DX CONSULTING COLUMN 工場DXコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

中堅・中小製造業のためのデータ活用経営

2024.09.03

製造を行っている企業は生産管理システムを導入し、受注・部品発注・作業指示書発行・出荷など 製造業務の管理を行っていると思います。 生産管理システムには製造を行う企業の様々なデータが蓄積されています。 しかし、そのデータを日々の製造業務以外に有効活用出来ている企業は少ないと思います。 今回は、その生産管理システムが持っている、蓄積されているデータが有効活用されない要因を 課題として6つあげ、それぞれの課題の背景、解決策を説明いたします。 DX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えてみては如何でしょう? 1.課題の背景と解決策 課題1:データ入力の精度不足 [背景] 生産管理システムに正確なデータを入力することが不可欠ですが、現場では手作業によるデータ入力や、入力の省略が発生することがあります。また、入力者の理解不足や、システムの使い勝手が悪い場合、データの誤りが多発します。これにより、システムが提供する情報の信頼性が低下し、経営判断に悪影響を与えることになります。 [解決策] ①トレーニング: 入力担当者に対する定期的なトレーニングを実施し、正しい入力方法を周知徹底します。 ②UI/UXの改善: システムのユーザーインターフェースを改善し、入力ミスが発生しにくいデザインを採用します。 ③自動化: 入力作業をできるだけ自動化することで、人為的なミスを減少させます。 例えば、バーコードやRFIDタグを利用した自動データ収集システム、加工機器からの自動データ取得システムの導入が考えられます。 課題2:標準工数の精度が低い [背景] 標準工数の精度が低いと、見積もりが不正確になり、顧客との信頼関係が損なわれる可能性があります。 また、実際のコストとのギャップが生じるため、利益率の低下や不適切なリソース配分が発生します。 最悪、認識ない状態で赤字受注しているケースも発生してしまいます。 [解決策] ①実績データの活用: 実際の作業時間を正確に計測し、それに基づいて標準工数を見直すことが必要です。これにより、実際の工程に即した標準工数を確立し、見積もり精度を向上させます。 ②リアルタイムモニタリングの導入: IoTデバイスやセンサーを活用して、各工程の作業時間をリアルタイムでモニタリングし、データを自動的に収集します。これにより、データの精度とタイムリーな分析が可能になります。 ③定期的な見直しと改善: 標準工数は一度決めたら終わりではなく、定期的に見直し、改善を図ることが重要です。市場の変化や技術革新に対応できるよう、柔軟に対応する仕組みを整えます。 課題3:経営層の理解と関与不足 [背景] 経営者が生産管理システムの導入やデータ活用の重要性を十分に理解していないと、改善活動が進みにくくなります。これが、システムの導入効果を十分に引き出せない原因にもなります。 また、経営者が全社員に対し取り組みの目的や目指す効果をきちんと説明し理解してもらうことも非常に重要です。 [解決策] ①経営層への啓発活動: セミナーやワークショップを通じて、生産管理システムの効果的な活用が経営に与える影響を経営層に理解してもらう取り組みを行います。 ②データドリブン経営の推進: データを活用した意思決定の重要性を強調し、経営層が積極的にデータを活用できる環境を整えることが必要です。 簡単でわかりやすいダッシュボードの提供や定期的なデータ報告が重要となります。 ③成功事例の共有: 同業他社や業界内での成功事例を共有し、自社での活用イメージを具体的に持ってもらうことで、経営層の関心と協力を得やすくします。 課題4:データのサイロ化 [背景] 生産管理システム内のデータが他のシステムと連携していない場合、情報がサイロ化され、全体像を把握することが難しくなります。これにより、経営判断やプロセス改善が遅れることがあります。 [解決策] ①システム間の連携: ERPや会計システム、品質管理システムなどと生産管理システムを統合し、データの一元管理を実現します。 ②データ統合プラットフォームの導入: データ統合を支援するプラットフォームを導入し、異なるシステム間でデータを自動的に連携させます。 課題5:リアルタイムデータの欠如 [背景] リアルタイムでデータが収集されない場合、経営者や管理者は状況の変化に迅速に対応できません。 これにより、問題が発生してから解決に至るまでに時間がかかり、生産効率低下を招いてしまいます。 [解決策] ①IoT技術の導入: センサーやIoTデバイスを導入し、リアルタイムでのデータ収集を実現します。これにより、迅速な意思決定が可能になります。 ②リアルタイム監視システム: リアルタイムで生産状況を監視できるシステムを導入し、問題発生時に即座に対応できる体制を整えます。 課題6:データ分析能力の欠如 [背景] 蓄積されたデータが活用されない原因の一つは、データ分析能力が不足していることです。データの読み取りや分析ができないと、データに基づく改善策を講じることができません。 [解決策] ①データ分析の教育: 社内でデータ分析に関する教育を実施し、担当者のスキルを向上させます。 ②BIツールの導入: Business Intelligence (BI) ツールを導入し、誰でも簡単にデータ分析が行える環境を整えます。 これにより、経営層も含めた広範な人々がデータを活用できるようになります。 製造現場でのデータ活用にも利用できる様になります。 2.まとめ 中堅・中小製造業の企業におけるDX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えるための課題と解決策を解説しました。 これら生産管理システムのデータ活用に関する課題とその解決策を、それぞれの企業で具体的にどのように実現していくのか?については船井総研が主催するセミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量板金・プレス・溶接製造業のためのデータ活用経営 ~なぜ、生産管理システムが上手く機能しないのだろうか?~ 特別ゲスト講座: 既存の生産管理システムを活用して作業内容・工程進捗・工数・製品原価を見える化 生産管理システムのデータをリアルタイムで可視化したことによる現場社員の変化 経営者としてのデータ可視化の重要性 多品種少量生産の製造業”だからこそ”取り組むべきデータ可視化とは スエナミ工業 株式会社 代表取締役 末次 明 氏 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119384 製造を行っている企業は生産管理システムを導入し、受注・部品発注・作業指示書発行・出荷など 製造業務の管理を行っていると思います。 生産管理システムには製造を行う企業の様々なデータが蓄積されています。 しかし、そのデータを日々の製造業務以外に有効活用出来ている企業は少ないと思います。 今回は、その生産管理システムが持っている、蓄積されているデータが有効活用されない要因を 課題として6つあげ、それぞれの課題の背景、解決策を説明いたします。 DX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えてみては如何でしょう? 1.課題の背景と解決策 課題1:データ入力の精度不足 [背景] 生産管理システムに正確なデータを入力することが不可欠ですが、現場では手作業によるデータ入力や、入力の省略が発生することがあります。また、入力者の理解不足や、システムの使い勝手が悪い場合、データの誤りが多発します。これにより、システムが提供する情報の信頼性が低下し、経営判断に悪影響を与えることになります。 [解決策] ①トレーニング: 入力担当者に対する定期的なトレーニングを実施し、正しい入力方法を周知徹底します。 ②UI/UXの改善: システムのユーザーインターフェースを改善し、入力ミスが発生しにくいデザインを採用します。 ③自動化: 入力作業をできるだけ自動化することで、人為的なミスを減少させます。 例えば、バーコードやRFIDタグを利用した自動データ収集システム、加工機器からの自動データ取得システムの導入が考えられます。 課題2:標準工数の精度が低い [背景] 標準工数の精度が低いと、見積もりが不正確になり、顧客との信頼関係が損なわれる可能性があります。 また、実際のコストとのギャップが生じるため、利益率の低下や不適切なリソース配分が発生します。 最悪、認識ない状態で赤字受注しているケースも発生してしまいます。 [解決策] ①実績データの活用: 実際の作業時間を正確に計測し、それに基づいて標準工数を見直すことが必要です。これにより、実際の工程に即した標準工数を確立し、見積もり精度を向上させます。 ②リアルタイムモニタリングの導入: IoTデバイスやセンサーを活用して、各工程の作業時間をリアルタイムでモニタリングし、データを自動的に収集します。これにより、データの精度とタイムリーな分析が可能になります。 ③定期的な見直しと改善: 標準工数は一度決めたら終わりではなく、定期的に見直し、改善を図ることが重要です。市場の変化や技術革新に対応できるよう、柔軟に対応する仕組みを整えます。 課題3:経営層の理解と関与不足 [背景] 経営者が生産管理システムの導入やデータ活用の重要性を十分に理解していないと、改善活動が進みにくくなります。これが、システムの導入効果を十分に引き出せない原因にもなります。 また、経営者が全社員に対し取り組みの目的や目指す効果をきちんと説明し理解してもらうことも非常に重要です。 [解決策] ①経営層への啓発活動: セミナーやワークショップを通じて、生産管理システムの効果的な活用が経営に与える影響を経営層に理解してもらう取り組みを行います。 ②データドリブン経営の推進: データを活用した意思決定の重要性を強調し、経営層が積極的にデータを活用できる環境を整えることが必要です。 簡単でわかりやすいダッシュボードの提供や定期的なデータ報告が重要となります。 ③成功事例の共有: 同業他社や業界内での成功事例を共有し、自社での活用イメージを具体的に持ってもらうことで、経営層の関心と協力を得やすくします。 課題4:データのサイロ化 [背景] 生産管理システム内のデータが他のシステムと連携していない場合、情報がサイロ化され、全体像を把握することが難しくなります。これにより、経営判断やプロセス改善が遅れることがあります。 [解決策] ①システム間の連携: ERPや会計システム、品質管理システムなどと生産管理システムを統合し、データの一元管理を実現します。 ②データ統合プラットフォームの導入: データ統合を支援するプラットフォームを導入し、異なるシステム間でデータを自動的に連携させます。 課題5:リアルタイムデータの欠如 [背景] リアルタイムでデータが収集されない場合、経営者や管理者は状況の変化に迅速に対応できません。 これにより、問題が発生してから解決に至るまでに時間がかかり、生産効率低下を招いてしまいます。 [解決策] ①IoT技術の導入: センサーやIoTデバイスを導入し、リアルタイムでのデータ収集を実現します。これにより、迅速な意思決定が可能になります。 ②リアルタイム監視システム: リアルタイムで生産状況を監視できるシステムを導入し、問題発生時に即座に対応できる体制を整えます。 課題6:データ分析能力の欠如 [背景] 蓄積されたデータが活用されない原因の一つは、データ分析能力が不足していることです。データの読み取りや分析ができないと、データに基づく改善策を講じることができません。 [解決策] ①データ分析の教育: 社内でデータ分析に関する教育を実施し、担当者のスキルを向上させます。 ②BIツールの導入: Business Intelligence (BI) ツールを導入し、誰でも簡単にデータ分析が行える環境を整えます。 これにより、経営層も含めた広範な人々がデータを活用できるようになります。 製造現場でのデータ活用にも利用できる様になります。 2.まとめ 中堅・中小製造業の企業におけるDX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えるための課題と解決策を解説しました。 これら生産管理システムのデータ活用に関する課題とその解決策を、それぞれの企業で具体的にどのように実現していくのか?については船井総研が主催するセミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量板金・プレス・溶接製造業のためのデータ活用経営 ~なぜ、生産管理システムが上手く機能しないのだろうか?~ 特別ゲスト講座: 既存の生産管理システムを活用して作業内容・工程進捗・工数・製品原価を見える化 生産管理システムのデータをリアルタイムで可視化したことによる現場社員の変化 経営者としてのデータ可視化の重要性 多品種少量生産の製造業”だからこそ”取り組むべきデータ可視化とは スエナミ工業 株式会社 代表取締役 末次 明 氏 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119384

第97回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2024にて、製造業・商社向けのブースを出展いたしました

2024.08.26

1.経営戦略セミナー 経営研究会全国大会とは 経営戦略セミナーは、創業者である舩井幸雄がスタートし、今回97回目を迎える、船井総合研究所を代表する伝統的なイベントです。 100を超える経営研究会、5,000人を超える会員企業の経営者が、一堂に会する「研究会全国大会」として開催しています。中堅・中小企業、特に地域で活躍する経営者に主眼を置いて、「時流」と「未来予測」から、向こう3~5年を見越して、中長期の課題解決やテーマをお伝えし、高いモチベーションを抱いていただきます。 2.工場DXコンサルティングの事業内容について 工場DXコンサルティングでは、主に製造業・商社向けのDX化に取り組んでいます。 現場密着したコンサルティングを強みとして、 ロボット導入 AI活用による工程最適化 IoT機器を活用した実際原価管理 基幹システムの刷新・再構築 など幅広い範囲を専門コンサルタントが担当しており、常時300社を超える企業様とご契約させていただいております。 工場DXコンサルティングメニュー 3.当日のブースの様子 当日は製造業・商社の方はもちろん、多業種の会員様も大勢ご来場いただきました。 展示会では、本サイトにも掲載されている工場DXレポートを配布しました。 工場DXレポート 4.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 1.経営戦略セミナー 経営研究会全国大会とは 経営戦略セミナーは、創業者である舩井幸雄がスタートし、今回97回目を迎える、船井総合研究所を代表する伝統的なイベントです。 100を超える経営研究会、5,000人を超える会員企業の経営者が、一堂に会する「研究会全国大会」として開催しています。中堅・中小企業、特に地域で活躍する経営者に主眼を置いて、「時流」と「未来予測」から、向こう3~5年を見越して、中長期の課題解決やテーマをお伝えし、高いモチベーションを抱いていただきます。 2.工場DXコンサルティングの事業内容について 工場DXコンサルティングでは、主に製造業・商社向けのDX化に取り組んでいます。 現場密着したコンサルティングを強みとして、 ロボット導入 AI活用による工程最適化 IoT機器を活用した実際原価管理 基幹システムの刷新・再構築 など幅広い範囲を専門コンサルタントが担当しており、常時300社を超える企業様とご契約させていただいております。 工場DXコンサルティングメニュー 3.当日のブースの様子 当日は製造業・商社の方はもちろん、多業種の会員様も大勢ご来場いただきました。 展示会では、本サイトにも掲載されている工場DXレポートを配布しました。 工場DXレポート 4.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/

100万円以下で導入できる協働ロボットのご紹介

2024.08.22

人手不足が叫ばれている昨今においては、溶接業界においても“自動化”は重要なテーマです。溶接ロボット導入のメリットとしては、作業効率の向上や品質の安定化、作業者負担の減少など挙げられ、有用な自動化手段の一つとなっています。 しかし、従来のロボット溶接はコスト効果が合わず、中堅・中小企業の方にとっては手を出しづらいという課題がありました。 本コラムで紹介するF社製ロボットは、「100万円以下で導入できる協働ロボット」として注目を浴びています。他媒体にもほとんど出ていない情報となりますので、貴社の情報収集の一助になれば幸いでございます。 1. 100万円以下で導入できる「F社製協働ロボット」のご紹介 中国の協働ロボットメーカーが開発した“F社協働ロボット”は、なんと100万円以下で導入可能な協働ロボットです。(他社の協働ロボットでは、通常200万円~600万円程度費用がかかります。) その価格・スペックは非常に市場に支持されており、中国国内ではすでに数千台ものロボットを売り上げています。 実際にロボットが稼働している動画がこちらです。 [video width="967" height="544" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/111.mp4"][/video] [video width="540" height="960" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/112.mp4"][/video] 動画を見てお気づきの方もいらっしゃるかと存じますが、本ロボットは比較的難易度の低い溶接において、自動化効果を発揮します。 例えば、鉄鋼・鉄骨業界では、鉄骨同士を溶接する作業などを自動化することができます。単純な直線の溶接部分をロボットに担ってもらい、難易度の高い部分を作業者が補うことで、効率的に作業をおこなうことができます。 また、板金業界においては、部品の仮付け作業や、数の多いナットの溶接作業などでもロボットを活用することが可能です。 以下の表に「FR-5」(FAIR Innovation製可搬重量5kgのロボット)と、他社ロボットの主なスペックをまとめました。価格は低いですが、従来の協働ロボットと比較してもスペック自体に差は見られません。 なぜこんなにも価格が安いのでしょうか? 販売代理店を務める株式会社ロボティクスソリューションズ 劉 代表取締役社長によると、主要部品 (減速機、モータ、ドライバー基板など)を全て自社で内製化している点が大きいとのことでした。 2. まとめ 今回は、100万円以下で導入できる協働ロボットをご紹介しました。今まで自動化を断念せざるを得なかった方にとっても、再検討の余地があるロボットではないでしょうか? 詳細をご希望の方は、以下の経営相談フォームより問い合わせをお願い致します。 詳細な情報については、船井総研が9月に開催する「多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー」の第1講座にてお話しする予定です。ぜひご参加いただき、情報収集の一助としていただけますと幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117066 人手不足が叫ばれている昨今においては、溶接業界においても“自動化”は重要なテーマです。溶接ロボット導入のメリットとしては、作業効率の向上や品質の安定化、作業者負担の減少など挙げられ、有用な自動化手段の一つとなっています。 しかし、従来のロボット溶接はコスト効果が合わず、中堅・中小企業の方にとっては手を出しづらいという課題がありました。 本コラムで紹介するF社製ロボットは、「100万円以下で導入できる協働ロボット」として注目を浴びています。他媒体にもほとんど出ていない情報となりますので、貴社の情報収集の一助になれば幸いでございます。 1. 100万円以下で導入できる「F社製協働ロボット」のご紹介 中国の協働ロボットメーカーが開発した“F社協働ロボット”は、なんと100万円以下で導入可能な協働ロボットです。(他社の協働ロボットでは、通常200万円~600万円程度費用がかかります。) その価格・スペックは非常に市場に支持されており、中国国内ではすでに数千台ものロボットを売り上げています。 実際にロボットが稼働している動画がこちらです。 [video width="967" height="544" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/111.mp4"][/video] [video width="540" height="960" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/112.mp4"][/video] 動画を見てお気づきの方もいらっしゃるかと存じますが、本ロボットは比較的難易度の低い溶接において、自動化効果を発揮します。 例えば、鉄鋼・鉄骨業界では、鉄骨同士を溶接する作業などを自動化することができます。単純な直線の溶接部分をロボットに担ってもらい、難易度の高い部分を作業者が補うことで、効率的に作業をおこなうことができます。 また、板金業界においては、部品の仮付け作業や、数の多いナットの溶接作業などでもロボットを活用することが可能です。 以下の表に「FR-5」(FAIR Innovation製可搬重量5kgのロボット)と、他社ロボットの主なスペックをまとめました。価格は低いですが、従来の協働ロボットと比較してもスペック自体に差は見られません。 なぜこんなにも価格が安いのでしょうか? 販売代理店を務める株式会社ロボティクスソリューションズ 劉 代表取締役社長によると、主要部品 (減速機、モータ、ドライバー基板など)を全て自社で内製化している点が大きいとのことでした。 2. まとめ 今回は、100万円以下で導入できる協働ロボットをご紹介しました。今まで自動化を断念せざるを得なかった方にとっても、再検討の余地があるロボットではないでしょうか? 詳細をご希望の方は、以下の経営相談フォームより問い合わせをお願い致します。 詳細な情報については、船井総研が9月に開催する「多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー」の第1講座にてお話しする予定です。ぜひご参加いただき、情報収集の一助としていただけますと幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117066

「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024、コネクシオ株式会社ブースに「IoTを活用した原価管理の最新事例」を掲載いただきました

2024.08.09

材料費や外注費は管理できていても、製造工数がきちんと把握できている企業は多くありません。 本コラムでは作業者が手を加えることなく工数を自動集計するシステムを紹介いたします。 1.正確な製造工数と見積の関係性 まず、利益を上げるためには材料費の変動・製造工数・固定費(機械の消耗費等)に即した適切な見積書が必要です。 つまり、正確な見積もりを行うことは、企業の成長において不可欠ということです。 しかし、実際に見積金額に正確な製造工数・固定費を組み込めている企業は多くなく、見積はベテラン社員の経験と勘に頼っている企業が多くあります。 それは実際の製造工数を正確に把握することが非常に難しいからです。 逆を言えば、実際の工数を把握することで効率的な生産計画を立て、利益が出る見積を作成し、大幅に生産性を向上させることができます。 以下では、RFIDセンサを活用した製造工数取得事例を紹介いたします。 2.RFID活用事例企業の概要 当事例企業では、作業日報に作業者が実績を手書きし、別の担当者がシステムに転記、また別の担当者が作成したExcelのマクロを利用して可視化・分析を行っていました。 一見すると非常に効率が悪い作業のように見えますが、このような運用をしている企業は多くあります。 そこでRFIDを活用した結果、作業者が行う手間はほとんどなくなり、データは自動でシステムに飛ばされるため転記作業もなし。 さらに可視化・分析ツールは基幹システムと連携しているためマクロを組む必要もなくなり、いつでも見たい分析データがリアルタイムで見られるようになりました。 3.RFIDシステムの詳細 事例企業では各工程の作業場にRFIDアンテナを設置し、センサが感知する作業スペースを区画し、作業者の帽子と作業指示書にRFIDタグを取り付けました。 これにより、作業者と指示書が作業スペースにある時間は「作業中」、作業者のみの場合は「段取り」など定義づけができるようになります(定義は企業の運用によってさまざまなカスタマイズが可能)。 そしてセンサが感知したデータは自動的にシステムに送信されます。 このシステムはコネクシオ様にご協力いただき実現しました。 結果、紙日報やタブレットよりも正確な製造工数データが手間なく収集できるようになりました。 4.可視化・分析の詳細 上記のシステムによって正確な製造工数データが基幹システムに収集できました。 しかし、この貴重なデータは活用しないと全く意味がありません。 そこで、BIツールを活用して可視化・分析を行いました。 このBIツールも基幹システムと連携しているため、基幹システムに入っているデータはすべて活用できます。 そのため、設備の工賃や材料費・外注費・取得した工数データすべてを掛け合わせ、個別製品別・客先別・工程別といった様々な視点から原価算出が可能になりました。 また、BIツールの強みとして自動更新機能・クラウドへのアップロード機能があります。 自動更新機能は、設定した時間に自動的に基幹システムから最新のデータに更新する機能です。 この機能により、いつでも最新のデータがすぐに見られるようになります。 クラウドへのアップロード機能とは、ツールで作成した分析グラフをクラウドにアップできる機能です。 この機能では、作成した最新のデータ・グラフを外出先でも確認ができます。 例えば、営業の方が先方のオフィスでもデータが確認できるため、見積提示時に利益率の向上が期待できます。 5.まとめ 以上、RFIDを活用した原価管理の最新事例を紹介いたしました。 労働者人口の減少・DX化が叫ばれている中、減らせる工数は減らす、よい事例であると考えています。 本コラムがお読みいただいている企業の皆様のさらなるご発展の一助になりますと幸いです。 正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 基幹システムをフル活用し、個別原価も正確に算出できている企業はまだ多くありません。 ただし、原価計算は利益に直結します。 従業員100名以下でもできる個別原価取得方法をご紹介いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02507_S045 材料費や外注費は管理できていても、製造工数がきちんと把握できている企業は多くありません。 本コラムでは作業者が手を加えることなく工数を自動集計するシステムを紹介いたします。 1.正確な製造工数と見積の関係性 まず、利益を上げるためには材料費の変動・製造工数・固定費(機械の消耗費等)に即した適切な見積書が必要です。 つまり、正確な見積もりを行うことは、企業の成長において不可欠ということです。 しかし、実際に見積金額に正確な製造工数・固定費を組み込めている企業は多くなく、見積はベテラン社員の経験と勘に頼っている企業が多くあります。 それは実際の製造工数を正確に把握することが非常に難しいからです。 逆を言えば、実際の工数を把握することで効率的な生産計画を立て、利益が出る見積を作成し、大幅に生産性を向上させることができます。 以下では、RFIDセンサを活用した製造工数取得事例を紹介いたします。 2.RFID活用事例企業の概要 当事例企業では、作業日報に作業者が実績を手書きし、別の担当者がシステムに転記、また別の担当者が作成したExcelのマクロを利用して可視化・分析を行っていました。 一見すると非常に効率が悪い作業のように見えますが、このような運用をしている企業は多くあります。 そこでRFIDを活用した結果、作業者が行う手間はほとんどなくなり、データは自動でシステムに飛ばされるため転記作業もなし。 さらに可視化・分析ツールは基幹システムと連携しているためマクロを組む必要もなくなり、いつでも見たい分析データがリアルタイムで見られるようになりました。 3.RFIDシステムの詳細 事例企業では各工程の作業場にRFIDアンテナを設置し、センサが感知する作業スペースを区画し、作業者の帽子と作業指示書にRFIDタグを取り付けました。 これにより、作業者と指示書が作業スペースにある時間は「作業中」、作業者のみの場合は「段取り」など定義づけができるようになります(定義は企業の運用によってさまざまなカスタマイズが可能)。 そしてセンサが感知したデータは自動的にシステムに送信されます。 このシステムはコネクシオ様にご協力いただき実現しました。 結果、紙日報やタブレットよりも正確な製造工数データが手間なく収集できるようになりました。 4.可視化・分析の詳細 上記のシステムによって正確な製造工数データが基幹システムに収集できました。 しかし、この貴重なデータは活用しないと全く意味がありません。 そこで、BIツールを活用して可視化・分析を行いました。 このBIツールも基幹システムと連携しているため、基幹システムに入っているデータはすべて活用できます。 そのため、設備の工賃や材料費・外注費・取得した工数データすべてを掛け合わせ、個別製品別・客先別・工程別といった様々な視点から原価算出が可能になりました。 また、BIツールの強みとして自動更新機能・クラウドへのアップロード機能があります。 自動更新機能は、設定した時間に自動的に基幹システムから最新のデータに更新する機能です。 この機能により、いつでも最新のデータがすぐに見られるようになります。 クラウドへのアップロード機能とは、ツールで作成した分析グラフをクラウドにアップできる機能です。 この機能では、作成した最新のデータ・グラフを外出先でも確認ができます。 例えば、営業の方が先方のオフィスでもデータが確認できるため、見積提示時に利益率の向上が期待できます。 5.まとめ 以上、RFIDを活用した原価管理の最新事例を紹介いたしました。 労働者人口の減少・DX化が叫ばれている中、減らせる工数は減らす、よい事例であると考えています。 本コラムがお読みいただいている企業の皆様のさらなるご発展の一助になりますと幸いです。 正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 基幹システムをフル活用し、個別原価も正確に算出できている企業はまだ多くありません。 ただし、原価計算は利益に直結します。 従業員100名以下でもできる個別原価取得方法をご紹介いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02507_S045

2024 年の印刷業界展望:地方印刷会社が生き残るための戦略と成功事例 【最新トレンドと課題を徹底解説】

2024.08.02

デジタル化が進み、印刷業界はかつてない変革の時期を迎えています。 中小印刷会社が直面する縮小市場や競争の激化、そして技術革新の波にどう立ち向かうべきか? 本記事では、印刷業界の最新トレンドを詳しく解説し、中小企業が成功を収めた事例を紹介。 未来に向けた具体的な戦略と実践的なアプローチを提案し、業界の変動に適応するためのヒントをお届けします。 この記事を読むことで、印刷業界の現状と未来、成功事例と失敗事例、効果的なマーケティング手法、デジタル化の影響、そして具体的な生き残り戦略について理解できます。 特に中小規模の印刷会社経営者・自社の DX に悩んでいる企業に向けた記事です。 1. 印刷業界の現状と全体像 ① 印刷業界の歴史的変遷と現状 印刷業界は長い歴史を持ち、技術の進歩とともに大きな変化を遂げてきました。活版印刷の時代からオフセット印刷、デジタル印刷へと進化し、印刷物の質と効率が大きく向上しました。しかし、デジタル化の進展に伴い、紙媒体の需要は減少しています。特に新聞や雑誌の発行部数は、インターネットの普及により大幅に減少しました。地方の印刷会社にとって、縮小する市場は深刻な問題です。これまでのビジネスモデルでは生き残りが難しく、新しい戦略を模索する必要があります。 ② デジタルトランスフォーメーションの影響と業界の変革 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、印刷業界にも多大な影響を与えています。DX により、印刷会社は仕入~印刷~梱包~出荷におけるすべての基幹業務を正確に、かつ迅速に実施することができました。その結果として、利益の出ている企業は多品種小ロット対応・短納期対応のようなアナログ時代には考えられないスピードで顧客満足度を獲得しています。 DX は印刷業界に以下のような変革をもたらしました。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 また、近年では生成 AI の登場によって、上記変革はより加速しています。 ある印刷会社では、生成 AI を活用してデジタルマーケティング・印刷デザイン提案などを実施することにより、今までデザイナーに依頼していた業務を内製化させることができるようになり、さらにコストを大幅に削減。すぐにデザインを作成してお見せすることができるため、顧客満足度も向上させています。 ③ 中小印刷会社の直面する主な課題 中小規模の印刷会社は、大手企業と比べて規模が小さく、リソースも限られています。そのため、以下のような課題に直面していることが多いのではないでしょうか。 市場の縮小:紙媒体の需要減少により、売上が減少。 技術革新への対応:最新のデジタル技術を導入するための投資が必要。 人材不足:特に若手のデジタル技術者が不足。 2. 印刷会社の生き残り戦略 ① 生存戦略としての経営方針の再構築と事業戦略 印刷会社が生き残るためには、特に以下のポイントが重要です。 商品の多様化&短納期対応:豊富な品揃えによる囲い込みにより、顧客満足度向上・新規獲得を行う。 顧客ニーズの把握:市場の変化を敏感に察知し、顧客のニーズに応える製品やサービスを提供する。 原価管理:原価の見直しと効率化を図り、収益性を向上させる。 ② 実際にかかる製品個別原価管理の重要性 製品個別の実際原価を把握することにより、案件別・製品別・工程別で利益を把握することができるようになります。なんとなく今までの経験や勘から、頭の中で利益を把握しているのでは、一向に属人化は解消されません。まずは、個別にかかる実際の原価をデータ・数値で可視化することにより、会社全体で改善箇所を共通認識化することが重要です。 ③ 成功事例と失敗事例から学ぶ戦略的アプローチ いわゆる「どんぶり勘定」による見積価格決定や、従来からの見積金額のまま引き受けてしまうことにより、なかなか利益が出てこないといった状態を引き起こしてしまいます。 これらを避けるためには、製品ごとにかかる実際の原価を把握し、新規の案件においても過去の類似案件から原価を算出できるような仕組みが必要です。 また、利益が出ていない案件に関しては、実際にかかる原価を価格改定の材料として活用することも手段の一つです。 3. 印刷業界の未来展望 ① 今後の市場展望とビジネスチャンスの予測 印刷業界の市場は縮小傾向にあるものの、新たなビジネスチャンスも存在します。以下の点が今後の市場展望として注目されています。 デジタル印刷の普及:小ロット印刷やオンデマンド印刷が増加。 パーソナライズ印刷:顧客のニーズに合わせたカスタマイズ印刷の需要が拡大。 サステナビリティ:環境に優しい印刷技術や再生可能な素材の使用が重要視される。 ② デジタルと印刷の融合による新たなビジネスモデル デジタル技術と印刷技術の融合は、新たなビジネスモデルを生み出しています。例えば、デジタル広告と印刷物を連動させるクロスメディアマーケティングが注目されています。これにより、顧客のエンゲージメントを高め、より効果的なプロモーションが可能になります。 具体的には、web サイトや SNS での広告と連動したチラシやパンフレットを配布することで、顧客の購買意欲を刺激します。また、 QR コードを活用して、印刷物からデジタルコンテンツへの誘導も効果的です。 ③ 地域密着型ビジネスの強みと可能性 地域密着型ビジネスは、地方の印刷会社にとって大きな強みとなります。以下の点が強みと考えられます。 地域のニーズに迅速に対応:地元の顧客との密接な関係を活かし、迅速にニーズに応える。 地元企業との強固なネットワーク:地域内の企業や団体との協力関係を築き、安定した顧客基盤を確保。 地域イベントとの連携:地元のイベントやキャンペーンに積極的に参加し、ブランド認知度を向上。 地元の商店街と連携してイベントのプロモーションを行い、地域全体の活性化に貢献するといった取り組みは、地元企業との信頼関係を強化し、長期的なビジネスチャンスを生み出すことができます。 4. デジタル化の影響と取り組み ① デジタル化による業界の変革とその影響 デジタル化は印刷業界に多大な影響を与えています。特に以下の点で変革が見られます。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 例えば、ある印刷会社は、デジタル印刷機を導入し、小ロットの印刷注文に対応することで、顧客のニーズに柔軟に対応しています。 ② デジタルトランスフォーメーションの最新トレンド デジタルマーケティングと広告手法は、日々進化しています。印刷会社がこれらを活用することで、顧客獲得に繋げることができます。以下は、最新のトレンドです。 原価管理 DX:その日の製造情報を即座に集計し、収益の結果をリアルタイムで把握できる仕組み。 ローコード BI:製造進捗や仕入管理・在庫管理における属人性を解消した、データ分析自動化ツール。 自社データを基盤とした AI 活用:自社データを学習させた AI システムを活用し、自社特有の予測を行う。 DX によって、情報の流動性・正確性・即時性を向上させることはもちろん、それに適応するための社内改革が重要です。 ③ デジタルトランスフォーメーションの成功事例 デジタルトランスフォーメーションに成功した印刷会社の事例を紹介します。ある印刷会社では、クラウドベースの印刷発注システム を導入し、顧客がオンラインで簡単に印刷物を発注できるようにしました。このシステムにより、受注から納品までのプロセスが大幅 に効率化され、顧客満足度が向上しました。 5. 印刷業界の将来に向けた具体的戦略 ① 経営資源の最適化と正確な原価管理・利益管理 印刷会社が競争力を維持するためには、経営資源の最適化と原価管理・利益管理が不可欠です。以下の方法が有効です。 効率化の推進:生産プロセスの見直しと効率化。 コスト管理:原価を徹底的に管理し、利益を最大化。 資源の有効活用:人材や設備を最大限に活用。 例えば、生産ラインの自動化を進めることで、コストを削減し、利益率を向上させることができます。 ② 長期的な戦略と戦術的アプローチ 長期的な視点での戦略と、具体的な戦術的アプローチが必要です。以下の点を考慮します。 市場分析:市場の動向を常に把握し、戦略を柔軟に変更。 顧客ニーズの理解:顧客のニーズを的確に捉え、それに応じたサービスを提供。 継続的な改善:常に改善を行い、競争力を維持。 例として、定期的に顧客アンケートを実施し、フィードバックを基にサービスを改善することで、顧客満足度向上に向けた分析をすることが可能となります。 ③ 印刷業界における未来展望と業界全体の方向性 印刷業界の未来展望は、デジタル技術の進化とともに大きく変わるでしょう。以下の点が重要です。 デジタル技術の活用:デジタル印刷技術やデジタルマーケティングの活用。 サステナビリティ:環境に優しい技術や素材の導入。 顧客中心のサービス:顧客のニーズに応じたカスタマイズサービスの提供。 例として、デジタル技術を活用した新たな印刷サービスを開発し、顧客に提供することで、競争力強化を図ることが可能となります。 6. まとめ このように、印刷業界の現状と未来展望、具体的な生き残り戦略について詳細に解説しました。特に中小規模の印刷会社が直面する課題に対して様々な手法を記載しましたが、重要なことは製品個別の実際にかかる原価を把握し、予定原価との差異を分析できる体制を作ることが今後の生き残りに向けてキーポイントとなると考えられます。 では、具体的にどのように個別原価管理を行うのか?どのように予定原価との差異を分析できるのか?については、船井総研が主催する原価管理セミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ・時流予測2025年最新バージョンはこちら! →https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-printing_S045 ■関連するセミナーのご案内 印刷業の為のAI・BI・IoTを活用したDX経営 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117687 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02979_S045 デジタル化が進み、印刷業界はかつてない変革の時期を迎えています。 中小印刷会社が直面する縮小市場や競争の激化、そして技術革新の波にどう立ち向かうべきか? 本記事では、印刷業界の最新トレンドを詳しく解説し、中小企業が成功を収めた事例を紹介。 未来に向けた具体的な戦略と実践的なアプローチを提案し、業界の変動に適応するためのヒントをお届けします。 この記事を読むことで、印刷業界の現状と未来、成功事例と失敗事例、効果的なマーケティング手法、デジタル化の影響、そして具体的な生き残り戦略について理解できます。 特に中小規模の印刷会社経営者・自社の DX に悩んでいる企業に向けた記事です。 1. 印刷業界の現状と全体像 ① 印刷業界の歴史的変遷と現状 印刷業界は長い歴史を持ち、技術の進歩とともに大きな変化を遂げてきました。活版印刷の時代からオフセット印刷、デジタル印刷へと進化し、印刷物の質と効率が大きく向上しました。しかし、デジタル化の進展に伴い、紙媒体の需要は減少しています。特に新聞や雑誌の発行部数は、インターネットの普及により大幅に減少しました。地方の印刷会社にとって、縮小する市場は深刻な問題です。これまでのビジネスモデルでは生き残りが難しく、新しい戦略を模索する必要があります。 ② デジタルトランスフォーメーションの影響と業界の変革 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、印刷業界にも多大な影響を与えています。DX により、印刷会社は仕入~印刷~梱包~出荷におけるすべての基幹業務を正確に、かつ迅速に実施することができました。その結果として、利益の出ている企業は多品種小ロット対応・短納期対応のようなアナログ時代には考えられないスピードで顧客満足度を獲得しています。 DX は印刷業界に以下のような変革をもたらしました。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 また、近年では生成 AI の登場によって、上記変革はより加速しています。 ある印刷会社では、生成 AI を活用してデジタルマーケティング・印刷デザイン提案などを実施することにより、今までデザイナーに依頼していた業務を内製化させることができるようになり、さらにコストを大幅に削減。すぐにデザインを作成してお見せすることができるため、顧客満足度も向上させています。 ③ 中小印刷会社の直面する主な課題 中小規模の印刷会社は、大手企業と比べて規模が小さく、リソースも限られています。そのため、以下のような課題に直面していることが多いのではないでしょうか。 市場の縮小:紙媒体の需要減少により、売上が減少。 技術革新への対応:最新のデジタル技術を導入するための投資が必要。 人材不足:特に若手のデジタル技術者が不足。 2. 印刷会社の生き残り戦略 ① 生存戦略としての経営方針の再構築と事業戦略 印刷会社が生き残るためには、特に以下のポイントが重要です。 商品の多様化&短納期対応:豊富な品揃えによる囲い込みにより、顧客満足度向上・新規獲得を行う。 顧客ニーズの把握:市場の変化を敏感に察知し、顧客のニーズに応える製品やサービスを提供する。 原価管理:原価の見直しと効率化を図り、収益性を向上させる。 ② 実際にかかる製品個別原価管理の重要性 製品個別の実際原価を把握することにより、案件別・製品別・工程別で利益を把握することができるようになります。なんとなく今までの経験や勘から、頭の中で利益を把握しているのでは、一向に属人化は解消されません。まずは、個別にかかる実際の原価をデータ・数値で可視化することにより、会社全体で改善箇所を共通認識化することが重要です。 ③ 成功事例と失敗事例から学ぶ戦略的アプローチ いわゆる「どんぶり勘定」による見積価格決定や、従来からの見積金額のまま引き受けてしまうことにより、なかなか利益が出てこないといった状態を引き起こしてしまいます。 これらを避けるためには、製品ごとにかかる実際の原価を把握し、新規の案件においても過去の類似案件から原価を算出できるような仕組みが必要です。 また、利益が出ていない案件に関しては、実際にかかる原価を価格改定の材料として活用することも手段の一つです。 3. 印刷業界の未来展望 ① 今後の市場展望とビジネスチャンスの予測 印刷業界の市場は縮小傾向にあるものの、新たなビジネスチャンスも存在します。以下の点が今後の市場展望として注目されています。 デジタル印刷の普及:小ロット印刷やオンデマンド印刷が増加。 パーソナライズ印刷:顧客のニーズに合わせたカスタマイズ印刷の需要が拡大。 サステナビリティ:環境に優しい印刷技術や再生可能な素材の使用が重要視される。 ② デジタルと印刷の融合による新たなビジネスモデル デジタル技術と印刷技術の融合は、新たなビジネスモデルを生み出しています。例えば、デジタル広告と印刷物を連動させるクロスメディアマーケティングが注目されています。これにより、顧客のエンゲージメントを高め、より効果的なプロモーションが可能になります。 具体的には、web サイトや SNS での広告と連動したチラシやパンフレットを配布することで、顧客の購買意欲を刺激します。また、 QR コードを活用して、印刷物からデジタルコンテンツへの誘導も効果的です。 ③ 地域密着型ビジネスの強みと可能性 地域密着型ビジネスは、地方の印刷会社にとって大きな強みとなります。以下の点が強みと考えられます。 地域のニーズに迅速に対応:地元の顧客との密接な関係を活かし、迅速にニーズに応える。 地元企業との強固なネットワーク:地域内の企業や団体との協力関係を築き、安定した顧客基盤を確保。 地域イベントとの連携:地元のイベントやキャンペーンに積極的に参加し、ブランド認知度を向上。 地元の商店街と連携してイベントのプロモーションを行い、地域全体の活性化に貢献するといった取り組みは、地元企業との信頼関係を強化し、長期的なビジネスチャンスを生み出すことができます。 4. デジタル化の影響と取り組み ① デジタル化による業界の変革とその影響 デジタル化は印刷業界に多大な影響を与えています。特に以下の点で変革が見られます。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 例えば、ある印刷会社は、デジタル印刷機を導入し、小ロットの印刷注文に対応することで、顧客のニーズに柔軟に対応しています。 ② デジタルトランスフォーメーションの最新トレンド デジタルマーケティングと広告手法は、日々進化しています。印刷会社がこれらを活用することで、顧客獲得に繋げることができます。以下は、最新のトレンドです。 原価管理 DX:その日の製造情報を即座に集計し、収益の結果をリアルタイムで把握できる仕組み。 ローコード BI:製造進捗や仕入管理・在庫管理における属人性を解消した、データ分析自動化ツール。 自社データを基盤とした AI 活用:自社データを学習させた AI システムを活用し、自社特有の予測を行う。 DX によって、情報の流動性・正確性・即時性を向上させることはもちろん、それに適応するための社内改革が重要です。 ③ デジタルトランスフォーメーションの成功事例 デジタルトランスフォーメーションに成功した印刷会社の事例を紹介します。ある印刷会社では、クラウドベースの印刷発注システム を導入し、顧客がオンラインで簡単に印刷物を発注できるようにしました。このシステムにより、受注から納品までのプロセスが大幅 に効率化され、顧客満足度が向上しました。 5. 印刷業界の将来に向けた具体的戦略 ① 経営資源の最適化と正確な原価管理・利益管理 印刷会社が競争力を維持するためには、経営資源の最適化と原価管理・利益管理が不可欠です。以下の方法が有効です。 効率化の推進:生産プロセスの見直しと効率化。 コスト管理:原価を徹底的に管理し、利益を最大化。 資源の有効活用:人材や設備を最大限に活用。 例えば、生産ラインの自動化を進めることで、コストを削減し、利益率を向上させることができます。 ② 長期的な戦略と戦術的アプローチ 長期的な視点での戦略と、具体的な戦術的アプローチが必要です。以下の点を考慮します。 市場分析:市場の動向を常に把握し、戦略を柔軟に変更。 顧客ニーズの理解:顧客のニーズを的確に捉え、それに応じたサービスを提供。 継続的な改善:常に改善を行い、競争力を維持。 例として、定期的に顧客アンケートを実施し、フィードバックを基にサービスを改善することで、顧客満足度向上に向けた分析をすることが可能となります。 ③ 印刷業界における未来展望と業界全体の方向性 印刷業界の未来展望は、デジタル技術の進化とともに大きく変わるでしょう。以下の点が重要です。 デジタル技術の活用:デジタル印刷技術やデジタルマーケティングの活用。 サステナビリティ:環境に優しい技術や素材の導入。 顧客中心のサービス:顧客のニーズに応じたカスタマイズサービスの提供。 例として、デジタル技術を活用した新たな印刷サービスを開発し、顧客に提供することで、競争力強化を図ることが可能となります。 6. まとめ このように、印刷業界の現状と未来展望、具体的な生き残り戦略について詳細に解説しました。特に中小規模の印刷会社が直面する課題に対して様々な手法を記載しましたが、重要なことは製品個別の実際にかかる原価を把握し、予定原価との差異を分析できる体制を作ることが今後の生き残りに向けてキーポイントとなると考えられます。 では、具体的にどのように個別原価管理を行うのか?どのように予定原価との差異を分析できるのか?については、船井総研が主催する原価管理セミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ・時流予測2025年最新バージョンはこちら! →https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-printing_S045 ■関連するセミナーのご案内 印刷業の為のAI・BI・IoTを活用したDX経営 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117687 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02979_S045

組み立てロボットとは?メリットや3つの成功事例を解説!

2024.07.26

製造業においては、労働生産性の向上やコスト削減、品質の一貫性確保といった課題に直面している企業様も多いのではないでしょうか。 本記事では、組み立てロボットの基本概念、導入のメリット、そして成功事例について解説します。貴社の情報収取の一助になれば幸いでございます。 1.組み立てロボットとは 組み立て工程におけるロボットは、製造分野で使用される自動化機械の一種です。 このロボットは、精密な作業を迅速かつ正確に行う能力があり、製造業における作業効率と生産性の向上に大きく貢献しています。主に自動車、電子機器、家電製品の製造など、複雑な組み立て作業が求められる産業で活用されており、人間の作業員が行うには時間がかかる作業や危険を伴う作業を代行することで、安全性の向上とコスト削減を実現しています。 2.組み立てロボット導入のメリットとは 組み立てロボットの導入による主なメリットは、以下の3つに集約されます。 2-1.組み立てロボット導入のメリット①:ヒューマンエラーの防止 組み立てロボットは教示された命令に従って作業をおこないます。 これにより、人間の操作による間違いや誤動作の発生頻度を極めて少なくすることができます。 人間がおこなう作業は、疲労や注意散漫、経験の不足によるミスが発生しやすいですが、ロボットはこれらの要因に影響されることなく、一定品質の作業を実行することができます。 よって、ロボット導入をおこなうことで製造過程でのヒューマンエラーを大幅に削減することが可能となり、さらには製品の不良率減少、包括的な品質保証、顧客満足度の向上を見込むことができます。 2-2.組み立てロボット導入のメリット②:生産性の向上 自動化効果の出る構想設計をおこなうことを前提にすれば、組み立てロボットは効率的且つ正確に作業をおこなう能力を持っています。 これにより、製造ラインのスループットが大幅に向上し、より多くの製品を短時間で生産することが可能になります。 また、ロボットは人間と異なり、疲労や休憩の必要がないため、24時間体制での連続運転を実現することも可能です。 需要の高い業種や大量生産が求められる業種において、企業の収益性を大きく向上させる要因となります。 2-3.組み立てロボット導入のメリット③:人的コストの削減 ロボット導入をおこなうことで、人件費の大幅な削減を見込むことができます。 さらに、ロボットによる自動化が進むと、人間はより専門的で創造的な業務に集中することができます。 特に単調で繰り返しの多い作業や物理的に負担の大きい作業をロボットが担うことができれば、労働力を効率的に配分し、企業全体の生産性の向上を図ることができます。 また、労働災害のリスクが減少することで、関連する保険料や健康管理コストの削減にも繋がります。 これらのメリットにより、組み立てロボットは製造業のコスト効率の向上、生産性の向上、そして製品品質の一貫性と信頼性の強化に大きく寄与します。 これにより、企業は競争力を維持し、市場での優位性を確保するための重要な手段を得ることができます。 3.組み立てロボット導入成功事例3選 続いて、組み立てロボットの導入に成功した3社の事例についてご紹介します。 3-1.組み立てロボット導入成功事例①:グローリー株式会社 グローリー株式会社では、レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入し、自動化に成功しました。 従来は人手による柔軟な作業方式で生産をおこなっていましたが、労働力不足・競争力の確保を背景として、ロボット導入に踏み切りました。 結果として5名の省人化に成功し、労働生産性を2倍に引き上げました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入) 3-2.組み立てロボット導入成功事例②:コーセーエンジニアリング株式会社 コーセーエンジニアリング株式会社では、ワイヤーハーネスの製造工程において自動化に成功しました。 具体的には、電線へのリング取付―マークチューブ取付―被覆を剥ぐ―端子取付―圧着までを全て人手作業からロボットによる作業に置き換えました。 結果的に、3名の省人化に成功しています。 さらに、属人性を排除することが可能となったため、品質不良の削減もおこおなうことができました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ ワイヤーハーネスの製造工程にロボット導入) 3-3.組み立てロボット導入成功事例③:株式会社山本電機製作所 山本電機製作所株式会社では、MEMSセンサ基盤のアッセンブリ工程において、ロボット導入に成功しました。具体的には、人手でおこなっていたワークの供給・排出作業や、接着材塗布のスイッチ操作を自動化しました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ MEMSセンサ基板のアッセンブリ工程のロボット化による量産化実現) 4.まとめ いかがでしたでしょうか?ここまで組み立てロボットの概要とメリット、そして成功事例を紹介いたしました。組み立てロボットをうまく活用することができれば、その導入は労働生産性の向上、品質の安定化、そして人的コストの削減といった複数の面で顕著な効果をもたらします。 組み立てロボットの導入は、単に作業を自動化すること以上の価値を持っています。 それは、企業が市場での競争力を維持し、経済的な持続可能性を実現するための戦略的な選択と言えるでしょう。 さらに組み立てロボットについて情報収集をご希望の方は以下のセミナーページ、レポートページをご参照ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産製造業のための組立・組付け工程の自動化セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117937 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__00794 目次 1、多品種な複数部品の組み合わせによるパネル生産の自動化! 2、形状も材質も違う複数材料を一つのロボットでハンドリング! 3、部品形状に合わせた接着材を塗工し自動で貼り付け! レポートの内容 従来では特定の人員が手作業で行っていたパネルの組立作業の自動化に成功。 多品種かつ部品点数多い・更に接着材の塗布と正確な位置への部品貼り付け等、様々な難題をクリアして構築したシステム。 本レポートではこれらの一部をご紹介致します。 製造業においては、労働生産性の向上やコスト削減、品質の一貫性確保といった課題に直面している企業様も多いのではないでしょうか。 本記事では、組み立てロボットの基本概念、導入のメリット、そして成功事例について解説します。貴社の情報収取の一助になれば幸いでございます。 1.組み立てロボットとは 組み立て工程におけるロボットは、製造分野で使用される自動化機械の一種です。 このロボットは、精密な作業を迅速かつ正確に行う能力があり、製造業における作業効率と生産性の向上に大きく貢献しています。主に自動車、電子機器、家電製品の製造など、複雑な組み立て作業が求められる産業で活用されており、人間の作業員が行うには時間がかかる作業や危険を伴う作業を代行することで、安全性の向上とコスト削減を実現しています。 2.組み立てロボット導入のメリットとは 組み立てロボットの導入による主なメリットは、以下の3つに集約されます。 2-1.組み立てロボット導入のメリット①:ヒューマンエラーの防止 組み立てロボットは教示された命令に従って作業をおこないます。 これにより、人間の操作による間違いや誤動作の発生頻度を極めて少なくすることができます。 人間がおこなう作業は、疲労や注意散漫、経験の不足によるミスが発生しやすいですが、ロボットはこれらの要因に影響されることなく、一定品質の作業を実行することができます。 よって、ロボット導入をおこなうことで製造過程でのヒューマンエラーを大幅に削減することが可能となり、さらには製品の不良率減少、包括的な品質保証、顧客満足度の向上を見込むことができます。 2-2.組み立てロボット導入のメリット②:生産性の向上 自動化効果の出る構想設計をおこなうことを前提にすれば、組み立てロボットは効率的且つ正確に作業をおこなう能力を持っています。 これにより、製造ラインのスループットが大幅に向上し、より多くの製品を短時間で生産することが可能になります。 また、ロボットは人間と異なり、疲労や休憩の必要がないため、24時間体制での連続運転を実現することも可能です。 需要の高い業種や大量生産が求められる業種において、企業の収益性を大きく向上させる要因となります。 2-3.組み立てロボット導入のメリット③:人的コストの削減 ロボット導入をおこなうことで、人件費の大幅な削減を見込むことができます。 さらに、ロボットによる自動化が進むと、人間はより専門的で創造的な業務に集中することができます。 特に単調で繰り返しの多い作業や物理的に負担の大きい作業をロボットが担うことができれば、労働力を効率的に配分し、企業全体の生産性の向上を図ることができます。 また、労働災害のリスクが減少することで、関連する保険料や健康管理コストの削減にも繋がります。 これらのメリットにより、組み立てロボットは製造業のコスト効率の向上、生産性の向上、そして製品品質の一貫性と信頼性の強化に大きく寄与します。 これにより、企業は競争力を維持し、市場での優位性を確保するための重要な手段を得ることができます。 3.組み立てロボット導入成功事例3選 続いて、組み立てロボットの導入に成功した3社の事例についてご紹介します。 3-1.組み立てロボット導入成功事例①:グローリー株式会社 グローリー株式会社では、レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入し、自動化に成功しました。 従来は人手による柔軟な作業方式で生産をおこなっていましたが、労働力不足・競争力の確保を背景として、ロボット導入に踏み切りました。 結果として5名の省人化に成功し、労働生産性を2倍に引き上げました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入) 3-2.組み立てロボット導入成功事例②:コーセーエンジニアリング株式会社 コーセーエンジニアリング株式会社では、ワイヤーハーネスの製造工程において自動化に成功しました。 具体的には、電線へのリング取付―マークチューブ取付―被覆を剥ぐ―端子取付―圧着までを全て人手作業からロボットによる作業に置き換えました。 結果的に、3名の省人化に成功しています。 さらに、属人性を排除することが可能となったため、品質不良の削減もおこおなうことができました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ ワイヤーハーネスの製造工程にロボット導入) 3-3.組み立てロボット導入成功事例③:株式会社山本電機製作所 山本電機製作所株式会社では、MEMSセンサ基盤のアッセンブリ工程において、ロボット導入に成功しました。具体的には、人手でおこなっていたワークの供給・排出作業や、接着材塗布のスイッチ操作を自動化しました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ MEMSセンサ基板のアッセンブリ工程のロボット化による量産化実現) 4.まとめ いかがでしたでしょうか?ここまで組み立てロボットの概要とメリット、そして成功事例を紹介いたしました。組み立てロボットをうまく活用することができれば、その導入は労働生産性の向上、品質の安定化、そして人的コストの削減といった複数の面で顕著な効果をもたらします。 組み立てロボットの導入は、単に作業を自動化すること以上の価値を持っています。 それは、企業が市場での競争力を維持し、経済的な持続可能性を実現するための戦略的な選択と言えるでしょう。 さらに組み立てロボットについて情報収集をご希望の方は以下のセミナーページ、レポートページをご参照ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産製造業のための組立・組付け工程の自動化セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117937 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__00794 目次 1、多品種な複数部品の組み合わせによるパネル生産の自動化! 2、形状も材質も違う複数材料を一つのロボットでハンドリング! 3、部品形状に合わせた接着材を塗工し自動で貼り付け! レポートの内容 従来では特定の人員が手作業で行っていたパネルの組立作業の自動化に成功。 多品種かつ部品点数多い・更に接着材の塗布と正確な位置への部品貼り付け等、様々な難題をクリアして構築したシステム。 本レポートではこれらの一部をご紹介致します。

Excelを使った生産計画表の作成方法:AIを活用した未来の計画

2024.07.22

1.生産計画とは 製造業において、生産計画は効率的な在庫管理とコスト削減を目指す上で非常に大切な要素です。多くのビジネス現場で、Excelが手軽で役立つツールとして広く活用されています。Excelを使うことで、生産数量や工数を正しく管理し、適切な資材の配置や原価の分析を行うことが可能です。特定の操作を自動化するマクロなどを用意すれば、担当者の手間を抑え、業務をスムーズに完了させることもできます。この次の章では、Excelを使った生産計画表の具体的な作成手順を解説していきます。 ⇒関連記事:AIを活用した生産計画自動作成システムとは? 2.製造業における生産計画表の作り方とは 生産計画表を正しく作成することは難しい作業のように思えますが、以下のステップを踏むことで自身で構築できます。   ステップ1:需要予測と目標設定 市場検索や過去の受注データを基に、製品の需要を予測します。その上で、具体的な生産目標(製造量、納期、品質など)を記載した項目を設定します。 ステップ2:資源と生産能力の確認 原材料、設備、従業員などのリソースを確認します。また、生産ラインの能力や使用可能な作業期間を見積もります。 ステップ3:生産スケジュールの作成 需要予測と生産能力を基に、生産予定を立てます。各製品の製造開始日、終了日、各工程での作業時間を決定します。 ステップ4:進捗管理と調整 計画を実行し、進捗を管理します。予期せぬトラブルが発生した場合は、計画を見直し、調整を行います。 3.生産計画表をエクセルで作成するメリット 生産計画表をエクセルで作成するメリットは主に以下の3つです。   ・低コスト エクセルは多くの企業で既に導入されているため、新規の費用をかけることなく利用できます。追加のサポートも不要で、すぐに運用を開始できます。 ・習得が容易 エクセルは多くの従業員にとって馴染みのあるソフトウェアで、基本的な操作は容易に習得できます。特別な教育やトレーニングが不要なため、スムーズな導入が可能です。 ・高い柔軟性 自由度が高く、個別のニーズに合わせてフォーマットや式を設定できます。細かいカスタマイズや独自のルール設定も容易にできる点が役立ちます。 4.生産計画表をエクセルで作成するデメリット 生産計画表をエクセルで作成するデメリットは以下の3つです。   ・入力ミスや計算ミスのリスク 手動でデータを入力するため、入力ミスや式の記載ミスが発生しやすいです。特に複雑な計算や多くのデータを扱う間は、トラブルが起こる可能性が高くなります。 ・処理能力の制約 大量のデータを扱うと、動作が重たくなったり、不安定になることがあります。高頻度の更新が必要な場合、エクセルの効率は著しく低下します。 ・共同作業の難しさ ファイルを複数部門で共有し、同時に編集するのは難しいです。バージョン連携が複雑になり、一元管理が困難になるため、データの整合性を保つ体制を構築することが困難になります。 5.生産計画の管理に使えるAIとは 生産計画にAIを用いることで、これまでのExcelでは難しかった複雑な条件下でも、最適な計画を立案することができます。MRPなどのシステムと連携することで、受注から発注までのプロセスを見える化し、スムーズに完了させることが可能です。 これにより、これまでベテラン担当者の経験や勘に頼りがちで属人化していた作業から解放され、人為的なミスを抑えることができます。AIがノウハウを学習し、誰でも安定した品質で計画を立てることを提供してくれるため、従業員の教育に関する悩みを削減し、担当者の手間を不要にします。 6.まとめ 生産計画の構築は難しい業務であり、多くの企業で属人化しています。この課題を解決するためのシステムが、AIを活用した生産スケジューラです。 導入にはハードルもありますが、その乗り越え方を事前に理解していれば、2025年に向けて決して高いハードルではありません。具体的な資料やサポートが必要な場合は、お気軽に株式会社船井総合研究所にご相談ください。 ▼レポート無料ダウンロード お申し込みはこちら▼ 1.生産計画とは 製造業において、生産計画は効率的な在庫管理とコスト削減を目指す上で非常に大切な要素です。多くのビジネス現場で、Excelが手軽で役立つツールとして広く活用されています。Excelを使うことで、生産数量や工数を正しく管理し、適切な資材の配置や原価の分析を行うことが可能です。特定の操作を自動化するマクロなどを用意すれば、担当者の手間を抑え、業務をスムーズに完了させることもできます。この次の章では、Excelを使った生産計画表の具体的な作成手順を解説していきます。 ⇒関連記事:AIを活用した生産計画自動作成システムとは? 2.製造業における生産計画表の作り方とは 生産計画表を正しく作成することは難しい作業のように思えますが、以下のステップを踏むことで自身で構築できます。   ステップ1:需要予測と目標設定 市場検索や過去の受注データを基に、製品の需要を予測します。その上で、具体的な生産目標(製造量、納期、品質など)を記載した項目を設定します。 ステップ2:資源と生産能力の確認 原材料、設備、従業員などのリソースを確認します。また、生産ラインの能力や使用可能な作業期間を見積もります。 ステップ3:生産スケジュールの作成 需要予測と生産能力を基に、生産予定を立てます。各製品の製造開始日、終了日、各工程での作業時間を決定します。 ステップ4:進捗管理と調整 計画を実行し、進捗を管理します。予期せぬトラブルが発生した場合は、計画を見直し、調整を行います。 3.生産計画表をエクセルで作成するメリット 生産計画表をエクセルで作成するメリットは主に以下の3つです。   ・低コスト エクセルは多くの企業で既に導入されているため、新規の費用をかけることなく利用できます。追加のサポートも不要で、すぐに運用を開始できます。 ・習得が容易 エクセルは多くの従業員にとって馴染みのあるソフトウェアで、基本的な操作は容易に習得できます。特別な教育やトレーニングが不要なため、スムーズな導入が可能です。 ・高い柔軟性 自由度が高く、個別のニーズに合わせてフォーマットや式を設定できます。細かいカスタマイズや独自のルール設定も容易にできる点が役立ちます。 4.生産計画表をエクセルで作成するデメリット 生産計画表をエクセルで作成するデメリットは以下の3つです。   ・入力ミスや計算ミスのリスク 手動でデータを入力するため、入力ミスや式の記載ミスが発生しやすいです。特に複雑な計算や多くのデータを扱う間は、トラブルが起こる可能性が高くなります。 ・処理能力の制約 大量のデータを扱うと、動作が重たくなったり、不安定になることがあります。高頻度の更新が必要な場合、エクセルの効率は著しく低下します。 ・共同作業の難しさ ファイルを複数部門で共有し、同時に編集するのは難しいです。バージョン連携が複雑になり、一元管理が困難になるため、データの整合性を保つ体制を構築することが困難になります。 5.生産計画の管理に使えるAIとは 生産計画にAIを用いることで、これまでのExcelでは難しかった複雑な条件下でも、最適な計画を立案することができます。MRPなどのシステムと連携することで、受注から発注までのプロセスを見える化し、スムーズに完了させることが可能です。 これにより、これまでベテラン担当者の経験や勘に頼りがちで属人化していた作業から解放され、人為的なミスを抑えることができます。AIがノウハウを学習し、誰でも安定した品質で計画を立てることを提供してくれるため、従業員の教育に関する悩みを削減し、担当者の手間を不要にします。 6.まとめ 生産計画の構築は難しい業務であり、多くの企業で属人化しています。この課題を解決するためのシステムが、AIを活用した生産スケジューラです。 導入にはハードルもありますが、その乗り越え方を事前に理解していれば、2025年に向けて決して高いハードルではありません。具体的な資料やサポートが必要な場合は、お気軽に株式会社船井総合研究所にご相談ください。 ▼レポート無料ダウンロード お申し込みはこちら▼

ERP導入の目的やメリットは?デメリットや導入事例、導入の流れについても解説!

2024.07.22

「基幹システム刷新!」、「ERP導入!」というキーワードは聞きなれた言葉ではありますが、実際にERPとは?基幹システムとの違いは?などの疑問にお答えしたく、そこで今回はERPと基幹システムの違いについてわかりやすく解説いたします。 1.ERPとは? ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の資源を一元管理し、業務プロセスを最適化するための基幹業務の統合システムを指します。ERPは、財務、人事、製造、販売、在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを統合し、リアルタイムで情報を共有することができるシステムです。 これにより、経営判断の迅速化や業務効率の向上が期待されます。 2.ERPの導入目的 ERPの導入目的は、企業の業務プロセスを統合し、効率化することにあります。歴史を紐解くと、基幹業務に応じてシステムが別々に入れられてきたという経緯があります。これでは、各業務でデータベースは区切られてしまい、様々なデータを連動させるにも時間がかかってしまう上に、都度別のシステムにアクセスや同じデータの転記などといった無駄な業務も生じてしまいます。こういった問題を解決するためにERPは導入されるケースが多いです。 具体的には、データの一元管理による情報の可視化、業務の標準化、保守コストの低減、迅速な意思決定の支援などの効果を狙っての導入が挙げられます。 3.ERP導入の3つのメリット 1.情報の一元管理 特に、ERPの大きなメリットは、企業内の情報を一元管理しているということにあります。 これは、企業内のあらゆる情報を瞬時に一箇所に集められることを意味し、したがって経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点でも大きなパワーを秘めているといえるのです。 2.業務効率化 また、システム同士のスムーズな連携によって業務効率が向上することもERPのメリットの一つです。 ERPでは、会計や販売、生産といった業務をまとめて管理できます。 ERPを導入すれば、それぞれの情報を個別に管理する煩雑さから解放され、効率よく業務を進められるようになるでしょう。 3.データドリブンな意思決定 次に、経営上の意思決定を迅速に行えることもERPの強みです。 情報の一元管理によって、経営層は企業内の状況を素早く正確に把握できるようになります。 その結果、経営層は会社にとって最適な意思決定を迅速に下すことが可能となるのです。 ERPには、成功企業のベストプラクティスを有効活用できるというメリットもあります。 ベストプラクティスとは、各業種において蓄積されたビジネスプロセスのノウハウのことです。 ERPパッケージが所有しているベストプラクティスを自社においても活用できるため、事業の効率的な成長が図れるでしょう。 4.ERP導入の3つのデメリット 1.選定の難しさ ERPのデメリットは、種類が多岐にわたるため、自社に合ったシステムを選ぶのが難しいことです。 目についたシステムを気軽に導入するのではなく、事前に検討を重ねることが重要です。 2.活用のハードルの高さ また、ERPを導入する前には社内教育をしっかりと行う必要があります。 ERPは業務効率を改善してくれるツールですが、社員が正しく使いこなさなければ意味がありません。 ERPを導入する前に、ERPが何の役に立つのか、どのように使うのかといったことを教育する必要がありますが、多機能なため教育に時間がかかるケースが多く、導入前にしっかりとてを打たないとメリットを出すまでに非常に時間がかかってしまいます。 3.導入コスト そして、導入にある程度のコストがかかることもERPのデメリットの一つです。 最近でこそ様々なパッケージ製品が出てきていますが、現在の業務に合わせてERPを導入するとなると、かなりの数のアドオン・カスタマイズが発生することになり、導入コストが高額になってしまう事が想定されます。 5.ERP導入事例3選 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、属人的な判断をシステマチックな判断に変えることで業務を標準化すべく、ERPの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 基本的に基幹システムは導入されておらず、エクセルで受注や製造の管理を行ってきました。 支店拡大に伴い、ERPを導入することに決めました。いままで出来ていなかったデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な業務を大幅に削減できました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、ERPを導入することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 6.ERP導入の流れ ERPを実際に導入する前に、ERP導入の基本的な流れを押さえておきましょう。 ERPを導入する流れは、少しざっくりとした説明になりますが、以下の通りだと認識いただいて問題ありません。 1)現状分析・課題抽出 現行の業務プロセスを分析し、課題を洗い出します。 2)要求明確化 ERPシステムに求める要件を明確にします。 3)ベンダー選定 要件に合ったERPベンダー、ツールを選定します 4)要件定義 Fit&Gapを行い、本格的に必要な機能とアドオン・カスタマイズ内容を固め、正確な見積もりを算出してもらいます 5)システム設計・開発 業務プロセスに合わせたシステム設計・開発を行います。 6.)各種テスト システムの動作確認を行い、不具合を修正します。 7.)教育・訓練 従業員に対するシステムの操作・管理の教育訓練を行います。 8.)運用開始 システムの運用を開始します。 7.ERP導入に失敗しないためにおこなうべき4つのこと ERP導入はツールやベンダーを選択することも大切ですが、特に大切なポイントというのはその前段階にあります。 ここでは前段階の重要なポイントを4つご紹介します。 1つ目のプロセスは、ERPを導入する目的を明確にすることです。 ERPを導入することでどのような課題を解決したいのか、最初に明らかにしておきましょう。 それによって必要な機能が把握でき、導入するERPパッケージが選びやすくなります。 また、社員にERPの導入目的を説明するうえでも役に立ちます。 2つ目のプロセスは、プロジェクトの責任者を選定し、各部署の担当者を巻き込むことです。 ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように必ず2人以上の推進者を選ぶようにしてください。 推進者に適している人材としては、部署間をまたいで発言できる経営層に近い役職者が挙げられます。 推進者の次に、各部署でプロジェクトの責任を負う担当者を選び、打ち合わせを進めていきます。 3つ目のプロセスは、ERP導入に関わる業務プロセスなどについて棚卸ししておくことです。 今後ERPで管理することになる業務について、今はどのようなツールで管理しているのかを確かめておきましょう。 業務プロセスは各企業に固有のものなので、基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。 4つ目のプロセスは、ERPでカバーできる範囲に合わせて新しい業務フローを構築することです。 棚卸しした業務内容を基に、ERPでどの範囲までをカバーするのかということを決めていきましょう。 これを準備しないと、現状の業務を焼き直すようなシステム実装となってしまうため、改善効果が薄くなってしまうため注意が必要です。 8.ERP導入に関するよくある質問 最後に、ERP導入に関するよくある質問にお答えしたいと思います。 ○ERPの導入費用はいくらですか? ERPの導入費用は、企業の規模や導入するシステムの範囲によって大きく異なります。一般的には数千万円程度が必要とされますが、クラウド型のERPシステムを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。 ○ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか? 導入するERPの種類にもよって期間は大きく変わります。開発を伴わないのであれば、通常6ヶ月から1年程度、開発を伴うのであれば(事業部数にもよりますが)1年以上の期間がかかります。 企業の規模や業務プロセスの複雑さによっては、さらに長期間を要する場合も大いにありえます。 ○中小企業におけるERP導入状況は? 中小企業においても、業務効率化やコスト削減を目的にERPシステムの導入が進んでいます。特にクラウド型のERPシステムは、初期費用が低く、スケーラビリティが高いため、中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。 以上です。 このコラムが皆様のERP検討に少しでも役立てば幸いです。 また、弊社では様々なノウハウをもとにERPの導入・活用のご支援を行っております。ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ▼レポート無料ダウンロード お申し込みはこちら▼ 「基幹システム刷新!」、「ERP導入!」というキーワードは聞きなれた言葉ではありますが、実際にERPとは?基幹システムとの違いは?などの疑問にお答えしたく、そこで今回はERPと基幹システムの違いについてわかりやすく解説いたします。 1.ERPとは? ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の資源を一元管理し、業務プロセスを最適化するための基幹業務の統合システムを指します。ERPは、財務、人事、製造、販売、在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを統合し、リアルタイムで情報を共有することができるシステムです。 これにより、経営判断の迅速化や業務効率の向上が期待されます。 2.ERPの導入目的 ERPの導入目的は、企業の業務プロセスを統合し、効率化することにあります。歴史を紐解くと、基幹業務に応じてシステムが別々に入れられてきたという経緯があります。これでは、各業務でデータベースは区切られてしまい、様々なデータを連動させるにも時間がかかってしまう上に、都度別のシステムにアクセスや同じデータの転記などといった無駄な業務も生じてしまいます。こういった問題を解決するためにERPは導入されるケースが多いです。 具体的には、データの一元管理による情報の可視化、業務の標準化、保守コストの低減、迅速な意思決定の支援などの効果を狙っての導入が挙げられます。 3.ERP導入の3つのメリット 1.情報の一元管理 特に、ERPの大きなメリットは、企業内の情報を一元管理しているということにあります。 これは、企業内のあらゆる情報を瞬時に一箇所に集められることを意味し、したがって経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点でも大きなパワーを秘めているといえるのです。 2.業務効率化 また、システム同士のスムーズな連携によって業務効率が向上することもERPのメリットの一つです。 ERPでは、会計や販売、生産といった業務をまとめて管理できます。 ERPを導入すれば、それぞれの情報を個別に管理する煩雑さから解放され、効率よく業務を進められるようになるでしょう。 3.データドリブンな意思決定 次に、経営上の意思決定を迅速に行えることもERPの強みです。 情報の一元管理によって、経営層は企業内の状況を素早く正確に把握できるようになります。 その結果、経営層は会社にとって最適な意思決定を迅速に下すことが可能となるのです。 ERPには、成功企業のベストプラクティスを有効活用できるというメリットもあります。 ベストプラクティスとは、各業種において蓄積されたビジネスプロセスのノウハウのことです。 ERPパッケージが所有しているベストプラクティスを自社においても活用できるため、事業の効率的な成長が図れるでしょう。 4.ERP導入の3つのデメリット 1.選定の難しさ ERPのデメリットは、種類が多岐にわたるため、自社に合ったシステムを選ぶのが難しいことです。 目についたシステムを気軽に導入するのではなく、事前に検討を重ねることが重要です。 2.活用のハードルの高さ また、ERPを導入する前には社内教育をしっかりと行う必要があります。 ERPは業務効率を改善してくれるツールですが、社員が正しく使いこなさなければ意味がありません。 ERPを導入する前に、ERPが何の役に立つのか、どのように使うのかといったことを教育する必要がありますが、多機能なため教育に時間がかかるケースが多く、導入前にしっかりとてを打たないとメリットを出すまでに非常に時間がかかってしまいます。 3.導入コスト そして、導入にある程度のコストがかかることもERPのデメリットの一つです。 最近でこそ様々なパッケージ製品が出てきていますが、現在の業務に合わせてERPを導入するとなると、かなりの数のアドオン・カスタマイズが発生することになり、導入コストが高額になってしまう事が想定されます。 5.ERP導入事例3選 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、属人的な判断をシステマチックな判断に変えることで業務を標準化すべく、ERPの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 基本的に基幹システムは導入されておらず、エクセルで受注や製造の管理を行ってきました。 支店拡大に伴い、ERPを導入することに決めました。いままで出来ていなかったデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な業務を大幅に削減できました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、ERPを導入することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 6.ERP導入の流れ ERPを実際に導入する前に、ERP導入の基本的な流れを押さえておきましょう。 ERPを導入する流れは、少しざっくりとした説明になりますが、以下の通りだと認識いただいて問題ありません。 1)現状分析・課題抽出 現行の業務プロセスを分析し、課題を洗い出します。 2)要求明確化 ERPシステムに求める要件を明確にします。 3)ベンダー選定 要件に合ったERPベンダー、ツールを選定します 4)要件定義 Fit&Gapを行い、本格的に必要な機能とアドオン・カスタマイズ内容を固め、正確な見積もりを算出してもらいます 5)システム設計・開発 業務プロセスに合わせたシステム設計・開発を行います。 6.)各種テスト システムの動作確認を行い、不具合を修正します。 7.)教育・訓練 従業員に対するシステムの操作・管理の教育訓練を行います。 8.)運用開始 システムの運用を開始します。 7.ERP導入に失敗しないためにおこなうべき4つのこと ERP導入はツールやベンダーを選択することも大切ですが、特に大切なポイントというのはその前段階にあります。 ここでは前段階の重要なポイントを4つご紹介します。 1つ目のプロセスは、ERPを導入する目的を明確にすることです。 ERPを導入することでどのような課題を解決したいのか、最初に明らかにしておきましょう。 それによって必要な機能が把握でき、導入するERPパッケージが選びやすくなります。 また、社員にERPの導入目的を説明するうえでも役に立ちます。 2つ目のプロセスは、プロジェクトの責任者を選定し、各部署の担当者を巻き込むことです。 ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように必ず2人以上の推進者を選ぶようにしてください。 推進者に適している人材としては、部署間をまたいで発言できる経営層に近い役職者が挙げられます。 推進者の次に、各部署でプロジェクトの責任を負う担当者を選び、打ち合わせを進めていきます。 3つ目のプロセスは、ERP導入に関わる業務プロセスなどについて棚卸ししておくことです。 今後ERPで管理することになる業務について、今はどのようなツールで管理しているのかを確かめておきましょう。 業務プロセスは各企業に固有のものなので、基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。 4つ目のプロセスは、ERPでカバーできる範囲に合わせて新しい業務フローを構築することです。 棚卸しした業務内容を基に、ERPでどの範囲までをカバーするのかということを決めていきましょう。 これを準備しないと、現状の業務を焼き直すようなシステム実装となってしまうため、改善効果が薄くなってしまうため注意が必要です。 8.ERP導入に関するよくある質問 最後に、ERP導入に関するよくある質問にお答えしたいと思います。 ○ERPの導入費用はいくらですか? ERPの導入費用は、企業の規模や導入するシステムの範囲によって大きく異なります。一般的には数千万円程度が必要とされますが、クラウド型のERPシステムを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。 ○ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか? 導入するERPの種類にもよって期間は大きく変わります。開発を伴わないのであれば、通常6ヶ月から1年程度、開発を伴うのであれば(事業部数にもよりますが)1年以上の期間がかかります。 企業の規模や業務プロセスの複雑さによっては、さらに長期間を要する場合も大いにありえます。 ○中小企業におけるERP導入状況は? 中小企業においても、業務効率化やコスト削減を目的にERPシステムの導入が進んでいます。特にクラウド型のERPシステムは、初期費用が低く、スケーラビリティが高いため、中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。 以上です。 このコラムが皆様のERP検討に少しでも役立てば幸いです。 また、弊社では様々なノウハウをもとにERPの導入・活用のご支援を行っております。ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ▼レポート無料ダウンロード お申し込みはこちら▼

製造業DXとは?メリットや成功事例6選、成功のポイントを一挙解説!

2024.07.22

製造業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変動しています。インターネットおよびデジタル化の波は、もはや無視できない潮流となり、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。そんな中、注目を集めるのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。 「DXって、結局何をすればいいの?」 「うちの工場でも、本当に効果があるの?」 「コストばかりかかって、何も変わらないんじゃないか?」 そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。もちろん多大な労力が必要ですが、DXは決して遠い世界の出来事ではありません。日々の業務効率化から、可視化による品質向上、さらにはコミュニケーションの変革まで、その効果は多岐にわたります。 この記事では、DXの基礎から、実際の成功事例、そして導入時の課題と解決策まで、あなたの工場がDXを成功させるための羅針盤となる情報を提供します。他社の失敗事例も踏まえ、業務改善につなげられるようなノウハウもご紹介していきます。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。状況が可視化され、生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な業務効率化にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットおよびデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応していかなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.DX成功事例6選 国内には、アナログ的な手法から脱却してDXに成功した工場は多数存在します。ここでは成功事例を6つ紹介します。 2-1.DX成功事例①:J社 基幹システム刷新 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.DX成功事例②:S社 協働ロボット活用 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.DX成功事例③:S社 AI外観検査 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 2-4.DX成功事例④:A社 自動バリ取りロボット A 社ではロボットを使うことによって、工数がかかっていたバリ取り作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種 セラミック製品製造 自動化効果 年間工数 1019 時間削減・生産性 167%増 投資金額 1800 万円+6 軸ロボット費用 A 社の成功事例の特徴は、画像認識によりバリ取りパスを自動で生成している点です。自動生成されたパスに沿ってロボットが動作するため、品種ごとにティーチングプログラムを作成する必要がなく、超多品種少量生産に対応することができます。 本来ロボットを稼働させる際は、ティーチングと呼ばれるロボットのプログラムを人が作成する必要があります。そのためロボットでさまざまな製品の加工をおこなおうとすると、その数だけティーチングをおこなう必要があります。 A 社では、画像認識による自動プログラム作成を採用しているため、作業員が治具に製品を置けば、ロボットが自動でバリ取りをおこなってくれます。 ⇒関連記事:自社の業務に合わせた自動化で、少ない人員でも生産増に対応することができました-アスザック株式会社 様 2-5.DX成功事例⑤:C 社溶接ロボット・研磨ロボット C社では、高い品質が求められる製品において、溶接工程と研磨工程の自動化に成功しました。 業種 鈑金溶接品製造 自動化効果 溶接・研磨の熟練技術の継承に成功 投資金額 7700 万円 (うち 4000 万円は補助金) C社の成功事例の特徴は、非常に難易度の高い薄板ステンレスの TIG 溶接と鏡面研磨を最新技術を活用して自動化した点です。さらに投資金額 7700 万円のうち 4000 万円は事業再構築補助金を活用することにより投資コストを抑えています。 薄板の TIG 溶接は非常に熟練度が要求される作業であり、早い人でも製品として出荷できるレベルに達するまでには 5 年はかかる職人技術と言われています。また、C社の製品における研磨工程は鏡面仕上げとなっており相当の工数がかかっている状態でした。 これら難易度の高い職人技術を 6 軸力覚、加速度、位置センサー、アクティブ・コンプライアンス制御技術を用いて自動化に成功しました。 2-6.DX成功事例⑥:A社 協働ロボット A社では、100 台の協働ロボットを導入し、ワーク投入やエアブロー、検査などの自動化に成功しました。 業種 金属部品加工 自動化効果 人員 60名削減・2.5億/年のコスト削減 投資金額 協働ロボット 100台分 A社の成功事例の特徴は、S社と同様SIerレスで自動化に成功した点です。PLCが扱える人材を採用し、徹底してロボット活用の社内教育を行うことで、コストを抑えた圧倒的な自動化を実現しました。 総額では大きい投資となっていますが、それに見合うだけの費用対効果を実現しています。 さらに事例の詳細について気になる方は、1時間程度の無料相談会を活用ください。 HP 上には記載しきれていない、実際にロボットが稼働している様子や、自動化に関する情報を余すことなくご提供させていただきます。 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システム/ネットワークを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、コミュニケーションをとり、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。立場が異なるメンバー・グループ同士が同じゴールを目指していけるよう、統括していく必要があります。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 株式会社船井総合研究所の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。 製造業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変動しています。インターネットおよびデジタル化の波は、もはや無視できない潮流となり、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。そんな中、注目を集めるのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。 「DXって、結局何をすればいいの?」 「うちの工場でも、本当に効果があるの?」 「コストばかりかかって、何も変わらないんじゃないか?」 そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。もちろん多大な労力が必要ですが、DXは決して遠い世界の出来事ではありません。日々の業務効率化から、可視化による品質向上、さらにはコミュニケーションの変革まで、その効果は多岐にわたります。 この記事では、DXの基礎から、実際の成功事例、そして導入時の課題と解決策まで、あなたの工場がDXを成功させるための羅針盤となる情報を提供します。他社の失敗事例も踏まえ、業務改善につなげられるようなノウハウもご紹介していきます。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。状況が可視化され、生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な業務効率化にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットおよびデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応していかなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.DX成功事例6選 国内には、アナログ的な手法から脱却してDXに成功した工場は多数存在します。ここでは成功事例を6つ紹介します。 2-1.DX成功事例①:J社 基幹システム刷新 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.DX成功事例②:S社 協働ロボット活用 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.DX成功事例③:S社 AI外観検査 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 2-4.DX成功事例④:A社 自動バリ取りロボット A 社ではロボットを使うことによって、工数がかかっていたバリ取り作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種 セラミック製品製造 自動化効果 年間工数 1019 時間削減・生産性 167%増 投資金額 1800 万円+6 軸ロボット費用 A 社の成功事例の特徴は、画像認識によりバリ取りパスを自動で生成している点です。自動生成されたパスに沿ってロボットが動作するため、品種ごとにティーチングプログラムを作成する必要がなく、超多品種少量生産に対応することができます。 本来ロボットを稼働させる際は、ティーチングと呼ばれるロボットのプログラムを人が作成する必要があります。そのためロボットでさまざまな製品の加工をおこなおうとすると、その数だけティーチングをおこなう必要があります。 A 社では、画像認識による自動プログラム作成を採用しているため、作業員が治具に製品を置けば、ロボットが自動でバリ取りをおこなってくれます。 ⇒関連記事:自社の業務に合わせた自動化で、少ない人員でも生産増に対応することができました-アスザック株式会社 様 2-5.DX成功事例⑤:C 社溶接ロボット・研磨ロボット C社では、高い品質が求められる製品において、溶接工程と研磨工程の自動化に成功しました。 業種 鈑金溶接品製造 自動化効果 溶接・研磨の熟練技術の継承に成功 投資金額 7700 万円 (うち 4000 万円は補助金) C社の成功事例の特徴は、非常に難易度の高い薄板ステンレスの TIG 溶接と鏡面研磨を最新技術を活用して自動化した点です。さらに投資金額 7700 万円のうち 4000 万円は事業再構築補助金を活用することにより投資コストを抑えています。 薄板の TIG 溶接は非常に熟練度が要求される作業であり、早い人でも製品として出荷できるレベルに達するまでには 5 年はかかる職人技術と言われています。また、C社の製品における研磨工程は鏡面仕上げとなっており相当の工数がかかっている状態でした。 これら難易度の高い職人技術を 6 軸力覚、加速度、位置センサー、アクティブ・コンプライアンス制御技術を用いて自動化に成功しました。 2-6.DX成功事例⑥:A社 協働ロボット A社では、100 台の協働ロボットを導入し、ワーク投入やエアブロー、検査などの自動化に成功しました。 業種 金属部品加工 自動化効果 人員 60名削減・2.5億/年のコスト削減 投資金額 協働ロボット 100台分 A社の成功事例の特徴は、S社と同様SIerレスで自動化に成功した点です。PLCが扱える人材を採用し、徹底してロボット活用の社内教育を行うことで、コストを抑えた圧倒的な自動化を実現しました。 総額では大きい投資となっていますが、それに見合うだけの費用対効果を実現しています。 さらに事例の詳細について気になる方は、1時間程度の無料相談会を活用ください。 HP 上には記載しきれていない、実際にロボットが稼働している様子や、自動化に関する情報を余すことなくご提供させていただきます。 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システム/ネットワークを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、コミュニケーションをとり、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。立場が異なるメンバー・グループ同士が同じゴールを目指していけるよう、統括していく必要があります。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 株式会社船井総合研究所の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。

AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは?

2024.07.04

いつもご愛読いただきありがとうございます。 製造業における、製品の品質管理は企業の信頼性を担保する重要な要素ですが、従来の手作業による検査は効率面や品質の均一性において課題が残されているケースが多くあります。 本記事では、AIを活用した外観検査の自動化について、その効果を最大限に引き出す方法をご紹介いたします。 AI外観検査の基本的な概要から導入メリット、よくある誤解、導入プロセスやよくあるFAQまで詳しく解説いたします。 本記事をお読みいただくことで、AI外観検査の基礎から導入方法までを包括的に理解することができます。外観検査の効率化を検討中の企業様は、ぜひ最後までご一読ください。 1.AI外観検査とは? 外観検査は、製品が仕様通りの外観を保っているかを確認する工程です。品質管理において、外観検査は非常に重要です。まずは、AIを活用した外観検査について解説していきます。 1-1.AIとは AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣し、データ解析や学習を行うシステムです。AIはディープラーニングなどの技術を活用して、大量のデータを解析し、人間と同等、あるいはそれ以上の精度で判断を行います。AI技術は医療、金融、製造業などさまざまな分野で利用されており、特に画像認識や異常検知の分野で高い精度を誇ります。 AIは、膨大なデータを分析し、そこから特徴を抽出することで、人間の感覚に近い判断を下せるように教育されています。 AIの歴史は1950年代にさかのぼります。当初は理論的な研究が主でしたが、現在では実用的な応用が進んでいます。2022年11月30日にはChatGPTがリリースされ、AIの実用性は加速的に高まっています。画像認識、音声認識、自然言語処理などの分野で大きな成果を上げており、製造業でもその適用範囲が広がっています。 例えば、お客様とのコミュニケーションを自動化するAIチャットボットや、製造工程の最適化に貢献するAIソリューションなど、様々な分野でAIが活躍しています。 1-2.AI外観検査とは AI外観検査は、製品の外観をAI技術を用いて自動的に検査する方法です。具体的には、カメラで撮影された画像をAIが解析し、不良箇所や不良を検出します。AIの学習方法にもよりますが、従来の目視検査やルールベースの画像検査と異なり、AI自体に不良データを学習させ、製品の良否判定をおこなわせることもできます。 AI外観検査は、特に大量生産をおこなっている工場で非常に有効です。例えば、自動車部品の製造ラインでは、毎分数百個の部品が生産されますが、このすべてを人間が目視で検査することは現実的ではありません。AI外観検査を導入することで、即時に大量の部品を検査することができ、生産性が大幅に向上します。 AI外観検査は、異物の混入や、製品のキズ、欠け、打痕、バリ、ムラなどを検出することができます。 1-3.AI外観検査と従来の外観検査⼿法との違い 従来の目視検査は、人間の経験や勘に頼る部分が大きく、検査をおこなう人や、その人の状態などによって検査結果にばらつきが生じやすいという欠点があります。特に検査員が疲労している場合や、スキルにばらつきがある場合、不良品を見逃すリスクが高まります。これに対し、AI外観検査は一定の基準に従って一貫した検査を行うため、信頼性が高いと言えます。 また、従来の画像検査システムでは、あらかじめ決められたルールに基づいて不良を検知します。しかし、作業員の経験に頼るような、難易度の高い外観検査を自動化する場合は、不良のモデル化が困難であるという欠点がありました。AI外観検査は、機械学習アルゴリズムを使用してデータから学習をおこなうため、不良のモデル化が難しい、曖昧な不良パターンの自動化にも対応することができます。 AI外観検査では、正常な製品画像と異常な製品画像をAIに学習させることで、異常個所を自動的に検出する仕組みになっています。 AI外観検査の導入には初期コストがかかりますが、長期的に見れば検査の効率が向上し、不良品の減少によるコスト削減効果が期待できます。AI外観検査を導入することで、品質管理のレベルが向上し、製品の信頼性を高めることができます。 AI外観検査導入の際には、対象製品において不良の検出が可能かどうか、事前に検証をおこなう必要があります。 2.AI外観検査の2つのメリット AI外観検査には、以下の2つのメリットがあります。 省人化によるコスト削減と生産性向上 検査品質の向上と均一化 それぞれ詳しく見ていきましょう。 2-1.AI外観検査のメリット①:省人化によるコスト削減と生産性向上 AI外観検査を導入することで、人手による検査が不要となり、人件費の大幅な削減が可能です。時間や人手のかかっている作業を選定し、自動化することができれば、浮かせた工数分、人件費を削減することができます。また、製造ラインを24時間稼働させることもできるようになるため、さらなる生産性向上が期待できます。 さらに検査を自動化することで、検査員をより付加価値の高い業務に配置することが可能になります。例えば、生産ラインの監視や機械の保守、オペレーションの最適化など、より付加価値の高い業務に集中することができます。これにより、工場全体の生産性向上と業務効率化を図ることができます。 AI外観検査は、繰り返し作業の自動化に役立ち、従業員がより創造的な業務に集中することを可能にします。 2-2.AI外観検査のメリット②:検査品質の向上と均一化 AI外観検査は、設定された基準に基づいて検査をおこないます。人間の疲労や主観によるばらつきを防ぎ、精度高く検査をおこなうことができます。 検査の精度向上は、製品の品質安定化に繋がり、お客様の満足度向上に大きく貢献します。 AI外観検査では、微細なキズや目に見えない欠陥を検出することができます。例えば、プリント基板の微細なクラックや汚れ、半導体チップの微細な不良など、人間の目では見逃しがちな不良を検出することができます。 AIは、人間の目では見逃してしまうような微細な傷や異物を、高い精度で検出することができます。 3.AI外観検査の2つのデメリット AI外観検査には既存の検査方法にはないメリットがありますが、いくつかのデメリットや課題も存在します。 高コストの初期導入費用 データの質と量に依存 それぞれ詳しく見ていきましょう。 3-1.AI外観検査のデメリット①:高コストの初期導入費用 AI外観検査システムの導入に際しては、ハードウェア、ソフトウェア、AIモデルの開発費用などの初期投資が必要になります。特に、高度なAIモデルを構築するためには、大量のデータや専門的な知識が必要であり、その開発のためのリソースが求められます。中小企業にとっては、この初期投資が高額であり、導入をためらう要因になるケースがあります。 AI外観検査システムの導入には、もちろん初期費用がかかりますが、長期的な観点から見ると、人件費削減や品質向上による効果が期待できます。 3-2.AI外観検査のデメリット②:データの質と量に依存 AI外観検査の精度は、学習に使用するデータの質と量に大きく依存します。適切なデータを収集し、正確にラベル付することが求められます。例えば、不良対象が上手く撮像できていない場合や、撮像データが数十データしかない場合、AIモデルの検査精度は低下し、誤検出や見逃しが発生するリスクが高まります。どんなに質の高いAIを活用しても、適切なデータを収集できていなければ、理想的な外観検査の自動化を実現することは難しいです。 AIモデルの学習には、良品と不良品の画像データが必要となります。 4.「AIによる外観検査」でよくある誤解 AI外観検査の導入提案をしていく中で、残念ながらAIに対する誤解が見られることがあります。よくある例として、「AIは完全無欠であり、人間の介入なしで検査を自動化できる」と考えがちですが、これは誤りです。先ほど記載した通り、AIの精度は学習データに依存しているため、データの質や量が検査結果に影響します。また、環境の変化や新たな不良パターンに対応するための継続的な学習が必要です。さらに、重要な判断には人間の確認が求められることもあります。 例えば、ある自動車メーカーにおいて、学習データが偏っていたり、学習事項を適切に更新していなかったことから、AIが誤った不良検出を多発させた事例があります。AI外観検査システムは常に最新のデータに更新しながら、運用していくことが求められます。また、すべての不良をAIで検出できるわけではないため、特に複雑な検査結果には人間による最終確認が必要です。 AIはあくまでもツールであり、人間の判断を完全に代替できるわけではありません。AIの特性を理解し、適切に使っていくことが重要です。 5.よくある質問 次に、外観検査AIを導入する際によくある質問についてご紹介いたします。 5-1.AI外観検査の導入にはどのくらいのコストがかかりますか? 初期投資としては数百万円から数千万円が一般的です。具体的な費用は、検査対象の規模や求める精度、必要な機能、自動化によって削減できる人件費によっても異なります。費用対効果を考慮し、適切なシステムを選定することが重要です。 AI外観検査システムの価格は、会社や提供するソリューションによって大きく異なります。 5-2.AI外観検査はどのような業界で導入されていますか? AI外観検査は製造業、自動車産業、食品産業、医薬品産業など、多岐にわたる業界で導入されています。特に製造業では、部品の表面検査や組み立て製品の最終検査などで使用され、高精度な検査結果と効率化が期待されています。 AI外観検査は、金属、電子部品、プラスチック、食品、医薬品など、様々な商品の検査に使われています。 6.AIで外観検査をおこなうかどうか?以外の検討事項 6-1.AI以外の検討事項 検査工程を自動化する際は、AIで外観検査をおこなうかどうか?以外にもさまざまな検討事項があります。 例えば、 照明:製品に赤/青/緑/白い光を当てるのか?紫外線を当てるのか? 装置の位置:どの角度から光を照射するのか?どの位置から製品を撮像するのか? 画像ソフト:機械学習をさせるのか?ルールベースで画像認識をさせるのか?AIを使うのか? カメラのスペック:どの程度の解像度のカメラが必要なのか タクトタイム:どのような仕様にすれば理想のタクトタイムが実現できるのか。カメラの台数を増やすのか?より高速処理できる画像ソフトを使うのか?etc… 示した通り、画像検査を自動化する手法は非常に多岐に渡ります。一つ一つを精査し、自社に合った適切な手法を検討することが重要です。 検査対象の特性、要求される精度、速度、そして予算などを考慮して、最適なシステムを選択する必要があります。 6-2.費用対効果の検討 技術的な部分と合わせて検討すべきは、費用対効果の検討です。 自動化といっても、うちは多品種過ぎて費用対効果が出ないのではないか…と考えている企業様もいらっしゃるかと思います。 これらは、自動化品種や検査ラインの組み方、画像処理の方法を工夫することで、多品種でも費用対効果の出る自動化を実現できる可能性があります。 ロボットなどでワーク投入などを自動化させる際は、原則一つのティーチングにおいて一つの製品のみを自動化させることができます。 一つ一つの品種に対してそれぞれティーチングを行う必要があるので、品種追加をしようとすると非常に工数がかかってしまいます。 しかし、外観検査においては、厳密には異なる品種でも、同じ製造ラインにて自動化をおこなうことができます。 これは、外観検査の際に製品に対しておこなう動作が“撮像”であることに起因しています。 製品がカメラの画角に収まっていれば、さまざまな不良データを学習させたり、照射する光の角度や種類を変えることで、同一ラインにて多品種製品の自動化をおこなうことができます。 AI外観検査システムは、柔軟な設定が可能なため、多品種少量生産にも対応することができます。 品種選定、検査ラインの組み方、画像処理方法などをしっかりと精査することで、費用対効果の出る自動化を実現しましょう。 導入事例を参考にしたり、専門家の意見を聞くことも役立ちます。 7.まとめ AI外観検査は、外観検査の自動化と品質向上に大きく寄与する技術です。 省人化によるコスト削減、検査品質の向上など、多くのメリットがあります。 一方で、導入前には詳細な検討をおこない、実際に費用対効果が出る形で導入を進めていく必要があります。 船井総研では、AI外観検査の自動化コンサルティングをおこなっております。要件定義から機器選定、補助金活用~導入後の運用支援まで、一貫して導入のお手伝いをさせていただいております。 株式会社船井総合研究所は、AI外観検査導入をトータルでサポートする会社です。 ご興味のある方は以下の無料経営相談をご活用ください。画像検査専門のコンサルタントが対応させていただきます。 気軽にご相談ください。 ⇒経営相談はこちら いつもご愛読いただきありがとうございます。 製造業における、製品の品質管理は企業の信頼性を担保する重要な要素ですが、従来の手作業による検査は効率面や品質の均一性において課題が残されているケースが多くあります。 本記事では、AIを活用した外観検査の自動化について、その効果を最大限に引き出す方法をご紹介いたします。 AI外観検査の基本的な概要から導入メリット、よくある誤解、導入プロセスやよくあるFAQまで詳しく解説いたします。 本記事をお読みいただくことで、AI外観検査の基礎から導入方法までを包括的に理解することができます。外観検査の効率化を検討中の企業様は、ぜひ最後までご一読ください。 1.AI外観検査とは? 外観検査は、製品が仕様通りの外観を保っているかを確認する工程です。品質管理において、外観検査は非常に重要です。まずは、AIを活用した外観検査について解説していきます。 1-1.AIとは AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣し、データ解析や学習を行うシステムです。AIはディープラーニングなどの技術を活用して、大量のデータを解析し、人間と同等、あるいはそれ以上の精度で判断を行います。AI技術は医療、金融、製造業などさまざまな分野で利用されており、特に画像認識や異常検知の分野で高い精度を誇ります。 AIは、膨大なデータを分析し、そこから特徴を抽出することで、人間の感覚に近い判断を下せるように教育されています。 AIの歴史は1950年代にさかのぼります。当初は理論的な研究が主でしたが、現在では実用的な応用が進んでいます。2022年11月30日にはChatGPTがリリースされ、AIの実用性は加速的に高まっています。画像認識、音声認識、自然言語処理などの分野で大きな成果を上げており、製造業でもその適用範囲が広がっています。 例えば、お客様とのコミュニケーションを自動化するAIチャットボットや、製造工程の最適化に貢献するAIソリューションなど、様々な分野でAIが活躍しています。 1-2.AI外観検査とは AI外観検査は、製品の外観をAI技術を用いて自動的に検査する方法です。具体的には、カメラで撮影された画像をAIが解析し、不良箇所や不良を検出します。AIの学習方法にもよりますが、従来の目視検査やルールベースの画像検査と異なり、AI自体に不良データを学習させ、製品の良否判定をおこなわせることもできます。 AI外観検査は、特に大量生産をおこなっている工場で非常に有効です。例えば、自動車部品の製造ラインでは、毎分数百個の部品が生産されますが、このすべてを人間が目視で検査することは現実的ではありません。AI外観検査を導入することで、即時に大量の部品を検査することができ、生産性が大幅に向上します。 AI外観検査は、異物の混入や、製品のキズ、欠け、打痕、バリ、ムラなどを検出することができます。 1-3.AI外観検査と従来の外観検査⼿法との違い 従来の目視検査は、人間の経験や勘に頼る部分が大きく、検査をおこなう人や、その人の状態などによって検査結果にばらつきが生じやすいという欠点があります。特に検査員が疲労している場合や、スキルにばらつきがある場合、不良品を見逃すリスクが高まります。これに対し、AI外観検査は一定の基準に従って一貫した検査を行うため、信頼性が高いと言えます。 また、従来の画像検査システムでは、あらかじめ決められたルールに基づいて不良を検知します。しかし、作業員の経験に頼るような、難易度の高い外観検査を自動化する場合は、不良のモデル化が困難であるという欠点がありました。AI外観検査は、機械学習アルゴリズムを使用してデータから学習をおこなうため、不良のモデル化が難しい、曖昧な不良パターンの自動化にも対応することができます。 AI外観検査では、正常な製品画像と異常な製品画像をAIに学習させることで、異常個所を自動的に検出する仕組みになっています。 AI外観検査の導入には初期コストがかかりますが、長期的に見れば検査の効率が向上し、不良品の減少によるコスト削減効果が期待できます。AI外観検査を導入することで、品質管理のレベルが向上し、製品の信頼性を高めることができます。 AI外観検査導入の際には、対象製品において不良の検出が可能かどうか、事前に検証をおこなう必要があります。 2.AI外観検査の2つのメリット AI外観検査には、以下の2つのメリットがあります。 省人化によるコスト削減と生産性向上 検査品質の向上と均一化 それぞれ詳しく見ていきましょう。 2-1.AI外観検査のメリット①:省人化によるコスト削減と生産性向上 AI外観検査を導入することで、人手による検査が不要となり、人件費の大幅な削減が可能です。時間や人手のかかっている作業を選定し、自動化することができれば、浮かせた工数分、人件費を削減することができます。また、製造ラインを24時間稼働させることもできるようになるため、さらなる生産性向上が期待できます。 さらに検査を自動化することで、検査員をより付加価値の高い業務に配置することが可能になります。例えば、生産ラインの監視や機械の保守、オペレーションの最適化など、より付加価値の高い業務に集中することができます。これにより、工場全体の生産性向上と業務効率化を図ることができます。 AI外観検査は、繰り返し作業の自動化に役立ち、従業員がより創造的な業務に集中することを可能にします。 2-2.AI外観検査のメリット②:検査品質の向上と均一化 AI外観検査は、設定された基準に基づいて検査をおこないます。人間の疲労や主観によるばらつきを防ぎ、精度高く検査をおこなうことができます。 検査の精度向上は、製品の品質安定化に繋がり、お客様の満足度向上に大きく貢献します。 AI外観検査では、微細なキズや目に見えない欠陥を検出することができます。例えば、プリント基板の微細なクラックや汚れ、半導体チップの微細な不良など、人間の目では見逃しがちな不良を検出することができます。 AIは、人間の目では見逃してしまうような微細な傷や異物を、高い精度で検出することができます。 3.AI外観検査の2つのデメリット AI外観検査には既存の検査方法にはないメリットがありますが、いくつかのデメリットや課題も存在します。 高コストの初期導入費用 データの質と量に依存 それぞれ詳しく見ていきましょう。 3-1.AI外観検査のデメリット①:高コストの初期導入費用 AI外観検査システムの導入に際しては、ハードウェア、ソフトウェア、AIモデルの開発費用などの初期投資が必要になります。特に、高度なAIモデルを構築するためには、大量のデータや専門的な知識が必要であり、その開発のためのリソースが求められます。中小企業にとっては、この初期投資が高額であり、導入をためらう要因になるケースがあります。 AI外観検査システムの導入には、もちろん初期費用がかかりますが、長期的な観点から見ると、人件費削減や品質向上による効果が期待できます。 3-2.AI外観検査のデメリット②:データの質と量に依存 AI外観検査の精度は、学習に使用するデータの質と量に大きく依存します。適切なデータを収集し、正確にラベル付することが求められます。例えば、不良対象が上手く撮像できていない場合や、撮像データが数十データしかない場合、AIモデルの検査精度は低下し、誤検出や見逃しが発生するリスクが高まります。どんなに質の高いAIを活用しても、適切なデータを収集できていなければ、理想的な外観検査の自動化を実現することは難しいです。 AIモデルの学習には、良品と不良品の画像データが必要となります。 4.「AIによる外観検査」でよくある誤解 AI外観検査の導入提案をしていく中で、残念ながらAIに対する誤解が見られることがあります。よくある例として、「AIは完全無欠であり、人間の介入なしで検査を自動化できる」と考えがちですが、これは誤りです。先ほど記載した通り、AIの精度は学習データに依存しているため、データの質や量が検査結果に影響します。また、環境の変化や新たな不良パターンに対応するための継続的な学習が必要です。さらに、重要な判断には人間の確認が求められることもあります。 例えば、ある自動車メーカーにおいて、学習データが偏っていたり、学習事項を適切に更新していなかったことから、AIが誤った不良検出を多発させた事例があります。AI外観検査システムは常に最新のデータに更新しながら、運用していくことが求められます。また、すべての不良をAIで検出できるわけではないため、特に複雑な検査結果には人間による最終確認が必要です。 AIはあくまでもツールであり、人間の判断を完全に代替できるわけではありません。AIの特性を理解し、適切に使っていくことが重要です。 5.よくある質問 次に、外観検査AIを導入する際によくある質問についてご紹介いたします。 5-1.AI外観検査の導入にはどのくらいのコストがかかりますか? 初期投資としては数百万円から数千万円が一般的です。具体的な費用は、検査対象の規模や求める精度、必要な機能、自動化によって削減できる人件費によっても異なります。費用対効果を考慮し、適切なシステムを選定することが重要です。 AI外観検査システムの価格は、会社や提供するソリューションによって大きく異なります。 5-2.AI外観検査はどのような業界で導入されていますか? AI外観検査は製造業、自動車産業、食品産業、医薬品産業など、多岐にわたる業界で導入されています。特に製造業では、部品の表面検査や組み立て製品の最終検査などで使用され、高精度な検査結果と効率化が期待されています。 AI外観検査は、金属、電子部品、プラスチック、食品、医薬品など、様々な商品の検査に使われています。 6.AIで外観検査をおこなうかどうか?以外の検討事項 6-1.AI以外の検討事項 検査工程を自動化する際は、AIで外観検査をおこなうかどうか?以外にもさまざまな検討事項があります。 例えば、 照明:製品に赤/青/緑/白い光を当てるのか?紫外線を当てるのか? 装置の位置:どの角度から光を照射するのか?どの位置から製品を撮像するのか? 画像ソフト:機械学習をさせるのか?ルールベースで画像認識をさせるのか?AIを使うのか? カメラのスペック:どの程度の解像度のカメラが必要なのか タクトタイム:どのような仕様にすれば理想のタクトタイムが実現できるのか。カメラの台数を増やすのか?より高速処理できる画像ソフトを使うのか?etc… 示した通り、画像検査を自動化する手法は非常に多岐に渡ります。一つ一つを精査し、自社に合った適切な手法を検討することが重要です。 検査対象の特性、要求される精度、速度、そして予算などを考慮して、最適なシステムを選択する必要があります。 6-2.費用対効果の検討 技術的な部分と合わせて検討すべきは、費用対効果の検討です。 自動化といっても、うちは多品種過ぎて費用対効果が出ないのではないか…と考えている企業様もいらっしゃるかと思います。 これらは、自動化品種や検査ラインの組み方、画像処理の方法を工夫することで、多品種でも費用対効果の出る自動化を実現できる可能性があります。 ロボットなどでワーク投入などを自動化させる際は、原則一つのティーチングにおいて一つの製品のみを自動化させることができます。 一つ一つの品種に対してそれぞれティーチングを行う必要があるので、品種追加をしようとすると非常に工数がかかってしまいます。 しかし、外観検査においては、厳密には異なる品種でも、同じ製造ラインにて自動化をおこなうことができます。 これは、外観検査の際に製品に対しておこなう動作が“撮像”であることに起因しています。 製品がカメラの画角に収まっていれば、さまざまな不良データを学習させたり、照射する光の角度や種類を変えることで、同一ラインにて多品種製品の自動化をおこなうことができます。 AI外観検査システムは、柔軟な設定が可能なため、多品種少量生産にも対応することができます。 品種選定、検査ラインの組み方、画像処理方法などをしっかりと精査することで、費用対効果の出る自動化を実現しましょう。 導入事例を参考にしたり、専門家の意見を聞くことも役立ちます。 7.まとめ AI外観検査は、外観検査の自動化と品質向上に大きく寄与する技術です。 省人化によるコスト削減、検査品質の向上など、多くのメリットがあります。 一方で、導入前には詳細な検討をおこない、実際に費用対効果が出る形で導入を進めていく必要があります。 船井総研では、AI外観検査の自動化コンサルティングをおこなっております。要件定義から機器選定、補助金活用~導入後の運用支援まで、一貫して導入のお手伝いをさせていただいております。 株式会社船井総合研究所は、AI外観検査導入をトータルでサポートする会社です。 ご興味のある方は以下の無料経営相談をご活用ください。画像検査専門のコンサルタントが対応させていただきます。 気軽にご相談ください。 ⇒経営相談はこちら

10分でわかる基幹システムの再構築ステップ

2024.07.04

業務効率化、コスト削減、リアルタイムデータの活用など、多くの企業がヒト・モノ・カネの流れを一元管理して可視化するために基幹システムを導入しています。 しかし、基幹システムの導入は必ずしも成功に繋がるわけではありません。 本来の目的を達成できず、中途半端な状態で運用されている事例も少なくありません。 本コラムでは、既存の基幹システムを刷新せずに再構築する際の成功のための具体的なポイントを探ります。 1.導入失敗の原因 まず、なぜ多くの企業が基幹システムの導入に失敗するのか、その原因を探ることから始めましょう。 主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。 ①経営陣のサポート不足 経営陣がプロジェクトに対して十分な理解とサポートができていない場合、プロジェクトが円滑に進まないことがよく起こります。 経営陣の強い想いと覚悟が従業員にうまく伝わっていなかったり、プロジェクトチームへのサポートが欠如していると、予算の確保や意思決定の遅延などに繋がり、その結果プロジェクト全体が停滞したり迷走してしまいます。 ②本来の目的を見失う プロジェクトが進行するうちに、初期の目的や目標を見失うことがよくあります。 特に、ユーザーの声に対して過度に反応しすぎることで、本来の目的から逸脱した機能追加や変更が行われるケースがあります。 このような迷走を避けるためには、常にプロジェクトの基本方針を確認し、目的を見失わないようにすることが重要です。 ③社内合意形成の不足 基幹システムの導入は会社全体の大きな変革をもたらします。 会社全体の動きを適切に捉えるために業務フローを変えなければならないことも生じます。 そのため、全てのステークホルダー間でしっかりと合意形成を行うことが不可欠です。 しかし、これが不十分な場合、部署ごとに異なる期待を持ち、部分最適がぶつかり合い、結果的にシステムが各部門のニーズを満たさなくなることがしばしばあります。 ④要件定義の不備 要件定義が不十分であると、後々のトラブルの原因となります。 具体的なニーズや要件が明確にならないままプロジェクトが進行すると、完成したシステムが実際の業務に適さないものとなる可能性が高くなります。 このような原因で基幹システムをうまく機能させることができていない企業も多いのではないでしょうか。 次に再構築の計画立案について詳しく解説します。 2.再構築の計画立案 基幹システム再構築にチャレンジする際、過去の経験を反省材料として次のステップに活かすことが重要です。 再構築に向けては、以下のステップをしっかりと計画立案することが求められます。 ①プロジェクトチーム結成 基幹システム再構築の成功には、まず経営陣から現場までのすべてのステークホルダーを巻き込んだ強力なプロジェクトチームの結成が不可欠です。 経営陣の強い想いと覚悟をプロジェクトメンバー内で共有します。 ②目的確認 プロジェクトチームが行う最初のステップは、本来の目的を明確に確認することです。 具体的な目的としては、月次決算の早期化、在庫の適正化、個別原価の把握などが挙げられます。 これらの目的を明確にすることで、プロジェクト全体の透明性と信頼性が大いに向上します。 再構築プロジェクトの目的を明確化し、その目的に対する全体の合意を形成します。 このプロセスは、プロジェクトメンバー全員が共通の目標を持ち、一体感を持って取り組むために欠かせません。 明確に定義された目的は、プロジェクトの進行過程での優先順位付けや意思決定において重要な指針となります。 ③現状分析 本来の目的が達成できていない原因を徹底的に洗い出します。 どこに改良が必要なのか、どの部分が再構築の対象になるのかを明確にします。 特に、システムの問題だけでなく、組織的な役割分担や業務フローの課題にも目を向けることが重要です。 各部門のニーズや課題をヒアリングし、全社的な視点で改善ポイントを洗い出します。 ④ステップアッププラン策定 基幹システム再構築の本来の目的を見据え、個々の目標と優先順位を明確に設定します。 一度にすべてを改善するのは難しいため、優先順位をつけて一つずつステップアップしていくことが重要です。 このアプローチは、各部署間の衝突を回避しつつ、全体としての本来の目的に到達するために効果的です。 ⑤要件定義と業務フロー再構築 比較的新しい既存システムの再構築の場合、システム改修は必要最小限にとどめることが重要です。 多くの場合、問題の根本はシステムではなく、組織の役割分担や業務フロー、マスター設計や設定にあります。 現場の業務が滞りなく進むよう、入力支援ツールや設備IoTの活用、BIツールを使った効率的なレポート出力も検討しましょう。 これにより、具体的な改修要件と業務フローが明確になります。 ⑥設計・開発 この段階では、要件定義に基づき具体的な設計と開発作業を行います。 まず、基幹システムの改修を行い、次に業務支援ツールの開発に取り組みます。 同時に、マスターの再設計と再設定も非常に重要です。 これにより、システム全体がより効率的かつ効果的に機能するようになります。 ⑦テスト・シミュレーション 開発が完了したら、順次テストとシミュレーションを実施してシステムの精度を確認します。 また、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、操作性や機能性を継続的に改善します。 この段階でのポイントは、既に稼働しているシステムを利用した現実的なテスト環境を整え、実際の運用条件に近い設定でシミュレーションを行うことです。 これにより、導入後の問題発生を最小限に抑えることができます。 ⑧稼働・運用定着 最後に、新しいシステムを稼働させ、運用が定着するまでのプロセスを丁寧に管理します。 現行システム再構築の場合、操作に慣れている面もありますが、本来の目的を達成するための新しいマスターと業務フローへのスムーズな移行が不可欠です。 このため、移行スケジュールを詳細に計画し、全社員が新業務に適応できる環境を整備します。 例えば、適切な作業手順書を用意し、全社一丸となったサポート体制を築くことが重要です。 そして、システム稼働後も運用の安定を支えるために継続的なサポート体制を整えます。 定期的なトレーニングやフィードバックの仕組みを導入することで、持続的な改善を実現します。 このように、しっかりと計画立案を行うことで、基幹システム再構築の成功確率を大いに高めることができます。 3.まとめ 基幹システムの再構築は簡単なプロジェクトではありません。 特に多くのステークホルダー間での合意形成が大きな課題となります。 しかし、経営陣の強いサポート、プロジェクトチームによる目的の周知徹底、綿密な計画立案、継続的なテストとフィードバック、そして強固なサポート体制を整えることで、再構築の成功率を大いに高めることができます。 これにより、業務効率の向上、コスト削減、新たなビジネスチャンスの創出といった具体的な利点が期待できます。 是非、積極的にこれらの戦略を実行に移し、企業のさらなる成長と発展を目指していただきたいと思います。 ■関連するセミナーのご案内 製造業の基幹システムリニューアル&再構築戦略! セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115742 【このような方にオススメ】 どんぶり勘定から抜け出し個別原価管理を実現して利益構造を解明したい 紙帳票やEXCEL依存から抜け出して電子帳票化やBI化へと進みたい 複数拠点情報をリアルタイムに把握しデータに基づく経営を実践したい 基幹システムを刷新したばかりなのに上手く使いこなせていない 集めた社内データを生成AIで使い勝手よく利用したい お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115742 業務効率化、コスト削減、リアルタイムデータの活用など、多くの企業がヒト・モノ・カネの流れを一元管理して可視化するために基幹システムを導入しています。 しかし、基幹システムの導入は必ずしも成功に繋がるわけではありません。 本来の目的を達成できず、中途半端な状態で運用されている事例も少なくありません。 本コラムでは、既存の基幹システムを刷新せずに再構築する際の成功のための具体的なポイントを探ります。 1.導入失敗の原因 まず、なぜ多くの企業が基幹システムの導入に失敗するのか、その原因を探ることから始めましょう。 主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。 ①経営陣のサポート不足 経営陣がプロジェクトに対して十分な理解とサポートができていない場合、プロジェクトが円滑に進まないことがよく起こります。 経営陣の強い想いと覚悟が従業員にうまく伝わっていなかったり、プロジェクトチームへのサポートが欠如していると、予算の確保や意思決定の遅延などに繋がり、その結果プロジェクト全体が停滞したり迷走してしまいます。 ②本来の目的を見失う プロジェクトが進行するうちに、初期の目的や目標を見失うことがよくあります。 特に、ユーザーの声に対して過度に反応しすぎることで、本来の目的から逸脱した機能追加や変更が行われるケースがあります。 このような迷走を避けるためには、常にプロジェクトの基本方針を確認し、目的を見失わないようにすることが重要です。 ③社内合意形成の不足 基幹システムの導入は会社全体の大きな変革をもたらします。 会社全体の動きを適切に捉えるために業務フローを変えなければならないことも生じます。 そのため、全てのステークホルダー間でしっかりと合意形成を行うことが不可欠です。 しかし、これが不十分な場合、部署ごとに異なる期待を持ち、部分最適がぶつかり合い、結果的にシステムが各部門のニーズを満たさなくなることがしばしばあります。 ④要件定義の不備 要件定義が不十分であると、後々のトラブルの原因となります。 具体的なニーズや要件が明確にならないままプロジェクトが進行すると、完成したシステムが実際の業務に適さないものとなる可能性が高くなります。 このような原因で基幹システムをうまく機能させることができていない企業も多いのではないでしょうか。 次に再構築の計画立案について詳しく解説します。 2.再構築の計画立案 基幹システム再構築にチャレンジする際、過去の経験を反省材料として次のステップに活かすことが重要です。 再構築に向けては、以下のステップをしっかりと計画立案することが求められます。 ①プロジェクトチーム結成 基幹システム再構築の成功には、まず経営陣から現場までのすべてのステークホルダーを巻き込んだ強力なプロジェクトチームの結成が不可欠です。 経営陣の強い想いと覚悟をプロジェクトメンバー内で共有します。 ②目的確認 プロジェクトチームが行う最初のステップは、本来の目的を明確に確認することです。 具体的な目的としては、月次決算の早期化、在庫の適正化、個別原価の把握などが挙げられます。 これらの目的を明確にすることで、プロジェクト全体の透明性と信頼性が大いに向上します。 再構築プロジェクトの目的を明確化し、その目的に対する全体の合意を形成します。 このプロセスは、プロジェクトメンバー全員が共通の目標を持ち、一体感を持って取り組むために欠かせません。 明確に定義された目的は、プロジェクトの進行過程での優先順位付けや意思決定において重要な指針となります。 ③現状分析 本来の目的が達成できていない原因を徹底的に洗い出します。 どこに改良が必要なのか、どの部分が再構築の対象になるのかを明確にします。 特に、システムの問題だけでなく、組織的な役割分担や業務フローの課題にも目を向けることが重要です。 各部門のニーズや課題をヒアリングし、全社的な視点で改善ポイントを洗い出します。 ④ステップアッププラン策定 基幹システム再構築の本来の目的を見据え、個々の目標と優先順位を明確に設定します。 一度にすべてを改善するのは難しいため、優先順位をつけて一つずつステップアップしていくことが重要です。 このアプローチは、各部署間の衝突を回避しつつ、全体としての本来の目的に到達するために効果的です。 ⑤要件定義と業務フロー再構築 比較的新しい既存システムの再構築の場合、システム改修は必要最小限にとどめることが重要です。 多くの場合、問題の根本はシステムではなく、組織の役割分担や業務フロー、マスター設計や設定にあります。 現場の業務が滞りなく進むよう、入力支援ツールや設備IoTの活用、BIツールを使った効率的なレポート出力も検討しましょう。 これにより、具体的な改修要件と業務フローが明確になります。 ⑥設計・開発 この段階では、要件定義に基づき具体的な設計と開発作業を行います。 まず、基幹システムの改修を行い、次に業務支援ツールの開発に取り組みます。 同時に、マスターの再設計と再設定も非常に重要です。 これにより、システム全体がより効率的かつ効果的に機能するようになります。 ⑦テスト・シミュレーション 開発が完了したら、順次テストとシミュレーションを実施してシステムの精度を確認します。 また、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、操作性や機能性を継続的に改善します。 この段階でのポイントは、既に稼働しているシステムを利用した現実的なテスト環境を整え、実際の運用条件に近い設定でシミュレーションを行うことです。 これにより、導入後の問題発生を最小限に抑えることができます。 ⑧稼働・運用定着 最後に、新しいシステムを稼働させ、運用が定着するまでのプロセスを丁寧に管理します。 現行システム再構築の場合、操作に慣れている面もありますが、本来の目的を達成するための新しいマスターと業務フローへのスムーズな移行が不可欠です。 このため、移行スケジュールを詳細に計画し、全社員が新業務に適応できる環境を整備します。 例えば、適切な作業手順書を用意し、全社一丸となったサポート体制を築くことが重要です。 そして、システム稼働後も運用の安定を支えるために継続的なサポート体制を整えます。 定期的なトレーニングやフィードバックの仕組みを導入することで、持続的な改善を実現します。 このように、しっかりと計画立案を行うことで、基幹システム再構築の成功確率を大いに高めることができます。 3.まとめ 基幹システムの再構築は簡単なプロジェクトではありません。 特に多くのステークホルダー間での合意形成が大きな課題となります。 しかし、経営陣の強いサポート、プロジェクトチームによる目的の周知徹底、綿密な計画立案、継続的なテストとフィードバック、そして強固なサポート体制を整えることで、再構築の成功率を大いに高めることができます。 これにより、業務効率の向上、コスト削減、新たなビジネスチャンスの創出といった具体的な利点が期待できます。 是非、積極的にこれらの戦略を実行に移し、企業のさらなる成長と発展を目指していただきたいと思います。 ■関連するセミナーのご案内 製造業の基幹システムリニューアル&再構築戦略! 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売り上げも収益も上げる営業変革のポイントとは

2024.07.01

1.はじめに いつも大変お世話になっております。船井総合研究所の高階と申します。 今回のコラムでは、様々なお客様からご要望があった“業績向上に繋がる“営業改革の取り組みについてご紹介したいと思います。 私は基幹システムを中心にした業務改革の支援を中心に活動しているのですが、実は営業に関する改善支援も多く行っています。 規模は中小、中堅、大手と様々なお客様とお話をしていますが、実は悩みは似通っていることが多いです。 支援先の営業管理者・担当者の皆様の悩みを聞くたびに、私も営業出身だったという事もあり首が取れそうなほど頷いてしまいます。 少し、例を挙げてみようと思います。 皆様の会社ではどうでしょうか。 営業は事務処理に追われている。管理者側はもっと営業活動に時間を使ってほしいと要望を出しているが、現場は無茶な要求だと感じているようで動きが悪い 営業日報や週報を書いてもらっているが、担当者によって記載される内容粒度に差がある。まとめ書き・まとめて提出なども横行しており、意味を為していない 営業所や事業部によって使用している営業管理システムが違うため、統括する部署からすると参照先が複数あるなど管理が煩雑 営業管理システムを入れてはみたが、業績が上がらなかった。現在はちゃんと使われているか不明 案件の進捗は属人的な管理になっている。エクセルで一覧管理するなどしてはいるが、更新が随時行われているわけではないため、詳しくは直接聞くしかない 既存のお客様との関係構築が最重要課題だが、顧客情報や商談履歴、見積もり履歴などは担当者別に管理している状況の為、ブラックボックス化している 営業指標の確認をもっと簡単に行いたい。時間もかかる上に、複雑すぎるように感じる …etc. DXというワードが飛び交っている現在でも、企業規模や悩みの大きさこそ違えど、どの企業も似たような悩みを持っているのだな、というのが私の感想です。 2.「Excel依存」「属人化」のリスク回避に成功した製造業の事例 上記のような課題を少しマクロな目線でまとめてみます。 オープンにするべき情報のブラックボックス化(営業活動の属人化) 既存業務をスクラップ&ビルドできていない(業務負荷・分担) 営業情報や重要指標が簡単に確認できないため、マネジメント不全が起きている(情報共有) 部分的なデジタル化の弊害による二重・三重入力(業務効率) などが挙げられると考えています。 こういった課題は、特に複数事業部や複数営業所(営業部)を持つ企業では深刻になりがちです。 そもそも日本では事業部制を取る企業が多く、縦割りが強い企業が多いです。 部門によって導入しているツールが違う、案件のまとめ方も案件のステージ定義も営業の進め方も標準化されていない、目標指標の立て方も管理方法も報告内容も統一されていない、といったケースは珍しくありません。 同じ会社にもかかわらず中小企業がいくつも集まっているような状況になってしまい、前述の課題を加速させてしまっているわけです。 また、こういった問題を解決すべく、営業管理システム(SFA,CRM,MA)を導入されている会社様も近年は非常に多いのですが、正直中々上手くいっていない、というのが現状です。 営業管理システムの導入というのは、営業活動を1つのデータベースにまとめ、営業活動や顧客情報をオープンに管理しようという事です。これ自体は非常に素晴らしい判断だと言えます。 しかし、実際は中々定着せずに徐々に使われなくなっていき、結局業績向上に繋がっていないケースが非常に多いのです。 先ほど挙げた4つの課題と照らし合わせれば理由は明白なのですが、既存業務の整理が終わっていないことで、新しい業務が受け入れづらい(現場の負担が純粋に増える)こと、そして、そもそもこの独立色の強い縦割りの社内環境を変革できていないことが成功していない要因だと私は考えています。 では、どうすれば業績に繋がる活動になるのでしょうか? 3.どうすれば業績に繋がる活動になるのか SalesForce社のTheModelというのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。定量的に営業活動を管理し、マネジメントするポイントを明確にすることで業績向上、顧客満足度の向上に繋げましょう、という考え方です。 この考え方はシンプルながら、いままで感覚的に行われてきた営業マネジメントに一石を投じる考え方でした。 これを行うには定量的なデータが必要ですから、営業活動を一つのデータベースにまとめよう、という営業管理システムは売れに売れました。 この営業を定量的に管理する手法には私も賛成なのですが、様々な支援をする中でこれだけでは不十分であると感じています。 前述の通り、営業管理システムを単独で通常の業務にプラスオンする形で導入してしまうとほぼ上手くいきません。 導入はともかく、活用するまでに至らず、業績に繋がらないばかりかむしろ生産性を下げてしまいかねないというわけです。 私としては、現状業務の非効率性や、他で導入しているシステムとの連携といった業務効率改善(ツールを使えるような土壌整理)を基本としたうえで、しっかりと“活用”と“改善活動”に焦点を当てたツールの選定と導入をおススメします。 こういった準備を進めるなかで、是非重要視していただきたいのが“生産効率”についてです。 TheModelは売り上げを上げるために必要な要素をちゃんとマネジメントしよう、という考え方ですが、同じ売り上げを上げるのにどれだけの労力を割いているのか、という点に注目していただきたいという事です。 繰り返し作業(定型業務) 二重三重入力 戻り作業と修正業務 無駄な待ち時間 習慣的な業務(昔は重要だったが、今はさほど重要性が高くない) 恐らくこういった事が工数を最適化するにあたっての課題として思い浮かぶのではないでしょうか。 今はRPAやAIといった自動化に繋がる技術や、生成AIのようなツールも多く出てきています。 こういったものも検討しつつ、無駄のない、あるべき業務フローを検討することが営業を効率化させるために絶対的に必要な要素だと私は考えています。 4.どうすれば業績に繋がる活動になるのか さて、今回はどうすれば“業績向上”につながる営業変革ができるのか、という事をお話してきました。 7月の9,10、18日の3日間、今回のコラムのように、営業変革をテーマにセミナーを開催予定です。 もう少し詳細な現在のトレンドの紹介、成功されている企業様の具体的な取り組み事例などをご紹介させていただきます。 今回のセミナーには無料の相談ミーティングも付いてきますので、その場では皆様個別に抱えている課題などに対してもアドバイスが出来るかと思います。 また、最後に少し触れたAI技術の営業活用についても多くご紹介させていただきますので、ご興味のある方は是非ご参加いただければと思います。 ■関連するセミナーのご案内 複数事業部&複数営業所を持つ製造業・商社のためのDX 営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社のDXとは? セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115062 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115062 1.はじめに いつも大変お世話になっております。船井総合研究所の高階と申します。 今回のコラムでは、様々なお客様からご要望があった“業績向上に繋がる“営業改革の取り組みについてご紹介したいと思います。 私は基幹システムを中心にした業務改革の支援を中心に活動しているのですが、実は営業に関する改善支援も多く行っています。 規模は中小、中堅、大手と様々なお客様とお話をしていますが、実は悩みは似通っていることが多いです。 支援先の営業管理者・担当者の皆様の悩みを聞くたびに、私も営業出身だったという事もあり首が取れそうなほど頷いてしまいます。 少し、例を挙げてみようと思います。 皆様の会社ではどうでしょうか。 営業は事務処理に追われている。管理者側はもっと営業活動に時間を使ってほしいと要望を出しているが、現場は無茶な要求だと感じているようで動きが悪い 営業日報や週報を書いてもらっているが、担当者によって記載される内容粒度に差がある。まとめ書き・まとめて提出なども横行しており、意味を為していない 営業所や事業部によって使用している営業管理システムが違うため、統括する部署からすると参照先が複数あるなど管理が煩雑 営業管理システムを入れてはみたが、業績が上がらなかった。現在はちゃんと使われているか不明 案件の進捗は属人的な管理になっている。エクセルで一覧管理するなどしてはいるが、更新が随時行われているわけではないため、詳しくは直接聞くしかない 既存のお客様との関係構築が最重要課題だが、顧客情報や商談履歴、見積もり履歴などは担当者別に管理している状況の為、ブラックボックス化している 営業指標の確認をもっと簡単に行いたい。時間もかかる上に、複雑すぎるように感じる …etc. DXというワードが飛び交っている現在でも、企業規模や悩みの大きさこそ違えど、どの企業も似たような悩みを持っているのだな、というのが私の感想です。 2.「Excel依存」「属人化」のリスク回避に成功した製造業の事例 上記のような課題を少しマクロな目線でまとめてみます。 オープンにするべき情報のブラックボックス化(営業活動の属人化) 既存業務をスクラップ&ビルドできていない(業務負荷・分担) 営業情報や重要指標が簡単に確認できないため、マネジメント不全が起きている(情報共有) 部分的なデジタル化の弊害による二重・三重入力(業務効率) などが挙げられると考えています。 こういった課題は、特に複数事業部や複数営業所(営業部)を持つ企業では深刻になりがちです。 そもそも日本では事業部制を取る企業が多く、縦割りが強い企業が多いです。 部門によって導入しているツールが違う、案件のまとめ方も案件のステージ定義も営業の進め方も標準化されていない、目標指標の立て方も管理方法も報告内容も統一されていない、といったケースは珍しくありません。 同じ会社にもかかわらず中小企業がいくつも集まっているような状況になってしまい、前述の課題を加速させてしまっているわけです。 また、こういった問題を解決すべく、営業管理システム(SFA,CRM,MA)を導入されている会社様も近年は非常に多いのですが、正直中々上手くいっていない、というのが現状です。 営業管理システムの導入というのは、営業活動を1つのデータベースにまとめ、営業活動や顧客情報をオープンに管理しようという事です。これ自体は非常に素晴らしい判断だと言えます。 しかし、実際は中々定着せずに徐々に使われなくなっていき、結局業績向上に繋がっていないケースが非常に多いのです。 先ほど挙げた4つの課題と照らし合わせれば理由は明白なのですが、既存業務の整理が終わっていないことで、新しい業務が受け入れづらい(現場の負担が純粋に増える)こと、そして、そもそもこの独立色の強い縦割りの社内環境を変革できていないことが成功していない要因だと私は考えています。 では、どうすれば業績に繋がる活動になるのでしょうか? 3.どうすれば業績に繋がる活動になるのか SalesForce社のTheModelというのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。定量的に営業活動を管理し、マネジメントするポイントを明確にすることで業績向上、顧客満足度の向上に繋げましょう、という考え方です。 この考え方はシンプルながら、いままで感覚的に行われてきた営業マネジメントに一石を投じる考え方でした。 これを行うには定量的なデータが必要ですから、営業活動を一つのデータベースにまとめよう、という営業管理システムは売れに売れました。 この営業を定量的に管理する手法には私も賛成なのですが、様々な支援をする中でこれだけでは不十分であると感じています。 前述の通り、営業管理システムを単独で通常の業務にプラスオンする形で導入してしまうとほぼ上手くいきません。 導入はともかく、活用するまでに至らず、業績に繋がらないばかりかむしろ生産性を下げてしまいかねないというわけです。 私としては、現状業務の非効率性や、他で導入しているシステムとの連携といった業務効率改善(ツールを使えるような土壌整理)を基本としたうえで、しっかりと“活用”と“改善活動”に焦点を当てたツールの選定と導入をおススメします。 こういった準備を進めるなかで、是非重要視していただきたいのが“生産効率”についてです。 TheModelは売り上げを上げるために必要な要素をちゃんとマネジメントしよう、という考え方ですが、同じ売り上げを上げるのにどれだけの労力を割いているのか、という点に注目していただきたいという事です。 繰り返し作業(定型業務) 二重三重入力 戻り作業と修正業務 無駄な待ち時間 習慣的な業務(昔は重要だったが、今はさほど重要性が高くない) 恐らくこういった事が工数を最適化するにあたっての課題として思い浮かぶのではないでしょうか。 今はRPAやAIといった自動化に繋がる技術や、生成AIのようなツールも多く出てきています。 こういったものも検討しつつ、無駄のない、あるべき業務フローを検討することが営業を効率化させるために絶対的に必要な要素だと私は考えています。 4.どうすれば業績に繋がる活動になるのか さて、今回はどうすれば“業績向上”につながる営業変革ができるのか、という事をお話してきました。 7月の9,10、18日の3日間、今回のコラムのように、営業変革をテーマにセミナーを開催予定です。 もう少し詳細な現在のトレンドの紹介、成功されている企業様の具体的な取り組み事例などをご紹介させていただきます。 今回のセミナーには無料の相談ミーティングも付いてきますので、その場では皆様個別に抱えている課題などに対してもアドバイスが出来るかと思います。 また、最後に少し触れたAI技術の営業活用についても多くご紹介させていただきますので、ご興味のある方は是非ご参加いただければと思います。 ■関連するセミナーのご案内 複数事業部&複数営業所を持つ製造業・商社のためのDX 営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社のDXとは? 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