記事公開日:2023.03.17
最終更新日:2024.12.06
製造業が基幹システム導入・刷新で失敗しないためには

いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
今回は、製造業で基幹システム導入・刷新を成功に導くポイントについてお伝えします。
1.製造業で基幹システム導入・活用が上手くいかない理由
経済産業省が「DXレポート」で提唱した「2025年の崖」が目前に迫っています。「2025年の崖」では、長年にわたって各企業で使われてきたシステムをメンテナンスできるエンジニアの多くが定年を迎え、システム人材不足が深刻化し、古いシステムを使っている企業はそれにより多大なリスクを抱えてしまう..といったことも懸念されています。
そのため、販売管理システムや生産管理システム、在庫管理システム、人事・財務・給与システムなどのさまざまな基幹システムを活用してきた企業は、現行のシステムの見直しを迫られています。
(基幹システムとは、会社全体のデータを連携させ一元管理することができるようになるツールです。これによりリアルタイムで業務データを可視化・加工できる環境を構築でき、正確な経営判断に活用できるなどのメリットがあります。近年ではクラウド型の基幹システムが多く採用されています。)
しかしながら、製造業においても基幹システムの導入・刷新はなかなかハードルが高く、以下のような理由で上手くいかないようです。
- 現状維持への抵抗:既に慣れているシステムや紙ベースの運用を変えたくない、新システム導入によるコスト増加への懸念、業務プロセスの見直しが必要になることへの抵抗など、現状維持を望む声が根強い。
- 人材・リソース不足:導入・刷新を進める時間や人材が不足している、ITリテラシーが不足している、部門間連携が不足しているなど、リソース不足が課題となる。
- システム側の問題:システムの機能が不足していてやりたいことができない、既存システムのセキュリティ対策が不安、ベンダー選定や要件定義が難しい、プロジェクト管理が難しいなど、システム側の問題も存在する。
特に、現システムへの不満がありながらも、それを前提とした業務の流れに慣れてしまっており、なかなか新規導入・刷新に至らないケースが多いようです。
2.製造業の基幹システム導入・刷新の取り組み手順
では、どのような手順で基幹システム導入・刷新に取り組めば良いのでしょうか。以下に基幹システム導入時の取り組み手順を示します。
▼製造業における基幹システム導入・刷新取り組み手順
①現状業務の見える化
現状の業務の流れや、業務における問題、課題を見える化する。業務効率化のためのプロセス分析、部門ごとの業務フローの可視化、課題と原因の明確化などを実施し、現状を把握することが重要です。
②基幹システム導入・刷新の目的・目標を明確にする
現状の問題・課題の解決はもちろん、経営計画・事業計画を加味した目的・目標を設定する。デジタルトランスフォーメーション(DX)推進、コスト削減、業務効率化など、具体的な目標を定量的に設定し、経営層から従業員まで共有することが重要です。
③基幹システム導入・刷新のロードマップを作る
一気に全てを導入・刷新しようとするのではなく、優先順位を決め、段階的に取り組む。短期、中期、長期の計画を立て、段階的な導入やパイロットプロジェクトの実施などを検討し、予算計画や体制構築もしっかり行いましょう。
④基幹システム導入・刷新後の構想・計画策定
問題・課題の解消に繋がる新しい業務の流れを策定し、その新しい業務の流れを実現する基幹システム導入・刷新の構想・計画を作る。業務プロセスの再設計、部門間連携の強化、IT活用による業務効率化などを検討し、新システム導入による効果試算やシステム要件定義、ベンダー選定基準の明確化などを行いましょう。
⑤基幹システム導入・刷新シミュレーション
前の手順で策定した構想・計画に基づき、新しい業務の流れのシミュレーションを行い、期待する効果が得られそうか、検証を行う。新システムのデモ環境での検証、業務プロセスのシミュレーション、データ移行のテスト、従業員へのトレーニングなどを実施し、導入前後の効果測定を行いましょう。
⑥基幹システム導入・刷新の推進
計画に基き、システム導入・刷新を進める。プロジェクトチームによる推進、ベンダーとの連携、進捗管理、課題解決、変更管理などを適切に行い、従業員へのサポートも忘れずに行いましょう。
⑦試験運用
システムが完成したら、本運用前に試験的な運用を行い、業務に支障が無いか確認を行う。テストデータによる検証、本番環境でのテスト、ユーザーacceptancetest、負荷テスト、セキュリティテストなどを実施し、運用マニュアルの作成や担当者へのトレーニングを行いましょう。
⑧効果検証
目的・目標を達成できているか、定期的に検証を行い、問題があれば、対策を講じる。KPI設定、効果測定、改善活動、アップデート対応、保守契約などを行い、継続的にシステムを改善していくことが重要です。
まずは、現状業務の流れや、そこで発生している問題の把握から取り組まれることをお勧めします。
3.製造業が基幹システム導入・刷新に取り組む上でのポイント
製造業が基幹システム導入・刷新を行う上で特に注意いただきたいポイントは以下の通りです。
- 現状業務の可視化:業務フローや課題を明確化し、システム導入の目的を定めます。
- 明確な目標設定:導入によって達成したいことを具体的数値で設定し、全社で共有します。
- 段階的な導入:優先順位を決め、段階的に導入することで、現場への負担を軽減します。
- 効果検証と改善:定期的な効果検証を行い、必要に応じてシステムや業務プロセスを改善します。
4.まとめ
製造業にとって、基幹システムの導入・刷新は「2025年の崖」やDX推進を成功させるための重要な課題です。しかし、多くの企業が既存システムへの慣れや人材不足などの理由で、導入・刷新に苦労しています。
成功には、以下のポイントを押さえ、計画的に進めることが重要です。
- 現状業務の把握:業務フローや課題を明確化し、システム導入の目的を定める
- 明確な目標設定:導入によって達成したいことを具体的数値で設定し、全社で共有する
- 段階的な導入:優先順位を決め、段階的に導入することで、現場への負担を軽減する
- 効果検証と改善:定期的な効果検証を行い、必要に応じてシステムや業務プロセスを改善する
- 適切なベンダー選び:提案内容、費用、サポート体制などを比較し、自社に合ったベンダーを選ぶ
- IT人材の確保:社内で育成するか、外部から調達するなど、体制を整える。
基幹システムの導入・刷新は、業務プロセス全体の改革です。経営層と現場が協力し、全社一丸となって取り組むことが、製造業のDX推進を成功させる鍵となります。
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