記事公開日:2021.06.18
最終更新日:2023.01.20

工場におけるAI活用のポイントとAI活用事例

現在、大手製造業ではリサーチ(PoC:実証実験)の段階にある企業が大半です。
一方、中堅・中小製造業においては、一部で既に工場におけるAIの導入・活用が始まっています。
中小企業を対象とした「ものづくり補助金」においても、「工場×AI」をテーマとした採択比率が年々増加傾向にあります。
製造業(特に中小製造業)においては、長い目で見れば見るほど経験者・熟練者不足が進行する(⇒経験者・熟練者不足は“確定された未来予測”である)と思われます。
「労働人口の減少」「働き方改革の推進」「職人の高齢化」「若手人材の採用難」等を背景として工場のAI活用事例が増えていくでしょう。
工場のAI活用の目的としては以下のような例があげれらます。

  • 「既存業務の自動化・省力化・標準化」
  • 「3K業務の自動化」
  • 「熟練業務&属人業務の技術継承・若手育成」
  • 「熟練者を単純作業から解放し、より付加価値の高い業務へ移行させる」

では、工場におけるAI活用テーマとしてどのようなテーマがあるのでしょうか?

1.工場におけるAI活用のテーマ

まずは工場の業務別・工程別にAI活用テーマを分類・整理することからスタートします。
「あれもこれも」ではなく、「営業情報AI化」「見積もり作成AI化」「設計・構想AI化」「生産計画作成AI化」「外観検査AI化」「原価管理AI化」「メンテナンスAI化」等のように、まずは業務別・工程別にAI活用テーマを分類・整理することが重要です。
工場のAI活用は大きく分けると以下7つのテーマに分けられます。

  • 営業情報AI化
  • 見積もり作成AI化
  • 設計・構想AI化
  • 生産計画作成AI化
  • 外観検査AI化
  • 原価管理AI化
  • メンテナンスAI化

では、以上のテーマを一つずつ課題とAI活用の方向性について見ていきましょう。

・営業情報AI化
課題:営業スキルに個人差があり、営業活動が担当者ごとに属人化している
方向性:営業担当者とお客様との商談情報をデータベース化&AI解析し、営業力を向上させる(営業スキルの標準化)
・見積もり作成AI化
課題:見積もりノウハウが社内に蓄積されておらず、見積もり業務自体が一部の熟練者の過去の経験に依存している
方向性:熟練者の経験に依存している見積もり作成に、AIを導入して省力化&標準化を図る
・設計・構想AI化
課題:設計業務が一部の熟練者に依存しており、技術継承が難しい
方向性:加工プログラム設計・金型設計・冶具設計等のAI化を通じて、設計業務の標準化を図る
・生産計画作成AI化
課題:生産計画の作成に関して特定社員に依存しており、代わりとなる人材がいない
方向性:AIを活用し、一部の経験者にしかできない生産計画の作成を自動化・最適化する
・外観検査AI化
課題:付加価値を生みにくい外観検査に人手と手間がかかり、作業効率が上がらない
方向性:外観検査工程にAIを導入し、省力化と作業の効率化を図る
・原価管理AI化
課題:個別製品毎の原価管理・利益管理の体制が整っておらず、チェック機能が上手くはたらいていない
方向性:AIを活用し、個別製品毎の原価管理・利益管理の仕組みを整備する
・メンテナンスAI化
課題:修理・メンテナンスの効率が悪く、余計に工数がかかってしまう
方向性:製品の販売後に生じる修理・メンテナンスの情報をデータベース化&AI解析することで、営業・設計開発に活かす

では次に、実際の工場におけるAI活用事例をみていきましょう。

2.工場のAI活用事例

事例①
“顧客提案用のCAD図面”自動作図システムの導入
顧客との商談を経て、営業担当者から設計部へ「顧客提案用のCAD図面を作ってほしい」という要望が頻発。設計部は本業の設計業務に注力できないという状況に。全体として。受注に繋がらない案件も多く、失注したら設計担当者の工数がそのままマイナス(赤字)となっていた。
CADを使えない営業担当者でも顧客との商談中に必要情報を入力することで、その場で顧客提案用のCAD図面を自動作成できるAIシステムを導入。結果として、設計部の業務負担が激減。設計担当者は空いた時間で「より付加価値の高い詳細設計業務」に集中できるようになった。
事例②
AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進
一部のベテラン営業担当者と社長自ら見積もり業務に従事。見積もり算出に際して、取引先から共有された図面のうち約7~8割を書き直す必要があった。また、見積もり算出の参考として使用する過去の見積もりデータを探し出す作業に多くの時間を取られていた。
AIを活用し過去の類似案件を検索できるようにすることで、「従来かかっていた時間よりも短い時間で」かつ「より精度高く」見積もり作成が可能となった。また、一部のベテランに依存していた見積もり業務を、知識・経験の浅い社員でも問題なく実践できるようになった。
事例③
AIを活用した「類似案件検索システム」の確立
多品種小ロット(リピートが少ない)案件について、過去の類似案件から生産時間を割り出し、工程を作成する必要があったが、「過去図面の検索に多くの時間と労力がかかる」「図面を探してから、過去の製作情報を探す」「工程作成が属人化している」等の課題があった。
AIを活用することで、新規受注案件と類似した過去3D-CADから、過去の加工情報・見積もり価格を検索できるようにした。その結果、「営業サイドの見積もりの効率化」「生産計画担当の非属人化・効率化」の推進に成功。
事例④
AIを活用し、熟練者に依存していた生産計画作成を自動化
生産計画は複雑で難解になっており、生産計画作成には多面的な知識と豊富な経験が必要であった。その生産計画の作成は一握りのスタッフの“勘と経験”に依存(属人化)しており、そのスタッフの工数は相当多く、過度な業務負荷がかかっていた。
設備によってできる加工が異なり、生産順や納期等の条件から総合的に判断する必要のある生産計画作成工程にAIを活用。複数の生産計画パターンをシミュレーション&比較し、その時々に応じて最適な生産計画表を自動で出力。熟練者の工数減と業務の脱属人化を実現。

3.おわりに

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