記事公開日:2025.07.28
最終更新日:2025.07.28
パッケージに合わせるシステム導入とは? 業務標準化の成功要因を解説!

目次
1.事例企業様の概要
【部品製造業 T社様】
■所在地:岐阜県
■従業員数:約50名
■事業内容:自動車関連部品の製造・販売
T社様は、現状のアナログ手法での業務内容について、将来を見据えたシステム化を推進して、基幹システムの導入に成功致しました。カスタマイズを実施しないパッケージシステムを導入させる、そんなT社様が直面した様々な課題を乗り越えて、ERPパッケージシステムを導入した事例をご紹介いたします。
2.現場任せの製造/属人化/進捗が見えない
これまでT社様では、生産管理部として生産計画や指示を実施していたが、「生産現場が自己判断で生産数を決めている」、「生産計画が属人化している」、「作業進捗が見えない」といった課題があり、現状のアナログ業務から、基幹システム導入での一元化を決断されます。
そして、基幹システム導入を行う上で、最も重要である、目的/コンセプトを下記のように掲げ、基幹システム導入を進めます。
■目的「業務標準化を推進し、持続可能な事業とする」
⇒ 受発注業務、在庫管理、生産計画などシステムで一元管理
⇒ 在庫管理、棚卸しの時間短縮等による間接コスト削減と生産性改善
⇒ 事務経理処理においての二重三重の業務を排除
■コンセプト
・パッケージシステムに業務を合わせる。【業務標準化】
・経営者を交えたプロジェクトメンバーを中心に全社で推進する。【担当者に任せきりにしない】
・新業務開始にあたり時流に則ったルールを明確にしてこれを遵守する。
上記コンセプトを社長に宣言していただくによって、「標準システム以外使用しない(パッケージに業務を合わせる)」、「追加開発をしない」、「運用を変更しないということはしない」、「同じものを2度入力しない」という、プロジェクトルールの徹底化がなされました。
つまり、『パッケージに合わせて、カスタマイズをせず、運用・ルールを柔軟に変える』、ということです。
3.パッケージシステム化への最大の課題「既存業務」
アナログ業務とシステム業務において最大の差は「自由度」です。
システムというのは基となるマスタがあることや決まった処理が前提となっており、各人が自由に好きなように処理ができないから、「業務が標準化」されるのです。
これに対して既存業務では、全て融通が利く状態のため、管理が非常に難しく、仕事量が増えて行き詰まることが最大の要因です。特に重要なのは「品目マスタ」であり、自ら生産している品目の体系化ができるかがキーとなります。
本事例においても、この「品目マスタ」を作成するのに、膨大な時間を要しました。更にマスタ作成後も現場からの理解を得られずに、活用してもらえなかった場面もありました。ここで実践したのが徹底的な個別レクチャーです。各現場個々人の理解を深めるために、少人数制の研修会を毎週のように開催しました。時には完全な個別指導も含めて3ヶ月間を徹底的にトレーニング期間とすることによって、システムへの理解や操作の習熟につながり、次第に反対意見も薄れてきて、1つにまとまり始めました。細かなことですが、説得からの理解によって、パッケージの標準操作によって自分の業務を実行する感覚を養うのです。
4.Microsoft社の『Dynamics 365 Business Central』により、生産管理の標準化、脱属人化、効率化を達成
前述のようなコンセプトを実現するために、T社様では Microsoft 社の『Dynamics 365 BusinessCentral』というパッケージ基幹システムを導入し、既存の業務の標準化を実現されました。
1)Dynamics導入後の効果
①日々の生産実績計上は現場による手書き日報にて管理されていた。
⇒Dynamicsにより、入力データが一元化され、生産現場と生産管理部の連携を実現
②受発注状況が一覧で確認が行えていなかった
⇒Dynamics標準にて受注・発注入力を行うことにより案件状況検索性が格段に向上した
2)成果に繋がったポイント
前述のように今回の基幹システム導入において、成果に繋がった最大のポイントは、
『業務をパッケージに合わせる為に、現状の運用・ルールを柔軟に変える』を徹底したことです。
システムを導入するにあたって非常に大事なポイントであり、目的/目標にもあった、属人化・効率化を達成するためにも、とても重要なことです。ただし、これは宣言をすればそのように進むということではなく、常に導入のポイントポイントでキーマン(本プロジェクトでは社長)の指示が的確になされていたことを意味します。
これにより現場メンバーが判断に迷うことなく、正しい導入に進むことができました。
更にプロジェクトメンバーからの徹底的な現場担当者指導が全体を巻き込む雰囲気を加速させました。
3)さいごに
基幹システムの導入において、「自分達には合わない、活用できない」 というお声をよく耳にします。
それは、システムをプロダクトとして導入するだけで業務整理を実施しない、カスタマイズを実施してしまっていて属人化したシステムになってしまっている、操作方法やルールが分からず迷っている、などが挙げられると思います。このような状態になってしまっていると「今までのやり方でよいのでは・・」という意識がメンバーの心の中に醸成されてしまいます。
全員が一丸となってシステムを使用できる「業務標準化」状態を作るためには、
「一人一人が当事者という意識を持つこと」+「環境面のサポート」がいかに大事であるか、本事例にて、お伝えさせていただきました。
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