記事公開日:2024.09.10
最終更新日:2025.01.14
脱Excelはなぜ必要か?代替方法や成功事例についてわかりやすく解説!
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1.脱Excelとは?
長らく多くの企業はExcelを用いてデータをまとめてきました。DXが叫ばれる昨今ではこのExcelが大量に散らばっている現状を正そうという活動が活発になってきています。
そういった活動の中で叫ばれる「脱Excel」とは、これまで多くの企業が業務管理やデータ分析に使ってきたExcelから、より効率的で安全性の高いツールやシステムに移行することを指しています。特に、大量のデータ処理や複雑な計算を必要とする業務においては、Excelの限界が顕著になります。
Excelは、複数人で同時に編集する場合、バージョン管理や編集権限の設定が煩雑になりがちです。Webベースのツールに移行することで、複数人での同時編集やリアルタイムでの情報共有が容易になり、業務効率化に繋がります。
2.企業のExcel活用状況
多くの企業がExcelを主な業務ツールとして使用しており、その多様な用途は計り知れません。以下のグラフは、企業がExcelをどの業務にどの程度活用しているかを示しています。
参考)キーマンズネット【Excelの利用状況(2022年)】
このグラフからもわかるように、Excelはデータ入力から分析、報告書作成まで幅広く利用されています。しかし、それぞれの業務で抱える問題点も多く存在しています。
3.脱Excelのメリットとは?
3-1.脱Excelのメリット①:効率化と自動化
Excelは手作業で入力されることが多く、人為的なミスが発生しやすいです。また、Excelの各テーブルに記載されている情報は基本的にファイルごとに分断されているため、手作業での転記作業などが多くの会社で起こっている現状があります。
マクロを組むことなどで効率化を進めることは可能ですが、その技術を持つ人間が退職してしまった結果“野良システム”化してしまっている会社は後を断ちません。
専用ツールやシステムに移行することで、データ入力や分析が自動化され、業務効率が向上します。
ExcelのマクロやVBAは、高度な知識が必要で、作成やメンテナンスに手間がかかります。また、Excelのバージョンが変わると、正常に動作しなくなるリスクもあります。
3-2.脱Excelのメリット②:データの一貫性と整合性
複数のExcelファイルを使うと、データの重複や不一致が発生しやすくなります。一つの入力に対して複数のExcelを抜け漏れなく更新する必要が生じます。こういった二重三重入力を排し、一元化されたデータベース利用に移行することで、データの一貫性と整合性を保つことができます。
さらに、部署やチーム間でExcelファイルが乱立すると、データの整合性が取れなくなり、情報共有の妨げになる可能性があります。
3-3.脱Excelのメリット③:セキュリティの向上
Excelファイルはパスワード保護が簡単に破られることがあります。その点、専用システムやクラウドサービスはより高度なセキュリティ対策を講じているため、セキュリティを担保したうえで業務を進めることが可能となります。また、Excelファイルは、メールに添付して送付することが多いため、外部に情報が漏洩するリスクも高くなります。
4.脱Excelした方が良い業務
では、どのような業務を脱Excelすべきなのでしょうか。まずは、Excelを活用した方が良い業務を紹介します。
4-1.Excelを活用した方が良い業務
とはいえ、Excelがダメなツールと言うわけではありません。Excelというのはあくまでツールです。得意不得意があり、その特徴に合わせて利用をする必要があります。
例えば、
- 小規模なデータ分析
- 簡単な報告書作成
- 一時的なデータ管理
こういった業務を行うのであればExcelでも十分な内容と言えます。Excelは、簡単な表計算やグラフ作成、データの可視化などに適しています。
4-2.脱Excelした方が良い業務
一方で、Excelに適していない業務というは主に以下のようなものを指します。
- 大規模なデータ処理
- 複雑な計算や分析
- データの一元管理や共有が必要な業務
以上のように大量なデータを用いた分析や、複数のテーブル間をつなぐような複雑な連携、共有が必要となる業務に関してはExcelは適していないため、それに見合うツールの選定を行う必要があります。例えば、顧客管理、売上管理、在庫管理など、データ量が多く、複数人で共有する必要がある業務は、Excelよりもデータベース型のシステムの方が適しています。
5.Excelからの代替方法
前述の通り、Excelはそれぞれがひとつのデータベースのようなものであり、複数のExcelからデータを拾い集めたり、莫大な数のデータをまとめて分析するといったことには不向きなソフトと言えます。
ポイントとなるのはデータの保存されたテーブルがそれぞれ分断されていて、それぞれの項目が連動していないという点です。連動させるためには複数のファイルをまたいだ数式を設定する必要があり、こういった数式が多くなればなるほど動作は重くなります。
そこで、1つのデータベースに情報をまとめてしまおうという考えが浮かんできます。
5-1.ノーコード・ローコードツールを用いたデータベース化
代替方法のひとつ目としては、KINTONEなどのノーコード・ローコードツール(プログラミングの必要なく業務アプリの作成が可能なツール)を用いて1つのデータベースを作ってしまうという事です。従来Excelファイルをまたいでのデータ連携が必要だったものを、一つのアプリで全て保持させるという方法です。これによって、比較的容易にデータの一元管理が可能となります。ノーコード・ローコードツールは、直感的な操作でデータベースを構築できるため、ITの専門知識がなくても、比較的簡単にシステム化できます。
5-2.業務特化型のシステムを用いたデータ一元管理
基幹システムのようにモノとお金についてのデータを全て1つのシステムで管理してしまおうという業務システムを利用することで、Exccelを用いて別々に管理台帳を作る必要はなくなります。
全てのデータは1つのシステムに入っており、それぞれが連動した状態になりますので、従来行うべきExcelの調整業務などは必要なくなります。業務特化型のシステムは、各業務に最適化された機能を備えているため、業務効率化やコスト削減に効果的です。
5-3.BIのような作表自動化、可視化簡易化ツール
上記のようなシステムを用いた場合、Excelの連動性を欠く、大量のデータを扱うのは苦手といった欠点は解決できますが、分析の簡易化という点がまだ解決できていません。
こういった課題を解決するために有用なのがBIというツールです。BIは特定のデータをどのような形で可視化したいかを自分で設定することで、以降の作表は自動化する事が出来るようになります。
例えば月間の業績資料を作成するとなると、今までは複数のExcelから必要なデータを集めて別のExcelに集約し、グラフ作成をして分析資料を作成していました。
これは毎月同じような作業を必要とし、Excel職人と言われるような従業員が対処してきた作業の一つです。
こういった業務がBIツールを用いることによって自動化し、より早くデータを可視化出来、状況に応じた判断を行うことが出来るようになります。BIツールは、データの分析や可視化に特化しており、Excelよりも高度な分析やレポート作成が可能です。
6.製造業における脱Excel成功事例2選
6-1.成功事例①:X社「データ管理を一元化し作業時間を40%削減」
X社では、基幹システム導入によって、データの一元管理を実現し、業務効率化に成功しました。
X社では、Excel中心の業務を推進してきました。
受注情報、請求情報、出荷情報、在庫情報全てが別々のExcelを用いて管理されており、1つのデータが入力されると複数のExcelを更新しなくてはならないような、二重三重入力が多く起こっていました。
全社を調査した結果、こういったExcel更新業務は非常に多くの時間がかかっていることが判明したため、基幹システムを導入し脱Excelを目指しました。
バックヤード業務での二重三重入力の削減に加え、在庫管理の際の業務や日報業務も効率化する事で、導入後1年で年間600時間かかっていた各種業務が360時間でできるようになり、工数を40%削減することが出来ました。
6-2.成功事例②:Y社「業績資料作成時間が15日から3日に」
Y社では、BIツールを導入することで、業績資料の作成時間を大幅に短縮し、経営判断のスピードを向上させました。
Y社では、基幹システムこそ導入していましたが、様々なExcelで管理されている指標を経理部が集計し、その月の月間業績資料を作成することに非常に時間がかかっていました。
月末に締め処理を行ってから、当月の業績資料ができあがるのが15営業日くらいということで、ほぼ1月遅れくらいでないと業績を振り返ることが出来ていないという状況でした。
これは基幹システムで保持されたデータを経理システムに合う形にデータをExcel上で修正し、修正が終わったら手作業で集計するという非常に時間のかかる進め方をしていたためです。
このやり方はヒューマンエラーも非常に起こりやすく、一度出た業績資料も経理の資料と合致しないため作り直すなど、非常に煩雑な業務となっていました。
そこで、基幹システムの見直しと共にBIの導入を行う事としました。
いままでは様々なExcelから必要データを加工したうえで業績資料が作成されていましたが、BIによる作表の自動化を行ったことで速報ベースの業績資料は締め日翌日には確認できるようになり、正確な業績資料は締め日から3営業日で確認できるようになりました。
7.まとめ
Excelは非常に便利なツールではありますが、活用の規模が大きくなればなるほどデメリットが大きくなる特徴のあるツールです。二重三重入力や類似した帳票の更新、データをまとめて手作業で加工しての分析資料作りなど煩雑な業務が多くの企業で生じてしまっています。
恐ろしいのはこういった課題と言うのは現場で“こういうものだ”と認識されてしまうと中々表面化しないという点です。
脱Excelは、業務効率の向上やデータの一貫性、セキュリティの強化など多くのメリットをもたらします。
今回ご紹介した具体的な代替方法や成功事例などを参考に、自社に適したプランをご検討いただけますと幸いです。
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