記事公開日:2024.01.29
最終更新日:2025.01.09

製造業必見!原価管理をエクセルで行う方法とそのメリット・デメリット

この度は本コラムをお読みいただきありがとうございます。本コラムではExcelを活用した原価管理の基本や効率化テクニック、さらに専用ソフトの導入による業務改善のポイントを解説します。無料テンプレートの活用から関数やマクロの活用法・ソフト導入など自社に合った効率的で正確な原価管理方法を見つけましょう!

本コラムが皆様のさらなる発展の一助になりますと幸いです。

1. 原価管理とは? なぜ重要なのか?

原価管理とは、商品やサービスを生み出す過程でかかる費用を把握し、分析・管理することです。
原材料費、加工費、労務費など、商品を製造するために必要な費用を合計して「原価」を算出します。
原価管理は、製造業にとって非常に重要です。
なぜなら、原価を正確に把握することで、

  • 適切な販売価格を設定できる
  • コスト削減のポイントを見つけられる
  • 利益を最大化できる
  • 企業の競争力を強化できる

といった効果が期待できるからです。

2. Excelで原価管理表を作成する手順

Excelで原価管理表を作成する手順は、以下の通りです。

  1. 原価計算に必要なマスタデータを用意します。
    ・材料費: 材料A、材料B、材料C… などの内訳と単価
    ・加工費: 機械加工費、人件費、外注加工費… などの内訳と単価
    ・労務費: 直接労務費、間接労務費… などの内訳と単価
    ・売上金額: 製品A、製品B、製品C… などの売上金額
  2. 原価管理テンプレート(シート)を用意し、必要な項目を入力します。
    インターネット上には、無料で使える原価管理表のテンプレートが多数公開されています。
    ・これらのテンプレートを利用すれば、1から表を作成する手間を省くことができます。
    ・例えば、「原価管理表 テンプレート 無料」で検索すると、様々なテンプレートが見つかります。
  3. 必要な項目を入力し、計算式を設定します。
    ・テンプレートを参考に、材料費、加工費、労務費などの内訳を入力していきます。
    ・計算式は、テンプレートにあらかじめ設定されている場合もありますが、必要に応じて修正・追加します。
    ・例えば、材料費の合計を計算する場合は、=SUM(B2:B5) のように SUM 関数を使用します。
    ・加工費や労務費についても同様に、SUM 関数などを用いて合計を計算します。
    ・原価 = 材料費 + 加工費 + 労務費 + その他経費
    ・粗利 = 売上金額 – 原価
    ・原価率 = 原価 / 売上金額
    ・粗利率 = 粗利 / 売上金額

3. Excelでの原価管理を効率化するためのテクニック【関数・ピボットテーブル・マクロ】

Excelでの原価管理を効率化するためには、以下のテクニックを活用しましょう。

・関数を活用する

  • SUM関数やIF関数など、Excelの関数を活用することで、計算ミスを減らし、作業効率を向上させることができます。
  • 例えば、=SUM(A1:A10) で A1 から A10 までのセルの合計値を求めることができます。
  • また、 =IF(A1>100,”達成”,”未達成”) のように、条件によって異なる値を返す IF 関数も便利です。
  • その他にも、AVERAGE 関数、VLOOKUP 関数など、様々な関数を活用することで、効率的に原価計算を行うことができます。

 
・ピボットテーブルを活用する

  • ピボットテーブルを使うことで、大量のデータから必要な情報を簡単に抽出・集計することができます。
  • 例えば、製品別、月別、担当者別の原価を集計することができます。
  • ピボットテーブルを使えば、データの分析や可視化が容易になり、原価管理の精度向上に役立ちます。

 
グラフを活用する

  • グラフを作成することで、データの傾向を視覚的に把握することができます。
  • 例えば、月別の原価の推移を折れ線グラフで表示することで、原価の増減をわかりやすく把握することができます。
  • グラフを活用することで、データ分析が容易になり、問題点や改善点を見つけやすくなります。

 
マクロを活用する

  • マクロを使うことで、定型的な作業を自動化することができます。
  • 例えば、毎月の原価計算を自動化するマクロを作成することができます。
  • マクロを活用することで、作業時間を大幅に短縮し、ヒューマンエラーを減らすことができます。
  • さらに、VBA (Visual Basic for Applications) や Power Query を活用すれば、より複雑な処理を自動化したり、外部データを取り込んだりすることができます。

4. Excelを使った原価管理のメリット・デメリット

Excelを使った原価管理のメリット

  • 導入費用が削減できる。
  • テンプレートをインターネット上で入手でき、すぐに使い始められる。
  • 社内で原価管理Excelを作ることができる人がいれば、その方を管理担当者にすることで社内特化の原価管理が可能となります。
  • 基本操作を覚えることで、誰でも簡単に原価管理を行える。
  • 1つのファイルで様々なデータ管理が行え、業務効率化に繋がる。

 
Excelを使った原価管理のデメリット

・関数やマクロの知識が必要で、管理が属人化する

  • 複雑な関数やマクロを使っていると、特定の担当者しか理解できず、その担当者が不在になった際に業務が滞ってしまう可能性があります。
  • 特に、高度なマクロを組んでいる場合は、作成者しか内容を理解できないケースもあります。
  • また、担当者が退職した場合、引継ぎがスムーズに行かない可能性があります。
  • さらに、特定の担当者に業務が集中し、負担が大きくなってしまう可能性があります。

 
・管理に手間がかかる

  • 複数のシートやファイルを管理する必要があるため、管理の手間が大きいです。
  • 特に、データ量が増えてくると、ファイルが重くなり、処理速度が遅くなる可能性があります。
  • また、複数の担当者で共有する場合、更新作業に手間がかかり、ミスが発生しやすくなります。
  • さらに、ファイルのバージョン管理が煩雑になり、どれが最新版かわからなくなるリスクもあります。

 
・同時編集が難しい

  • 基本的に同時編集ができないため、複数人で作業する場合に不便です。
  • 共有する場合には、ファイルをメールで送付するなど、手間がかかります。
  • 最新情報が共有されず、誤った判断をしてしまうリスクもあります。

 
・入力ミスのリスク

  • 手作業でデータを入力するため、入力ミスのリスクがあります。
  • 特に、データ量が多い場合は、ミスが発生しやすくなります。
  • 入力ミスに気づかないまま、誤ったデータに基づいて経営判断をしてしまう可能性もあります。

 
・セキュリティ対策が不十分

  • パスワード設定やアクセス権限の設定などを適切に行わないと、データ漏洩のリスクがあります。
  • また、ファイルの持ち出しが容易なため、情報漏洩のリスクが高まります。

5. 【脱Excel】もっと効率的な原価管理

  • 既存システムのフル活用
    上記のようにExcelでデータを管理すると属人化しやすく、二重・三重の転記作業が発生しやすいなどなにより非効率的です。そこで、脱Excelの第一歩として既存の基幹システムや生産管理システムをフル活用し、原価データの蓄積・原価算出を行いましょう。Excelは他システムより比較的扱いやすいため、複雑になりがちです。システム活用の最初は慣れない部分もありますが、重複作業がなくなる・データの一元管理といった大きな作業効率化メリットがあります。
  • タブレット・IoTツールを活用した工数取得
    原価管理において課題となるのが、正確な作業工数のデータ取得です。紙日報を運用している企業が多いですが、これは不正確なデータになることが多く、システムへの転記作業も発生し非効率です。そこで、タブレットやRFIDといったIoTツールを活用することで作業者の負担を少なくし、システムへの転記作業もなくすことができます。
  • BIツールの活用
    上記で基幹システムのフル活用と述べましたが、原価管理においてシステムだけでは賄えない部分も存在します。そんな時には、BIツールを活用してデータの可視化を行いましょう。昨今のBIツールはノーコード・ローコードのものが多く、開発コストも抑えられます。既存システムと連携することで自動でレポートが更新される機能を搭載しているツールもあり、データ集計の工数が0になります。


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6. まとめ

原価管理は、企業の利益に直結する重要な業務です。
Excelを使えば、手軽に原価管理を始めることができます。
しかし、Excelには、属人化やデータ管理の煩雑さ、入力ミスのリスク、セキュリティリスクなど、いくつかのデメリットもあります。
より効率的に原価管理を行いたい場合は、専用のソフトの導入を検討しましょう。
より詳しい情報や具体的な導入事例については、本コラムで参照したレポートをダウンロードしてご確認ください。 船井総研では、工場診断・データ取得方法の検討・データ可視化・AI活用まで一気通貫したお手伝いが可能です。ご興味を持っていただいた方はぜひ、無料の経営相談をご活用ください。
今後とも船井総研として情報発信を進めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 
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