記事公開日:2026.01.26
最終更新日:2026.01.26

SIerとコンサルの違いとは?工場の自動化・省人化を最短で実現するパートナー選定5つの基準

目次

はじめに

「工場の自動化を進めたいが、付き合いのあるシステム会社(SIer)からは良い提案が出てこない」 「ロボットメーカーに相談したら、自社製品のカタログを持ってくるだけで、本当にそれが最適なのか判断できない」

年商30億円を超える規模の製造業であっても、DXプロジェクトの入り口である「パートナー選び」でつまづいている企業は少なくありません。 その最大の原因は、「SIer(システムインテグレーター)」と「DXコンサルタント」の役割の違いを正しく理解していないことにあります。

本記事では、プロジェクトの成否を分ける「パートナー選定」に焦点を当て、誰に何を依頼するのが自動化への最短ルートなのかを解説します。

1. 似て非なるもの。「SIer」と「DXコンサルタント」の決定的な違い

どちらも「企業のIT化・自動化を支援する」という点では同じですが、その立ち位置と得意領域は明確に異なります。

1-1. 役割の比較:SIerは「建築会社」、コンサルは「建築家(設計者)」

家を建てる時をイメージしてください。「どんな家を建てたいか」が決まっていない状態で、大工さん(施工会社)に「いい感じの家を作って」と依頼する人はいません。まずは建築家(設計者)と相談し、図面を引くはずです。

工場DXも同じです。

  • SIer = 施工会社(大工): 渡された設計図通りに、システムや設備を構築・実装するプロ。
  • コンサル = 設計事務所(建築家): 経営課題からあるべき姿を描き、設計図(要件定義書)を作るプロ。

【表:SIerとDXコンサルタントの比較】

比較項目 SIer (System Integrator) DXコンサルタント
主な役割 実装・構築 企画・構想・設計
得意なこと 決まった仕様通りに作ること 曖昧な課題を仕様に落とすこと
スタンス 受動的(言われたら動く) 能動的(やるべきことを示す)
ゴール 納期通りの納品(Go Live) ビジネス課題の解決(ROI)
契約形態 請負契約(完成責任)が多い 準委任契約(支援責任)が多い
1-2. なぜ、SIerに「提案」を求めると失敗するのか?

多くの経営者が「SIerはプロなんだから、いい提案をしてくれるはず」と期待しますが、それは構造的に困難です。 SIerのビジネスは「技術者の人数×期間」で対価を得るモデルです。「何を作るか」が決まっていない状態では見積もりが作れず、リスクが高すぎて動けないのです。 SIerに対して「何か提案して」と言うのは、レストランでメニューを見ずに「私の好みを当てて作って」と言うようなもので、困惑されるか、無難で高額なコースを出されるのが関の山です。

2. 工場DXにおける「ベンダー丸投げ」が招く3つのリスク

要件定義(設計)が甘いまま、SIerや機器メーカーにプロジェクトを丸投げすると、以下の3つのリスクに直面します。

ベンダー丸投げによる「ロックイン」「高コスト」の迷路と、コンサル主導の「成功への近道」の比較

2-1. 【高コスト化】リスクヘッジのために見積もりが膨らむ

仕様が曖昧な状態で依頼されたSIerは、後から仕様変更が発生するリスクを見越して、見積もりに多額の「バッファ(予備費)」を乗せます。結果、相場の1.5倍〜2倍の費用になることも珍しくありません。

2-2. 【ベンダーロックイン】その会社の製品しか使えない「縛り」が発生する

メーカー系SIerの場合、当然ながら自社製品や提携製品を前提としたシステムを組みます。 将来的に「もっと安くて性能の良いセンサー」が出ても、システム全体の互換性を理由に変更できず、高い保守費を払い続けることになります。

2-3. 【手段の目的化】「何を作るか」が目的になり、「どう儲けるか」が置き去りに

SIerのゴールは「バグなくシステムが動くこと」です。そのシステムを使って現場の生産性が上がったかどうかは、彼らの責任範囲外です。 そのため、「高機能だが、現場の作業員には難しすぎて使われないシステム」が納品されてしまうのです。

3. 最短で成果を出すパートナー選定「5つの基準」

では、これらの失敗を避け、最短距離でDXを成功させるためには、どのようなパートナー(コンサルタント)を選べばよいのでしょうか。

3-1. 【翻訳力】経営課題(ふわっとした要望)を技術要件(RFP)に落とし込めるか

「不良品を減らしたい」という経営者の言葉を、「画像解像度〇〇ピクセル以上、検知速度0.5秒以内の外観検査システム」という技術スペックに翻訳できる能力です。 このRFP(提案依頼書)が書けるかどうかが、その後のプロジェクトの質を決定づけます。

3-2. 【中立性】特定のメーカーやパッケージに縛られない「ベスト・オブ・ブリード」か

「弊社は〇〇社の代理店です」というコンサルタントは要注意です。 真のパートナーは、世の中にある全ての技術・製品の中から、貴社の課題にとって「コストパフォーマンスが最強の組み合わせ」を選定します。

3-3. 【領域横断】IT(情シス)とOT(製造現場)の双方の言葉を話せるか

工場のDXには、IT(サーバー、クラウド、DB)とOT(PLC、センサー、ロボット)の両方の知識が必須です。 「クラウドには詳しいが、PLCのことは分からない」というITコンサルタントでは、現場の設備と連携するシステムは作れません。

3-4. 【PM力】複数のベンダーを束ね、納期と品質をコントロールできるか

大規模なDXになると、ロボットベンダー、ネットワーク業者、ソフトウェア開発会社など、複数の会社が関わります。 彼らの間に入り、「A社の作業が遅れているからB社の工程を調整する」といった交通整理(PM:プロジェクトマネジメント)ができるパートナーが必要です。

3-5. 【コミットメント】システムの「稼働」ではなく、ビジネスの「成果」をゴールにしているか

選定時の面談で聞いてみてください。「御社のゴールはどこですか?」と。 「要件通りのシステム納品です」と答える会社ではなく、「貴社の生産性20%向上です」と言い切れるパートナーを選びましょう。

4. 賢い企業の「コンサル×SIer」使い分け戦略

結論として、SIerを排除する必要はありません。重要なのは「使い分け」と「序列」です。

4-1. 上流工程(構想・要件定義)はコンサルと握る

「何を作るか」を決めるフェーズでは、コンサルタントを右腕にします。ここでRFP(提案依頼書)を固めます。

4-2. 実装工程(開発・製造)はSIer・メーカーに依頼し、コンサルが管理する

RFPに基づき、SIerに開発を依頼します。この時、コンサルタントが発注側の立場でSIerの進捗や品質をチェックすることで、手抜きや認識ズレを防ぎます。

4-3. この体制こそが、コストを抑えつつ品質を担保する「最短ルート」

一見コンサルフィーが余計にかかるように見えますが、SIerへの丸投げによる「無駄な機能開発」や「手戻り」を防げるため、トータルコストは下がり、品質は上がります。

5. まとめ:発注者の「右腕」となるパートナーを選ぼう

工場の自動化・DXは、一度導入すると簡単には入れ替えられない大きな投資です。 その重要なプロジェクトを、言われたことしかやらない「業者」に任せるのか、それとも共に最適解を考える「パートナー」と進めるのか。その選択が5年後の工場の姿を決めます。

「自社の課題に対して、誰と組むのがベストか知りたい」 そうお考えであれば、一度弊社の「工場DX 個別相談会」をご活用ください。 弊社は特定の製品を持たない中立的な立場で、貴社の課題解決に最適なチーム編成とロードマップをご提案します。

まずは体験を: 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができます。

「何から手をつければいいかわからない」という段階でも構いません。ぜひこの機会をご活用いただければ幸いでございます。

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