記事公開日:2020.03.11
最終更新日:2022.12.14

産業用ロボットシステムの導入コスト抑制 (シンプルな位置決めでより安く、より正確に)

※以下導入事例は一般社団法人 日本ロボット工業会(JARA)「ロボット導入実証事業:事例紹介ハンドブック2018 」より抜粋

この事例におけるロボット化によるメリット

人手による作業をそのままロボットに代替えした場合の一番の課題である材料の位相確認や位置決めについて従来のロボットシステムでは3Dビジョンセンサ等が必要になり、ロボットシステム全体の導入費用が高くなってくるが、この事例では上手く部品の流れや自動化対象アイテムの絞り込みを行う事で高価なビジョンセンサ等を不要とし、ロボットシステム全体の導入費用を抑制させている。

課題

非常に多品種を小ロットで製造されており、マシニングセンタへのワークの着脱頻度が高い状況でした。特にマシニングセンタへのワークの脱着に常に人が張り付いている必要があり、加工費削減の為に自動化を検討する必要がありました。ワークの脱着作業自体は単純な作業ですが、自動化した場合は製品の位置検出にて3Dビジョンセンサ等高価な機器が必要でありシステム全体の導入費用が高くなってしまい導入に踏み切る事が出来ませんでした。

ロボットを導入した工程

マシニングセンタ加工機へのワーク供給排出工程

ポイント

今回の導入事例では、ワークの着脱を自動化したいが、前工程のワーク整列状態が一定では無いため位置検出をカメラ等で行う必要がありました。しかし、3Dビジョンセンサを用いたシステムでは費用と効果が釣り合わなく、導入費用を抑制すると同時に位置決めの繰り返し制度を高めるパレットシステムによるワーク供給方式を選択しました。人が加工開始前に加工数量分のワークをパレットにセットしておくだけで供給、排出を自動でロボットが行ってくれるので、これまで張り付いていた作業員に手待ち時間が出来、マシニングセンタの加工PRG生成等の付加価値の高い業務を取り込む事が出来ました。
また加工品種変更時の切り替え時間を抑制するロボットハンドが共通でワークの形状見直しや加工対象ワークの絞り込み、生産ロット数の限定(パレットサイズを満たす生産ロット)等の運用面の改善を積み重ねて運用されています。
結果として以下のように投資額を抑制する事が出来ています。

●3Dビジョンセンサを使用したシステム
ロボット 400万円
三次元カメラ 550万円
その他設備費 768万円
システムインテグレーション費 762万円
合計 2480万円

●導入したシステム
ロボット 400万円
三次元カメラ 0万円
その他設備費 628万円
システムインテグレーション費 722万円
合計 1750万円

コンサルタントの視点

ワークをどのように掴むか、どのように位置決めを行うかというのは、常に難しい課題としてロボット導入障壁になってきます。確かに3Dビジョンセンサ等を活用する事で生まれるメリットは多大ですが、費用面と同時に3Dビジョンセンサを用いたロボットティーチングは難易度が高く、充分なロボット取り扱いスキルを持った人が必要という一面があります。今回の事例のように生産ロット数や加工タクトなどの特性を把握した上で、自動化対象アイテムやロット数を限定し、効果に見合うロボットシステムを構築する事は非常に大切な事ですね。特に位置決めについては、ハード面でしっかりと精度を担保する事が長期的な生産活動の中でも安定性を高めてくれます。ハードで対策出来るところは可能な限りハードで行った上で、ビジョンセンサ等のデジタル機器を導入する事が肝要と感じます。自動化のシステムは費用を掛ければ掛けるほど多機能なモノが出来上がりますが、本当に必要な要素だけを選択し規制概念に捉われる事なく新しいシステムを構築していくスタンスが必要と感じさせる事例でした。

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