また、蓄積されたデータから、金型の劣化状況を予測できるようになり、計画的なメンテナンスが可能になりました。 以前は、金型の故障による突発的な生産停止が発生することがありましたが、今ではそのようなリスクを大幅に減らすことができています。 さらに、データ分析によって、金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立っています。 松川:金型保全の効率化だけでなく、品質向上にもつながっているんですね。 3.まとめ 本コラムでは、樹脂・ゴム成形業界の皆さまが抱える、品質、不良率、コストに関する課題を解決する糸口として、品質管理の重要性とIoT活用の可能性についてお伝えしました。 多くの企業が、成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証など、様々な課題に直面しています。 これらの課題を放置すると、品質の低下、不良率の増加、コストの増加、顧客からの信頼失墜などを招く可能性があります。 しかし、諦める必要はありません! これらの課題は、適切な品質管理とIoT技術の活用によって解決できるのです。 IoTを導入することで、金型の状態をリアルタイムで監視し、異常発生時に迅速に対応することができます。 また、蓄積されたデータから金型の劣化状況を予測し、計画的なメンテナンスを行うことで、突発的な生産停止のリスクを減らすことができます。 さらに、データ分析によって金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立ちます。 カワイ精工様の事例では、IoT導入によって金型保全の効率化だけでなく、品質向上、ひいては利益率UPにも成功しています。 品質向上は、企業の成長に欠かせない要素です。ぜひ、この機会に製造現場の課題解決に取り組み、さらなる成長を目指しませんか? ご興味のある方は、12月開催の「多品種小ロット樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー」にご参加ください。 みなさまのご参加をお待ちしております。 ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120854 1.樹脂成形業における“品質課題” 株式会社船井総合研究所の松川です。 みなさまは、 「品質が安定しない」 「不良率が高い」 「コストが増加している」… そんな悩みをお持ちではありませんか? 実は、これらの課題はすべて“品質課題”として捉えることができます。 成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証… これらの課題をそれぞれ解決していくことで、 結果的に 品質向上 そして利益率UPにつながるのです。 今回のメルマガでは、AI・IoTを使って、樹脂成形の品質向上に成功したカワイ精工様へのインタビューをご紹介いたします。 ぜひ最後までご覧ください! 2.専務インタビュー_IoT/AIを活用した保全の効率化&品質向上した事例! 松川:今日は、カワイ精工の川合専務に、DX推進の取り組みについてお伺いします。近年、IoTを活用した金型保全に力を入れていると伺いましたが、その内容について詳しく教えていただけますか? 川合専務:ありがとうございます。以前は、金型の状態を把握するのに、担当者が目視で確認したり、紙の記録に頼ったりしていました。そのため、どうしてもタイムラグが発生し、不具合が発生してから対応する、という後手に回ることが多かったんです。 そこで、金型の状態をリアルタイムで監視できるシステムを導入しようと考えたのがきっかけです。成形機にセンサーを取り付け、ショット数やサイクルタイム、金型の温度などのデータを収集し、クラウド上で一元管理できるシステムを導入しました。 松川:なるほど。導入によって、どのような効果がありましたか? 川合専務:まず、金型の状態をリアルタイムで把握できるようになったことで、異常が発生した場合に、すぐに対応できるようになりました。例えば、金型温度が設定値を超えた場合、アラートが通知されるので、すぐに冷却などの対応ができます。 また、蓄積されたデータから、金型の劣化状況を予測できるようになり、計画的なメンテナンスが可能になりました。 以前は、金型の故障による突発的な生産停止が発生することがありましたが、今ではそのようなリスクを大幅に減らすことができています。 さらに、データ分析によって、金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立っています。 松川:金型保全の効率化だけでなく、品質向上にもつながっているんですね。 3.まとめ 本コラムでは、樹脂・ゴム成形業界の皆さまが抱える、品質、不良率、コストに関する課題を解決する糸口として、品質管理の重要性とIoT活用の可能性についてお伝えしました。 多くの企業が、成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証など、様々な課題に直面しています。 これらの課題を放置すると、品質の低下、不良率の増加、コストの増加、顧客からの信頼失墜などを招く可能性があります。 しかし、諦める必要はありません! これらの課題は、適切な品質管理とIoT技術の活用によって解決できるのです。 IoTを導入することで、金型の状態をリアルタイムで監視し、異常発生時に迅速に対応することができます。 また、蓄積されたデータから金型の劣化状況を予測し、計画的なメンテナンスを行うことで、突発的な生産停止のリスクを減らすことができます。 さらに、データ分析によって金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立ちます。 カワイ精工様の事例では、IoT導入によって金型保全の効率化だけでなく、品質向上、ひいては利益率UPにも成功しています。 品質向上は、企業の成長に欠かせない要素です。ぜひ、この機会に製造現場の課題解決に取り組み、さらなる成長を目指しませんか? ご興味のある方は、12月開催の「多品種小ロット樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー」にご参加ください。 みなさまのご参加をお待ちしております。 ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120854

社長インタビュー_費用対効果1400万円/年!樹脂成形品の外観検査をAIで自動化した事例!

2024.11.13

いつもお世話になっております。株式会社船井総合研究所の川端です。 今回は、製造現場における人材不足や品質管理にお悩みの方必見! AI外観検査システムの導入に成功した株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野英一氏にインタビューを行いました。 導入のきっかけから、費用対効果、導入後の良かった点・悪かった点まで、笹野社長の生の声をお届けします。 貴社の情報収集の一助になれば幸いです。 1.導入の経緯 川端:本日は、AI外観検査導入の成功事例として、笹野社長にお話を伺います。まず、導入のきっかけを教えていただけますか? 笹野社長:そうですね、以前から外観検査の自動化は検討していました。というのも、検査員の不足や高齢化、検査基準を統一するのが難しいといった課題があったからです。それに、検査員によって検査の出来高にばらつきがあって、残業や休日出勤で対応しなければならないこともあって困っていました。そこで、自動化について色々調べていたんですが、10年ほど前に検査の自動化を検討した時は、画像検査の後に結局人の検査が必要になってしまい、なかなか良い方法が見つかりませんでした。 川端:従来の画像検査では完全な自動化は難しかったということでしょうか? 笹野社長:ええ、当時はそうでしたね。ところが、2019年に船井総研様のAIを用いた外観検査のセミナーを聴講して、AIなら自動化できる可能性を感じたんです。もちろん、不安もありましたけどね。透明な製品や乳白色、シルバー、白色の製品などの不良品が画像として見ることができるのか、検査作業時の人の作業が取り込めるのか、製品の合否の判定はどうやって行うのかなど、色々考えました。 川端:AIによる画像検査は未知数な部分が多かったと思いますが、導入に踏み切ったのはなぜですか? 笹野社長:まずは個別に面談をしていただき、概要説明や調査を依頼しました。そして、実際に自動化できるのか、確証をつかみたかったので、コンサルを依頼し、PoC(概念実証)を実施しました。2回のPoCにより、グッと検査自動化の実現性を高めることができました。当時最新の検査システムの導入実現性を検証できたこと、そして、AI化による検査工程の自動化の内容でものづくり補助金の申請・採択されたことも大きかったです。 2.費用対効果 川端:導入費用と費用対効果について教えてください。 笹野社長:導入前は、目視検査員2名で年間約1,000万円の人件費がかかっていました。導入費用は、搬送部が約3,400万円、検査部が1,000万円で、補助金が1,000万円でした。費用対効果としては、約3.5年で投資金額を回収できる見込みです。 川端:なるほど。投資回収のめども立って、導入に踏み切れたわけですね。 笹野社長:はい、そうです。人件費の削減以外にも効果はありました。 3.導入後の良かった点、悪かった点 川端:実際に検査機を導入してみて、良かった点はありますか? 笹野社長:そうですね、まず挙げられるのは、やはり目視検査を自動化できたことですね。以前は検査員不足に悩まされていましたが、その問題を解消できたことは非常に大きいです。 川端:人材不足の解消は大きなメリットですね。 笹野社長:はい。それに加えて、検査基準が一定になったことも大きなメリットです。人の目による検査では、どうしても担当者によって判断にばらつきが出てしまうことがありましたが、AIなら常に同じ基準で検査を行うことができます。おかげで、品質の安定化につながっています。 川端:品質の安定化は、お客様からの信頼にもつながりますね。 笹野社長:おっしゃる通りです。さらに、外観過剰品質の見直しもできました。以前は、人の目で見て判断していたため、必要以上に厳しく検査を行っていた部分がありました。AI外観検査システムの導入により、客観的なデータに基づいた検査が可能となり、過剰品質を見直すことで、コスト削減にも貢献しました。 川端:なるほど。コスト削減にもつながったんですね。 笹野社長:はい。あと、これは副次的な効果かもしれませんが、元々は目視検査を担当していた従業員を、他の業務に配置転換することができたことも良かった点ですね。AI外観検査システムの導入によって、人材をより有効に活用できるようになりました。 川端:人材の有効活用は、企業にとって非常に重要ですね。 笹野社長:ええ、まさにその通りです。 川端:反対に、導入して困った点はありますか? 笹野社長:そうですね…、検査機のトラブルが起こったとき、復旧までに時間がかかる場合があるのが課題ですね。特に、人の調整が難しく、生産計画に影響が出ることがありました。 川端:トラブル発生時の対応は、今後の改善点ですね。 笹野社長:はい。また、光源のずれなどが発生した場合、元の状態に戻すのが難しいこともありました。調整に時間がかかり、作業効率が低下する原因となることもありましたね。 川端:なるほど。光源調整の難しさも課題として挙げられるんですね。 笹野社長:ええ。それと、導入後に課題だと感じたことは..... 続きは下部に記載のセミナーにてご紹介いたします! 4.まとめ 今回は、株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野氏にAI外観検査システム導入の背景や効果、そして導入後の良かった点、悪かった点についてお伺いしました。 AI外観検査システム導入を検討されている方は、ぜひ今回のインタビューを参考にしてください。 2025年2月に開催されるAI外観検査セミナーでは、笹野社長が実際に経験したAI外観検査導入の成功事例をさらに詳しくご紹介いたします。 AI外観検査導入を検討されている方、製造現場の効率化・省人化にご興味のある方は、ぜひご参加ください! ■関連するセミナーのご案内 樹脂成型・ゴム製品製造業向け AI外観検査 社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/121701_MV いつもお世話になっております。株式会社船井総合研究所の川端です。 今回は、製造現場における人材不足や品質管理にお悩みの方必見! AI外観検査システムの導入に成功した株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野英一氏にインタビューを行いました。 導入のきっかけから、費用対効果、導入後の良かった点・悪かった点まで、笹野社長の生の声をお届けします。 貴社の情報収集の一助になれば幸いです。 1.導入の経緯 川端:本日は、AI外観検査導入の成功事例として、笹野社長にお話を伺います。まず、導入のきっかけを教えていただけますか? 笹野社長:そうですね、以前から外観検査の自動化は検討していました。というのも、検査員の不足や高齢化、検査基準を統一するのが難しいといった課題があったからです。それに、検査員によって検査の出来高にばらつきがあって、残業や休日出勤で対応しなければならないこともあって困っていました。そこで、自動化について色々調べていたんですが、10年ほど前に検査の自動化を検討した時は、画像検査の後に結局人の検査が必要になってしまい、なかなか良い方法が見つかりませんでした。 川端:従来の画像検査では完全な自動化は難しかったということでしょうか? 笹野社長:ええ、当時はそうでしたね。ところが、2019年に船井総研様のAIを用いた外観検査のセミナーを聴講して、AIなら自動化できる可能性を感じたんです。もちろん、不安もありましたけどね。透明な製品や乳白色、シルバー、白色の製品などの不良品が画像として見ることができるのか、検査作業時の人の作業が取り込めるのか、製品の合否の判定はどうやって行うのかなど、色々考えました。 川端:AIによる画像検査は未知数な部分が多かったと思いますが、導入に踏み切ったのはなぜですか? 笹野社長:まずは個別に面談をしていただき、概要説明や調査を依頼しました。そして、実際に自動化できるのか、確証をつかみたかったので、コンサルを依頼し、PoC(概念実証)を実施しました。2回のPoCにより、グッと検査自動化の実現性を高めることができました。当時最新の検査システムの導入実現性を検証できたこと、そして、AI化による検査工程の自動化の内容でものづくり補助金の申請・採択されたことも大きかったです。 2.費用対効果 川端:導入費用と費用対効果について教えてください。 笹野社長:導入前は、目視検査員2名で年間約1,000万円の人件費がかかっていました。導入費用は、搬送部が約3,400万円、検査部が1,000万円で、補助金が1,000万円でした。費用対効果としては、約3.5年で投資金額を回収できる見込みです。 川端:なるほど。投資回収のめども立って、導入に踏み切れたわけですね。 笹野社長:はい、そうです。人件費の削減以外にも効果はありました。 3.導入後の良かった点、悪かった点 川端:実際に検査機を導入してみて、良かった点はありますか? 笹野社長:そうですね、まず挙げられるのは、やはり目視検査を自動化できたことですね。以前は検査員不足に悩まされていましたが、その問題を解消できたことは非常に大きいです。 川端:人材不足の解消は大きなメリットですね。 笹野社長:はい。それに加えて、検査基準が一定になったことも大きなメリットです。人の目による検査では、どうしても担当者によって判断にばらつきが出てしまうことがありましたが、AIなら常に同じ基準で検査を行うことができます。おかげで、品質の安定化につながっています。 川端:品質の安定化は、お客様からの信頼にもつながりますね。 笹野社長:おっしゃる通りです。さらに、外観過剰品質の見直しもできました。以前は、人の目で見て判断していたため、必要以上に厳しく検査を行っていた部分がありました。AI外観検査システムの導入により、客観的なデータに基づいた検査が可能となり、過剰品質を見直すことで、コスト削減にも貢献しました。 川端:なるほど。コスト削減にもつながったんですね。 笹野社長:はい。あと、これは副次的な効果かもしれませんが、元々は目視検査を担当していた従業員を、他の業務に配置転換することができたことも良かった点ですね。AI外観検査システムの導入によって、人材をより有効に活用できるようになりました。 川端:人材の有効活用は、企業にとって非常に重要ですね。 笹野社長:ええ、まさにその通りです。 川端:反対に、導入して困った点はありますか? 笹野社長:そうですね…、検査機のトラブルが起こったとき、復旧までに時間がかかる場合があるのが課題ですね。特に、人の調整が難しく、生産計画に影響が出ることがありました。 川端:トラブル発生時の対応は、今後の改善点ですね。 笹野社長:はい。また、光源のずれなどが発生した場合、元の状態に戻すのが難しいこともありました。調整に時間がかかり、作業効率が低下する原因となることもありましたね。 川端:なるほど。光源調整の難しさも課題として挙げられるんですね。 笹野社長:ええ。それと、導入後に課題だと感じたことは..... 続きは下部に記載のセミナーにてご紹介いたします! 4.まとめ 今回は、株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野氏にAI外観検査システム導入の背景や効果、そして導入後の良かった点、悪かった点についてお伺いしました。 AI外観検査システム導入を検討されている方は、ぜひ今回のインタビューを参考にしてください。 2025年2月に開催されるAI外観検査セミナーでは、笹野社長が実際に経験したAI外観検査導入の成功事例をさらに詳しくご紹介いたします。 AI外観検査導入を検討されている方、製造現場の効率化・省人化にご興味のある方は、ぜひご参加ください! ■関連するセミナーのご案内 樹脂成型・ゴム製品製造業向け AI外観検査 社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/121701_MV
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