記事公開日:2024.07.04
最終更新日:2024.07.04

10分でわかる基幹システムの再構築ステップ

業務効率化、コスト削減、リアルタイムデータの活用など、多くの企業がヒト・モノ・カネの流れを一元管理して可視化するために基幹システムを導入しています。
しかし、基幹システムの導入は必ずしも成功に繋がるわけではありません。
本来の目的を達成できず、中途半端な状態で運用されている事例も少なくありません。
本コラムでは、既存の基幹システムを刷新せずに再構築する際の成功のための具体的なポイントを探ります。

1.導入失敗の原因

まず、なぜ多くの企業が基幹システムの導入に失敗するのか、その原因を探ることから始めましょう。
主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

①経営陣のサポート不足
経営陣がプロジェクトに対して十分な理解とサポートができていない場合、プロジェクトが円滑に進まないことがよく起こります。
経営陣の強い想いと覚悟が従業員にうまく伝わっていなかったり、プロジェクトチームへのサポートが欠如していると、予算の確保や意思決定の遅延などに繋がり、その結果プロジェクト全体が停滞したり迷走してしまいます。

②本来の目的を見失う
プロジェクトが進行するうちに、初期の目的や目標を見失うことがよくあります。
特に、ユーザーの声に対して過度に反応しすぎることで、本来の目的から逸脱した機能追加や変更が行われるケースがあります。
このような迷走を避けるためには、常にプロジェクトの基本方針を確認し、目的を見失わないようにすることが重要です。

③社内合意形成の不足
基幹システムの導入は会社全体の大きな変革をもたらします。
会社全体の動きを適切に捉えるために業務フローを変えなければならないことも生じます。
そのため、全てのステークホルダー間でしっかりと合意形成を行うことが不可欠です。
しかし、これが不十分な場合、部署ごとに異なる期待を持ち、部分最適がぶつかり合い、結果的にシステムが各部門のニーズを満たさなくなることがしばしばあります。

④要件定義の不備
要件定義が不十分であると、後々のトラブルの原因となります。
具体的なニーズや要件が明確にならないままプロジェクトが進行すると、完成したシステムが実際の業務に適さないものとなる可能性が高くなります。

このような原因で基幹システムをうまく機能させることができていない企業も多いのではないでしょうか。
次に再構築の計画立案について詳しく解説します。

2.再構築の計画立案

基幹システム再構築にチャレンジする際、過去の経験を反省材料として次のステップに活かすことが重要です。
再構築に向けては、以下のステップをしっかりと計画立案することが求められます。

①プロジェクトチーム結成
基幹システム再構築の成功には、まず経営陣から現場までのすべてのステークホルダーを巻き込んだ強力なプロジェクトチームの結成が不可欠です。
経営陣の強い想いと覚悟をプロジェクトメンバー内で共有します。

②目的確認
プロジェクトチームが行う最初のステップは、本来の目的を明確に確認することです。
具体的な目的としては、月次決算の早期化、在庫の適正化、個別原価の把握などが挙げられます。
これらの目的を明確にすることで、プロジェクト全体の透明性と信頼性が大いに向上します。
再構築プロジェクトの目的を明確化し、その目的に対する全体の合意を形成します。
このプロセスは、プロジェクトメンバー全員が共通の目標を持ち、一体感を持って取り組むために欠かせません。
明確に定義された目的は、プロジェクトの進行過程での優先順位付けや意思決定において重要な指針となります。

③現状分析
本来の目的が達成できていない原因を徹底的に洗い出します。
どこに改良が必要なのか、どの部分が再構築の対象になるのかを明確にします。
特に、システムの問題だけでなく、組織的な役割分担や業務フローの課題にも目を向けることが重要です。
各部門のニーズや課題をヒアリングし、全社的な視点で改善ポイントを洗い出します。

④ステップアッププラン策定
基幹システム再構築の本来の目的を見据え、個々の目標と優先順位を明確に設定します。
一度にすべてを改善するのは難しいため、優先順位をつけて一つずつステップアップしていくことが重要です。
このアプローチは、各部署間の衝突を回避しつつ、全体としての本来の目的に到達するために効果的です。

⑤要件定義と業務フロー再構築
比較的新しい既存システムの再構築の場合、システム改修は必要最小限にとどめることが重要です。
多くの場合、問題の根本はシステムではなく、組織の役割分担や業務フロー、マスター設計や設定にあります。
現場の業務が滞りなく進むよう、入力支援ツールや設備IoTの活用、BIツールを使った効率的なレポート出力も検討しましょう。
これにより、具体的な改修要件と業務フローが明確になります。

⑥設計・開発
この段階では、要件定義に基づき具体的な設計と開発作業を行います。
まず、基幹システムの改修を行い、次に業務支援ツールの開発に取り組みます。
同時に、マスターの再設計と再設定も非常に重要です。
これにより、システム全体がより効率的かつ効果的に機能するようになります。

⑦テスト・シミュレーション
開発が完了したら、順次テストとシミュレーションを実施してシステムの精度を確認します。
また、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、操作性や機能性を継続的に改善します。
この段階でのポイントは、既に稼働しているシステムを利用した現実的なテスト環境を整え、実際の運用条件に近い設定でシミュレーションを行うことです。
これにより、導入後の問題発生を最小限に抑えることができます。

⑧稼働・運用定着
最後に、新しいシステムを稼働させ、運用が定着するまでのプロセスを丁寧に管理します。
現行システム再構築の場合、操作に慣れている面もありますが、本来の目的を達成するための新しいマスターと業務フローへのスムーズな移行が不可欠です。
このため、移行スケジュールを詳細に計画し、全社員が新業務に適応できる環境を整備します。
例えば、適切な作業手順書を用意し、全社一丸となったサポート体制を築くことが重要です。
そして、システム稼働後も運用の安定を支えるために継続的なサポート体制を整えます。
定期的なトレーニングやフィードバックの仕組みを導入することで、持続的な改善を実現します。

このように、しっかりと計画立案を行うことで、基幹システム再構築の成功確率を大いに高めることができます。

3.まとめ

基幹システムの再構築は簡単なプロジェクトではありません。
特に多くのステークホルダー間での合意形成が大きな課題となります。
しかし、経営陣の強いサポート、プロジェクトチームによる目的の周知徹底、綿密な計画立案、継続的なテストとフィードバック、そして強固なサポート体制を整えることで、再構築の成功率を大いに高めることができます。
これにより、業務効率の向上、コスト削減、新たなビジネスチャンスの創出といった具体的な利点が期待できます。
是非、積極的にこれらの戦略を実行に移し、企業のさらなる成長と発展を目指していただきたいと思います。

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