記事公開日:2026.01.27
最終更新日:2026.01.27

ファクトリーイノベーションWeek 2026 徹底視察レポート

~「可視化」の時代は終わった。データで「稼ぐ」現場の現実解~

2026年1月21日〜23日、東京ビッグサイトで開催された「ファクトリーイノベーションWeek 2026」。皆様は行かれましたでしょうか?

今回は私、山口が東ホールから西ホールまで足を棒にして歩き回り、メーカー担当者に突撃インタビューをしてきた内容を余すことなくお伝えします。

今回の視察を通じて強く感じたのは、製造業DXのフェーズが完全に変わったということです。

数年前までは「とりあえずIoTで見える化してみよう」というPoC(実証実験)の展示が目立ちましたが、今回はそんな甘い言葉は聞こえてきません。

会場を支配していたのは、「取ったデータをどう金(利益)に変えるか?」という、極めてシビアで実利的な熱気です。

「高機能なシステムを入れたが現場が使いこなせない」「データは溜まっているが経営判断に使えていない」。そんな多くの企業が陥った”DXの停滞”を打ち破るための、泥臭くも強力な「現場の武器」が揃っていました。

本レポートでは、AIやシステムといった派手なバズワードではなく、中小製造業が明日の利益を作るための「システムと現場入力のリアル」を、忖度なしでお届けします。

目次 [非表示]

「人が育たない」をシステムのせいにするな

【トレンド】タブレット入力の「仁義なき戦い」~Excel・アプリ・手書き~

「身の丈」に合ったシステムが、最強の経営基盤になる

カーボンニュートラルは「守り」から「攻め」へ

総括:DXの第一歩は、システムではなく「日報」にある

  1. 「人が育たない」をシステムのせいにするな

まず衝撃を受けたのは、製造業の最大課題である「人」にフォーカスしたソリューションの進化です。

■ 株式会社101:スキルナビによる「組織能力」の構造化

「2025年の崖」を超え、現場で起きている深刻な問題は、ベテラン引退による「技術のロスト(断絶)」です。株式会社101のブースで提示されていたのは、まさにその特効薬でした。

従来のスキルマップは、作って満足して終わる「Excelの墓場」になりがちでした。しかし、同社の「スキルナビ」は違います。誰が何の資格を持ち、どの機械をどのレベルで扱えるのかをデータベース化し、リアルタイムで「組織の戦闘力」を可視化します。

私が特に唸らされたのは、これが単なる管理ツールではなく、「何を覚えれば給料が上がるか」を従業員に明確に示す評価連動型のシステムである点です。

「背中を見て覚えろ」が通じない時代、キャリアパスをシステムで明示することは、採用難易度を下げる最強の武器になります。

  1. 【トレンド】タブレット入力の「仁義なき戦い」

~Excel・アプリ・手書き~

「高価なシステムを入れたのに、現場が入力してくれない」。

そんな経営者の悲鳴に対する回答が、現場の文化に合わせた「3つの流派」として提示されていました。

■ テクノツリー「XC-Gate」:Excel文化への愛と執念

「現場は結局、Excelが一番使いやすいんだ!」という事実に正面から向き合ったのがこれです。

使い慣れたExcel帳票をそのままタブレット化できるため、現場の抵抗感が極めて低い。さらに、Bluetooth対応ノギスからの測定値自動入力や、オフライン環境での稼働など、「現場の作業を1秒でも減らす」ための機能が詰め込まれています。現場の実利を最優先するなら、極めて有力な選択肢です。

■ カミナシ:スマホネイティブ世代の標準語

一方で、若手や外国人労働者を戦力化するならカミナシのアプローチが光ります。

ノーコードで、まるでスマホゲームのような直感的な業務アプリが作れます。「NGが出たらカメラが起動する」「手順を動画で表示する」といった条件分岐が組めるため、教育コストをかけずに作業品質を標準化できます。「帳票」ではなく「業務フローそのもののデジタル化」と言えるでしょう。

■ スカイコム「SkyPDF」:紙の「証拠能力」を残す

品質証明や官公庁向け書類など、「絶対に改ざんされてはいけない」領域ではスカイコムが存在感を示していました。

PDFに直接、紙のような書き味で手書き入力ができ、電子署名で原本性を担保する。「デジタルの検索性」と「紙の法的信頼性」を両立させる、製造業のコンプライアンスを守るための「渋い」技術です。

  1. 「身の丈」に合ったシステムが、最強の経営基盤になる

生産管理システム(MES)や基幹システム(ERP)も、「多機能・高価格」から「自社の規模にフィットさせる」時代へ突入しています。

■ IIJ「GLOVIA iZ」 & テクノシステム「実績班長」

IIJの「GLOVIA iZ」は、クラウドERPとして会計・人事・生産を一気通貫で管理し、経営者がスマホ一つで「工場のリアルな原価と利益」を見る世界を実現します。

対照的に、テクノシステムの「実績班長」は、IoT非対応の古い機械に外付けセンサーを付けて無理やりデータ化するという、町工場の救世主です。「4ステップ入力」という極限まで削ぎ落とされたUIは、ITに不慣れな作業者でも迷わせない配慮に満ちていました。

■ トップシステムプロダクツ「Speedy Neo」

多品種少量生産の現場なら、トップシステムプロダクツが強さを発揮していました。試作品や一品モノの図面管理から、バーコードによる工程進捗・原価管理までをカバー。大手向けパッケージでは対応できない「痒い所に手が届く」仕様は、ニッチトップ企業の強力な武器になります。

  1. カーボンニュートラルは「守り」から「攻め」へ

最後に、避けて通れないGX(グリーントランスフォーメーション)についても触れておきます。

■ GreenAI & RYODEN:脱炭素の「自動化」と「商社機能」

GreenAIの展示で驚いたのは、設備データを入れるだけでAIが700種類の施策から「いつ、何に投資すれば、いくら回収できるか」というロードマップを自動生成する技術です。コンサルタントに頼らずとも、自社で脱炭素戦略が描けるようになります。

また、RYODENは単なる機器売りではなく、エネルギー監視から物流システムまでを組み合わせたトータルソリューションを提示。「省エネと省人化を同時にやる」というアプローチは、コスト削減と生産性向上を両立させたい中堅企業にとっての現実解でした。

  1. 総括:DXの第一歩は、システムではなく「日報」にある

~「遅すぎる」なんてことはない。今こそアナログの宝の山を掘り起こせ~

最後に、今回の展示会全体を通して、中小製造業の経営者の皆様にお伝えしたいことがあります。

会場では「AIによる自律制御」や「工場の完全自動化」といった華々しいキーワードも飛び交っていました。これらを見て、「ウチのような町工場には関係ない」「周回遅れだ」と感じられた方もいるかもしれません。

しかし、断言します。決してそんなことはありません。

最先端のAIも、精緻な原価管理も、すべては「現場の正しい実績データ」があって初めて機能します。

今回の視察で確信したのは、「現場の日報をタブレット化する」「手書きのチェックシートをデジタルに置き換える」という、一見地味な一歩こそが、最強の経営戦略への入り口だということです。

いきなり数千万円のシステムを入れる必要はありません。

まずは、現場に埋もれている「手書きの紙」を1枚、タブレットに置き換えてみる。そこから集まるデータが、将来的にAI活用の原資となり、会社の利益を守る盾となります。

DXに取り組むのに、遅すぎるということはありません。

「ウチの現場でもできるだろうか?」そう思った瞬間が、貴社の変革のスタートラインです。

【無料オンライン相談のご案内】

今回の展示会レポートをお読みになり、「自社の現場にはどの入力ツールが合うのか?」「溜まったデータをどう経営判断に活かせばいいか?」といった疑問をお持ちになった経営者様へ。

船井総合研究所では、「無料オンライン相談」を実施しております。これは当社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ペーパーレス化・生産管理システム・データ分析)について無料でご相談をお受けする機会です。

 

システム導入やシステム導入ありきではなく、まずは「現場のデータ化・システム化」の専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。

 

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