記事公開日:2025.12.08
最終更新日:2025.12.08
投資回収1年半も可能?低コスト協働ロボットで始める「NC旋盤・マシニング」後付け自動化

「受注は好調だが、人が足りなくて機械をフル稼働できない」 「昼間は社員が張り付いてワーク交換をしているが、夜間は機械が止まっており、もったいない」
金属加工の現場では、こうした悩みが尽きません。NC旋盤やマシニングセンタの稼働率を上げる鍵は、人手に頼っている「ワークの脱着作業(マシンテンディング)」の自動化にあります。特に夜間の無人運転が実現できれば、利益率は劇的に改善します。
しかし、自動化には「数千万円の設備投資が必要」「大掛かりな工事でラインを止める必要がある」というイメージが強く、多くの中小企業が二の足を踏んでいるのが現実です。
この記事では、そんな常識を覆す、低コストな協働ロボットを活用した「後付け」自動化戦略を解説します。投資回収期間を従来の半分以下に短縮し、「1年半」での回収も視野に入る現実的なシナリオと、その具体的な方法をお伝えします。
目次
1. NC旋盤・マシニングの「後付け自動化」に、なぜ協働ロボットが最適解なのか?
既存の工作機械に、後から自動供給装置を導入する場合、従来は「ガントリーローダー」のような専用機が主流でした。しかし近年、その主役は「協働ロボット」に移りつつあります。
1-1. 既存のレイアウトを崩さず導入可能。安全柵が不要なメリット
最大の理由は「省スペース性」です。従来の産業用ロボットや専用機は、安全のために頑丈な柵で囲う必要があり、広い設置場所が必要でした。 一方、人と一緒に働くことを前提に設計された協働ロボットは、適切なリスクアセスメントのもと、安全柵なしで設置可能です。機械の前の狭い通路や、人が作業していたわずかなスペースに導入できるため、既存の工場レイアウトを大幅に変える必要がありません。
1-2. 専用機(ガントリーローダー等)と比較した柔軟性。多品種少量への対応力
専用機は特定のワークを高速搬送することに特化しており、品種変更への対応は苦手です。 協働ロボットは「人間の腕」と同じ多関節構造を持つため、動きの自由度が高く、ハンドを交換するだけで多様な形状のワークに対応できます。多品種少量の生産現場においては、この柔軟性が大きな武器になります。
1-3. 「夜間だけロボットに任せる」というハイブリッドな運用が可能
協働ロボットは簡単に移動させたり、一時的に退避させたりすることができます。 「昼間は段取り替えが多いので人が作業し、夜間だけロボットを配置して単純な量産加工を無人で行う」といった、人とロボットのハイブリッドな運用が可能です。これも専用機には真似できないメリットです。
2. 導入の最大の壁は「初期コスト」。マシンテンディングの費用構造を理解する
メリットばかりに見える協働ロボットによるマシンテンディングですが、導入の最大の障壁は、やはり「コスト」です。
2-1. ロボット本体は氷山の一角。システム全体でかかる費用の内訳
ロボットがワークを機械に脱着するためには、ロボット本体以外にも様々な周辺機器が必要です。
- ロボットハンド: ワークを掴む爪。切削油(クーラント)に強い耐環境性が必要。
- ワークストッカー: 加工前の素材と、加工後の完成品を置いておく棚や台。
- 架台: ロボットを固定する台。移動式にする場合もある。
- 機械との信号連携工事: 「扉を開けて」「チャックを閉めて」といった信号をやり取りするための改造費用。
- システムインテグレーション費: 全体の設計、設置、調整費用。

図1:マシンテンディング自動化システムの内訳。特に「機械側の信号連携工事」は費用が膨らみやすいポイント。
2-2. 多くの現場が「投資回収」の壁で自動化を断念する現実
大手メーカー製の協働ロボットを使ってシステムを組むと、総額で1,000万円〜1,500万円程度かかるのが一般的です。 これに対し、削減できる人件費が年間300〜400万円程度だとすると、投資回収には3〜5年かかります。ロボット活用が初めての中小企業で先行き不透明な時代において、回収に3年以上かかる投資は経営リスクが高く、稟議が通らない大きな原因となっています。
3. 投資回収1年半を実現!?低コスト協働ロボット「FAIRINO」の衝撃
この「コストの壁」を打ち破る存在として注目されているのが、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る協働ロボット「FAIRINO」です。
3-1. 他社製ロボットの約半額で導入可能。圧倒的なイニシャルコスト削減効果
FAIRINOは、主要部品の内製化などにより、一般的な協働ロボットと比較して、およそ半額程度の価格帯で導入可能です。 ロボット本体価格が大幅に下がることで、システム総額も劇的に圧縮され、これまで非現実的だった「短期間での投資回収」が現実味を帯びてきます。
3-2. 【徹底試算】NC旋盤を夜間8時間無人化した場合の投資回収シミュレーション
では、FAIRINOを導入してNC旋盤の夜間無人稼働を実現した場合、実際にどれくらいで投資を回収できるのか、シミュレーションしてみましょう。
【前提条件】
- 対象設備: 既存のNC旋盤1台に、FAIRINO(FR5モデル想定)を後付け
- 運用: 昼間は有人稼働、夜間8時間を完全無人稼働に追加
- 自動化による利益創出効果:
- 夜間作業者1名分の人件費削減(時給1,500円×8h×20日×12ヶ月 ≒ 年間288万円)
- 夜間稼働による粗利増加分(月間20万円UPと仮定 ≒ 年間240万円)
- → 年間合計メリット:約528万円
【システム導入費用(概算)】
- FAIRINO本体&標準システム: 約250万円
- 周辺機器(ハンド、簡易ストッカー、架台): 約200万円
- 工事費・SIer費用(機械連携含む): 約300万円
- → システム総額:約750万円(※一般的な他社製だと1,200万円〜)
【投資回収期間の試算】
- システム総額 750万円 ÷ 年間メリット 528万円 ≒ 1.42年
なんと、約1年半(1.4年)での投資回収が可能という試算結果になりました。これなら、中小企業でも十分に決断できる範囲ではないでしょうか。
3-3. 安くても性能は十分。マシンテンディングに求められる精度と耐久性
「安いロボットで、油まみれの現場で使い物になるのか?」という不安もあるでしょう。 マシンテンディングに求められる繰り返し精度は通常±0.05mm〜±0.1mm程度ですが、FAIRINOは±0.05mm(FR5モデル)の精度を持っており、スペック上は全く問題ありません。また、適切な保護カバーなどを装着することで、切削現場での使用にも対応可能です。
4. 「後付け」で失敗しないために。導入前に確認すべき3つの技術的ハードル
コストの課題はクリアできそうですが、後付け自動化には技術的な落とし穴もあります。失敗を防ぐために必ず確認すべき3つのポイントを挙げます。
4-1. 最重要:既存の機械と「信号連携(I/O)」ができるか?
ロボットは、工作機械と「会話」をしなければ仕事ができません。「今からワークを入れるので、チャックを開けてください」「加工が終わったので、扉を開けてください」といった信号(I/O)のやり取りが必要です。 比較的新しい機械には、外部機器と接続するための「オートローダーインターフェース」が標準装備されていますが、古い機械には付いていない場合があります。その場合、機械メーカーに依頼して基板の改造やオプション追加が必要になり、数十万円〜百万円単位の追加費用が発生したり、最悪の場合、接続不可となることもあります。 導入検討の最初に、自社の機械がロボットと接続可能かを確認することが絶対条件です。
4-2. ワーク供給装置(ストッカー):素材をどうやってロボットに渡すか?
ロボットが夜通し働くためには、数時間分の素材(ワーク)をストックしておく場所が必要です。 最も安価なのは、位置決めされたパレットに素材を並べておく方式ですが、ワークの形状によっては、専用のパーツフィーダーや多段積みのストッカーが必要になり、コストが変動します。
4-3. ロボットハンドの選定:切削油(クーラント)や切り粉への対策は必須
機械の中は、切削油(クーラント)や鋭利な切り粉が飛び散る過酷な環境です。 一般的な吸着ハンドでは油で滑ってワークを落としてしまうため、強力な把持力を持つメカニカルハンドや、クーラントに耐性のある特殊なハンドを選定する必要があります。ここをケチると、稼働直後にトラブルが続出します。
5. まとめ:まずは自社の機械が「自動化できるか」の診断から
FAIRINOという選択肢が登場したことで、NC旋盤やマシニングセンタの「後付け自動化・夜間無人化」は、もはや夢物語ではなく、現実的な投資対象となりました。「投資回収1年半」は決して絵空事ではありません。
しかし、実現のためには「お使いの機械がロボットと接続できるか」という技術的なハードルをクリアしなければなりません。
「うちの古い機械でも大丈夫?」 「自分の現場の場合、総額でいくらになる?」
そう思われた方は、悩む前に、まずは専門家の目による診断を受けてみてください。
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