記事公開日:2024.10.04
最終更新日:2024.10.07
樹脂成形加工業におけるDX化の成功ステップとそのメリット
樹脂成形加工業は、製造業の中でも特に高度な技術と効率が求められる分野です。最近では、デジタルトランスフォーメーション(DX)により、製造プロセスの最適化や生産効率の向上が期待されています。
しかし、DXの具体的な導入方法や効果を把握している企業はまだ少なく、導入に対する不安も少なくありません。
本記事では、樹脂成形加工業がDXを成功させるための具体的なステップと、その実際の効果について解説します。
目次
1.樹脂成形加工業におけるDXの意義
樹脂成型加工業の DXとは、製造業全体で進むデジタルトランスフォーメーションの中でも、特に樹脂加工に特化した技術変革を指します。樹脂成形加工業は、プラスチック製品を成形するプロセスが複雑で、多くの手作業が伴います。ここに、IoTやAI、クラウドといったデジタル技術を取り入れることで、効率化とコスト削減を実現することがDXの目的です。
【樹脂加工業でDXが必要な理由】
樹脂加工業では、複数の工程を経て製品を完成させるため、まだまだアナログな作業が残っており、工程ごとの管理が複雑化しがちです。さらに、原材料のムダ、エネルギー消費、品質管理にかかるコストが高くなるという課題もあります。DXを導入することで、これらの課題を解消し、効率的で無駄のない生産を目指せます。
また、人材不足が叫ばれる中で、労働集約型のプロセスを自動化することは、現場の作業負担を軽減し、企業全体の競争力を高めることにも繋がります。
2.樹脂成形加工業における具体的なDX導入事例
樹脂成形加工業が DXを導入することで、いくつかの大きなメリットが得られます。これらは、企業の成長に直結する要素となるため、積極的に取り組む価値があります。
①IoTとAIを活用したスマートファクトリー
IoT技術を活用して、成形機や関連設備からリアルタイムでデータを取得することで、製造工程全体の「見える化」を実現できます。さらに、AIを用いたデータ分析により、製造条件の最適化や機械の故障予測が可能となります。
【事例】
IoTを導入し、設備信号から稼働状況をデータ化した企業では、リアルタイムに設備別の稼働状況が把握できるようになるだけでなく、稼働率向上に向けたデータの統計的な分析を行うことができるようになっています。
また、製品情報や担当者情報との紐づけを実施することにより、製品別の実際原価算出や、滞留時間等を把握できるようになり、データをもとにした現場改善が実施できるようになりました。
②クラウド技術による遠隔監視と生産管理
クラウドベースの生産管理システムを導入することで、リアルタイムで複数の工場のデータを集約・分析し、遠隔からの監視と管理が可能です。これにより、複数拠点での一貫性のある製造と、迅速な意思決定が実現します。
【事例】
複数個所に工場を持っている企業では、クラウドを活用して製造状況をリアルタイムに可視化することにより、離れている工場の様子が即時に把握することができるようになりました。
今までは顧客からの問い合わせに対して現状の進捗を把握するために都度社内問い合わせをして走り回っていましたが、クラウド活用によりすべてモニター上で把握できるため問い合わせの工数を削減することができるようになりました。
③実際原価管理による原価低減
実際原価管理は、製造コストを正確に把握し、コスト削減の施策を講じるための重要な手法です。DX化を通じて、リアルタイムでの原価データの取得と分析が可能となります。
【事例】
バーコードで完了実績のみを登録していた企業では、各現場にIoTを導入して製品別・工程別・担当者別の作業時間を正確に取得できるようになりました。
今までは標準原価計算のみの利益把握でしたが、正確な作業時間を取得することができるようになったことにより、実際原価計算ができるようになりました。
それにより、価格交渉の根拠として提出ができるようになりました。今までは勘と経験の交渉力に依存してしまっていた部分が、根拠となるデータをもとに議論できるようになったため、建設的な交渉ができるようになったのです。
3.DX化による樹脂成形加工業へのメリット
生産効率の大幅な向上
DXにより、リアルタイムデータを活用したプロセス最適化が可能となり、成形サイクルの時間短縮や設備稼働率の向上が実現します。これにより、全体の生産効率が20~30%向上するケースも少なくありません。
品質管理の強化
DXによって品質データが自動で収集・分析されるため、不良品の発生を事前に予測・防止することが可能になります。また、リアルタイムでの品質監視が実現することで、即座に問題に対処でき、安定した品質の製品を供給できるようになります。
コスト削減
自動化やデータ活用による効率化が進むことで、人的コストやエネルギーコストが削減されます。また、試作回数の削減により、材料費や開発費の削減も期待できます。
実際原価管理の事例でも述べた通り、データを根拠に議論ができるようになるため、社外・社内問わず建設的な議論ができるようになります。
「なんとなく改善してくれ」といった感覚的で範囲が曖昧な指示から、データ活用による数値をもとにした指示ができるようになり、さらに現場の頑張りが数値として現れるようになるため、経営者としても適切な鼓舞ができるようになるのです。
これらの取組を通して、コスト削減が結果としてついてきます。
4.DX推進における成功のためのポイント
経営層のリーダーシップ
DXは単なる技術・システムの導入ではなく、企業全体の文化や業務プロセスを変革するものです。そのため、経営者がビジョンを持ち、強いリーダーシップで全社的に推進することが不可欠です。
従業員のスキル向上
DXを成功させるためには、新しい技術に対応できる人材が必要です。従業員に対する適切なトレーニングやスキルアップのためのプログラムを導入し、現場の即応力を高めることが重要です。
パートナーシップの構築
外部の専門家や技術パートナーと協力し、DXに必要な技術やノウハウを取り入れることも成功のカギです。特に中小企業では、リソース不足を補うために外部との協力が欠かせません。
内製化により社内ノウハウを蓄積することももちろん重要ですが、外部の専門家を活用することにより、より加速させることができるようになります。
5.まとめ
樹脂成形加工業におけるDX化は、生産性向上、品質管理強化、コスト削減といった大きなメリットをもたらします。
特に実際原価管理を取り入れることで、企業はより透明性のあるコスト管理が可能となり、効果的な原価低減策を講じることができます。
企業が競争力を高め、未来に向けた成長を続けるためには、DX化への取り組みが不可欠です。
早期の導入と持続的な改善が、今後の成功を左右する重要な要素となるでしょう。
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