記事公開日:2025.06.17
最終更新日:2025.06.19
『下請けだから値上げは無理…』は勘違い。取引関係を壊さずに価格転嫁を8割成功させる、たった1つの準備とは?

「ウチは下請けだから、親会社に値上げなんて言えるわけがない…」
「価格交渉を切り出して、取引を切られたらどうしよう…」
そう思い込んで、赤字覚悟で仕事を受けていませんか?その考え方こそが、あなたの会社の利益を蝕む最大の原因です。
断言します。
正しい準備と手順を踏めば、価格転嫁は決して不可能ではありません。
本記事では、多くの経営者が恐れる「価格交渉」を成功させ、取引関係を悪化させることなく、むしろ信頼を深めるための超具体的な方法を解説します。
▼前回の記事はこちら
「【2025年最新版】円安で利益が消える…はもう終わり。専門家が教える、価格転嫁を成功させる『攻めの原価管理』完全ガイド」
https://smart-factory.funaisoken.co.jp/250616-2/
目次
その交渉、失敗します。多くの経営者が陥る典型的なミス
まず、なぜ多くの価格交渉が失敗するのかを知っておきましょう。
- 感情論で訴える: 「もう限界なんです!お願いします!」という泣き落とし。
- 根拠が曖昧: 「全体的にコストが上がっているので…」という漠然とした説明。
- 奇襲をかける: 事前の根回しなく、いきなり値上げを突きつける。
これらはすべてNGです。相手に「ただゴネているだけ」という印象を与え、交渉のテーブルにすら着いてもらえません。
交渉の成否は「準備」で決まる!説得力を生む『原価構成計算書』の作り方
成功の鍵は、交渉の席に着く前に、すでに勝負が決まっているという意識を持つことです。そのための最強の武器が『原価構成計算書』です。これは、単なる見積書ではありません。「なぜ、この価格でなければならないのか」を論理的に証明する資料です。
記載すべき必須項目:
- 対象製品名・期間
- 項目別の原価比較: (前回見積時 vs 今回見積時)
○ 材料費: 〇〇円 → △△円 (+×%) ※市況データのグラフなども添付
○ 労務費: 〇〇円 → △△円 (+×%) ※最低賃金上昇率などを注記
○ エネルギー費: 〇〇円 → △△円 (+×%) ※燃料費調整額の推移などを添付
○ 経費合計: 〇〇円 → △△円 - 合計原価と利益
- 自助努力の説明: (例: 生産効率を〇%改善し、×円のコストを吸収)
この一枚があるだけで、あなたの要求は「お願い」から「正当な要求」へと変わります。
【例文あり】交渉を有利に進めるシナリオとトークスクリプト
資料が準備できたら、交渉のシナリオを組み立てます。
ステップ1:事前通知(メール or 電話)
「〇〇様、いつもお世話になっております。昨今のコスト環境の変化に伴い、××製品の価格についてご相談させて頂きたく、お時間を頂戴できますでしょうか。つきましては、現状をご説明するための資料をお持ちしたく存じます。」
ステップ2:交渉本番(対面 or Web会議)
「本日はお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、こちらの資料をご覧ください。(『原価構成計算書』を提示)…このように、弊社でもコスト削減に努めておりますが、材料費とエネルギー費の高騰が自助努力の範囲を超える状況となっております。つきましては、大変恐縮ですが、×月納品分より価格を〇%改定させていただきたく、ご検討のほどお願い申し上げます。」
ポイント: 常に冷静に、客観的なデータに基づいて話を進めること。
相手の反論を予測せよ!よくある反論への完璧な切り返し術
- 「競合のA社は、価格を据え置いているぞ」
→「左様でございますか。ただ、弊社の製品はご存知の通り、国産の〇〇を原料としており…(品質や仕様の違いを説明)。この品質を維持するためには、今回の改定が不可欠となります。」 - 「そんな急に言われても困る」
→「ご無理を申し上げ大変恐縮です。つきましては、例えば〇月までは現行価格とし、×月より段階的に改定させていただく、といった方法はいかがでしょうか?」
応用編:単なる値上げで終わらせない。「付加価値提案」でWin-Winを築く
もし可能であれば、値上げと共に相手へのメリットも提案しましょう。
「価格は〇%上がりますが、その分、検査体制を強化して不良率をさらに0.×%低減させます」
「新しい機械を導入しますので、納期を平均〇日短縮できます」
これにより、交渉は「奪い合い」から「協力して価値を創造する」というポジティブなものに変化します。
まとめ:価格転嫁は「お願い」ではなく、健全なビジネスを続けるための「権利」です。
正しい準備をすれば、価格交渉は怖くありません。むしろ、自社の状況を誠実に伝えることで、取引先との信頼関係がより深まることさえあります。赤字で仕事を受け続けることは、誰のためにもなりません。勇気を持って、最初の一歩を踏み出しましょう。
▼参考記事「第1回:「本当に」正しい原価管理できていますか?」
https://smart-factory.funaisoken.co.jp/241118/
「言い値」での取引から脱却したい経営者様へ
【その値引き要求、本当に飲んでも大丈夫ですか?】
「得意先からの値下げ要求を断れない…」
「自社の原価が曖昧で、交渉の土台すらない…」
「気づけば、赤字の仕事ばかりが増えている…」
そんなお悩みは、「正確な原価データ」がないことが原因です。
船井総研の「6ヶ月集中・変革プログラム」は、まず貴社の製品別・工程別の“本当の”原価を徹底的に見える化します。
どの製品が、どの取引先が、本当に利益を生んでいるのか。
その明確なデータを武器にすることで、貴社はもう「言い値」で取引する必要はありません。
- 赤字製品を特定し、価格改定や取引見直しの判断が可能に。
- 明確な根拠を提示し、取引先と対等な価格交渉を実現。
- 見積もり精度が向上し、安値受注による損失を未然に防止。
コンサルティング費用は、赤字受注を1つ見直すだけで十分に回収できるかもしれません。
まずは、貴社の交渉力をどれだけ強化できるか、ご相談ベースでお聞かせください。
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https://formslp.funaisoken.co.jp/form01/lp/post/inquiry-S045.html
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