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専門コンサルタント厳選!多品種少量中小企業のロボット導入事例3選

今回は、忙しくてロボット導入事例を調べる時間が取れない経営者の方のために、ロボット導入実証事業(経済産業省)の補助金制度を活用した中小企業のロボット導入事例を厳選して解説します。※ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブックはこちらから
http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf

1.従業員を重労働から解放!空いた工数を検査へ回し品質向上!パレット積み工程のロボット化

概要

製品出荷前の最終工程となる段ボールのパレット積み作業で、最大12kgの箱を高さ170cmまで積み上げる作業をロボット化

導入効果

投資金額¥25,000,000
投資効果¥4,800,000/年
ロボット導入により作業人員は導入前の10人から8人に削減
投資回収年はおよそ5年程度

解説

従業員45名の企業様のロボット導入事例です。

ロボット導入に際し問題となった点は、顧客ごとに大きさや形状の違う段ボールを顧客の要望ごとに荷造り(積み方、積載数)する必要があり自動化が困難と思われた点です。
しかし、そのような多種の条件に対応できるハンド設計や制御方法の工夫等、ハードとソフトの両面から解決方法にアプローチし対応を可能としています。
さらに、限られたスペースの中でロボット・コンベア・パレット置き場を設置するために省スペース型のパレットチェンジャーを開発設計しています。これらのことにより検討当初は困難と思われた多品種対応を実現しました。

この工程以外にも、おそらく簡単にロボット導入を検討できる工程はあったはずです。
その中でも“あえて”従業員の負担(重労働)を減らすために優先してパレット積みのロボット化に踏み切ったのだと思われます。
従業員を第一に考えた経営者の姿勢が見えてくる導入事例です。

さらに、空いた工数は検査工程に割り振り品質面でも工場が図れたとのこと。
生産性向上(省人化)、品質向上、重労働からの解放(省力化)の3つを同時に実現した中小企業ならではの良い事例です。

2.熟練職人の溶接作業を整理、分類、パターン化!職人の溶接作業をティーチングレスでロボット化に成功!

概要

受注ごとに寸法や形状が異なる特注大型門扉製造工程における溶接作業をロボット化

導入効果

投資金額¥60,000,000
投資効果 生産数:2倍
利益増:¥10,000,000/年
省人化:2名→1名
ロボット導入により2名の作業員を1名へ省人、さらに生産数は2倍に増加し年間¥10,000,000の利益増を生み出しています。

解説

特注品の大型溶接ワークは受注ごとに寸法や形状が異なることからオフラインティーチングを活用するのが一般的です。しかし、この企業様では溶接の職人作業を1からヒアリングし、整理、分類することでパターン化することを考えました。
そのパターンを事前に何種類かに分け、教示データを作りこみます。現場ではそのパターンの中から種類を選択し必要な数字を入力するだけでロボット自身が動作を作るため、溶接スキルの有無に関わらず、誰でもロボット操作が可能となっています。

難解なオフラインティーチングの導入教育や図面の3次元CAD化をすることなく、多品種生産にロボットを活用できた事例です。
この事例における優れた点は、熟練作業者の勘とコツを整理、分類しパターン化したこと、そのように属人化していた作業をしっかりと分析し体系化したことです。
その結果溶接スキルの有無に関わらず、誰でも操作することが可能となりました。
オフラインティーチングソフト購入費用及び導入教育費用、設計の3次元化等の費用も削減できています。

今回の事例のように数字を入力するだけでシステム自身が動作を作って実行するようなシステムを構築することができれば、通常のティーチングやオフラインティーチングによるシステムではロボット化のメリットが出せないような一品一様の生産の場合でも労働生産性を高めしっかりとメリットを出すことが可能です。

日本の中小製造業における熟練職人の技術力は世界でもトップレベルの技術力であることは間違いありません。近年、世界の製造業では日本の中小企業の職人技術を欲している、との話もあります。しかし、その「職人技」をどのようにして継承していくかという課題もあります。
その職人技の継承に真っ向から取り組み、パターン化しロボット化したことは今後、日本の製造業があらためて世界のトップに上り詰めるためにも、大変重要なことではないでしょうか。

3.システム簡素化で導入コスト削減!!多品種少量マシニングセンター加工のワーク着脱ロボット化!

概要

少ロット切削加工のワーク着脱工程をロボット化、カメラ・画像処理によるワーク判別に代わり、シンプルな位置決めパレットを採用してコストダウン。

導入効果

投資金額¥17,500,000
投資効果 生産数:12個/日→22個/日
省人化:2名→1名
投資回収年 2.2年

解説

航空機向け部品を中心に高精度・小ロットの切削加工を行っている企業の事例です。

1~10個の小ロット品が多く、マシニングセンターへのワーク着脱の頻度が高い状況で作業員が装置の傍についている時間が長く、時間がかかる割に単純作業であることからロボット化を実施しました。
小ロット加工品(多品種少量生産)をロボット化する場合、様々なワーク形状に対応するために3Dカメラや画像処理システム、各種センサーなどと組み合わせロボットに様々な付加機能を持たせた複雑なシステムを構築しがちです。確かに、そのような最新技術を用いたロボットシステムを導入すればロボットができる仕事は増えるかもしれません。しかし、導入費用の高額化や教育の必要性、トラブル対応の難易度などを考慮すると中小企業では導入が困難な場合も少なくありません。

そういった背景の中で今回の事例では以下3つのポイントをおさえてシステムの簡素化に成功しました。

①加工対象ワークのサイズと種類を絞り込む
②ワークの把持部分を共通化するための設計変更を実施する
③8個以上の中ロット品に限定する

以上のような工夫を行い、ワーク判別のための3Dカメラや画像処理システムをはじめ、導入コスト上昇につながる周辺設備を極力省いたシンプルはロボットシステムを構築しました。
従来コスト¥2480万円のところ、システムの簡素化により導入コストは¥1750万円に抑えられ、¥730万円のコスト削減となりました。

初めてのロボットシステムの導入となると、あれもこれもと付帯設備、付加機能を追加したくなります。
3Dカメラや画像処理システムを付加機能として追加するということはロボットに「目」を持たせる、ということです。それだけでも何百万円ものコストがかかります。

導入検討前は「ロボット=なんでも出来る」と考えてしまう場合も多くあります。これは半分正解で半分間違いです。
正しくは「コストと時間をかければユーザーが要求する仕様に極力近いシステムを構築できる」と言えるでしょう。

コストは導入費用です、時間はそのシステムを構築するのにかかる設計や検証、テスト等の時間です。
もちろん、様々な付加機能を持ったロボットシステムは素晴らしいものです。
大企業においては、最新システムを沢山盛り込んだ豪華なシステムを構築する資金力があり、投資回収年の見通しが立たないような場合でも、ある意味「モデルライン」としての導入や「研究開発」としての導入も可能です。

しかし、中小企業はそうはいきません。
中小企業のロボット導入においては現場のニーズに合ったなるべく低コストのロボットシステムを検討することが重要です。
いかに低コストで最大のメリットを生み出せるか、これはいかに自社のニーズを把握しているかにかかっています。
今回の事例のように、あれもこれも、ではなく必要なものだけをシステムに落とし込みシステムを簡素化することにより低コストで最大のメリットを生み出すことができるのではないでしょうか。

4.おわりに

今回は補助金を活用した中小企業のロボット導入事例をご紹介しました。
ポイントは以下の通りです。

①従業員の負担を第一に考え重労働から解放した
②属人化している職人作業を分析、パターン化することで誰でも作業できるロボットシステムを作った
③自社のニーズをとらえ不要な付加機能は排除してシステムを簡素化することで導入コストを削減した

ロボット導入を検討する際の参考にしてみて下さい。

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