記事公開日:2024.02.16
最終更新日:2024.10.11
製造業・工場が実践すべきBIツール活用とは?成功事例も紹介
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仕入価格の高騰・販売価格への転嫁困難などの板挟み状況において、製造業は社内における製造コスト削減(≒生産効率化)が求められます。これらの外部要因に対して、素早い判断で適切な対処ができるようにするためにはBIツールを活用したデータ集計・データ分析の自動化が肝となります。
本記事では、製造業が生産効率を向上させるための効果的なBIツール活用方法やメリットを解説するほか、実際の成功事例についてもご紹介します。
1.BIツールとは
BIツールとは、企業が蓄積している様々なデータを自動で集計・可視化することで、データに基づいた意思決定や課題解決を利用者が行いやすくするための支援ツールです。
製造業では、生産管理システムや販売管理システムに蓄積されているデータをBIツールで集計・可視化をすることによって、
- 現場の生産進捗のより詳細な把握
- 製品別の実際原価把握
- 製品別の受注の繁閑分析
等ができるようになります。
BIツールの詳細については、下記記事を参照ください。
用語集|BIツールとは
2.多くの製造業が抱える課題
多くの製造業では、まだまだベテランの勘・経験に依存した現場改善が実施されています。勘・経験に依存した改善は以下のような課題が発生します。
-
主観性と一貫性の欠如
勘や経験に頼る場合、個々の作業員や管理者の主観的な判断に大きく依存します。そのため、同じ問題に対して異なる解釈や対処法が生まれ、一貫性が欠如することがあります。また、経験に基づいた改善が行われる場合、その改善策の根拠や効果の確認が困難であり、持続可能な改善が難しい場合があります。 -
限界の到達
人間の勘や経験には限界があります。特に複雑な生産プロセスや大量のデータを扱う場合、勘や経験だけでは十分な洞察を得ることが難しい場合があります。その結果、潜在的な問題や機会が見逃される可能性があります。 -
情報の不足
経験に依存したアプローチでは、一部の情報しか考慮されない場合があります。特に製造業や工場のような複雑な環境では、さまざまなデータや指標が重要ですが、これらが見落とされることがあります。その結果、意思決定において必要な情報が欠落し、効果的な改善策が見いだせない場合があります。
製造業として、持続的に成長するためにはデータ活用によるデータに基づいた現場改善が必要になります。
データ活用には分析が必要ですが、BIツールを活用することによってこの分析業務にかかる工数を大幅さに削減し、適切な分析結果を得ることができるようになります。
3.BIツール活用のメリット
BIツールを製造業や工場で活用することで、上項の課題に対する以下のメリットが挙げられます。
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リアルタイムの洞察
既存のシステムのデータベースと直接接続をすることにより、BIツールはリアルタイムでデータを分析することができるようになります。システムに機能が無いために今までは見えてこなかった様々な指標を、BIツールを活用することによってリアルタイムに把握でき、迅速な意思決定が可能となります。 -
予測分析
BIツールは過去のデータからトレンドを抽出し、将来の需要や生産に関する予測を行うことができます。これにより、より効果的な生産計画や在庫管理・原価管理が実現できるようになります。 -
データの可視化
複雑なデータを視覚的に表現することで、パターンや傾向を素早く把握することができます。現在のシステムでは見えないグラフを見えるように機能追加を依頼すると、追加で外部へのコストが発生してしまいますが、BIツールを活用することにより、自社で見たいグラフを自社特有の表現で可視化することが可能となります。これにより、自社の課題に対しての適切な対処をBIツールを活用することにより実施することができます。 -
属人化の解消
近年のBIツールはノーコードソフトウェアが増えており、プログラミング経験のない人でもBIダッシュボードを作成することが可能です。そのため、自社内で作成しても属人化するリスクが高くなく、継続的に社内で見たい情報を可視化する体制を構築することができます。
4.BIツールを活用した成功事例
【実際の事例(製造業A社)】
プロジェクトの背景
A社では、生産管理業務を行うにあたってデータ集計業務に課題を感じていました。
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主な課題
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属人化
1人のスタッフがExcelマクロを使用してデータの集計と分析を行っています。このため、業務はその個人のスキルや経験に依存し、組織全体での作業効率に影響を及ぼしていました。 -
リアルタイム性の欠如
データの反映や共有には時間がかかります。生産管理システムからのデータ出力や、Excelマクロによるデータ管理によって、情報の更新が遅れ、データ分析のリアルタイム性に課題がありました。 -
データ管理の非効率性
生産管理システムからのデータ出力と、Excelマクロでのデータ管理という二重の手間が発生しています。これにより、データの整合性が損なわれ、作業効率が低下しています。
これらの課題に対処するため、Power BIの導入を行いました。このプロジェクトでは、生産管理システムからのデータをリアルタイムで活用し、以下の目標を達成することを目指しました。
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原価管理BIの作成
製品別の原価管理や利益の把握など、より詳細な分析を可能にする原価管理BIの構築。 -
原価管理業務の効率化
データ集計業務の自動化や、リアルタイムでのデータ反映により、原価管理業務の効率化を実現する。
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属人化
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効果
既存のシステムとPower BIを直接接続し、今まで見えていなかった実際工数による直接原価をリアルタイムに把握することができるようになりました。
これにより、日々の会議においてのデータ集計作業を効率化し、原価削減に向けた議論へと工数を充てることができるようになりました。
また実際原価が集計されるため、見積価格との照合を行い、価格改定等の戦略を練るための材料になった点も大きなメリットであると考えられます。船井総研では、BIツールを使ってデータ活用するための社内体制の構築だけでなく、活用後の業績アップまでをサポートさせていただきました。
今回の事例のように、データ活用がなかなか進まない、そもそもどのようにBIツールを活用するのか等に関して、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。
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