記事公開日:2025.04.28
最終更新日:2025.04.28
初期投資0、営業1名で4年8億円達成! 商社のFA事業参入!「専門家連携」で実現する高収益戦略

【このコラムをお勧めしたい経営者のイメージ】
- 既存事業に加えて、新たな成長エンジンとしてFA事業への参入を検討されている経営者様
- FAの専門知識不足を理由に、有望な市場への参入を躊躇されている経営者様
- リスクを最小限に抑え、効率的に新規事業を立ち上げたいとお考えの経営者様
- 顧客の経営課題解決に貢献し、高付加価値・高単価なビジネスモデルを構築したい経営者様
- 外部の専門家やネットワークを戦略的に活用し、自社の事業成長を加速させたい経営者様
本コラムでは、生産財商社や機械工具商社がFA(ファクトリーオートメーション)事業に新規参入し、高単価受注を実現するための具体的な戦略「専門家連携モデル」を解説します。多くの商社が直面する技術・投資・人材の壁を乗り越え、「初期投資0・営業1名」というリーンな体制でも成功を収めた専門商社A社の事例を基に、その再現性のある手法を紐解きます。FA市場の現状と商社の勝機、連携モデルの具体的な仕組み、そして顧客の潜在ニーズを引き出し高単価受注に繋げるための「キーエンス流」アプローチ(課題発見力×専門家連携)まで、明日から実践できるヒントを満載してお届けします。貴社の新たな成長戦略を描くための一助となれば幸いです。
【このコラムを読むメリット】
このコラムをお読みいただくことで、なぜ今FA事業が商社にとって魅力的な成長市場であり、戦略的に取り組むべき分野なのかを深くご理解いただけます。同時に、多くの企業が陥りがちなFA事業参入の障壁と、それを乗り越えるための極めて効果的な「専門家連携モデル」という具体的な手法を知ることができます。専門知識や多額の初期投資が無くとも、既存の顧客接点という強みを最大限に活かし、外部の専門家と連携することで、高単価なソリューション提案が可能になるメカニズムを学べます。さらに、実際にこのモデルで4年8億円を達成した企業のリアルな事例や、顧客の潜在ニーズを掴むための具体的な質問例を通じて、商社がFA事業を成功させるための実践的な行動計画を描くことが可能になります。
目次
1:なぜ今、商社はFA事業に参入すべきなのか? ~市場機会と戦略的必要性~
昨今、日本の製造業は、深刻な人手不足、生産性の伸び悩み、熟練技術者の高齢化といった構造的な課題に直面しています。このような状況下で、製造現場の自動化・省人化・効率化を実現するFA(ファクトリーオートメーション)への投資意欲は、かつてないほど高まっています。特に、協働ロボットやIoT、AIといった技術の進化は、これまで自動化が難しかった領域への適用を可能にし、市場は今後も着実な成長が見込まれます。
では、なぜこの成長市場が、商社である貴社にとって大きなチャンスとなるのでしょうか?それは、商社が持つ「顧客との強固な関係性」と「現場へのアクセス頻度」という、他の業態にはない強力な武器を持っているからです。多くの商社様は、日々の営業活動を通じて、顧客である製造業の現場担当者や経営層と密接なコミュニケーションを取られています。これは、単に製品を納入するだけでなく、顧客が抱える潜在的な課題やニーズを直接見聞きできる、またとない機会です。
しかしながら、FA事業への参入には「技術・ノウハウの壁」「初期投資リスクの壁」「専門人材の壁」が存在することも事実です。これらの壁を前に、多くの商社様が参入を躊躇されたり、思うような成果を上げられずにいたりする現状も、私たちは数多く目の当たりにしてきました。
だからこそ、私たちは声を大にしてお伝えしたいのです。FA事業への参入は、もはや単なる新規事業の選択肢の一つではありません。顧客の課題解決に深く貢献し、自社の提供価値を高め、持続的な成長を実現するための「戦略的必然」である、と。そして、その参入障壁を乗り越え、成功を掴むための鍵こそが、次章で詳述する「専門家連携モデル」なのです。
2:「初期投資0・営業1名」を可能にする「専門家連携モデル」とは?
FA事業参入における技術・投資・人材の壁を乗り越え、「初期投資0・営業1名」という体制での成功を可能にする戦略。それが「専門家連携モデル」です。これは、自社ですべてを賄う「自前主義」から脱却し、外部の専門家や技術パートナーの力を戦略的に活用することで、商社本来の強みを最大限に活かすビジネスモデルと言えます。
このモデルにおける登場人物とその役割は、以下の通りです。
- 商社: 主役であり、プロジェクトのハブとなります。最大の武器である「顧客接点」を活かし、FA化に繋がる可能性のある顧客の課題やニーズを発掘します(案件発掘・窓口)。掴んだ情報を専門家パートナーに連携し、専門家が作成した構想やパートナーSIerからの見積もりを顧客に提示し、商流を管理します(見積提示・商流管理)。必要な専門知識や構想策定支援は、専門家パートナーに協力を依頼し、適切な対価でその知見を活用します。案件が成功した際には、成果に応じた形で連携の価値を共有することで、パートナーとの強固な関係を築きます。
- 専門家パートナー: 商社からの要請に基づき、豊富な知見と分析力で最適なFA化構想を作成します(専門的コンサルティング・企画)。構想実現に最適な技術パートナー(SIer)を自社のネットワークから紹介します(パートナーネットワーク提供)。また、補助金活用など、案件化を後押しする付加価値情報も提供します。その貢献に対して、商社と合意した形で価値を得ることで、継続的なサポート体制を維持します。
- 技術パートナー(SIer): 専門家や商社を通じて、具体的な案件情報を得ます。専門家が描いた構想に基づき、詳細な技術検討、システム設計、そして見積もり作成(商社に対して)を行います(技術提供・実行部隊)。受注後は、FAシステムの構築・導入・保守といった実務を担当します。
このモデルでは、商社はに関する高度な技術知識や開発能力、専門人材を自社で抱える必要がありません。必要な時に、必要な分だけ、外部の専門家の「頭脳」とSIerの「実行力」を活用するのです。これにより、初期投資を限りなくゼロに近づけ、営業担当者は顧客との関係構築と課題発見、そして連携のハブ役に集中できるため、「営業1名」でも高効率な事業展開が可能になります。まさに、商社の強みを活かし、弱みを補う、合理的な戦略と言えるでしょう。
3:【事例研究】愛知県の専門商社A社は、いかにして4年8億円を達成したのか?
「専門家連携モデル」が絵に描いた餅ではなく、実際に大きな成果を上げている事例をご紹介します。愛知県に本社を置く専門商社A社は、まさにこのモデルを活用し、営業1名体制、そして実質的な初期投資ゼロでFA事業に参入。4年間で累計8億円もの高単価なFAソリューション案件を受注するという、目覚ましい成果を上げられています。
A社の社長は、既存事業に加え、顧客である製造業の人手不足や生産性向上といった課題解決への貢献を強く意識し、FA事業への参入を決断されました。しかし、当初は社内にFAの専門知識も技術者もいない状態。そこで着目されたのが、外部の専門家との連携でした。
A社の具体的な取り組みは、以下のステップで進められました。
- 課題発見と連携: まず、既存顧客との日々のコミュニケーションの中で、生産現場の困りごと(「この作業が大変」「人手が足りない」など)に注意深く耳を傾けました。そして、FA化に繋がりそうな「種」を見つけると、技術的な詳細には踏み込まず、まずは「顧客が何に困っていて、どうなりたいのか」という情報を持って、連携先の専門家に相談しました。
- 構想策定とパートナー選定: 専門家は、その情報をもとに顧客を訪問(時にはA社の営業担当者と同行)。現場を診断し、具体的なFA化構想と投資対効果(ROI)を策定しました。さらに、その構想を実現するのに最適な技術を持つSIerを、専門家のネットワークの中から選定し、A社に紹介しました。
- 提案と受注: A社は、専門家が作成した構想と、紹介されたSIerからの見積もりをもとに、自信を持って顧客に課題解決策を提案。専門家による裏付けと具体的な効果試算により、説得力のある提案となり、競合との価格競争に陥ることなく、高単価での受注に成功されました。
- 実行と展開: 受注後は、SIerがシステム構築・導入を担当。A社は、顧客との窓口役として、またプロジェクト全体のコーディネーターとして、円滑な導入を支援しました。一つの成功体験を基に、同様のモデルで他の顧客への提案も展開し、継続的に大型案件を獲得されていったのです。
このA社の事例は、「専門家連携モデル」が、商社にとってFA事業参入の強力な武器となり得ることを明確に示しています。自社のリソースに限界があっても、外部の力を戦略的に活用することで、大きな成果を上げることが可能なのです。
4:高単価受注の鍵!キーエンス流「課題発見力」×「専門家連携」の実践
専門商社A社の事例からもわかるように、「専門家連携モデル」を成功させる上で最も重要な要素の一つが、商社の営業担当者による「顧客の課題発見力」です。どれだけ強力な専門家やSIerと連携しても、そもそもの案件の「種」を見つけられなければ、モデルは機能しません。
ここで参考にしたいのが、高収益企業として知られるキーエンス社の営業スタイルです。彼らは単に製品を売るのではなく、顧客の工場に入り込み、現場を観察し、鋭い質問を投げかけることで、顧客自身も気づいていないような潜在的な課題を発見し、その解決策を提案することで圧倒的な価値を提供しています。
「専門家連携モデル」を活用する商社も、これと同様のアプローチ、すなわち「コンサルティング営業(課題解決型提案)」を実践することが、高単価受注への鍵となります。
しかし、
「キーエンスのような専門知識がないと無理だ・・・」
と考える必要はありません。
なぜなら、貴社には「専門家パートナー」という強力な存在がいるからです。
貴社に求められるのは、まず顧客の懐に入り込み、課題の「芽」を見つけることです。
そのための具体的なアクションが、
「5つの魔法の質問」
です。
これは、顧客との日常会話の中で、自然な形でFA化に繋がる可能性のあるニーズを引き出すためのシンプルな問いかけです。
- 「今、工場の中で『人がやるには大変だな』『しんどいな』と感じる作業は、具体的にどんなことですか?」
○ → 質問から探れるFAニーズ:作業負担の軽減 / 労働環境の改善 - 「最近、『ここは人手が足りないな』『募集してもなかなか人が来ないな』と感じる工程や部署はありますか?」
○ → 質問から探れるFAニーズ:人手不足の解消 / 省人化 - 「もし、今よりもっと生産量を増やせるとしたら、どの工程の能力アップが必要になりますか?」
○ → 質問から探れるFAニーズ:生産能力の向上 / ボトルネック解消 - 「品質面で、『ここの精度が安定しない』『不良が多くて困る』といった課題はありますか?」
○ → 質問から探れるFAニーズ:品質改善・安定化 / 不良率削減 - 「『このデータ、もっと活用できないかな?』『現場の状況がリアルタイムで見えたらいいのに』と思うことはありますか?」
○ → 質問から探れるFAニーズ:生産状況の見える化 / データ活用
これらの質問を通じて得られた顧客の「困りごと」や「もっとこうしたい」という生の情報を、たとえそれが断片的であっても、すぐに専門家パートナーに連携する。これが極めて重要です。専門家はその情報(=課題の芽)を基に、深い分析と知見で具体的な解決策(=FA化構想)へと育て上げます。つまり、商社が「課題発見(キーエンス流の入り口)」を担い、専門家が「ソリューション構築(キーエンス流の提案力)」を担う。この連携こそが、商社単独では難しかった高付加価値な提案を可能にするのです。
5:明日から始める!FA事業成功へのファーストステップ
さて、FA市場の大きな可能性と、「専門家連携モデル」という具体的な戦略、そして成功事例と実践のポイントをご理解いただけたことと思います。重要なのは、この知識をインプットで終わらせず、実際のアクションに繋げることです。FA事業は、貴社の未来を切り拓く新たな成長エンジンとなる可能性を秘めています。その第一歩を、ぜひ明日から踏み出してください。
では、具体的に何から始めるべきか? 複雑に考える必要はありません。まずは、以下のシンプルなステップで始めてみましょう。
ステップ1:意識を変え、顧客の声に耳を澄ます 明日からの顧客訪問や電話での会話で、少しだけ意識を変えてみてください。単なる製品の受注や納品の話だけでなく、「5つの魔法の質問」を参考に、お客様の工場の「不」(不便、不満、不足、不安)や「もっとこうしたい」という願望に、注意深く耳を傾けてみましょう。「何かお困りごとはありませんか?」という漠然とした問いではなく、具体的な作業や状況について質問することがポイントです。今日紹介した5つの質問は、そのためのきっかけとなるはずです。
ステップ2:小さな「種」を見つけたら、すぐに専門家に相談する 完璧な情報や深い技術知識は不要です。「〇〇作業で人手が足りないらしい」「△△工程の品質が安定しないようだ」「□□のデータ活用に関心があるみたいだ」…このような断片的な情報、顧客のちょっとした一言、それがFA案件に繋がる貴重な「種」となります。重要なのは、その種を自分の中だけで温めておくのではなく、できるだけ早く、信頼できる専門家パートナーに相談することです。「こんな話を聞いたのですが、何か提案の可能性はありますか?」と、気軽に壁打ち相手として活用してください。
ステップ3:専門家と共に、最初の成功体験を創る 専門家は、貴社が掴んだ「種」を基に、具体的な提案の可能性を探ります。必要であれば顧客に同行し、現状分析や構想策定を行います。最適なSIerを紹介し、ROI(投資対効果)を示せる提案資料の作成も支援します。貴社は、そのプロセスに顧客との窓口役・調整役として関わりながら、専門家のノウハウを吸収し、最初の成功体験を共に創り上げていきます。この最初の成功が、貴社のFA事業における自信と実績となり、次の展開への大きな推進力となるでしょう。
FA事業への挑戦は、決して容易な道のりではありません。しかし、適切な戦略と信頼できるパートナーがいれば、必ず乗り越えられます。「専門家連携モデル」は、まさにそのための効果的な処方箋です。
【このコラムを読んだ後に取るべき行動】
本コラムを読み、FA事業への可能性を感じられた商社の経営者様、ご担当者様。最初の一歩は、決して大きなものである必要はありません。
- 顧客リストの見直しとヒアリング対象の選定: まずは、FA化のニーズがありそうな既存顧客を数社リストアップし、「5つの魔法の質問」を投げかけてみてください。
- 専門家への相談: 顧客から得られた情報や、貴社が漠然と感じているFA事業への課題・可能性について、私たち専門家(船井総合研究所)にぶつけてみませんか? 初回のご相談は無料です。貴社に最適なFA事業参入・拡大の進め方について、具体的なアドバイスをさせていただきます。
貴社の挑戦を、私たち船井総合研究所が全力でサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせはこちら】
https://www.funaisoken.co.jp/solution/maker_smartfactory_703_S045