記事公開日:2021.04.02
最終更新日:2023.01.20

データドリブンを実現する「考え方」と具体的手法を解説

「データドリブン」という言葉は主にマーケティング分野で使われている言葉ですが、最近では経営分野でも使われるようになってきました。2018年頃より盛んになった企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が近年いっそう進んだことや、クラウドやデータ分析技術の進化によって、以前は扱いが困難だった膨大で複雑なビッグデータも分析・活用できるようになってきました。そして、経営の領域においても、これまで蓄積してきたデータを企業活動に生かそうという動きが広がって来ています。

では現状、私たちは経営判断や現場判断などの意思決定をする場合、どのようなことを根拠に判断しているでしょうか。

必要な情報を収集、纏めた上で判断する方、もしくは自らの勘・経験を頼り(いわゆるKKD(勘・経験・度胸))に判断する方もいらっしゃるでしょう。判断するには誰もが、前者であるべきと考えていますが、実際は、判断に活用出来るデータが出来るまでに「データを集計→表やグラフにする」といった作業に多くの労力と時間がかかる為、後者の場合で判断してしまうことも多くあるかと思います。誰もがデータを活用しなければならないと考えている中で、大きなギャップが存在しているという課題があります。

データドリブンはただの「紙→デジタル」の置き換えではありません。
例えば、現場の検査表を紙からタブレット入力にしてデータを保管しておくのは「ただのデジタル化」です。
検査表からデータ分析して設備の点検優先を自動でシステムから提案して人が判断・行動していくのが「データドリブン」です。
このように現場でも積極的データを基に、分析して、判断・行動していくのがあるべき姿です。

そのデータドリブンに移行するにあたりポイントになるのが以下です

<クラウドの活用>

蓄積データについてサーバーをどこに構築するかの選択があります。もちろん、社内サーバーもよいですが、初期費用・メンテナンス・セキュリティを考えた場合、クラウド運用は大きなメリットがあります。
「クラウド」とは、クラウドベンダーが用意したITリソースをネットワーク越しに利用し、利用量に応じて料金を支払う方式のことです。サーバー機器を購入せずインターネット上でサーバーを利用するため、物理的な投資はなく、資産管理も必要ありません。つまり、サーバーを管理することが不要であることから、自社での製品アップデート作業やメンテナンスも不要となります。また、クラウドは専門知識がなくてもすぐに始めることができます。
いつでも環境が整っている為、サービスの導入時も設定のみで容易に利用を開始することができます。

詳しくはこちらのページをご参照ください(https://smart-factory.funaisoken.co.jp/glossary/201005/

<ブラウザの活用>

蓄積されたデータを「どこでも」「誰でも」見ることが求められます。
データがあっても「会社に帰って確認します」では効率が悪い。ですよね。
その場でデータから出来ればすぐに回答可能ですが、データが見えないだけで数日間進捗が遅れてしまい、もしかしたら、営業機会を逃してしまうかもしれません。
その点を改善するために活用したいのが「ブラウザ」です。
ブラウザは、英語の「browse(拾い読み)」が語源とされており、webサイトを閲覧するためのソフトを指します。有名なブラウザとして知られているのは以下の通りです。

  • Internetexplorer(Microsoft社)
  • Microsoft Edge(Microsoft社)
  • Googlechrome(Google社)
  • Mozilla Firefox(Mozilla Foundation社)
  • Safari(Apple社)

前述の「クラウド」を活用するためには、ブラウザ環境が必須となります。活用したいクラウドにより、最適なブラウザが異なるため、導入を検討する際にはしっかりと確認することが必要です。

<BIの活用>

BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、企業が持つさまざまなデータを分析・見える化して、経営や業務に役立てるソフトウェアのことです。表やグラフなど「見えるデータ」にするには、担当者が生データを加工(Excel入力→グラフ化)しなければなりません。この作業は単純なようですが、見えないところで担当者の多くの時間を使っています。報告資料の為に、時間をかけてデータを加工して、グラフや表を作るのは担当者の本来の業務ではありません。
BIツールを活用することで、「報告の為の資料作り」の必要がなくなり、担当者を含めた、様々な立場の方々が「見える化したデータ」を共有・活用することができるようになります。「顧客別の売上情報」「製品別の売上情報」「設備別の生産情報」など「必要なデータ」を「必要なとき」に見て、データから判断する、といったことが可能になります。データドリブンにおいてはBIツールの活用はマストになるでしょう。

<AIの活用>

AIの得意とすることは蓄積されたデータから予測したり、判断することです。船井総研では「熟練作業の標準化」という切り口でAIの活用を御提案しています。
熟練作業はベテラン高齢者だけではなく、パートの方でも誰でもあり得ます。要するに、「長いこと経験しているその人しかできない」作業のことです。
AIを活用することで「いつでも、誰がやっても同じ結果に」ということが可能になります。
蓄積されているデータから最適な判断をAIがします。もちろん、蓄積データは当然その企業のノウハウとなります。未知のモノからAIが結論を出す訳ではありません。あくまでAIが持つデータは「企業の知」そのものです。熟練技術やベテラン担当者の作業は1~2年で他の人がマスターできるようなものではありません。かといっていつまでの熟練技術やベテランがいるわけではありません。AIを活用して、誰もがその技術を共有できる環境が今後必要になってきます。

データドリブンで考える上で重要なことは、データが会社の中心にあり、「いつでも・どこでもデータを取り出せる」ことです。コロナ禍により、さらに、このような環境の必要性はより重要なものとなりました。
個人のローカルPCだけに保管していたり、会社に戻らないとシステムが見られないのでは、判断やアクションが遅れてしまいます。「会社の知」を全員で共有し、データドリブンを実現していきましょう。

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