記事公開日:2025.06.27
最終更新日:2025.06.27

「言った言わない」「探す時間」「手配の遅れ」から解放!現場が劇的に変わるDXツール活用術

―――「あの件、どうなった?」「また変更か…」現場と事務所を駆け巡る、見えないコスト
「昨日の電話で伝えたはずの変更が、現場に伝わってない!」
金属製建具工事の現場代理人Dさんは、朝から頭を抱えています。

一方で、ガラス工事のE社長は、急な職人の欠員が出てしまい、代わりの職人を探すために何件も電話をかけ続けています。

「誰か今日、手が空いている職人はいないか…」。
屋根工事のF親方は、事務所に戻ってから日報を手書きし、それを事務員さんがExcelに転記する、という非効率な作業に疑問を感じつつも、長年の慣習を変えられずにいました。

「あの図面、最新版はどれだっけ?」
「この材料、いつ届くんだっけ?」
「請求書、早く作らないと…」。

これらの「確認」「検索」「調整」「催促」といった作業に、私たちは日々どれだけの時間を費やしているのでしょうか。
これらは目に見えにくいコストですが、確実に利益を圧迫し、従業員の疲弊を招いています。

特に、従業員10名~30名規模の工事業者様にとっては、一人ひとりの生産性が事業の死活問題に直結します。

前回のコラムでは、工事業界が抱える構造的な課題と、DXがその解決の鍵となる可能性についてお話ししました。
今回は、その中でも特に多くの経営者様が頭を悩ませている「現場管理」に焦点を当て、具体的なDXツールがどのようにこれらの課題を解決し、現場を劇的に変えるのかを、事例を交えながら詳しくご紹介します。

1. なぜ現場管理はこんなにも大変なのか?アナログ業務が潜む5つのワナ

日々の現場運営において、私たちは知らず知らずのうちに非効率な業務のワナにはまっています。

  • ワナ1:情報の散在とブラックボックス化
    案件に関する情報は、どこにありますか?
    営業担当者の頭の中、社長のパソコンの中のExcelファイル、現場監督のメモ帳、事務所のキャビネットに眠る過去の書類…。
    このように情報がバラバラに管理されていると、必要な時に必要な情報にアクセスできず、業務が滞ります。
    特に、鉄筋工事のように専門性の高い図面や仕様書を扱う場合、情報共有の不備が大きな手戻りを生む原因となります。
  • ワナ2:非効率なコミュニケーションと「言った言わない」
    電話、FAX、メール、そして口頭。様々なコミュニケーション手段がありますが、これらが整理されずに混在すると、「言った言わない」「聞いた聞いていない」といったトラブルが頻発します。
    木製建具工事のように、顧客の細かな要望を正確に製作・施工部門に伝える必要がある場合、伝達ミスは致命的です。
  • ワナ3:場当たり的な職人手配とスキルのミスマッチ
    「明日の現場、誰か手が空いてないか?」こんな電話を、今もかけていませんか?
    職人のスケジュールやスキルを個人の記憶や手帳で管理していると、急な増員や欠員に対応できず、機会損失を招いたり、無理な人員配置で現場の品質を低下させたりする可能性があります。
    大工工事のように、個々の職人の得意分野や経験が品質に大きく影響する場合、適切なスキルマッチングは非常に重要です。
  • ワナ4:見えない進捗と遅れる工程管理
    ホワイトボードや手書きの工程表では、急な変更や天候による遅延への対応が煩雑になりがちです。
    屋根工事や金属製屋根工事のように天候に左右されやすい業種では、工程の再調整が頻繁に発生しますが、その情報共有が遅れると、関係各所との連携に支障をきたします。
    また、リアルタイムに進捗が見えないと、問題の早期発見が遅れ、結果的に工期遅延やコスト増に繋がります。
  • ワナ5:山積みの書類と二度手間だらけの事務作業
    日報、作業報告書、材料の受発注書、請求書…。
    現場が終わって事務所に戻ってから、これらの書類作成に追われる日々。
    そして、その情報をExcelに転記したり、ファイリングしたり…。
    ガラス工事の現場で撮影した施工写真を整理し、報告書に添付するだけでも一苦労です。
    これらのペーパーワークは、本来もっと生産的な活動に使えるはずの貴重な時間を奪っています。

2. DXツールが現場を変える!具体的な解決策と導入効果

これらの「ワナ」から抜け出すために、DXツールは強力な武器となります。
決して高価で複雑なシステムである必要はありません。
月額数千円から利用できるクラウド型のツールでも、驚くほどの効果を発揮します。

  • 解決策1:工事案件管理ツール ~情報は一元化し、進捗を見える化~
    顧客情報、案件情報、見積書、契約書、図面、写真、やり取りの履歴など、案件に関するあらゆる情報をクラウド上で一元管理します。
    効果
    ■ 誰でも必要な情報にすぐにアクセスでき、「探す時間」を大幅に削減。
    ■ 進捗状況がリアルタイムで可視化され、遅延や問題を早期に発見。
    ■ 金属製建具工事における複雑な仕様や変更履歴も正確に記録・共有。
    ■ 「あの件どうなった?」がなくなります。
  •  

  • 解決策2:コミュニケーション&情報共有ツール ~「言った言わない」を撲滅し、迅速な意思決定を~
    ビジネスチャットツールやクラウドストレージを活用し、関係者間での情報共有を円滑化します。
    効果
    ■ メッセージの既読・未読が確認でき、確実に情報伝達。
    ■ 現場写真や図面をその場で共有し、迅速な判断をサポート。
    木製建具の現場での微調整指示も写真付きで正確に。
    ■ 変更指示や重要な連絡も記録として残り、「言った言わない」トラブルを防止。
    ■ 事務所に戻らなくても、スマートフォンやタブレットで最新情報を確認。
  •  

  • 解決策3:職人・スケジュール管理ツール ~最適な人員配置とスムーズな手配を実現~
    職人のスキル、経験、資格、空き状況などをデータベース化し、案件とのマッチングやスケジュール調整を効率化します。
    効果
    ■ 急な応援要請や欠員にも、スキルや場所を考慮して迅速に対応。
    鉄筋工事で特定の資格を持つ職人が必要な場合もスムーズに検索。
    ■ 職人の稼働状況を可視化し、無理のない人員配置を実現。
    ■ 協力会社との連携も強化。
    ■ 「誰かいないか?」の電話がけから解放されます。
  •  

  • 解決策4:工程管理ツール ~リアルタイムな進捗共有で、遅延を未然に防ぐ~
    ガントチャートなどを活用し、オンラインで工程計画を作成・共有。進捗状況もリアルタイムで更新できます。
    効果
    ■ 天候に左右される屋根工事や金属製屋根工事でも、変更後の工程を即座に関係者全員に共有。
    ■ 各作業の遅延が全体の工程に与える影響をシミュレーションし、事前に対策を講じることが可能。
    ■ 協力会社との連携もスムーズになり、手戻りを削減。
    ■ 「工程表、書き直さないと…」の手間がなくなります。
  •  

  • 解決策5:現場報告・ペーパーレス化ツール ~日報作成の手間を削減し、データを経営に活かす~
    スマートフォンやタブレットから、日報や各種報告書を簡単に入力・提出。写真や位置情報も添付可能です。
    効果
    ■ 現場でのスキマ時間に報告書を作成でき、事務所に戻ってからの作業を大幅に削減。
    ガラス工事の施工完了報告も写真付きでその場で完了。
    ■ 手書きの文字を読み解いたり、Excelに転記したりする手間が不要に。
    ■ 蓄積されたデータは、原価管理や作業分析、さらには見積もり精度の向上にも活用可能。
    ■ 「事務所に戻ってから日報書かないと…」がなくなります。

見えないコストとDXツールによる解決、ツール導入によって得られる効果を詳細に図解

3. 業種別 DXツール活用イメージ

これらのツールは、各業種の特性に合わせてさらに効果的に活用できます。

  • 屋根工事業・金属製屋根工事業
    ドローンで撮影した屋根の点検画像を案件管理ツールに直接アップロードし、顧客と共有。
    天候アプリと工程管理ツールを連携させ、雨天予報が出たら自動で関係者に注意喚起。
  • 大工工事業・木製建具工事業
    複雑な納まりや特注の建具の図面、3Dモデルをクラウドで共有。
    現場でタブレットを見ながら施工し、変更指示もリアルタイムに反映。
    製作と現場取り付けのスケジュールを工程管理ツールで緻密に連携。
  • 金属製建具工事業
    採寸データから施工図面、工場への製作指示、現場への搬入計画までを案件管理ツールで一元管理。
    溶接箇所や取り付け精度に関する写真記録を報告アプリで確実に残す。
  • 鉄筋工事業
    配筋検査のチェックリストをタブレットで入力し、承認フローも電子化。
    職人の資格情報とスケジュールを管理し、適切な人員を迅速に手配。
  • ガラス工事業
    搬入経路の確認写真や、施工前後の状況写真を現場報告アプリで記録。
    特殊ガラスの在庫状況をリアルタイムで共有し、発注ミスを防ぐ。

おわりに:ツール導入は始まりに過ぎない。大切なのは「変える」意識

ここまで、現場管理を劇的に変えるDXツールとその活用法についてご紹介してきました。

「うちの会社にも導入できそうだ」
「こんなことができるなら、ぜひ試してみたい」
と感じていただけたでしょうか。

しかし、重要なのは、これらのツールを導入すること自体が目的ではないということです。ツールはあくまで、業務を効率化し、生産性を高め、働き方を変えるための「手段」に過ぎません。
最も大切なのは、
「今のやり方を変えたい」
「もっと良くしたい」
という経営者様と従業員皆様の意識です。

「うちの会社は昔からこのやり方だから…」
「新しいことは覚えるのが大変…」
といった声もあるかもしれません。
しかし、小さな成功体験を積み重ねることで、その意識は必ず変わっていきます。

次回のコラムでは、多くの工事業者が直面している「技術継承と人材育成」という深刻な課題に対し、DXがどのように貢献できるのかを深掘りします。
「見て覚えろ」の限界を超え、貴重な技術を未来へ繋ぎ、若手が育つ環境を作るためのヒントをお届けしますので、ご期待ください。

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