記事公開日:2025.05.01
最終更新日:2025.05.02

基幹システムリニューアルを通じて、月300万円相当の大幅なコストダウンに成功した事例とは?

1.事例企業様の概要

【ダイカスト製品製造業 J社様】
■所在地:山梨県
■従業員数:約100名
■事業内容:鋳造・機械加工、表面処理など

 J社様では近年、全社共通で使用する基幹システム(ERP)を刷新しました。また、システム刷新に伴い、既存のアナログ業務の見直し・整理も併せて実行したことで、結果として「月300万円相当の大幅なコストダウン」という驚異的な成果を出すことに成功されました。

 そんなJ社様ですが、元々はさまざまな種類の業務システムをバラバラに導入して使っておりました。以下、基幹システム(ERP)リニューアル前の主な既存システム一覧です。

◆独自システム①(受注入力、製造指示・計画、注文書出力、納品など)
◆独自システム②(原価管理)
◆独自システム③(勤怠管理)
◆独自システム④(出張旅費・経費精算)
◆パッケージシステム①(会計:P/L、B/S、T/Bなど)
◆Access(受注データ、納品済みデータ、在庫管理、製造計画指示データなど)
◆Excel(購買の注文書)

 上記内容の通り、異なるシステムをバラバラに導入し、かつそれぞれのシステムがシームレスに連携されていなかったために、さまざまな課題が出てきていました。

2.非効率なアナログ業務の常態化+煩雑かつバラバラなシステム管理体制に課題

 J社様では主に次のような業務課題が顕在化していました。

①各業務システム・ツール・Excel をバラバラに活用していた(データの入力先&管理先がバラバラ)
②異なるシステム間でデータの連携がスムーズに行えず、度重なる転記・手入力業務が発生していた
③属人的な Excel 管理・紙帳票管理が常態化していた
④製造指示書をはじめとした帳票作成の属人化が顕著になっていた
⑤製造指示書の作成について、リードタイムなどを「勘や経験」に基づいて手書きで作成していた
⑥社内会議のための資料作成やデータ収集など、間接業務の工数過多に悩まされていた
⑦それ単体では付加価値を生みにくい「棚卸結果のまとめ作業」に時間がかかっていた

 このように、会社全体の業務プロセスの中でさまざまな課題が出てきていました。キーワードとしては、「Excel依存」「属人化」などの言葉で表すことができますが、「Excel依存」と「属人化」を放置しておくことのリスクとして、大きく2点挙げられます。

【「Excel依存」「属人化」の放置に潜む2つのリスク】
①データの一貫性と信頼性の低下
 Excelは手軽に使用できる反面、手動によるデータ入力や加工がどうしても多くなりがちです。そのため、入力ミスや計算ミスが発生しやすく、 データの一貫性や信頼性が低下するリスクがあります。
 特に製造業では、正確なデータが製品品質や生産効率に直結するため、このようなミスは重大なトラブルを引き起こす可能性があります。

②業務の非効率化とブラックボックス化
 属人化が進むと、特定の社員だけが業務の詳細を把握している状態が生まれてしまいます。この状況は「業務のブラックボックス化」を招き、その社員が休暇や退職した場合に、業務の引き継ぎがスムーズに行えなくなるリスクがあります。結果として、業務が遅延し、全体の効率が低下するリスクが高まってしまいます。

 上記のような課題やリスクがあった中で、J社様では基幹システムのリニューアルも交えた全社的な業務プロセスの改革に取り組むことを決断。また、刷新後の基幹システムとして、今回は Microsoft 社の『Dynamics 365 Business Central』というパッケージ基幹システムを選択し、導入を進めていきました。

3.Microsoft社の『Dynamics 365 Business Central』を導入し、「システムの統合一元管理」「全社的な業務データの見える化」「帳票作成の自動化」などを実現

 前述のような課題が顕在化していた中で、J社様ではMicrosoft社の『Dynamics 365 Business Central』というパッケージ基幹システムを導入し、「システムの統合一元管理」「全社的な業務データの見える化」「帳票作成の自動化」などを実現されました。

【基幹システムリニューアル(全社的な業務改革)の主な成果】
①既存業務や既存ルール、既存帳票の積極的な断捨離を通じて、 「脱・Excel」「脱・紙帳票」
を実現!
②不良率・製品別原価率・得意先別売上などの重点指標・データを一元管理システム上で可視化!
③手書きかつ属人的な製造指示書作成業務を自動化!
④製造指示書作成業務を「1時間/件」⇒「10分/件」へ大幅に短縮!
⑤紙コスト&作業コストなどの合計で毎月約 300 万円以上のコストダウンを実現!
⑥社内会議や社内報告用に使う資料の作成にかかる時間の大幅短縮を実現!(間接業務の圧縮)

 また、J社様では上記のような成果と併せて、
「属人的な勘や経験に依存した業務体制」から脱却

定量的なデータを1つのシステムに集約(一元管理)

1つのシステムに集約したデータを経営判断・現場判断に活かす
という流れを作ることに成功されました。

4.「目的・コンセプト」を明確化し、プロジェクトの最後まで守り抜いたことが成功のポイント

 今回の基幹システム(ERP)リニューアルに関する取り組みのポイントの1つとして、「目的・コンセプト」を明確化し、プロジェクトの最後まで守り抜いたことが挙げられます。J社様では、以下のような「目的・コンセプト」を掲げて、プロジェクトを進めていきました。

【目的:プロジェクトを通じて達成したいこと】
①バラバラな業務システムを統合一元管理することで、二重三重の入力を排除する(生産性を上げる・ミスを低減する)
②ブラックボックス(属人化)を排除する
③製造工程(仕掛含む)の可視化を行う
④在庫管理を正確に実施するで、適正在庫および適正発注を行う(棚卸時間の短縮および期末在庫低減によりキャッシュフローを向上させる)
⑤生産計画を組んで生産を進めていく
⑥原価の差異分析を実施し、原価管理のPDCAを回し、営業利益を向上させる

【コンセプト:目的達成のために必要なプロジェクトの”あり方”】
①パッケージシステムに業務を合わせる。(業務標準化)
②他のシステムおよびExcelを極力パッケージシステムに踏襲する。
③新業務開始にあたりルールを明確にしてこれを遵守する。

 よくある事例として、プロジェクトの中盤に差し掛かったタイミングで、知らず知らずのうちに関係者間の考え方にギャップが生じてしまうというケースがあります。プロジェクトが進むにつれて、次第に各々の本音や不満が表出し、結果として意思疎通が図れなくなり、プロジェクトが頓挫してしまう…。そのような事態に陥ることを防ぐためにも、「プロジェクトの途中で各関係者が立ち返る原点」として、「目的」と「コンセプト」を明確にしておくことが重要となります。

 また、自社の課題の解消に寄与するシステムを選定することはもちろん大切ですが、新たに導入するシステムの性能以上に、プロジェクトに対する関係者の姿勢や座組、組織としての一体感などに代表される「スタンス面」がプロジェクトの成功にはより大きな影響を与えます。経営者をはじめとして、現場担当者やシステム担当者が一体となって、同じ目的やコンセプトのもとにプロジェクトを進めることができれば、プロジェクトの成功確度は飛躍的に高まることでしょう。

【皆様の会社では以下のようなお悩みはありませんか?】
https://lp.funaisoken.co.jp/mt/form01/inquiry-S045.html

◆現行システムが老朽化し、サポートの終了も間近に迫っているため、現行システムの刷新を考えている
◆システムが複雑化・ブラックボックス化し、業務の全体像を把握できない
◆部門ごとに異なるシステムを利用しており、データ連携が困難
◆情報システム部門やシステム担当者が不在、または専門知識を持つ人材が不足している
◆業務プロセスが標準化されておらず、非効率な業務が多い
◆属人的な業務が多く、担当者しか内容を理解していない
◆データ入力作業が多く、人的ミスが発生しやすい
◆データの可視化・分析が不足し、経営判断に役立てられない
◆部署間の連携がスムーズに行われず、情報共有が遅れる
◆在庫管理が正確に行えず、欠品や過剰在庫が発生しやすい
◆受注・発注管理が煩雑で、顧客対応に時間がかかる
◆会計処理が手作業中心で、時間と手間がかかる
◆経営状況をリアルタイムに把握できず、迅速な意思決定ができない
◆業務改善の必要性を感じているが、どこから手をつければ良いかわからない

 上記のようなお悩みが1つでも当てはまる場合は、是非、船井総研の「無料オンライン相談」をご利用ください。基幹システム(ERP)導入をはじめとした、業務改革を専門とする経験豊富なコンサルタントが個別に対応させていただきます。

無料経営相談の際はフォームよりお気軽にお問い合わせください。お電話でのお問い合わせは 0120-958-270へ(平日9時45分~17時30分)