記事公開日:2025.11.10
最終更新日:2025.11.10
「ウチはKKDでやってきた」――その“勘と経験”は、なぜもう通用しないのか?

「機械の音を聞けば、調子は分かる」
「図面を一目見れば、だいたいの工数は読める」
「長年の勘が、次に何が起こるか教えてくれる」
日本の製造業の現場を、長きにわたり支えてきたもの。それは、ベテラン職人たちの「勘・経験・度胸(KKD)」と呼ばれる、暗黙知の集合体でした。このKKDが、高品質な製品を生み出し、幾多の困難を乗り越える原動力となってきたことは、紛れもない事実です。
経営者の皆様も、自社のベテランが持つその「凄み」を、誰よりもご存知のはずです。
しかし、同時に、こうも感じてはいないでしょうか?
「最近、その勘が、どうも外れることが多くなってきたな…」
「若手が、その“勘”をなかなか受け継いでくれない…」
「勘と経験だけでは、顧客への説明責任が果たせない…」
そう、私たちが誇りにしてきたはずの「KKD」は、現代の事業環境において、急速にその有効性を失い始めているのです。それは、ベテランの能力が落ちたからではありません。彼らを取り巻く「環境」が、あまりにも複雑になりすぎたからです。
KKDが通用しなくなった、3つの環境変化
- 多品種“超”少量生産」という複雑性
かつては、同じ製品をある程度のロットで作り続ける「見込み生産」や「リピート生産」が中心でした。同じ作業を繰り返す中で、KKDは磨かれていきました。
しかし、今はどうでしょう。顧客のニーズは極端に多様化し、ロットは1個から。毎回違う図面、違う材質、違う仕様のものを、短納期で要求される。この目まぐるしい変化の中では、ベテランが過去に経験したことのないパターンに遭遇する確率が格段に高まります。「過去の勘」が通用しない、未知の領域が広がっているのです。
- 「品質・コスト要求」の異常な高度化
材料費、エネルギー費、人件費は高騰を続ける一方で、顧客からのコストダウン要求は止まりません。品質に対する要求も、ppm(100万分の1)単位の不良率を問われるレベルにまで達しています。
「なんとなく、これくらいだろう」というどんぶり勘定の見積もりや、「たぶん、これで大丈夫だろう」という感覚的な品質管理では、もはや利益を確保することも、顧客の信頼を勝ち取ることもできないのです。
- 「世代交代」という、待ったなしの時間切れ
KKDの最大の弱点。それは、「その人にしかできない」という属人性です。第14回のコラムでも触れた通り、その技術を一身に背負ってきたベテランたちは、あと数年で、確実に現場を去っていきます。「見て覚えろ」が通用しない今の若手世代に、その感覚的な「知」を継承することは、ほぼ不可能です。KKDに依存した経営は、その担い手の退職と共に、終焉を迎える運命にあるのです。
KKDを「データ」で補完し、進化させる
では、どうすればいいのか。
KKDを、全て捨て去るべきなのでしょうか?
いいえ、違います。
ベテランの貴重な「勘」や「経験」を、客観的な「データ」によって裏付け、補完し、そして「形式知」として組織に残していく。
これこそが、私たちが目指すべき「データドリブン経営」の真の姿です。
- ベテランの「勘」:「この機械、なんだか調子が悪いな」
→ 「データ」:IoTセンサーが示す振動値が、確かに平常時と異なるパターンを示している。 - ベテランの「経験」:「この加工は、これくらい時間がかかる」
→ 「データ」:過去の類似案件の日報データを分析した結果、平均作業時間は〇〇分であることが裏付けられた。
このように、KKDとデータを組み合わせることで、
- 判断の精度が飛躍的に向上します。
- 若手でも、データを見れば、ベテランに近い判断ができるようになります。(技術継承)
- 顧客に対し、「データに基づき、この価格・納期になります」と、論理的な説明が可能になります。
「紙管理脱却のための中小製造業データドリブン経営入門セミナー」>は、まさにこの「KKD経営からの脱却」を宣言する、中小製造業のための「独立宣言」セミナーです。
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長年頼ってきたKKDという名の「古い剣」を、データという「新しい盾」で補強する。その具体的な方法論を、このセミナーで学んでください。
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⚫ どのような方におすすめか?
- 勘や経験に頼った現場改善や経営判断に限界を感じている方
- 日報を「記録すること」が目的化していると感じている方
- ベテランの退職によるノウハウの喪失に危機感を抱
- 従業員100名以下の製造業の方
- 高額なシステム導入は避けたいが、データ分析・業務改善をしたいと感じている方
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- 2025/12/02 (火) 13:00~15:00
- 025/12/03 (水) 13:00~15:00
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