記事公開日:2023.08.18
最終更新日:2023.09.25
製造業のDX・IoT活用のコツ
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
本コラムでは、中堅・中小製造業の企業におけるDX・IoT活用について、まずはどこからどの様にDX・IoTを導入していくべきか、わかりやすく説明させていただきます。
1.はじめに
前回のコラムで具体的にDXやIoT、AIを活用した業務の革新や改善を実施したいと考えたとき、まず『製造現場』へ導入すべきと提案しました。
なぜなら、『製造現場』の革新や改善が会社の売上や利益の向上に最も直結する業務だからです。
製造業は『モノを作る企業』です。
IoTを活用して製造現場を管理するには、まずは製造現場をIoT化する必要があります。
IoTを構成する主な要素は3つです。
・デバイス:各種データを取得
・ネットワーク:インターネットや社内システムへ接続
・プラットフォーム・アプリケーション:データを蓄積・分析
そこで、今回は、その中の“ネットワーク:インターネットや社内システムへ接続”に関して具体的な手順を説明させていただきます。
2.IoTネットワーク基本構成
製造工程のIoT化を行う際のネットワーク基本構成例を示します。
①センサーレベルネットワーク
生産ライン内のセンサーや工作機器を接続するためのネットワーク。
ここでは、センサーデバイスが収集したデータを集約し、ゲートウェイやコントローラーに送信します。センサーデバイス間の通信は、ワイヤレス(例:Bluetooth、Zigbee)または有線(例:RS-485/イーサーネット)通信を使用します。
②ゲートウェイ/エッジデバイス
センサーレベルから収集したデータを処理し、必要に応じて集計や解析を行うデバイス。
エッジコンピューティングを活用して、重要なデータの事前処理や処理を行うことで、クラウド上のサーバーやデータベースへのデータ転送量を削減できます。
③ローカルネットワーク
ゲートウェイやエッジデバイスと生産ライン内のシステムやコントローラーとの間の通信を可能にするネットワーク。
通信プロトコルは、イーサネット(Ethernet)を使用することが一般的です。
④クラウドネットワーク(インターネット)
ゲートウェイやエッジデバイスから収集したデータをクラウド上のサーバーやデータベースに転送するネットワーク。
通信はインターネットを介して行われます。このネットワークを構築する為に社内ネットワークに接続するか、専用回線(公衆回線など)を準備することになります。
⑤クラウドプラットフォーム
クラウド上のプラットフォームを使用して、データの保存、可視化、解析、予測などの処理を行います。
プラットフォームは通常、IoTデータを管理するためのAPIやダッシュボードを提供します。
物理的には各センサーや工作機器とゲートウェイをイーサーネットケーブルで接続(ローカルネットワーク)、
ゲートウェイを社内ネットワークとイーサーネットケーブルやWi-Fiで接続(インターネット)するケースが一般的です。(ゲートウェイは異なる2つのネットワークにそれぞれ接続します)
3.ゲートウェイ
ゲートウェイはIoTネットワークを構成するうえで最も重要な機器です。
ゲートウェイとは、異なるネットワークを接続するコンピューター機器を意味します。
IoTゲートウェイは、センサーやデバイスから収集されるデータを収集・処理し、必要な情報をクラウド上のサーバーやデータベース、ローカルネットワークに送信するデバイスです。
以下に一般的なIoTゲートウェイの機能を示します。
①データ収集
ゲートウェイは、接続されたセンサーやデバイスからデータを収集します。
このデータは、温度、湿度、振動、圧力などのセンサーからの情報や工作機器の制御情報などです。
②データプリプロセッシング
ゲートウェイは、必要にエッジコンピューティング(データを事前処理)を行います。
データの平滑化、平均化、異常検出、フォーマット変換などを行い、クラウド上のサーバーやデータベースへのデータ転送の最適化や遅延の削減を図ります。
リアルタイム処理が必要な予知保全などでは、AI機能を搭載したゲートウェイでエッジ処理を行うケースが多いです。
③ローカルデータストレージ
一部のIoTゲートウェイは、収集したデータを一時的にローカルに保存することができます。これにより、ネットワークの断続性がある場合や、一時的なデータ保存が必要な場合に備えることができます。
④通信管理
センサーやデバイスと通信するための通信プロトコルや通信方式を管理します。
必要に応じて有線(Ethernet、RS-485など)やワイヤレス(Wi-Fi、Bluetooth、Zigbeeなど)通信など、様々なプロトコルをサポートします。
⑤セキュリティ機能
ゲートウェイは、データのセキュリティを確保するための機能を提供します。データの暗号化、認証、アクセス制御などのセキュリティ対策を実施し、外部からの不正アクセスを防ぎます。
⑥プロトコル変換
異なるデバイスが異なる通信プロトコルを使用する場合、ゲートウェイはプロトコル変換を行って、デバイス間の通信を可能にします。
⑦クラウドへのデータ転送
ゲートウェイは収集されたデータをクラウド上のサーバーやデータベースに転送します。このデータを活用し、クラウド上のアプリケーションで可視化、解析を行います。
⑧リモート管理
ゲートウェイはリモートから制御可能な場合があり、リモートでのファームウェア更新や設定変更などを行う様にすることが可能です。
⑨デバイスの管理
ゲートウェイは、接続されているデバイスやセンサーの状態を監視し、必要に応じてアラート発信、工程・機器停止、障害対処を行います。
IoTゲートウェイはクラウド上のサーバーやデータベースと通信する為インターネット網へ接続するケースが多いです。
その主な接続方法下記2つです。通信費用や設置環境に応じて選択します。
①ワイヤレス接続 – セルラー(3G/4G/5G)
セルラーネットワーク(公衆回線)を使用してIoTゲートウェイをインターネットに接続します。
セルラー(公衆回線)接続は広い範囲で利用可能で、移動性も有します。
リモートエリアや移動するデバイスに適していますが、データ通信料がかかる可能性があります。
②有線接続 – DSL/Cable/光ファイバー
一般的な家庭やオフィス環境では、DSLやケーブル、光ファイバーなどの有線ブロードバンド接続を使用してIoTゲートウェイをインターネットに接続することが可能です。
4.まとめ
今回のコラムでは、“中堅・中小製造業のDX・IoT活用のコツ~製造工程のIoT化手順(ネットワーク構築)~”につきまして簡単ではありますが説明させていただきました。
次回は、“製造工程のIoT化手順(クラウドプラットフォーム・アプリケーション)“につきまして詳しく説明していく予定です。
今回の紹介した内容をご検討頂き、自社での製造工程のIoT化導入検討や、過去に断念されたIoT化を再度進めていただければ幸いです。また、上記内容について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合や導入支援が必要といった場合は、お気軽に弊社にご相談いただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
前回のコラムはこちら
https://smart-factory.funaisoken.co.jp/230704/
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