記事公開日:2024.10.23
最終更新日:2024.10.23

製造業DXが進まない理由とは?DX成功のためのポイントをわかりやすく解説!

1.製造業DXとは


製造業におけるDXとは、ものづくりの現場で、これまで培ってきたノウハウについてデジタル技術を活用して業務プロセスや生産方法などを根本的に変革し、生産性や競争力を向上させる取組みのことです。
実際にはIoTやロボット、AI、ビックデータを活用しながら取組みを行っていきます。
DXの取組みにより、ニーズの多様化・人材不足・原料高などなど悩み事が多い製造業において以下のことが期待されます。

  • 生産性の向上とコスト低減
  • 競争力の強化
  • 新規ビジネスの機会創出
  • 人材確保、社員のモチベーション向上

これらのように製造業DXを推進することは、生産性が向上し企業発展につながるだけでなく、人材不足や教育など様々な問題に対処できるようなります。

2.製造業においてDXが進まない理由

「日本はDXが遅れている」と言われがちですが、実際はどうなのでしょうか。

以下は、独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」のデータで、DXの取り組み状況について調査した結果となります。
国内においてDXの取り組み自体は年々きちんと拡大しており、取り組みは進んでいることがわかります。

また、以下「設定した目的に達成しているか」という調査に対しては60%以上が「成果が出ている」と回答しており米国ほどでもないものの、成果が出ている企業が増えていることが伺えます。

以下は、「DXの具体的な取組項目における取組割合と成果割合の関係」を示したものです。
「アナログ、物理データのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」について取組がし易く、成果も出やすい傾向が見られる一方で、DX本来のビジネスモデルや企業文化の改革までなかなか進んでいる企業が少ないことがわかります。

以下は、データの利活用(蓄積したデータを使った新しいアクション)についての調査で、2022年と2023年でデータの利活用状況に変わりなく、国内DXの進捗としては、データを溜める環境が整備されているものの、そのデータを活用するのはこれからという状況になっていると考えられます。

その中でも、やはり「DXの進め方がわからない」「DXをうまく進められない」というお話をお聞きすることが多くあります。
では、そのような企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。
理由は主に以下が考えられるます。

理由①:目的・ゴール設定が不明確
漠然と「DXした方が良い」ということで、盲目的に局所的にとりあえず着手してしまっている企業が多いように感じます。
DXを進めるにあたっては、初期段階における目的・ゴール設定は非常に重要なものとなります。
DXと言うものは、取り組んでみると実際にはスタイリッシュなものではなく、非常に泥臭いものだということに気づくかと思います。
仕組みやシステムが運用にのるまでのプロジェクト自体は全くスタイリッシュではありません。
プロジェクトの中で様々な意見の違いやまとめることが難しい状況に直面します。
目的・ゴール設定が曖昧なままでは、長い道のりの中で思うように進めることが出来なくなってしまい、困難に陥ってしまうのです。

理由②:推進出来る人材がいない
特に中小企業では、ITに明るい人材が少なく、DXが進められないという状況がよくあります。
IT人材=社内システム構築・運用する人材は世の中にたくさん存在しますが、はっきり言ってしまうと、DX人材というのは世の中になかなか存在しません。
DXを進められる人材というのはどんな人材でしょうか。
「IT技術に明るく」「自社の業務に詳しく」「デジタルを活用して、自社の業務をどう変革できるか?を考えられる」このような人材でしょうか。
このような高度なスキルを持った人材というのは、大企業にもなかなかいません。身近にはほぼいないのです。

したがって、DXを推進できる人材がいないと嘆くのはあまり意味がないことで、「そのようなスキルを持った人材はいない」ということを前提に考えていくしかないのです。
うまくいっている企業でもDX人材がいたからうまく行ったというわけではないのです。

理由③:費用対効果が見えない
DXを進めていくにはシステムの投資が必要です。
自社に予算がなく実行できないという企業を少なくありません。
また、費用は初期費用だけでなく、ランニングコストも必要となります。
見積りだけを見て高い安いと判断しているケースをよく目にしますが、本来、費用対効果を検討しなければ、その金額が高いか安いかはわからないはずです。
それをしていない企業は、費用対効果の検討以前に、はやり目的、ターゲットが明確でない場合が多い気がします。
「費用対効果が見えない」という企業ほど、そもそもやりたいことが明確になっていないのです。

理由④:既存の業務が変わっていない
DXを進めている企業でも、思うような成果が出ていない企業は少なくありません。
それは、大抵の場合、既存の業務の見直し、棚卸が出来ていないケースが多くあるように感じます。
DXとは、既存の業務を見直し、業務を棚卸し、デジタルを活用しながら、抜本的に業務の仕方を変えることです。
デジタルを活用しても、業務の方法が変わらないのであれば、期待する効果が得られない可能性が高いです。

3.製造業においてDXを進めるためのポイント


ポイント①目的・ゴール設定を明確にする
プロジェクトがうまくいなかないときに、立ち返るのところが「そもそもデジタルを活用して何がしたいのか?私たちの仕事の何が良くなるのか?」です。
初期段階から良くなる姿を明確にし、全員で共有をし、ベクトルを合わせてプロジェクトを始めていくことが重要です。
また、目的・ゴール設定を明確にすることで、対象の業務範囲もはっきりするため、費用対効果も算出しやすくなります。

ポイント②DXを推進出来る人材の確保や教育(環境整備)をする
ピンポイントで自社にあったDXを推進出来る人材はなかなかいませんので、アプローチ方法は以下の2つしかありません。

  1. DX推進もしくはIT導入の経験のある人材を雇う
  2. 講座やセミナーなどを活用して社内の人材を教育する。もしくは外部のコンサルタントなどの協力を得ながら教育を行う。

いずれにしても、全社員でも一部の社員でも社内のDX教育を通して社員を成長させていくことは大事で、広く教育しながら、可能性の芽を探しながら、推進するキーマンを軸にDXの波を波及させていくことが重要です。
逆にIT技術に詳しい社員がいるからと言って、理解者や協力者がいない状態で推進していくことは、頓挫しやすく非常に難しいことです。

ポイント③まずはじめは既存業務を見直す
DXを進めようと思うと、「今の業務でどこがDX化出来るか」ということを考えてしまいます。
しかし、その考えが近い未来にうまく推進できなくなる第一歩となっているのです。
まず始めに考えるべきことは、既存業務の「何が・どこが問題か」をきちんと把握する(=現状把握)必要があります。
大抵の場合は、そもそも今の業務のやり方に何かしら問題があるのです。
属人的な作業(特定の人にしかわからない・出来ない)になっていないか、誰もがわかる効率的な業務フローになっているかを徹底的に洗い出す必要があります。
よく手始めに始められる工場内のペーパーレス化も、まずその帳票が本当に必要かを考えなければならないのです。
既存の非効率な業務フロー、運用を土台にして、DX(効率化)を積み上げても、全体が効率的にはならないということです。

4.まとめ

DXを進めるには、長期的な目線と根気が必要です。
一方で、属人的な業務の限界や人材不足の差し迫った問題に対しての改善策は、積極的なIT技術の活用のほかにありません。


「データは21世紀の石油」と言われています。
今後の不透明な時代を企業が生き抜くにはデータ活用がマストだという意味です。
冒頭で触れた通り、製造業DXとはものづくりのノウハウをデジタル技術を活用して、業務を根本的に変革することです。

DXを推進するということは①データをアナログ(紙Excel)からデジタル化→②データを蓄積→③データ利活用→④業務・企業文化を変革するといったストーリーを将来的に経験するということです。
それにもはやりステップがあり、まず大事なことは「社内情報をデジタル情報に変えていく」ということです。
紙やExcelのままでは、データ活用・DXをしていくことは決してできません。
まずは小さなことろ(スモールスタート)で良いので、データを集めて、データ活用の意義に触れていくということが重要であると考えます。

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