記事公開日:2025.12.08
最終更新日:2025.12.08

その価格差、本当に必要?協働ロボット「大手vs新興」比較で見える、コスパ最強の選択肢

「協働ロボットを導入したいが、メーカーが多すぎてどこが良いか分からない」 「ユニバーサルロボット(UR)が有名だが、見積もりを取ったら予算オーバーだった。安いメーカーもあるようだが、安かろう悪かろうではないか不安だ」

協働ロボット市場は、かつてのUR一強時代から、国内外の多数のメーカーが参入する群雄割拠の時代へと突入しました。選択肢が増えたことは歓迎すべきですが、導入担当者にとっては「どれを選べば正解なのか」が非常に分かりにくくなっています。

特に頭を悩ませるのが、メーカーによる「価格差」です。同じ「可搬重量10kg」のロボットでも、A社は500万円、B社は200万円と、倍以上の開きがあることも珍しくありません。

この記事では、カタログのスペック表だけでは見えてこない、各メーカーの「価格構造の違い」を解明します。そして、業界の勢力図を俯瞰した上で、貴社にとって最適なロボットを選ぶための新しい「比較のものさし」を提供します。

目次

1. なぜ、協働ロボットの価格はメーカーによって「2倍以上」も違うのか?

まず、「高いロボット=良い」「安いロボット=悪い」という単純な思い込みを一度リセットしましょう。価格の違いは、品質の差というよりも、メーカーの「ビジネスモデル(設計思想)」の違いから生まれています。

1-1. 価格構造の真実:「高機能+研究開発費+ブランド料」のプレミアム価格モデル

業界をリードする大手メーカーの製品価格には、以下の要素が含まれています。

  • 最先端の多機能性: あらゆる複雑な作業に対応できるよう、高度な力覚センサーや、将来的な拡張を見据えた高機能なコントローラーが搭載されています。
  • 膨大な研究開発費: AIとの連携や、より直感的なソフトウェア開発など、業界の最先端を走り続けるための先行投資コストが上乗せされています
  • ブランド料とエコシステム維持費: グローバルな広告宣伝費や、豊富な周辺機器(プラグ&プレイ製品)のエコシステムを維持するためのコストが含まれています。

これらは「安心感」や「拡張性」という価値を生みますが、その対価として価格は高くなります。

1-2. もう一つの選択肢:「実用機能特化+内製化+販促費削減」の適正価格モデル

一方、近年台頭している新興メーカー(FAIRINOなど)は、全く異なるアプローチをとっています。

  • 実用機能への絞り込み: 多くの現場で求められる「運ぶ、積む、脱着する」といった基本動作に必要なスペックは確保しつつ、一部の高度な機能(例:全軸への高精度トルクセンサー搭載など)をオプション化したり、設計をシンプルにしています。
  • 部品の内製化: モーターや減速機といった高価な基幹部品をグループ内で内製化し、中間マージンを削減しています。
  • 販促費の効率化: 派手なマス広告よりも、実用性を重視する層へのアプローチに集中し、販売管理費を抑えています。

この「引き算の設計思想」と「コストダウン努力」により、実用的な性能を維持しつつ、導入しやすい価格を実現しているのです。

1-3. スペック表の「繰り返し精度±0.03mm」と「±0.05mm」の差に、倍の金額を払う価値はあるか?

例えば、カタログの「繰り返し位置決め精度」という項目を見てみましょう。大手A社は「±0.03mm」、新興B社は「±0.05mm」だったとします。 この0.02mmの差は、超精密な電子部品の組み立てなどでは決定的ですが、ダンボールのパレタイズや、一般的な機械加工のワーク投入においては、どちらも「実用上問題ないレベル」です。

自社の用途にとって、そのわずかなスペック差のために、倍の金額を支払う必要があるのか? これを冷静に見極める視点が必要です。

2. 【徹底比較】主要メーカー3タイプのポジショニングと特徴

現在の協働ロボット市場は、大きく分けて3つのタイプが存在します。それぞれの特徴と立ち位置(ポジショニング)を理解しましょう。

図1:機能性と価格帯による主要メーカーのポジショニング(※位置は筆者の分析に基づくイメージです)

2-1. 業界の絶対王者「ユニバーサルロボット(UR)」:エコシステムが充実した多機能プラットフォーム

  • タイプ: 多機能×プレミアム価格(右上象限)
  • 特徴: 協働ロボットのパイオニアであり、圧倒的なシェアを持ちます。最大の特徴は「UR+」と呼ばれる周辺機器のエコシステムです。様々なメーカーのハンドやカメラが、URのロボットと接続するだけで使えるように認定されています。
  • 向いているケース: 予算に余裕があり、将来的に様々な用途に転用したい場合や、豊富な周辺機器からレゴブロックのように組み合わせてシステムを構築したい場合。

2-2. 安心の国産大手(ファナック、安川電機等):圧倒的な信頼性と堅牢なサポート体制

  • タイプ: 実用特化〜多機能×プレミアム価格(右側象限)
  • 特徴: 産業用ロボットで培った圧倒的な信頼性と、国内全国を網羅する強固なサービス体制が強みです。「絶対に止めてはいけないライン」への導入や、既存の産業用ロボットと同じ言語で管理したい場合に選ばれます。
  • 向いているケース: コストよりも長期的な信頼性や保守体制を最優先する場合。

2-3. コスパの新潮流「FAIRINO」:必要な機能に絞り込んだ実力派

  • タイプ: 実用特化×エコノミー価格(左下象限)
  • 特徴: 前述の通り、機能を「現場で本当に必要なもの」に絞り込み、部品内製化などで徹底的なコストダウンを実現しています。URの半額〜2/3程度の価格帯ながら、パレタイズやマシンテンディングといった定型作業には十分すぎるスペックを持っています。
  • 向いているケース: 導入コストを抑えて早期に投資回収したい場合や、決まった単純作業を自動化するスモールスタートに最適。

3. 自社に最適なのはどっち?失敗しない「選び方の基準」3選

では、自社はどのタイプを選ぶべきなのでしょうか。失敗しないための3つの判断基準を紹介します。

3-1. 基準A:「将来的に複雑な研究開発や、頻繁な用途変更があるか?」→ 多機能性重視へ

導入目的が「研究開発部門での実験用途」であったり、「今日は組立、明日は検査」といった具合に用途が頻繁に変わる可能性があるなら、拡張性が高いURのようなメーカーが適しています。初期投資は高くても、将来的な変更コストを抑えられる可能性があります。

3-2. 基準B:「パレタイズや脱着など、決まった単純作業を安く自動化したいか?」→ 実用性・コスパ重視へ

導入目的が「パレタイズ」「箱詰め」「マシンテンディング」といった、動きが決まっているルーチンワーク(定型作業)の自動化であれば、多機能なロボットはオーバースペック(宝の持ち腐れ)になる可能性が高いです。 この場合、必要なスペックを満たしている中で最もコストパフォーマンスが高い、FAIRINOのようなメーカーを選ぶのが経済合理的です。

3-3. 基準C:「何かあった時のサポートは国内で完結させたいか?」→ 代理店体制の確認

海外メーカーを選ぶ際に最も気になるのがサポート体制です。 「故障時に海外へ送り返す必要がある」といった体制では、現場は安心して使えません。FAIRINOのように、日本国内に正規代理店や技術パートナーを持ち、日本語でのサポートや修理対応が国内で完結する体制が整っているかを確認しましょう。

4. 結論:新興メーカーを選ぶことは“妥協”ではなく“賢い選択”である

ここまで見てきたように、ロボット選びに「絶対的な正解」はありません。あるのは「自社の目的に対する最適解」だけです。

もし、貴社の目的が「単純作業の人手不足解消」や「コストを抑えたスモールスタート」であるならば、新興メーカーを選ぶことは、予算が足りないが故の「妥協」ではありません。

4-1. 定型作業(ルーチンワーク)にオーバースペックなロボットは必要ない

目的に対して必要十分な機能を持つ製品を、適正な価格で調達する。これは製造業における調達の基本であり、非常に「賢い戦略的な選択」と言えます。

4-2. 本体価格で浮いた数百万円を、より良い周辺機器や「2台目の導入」に回すという戦略

大手メーカー製ロボット1台分の予算で、新興メーカーなら2台導入できるかもしれません。あるいは、浮いた予算でより高性能なハンドや、移動用のAGV(無人搬送車)を購入し、システム全体の生産性を高めることも可能です。 「ロボット単体」ではなく「システム全体」の投資対効果で考えることが重要です。

5. まとめ:スペック表とにらめっこする前に、自社の「導入目的」を明確にしよう

協働ロボット選びで最も重要なのは、「何ができるロボットか(Can)」ではなく、「自社のどの課題を解決したいか(Want)」を明確にすることです。

目的さえ定まれば、自ずと必要なスペックと、かけるべき予算が見えてきます。

各メーカーのより詳細なスペックや、価格帯の目安を知りたい方のために、無料の個別相談をご用意しました。社内検討や稟議資料の作成に、ぜひお役立てください。

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