記事公開日:2021.03.19
最終更新日:2023.01.20

クラウドを利用した生産管理システム

1.はじめに

本コラムは、最近、その数が増えているクラウドを利用したシステムのうち、生産管理システムについて解説します。
市場競争の激化による生産性向上の取り組み、多くのシステムが老朽化による刷新が必要となる2025年の壁といった課題解決を急がれる背景から、DX化を推進し、従来、人が手作業+表計算ソフトを活用して行っていた類の業務を、自動で出来るような仕組み化=システム導入のニーズが増えています。その解決策の一つとして、生産管理システムが存在します。今回は、製造業の企業であれば、一度は導入を考えたことがある、生産管理システムについて、概要を解説いたします。

2.生産管理システムとは

最初に生産管理システムについて定義します。まず、各単語の定義は以下です。
「生産:材料から何らかの方法を用いて、人が必要とする価値あるものをつくりだすこと」
「管理:何らかの基準・ルールから外れないように物事を統制すること」
「システム:機能を有したものが複数集まり、片方向又は、双方向に影響を与えながら作動する秩序を持った集まり・仕組みのこと」
以上の三つの言葉を単純につなげるとわかりにくいので整理すると、生産管理システムとは、「モノづくりの過程で諸々の状態・数値が、管理範囲から外れないように、ルールに則って監視・管理する仕組み」ということができます。
つまり、生産管理システムとは、それ自体を導入すれば、使えるようになるモノではなく、使うためには、使う側がどういったルールで管理するかを明確にしておき、それに適したシステムを選ぶ、作る必要があるものです。
では、以下で生産管理システムがクラウドと合わせることでどのような特徴が出来たのかを解説します。また、注目のシステムについては、「5.おわりに」に記載しています。

3.クラウドとは

クラウドについて解説します。
多くの人にとって、クラウドの最もイメージしやすいものは、「インターネット上のデータ保存スペース」ではないかと思います。確かにこの機能は、クラウドが提供するサービスの一つです。
本コラムで取り上げる「クラウド」の定義は、「クラウド・コンピューティング(cloud computing)」で、その意味は、「インターネット上のネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなどを共有化して、サービス提供事業者が、利用者に容易に利用可能とするモデル」(※1)です。
対義語は、「オンプレミス(on-premises)」です。こちらは、「自社の中に、コンピュータ、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーションなどのハードウェア、ソフトウェアを保有して、自社で管理・運用するモデル」を意味しています。
従来、工場に生産管理システムを入れるとなると、通信速度、データセキュリティの観点から、オンプレミス方式で導入することが通常でした。現在は、通信速度、データセキュリティの技術向上のおかげで、クラウドをストレス無く、安心して使用できる環境になっており、今後は、クラウドが主流になっていくことでしょう。
(※1:総務省国民のための情報セキュリティサイトhttps://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/glossary/02.html#ku02

4.クラウドを利用した生産管理システムの特徴

クラウドを利用した生産管理システムの特徴について解説します。
大きな特徴は、クラウドを活用することでSaaSとして、システムを提供できるということです。
従来はパッケージとして、開発完了後に一括でのシステム導入し、運用を開始することが標準でした。そのため、システムを導入するまで、導入後の安定稼働に長期間に渡って多くの労力を投入する必要がありました。それは、オンプレミス方式では、一度システムを導入すると、開発会社の手元からシステムが離れてしまい、容易にシステムに変更を加えることが出来ないからです。
一方、クラウドを使用することで、システム自体は開発会社の手元にある状態のまま、使用者が使いたい機能を選んでシステムを使えることが可能になりました。そのため、一度にシステムを導入する必要が無くなり、自社のペースに合わせて、システム導入を行うことが可能です。また、SaaSの場合、システムのバージョンアップがすぐに反映されるといったメリットがあります。注意点としては、従来のパッケージタイプのシステムをそのまま、オンプレミスからクラウドに移行した場合はこの限りではありません。
導入時にかかるコストとランニングコストにも影響があります。従来は、初期費用が多くの投資が必要になりましたが、クラウド+SaaSの場合、カスタマイズ無しならば、初期費用を抑え、年間のクラウド+システム使用料等を払うことで継続的にシステム使用が可能です。

5.おわりに

今回は、クラウドを利用した生産管理システムの概要について解説をしました。まだ数は少ないですが、クラウドを利用した生産管理システムも出てきています。
特に注目すべきは、ワードやエクセルを開発しているマイクロソフト社が提供している、ダイナミクス365です。このダイナミクス365の中に、生産管理システムを含んだ中小企業向けの基幹システムダイナミクス365BusinessCentralがあります。このシステムはSaaSタイプのため、導入コストを抑えるかつ、段階的に導入を進めることが可能です。そして、マイクロソフト社が提供している他の多くのサービス、ソフト、システムとの連携が可能です。そのため、「このシステムをこう使えばこんなこと出来ないか」といったように、自社内でシステム運用を開発、改善することが可能です。今後、注目度が増すクラウドを利用した生産管理システムの概要解説は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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