記事公開日:2022.01.21
最終更新日:2023.01.24
製造業におけるECRS
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
今回は、「製造現場の生産性向上に使える“ECRS”とは?」
というテーマについてお伝えさせていただきます。
1.“ECRS”とは?
読者の皆様の中にはご存知の方も多いかと思いますが、
ECRSとは、主に製造業の世界で広く普及している
「業務改善・生産性向上」に関する基本的な考え方です。
具体的には、
1)Eliminate(排除する)
2)Combine(結合する)
3)Rearrange(交換する)
4)Simplify(簡素化する)
の4つの頭文字を並べたもので、
その意味合いを補足すると以下の内容となります。
1)Eliminate(排除する):その業務を根本的に無くすことはできないか?
2)Combine(結合する):とある業務と他の業務を1つにまとめることはできないか?
3)Rearrange(交換する):既存の業務に取り組む順序を入れ替えることで、業務を効率化できないか?
4)Simplify(簡素化する):既存業務のやり方を、もっと簡単な手法に変えることはできないか?
また、上記4つの中でも特にポイントになるのは、
「Eliminate(排除する)」の実践です。
一般に、ECRSの実践を通じて獲得できる生産性向上の効果は、
1)Eliminate(排除する)
が最も大きく、その次に、
2)Combine(結合する)
↓
3)Rearrange(交換する)
↓
4)Simplify(簡素化する)
の順に小さくなるというのが、基本的な考え方です。
つまり、生産性向上に大きく寄与する考え方として、
「既存業務をいかに効率化させるか?(=C、R、S)」という発想よりも先に、
「そもそも、既存業務を根本的に無くせないか?(=E)」という考え方が優先されます。
では、実際のECRS実践事例を見てみましょう。
2.実際のコンサルティング事例(ECRSの実践事例)
【コンサルティング事例概要】
・業種:金属加工業(金属プレス、溶接等)
・従業員数:約100名
・業務改善の対象:生産計画作成業務(担当者2名がそれぞれ別の業務と兼任で実施)
【生産計画作成業務に関する主な課題】
1)長時間労働の常態化
(⇒担当者1名あたり業務時間5時間以上&残業と休日出勤の常態化)
2)情報管理の煩雑化
(⇒生産計画作成に必要な各種情報の保管先がバラバラ)
【コンサルティングのBefore/After】
【成功のポイント】
コンサルティングの流れとして、既存の生産計画関連業務を
客観的に分析・整理することからスタートしたわけですが、
ポイントはまさにECRSのうち、生産性向上へのインパクトが大きい
「Eliminate(排除する):そもそも、既存業務を根本的に無くすことはできないか?」
を忠実に実践したことに尽きます。
また、上述のような取り組みを
自社の既存社員のみで実施するとなると、
どうしても従来の慣習や常識に引っ張られてしまい、
生産性向上の取り組みが思うように進まないことも多い中、
今回は社外のコンサルタントを活用したこともポイントでした。
コンサルタントをいわば自社にとっての「外圧」として上手に活用し、
自社にはない客観的な視点から
現状を俯瞰し整理していったことで、
結果として前述のような
生産性向上の効果をもたらすことができました。
今回ご紹介した“ECRS”のようなフレームワークを
いわゆる「机上の空論」で終わらせず、
実際に自社に当てはめて考えてみると、
生産性向上の糸口が掴めるかもしれません。
是非、皆様の会社でも積極的にチャレンジしてみてください。
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