記事公開日:2023.10.30
最終更新日:2023.11.08

製造業でのパッケージ選定:ERPパッケージと生産管理システムの違いと導入ポイント

いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
今回は、製造業におけるパッケージ選定の中で、生産管理システムとERPパッケージの違いや導入ポイントというテーマについてお伝えさせていただきます。

1.ERPパッケージとは

ERPパッケージ(Enterprise Resource Planning Package)は、企業のさまざまな業務を統合的に管理するためのソフトウェアシステムです。
ERPパッケージは、財務会計、資材調達、在庫管理、生産管理、販売・顧客管理、人事・給与管理など、企業の多岐にわたる業務領域を一元化し、効率化や情報の正確性を向上させることを目的としています。

ERPパッケージは、複数のモジュールから構成され、各モジュールは特定の業務領域に特化しています。
企業は自社の業務ニーズに合わせて必要なモジュールを選択し、導入することができます。ERPパッケージは、リアルタイムで情報を共有し、データの一貫性を保ちながら業務プロセスを統合し、効率的な意思決定や効果的なリソース管理を実現します。
また、ERPパッケージは、企業内での情報共有やコミュニケーションの改善、ビジネスプロセスの自動化、業務効率の向上、リソースの最適化、コスト削減など、さまざまな利点をもたらすとされています。

一般的なERPパッケージとしては、Dynamics365、SAP、Oracle ERP、NetSuiteなどがありますが、市場にはさまざまなERPパッケージが存在しています。企業は自社のニーズに合わせて最適なERPパッケージを選択し、導入することが重要です。

2.生産管理システムとは

生産管理システムは、製造業で生産活動を計画・管理するためのソフトウェアシステムです。
生産管理システムは、生産計画の立案、生産ラインの運用管理、在庫管理、品質管理、生産実績の記録・分析などの機能があります。

生産管理システムの目的は、生産の効率化やスムーズな生産プロセスの確保、品質向上、納期遵守などです。
具体的な機能としては、以下のようなものがあります。

①生産計画
需要予測や受注をもとにして生産計画を作成し、資源(人、材料、設備)の適切な配置や生産ラインのスケジュールを確立します。

②生産ライン管理
生産ラインの稼働状況を監視し、生産サイクル、作業フロー、労働時間、生産能力などを管理・最適化します。
生産ラインのバランスや稼働率の向上をはかることで効率的な生産を実現します。

③在庫管理
材料や部品の受け入れ、在庫数量の監視・調整、資材の発注・受入れなどを行います。適切な在庫管理によって、生産スケジュールの遵守や費用効率の向上を図ります。

④品質管理
生産実績を入力することにより不良数の集計を行い品質データの収集・分析、不良品の管理、品質改善活動などに役立てることもできます。

⑤生産実績管理
生産の進捗状況や出荷実績、生産コスト、労働生産性などを記録・分析し、生産実績の可視化と改善に役立ちます。

⑥リアルタイムデータの追跡と分析
生産ラインや在庫、品質、生産実績などのデータをリアルタイムで追跡し、分析・可視化することで意思決定をサポートします。

生産管理システムは、生産プロセス全体を統合的に管理し、生産性向上、品質向上、リードタイム短縮などの効果
を期待できます。

3.パッケージのデメリット

①高コスト: パッケージの導入には高額な初期投資が必要な場合があります。導入費用にはライセンス費用、カスタマイズや設定費用、ハードウェアやインフラストラクチャのアップグレード費用などが含まれます。

②複雑な導入プロセス
パッケージの導入は、企業全体の業務プロセスやデータのマイグレーションなど、多くの作業と時間を要する複雑なプロセスです。導入作業の遅延や予算超過のリスクがあることに留意する必要があります。

③ビジネスプロセスの変更
パッケージの導入には現行のビジネスプロセスの再評価や変更が必要な場合があります。既存のプロセスへの変更への適応には時間と労力がかかる可能性があります。

④カスタマイズの制約
一般的なパッケージは標準の機能を提供していますが、企業の特定のニーズや要件に完全に適合するためにはカスタマイズが必要な場合があります。しかし、カスタマイズには追加の開発コストや保守の複雑さが伴うことがあります。

⑤リソースとスキルの要求
パッケージの導入と運用には、経験豊富なITスタッフやトレーニングが必要です。
また、導入後のシステムの運用・保守にもリソースが必要となります。

⑥規模による適合性の差
一部のERPパッケージは、大規模な企業向けに設計されており、中小規模の企業には過剰な機能や複雑さを持つ場合があります。適切なパッケージの選択と導入計画の評価が重要です。

パッケージの導入前に綿密な調査と計画を行い、リスク管理策や最適なパートナーとの連携を検討することが重要です。

4.パッケージ導入のポイント

製造業においてERPパッケージと生産管理システムはどちらを導入するべきでしょうか。
ERPと生産管理システムの比較をする際に、そもそも管理項目、業務範囲や導入の目的が異なるため、優先課題と目的によりどうシステム化を行いたいのか整理することが重要です。
一般的にERPは大規模な企業に適しており、企業内にさまざまな業務や情報が点在しており一元管理とシステム連携を実現させたい場合にはERPが適していると言えます。プライチェーンの観点においても全体最適が可能となりえます。

一方、生産管理システムは中小企業向けのシステムが多く販売されています。「ERPでは過剰な機能が多い」「製造工程の多層化や煩雑のためERPでは対応不可」といった場合は、生産管理システムの導入を検討することが適しています。
特に中小企業ではアイテム数、生産方式、外注や内職等複雑なケースなどもあるため生産管理システムが適しているケースが多いです。
以下にポイントを列記します。

①ビジネス要件と適合性
システムを導入する前に、企業のビジネス要件とシステムの機能・機能要件が適合しているかを確認します。各部門の要件やプロセスを詳細に洗い出し、どの機能が必要かを明確にすることが重要です。

②カスタマイズと柔軟性
システムがカスタマイズ可能かどうか、独自の要件に対応できるかを確認します。変更やカスタマイズが必要な場合、それがどれほどの費用や労力を要するかを把握しましょう。

③ベンダの信頼性
システムを提供するベンダや導入パートナーの信頼性や実績を評価することも重要です。
ベンダや導入パートナーの実績、カスタマーサポートやメンテナンスサービスに関してリサーチを行い、信頼性の高いパートナーを選択します。

④インフラストラクチャとIT環境
システムの導入に必要なインフラストラクチャやIT環境が整っているかを確認します。
システムのハードウェア要件、ネットワークの準備、データの移行などを検討しましょう。

⑤トレーニングとチェンジマネジメント
導入後のトレーニングやチェンジマネジメントの計画を立てます。システムの正しい運用方法や利用者のトレーニング、ユーザーの変更管理へのサポートなどを検討し、システムの導入と運用の成功のために必要なプランを策定しましょう。

⑥セキュリティとデータの保護
システムのセキュリティ対策やデータの保護策を確認します。アクセス制御、データバックアップ、災害復旧プランなどが適切に備わっていることを確認しましょう。

5.まとめ

最後にまとめとして、これらのポイントは、ERPや生産管理システムの導入時に考慮するべき重要な要素です。詳細な要件定義、ベンダとのコミュニケーション、十分な準備とトレーニング、セキュリティ対策に慎重に取り組むことが成功への鍵となります。
また、パッケージ導入における業務課題まとめ、最適なパッケージ選定、補助金申請支援、システム導入サポート、運用支援等さまざまな支援が可能となっておりますので、ぜひ船井総研へお問い合わせください。

このコラムが皆様の工場にお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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