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【2025年最新版】円安で利益が消える…はもう終わり。専門家が教える、価格転嫁を成功させる『攻めの原価管理』完全ガイド

2025.06.16

「また原材料が値上げか…」「電気代も高すぎる…」「コスト削減も、もう限界だ…」 2025年現在、記録的な円安と物価高騰の波に、多くの中小製造業の経営者様が悲鳴を上げています。必死にコストを切り詰めても、利益はあっという間に吹き飛んでしまう。そんな状況に、打つ手なしと感じてはいませんか? しかし、諦めるのはまだ早いです。 従来の「守り」のコスト削減ではなく、自社の価値を正確にデータで示し、自信を持って価格転嫁を要求する『攻めの原価管理』こそが、今の時代を生き抜く唯一の道です。 本記事では、中堅・中小製造業専門のコンサルタントである筆者が、価格転嫁を成功に導くための具体的なステップを、体系的に解説します。 第1章:『どんぶり勘定』からの脱却。製造原価の正しい構造 すべての基本は「自社を正しく知る」ことから始まります。あなたの会社の一番の課題は、製品を作るのに「本当はいくらかかっているか」を、経営者自身が把握できていないことです。 製造原価は、大きく分けて「材料費」「労務費」「経費」の3つで構成されます。 材料費: 製品を作るための主原料や部品代。 労務費: 製造ラインで働く従業員の賃金。 経費: 工場の電気代、機械の減価償却費、消耗品費など。 これらを、「直接費(特定の製品に直接紐づく費用)」と「間接費(複数の製品にまたがる費用)」に分類することが、正確な原価計算の第一歩です。特に見落としがちなのが、事務所の家賃や管理部門の人件費といった「間接費」の配賦です。ここが曖昧だと、原価は全く不正確なものになります。 第2章:赤字製品を見抜け!製品別『活動基準原価計算(ABC)』超入門 「うちはA製品が儲かっているはずだ」…その常識、間違っているかもしれません。 間接費を売上高などで安易に配賦すると、手間のかかる少量生産品が不当に安く計算され、実は赤字なのに気づかない、という事態が起こります。 そこでおすすめしたいのが、簡易版の『活動基準原価計算(Activity-Based Costing)』です。 難しく考える必要はありません。「間接費が発生する原因(=コストドライバー)」を見つけ、その活動量に応じて費用を配賦する方法です。 簡単なステップ: 間接費を活動ごとに分類する(例:段取り、品質検査、運搬など) 活動の回数や時間などを製品ごとにカウントする その回数に応じて、間接費を各製品に割り振る これにより、「儲かっていると思っていた製品が実は赤字だった」「意外な製品が利益の柱だった」という衝撃の事実が明らかになります。 第3章:価格交渉で「ノー」と言わせない!データに基づく価格転嫁の技術 正確な原価が算出できれば、それは価格交渉における最強の「武器」になります。 「お願い」や「泣き落とし」では、相手もプロです、決して首を縦に振りません。必要なのは、客観的でロジカルなデータです。 交渉時に提示する資料のポイント: 原価構成の変化を示す: 「1年前と比較して、材料費が〇%、エネルギー費が△%上昇しました」と具体的な数字で示す。 貴社製品の原価計算書を提示: 「これらのコスト上昇により、貴社向けの製品XXXの原価は〇円から△円になっています」と明示する。 自助努力をアピール: 「弊社でもこれだけのコスト削減努力を行いましたが、吸収しきれない状況です」と伝える。 感情論を排し、事実とデータで交渉することで、相手は「仕方ない」と納得せざるを得なくなります。 IoTで実現する「リアルタイム原価管理」の世界 月締めでExcelに手入力…そんな原価管理はもう過去のものです。今は、安価なIoTセンサーを機械に取り付けるだけで、電力使用量や稼働時間をリアルタイムで収集できます。これにより、「昨日作った製品の、今日の時点での正確な原価」を把握することさえ可能になります。日々の改善活動が、即座に原価データに反映される。これは経営の意思決定を劇的に高速化させます。 ▼関連記事「IoT導入による工場の見える化とは?成功事例と製造業の現場改革におけるメリットと注意点を紹介」 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/250108-2/ まとめ:守りのコスト削減から、攻めの原価管理へ 厳しい時代だからこそ、経営者は自社の足元を深く見つめ直す必要があります。『攻めの原価管理』は、単なるコスト計算ではありません。自社の価値を再発見し、自信を取り戻し、未来を切り拓くための経営戦略そのものです。 ▼関連記事「製造業必見! 6つのステップで解説!原価管理の取り組み方とは?」 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/220714/ ▼関連記事「原価管理システムとは?導入メリット・主要機能から失敗しない選び方までIT専門家が徹底解説!おすすめ注目を比較紹介」 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/250603-2/ 【ある企業では、たった6ヶ月で工場の生産数が1.2倍に!】 「なぜ、あの工程はいつも時間がかかるのだろう?」 「どうすれば、工場の生産能力を最大化できるのか?」 多くの場合、答えは現場に眠っているデータの中にあります。ある企業では、私たちのプログラムを通じてプレス工程がボトルネックであることをデータから発見。生産計画の見直しや人材の多能工化といった改善策を実行した結果、プレス工程の稼働率は20%向上し、工場全体の生産数が1.2倍に増加しました。 これは特別な事例ではありません。貴社の現場にも、まだ気づいていない大きな改善の可能性が眠っているはずです。船井総研の「6ヶ月集中・変革プログラム」で、貴社のポテンシャルを最大限に引き出します。 ▼次はあなたの番です!お問い合わせはこちら。 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html?siteno=S045 「また原材料が値上げか…」「電気代も高すぎる…」「コスト削減も、もう限界だ…」 2025年現在、記録的な円安と物価高騰の波に、多くの中小製造業の経営者様が悲鳴を上げています。必死にコストを切り詰めても、利益はあっという間に吹き飛んでしまう。そんな状況に、打つ手なしと感じてはいませんか? しかし、諦めるのはまだ早いです。 従来の「守り」のコスト削減ではなく、自社の価値を正確にデータで示し、自信を持って価格転嫁を要求する『攻めの原価管理』こそが、今の時代を生き抜く唯一の道です。 本記事では、中堅・中小製造業専門のコンサルタントである筆者が、価格転嫁を成功に導くための具体的なステップを、体系的に解説します。 第1章:『どんぶり勘定』からの脱却。製造原価の正しい構造 すべての基本は「自社を正しく知る」ことから始まります。あなたの会社の一番の課題は、製品を作るのに「本当はいくらかかっているか」を、経営者自身が把握できていないことです。 製造原価は、大きく分けて「材料費」「労務費」「経費」の3つで構成されます。 材料費: 製品を作るための主原料や部品代。 労務費: 製造ラインで働く従業員の賃金。 経費: 工場の電気代、機械の減価償却費、消耗品費など。 これらを、「直接費(特定の製品に直接紐づく費用)」と「間接費(複数の製品にまたがる費用)」に分類することが、正確な原価計算の第一歩です。特に見落としがちなのが、事務所の家賃や管理部門の人件費といった「間接費」の配賦です。ここが曖昧だと、原価は全く不正確なものになります。 第2章:赤字製品を見抜け!製品別『活動基準原価計算(ABC)』超入門 「うちはA製品が儲かっているはずだ」…その常識、間違っているかもしれません。 間接費を売上高などで安易に配賦すると、手間のかかる少量生産品が不当に安く計算され、実は赤字なのに気づかない、という事態が起こります。 そこでおすすめしたいのが、簡易版の『活動基準原価計算(Activity-Based Costing)』です。 難しく考える必要はありません。「間接費が発生する原因(=コストドライバー)」を見つけ、その活動量に応じて費用を配賦する方法です。 簡単なステップ: 間接費を活動ごとに分類する(例:段取り、品質検査、運搬など) 活動の回数や時間などを製品ごとにカウントする その回数に応じて、間接費を各製品に割り振る これにより、「儲かっていると思っていた製品が実は赤字だった」「意外な製品が利益の柱だった」という衝撃の事実が明らかになります。 第3章:価格交渉で「ノー」と言わせない!データに基づく価格転嫁の技術 正確な原価が算出できれば、それは価格交渉における最強の「武器」になります。 「お願い」や「泣き落とし」では、相手もプロです、決して首を縦に振りません。必要なのは、客観的でロジカルなデータです。 交渉時に提示する資料のポイント: 原価構成の変化を示す: 「1年前と比較して、材料費が〇%、エネルギー費が△%上昇しました」と具体的な数字で示す。 貴社製品の原価計算書を提示: 「これらのコスト上昇により、貴社向けの製品XXXの原価は〇円から△円になっています」と明示する。 自助努力をアピール: 「弊社でもこれだけのコスト削減努力を行いましたが、吸収しきれない状況です」と伝える。 感情論を排し、事実とデータで交渉することで、相手は「仕方ない」と納得せざるを得なくなります。 IoTで実現する「リアルタイム原価管理」の世界 月締めでExcelに手入力…そんな原価管理はもう過去のものです。今は、安価なIoTセンサーを機械に取り付けるだけで、電力使用量や稼働時間をリアルタイムで収集できます。これにより、「昨日作った製品の、今日の時点での正確な原価」を把握することさえ可能になります。日々の改善活動が、即座に原価データに反映される。これは経営の意思決定を劇的に高速化させます。 ▼関連記事「IoT導入による工場の見える化とは?成功事例と製造業の現場改革におけるメリットと注意点を紹介」 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/250108-2/ まとめ:守りのコスト削減から、攻めの原価管理へ 厳しい時代だからこそ、経営者は自社の足元を深く見つめ直す必要があります。『攻めの原価管理』は、単なるコスト計算ではありません。自社の価値を再発見し、自信を取り戻し、未来を切り拓くための経営戦略そのものです。 ▼関連記事「製造業必見! 6つのステップで解説!原価管理の取り組み方とは?」 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/220714/ ▼関連記事「原価管理システムとは?導入メリット・主要機能から失敗しない選び方までIT専門家が徹底解説!おすすめ注目を比較紹介」 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/250603-2/ 【ある企業では、たった6ヶ月で工場の生産数が1.2倍に!】 「なぜ、あの工程はいつも時間がかかるのだろう?」 「どうすれば、工場の生産能力を最大化できるのか?」 多くの場合、答えは現場に眠っているデータの中にあります。ある企業では、私たちのプログラムを通じてプレス工程がボトルネックであることをデータから発見。生産計画の見直しや人材の多能工化といった改善策を実行した結果、プレス工程の稼働率は20%向上し、工場全体の生産数が1.2倍に増加しました。 これは特別な事例ではありません。貴社の現場にも、まだ気づいていない大きな改善の可能性が眠っているはずです。船井総研の「6ヶ月集中・変革プログラム」で、貴社のポテンシャルを最大限に引き出します。 ▼次はあなたの番です!お問い合わせはこちら。 https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html?siteno=S045

棚卸回数を半分に。併せてERP導入よる製品別原価の可視化を実施!

2025.06.16

1.事例企業様の概要 【金属プレス製品製造業 I社様】  ■所在地:茨城県  ■従業員数:約60名  ■事業内容:家電関連部品、自動車関連部品の製造  I社様は生産管理システムを導入していましたが、上手く使いこなせておらず、Excel管理・紙管理を併せて実施しておりました。  既存のシステム導入時は、システムを入れることが目的になってしまっており、担当者任せで進めていたために、システムの活用・運用・ルールにまで踏み込むことができていない、という状態でした。  そんなI社様が基幹システム(ERP)を導入した取り組み事例を簡単にご紹介いたします。 2.基幹システム(ERP)導入の背景と課題 1)システムを導入しているのにExcel管理だらけ・・・・ 2)システムを導入しているのに在庫数が信用できない・・・ 3)棚卸をしないと発注数がわからないため、毎月実施せざるを得ない状況・・・ 4)棚卸に時間がかかるため、月次決算にも時間がかかる・・・  上記4つの課題を解決すべく、基幹システム(ERP)の導入を決断されます。 3.Microsoft社の『Dynamics 365 Business Central』の導入を機に、品目マスタの整備および入力ルールを徹底。  I社様で在庫管理ができていなかった原因と、システム導入時に考慮・実施した内容は下記になります。  1)マスタ化されていない品目が存在していた・・・   ⇒ これまでの品目をすべて洗出し、マスタ登録を徹底。  2)マスタ化されていても中途半端な品目(BOMの数量など)が存在していた・・・   ⇒ BOMについても見直しを実施。利用枚数や利用Kg数、利用本数などの単位も統一。  3)マスタ登録ルール(範囲)が不明確であった・・・   ⇒ 登録のフローはもちろん、登録する場合のカテゴリーなども含めてルール化。  4)不良発生時の処理が不明確であった・・・   ⇒ これまでの実績より、あらかじめ不良率を加味したマスタ構成に。  5)スクラップの処理が不明確であった・・・   ⇒ スクラップ置き場において月次で把握し、把握した結果をシステムへ入力。  6)端材の処理が不明確であった・・・   ⇒ 取り数をあらかじめマスタ化。  7)入出庫の受け払いが正しく登録されていない・・・   ⇒ 入力の徹底、ルール化。 4.まとめ  I社様は基幹システム(ERP)の導入により、品目マスタを整備し、在庫の受払をきちんと行い、結果として製品別原価の見える化と理論在庫の精緻化、棚卸の回数を減らすことができました。  システムを導入している場合、勘違いされがちなことが、「システムは手段であって、目的ではない」ということです。システムが全て行ってくれるわけではありません。 先の原因の分析およびルールの見直しを、関係メンバー全員で業務を改革、ルールを制定、運用を検討していったことが、今回の成功のポイントです。     【システム実演デモ付き】基幹システム刷新 成功事例セミナー https://www.funaisoken.co.jp/seminar/130217 当コラムでご紹介したパッケージ基幹システム 「Microsoft Dynamics 365 Business Central」の導入成功事例の詳細が学べる! システム実演デモを体験できるセミナーの開催が決定! 【下記1つでも当てはまる方は、是非ご参加ください】 ■自社の基幹システムが古くなり、リニューアルに困っている(どこに相談していいかがわからず悩んでいる)企業様 ■古い基幹システムの使いにくさを補うために、多数のExcelや紙帳票を現場で使用している(二重三重の業務や度重なる転記・手入力により、業務効率が上がらない)企業様 ■直近で基幹システムの刷新を考えているが、新しいシステムの比較・検討のポイントがわからない企業様 ■製造業での導入実績が豊富なパッケージ基幹システム(Microsoft Dynamics 365 Business Central)の実演デモに興味がある企業様 ■製造業におけるパッケージ基幹システム導入・活用の成功事例を知りたい企業様 1.事例企業様の概要 【金属プレス製品製造業 I社様】  ■所在地:茨城県  ■従業員数:約60名  ■事業内容:家電関連部品、自動車関連部品の製造  I社様は生産管理システムを導入していましたが、上手く使いこなせておらず、Excel管理・紙管理を併せて実施しておりました。  既存のシステム導入時は、システムを入れることが目的になってしまっており、担当者任せで進めていたために、システムの活用・運用・ルールにまで踏み込むことができていない、という状態でした。  そんなI社様が基幹システム(ERP)を導入した取り組み事例を簡単にご紹介いたします。 2.基幹システム(ERP)導入の背景と課題 1)システムを導入しているのにExcel管理だらけ・・・・ 2)システムを導入しているのに在庫数が信用できない・・・ 3)棚卸をしないと発注数がわからないため、毎月実施せざるを得ない状況・・・ 4)棚卸に時間がかかるため、月次決算にも時間がかかる・・・  上記4つの課題を解決すべく、基幹システム(ERP)の導入を決断されます。 3.Microsoft社の『Dynamics 365 Business Central』の導入を機に、品目マスタの整備および入力ルールを徹底。  I社様で在庫管理ができていなかった原因と、システム導入時に考慮・実施した内容は下記になります。  1)マスタ化されていない品目が存在していた・・・   ⇒ これまでの品目をすべて洗出し、マスタ登録を徹底。  2)マスタ化されていても中途半端な品目(BOMの数量など)が存在していた・・・   ⇒ BOMについても見直しを実施。利用枚数や利用Kg数、利用本数などの単位も統一。  3)マスタ登録ルール(範囲)が不明確であった・・・   ⇒ 登録のフローはもちろん、登録する場合のカテゴリーなども含めてルール化。  4)不良発生時の処理が不明確であった・・・   ⇒ これまでの実績より、あらかじめ不良率を加味したマスタ構成に。  5)スクラップの処理が不明確であった・・・   ⇒ スクラップ置き場において月次で把握し、把握した結果をシステムへ入力。  6)端材の処理が不明確であった・・・   ⇒ 取り数をあらかじめマスタ化。  7)入出庫の受け払いが正しく登録されていない・・・   ⇒ 入力の徹底、ルール化。 4.まとめ  I社様は基幹システム(ERP)の導入により、品目マスタを整備し、在庫の受払をきちんと行い、結果として製品別原価の見える化と理論在庫の精緻化、棚卸の回数を減らすことができました。  システムを導入している場合、勘違いされがちなことが、「システムは手段であって、目的ではない」ということです。システムが全て行ってくれるわけではありません。 先の原因の分析およびルールの見直しを、関係メンバー全員で業務を改革、ルールを制定、運用を検討していったことが、今回の成功のポイントです。     【システム実演デモ付き】基幹システム刷新 成功事例セミナー https://www.funaisoken.co.jp/seminar/130217 当コラムでご紹介したパッケージ基幹システム 「Microsoft Dynamics 365 Business Central」の導入成功事例の詳細が学べる! システム実演デモを体験できるセミナーの開催が決定! 【下記1つでも当てはまる方は、是非ご参加ください】 ■自社の基幹システムが古くなり、リニューアルに困っている(どこに相談していいかがわからず悩んでいる)企業様 ■古い基幹システムの使いにくさを補うために、多数のExcelや紙帳票を現場で使用している(二重三重の業務や度重なる転記・手入力により、業務効率が上がらない)企業様 ■直近で基幹システムの刷新を考えているが、新しいシステムの比較・検討のポイントがわからない企業様 ■製造業での導入実績が豊富なパッケージ基幹システム(Microsoft Dynamics 365 Business Central)の実演デモに興味がある企業様 ■製造業におけるパッケージ基幹システム導入・活用の成功事例を知りたい企業様

経費削減だけじゃない!営業実績UP・人財成長を伴うDXのために行うべき事

2025.06.11

いつもお世話になっております。船井総合研究所の高階でございます。 今回のコラムでは、多くの企業が取り組む「改革」や「DX」について、単なるコストカットで終わらせず、企業の未来を創る「営業実績の向上」と「人材の成長」に繋げるための本質的なアプローチをご紹介したいと思います。 1.はじめに 「会社の改革」や「DX推進」と聞くと、多くのビジネスパーソンがまず「経費削減」や「業務効率化によるコストカット」を思い浮かべるのではないでしょうか。 もちろん、それらも重要な成果の一つです。しかし、守りの改革だけでは、企業の未来を切り拓く力は生まれません。 よく言われているのは、取り組みで削減できた時間をより付加価値高い活動に費やそう、という話です。 この“付加価値高い活動”というのは抽象度も高く便利な言葉ではありますが、つまるところ何なのかというのをよく考える必要があります。 私は、“付加価値高い活動”というのは、自社で働く「人」が成長し、その結果として「収益」という形で事業が成長する、攻めの姿勢を生むことなのではないか、と考えています。 本稿では、コスト削減という目先の効果に留まらず、営業チームを強くし、一人ひとりの成長を促し、持続的な事業成長を実現するために「本当にやるべきこと」は何か、その核心に迫りたいと思います。 2.成長企業で起きていること 事業が順調に成長し、組織が拡大していくフェーズは、喜ばしい反面、多くの企業が「成長の壁」に直面する時期でもあります。かつての少数精鋭時代には問題にならなかったことが、組織の至る所で静かに、しかし確実に問題を引き起こし始めます。 ・疲弊する営業現場と「見えないコスト」の増大 売上目標は右肩上がりに伸びていく一方で、営業の「やり方」は昔のまま。結果として、個々の営業担当者への負担が雪だるま式に増えていきます。顧客と向き合う時間よりも、社内向けの報告書作成や会議のための資料準備に追われ、本来最も価値を生むべき活動が圧迫されていくのです。 この「見えないコスト」は、残業時間の増加やエンゲージメントの低下に繋がり、最悪の場合、将来を期待された優秀な人材の離職という、企業にとって最も手痛い損失を引き起こす原因ともなり得ます。 ・機能不全に陥る営業マネジメント メンバーが増えるにつれ、マネージャーはプレイング業務とマネジメント業務の板挟みになります。私もマネジメント経験者ですが、部下一人ひとりの活動状況を詳細に把握することは困難になり、指導やアドバイスは、どうしても自身の「勘」や「経験」に頼らざるを得なくなった経験があります。 部下の活動がブラックボックス化することで、案件がなぜ失注したのか、誰が何に困っているのかを正確に把握できず、適切なタイミングでのフォローができません。 果たして自分のアドバイスはピントが合っているのか。それすらも分からない苦しい時間を過ごすことになります。 これでは、チーム全体のパフォーマンスを底上げすることは難しく、マネージャー自身も成果を出せない焦りから疲弊していくという悪循環に陥ります。 ・属人化し、失われていく「勝つためのノウハウ」 どんな組織にも、突出した成果を上げるエース級の人材が存在します。しかし、その成功の秘訣が言語化・共有化されず、個人の「暗黙知」のままであれば、それは組織の資産にはなり得ません。 新入社員や若手は、その背中を見て学ぶしかなく、成長には非常に時間がかかります。 さらに深刻なのは、ベテラン社員やエースの退職です。彼らが去ると同時に、長年かけて培われた貴重な営業ノウハウや、顧客との深い関係性といった無形資産がごっそりと失われてしまうのです。 これまでに挙げた課題の根底に共通して横たわっている問題、それは 3.統合情報管理の重要性 前章で挙げた課題の根底に共通して横たわっている問題、それは「情報の分断」です。 顧客情報、担当者情報、商談履歴、成功事例、クレーム情報といった、企業の生命線とも言える情報が、個人のPCや手帳、メールボックス、そして頭の中に散在している状態。 この「サイロ化」こそが、組織の成長を阻害する最大の要因と言えます。 この問題を解決する鍵が「統合情報管理」です。 これは、単にデータを一箇所に集めることではありません。バラバラに存在していた情報を有機的に繋ぎ、組織全体で活用できる「知のプラットフォーム」を構築することを意味します。 統合情報管理が実現すると、企業には3つの大きな変化がもたらされると考えています。 第一に、「顧客理解の劇的な深化」が挙げられます。 マーケティング部門がいつ顧客と接点を持ち、営業担当者が過去にどんな提案をし、カスタマーサポートがどのような問い合わせに対応したのか。 こういった情報が統合されることで、初めて顧客を360度、立体的に理解することができます。 この深い理解こそが、顧客の心に響く最適なアプローチを可能にし、長期的な信頼関係(LTVの向上)の礎となるわけです。 第二に、「データドリブンな文化の醸成」です。 情報が整備され、誰もが必要なデータにアクセスできる環境は、データに基づいた客観的な意思決定を促します。 例えば、失注案件のデータを分析すれば、価格が問題だったのか、機能が足りなかったのか、あるいは提案のタイミングが悪かったのか、といった敗因を特定し、次の戦略に活かすことができます。 勘や経験に頼るギャンブル的な営業管理ではなく、データという事実に基づいた科学的な営業管理へと進化できるのです。 そして最後に、「組織学習能力の向上」です。 成功した提案書や、顧客に響いたトークスクリプトが共有されれば、それはチーム全体の教科書となりえます。 この活動を通して、組織全体で学習・成長していくサイクルが生まれていきます。データをまとめること自体に意味はなく、それを活用することにこそ価値があるのです。 4.営業部門が取り組むべきデジタル化とは 前述した「統合情報管理」を実現するための具体的な手段として紹介したいのが、「営業部門のデジタル化」です。 しかし、ここで注意すべきは、高価なシステム(SFAやCRMなど)を導入すれば全てが解決するわけではない、ということです。SFAやCRMは導入すればすぐ売り上げが2倍になる、というような魔法のツールではありません。 重要なのは、ツールを導入すること自体ではなく、それを使って「業務を変革し、人の成長を促す」という明確な目的意識です。 営業部門が取り組むべきデジタル化には、3つの段階があると考えています。 ステップ1:顧客接点情報の資産化(データ化) まずは、日々の営業活動の記録を「未来のための投資」と位置づける意識改革が必要です。日報や週報は、上司に報告するためだけの義務作業ではありません。入力された一件一件の活動履歴が、未来の営業戦略を立てるための貴重なデータ資産となるのです。 ただし、注意していただきたいポイントとして、スマートフォンなどからでも簡単に入力できる仕組みを整えるなど、営業担当者の負担を限りなくゼロに近づける工夫が不可欠です。 ステップ2:ナレッジ共有の仕組み化 次に、個人が持つノウハウを組織の力に変える仕組みを構築しましょう。 例えば、大型案件を受注した際の提案書や、難易度の高い質問への切り返しトーク、序盤のヒアリング項目などを、誰もが簡単に検索・閲覧できるプラットフォームを用意しましょう。 これにより、新人はトップセールスの知恵を借りながら成長できますし、チーム全体で成功パターンを再現できるようになります。 これは、形骸化しがちなOJTを補完し、人材育成のスピードを飛躍的に高めることに繋がります。 ステップ3:情報連携のシームレス化 最終的には、マーケティングから営業、そしてカスタマーサポートまで、顧客に関わる全部門の情報をデジタルプラットフォーム上で連携させます。 Webサイトから問い合わせをしてくださった見込み顧客の情報が、即座に担当営業に通知される。さらに、過去の閲覧履歴や興味関心を踏まえた上で、個別に最適化したアプローチを開始する。このように、部門の壁を越えて一貫した“質の高い”顧客体験を提供することで、対応のスピードと質が向上し、顧客満足度は大きく高まっていきます。 おわりに 本稿でお伝えしたかったのは、真のDXは「経費削減」といった守りの発想だけではなく、「どうすればもっと売上を伸ばせるか」「どうすれば社員がもっと成長できるか」という攻めの発想が非常に重要である、ということです。 情報の分断が組織の成長を阻害し、情報の統合が組織を強くする。このシンプルな原則を理解し、デジタル技術を賢く活用して「情報を組織の力に変える」こと。それこそが、これからの時代に持続的な成長を遂げる企業が行うべき、本質的な改革と言えるでしょう。 最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 船井総合研究所では、営業経験豊富なコンサルタントが多数在籍しています。もし、ご興味があればお気軽にお声がけください。 また、以下に同様のテーマについてご紹介するセミナーのご案内を添付させていただきました。 こちらもご興味があれば、是非ご確認いただければと思います。     複数拠点を展開する製造業・商社が取り組むべき”成功しやすい”DXのポイントとは? https://www.funaisoken.co.jp/seminar/129678 【このような方にオススメ】 ・営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社の経営陣の方 ・複数事業部、複数営業拠点が存在し、営業マネジメントが上手くできていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・営業会議のために複数のシステムからデータを集めてなければならず、工数がかかっている製造業・商社の経営陣の方 ・システムを入れてはいるが形骸化しており、思うように定着しない、効果が出ていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・顧客情報(注文情報、新規案件、コンタクト履歴、納品物、クレーム情報、見積情報等)が属人化している製造業・商社の経営陣の方 ・提出した見積もりと実際原価との差異が把握できておらず、しっかり利益の出る見積作成手法を取り入れたい製造業・商社の経営陣の方 ・営業活動の多くが属人化していてアナログに依存している製造業・商社の経営陣の方 いつもお世話になっております。船井総合研究所の高階でございます。 今回のコラムでは、多くの企業が取り組む「改革」や「DX」について、単なるコストカットで終わらせず、企業の未来を創る「営業実績の向上」と「人材の成長」に繋げるための本質的なアプローチをご紹介したいと思います。 1.はじめに 「会社の改革」や「DX推進」と聞くと、多くのビジネスパーソンがまず「経費削減」や「業務効率化によるコストカット」を思い浮かべるのではないでしょうか。 もちろん、それらも重要な成果の一つです。しかし、守りの改革だけでは、企業の未来を切り拓く力は生まれません。 よく言われているのは、取り組みで削減できた時間をより付加価値高い活動に費やそう、という話です。 この“付加価値高い活動”というのは抽象度も高く便利な言葉ではありますが、つまるところ何なのかというのをよく考える必要があります。 私は、“付加価値高い活動”というのは、自社で働く「人」が成長し、その結果として「収益」という形で事業が成長する、攻めの姿勢を生むことなのではないか、と考えています。 本稿では、コスト削減という目先の効果に留まらず、営業チームを強くし、一人ひとりの成長を促し、持続的な事業成長を実現するために「本当にやるべきこと」は何か、その核心に迫りたいと思います。 2.成長企業で起きていること 事業が順調に成長し、組織が拡大していくフェーズは、喜ばしい反面、多くの企業が「成長の壁」に直面する時期でもあります。かつての少数精鋭時代には問題にならなかったことが、組織の至る所で静かに、しかし確実に問題を引き起こし始めます。 ・疲弊する営業現場と「見えないコスト」の増大 売上目標は右肩上がりに伸びていく一方で、営業の「やり方」は昔のまま。結果として、個々の営業担当者への負担が雪だるま式に増えていきます。顧客と向き合う時間よりも、社内向けの報告書作成や会議のための資料準備に追われ、本来最も価値を生むべき活動が圧迫されていくのです。 この「見えないコスト」は、残業時間の増加やエンゲージメントの低下に繋がり、最悪の場合、将来を期待された優秀な人材の離職という、企業にとって最も手痛い損失を引き起こす原因ともなり得ます。 ・機能不全に陥る営業マネジメント メンバーが増えるにつれ、マネージャーはプレイング業務とマネジメント業務の板挟みになります。私もマネジメント経験者ですが、部下一人ひとりの活動状況を詳細に把握することは困難になり、指導やアドバイスは、どうしても自身の「勘」や「経験」に頼らざるを得なくなった経験があります。 部下の活動がブラックボックス化することで、案件がなぜ失注したのか、誰が何に困っているのかを正確に把握できず、適切なタイミングでのフォローができません。 果たして自分のアドバイスはピントが合っているのか。それすらも分からない苦しい時間を過ごすことになります。 これでは、チーム全体のパフォーマンスを底上げすることは難しく、マネージャー自身も成果を出せない焦りから疲弊していくという悪循環に陥ります。 ・属人化し、失われていく「勝つためのノウハウ」 どんな組織にも、突出した成果を上げるエース級の人材が存在します。しかし、その成功の秘訣が言語化・共有化されず、個人の「暗黙知」のままであれば、それは組織の資産にはなり得ません。 新入社員や若手は、その背中を見て学ぶしかなく、成長には非常に時間がかかります。 さらに深刻なのは、ベテラン社員やエースの退職です。彼らが去ると同時に、長年かけて培われた貴重な営業ノウハウや、顧客との深い関係性といった無形資産がごっそりと失われてしまうのです。 これまでに挙げた課題の根底に共通して横たわっている問題、それは 3.統合情報管理の重要性 前章で挙げた課題の根底に共通して横たわっている問題、それは「情報の分断」です。 顧客情報、担当者情報、商談履歴、成功事例、クレーム情報といった、企業の生命線とも言える情報が、個人のPCや手帳、メールボックス、そして頭の中に散在している状態。 この「サイロ化」こそが、組織の成長を阻害する最大の要因と言えます。 この問題を解決する鍵が「統合情報管理」です。 これは、単にデータを一箇所に集めることではありません。バラバラに存在していた情報を有機的に繋ぎ、組織全体で活用できる「知のプラットフォーム」を構築することを意味します。 統合情報管理が実現すると、企業には3つの大きな変化がもたらされると考えています。 第一に、「顧客理解の劇的な深化」が挙げられます。 マーケティング部門がいつ顧客と接点を持ち、営業担当者が過去にどんな提案をし、カスタマーサポートがどのような問い合わせに対応したのか。 こういった情報が統合されることで、初めて顧客を360度、立体的に理解することができます。 この深い理解こそが、顧客の心に響く最適なアプローチを可能にし、長期的な信頼関係(LTVの向上)の礎となるわけです。 第二に、「データドリブンな文化の醸成」です。 情報が整備され、誰もが必要なデータにアクセスできる環境は、データに基づいた客観的な意思決定を促します。 例えば、失注案件のデータを分析すれば、価格が問題だったのか、機能が足りなかったのか、あるいは提案のタイミングが悪かったのか、といった敗因を特定し、次の戦略に活かすことができます。 勘や経験に頼るギャンブル的な営業管理ではなく、データという事実に基づいた科学的な営業管理へと進化できるのです。 そして最後に、「組織学習能力の向上」です。 成功した提案書や、顧客に響いたトークスクリプトが共有されれば、それはチーム全体の教科書となりえます。 この活動を通して、組織全体で学習・成長していくサイクルが生まれていきます。データをまとめること自体に意味はなく、それを活用することにこそ価値があるのです。 4.営業部門が取り組むべきデジタル化とは 前述した「統合情報管理」を実現するための具体的な手段として紹介したいのが、「営業部門のデジタル化」です。 しかし、ここで注意すべきは、高価なシステム(SFAやCRMなど)を導入すれば全てが解決するわけではない、ということです。SFAやCRMは導入すればすぐ売り上げが2倍になる、というような魔法のツールではありません。 重要なのは、ツールを導入すること自体ではなく、それを使って「業務を変革し、人の成長を促す」という明確な目的意識です。 営業部門が取り組むべきデジタル化には、3つの段階があると考えています。 ステップ1:顧客接点情報の資産化(データ化) まずは、日々の営業活動の記録を「未来のための投資」と位置づける意識改革が必要です。日報や週報は、上司に報告するためだけの義務作業ではありません。入力された一件一件の活動履歴が、未来の営業戦略を立てるための貴重なデータ資産となるのです。 ただし、注意していただきたいポイントとして、スマートフォンなどからでも簡単に入力できる仕組みを整えるなど、営業担当者の負担を限りなくゼロに近づける工夫が不可欠です。 ステップ2:ナレッジ共有の仕組み化 次に、個人が持つノウハウを組織の力に変える仕組みを構築しましょう。 例えば、大型案件を受注した際の提案書や、難易度の高い質問への切り返しトーク、序盤のヒアリング項目などを、誰もが簡単に検索・閲覧できるプラットフォームを用意しましょう。 これにより、新人はトップセールスの知恵を借りながら成長できますし、チーム全体で成功パターンを再現できるようになります。 これは、形骸化しがちなOJTを補完し、人材育成のスピードを飛躍的に高めることに繋がります。 ステップ3:情報連携のシームレス化 最終的には、マーケティングから営業、そしてカスタマーサポートまで、顧客に関わる全部門の情報をデジタルプラットフォーム上で連携させます。 Webサイトから問い合わせをしてくださった見込み顧客の情報が、即座に担当営業に通知される。さらに、過去の閲覧履歴や興味関心を踏まえた上で、個別に最適化したアプローチを開始する。このように、部門の壁を越えて一貫した“質の高い”顧客体験を提供することで、対応のスピードと質が向上し、顧客満足度は大きく高まっていきます。 おわりに 本稿でお伝えしたかったのは、真のDXは「経費削減」といった守りの発想だけではなく、「どうすればもっと売上を伸ばせるか」「どうすれば社員がもっと成長できるか」という攻めの発想が非常に重要である、ということです。 情報の分断が組織の成長を阻害し、情報の統合が組織を強くする。このシンプルな原則を理解し、デジタル技術を賢く活用して「情報を組織の力に変える」こと。それこそが、これからの時代に持続的な成長を遂げる企業が行うべき、本質的な改革と言えるでしょう。 最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 船井総合研究所では、営業経験豊富なコンサルタントが多数在籍しています。もし、ご興味があればお気軽にお声がけください。 また、以下に同様のテーマについてご紹介するセミナーのご案内を添付させていただきました。 こちらもご興味があれば、是非ご確認いただければと思います。     複数拠点を展開する製造業・商社が取り組むべき”成功しやすい”DXのポイントとは? https://www.funaisoken.co.jp/seminar/129678 【このような方にオススメ】 ・営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社の経営陣の方 ・複数事業部、複数営業拠点が存在し、営業マネジメントが上手くできていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・営業会議のために複数のシステムからデータを集めてなければならず、工数がかかっている製造業・商社の経営陣の方 ・システムを入れてはいるが形骸化しており、思うように定着しない、効果が出ていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・顧客情報(注文情報、新規案件、コンタクト履歴、納品物、クレーム情報、見積情報等)が属人化している製造業・商社の経営陣の方 ・提出した見積もりと実際原価との差異が把握できておらず、しっかり利益の出る見積作成手法を取り入れたい製造業・商社の経営陣の方 ・営業活動の多くが属人化していてアナログに依存している製造業・商社の経営陣の方

なぜ、あなたの会社の営業部門は「人手不足」と「非効率」から抜け出せないのか?

2025.06.11

いつもお世話になっております。船井総合研究所の高階でございます。 今回のコラムでは、多くの成長企業が直面する「事業規模の拡大と営業効率の低下」というジレンマについて、その原因と対策のヒントをお届けします。 1.はじめに 企業の成長、組織の拡大というのは、経営者にとって何よりの喜びであると言えます。 しかし、その輝かしい成長の裏側で、このような声が聞こえてくることはないでしょうか? 「社員は増えているのに、会社全体の売上目標達成が年々厳しくなっている」 「かつての少数精鋭時代の方が、むしろ収益性は高かったかもしれない」 「規模が大きくなったことで、情報の風通しが悪くなったように思う」 もし、こうした課題に心当たりがあるとしたら、それは個々の社員の能力や意欲の問題ではなく、組織の「成長痛」のサインかもしれません。 2.規模拡大に潜む営業マネジメントの落とし穴 なぜ、組織が大きくなるほど、一人当たりの生産性は下がってしまうのでしょうか。 そこには、規模拡大期特有の「落とし穴」が存在します。 今回は私がお話を伺ってきた中で、最もよく声の上がっていたポイントを3つ紹介したいと思います。 落とし穴1:情報のブラックボックス化 個々の営業担当者が、自身のPCや手帳の中だけで顧客情報や商談履歴を管理している状態をイメージしてみてください。 担当者以外は誰も状況を把握できず、急な休みや退職が発生した際に、大切なビジネスチャンスや顧客との関係性まで失ってしまうリスクを抱えています。特定の誰かがいないと業務が回らない、そういった状態はどんどん深刻化していきます。 取引先、商談数が増えれば増えるほどこういった情報の属人的な管理は深刻化していくわけです。 落とし穴2:勘と経験頼りのマネジメント メンバーが少なければ、マネージャーの経験則やきめ細やかな声がけ(マイクロマネジメント)で組織は回ります。しかし、人数が増えるとその手法は通用しなくなります。 各担当者が「今、何に困っているのか」「どの案件が停滞しているのか」を正確に把握できず、適切なアドバイスやリソース配分ができなくなります。 そもそも、現状何件の商談を抱えているのかすら分からない状況と言うのも、実は珍しくはないのです。 落とし穴3:部門間の断絶 「インサイドセールス部門が獲得した見込み客に、営業がアプローチしていない」 「インサイドセールス部門が獲得する商談は、商談するようなレベルの状況じゃない。パスが悪い」 「営業現場で得た顧客の生の声が、商品開発に活かされない」 …etc. このように部門間の連携が取れていない状態では、会社としての一貫した顧客体験を提供できず、機会損失を生み続けます。 皆様の会社では起きていないでしょうか? 前述した根深い課題は、精神論や個人の努力だけで解決することは極めて困難です。 今、成長企業に求められているのは、営業部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)に他なりません。 DXと聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、本質はシンプルです。 3.営業部門こそDXを DXと聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、本質はシンプルです。 「データとデジタル技術を活用して、旧来の業務プロセスや組織のあり方を、顧客価値の向上と競争力の強化につながる形に変革すること」 です。 顧客との最前線に立つ営業部門のDXは、企業全体の生産性を左右する、まさに経営戦略の核となる一手と言えるでしょう。 4.営業業務のDX化のポイント では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。 営業DXを成功に導くための3つの重要なポイントをご紹介します。 ポイント1:情報の一元管理と可視化 点在する顧客情報や案件の進捗、活動履歴を、誰もがリアルタイムで確認できる一つの場所に集約します。これにより、情報の属人化を防ぎ、組織全体で最適なアクションを取れるようになります。 データの一元管理だけでなく、営業会議資料を作るために、複数のエクセルをつなぎ合わせて1日を終える、といった非効率業務の撲滅も同時に意識すると良いでしょう。 ポイント2:業務プロセスの標準化と自動化 トップセールスの行動やノウハウを「型」として標準化し、チーム全体で共有します。 また、報告書作成のような定型業務は可能な限り自動化し、営業担当者が「本来やるべき、付加価値高い創造的な活動」に集中できる環境を整えます。 営業活動の標準化の際に、育成スピードアップは必ず意識した方が良いポイントです。 ポイント3:データに基づく戦略的な意思決定 蓄積されたデータを分析し、「なぜ売れたのか」「なぜ失注したのか」を客観的に把握します。勘や経験だけに頼るのではなく、データという羅針盤を手にすることで、営業戦略の精度は飛躍的に向上していきます。 感覚的なマネジメントも悪いわけではないですが、定量的な指標と言う羅針盤は皆様の営業活動の成長を大きく押し上げる要素となりえます。 おわりに 事業の成長に伴う営業効率の低下は、多くの企業が通る道です。 しかし、それを「仕方のないこと」で済ませるか、それとも「変革のチャンス」と捉えるかで、企業の未来は大きく変わります。 営業DXは、単なるツール導入ではありません。それは、企業の成長をさらに加速させるための「新しい営業の仕組み」を構築するプロジェクトです。 まずは、自社の営業部門がどのような課題を抱えているのか、現状を正しく見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。 船井総合研究所では、営業経験豊富なコンサルタントが多数在籍しています。もし、ご興味があればお気軽にお声がけください。 また、以下に同様のテーマについてご紹介するセミナーのご案内を添付させていただきました。 こちらもご興味があれば、是非ご確認いただければと思います。     複数拠点を展開する製造業・商社が取り組むべき”成功しやすい”DXのポイントとは? https://www.funaisoken.co.jp/seminar/129678 【このような方にオススメ】 ・営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社の経営陣の方 ・複数事業部、複数営業拠点が存在し、営業マネジメントが上手くできていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・営業会議のために複数のシステムからデータを集めてなければならず、工数がかかっている製造業・商社の経営陣の方 ・システムを入れてはいるが形骸化しており、思うように定着しない、効果が出ていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・顧客情報(注文情報、新規案件、コンタクト履歴、納品物、クレーム情報、見積情報等)が属人化している製造業・商社の経営陣の方 ・提出した見積もりと実際原価との差異が把握できておらず、しっかり利益の出る見積作成手法を取り入れたい製造業・商社の経営陣の方 ・営業活動の多くが属人化していてアナログに依存している製造業・商社の経営陣の方 いつもお世話になっております。船井総合研究所の高階でございます。 今回のコラムでは、多くの成長企業が直面する「事業規模の拡大と営業効率の低下」というジレンマについて、その原因と対策のヒントをお届けします。 1.はじめに 企業の成長、組織の拡大というのは、経営者にとって何よりの喜びであると言えます。 しかし、その輝かしい成長の裏側で、このような声が聞こえてくることはないでしょうか? 「社員は増えているのに、会社全体の売上目標達成が年々厳しくなっている」 「かつての少数精鋭時代の方が、むしろ収益性は高かったかもしれない」 「規模が大きくなったことで、情報の風通しが悪くなったように思う」 もし、こうした課題に心当たりがあるとしたら、それは個々の社員の能力や意欲の問題ではなく、組織の「成長痛」のサインかもしれません。 2.規模拡大に潜む営業マネジメントの落とし穴 なぜ、組織が大きくなるほど、一人当たりの生産性は下がってしまうのでしょうか。 そこには、規模拡大期特有の「落とし穴」が存在します。 今回は私がお話を伺ってきた中で、最もよく声の上がっていたポイントを3つ紹介したいと思います。 落とし穴1:情報のブラックボックス化 個々の営業担当者が、自身のPCや手帳の中だけで顧客情報や商談履歴を管理している状態をイメージしてみてください。 担当者以外は誰も状況を把握できず、急な休みや退職が発生した際に、大切なビジネスチャンスや顧客との関係性まで失ってしまうリスクを抱えています。特定の誰かがいないと業務が回らない、そういった状態はどんどん深刻化していきます。 取引先、商談数が増えれば増えるほどこういった情報の属人的な管理は深刻化していくわけです。 落とし穴2:勘と経験頼りのマネジメント メンバーが少なければ、マネージャーの経験則やきめ細やかな声がけ(マイクロマネジメント)で組織は回ります。しかし、人数が増えるとその手法は通用しなくなります。 各担当者が「今、何に困っているのか」「どの案件が停滞しているのか」を正確に把握できず、適切なアドバイスやリソース配分ができなくなります。 そもそも、現状何件の商談を抱えているのかすら分からない状況と言うのも、実は珍しくはないのです。 落とし穴3:部門間の断絶 「インサイドセールス部門が獲得した見込み客に、営業がアプローチしていない」 「インサイドセールス部門が獲得する商談は、商談するようなレベルの状況じゃない。パスが悪い」 「営業現場で得た顧客の生の声が、商品開発に活かされない」 …etc. このように部門間の連携が取れていない状態では、会社としての一貫した顧客体験を提供できず、機会損失を生み続けます。 皆様の会社では起きていないでしょうか? 前述した根深い課題は、精神論や個人の努力だけで解決することは極めて困難です。 今、成長企業に求められているのは、営業部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)に他なりません。 DXと聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、本質はシンプルです。 3.営業部門こそDXを DXと聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、本質はシンプルです。 「データとデジタル技術を活用して、旧来の業務プロセスや組織のあり方を、顧客価値の向上と競争力の強化につながる形に変革すること」 です。 顧客との最前線に立つ営業部門のDXは、企業全体の生産性を左右する、まさに経営戦略の核となる一手と言えるでしょう。 4.営業業務のDX化のポイント では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。 営業DXを成功に導くための3つの重要なポイントをご紹介します。 ポイント1:情報の一元管理と可視化 点在する顧客情報や案件の進捗、活動履歴を、誰もがリアルタイムで確認できる一つの場所に集約します。これにより、情報の属人化を防ぎ、組織全体で最適なアクションを取れるようになります。 データの一元管理だけでなく、営業会議資料を作るために、複数のエクセルをつなぎ合わせて1日を終える、といった非効率業務の撲滅も同時に意識すると良いでしょう。 ポイント2:業務プロセスの標準化と自動化 トップセールスの行動やノウハウを「型」として標準化し、チーム全体で共有します。 また、報告書作成のような定型業務は可能な限り自動化し、営業担当者が「本来やるべき、付加価値高い創造的な活動」に集中できる環境を整えます。 営業活動の標準化の際に、育成スピードアップは必ず意識した方が良いポイントです。 ポイント3:データに基づく戦略的な意思決定 蓄積されたデータを分析し、「なぜ売れたのか」「なぜ失注したのか」を客観的に把握します。勘や経験だけに頼るのではなく、データという羅針盤を手にすることで、営業戦略の精度は飛躍的に向上していきます。 感覚的なマネジメントも悪いわけではないですが、定量的な指標と言う羅針盤は皆様の営業活動の成長を大きく押し上げる要素となりえます。 おわりに 事業の成長に伴う営業効率の低下は、多くの企業が通る道です。 しかし、それを「仕方のないこと」で済ませるか、それとも「変革のチャンス」と捉えるかで、企業の未来は大きく変わります。 営業DXは、単なるツール導入ではありません。それは、企業の成長をさらに加速させるための「新しい営業の仕組み」を構築するプロジェクトです。 まずは、自社の営業部門がどのような課題を抱えているのか、現状を正しく見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。 船井総合研究所では、営業経験豊富なコンサルタントが多数在籍しています。もし、ご興味があればお気軽にお声がけください。 また、以下に同様のテーマについてご紹介するセミナーのご案内を添付させていただきました。 こちらもご興味があれば、是非ご確認いただければと思います。     複数拠点を展開する製造業・商社が取り組むべき”成功しやすい”DXのポイントとは? https://www.funaisoken.co.jp/seminar/129678 【このような方にオススメ】 ・営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社の経営陣の方 ・複数事業部、複数営業拠点が存在し、営業マネジメントが上手くできていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・営業会議のために複数のシステムからデータを集めてなければならず、工数がかかっている製造業・商社の経営陣の方 ・システムを入れてはいるが形骸化しており、思うように定着しない、効果が出ていないと感じる製造業・商社の経営陣の方 ・顧客情報(注文情報、新規案件、コンタクト履歴、納品物、クレーム情報、見積情報等)が属人化している製造業・商社の経営陣の方 ・提出した見積もりと実際原価との差異が把握できておらず、しっかり利益の出る見積作成手法を取り入れたい製造業・商社の経営陣の方 ・営業活動の多くが属人化していてアナログに依存している製造業・商社の経営陣の方
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