記事公開日:2025.10.28
最終更新日:2025.10.28
「船井総研主催 最先端DX工場視察ツアー2025 レポート」フライデーコラム:シオタ

「自社でやってみる」ことが成功の鍵。しかし、それが一番難しい。
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お世話になっております。船井総研の塩田です。
本日のテーマは、「船井総研主催 最先端DX工場視察ツアー2025 レポート」です。
先日開催された「最先端DX工場視察2025」では、計18名の方々にご参加いただきました。お忙しいところ、ご参加いただき誠にありがとうございました。
「自社はある程度DXが進んでいると思っていたが、データ蓄積・活用ができていないことに気づかされた。」
講座の中で、参加者様に上記のコメントをいただくことができ、皆様が普段の業務を離れ、気づきを得られる視察ツアーになったと確信しております。
今回の視察ツアーでは、同じ「DX」というテーマでありながら、全く異なるアプローチで大きな成功を収めている2社、有川製作所様とNACHI不二越様の事例を深く学びました。
有川製作所様は「自動化」によって「人」の問題を解決し、企業の新たな魅力を創造。
一方、NACHI不二越様は「データ活用」によって「プロセス」の問題を解決し、現場のムダを徹底的に撲滅しています。
今回は、この対照的な2社の取り組みから、DX推進のヒントを探ります。
1.有川製作所様:「自動化」で「人」の問題を解決し、魅力を創造
有川製作所様のDXは、「小人の靴屋プロジェクト」に象徴されるように、社内に専門のSEがいない状態から自動化への挑戦を始めた点に驚かされます。
この取り組みが、単なる生産性向上に留まらず、リクルート活動の好転や社風の変化、さらには顧客との関係性強化にまで波及しています。
成功の鍵は「内製化」へのこだわりです。もちろん、すべてを自社で行うのではなく、「巨人の肩プロジェクト」として協力企業の力を借りながら視座を上げています。同時に、若手社員が主体となり、生成AIや「Microsoft Power Apps」のようなローコードツールも活用しながらIT・アプリ開発を推進。これにより、若手がDXを通じて自己成長を実感できる環境が生まれています。
ベンダーに依頼すると時間のかかる「要件定義」や「ドキュメント化」といった工程も、内製化することで「要件整理」から即「開発」に移り、「使いながら改修」というアジャイルな開発が可能です。
この「自社でやってみる」姿勢を「取組みとして開示する」ことで、意欲ある人材やパートナー企業が集まり、さらに取り組みのレベルが上がるという「はずみ車」が回り始めているのです。まさに「挑戦する企業」というブランディングが、優秀な人材の獲得に直結した好事例です。
2.NACHI不二越:「データ活用」で「プロセス」のムダを撲滅
一方、NACHI不二越様のDXは、「プロセス」の無駄を撲滅するための「データ活用」が徹底されています。
その根幹にあるのは、「トップは数値に強くなれ」という強烈なメッセージです。日本語のような「言葉は曖昧」であり、誤解を生みやすい。だからこそ、客観的な「数値を持って現場・管理者と話す」ことが求められます。
経営層が方針を示し、現場の状況がデータとして「可視化」され、管理者がデータに基づき「指示」を出し、現場が動く。このサイクルが重要です。例えば、不良集計表のように、これまで曖昧だったものが数値で明確になります。
ただし、NACHI不二越様が強調するのは、単なる「可視化」だけでは不十分だという点です。データを活用し、継続的に改善を行う「QCサークル」のような改善活動の文化がなければ、可視化の意義は半減してしまいます。QCストーリーやQC七つ道具といった改善の「型」が、データを活かす土壌となっているのです。
とはいえ、「可視化されれば改善したくなるのが人間」という側面も真実です。これを「やっちゃえプロジェクト」として現場のやる気スイッチを入れ、最終的には「自社のことは自社が一番詳しい」という信念のもと、「自前でやる」仕組みづくりを目指されています。
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アプローチは異なれど、両社に共通する成功要因は「自社でやってみる」という主体的な姿勢です。
しかし、多くの企業様とお話しする中で、「社内人材だけで教育していくことは困難」であり、この「最初の一歩」を踏み出すこと自体が最も難しい課題であるとも感じています。
だからこそ、最初の一歩を踏み出し、自走できるまで伴走する「外部のサポート」が有効になります。
システム導入、AI導入、ロボット導入…船井総研では、幅広いテーマで皆様のお悩みの解決に導きます。お困りの方は、弊社HP「工場DX.com」 無料相談バナーよりお申込みください。専門のコンサルタントが対応いたします。
船井総研では、「ウチの工場も、こうなれる」という成功イメージと、「明日から即実行できる具体的な最初の一歩」を掴んでいただくための視察ツアーやセミナーを今後も開催してまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
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