記事公開日:2023.10.05
最終更新日:2023.10.05
基幹システム導入の失敗例から学ぶ成功のポイント
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
1.失敗例その1
【企業概要】
・業種:自動車・電機関連プレス加工
・従業員数:80名
【失敗理由】
マスター設定の段階で人手が不足し、やり切れず頓挫してしまった。
【失敗の背景】
・当初は、ExcelとAccessで販売業務、生産業務、購買業務、原価業務を管理していた。
・業務負担が大きかったため、社内でITに詳しい担当者Aさんが中心となり、地元のベンダーに相談した上で、製造業に特化したパッケージシステムを導入することとなった。
・マスター設定(登録)に6か月以上掛かってしまい、社長の判断で導入がストップしてしまった。
【失敗の根本原因】
・当初から社長を巻き込んでいない(社長をプロジェクトオーナーにしていない)。
・Aさんがキーマンの役割を成していない(計画、体制、範囲を明確化していない)。
・業務の範囲を決めないでスタートしてしまった。
2.失敗例その2
【企業概要】
・業種:精密機械溶接加工
・従業員数:35名
【失敗理由】
カスタマイズ費用が積み重なり、予算を大幅にオーバーして導入を断念してしまった。
【失敗の背景】
・何十年も勤務しているベテランが生産業務と購買業務を担当しており、属人化しているため、情報が見えない。
・それぞれのベテラン担当者が「各個人のやりたい運用のしかた」で実施しているため、非効率であった。
・得意先から紹介されたシステムベンダーに相談して製造業向けパッケージシステムを導入することになったが、打ち合わせの度にカスタマイズ費用が膨れ上がり、結果として予算を超過し断念してしまった。
【失敗の根本原因】
・パッケージに業務を合わせる方針としていない。
・現状の業務をすべてそのままシステム化しようとしていた。
・こちら(発注者側)の言いなりになるベンダーを選定してしまった。
3.失敗例その3
【企業概要】
・業種:精密機械加工・設計・組立
・従業員数:78名
【失敗理由】
生産管理システムを導入したが、製造現場の協力が無く、機能していない。
【失敗の背景】
・生産管理部門の課長が積極的にシステム化の先頭に立ちベンダーを選定して導入を進めており、生産計画を作成する機能は問題無く使えるようになった。
・しかし、製造現場の事前の巻き込みをしていなかったことで、生産出来高を入力しない従業員が出始め、理論在庫が合わなくなってしまった。
・在庫の棚卸回数を減らしたかったが、改善できなかった。
【失敗の根本原因】
・プロジェクト化(社長や製造現場の巻き込み)ができていない。
・目的を明確にしておらず、ベクトル合わせもしていない。
・システム化の対象範囲となる業務を事前に明確にしていない。
4.【基幹システム導入】失敗パターンと成功のポイント
上記3つの失敗例をもとに、基幹システム(生産管理システム)導入の失敗パターンと成功のポイントを整理しました。
【失敗パターン】
①プロジェクト開始当初に目的・目標を定めておらず、ゴールが都度変更されてしまう
②システム導入が目標になり、導入効果(投資効果、業務改善等)を定めていない
③システムベンダー(委託先)に丸投げし、システムと業務のミスマッチをしてしまう
④プロジェクトキーマンの選出を間違い、現場メンバーに振り回されてしまう
⑤計画性がなく、タイトな計画で進めてしまう
⑥業務とシステム課題の整理をせず、既存システムとの親和性を検討していない
⑦投資予算の設定と身の丈にあった発注ができていない
⑧社内外におけるコミュニケーション基盤ができておらず、部門間での連携が取れていない
⑨品目マスター、工程(工順)マスター登録をやり切れずに断念してしまう
【成功のポイント】
①システムベンダーや社内担当者に丸投げせず、経営者自身がシステム導入を理解することに努める
②自社全体を俯瞰し、自社の身の丈にあった計画を作る
③目的・目標・コンセプト・範囲を明確にし、PJメンバーとベクトルを合わせる
④既存業務をそのまますべてシステム化するのではなく、導入するシステムに合わせて既存業務のあり方を根本的に見直す(導入するシステムに合わせて既存業務のあり方を調整・変更する)
⑤パイロット運用(試験的な運用)ですぐに新業務のイメージを浸透させる
⑥現場担当者をプロジェクトの早い段階で巻き込み、現場担当者も納得するシステム導入の進め方をする
以上、「【基幹システム導入】失敗例から学ぶ成功のポイントとは?」というテーマでお伝えさせていただきました。
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