記事公開日:2020.04.24
最終更新日:2024.03.27

産業用ロボットの4つのティーチング種類と解説

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産業用ロボット導入だけで終わっていませんか?

近年、工場のロボット化は製造業種を問わず、様々な分野で進んできております。大企業だけでなく中小企業においてもロボット化・自動化が導入されています。しかしながら、ロボット導入したら終わり、自動化が自然に実現でき、生産性を高められる訳ではありません。

周知の事実の通り、ロボットはプログラミングを行うことにより動作を制御しています。

中小企業のように多品種でありながら、ロット数が少量であるということは生産工程が逐次変化するということを表しています。そのため変化が多い中小企業のロボット化では”ティーチング“という作業が重要になっていきます。

一体“ティーチング”とは何なのか?
簡単に一言で表すと、「ロボットに望む動作を教えること」です。

動作を教える方法は様々な種類があります。
ティーチングの種類と概要について簡単に説明していきます。

産業用ロボットのティーチングの種類とその概要

前項で述べたティーチングですが、その方法は様々です。
現在一般的なティーチングの種類としては、以下の4つの種類が挙げられます。

1.オフラインティーチング
2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック)
3.ダイレクトティーチング
4.AIによるティーチングレス

より大きく分類すると下記になります。

◆ロボットに直接触れることなくティーチング(間接教示)する
1.オフラインティーチング
2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック)

◆ロボットに直接触れながらティーチング(直接教示)する
3.ダイレクトティーチング

◆ティーチング作業をAIにより行う
4.AIによるティーチングレス

本ページでは一般的な教示方法である
間接教示法と直接教示法について述べていきます。

その前にまず、
本項ではそれぞれのティーチング方法を表にまとめてみました。

ティーチングの種類 概要
オフラインティーチング(間接教示法) テキスト型 ロボットの動きの元となる、プログラムをテキストエディット用のソフトウェアで直接記入します。複雑な動きのプログラムには向かないため、簡単な動きをするロボットに用いられます。
シミュレータ型 ロボット言語のアップロードや、ダウンロードなどのデータのやり取りが可能です。ロボット言語を変換することができるため、各社のロボットに対応することが可能です。
エミュレータ型 教示者にとってティーチングが容易であるため、多くの産業用ロボットに採用されています。ロボット言語を用いて動作をプログラムし、直接実行させるティーチング方法となるためプログラム精度が高いという利点があります。
自動ティーチングシステム CADデータから加工プログラムを自動的に作成するシステムです。技術的な難易度の高さから、まだ導入例は多くないと言われています。
オンラインティーチング
(ティーチング・プレイバック)
間接教示法
教示者が直接ロボット本体を動かすことにより動きを教示する方法になります。導入が増加している協働ロボットのティーチングではこの方法が多く採用されています。教示者が可動部を動かし、動作を記録させることで、より直観的にティーチングすることを可能にします。
AIによるティーチングレス ティーチング作業は属人的なものでありましたが、近年AIの自己学習機能を活用したティーチングレス化が進んでいます。オフラインティーチングにて行ったプログラミング作業に加え、オンラインティーチングで修正を繰り返すことで高品質の作業をミスなく高速で行うことが可能となります。

自社にはどの教示方法が適しているのか?

では、自社がロボットを導入し、自動化を実現するためにはどのような教示法、あるいはティーチングを行えるロボットが適しているのかということで悩まれると思います。

・間接教示法に適した作業工程
・直接教示法に適した作業工程

上記に分けて説明していきます。

まず、間接教示法と直接教示法のそれぞれが許容できる
作業工程を包含関係で表してみたいと思います。

上記のように直接教示法にできる作業工程が限られることが分かります。

では、包含関係を考慮したうえで直接教示法にはどのような作業工程が向いているのかを説明していきます。

直接教示法に適した作業工程とは?

直接教示法とは、ロボットを直接動かすことによって動作を教示する方法になります。この教示方法はロボットの動作に対して比較的精密度が求められない作業において用いることが一般的となります。

具体的には、以下のような作業工程において用いられております。

・ネジ締め作業工程
・組立て作業工程
・部品の仕分け工程
・整列工程
・箱詰め工程
・ピッキング工程
・搬送工程
・検査工程
・測定工程

間接教示法に適した作業工程とは?

間接教示法は、精密度が求められる工程においても対応することが可能となります。
これは、人の手によるティーチングではなく機械を用いたプログラミングを行うことにより、精度を高めることが可能となるからです。

これらの教示方法により可能となる作業工程は
以下のような作業があります。

・溶接
・バリ取り
・シーリング
・ローラーヘム
・カット
・穴あけ
・溶射
・塗装
・洗浄
・搬送(軽量でないもの)

上記のような作業は勿論のこと、前述した包含関係の図からも、この間接教示法は直接教示法による作業もカバーすることが可能です。
間接教示法の中でもペンダントを使用する為に最も初期投資が掛からない方法です。
高頻度での教示の修正や複雑な軌道のロボットパスを生成する必要が無い場合はこちらがおすすめです。
しかし、一度の教示に掛かる時間は教示と動作確認と修正で数日間かかる場合も多く、教示を行う技術者の力量にも大きく差が出てくるので注意が必要です。

またオフラインティーチング法ではパソコンのソフトウェアを用いる必要があるので、初期投資が掛かります。ソフトウェアの購入費用として初期投資300万円~程掛かる事もめずらしく有りません。
立体的な形状のワークにそって軌道を作る時や、複雑な形状、多台のロボットの複合作業などの難易度の高い教示作業や、高頻度の品種追加、寸法変更などのマイナーチェンジが発生する場合に非常に有効です。また作業者の力量に左右されずにロボットパスを生成できる事も魅力です。

まとめ

本ページでは2つの教示方法と、ティーチングの種類について説明してきました。

間接教示法は直接教示法が可能とする作業工程を包含していることから汎用性が高い教示方法であることがわかります。

これを考えると、「間接教示法だけで良いのでは?」と、思われるかもしれません。

しかし、直接教示法では、ティーチングペンダントを用いることなく教示者が直接ロボットにティーイングすることが可能であるということから間接的な教示法よりもティーチングが簡単です。つまりはティーチングに掛かる作業時間を短縮することができるため、生産性が高くなるというメリットも考えられます。

このように、それぞれの作業工程に適した教示方法があることを理解すると自社におけるロボット選定や導入した後の運用面が明らかになり、ロボット化・自動化のイメージが着きやすくなると思います。

さらに、本サイトではティーチングの種類や教示方法だけでなく、それぞれの業種やその工程に特化したロボットについて様々な事例をもとに解説しております。

他社事例をご覧になって頂けるとより自社に適したロボットがどのようなものか理解を深めることが出来ると思います。

是非、自社のロボットにおける導入検討のために御一読いただければと思います。

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