記事公開日:2023.07.19
最終更新日:2023.07.19
製造業の人材不足とデジタル化
1.製造業の求人に応募が少ない理由
厚生労働省の雇用関係指標で製造業が該当する「生産工程の職業」(常用・パート含)を確認すると、2021年の月間有効求職者数は全体で152万人(男性:101万人、女性:51万人)、就職件数は全体で14万件となっており、製造業の求職者や就職者は多数存在しております。つまり、製造業の求人で人材が集まりにくい理由のひとつに、求職者数以上に求人数が多いからだと考えられます。
同じく2021年「生産工程の職業」の月間有効求人数を確認すると258万人で、比較すると求職者数が106万人不足することから、製造業の求人は求人側にとって非常に難しい状態であるとわかります。引用:厚生労働省 雇用関係指標
業界全体から見ても製造業は特に人手不足が深刻化しており、この状況は今後悪化の一途を辿ると言われています。しかし、定着率、求人への応募者数がともに低下している原因は意外にも明白です。
■ 労働人口の減少
■ 労働環境の悪化
■ 3Kイメージの定着
少子高齢化による労働人口の減少はもちろんですが、このほかの大きな理由として3Kのイメージがあることが挙げられます。つまり「きつい」「汚い」「危険」という労働環境のイメージが定着しているために製造業を希望する人材が減少、求人を出しても求職者が集まらないのです。
2.製造業を魅力的にするためにできることとは?
製造業を魅力的にするために、ここでは以下の2つのことについて説明します。
■ 労働環境を整備する
■ デジタルツールを導入する
要は3Kイメージの払拭に繋がる対策を行い、そのことを広めていくことで応募者の増加が期待できるようになります。
<労働環境を整備する>
製造業で人手不足に陥る大きな要因である「きつい」「汚い」「危険」という労働環境の改善を図り、求職者に「変わった」ことをアピールできれば応募者増加に期待が持てるようになります。わかりやすい内容では以下となります。
■ 短時間労働を導入する
■ 残業の削減
■ 深夜労働の削減
■ 職務内容に対して適正な給与かどうかの見直し
これらはどれも「やりたいことだか出来ないこと」だと思います。しかし、これまでの製造業の常識を盾にしては、いつまでも求職者からの応募は来ません。求職者の考え方が変わることは絶対にないのです。つまりは、ワークライフバランスの方に軸足を移すことが出来るかが重要になります。
<デジタルツールを導入する>
当然のことですが、誰でも意義のある仕事をしたいと思っています。右から左に流すような仕事を誰も積極的にはやりたくないのです。要は意味のないアナログ作業が多い職場は求職者にとって魅力ある職場ではありません。ロボットやIoTやAIツールを導入して定型業務や軽作業、単純作業などのインコア業務を自動化することで、職場としても魅力ができ、現場の作業効率も当然上げることが出来ます。デジタル化により会社の魅力も上がり、既存社員の作業負担が軽減されれば3Kのうち「きつい」と「危険」が減ります。
デジタルツールにより作業が自動化できれば、コア業務に人手と時間を割けるようになるため、売上アップにも期待が持てるでしょう。
3.人材不足とデジタル化
全国各地どこの製造現場でも人手不足の話を聞きます。人が多く集まる都市でも人材不足の話を聞きます。ベテラン(職人)の退職、製造業の人気低迷、期待人材の途中退職者が
あいまって、人材不足に拍車がかかっています。企業にとっては、これはどれも痛いことですが、「期待人材の途中退職者」が一番きついことだと私は思っています。製造業の現場はいわゆる一人前になるまでには長い時間がかかります。1年程度では必要なレベルまでは簡単には到達してくれません。「優秀な人材ほどよく辞める」とはよく聞くことですが、時間をかけて育てた人材が離れていくのは、企業にとって影響は小さくはないでしょう。
では、どうすればよいのでしょうか。最近の市場動向が考えるに「時間をかけて人を育てる=職人を育てる」ということ自体がそもそも難しい時代になっているのではないでしょうか。
いくら情熱をかけて育てても、その人の都合で退職してしまえば、それまでかけた時間が全くの無駄になってしまいます。職人を育てるのではなく、今いるベテラン(職人)のスキルをデータ(デジタル化)にして、企業の資産として持ち、誰もがそのスキルを使えるようにしておくことが、今後製造業に必要になってくることだと思います。それには、ロボット、AIなどにスキルをドンドン蓄積していくことが大事です。
ロボットは、職人のような動きを半永久的に模倣することができます。AIは職人やベテランが導きだすような判断を、瞬時に安定して導き出すことができます。
ロボットやAIは高額になる場合が多いです。費用対効果も大事ですが、スキルの資産化という観点から投資を検討することが今後必要になってくるのではないでしょうか。今いるスキルや技能はその人がいるうちにしか、データ化(蓄積)できません。退職してしまっては、その方が優秀であればあるほど、同じレベルで品質を担保するのが難しくなってしまいます。「長年かけて築き上げた技術がその人だけのモノにならないよう」に、スキルの資産化を検討されてはいかがでしょうか。
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