記事公開日:2025.10.24
最終更新日:2025.10.24

あなたの工場は「忙しいだけ」で儲かっていないのでは? “稼働率”の罠と、本当に見るべき指標とは

工場の朝。機械の音が鳴り響き、作業員たちが忙しそうに動き回る。材料が運び込まれ、製品が出荷されていく。活気に満ちたその光景を見て、経営者であるあなたは、安堵のため息をつくかもしれません。

「今日も工場はよく動いている。よし、今月も大丈夫そうだ」

しかし、その「活気」は、本当に会社の「利益」に繋がっているのでしょうか?

多くの中小製造業が、「機械が動いていること(高稼働率)=儲かっていること」という、危険な思い込みに陥っています。もちろん、機械が遊んでいるよりは、動いている方が良いに決まっています。しかし、稼働率という指標だけを見ていると、経営の最も重要な本質を見失ってしまう可能性があるのです。

なぜ「高稼働率=高収益」ではないのか?

  1. 実は赤字の製品を、一生懸命作っているかもしれない

    あなたの工場でフル稼働で作られているその製品。一件あたりの正確な原価を把握できていますか?もし、どんぶり勘定の見積りで安請け合いしてしまった赤字案件だとしたら、機械を動かせば動かすほど、会社のキャッシュは流出していきます。高稼明率は、単に「損失を拡大させているスピードが速い」ことを示しているだけかもしれません。

  2. 段取り替えやチョコ停で、見えない時間が浪費されている

    機械の稼働率を計算する際、その「分母」となる就業時間から、段取り替えや数分間の停止(チョコ停)の時間を、正しく除外できているでしょうか。もし、これらの「付加価値を一切生んでいない時間」が稼働時間に含まれているとしたら、その稼働率の数字は全く意味をなしません。実際には、生産に貢献していない時間が、想定以上に発生している可能性があります。

  3. 特定の機械だけがボトルネックになっている

    工場全体で見れば稼働率は高いように見えても、実は特定の機械の前後に、大量の仕掛品が滞留している…というケースはよくあります。その機械こそが、工場全体の生産能力を決定づける「ボトルネック」です。このボトルネック工程の生産性を最大化しない限り、他の機械がどれだけ高速で動いても、最終的な生産量は増えません。稼働率という平均的な指標だけでは、こうした局所的な問題点を見つけ出すことは困難です。

稼働率の“その先”へ。高収益工場が注目する「新たな指標」

では、本当に儲かる「高収益工場」は、稼働率の他に、どのような指標に注目しているのでしょうか。

それは、「時間あたり採算」や「製品別利益率」といった、より経営の根幹に近い指標です。

  • 時間あたり採算
    この機械を1時間動かすと、どれだけの付加価値(粗利)を生み出すのか、という指標です。これが分かれば、限られた生産能力を、どの製品に優先的に割り当てるべきか、戦略的な判断が下せるようになります。例えば、A製品は加工時間が短くても時間あたり採算が高く、B製品は加工時間が長い割に採算が低い、といったことが分かれば、営業戦略も見直すべきかもしれません。
  • 製品別利益率
    これは文字通り、製品ごとの利益率です。これを正確に把握するためには、材料費だけでなく、その製品にかかった正確な作業時間(労務費)や、機械の稼働時間(経費)を、リアルタイムで集計する仕組みが必要です。

こうした「新たな指標」を獲得するためには、もはや紙の日報や月末の集計では追いつきません。IoTセンサーやタブレットなどを活用し、現場で発生するデータをリアルタイムに収集・分析する基盤が不可欠となります。

愛知県の従業員100名の自動車部品加工会社は、まさにこの課題に取り組みました。生産管理システムとIoTを活用して現場データをリアルタイムに収集することで、製品ごと・工程ごとの実際原価を即座に可視化。これにより、不採算案件を特定し、見積もり精度を向上させ、データに基づいた迅速な経営判断を実現しました。彼らは、単なる「稼働率」という幻想から脱却し、「本当に儲かっているか?」という本質を追い求めたのです。

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