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産業用ロボットの市場を解説

近年では、様々な業界においてロボットが用いられるようになってきています。
その背景には将来的な人口減少により生産年齢人口が減少することや、顧客のニーズを満たすようなロボットを、製造することが出来るまでに技術が発展していることなどが、挙げられます。
ロボットと一口に言っても産業用ロボット・家電ロボット・手術支援ロボット・医療支援ロボットなど様々な種類がありますが、その中でも最も注目を集めているのが産業用ロボットです。

では、「産業用ロボット」とは一体どういうものなのでしょうか?

1.産業用ロボットとは?

産業用ロボットの説明に入る前に、まずはロボットの定義を共有したいと思います。
ロボットの定義は明確に定まっている訳ではなく所々で色々な定義がされていますが、定義の一つに、“人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。”とあります。

そのロボットの中で、注目されている産業用ロボットは、「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と日本工業規格JISで定義されています。

マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。このような産業用ロボットは、資金が潤沢な大企業のみが導入できるものと考えられてきましたが、近年では規模が小さい中小企業においてもロボット導入が可能となっています。

まだまだ多くの方が、ロボット化をただの単品大量生産の自動化だと考えていますが、それは大きな間違いです。

特に中小企業にとってロボット化とは

・売上UP・付加価値UP・生産性UP
・熟練業務の伝承・継承
・優秀な若手の採用強化・教育育成
・新規顧客の開拓
・人手不足の解消
・ロボットによる3K業務の代替

であり大きなメリットがあります。

2.産業用ロボットに関する市場を調査

先述の通り、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。

IFR (国際ロボット連盟)のレポートによると、過去5 年で世界の産業用ロボットの販売台数は2 倍になるといわれています。その背景として、日本・韓国・欧州等における労働力人口減少や中国・新興国等における賃金上昇や品質向上ニーズ拡大等が挙げられます。

IFRのWorld Robotics Report によると、2017 年に世界の産業用ロボットの出荷台数は過去最高となる381,000 台を記録し、前年比30%増となりました。ロボットの年間販売台数は下記の図をみてもわかるように、年々増加しており1 年あたり平均14%増となっています。

世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数
*2009~2017年と2018~2021年の世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数
出展:国際ロボット連盟2018

また、日本ロボット工業会の統計を見ても、国内メーカーの18年の受注額は9623億円で、前年比5,5%増加しました。6連続の前年比増加で、過去最高を記録しています。

日本は、世界一の産業用ロボット生産国ですが、2017 年に日本メーカーは世界の販売台数の56%を占めました。
輸出比率は 45%の増加を記録し、輸出先は北米や中国、韓国、ヨーロッパです。

日本以外で注目すべき国としては、中国です。近年、中国を中心としたアジア市場が産業用ロボット市場の大きな成長源となっています。
中国は既に稼働台数において日本に次ぐ世界第2位となっていますが、工場労働者1人当たりの台数は少なく、ロボットの導入余地が大きいと考えられ、今後日本を抜いていくことが予想されます。

ここまで数字面で、産業用ロボットが注目される根拠を説明してきましたが、ここからは社会的な面からも見ていきたいと思います。

国際ロボット連盟の会長である津田純嗣は以下のように述べています。

「産業用ロボットは製造業の進歩に欠かせない重要な役割を担っています。ロボットは、視覚認識やスキル学習、AIを用いた故障予測、マン・マシン・コラボレーションという新たな概念、そして容易なプログラミングなどの多くの最新のテクノロジー と共に進化を遂げています。こうしたテクノロジーは、製造業の生産性の向上と、ロボット応用分野の拡大に寄与するでしょう。IFRの予測では、世界中の工場へのロボットの年間導入台数は2021年に約630,000台に到達することが見込まれます。」

OECDの調査によると、テクノロジーを効果的に採用している企業は、採用していない企業よりも10倍生産性が高いことが示されており、津田会長が言うように産業用ロボットは製造業の進歩に必要不可欠であると考えられます。

また、昨今のコロナウイルスの影響により自動化は今後より進んでいくと考えられます。IFRや経済学者らはコロナ危機は、ロボットが産業と社会にもたらす重要な貢献を強調しているとの考えを示しています。

3.産業用ロボットの種類

産業用ロボットは幅広い分野で活用されていますが、一口に産業用ロボットといっても様々なタイプがあります。

・垂直多関節ロボット
人間の腕に似た構造で自由度が高く、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。
軸の数が多く、動作の自由度が非常に高いということから様々な作業を行うことができます。
自由度が高いことから、対象とするワークを回り込んでの作業も得意で、搬送・溶接・塗装・組立等多くの工程で導入されています。
ただ、多軸で自由度が高い半面、制御がやや複雑になります。

・水平多関節ロボット(スカラロボット)
水平(スカラ)方向の動きに特化したロボットです。
最も主流となっているのが4軸のロボットで、関節は回転軸が全て垂直に揃っているため、必ずアームの先端が水平面内を移動します。
例えばものをつかみ上げる場合は、ハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを近づけます。
複雑な動作はできませんが、上下方向の剛性が高く、水平方向への柔軟性を持っているため、部品の押し込み作業などの組立工程に適しています。
ウエハの搬送や、基板を組み立てる際など用途は多岐に渡ります。

・パラレルリンクロボット
並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法(パラレルメカニズム)を使った産業用ロボットです。
複数モーターの出力を1点に集中させ、各関節が直接先端を制御するため、高精度・高出力で、非常に高速に動けるという特徴があります。
そのため、ベルトコンベヤーの上に取り付けられ、流れてくる製品を高速でピックアップして搬送することができます。

・直交ロボット
直角に組み合わせた直線軸からなるシンプルなロボットです。
作業を施す範囲に対し、設置面積が広くなってしまうというデメリットはありますが、スライド機構による動作になるため、回転がないという特徴があります。
また、複雑な動作はできない代わりに、シンプルで安価であるといったことも特徴として挙げられます。
直行ロボットは重量物の搬送や、基板の組み立てなどに使用されています。最近では、単体で導入するのではなく、多関節ロボットと組み合わせて導入し、使われることが増えてきています。

そのほかにも、液晶パネルの搬送などに利用されている、「円筒座標型ロボット」や
産業用ロボットの元祖である「極座標型ロボット」等様々なロボットがあります。

また、産業用ロボットといっても、「協業ロボット」や「双腕ロボット」など、一般的な産業用ロボットとは違ったタイプのロボットもあります。

このように、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。
今後、産業用ロボットによる自動化はより進んでいくことでしょう。

本記事では産業用ロボットの市場について解説しました。
他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。

是非一度、ご覧になって下さい。

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